東アジア歴史文化研究会

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チャットGTPなど生成AIが16兆円の新ビジネスに化けるのか 「知ったかぶり屋」や「論文盗用」が増えて社会を壊す懼れはないのか?(宮崎正弘国際情勢解題)

2023-04-17 | 世界の潮流

指示に従ってたちどころに文章を作成し、画像や動画を自動生成する革命的な武器。生成人工知能(AI)の登場は産業地図を塗り替えるだろうか。

現在、生成AIの先陣を切ったのは米社「オープンAI」である。同社の「チャットGTP」はパターン化された行政書類の作成など朝飯前、公務員の仕事を代替する近未来はすぐそこにある。

大量の失業が起こる。しかし同時に大量の雇用が発生する?

モラルの問題が未解決なうえ、「人間が技術文明を制御できなくなる」という旧型の議論も蒸し返されている。バイデン大統領は「関連企業は製品の安全を確かめてから一般公開する責任がある」と4月4日のホワイトハウスの会議で発言した。

チャットGPTは高度な対話能力があり、すでに49%株主のマイクロソフトが検索サービスを開始した。グ−グルは自社開発の対話AI「バード」を開発、メタ(旧フェイスブック)は「メーク・ア・ビデオ」で動画生成AI、大規模言語モデルなどを開発し、2023年中に商用化するとした。とくにメタはSNSのフェイスブック、インスタグラム、メタバースにも活用する方針だ。

ゴールドマンサックスは近未来に3億人のユーザーが見込まれ、GDPを7%押し上げるとし、ボストン・コンサルティングは2027年の生成AI市場が16兆円に膨らむと予測している。

中国はまっさきにチャットGTPを禁止した。イタリアが続き、ドイツ、フランス、アイルランドも禁止を検討しているとの報道が続いた。

ところがチャットGTPの主力「オープンAI」CEOのアルトマンが来日すると、岸田首相が面談に応じた。なにかちぐはぐな日本政府の対応ぶりである。

オープンAI社はシリコンバレーにある。失業者が溢れ、商業ビルは30%が空室。この街で例外的に活気に満ちている。というのも、この会社は2015年に設立され、創業期にはテスラのイーロン・マスクも株主だった。そのマスクがFOXテレビで「AIは文明を破壊するかも知れない」と発言している。

▲厳しい規制が必要とする意見がメディアやアカデミズムに拡がる

CEOのサミュエル・アルアトマンはまだ37歳と若く、しかも風来坊のような風体、本人はゲイだと告白している。

アルトマンはスタンフォード大学を中退し、起業家をめざした。これまでにも1000社に投資しており、どちらかといえば発明家ではなく投資家である。この点で企業買収を繰り返してEVとスペースXであてたイーロン・マスクのビジネススタイルと似ている。アルトマンは、その上、民主党支持者であり、バイデン選対のPACに25万ドルを寄付している。

このことを嫌ってのことか、どうかは不明だがイーロン・マスクは2018年に「オープンAI社」から引き上げ、替わって2019年にはマイクロソフトが10億ドルを出資した。 

マイクロソフトは、2023年に出資額を100億ドルに増やした。これで勢いがついた。現在の利用者はかるく1億人を超えた。

厳しい規制が必要とする意見がメディアやアカデミズムに拡がり、要するに学問の探究や真理の発見、科学のコペルニクス的な発展に寄与する可能性より「知ったかぶり」の偽知識人の卵や論文の盗作が横行するのではないか、という懸念が世界的に拡がった。

なにしろ学生の論文を読むとウィキペデアのコピペが圧倒的だと嘆く大學教授たちの声が聞かれる。東大の或る教授は「知ったかぶりを増やすだけだ」と断言しているほどである。しかもウィキペデアの中味には左翼偏向が顕著だ。

アルトマンと会見後、岸田首相はリスクの存在をつたえたとし、松野官房長官は「公務員の仕事の軽減に役立つかどうか、検討課題だ」とした。

反対の狼煙を上げたのはNY市教育局で「安易な使われ方が予測される」として禁止した。ハーバード大學のチームは実際に相当数の試験問題を入力して、生成AIでテストしたところ、60%が合格点となり、プラス・マイナスの両面があるとした。


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