2019.4.4
明治天皇は「五箇条の御誓文」で、新政府の基本方針を示した(東大史料編纂所古写真データベースから)
新元号「令和」の出典について早速、『万葉集』の漢文が依拠したのは中国・後漢時代の政治家、張衡の詩「帰田賦」(『文選』巻15)であるとの指摘がなされている。「仲春令月、時和し気清らかなり」という部分があるという。
大伴旅人(おおとものたびと)とも、山上憶良(やまのうえのおくら)とも . . . 本文を読む
2019.4.3
会見する安倍晋三首相=1日、首相官邸(古厩正樹撮影)
5月1日から使用される新元号が「令和(れいわ)」に決まった。元号は漢籍を出典とするのが常だったが、今回は初めて国書を出典とした。『万葉集』巻五の「梅花の歌三十二首」の序文として書かれた漢文だ。日本の漢文の文化も層が厚く、そこからの採用は妥当だろう。
出典は《初春(しょしゅん)の令月(れいげつ)にして、気淑(よ)く、風 . . . 本文を読む
2019.4.2
新元号を発表する菅義偉官房長官=1日午前、首相官邸(川口良介撮影)
4月1日午前、新元号が「令和(れいわ)」に決まった。今月30日の天皇陛下のご譲位、翌5月1日の皇太子さまの新天皇ご即位に伴うものだ。
元号法では、「皇位の継承があった場合に限り改める」と規定されている。前の天皇がご存命中の改元は異例だが、それだけに国民は明るいムードで新元号の決定を心待ちにしていた。
新 . . . 本文を読む
2019.3.31
「スタンプラリーではないのですが…」
春たけなわ。観光客でにぎわう社寺で、そんな声を聞いた。いわゆる御朱印ブームで、ありがたさ半分、とまどい半分なのだという。
近年、神社仏閣で見かけるあの行列だ。美しい蛇腹式の帳面を持ち、数百円を払って押印をしてもらう。日付のほか、祭神や本尊名も墨書されることが多いから、参拝記念にと集める人が増えている。
ところが、お参りもせず、御朱印 . . . 本文を読む
2019.01.10 (木)
12月23日の今日、平成の時代最後の天皇陛下のお誕生日を祝って、わが家でも朝早くから国旗を掲揚した。いつ見ても日章旗は清々しく美しい。白地に赤い日の丸。無駄がなく、これ以上ないほどすっきりした構図である。
この日、皇居は3度にわたって日の丸の小旗の波で埋まった。誰しもが天皇ご一家のお出ましに感動し、平成の30年をしみじみと振りかえったことだろう。
各紙朝刊で陛下 . . . 本文を読む
2018.12.08 (土)
11月27日、都内で「天皇陛下御即位三十年奉祝委員会の設立総会」が開かれた。政府を代表して菅義偉官房長官が「憲政史上初の、天皇陛下のご退位と皇太子殿下のご即位」に向けて、万全の準備を整えると語り、政財界、言論界からも藤原正彦氏らが、御代替わりについての思いを語った。
江戸時代の光格天皇以降、譲位による御代替わりは今上陛下が初めてだ。今上陛下は30年間、国民と触れ合 . . . 本文を読む
1.一国の首相が揶揄(やゆ)された
昭和47(1972)年9月、首相就任間もない田中角栄は訪中し、一挙に日中国交樹立を目指した。周恩来首相から「台湾との断交について、発表の時期を明示せよ」と迫られた田中は、「とくかく私を信用してまかしてほしい」と粘った。
周恩来は「ならば君を信じよう」と言い、「言必信行必果」(言必ず信、行必ず果)と書いた色紙を田中に贈った。帰国後、マスコミは「これこそ日中友好 . . . 本文を読む
アメリカ、ヨーロッパにおいて、かつて日本文化への関心がこれほど高まったことはない。
私は昭和40(1965)年に、東京放送(TBS)が出資して、『エンサイクロペディア・ブリタニカ』(大英百科事典)の最初の外国語版の『ブリタニカ国際大百科事典』(全21巻)を編集して出版した時に、初代の編集長をつとめた。
編集の最盛期には、翻訳、縮訳と、新しい項目をつくるために、200人以上が携わった。当時、もと . . . 本文を読む
2018.09.29 (土)
友人の伊藤穰一氏が慶應義塾大学から博士号を授与され、お祝いの会があった。氏の研究テーマを説明することは私の能力に余るが、お祝いの席での会話は刺激的で、私の頭の錆を少しずつ剥がしてくれた。
伊藤氏を友人達は皆、親しみをこめて「ジョイ」(Joi)と呼ぶ。彼はマサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボにおける初めての日本人所長だ。MITは88人ものノーベル賞受賞者を . . . 本文を読む
2018.09.27
友人の伊藤穰一氏が慶應義塾大学から博士号を授与され、お祝いの会があった。氏の研究テーマを説明することは私の能力に余るが、お祝いの席での会話は刺激的で、私の頭の錆を少しずつ剥がしてくれた。
伊藤氏を友人達は皆、親しみをこめて「ジョイ」(Joi)と呼ぶ。彼はマサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボにおける初めての日本人所長だ。MITは88人ものノーベル賞受賞者を輩出して . . . 本文を読む
■1.「良き日本人」度のテスト
「国際人」ではなく「国際派日本人」を目指そう、というのが、弊誌の20年来の主張だが、過去40年間で11年を欧米で過ごし、業務、学会、観光などで5大陸、32カ国を訪問した現在、その確信はますます強まるばかりだ。
「国際人」とは、文字通り「国と国との際(きわ)にいる人」とすれば、そういう人は難民でしかない。人は誰しも母国を持っており、母国への愛情がその人の根っことな . . . 本文を読む
4月24日に、カナダ最大の都市トロントで、男がバンを運転して、歩行者を次々とはね、多くの死傷者が発生する事件が起った。まだ、犯人の動機が判明していないが、イスラム国(IS)がかかわるテロ事件ではないか、疑われている。
ヨーロッパも、イスラム過激派のテロに戦(おのの)いている。中東では、シリア、イエメン、リビアをはじめとする諸国で、イスラムの2大宗派のスンニー派と、シーア派による凄惨な抗争に、出口 . . . 本文を読む
3月は、国会が「森友問題」で忙殺された。
そこに、5月に米朝首脳会談が行われるというニュースが飛び込み、北朝鮮の金正恩委員長が北京を電撃訪問して、世界を驚かせた。
そのためだろうか、来春、天皇陛下が退位され、御代替りにともなう重要な一連の式典や、祭祀が行われるが、国民が十分な関心を向けていないと思う。
今上天皇は退位されるのか、譲位されるのか
今上陛下が「天皇退位等に関する皇室典範特例法」 . . . 本文を読む
1月30日、今年初めての研究会を開催致します。
黄文雄氏にはこれまで「日本統治36年がなければ今の韓国はなかった」、「日中友好のまぼろし」、「戦後日本人は何を失ってしまったのか」、「世界から見た中国、中国から見た世界」、「満州国とはいったい何であったのか」、「恐るべき中国の対日工作」、「中国近現代史 蒋介石の虚像と実像」、「日本人はなぜ中国人と韓国人とこれほどまで違うのか」、「今後の台湾の政局を . . . 本文を読む
「日本は中国経由で仏教を輸入したが同時に儒学も入ってきたが、仏教を日本化して「脱中華」の基礎として儒学に深い関心を抱かなかった」
石平氏はまるで日本語を喋れないままに日本に留学してきた。神戸のレストランでアルバイトをしながら、ときに書店へ行くと、孔孟から韓非子、朱子学と漢著の翻訳が本棚に並んでいたのを見て驚いた。
考えてみれば、日本の読書人はおそらく世界一パースペクティブが広い。マルクス・レー . . . 本文を読む