おりからロシア v ウクライナ戦争の原稿を評者(宮崎)は書いていた。キリスト教が分裂し、東ローマ帝国が崩壊した後、ヴィザンツの東方正教会の教えはポスポラス海峡を越えて、アナトリア半島から北東へ向かい、アルメニア、グルジア、ウクライナからロシアへ達した。
他方、ポーランドはカソリックであり、その昔、ポーランド領だったウクライナの西側はカソリックが強い。憎しみがうずまくウクライナのカソリックvs東部 . . . 本文を読む
著者は宗教思想家として知られ、サブカルにも詳しい学者だ。
氏の縁戚にあたる鎌田純一氏は『先代旧事本記』の研究家だったという。血筋は争えないものなのか、著者の鎌田東二(京都大学名誉教授)は世界の神話比較を通じて、日本の神話との類似、その発想の根源にある人間の営み、夢の具象化、英知の凝固を読む込んでいく。
従来の古事記、日本書紀研究は主として文献学、語句の意味、神々の体系化、当時の編者たちの政治的 . . . 本文を読む
■1.米国初代領事ハリスのみた農民の暮らし
渡辺京二氏の名著『逝きし世の面影』を読むと、幕末から明治初年のかけて来日した欧米人たちが、我々の先人たちの暮らしを見て驚いている様に、我々がかえって驚かされてしまいます。たとえば幕末、米国の初代駐日領事として伊豆下田に領事館を構えたタウンゼント・ハリスは、その地の住民が貧しく、生活するだけで精一杯だと述べた後、こう記しています。
それでも人々は楽しく . . . 本文を読む
5/28(土)
FNNプライムオンライン
いよいよ6月10日から、日本では外国人観光客の受け入れが再開されます。そんな中、世界経済フォーラムが発表した「観光魅力度ランキング」で、日本は1位を獲得しました。一体何が、どう評価されたのでしょうか。
外国人観光客を受け入れ再開に弾み?
新型コロナウイルスにより深刻な打撃を受けた観 . . . 本文を読む
山ノ神遺跡(奈良県桜井市)■1.東京から地方に10万人近くが脱出
コロナ禍でリモートワークが普及しつつあり、週に2、3回の通勤なら、オフィスから遠くとも、自然の豊かなところに転居しようという人が増えているようです。
昨・令和3年には31道県で人口の流入がありました。人口比率で最も流入の多かった茨城県は0.33%と、一昨年の-0.15%の流出から流入に反転しました。以下、山梨県、島根県、福井県と . . . 本文を読む
「巧言令色少なきかな仁」。
漢文古典で最初にならう格言である。儒学がもっとも大事とするのは『仁』であり、博愛の意味に通じる。『論語』ほか孔子の教えに[仁]は105回でてくる最高の徳目である(ちなみに[礼]は73回)。
仁政は政治理念でもあり、徳川家康は『貞観政要』を座右の銘に、儒学者の藤原惺窩、林羅山を、崇伝、天海とならべて幕府ブレーンとした。儒家と仏教の高僧が政権の左右に並んだのは奇形である . . . 本文を読む
領事館前でビザを求めるユダヤ避難民たち(杉原千畝記念館)■1.ナチス・ドイツとソ連のポーランド分割
以前、どこかで見たようなことがある、という感覚を「既視感」といいますが、今回のロシアのウクライナ侵略にも既視感を感じました。それは1939年9月17日に、ソ連がポーランドに侵攻を始めたことです。
一つ違う点は、この時はソ連単独ではなく、ナチスドイツとの協同謀議でした。ドイツ軍が9月1日にポーラン . . . 本文を読む
支倉常長遣欧使節団はフィリピンからメキシコへわたり、船を乗り換えてキューバ経由でスペインへ渡った。1613年に出航、1620年に帰国したときは切支丹伴天連が禁止されており、いかに伊達政宗と?川家康との間に密約があったとはいえ、すでに家康もこの世の人ではなかった。支倉は失意のなかに没した。
当時、日本使節を迎えて、ヨーロッパ人が受けた衝撃が、絵画としてクイリナーレ宮殿(ローマ)に残る。
この絵は . . . 本文を読む
■1.「日本の未来を少しでも明るくできるよう」「一人でも多くの方が幸せに生きられるよう」
新年早々、1月9日に東京駅前の八重洲ブックセンターにて、国史啓蒙家ねずさん、こと小名木善行さんとのトークショーを行いました。ねずさんの明るい、ユーモアたっぷりのお話に引きづられて、私も楽しくお話できました。いずれ動画が公開されたら、読者の皆さんにお知らせしますが、出席者の皆さんのご感想を、ここで、お二人だけ . . . 本文を読む
川村先生創立の大志万学園、サンパウロ、同校HPより■1.「日本の心を伝えるのは日本語より他には有り得ません」
ブラジルの日系二世・村崎道徳さんのお母様は、「日本にも月があるか」と聞かれるほどの「文化の違いの中にあなた達を投げ込むのが本当に悲しい」と思い、村崎さん兄妹に「全情熱を傾けて日本人に育てるぞと覚悟を決め」ました。そして近くの日本人の子供たち二十人くらいを呼び集め、家の一部屋を開放して学校 . . . 本文を読む
■1.ブラジル日系移民は「国際派日本人」のお手本
「日本移民は日本国がブラジル国に与えた最大の『プレゼント』です」とは、上皇上皇后両陛下がかつてブラジルを訪問された時に、当時のサンパウロ州知事、故マリオ・コーバス氏が、歓迎の挨拶で述べられた言葉だそうです。
弊誌は今まで何度もブラジル日系移民が豊かな「日本のこころ」をもって、ブラジル国に多大な貢献をなしている様をご紹介してきました。日本の文化伝 . . . 本文を読む
この本を読み終えて、評者(宮崎)が最初に連想したのは、韓国版『諸君!』といわれた保守系の月刊誌を主宰していたイドヒュン氏の「日本体験」談だった。イドヒュンは日本特派員もされた経験があり、日本語は流暢だった。先年、亡くなったが韓国の保守論壇で影響力の強い論客でもあった。
或る年、ソウルで氏が主催する「日韓シンポジウム」に高坂正堯氏と評者がパネリストで招かれた。日本特派員時代の話のなかで強烈な記憶は . . . 本文を読む
■1.縄文人の巨大建築技術
青森空港を目指して下降する飛行機の機窓からは、どこまでも続く豊かな緑の山並みに目を奪われました。その時「そうか、青森とは、緑の森という意味なんだ」と今更ながら、気づきました。「緑」とは比較的新しい言葉で、古代の日本人は緑も「青」と呼んでいました。ですから、青山は緑の山、青田は緑の田、青木は緑の木、それらと同様、青森は緑の森なのです。
この緑の森で、かつて縄文人たちは . . . 本文を読む
■1.3兆個の細胞が役割分担をして赤ちゃんを形作る
遺伝子の世界を覗くと、その霊妙な働きに驚かされます。
一個の受精卵が二個に、二個が四個に、四個が八個に、八個が十六個に……と細胞が次々に分裂を繰り返し、途中からは、
「おまえは手になれ」「おまえは足になれ」「俺は脳にいく」「俺は肝臓になる」
と、それぞれ手分けして母親の体内でどんどん分裂を続けて、 十月十日で出 . . . 本文を読む
コロナ禍で日本のアキレス腱が露わになった。一等鋭角的に出来した不手際な事態を象徴するのは日本の危機管理態勢がなっていなかったことだろう。
旧内務省のように、全体を有事に即座に統括し、強大な権限をもつ部署が不在だった。
対照的に戦前の日本のシステムを応用した台湾は、もっとも被害の少ない国となった。じつは日本のお陰である。
日本に「希望」が残っているとすれば、それは何か。誰もが興味津々のテーマで . . . 本文を読む