認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

「重度認知症」(大ボケ)に特有の症状(A-21)

2012-03-30 | アルツハイマー型認知症の三段階の症状

「重度認知症」(大ボケ)は、司令塔の「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)を含む脳全体の働きが「中等度認知症」の段階よりも更に異常なレベルに衰えてきています。左脳と右脳の働きも、部分的な機能がわずかに残っている程度である上に、「前頭葉」は殆ど機能しなくなっています。「前頭葉」が寝たきりの状態になっているため、これまでの人生で何度となく体験して体に浸み込んでいるような「言葉」や「テーマ」或いは「状況」に対しては或る程度の対応ができるのですが、折々に直面する新しい状況や経験がないテーマに対しては殆ど対応できないのです。「重度認知症」(大ボケ)の脳の働きは、3歳児以下のレベルと考えて下さい。4歳児以下のレベルといっても、症状が進行するにつれて、「脳機能年齢」は急速に0歳に向かって衰えて行くことになり、同時に「症状」が重くなっていきます。

「重度認知症」(大ボケ)の段階だけに認められる「特有な症状」には、こんなものがあります。

3つ以上に○が付くときは、「重度認知症」(大ボケ)を疑うことになります。

□  着ている服を脱ぎたがらず、汚れた下着をそのまま平気で着ている

□  風呂に入ってもただ入るだけで、身体を洗わず、洗髪もしない

□  いま住んでいる自宅の方向が、たびたびわからなくなる 

□  食事やあいさつをしたことなど、直前に起きたこともすぐに忘れてしまう

□  服を正しく着られず、ズボンを頭からかぶったり上着に足を通したりする

□  便で汚れていても平気でいたり、トイレ以外の場所で用を足したりする

□ 主に夕方になると、落ち着かなくなり「家に帰る」などと訴える

□ 同居している家族との関係を、夫を自分の息子のように(子供のように)間違える

□ 昼夜の別が分からなくて、夜中に起きてきたり、外に出て行くと騒いだりする 

□  風呂に入ることをとても嫌がり、胸までつからない 

□  同居している家族の名前も顔もわからない(家族かどうかも分からない)

□  着衣、食事、排泄、入浴など、家庭生活面での全面的な介助が必要

  痛んで腐りかけたものや熱すぎるものを平気で食べ、食べ物でない物も口にする

  何を言っているのかが分からない、独り言や同じ言葉の繰り返しが目立つ

  せん妄、妄想、徘徊、便コネ等の「問題行動」が出てくる人がいる

1)せん妄、妄想、徘徊、便コネ等の「問題行動」は、大ボケの誰にでも出てくる症状ではありません。前頭葉は寝たきり状態でほとんど働かず、左脳も極めて不十分な働きしかしなくなっているレベルで、右脳の感情の機能だけは未だそれなりに働くので、介護や介助してくれる人との「人間関係」や「対応の仕方」に不満や不安を感じていると、こうした「問題行動」を症状として出すことが多いのです。

 注2)大ボケレベルでも、その前期のころは、日常生活の自立度自体は低くても、 言語能力はそれなりに保たれていることが多いので、身体にしみこんだ日常の挨拶程度の簡単な内容のやり取りは可能です。但し、前頭葉の状況判断や理解の機能がほとんど働かなくなってきているので、状況に即した的確な応答はもはや困難です。身体に染み付いたような状況やテーマでの、言葉の単なるやり取り程度のものでしか対応は出来ていないのです。

 注3)これらは、認知症の重症度別の症状であって、アルツハイマー型認知症であるかどうかの判定は、「脳機能の衰え方のパターン」を基礎とした「二段階方式」による別のチェックが必要です。

注)本著作物(このブログA-21に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

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「重度認知症」(大ボケ)と脳の働き具合(A-20)

2012-03-28 | アルツハイマー型認知症の三段階の症状

中等度認知症(中ボケ)の段階になっても手をこまねいていて、相変わらずナイナイ尽くしの「単調な毎日」を送っていると、脳全体の廃用性の機能低下が更に加速度的に進んでいきます。「アルツハイマー型認知症」の末期の段階である「重度認知症」(大ボケ)は、「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)を含む脳全体の働きが「中等度認知症」の段階よりも更に異常なレベルに衰えてきています。左脳と右脳の働きも、幼稚なレベルの機能が残っている程度である上に、脳の司令塔の「前頭葉」は殆ど機能しなくなっています。そのため、意識の認知度を左右する「意欲」、「注意集中力」と「注意分配力」がほとんど働いていない状態なのです。「重度認知症」(大ボケ)の脳の働きは、3歳児以下のレベルと考えて下さい。前頭葉、左脳、右脳の機能の衰えが進行していく中で、MMSの得点が一桁の点数になってくるあたりから、運動の脳も異常なレベルに衰えてきて、重度認知症の症状が更に進行していくのです。 

脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」がほとんど寝たきりの状態になっているため、これまでの人生で何度となく体験して体に浸み込んでいるような「言葉」や「テーマ」或いは「状況」に対しては或る程度の対応ができるのですが、折々に直面する新しい状況や体に浸みこむほどの経験がないテーマに対しては、理解することも対応することもできないのです。精神科医が「アルツハイマー型認知症」であると診断する第一の要件である「重度の記憶障害」の症状は、「認知」それ自体と「記銘」、「保持」及び「想起」の機能が極めて不十分にしか働かない為に起きてくるものなのです。脳の司令塔の「前頭葉」は、殆ど働かなくなっている上に、左脳や右脳や運動の脳も極めて不十分にしか働かない「大ボケ」は、自分の身の回りのことをする「セルフ・ケア」にも支障が出てきます。食事をしたり、服を着たり脱いだり、お風呂に入ったり、トイレの後始末をしたりといった、身の回りのことも自分でできなくなり、日常生活に「介助」が要るようになります。

   

そもそも、記憶は、「記銘」して、「保持」して、「想起」してくるという経路をたどるのです。「中等度認知症」(中ボケ)の段階になると、昔のこと(認知症の重い症状が出ている人とは、とても思えない程の)かなりなレベルで、はっきりと思い出すことが出来ます。その一方で、最近の新しいことについての記憶が困難になるのです。その理由は、「意欲」、「注意集中力」と「注意分配力」の機能が不十分にしか働かなくなっているため、「記銘」するときの記銘度が低いことが第一の原因なのです。昔の記憶は、年が若くて「記銘度」が高かったころの記憶なので(記銘度が高いと、長期に保存されるので)、今でも思い出す(想起する)ことが出来るのです。

(コーヒー・ブレイク) 次のグラフは、加齢とともに機能が衰えていく、「前頭葉」の3本柱の「衰えていき方のカーブ」です(縦軸が機能レベルで、横軸が年齢です)。

アラサーとかアラフォーとかの世代でも、「物忘れ」が起きてきます。物忘れが気になる程度に起きている年齢の人は、(N-07)で提案している「速足の散歩」を日課にすることをお勧めします。お友達と一緒に、おしゃべりを楽しみながら、「速足の散歩」を数カ月継続すると、散歩の効果が出てきて「物忘れ」の回数がはっきりと減ってきます。そのメカニズムは、おしゃべりを楽しみながら「速足の散歩」をすることにより、「前頭葉」の3本柱であり、加齢によって次第に衰え始めていた「意欲」、「注意の集中力」と「注意の分配力」の機能が、頻繁に且つしっかりと使われることで、機能回復してくるからなのです。

(再度、コーヒー・ブレイク) この「重度認知症」のレベルになって初めて、精神科医は「アルツハイマー型認知症」と診断しているのです。それでいて、「アルツハイマー型認知症」になっても(ここでは、「重度認知症」のレベルのこと)、「人格は保たれている」などと言うのです。「前頭葉」は、脳全体の司令塔であり、状況を判断し、何をどうするかのテーマを企画し、いろいろな視点からシミュレーションした上で、最終的な行動や言動や態度を選択し、左脳、右脳、運動の脳に必要な指示を出して、それを実行させているのです。

最終的な意思決定としての「選択」を行うには、「評価の物差し」が必要不可欠となります。その評価の物差しは、「前頭葉」の重要な機能の一つなのです。「重度認知症」のレベルにまで脳全体の機能が衰えてきている人に、正常なレベルで機能する「評価の物差し」は存在しません。重度認知症のレベルの人の「前頭葉」の働き具合を調べてみれば、すぐに私たちの言う意味が理解できるはずです。

専門家が「人格が保たれている」と言っているのは、「側頭葉性健忘」のケースを重度認知症(大ボケ)レベルの「アルツハイマー型認知症」混同しているのです。「重度認知症」のレベルになった「アルツハイマー型認知症」は、重度の記憶障害の症状だけでなく、「前頭葉」が殆ど働かなくなっているのがもうひとつの特徴です。他方、「側頭葉性健忘」は重度の記憶障害の症状を示しますが、「前頭葉」の働き具合は「正常なレベル」にあるのが特徴なのです。

「新しい記憶」がまったく入っていかないという「重度の記憶障害」を抱えていても「前頭葉」が正常レベルで働いているので、表情が豊かで、状況の判断も的確に出来て、日常頻発する「物忘れの状況」に対する切実な問題としての理解と認識があるのです。重度認知症のレベルの「アルツハイマー型認知症」と「側頭葉性健忘」とは、重度の記憶障害の症状を示す点では共通していますが、前頭葉の働き具合(働きのレベル)が全く異なるのです。両者は、「前頭葉」の働き具合を調べてみれば、直ぐに区別が出来るのです。

権威あるテレビ局の番組でも、「働き盛りの50代で認知症を発病する人が増えてきている」と言うテーマで放送を組んだことがありますが、それも同じ過ちを犯していて、「側頭葉性健忘」のケースを「重度認知症」のレベルの「アルツハイマー型認知症」と混同しているものでした。「側頭葉性健忘」も、その確認がなされないままでいると、原因が分からないまま日常生活上さまざまな支障や出来事が起きてくるために(周囲からは、認知症と間違われて)自信をなくしていき、やがて、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続していく中で、60歳を超えてくると、「アルツハイマー型認知症」を併発してくることが多いのです。

 注)本著作物(このブログA-20に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

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「中等度認知症」(中ボケ)に特有の症状(A-19)

2012-03-26 | アルツハイマー型認知症の三段階の症状

「中等度認知症」は、脳の司令塔である「前頭葉」の働きが「軽度認知症」のときより更に異常なレベルに加速度的に衰えてきている上に、「軽度認知症」のときは未だ正常だった「左脳」と「右脳」の働きも異常なレベルに衰えてきていて、「脳全体の働き具合」が異常なレベルになっています。

脳全体の衰えが「軽度認知症」の時に比べて加速度的に速まるので、「症状」の出方の程度や幅も広く深くなります。中ボケは、小ボケ(MMSの換算値は、24点以上)と大ボケ(MMSの換算値は、14点以下)の中間にあり、むしろ中ボケの前期と後期とに区分」した方が「症状」も判定し易いのです。MMSの換算値が20点以上であれば、「集団の中での脳リハビリ」でも効果があるのに対し、20点を切ると手間暇コストの負担が相当に必要な「個別の脳リハビリ」でないと効果が期待できなくなります。20点以上と19点以下との間のたった1点の差なのに、回復の可能性という視点からは、ここに深い溝があるのです。「中等度認知症」(中ボケ)の脳の働きは、4~6歳児のレベルと考えて下さい。

「中度認知症」(中ボケ)の段階だけに認められる「特有な症状」には、こんなものがあります。

4つ以上に○が付くときは、中等度認知症(中ボケ)を疑うことになります。

□ 日付けが分からなくなり、何度教えても今日が何日なのか、何年なのか、何月       

   なのかが言えない

□  電気の消し忘れ、ガスの消し忘れ、水道の蛇口の閉め忘れなどが目立つ

 行き先が違う便に乗る、行き道を間違える、慣れている所に行くのにも間違う

    などといった「間違い」が、しばしば起きる 

□ 身だしなみに無頓着になり、やたらと重ね着になったり、前後、裏表など着方

   がいいかげんになる 

□   洗濯物の整理、食後の片付けなど、以前はできていた家庭内の簡単な用事

    もきちんとできない

□  自分が飲まないといけない2~3種類の服薬管理ができないので、家族が注

    意する必要がある    

□ パジャマや寝巻きを着たまま、平気で表に出て行くようになる

□ 「塩辛すぎる」など料理の味付けがおかしくなり、周りが食べられない程なの

    に、本人は平気 でそれを食べる

□  お金や持ち物のしまい場所をすっかり忘れてしまい、一日中探して騒ぐ

□  財布や通帳を自分がどこかに置き忘れ、盗まれたといって騒ぐ

□  季節違いの服装をしたり、特別な目的であってもそれに合った服が選べない

□  便器の周りが汚れても、流していないなど、トイレの後始末ができていない

□  他人のものでも平気で持って帰ってくるようになる

□  昨日の出来事でもすっかり忘れて、買い物や食事に行ったことも覚えていない

注1) アルツハイマー型認知症の場合、「時の見当識」は、「日」、「年」、「月」、「季節」、「昼夜」の順に衰えていきます。

中ボケの前期の段階(MMSの換算値が23点~20点)で「日」と「年」が分からなくなります。中ボケの後期の段階(MMSの換算値が19点~15点)になると「月」も分からなくなります。

大ボケの前期の段階(MMSの換算値が14点~11点)で「季節」も分からなくなり、後期の段階(MMSの換算値が10点以下)になると「昼夜」さえも分からなくなります。

注2) 上記の症状は、認知症の中ボケの症状であって、アルツハイマー型認知症であるかどうかの判定は、「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。)の機能レベルの判定及び「脳機能の衰え方のパターン」の判定を基礎とした、「二段階方式」による別のチェックが必要です。

次回は、「重度認知症」に特有に見られる症状について整理したものを報告します。確定的な診断の基準にはなりませんが、一応の目安としては利用できるはずです。

 注)本著作物(このブログA-19に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。     

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「中等度認知症」(中ボケ)と脳の働き具合(A-18)

2012-03-25 | アルツハイマー型認知症の三段階の症状

「アルツハイマー型認知症」は、発病後の症状の進行が緩やかで、何年もかけて徐々にしか進んでいかないのが特徴です。発病後1~2年で寝たきり状態になる「狭義のアルツハイマー病」とは、発病原因だけでなく症状の進行度合いも全く異なるのです。

「脳の機能レベル」のアウトプットが「症状」なので、同時に脳の働き具合もリンクさせて調べると、症状は3つのグループ、「3段階」に区分されるのです。「軽度認知症」(小ボケ)と「重度認知症」(大ボケ)の中間が「中等度認知症」(中ボケ)です。例えば「脳血管性認知症」の症状の発現とは異なり、「アルツハイマー型認知症」は、いきなり「中ボケ」とか「大ボケ」の段階の症状が発現してくることは絶対に無いのです。「小ボケ」、「中ボケ」、そして「大ボケ」へと、必ずその順番に症状が進行していくのが特徴なのです。「アルツハイマー型認知症」を発病して(小ボケの段階)、相変わらずナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続していると、脳全体の廃用性の機能低下が更に進んでいき、「中等度認知症」(中ボケ)のレベルに入っていきます。然もその症状の進行具合は、極めて緩やかにしか進行していかないのが特徴なのです(ここを「クリック」してください)。

「中等度認知症」は、脳の司令塔である「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)の働きが「軽度認知症」のときより更に異常なレベルに加速度的に衰えてきている上に、「軽度認知症」のときは未だ正常だった「左脳」と「右脳」の働きも異常なレベルに衰えてきていて、脳全体の働き具合が異常なレベルになっています。「中等度認知症」(中ボケ)の脳の働きは、4~6歳児のレベルと考えて下さい。

意識の認知度を左右する意欲、注意集中力と注意分配力が「軽度認知症」のレベルよりも更に不十分にしか働かなくなります。その結果、認知それ自体とその記銘、保持及び想起の機能の発揮が更に不十分なものとなります。左脳がらみの論理的思考や計算、或いは言葉に対する理解や判断力、更には右脳がらみの色や形や時間や空間などに対する認知能力にも支障が出てきています。状況の判断、物ごとの理解や見通し等の判断が「幼稚園児」の程度となる結果、「家庭生活」にトラブルが起きてくるようになります。「家庭生活面」で支障が出てくるとは言え、食事、大小便、入浴など身の回りのこと(セルフケア)は自分で一応できるので、家族に迷惑をかけることはあまりないのです。

   

「中ボケ」になると、食器の片付けや、洗濯物の取り込み、庭の草むしりといった、家庭内の簡単な用事程度のこともちゃんとできなくなります。「4~6歳の幼児」がやる程度にしかできないのです。せっかく洗ってくれたお茶碗はもう一度洗いなおさないといけないし、庭の草取りをしてもらうと花の苗まで抜いてしまいます。この程度にまで脳の機能が衰えてきていても、「重度の記憶障害」の症状が出てきていないと、家族が病院に連れて行っても、認知症とは診断されないのです。

 「中ボケ」のイメージは、家庭内の簡単な用事程度のこともちゃんとできないのに、口だけは一人前、「言い訳の上手い幼稚園児」が特徴です。

前頭葉の機能が異常なレベルに衰えてきているとはいえ、「小ボケ」には、自覚があります。「意欲もわかないし、根気が続かないし、てきぱき出来ないし、発想も湧かないし、物事に感動することもないし・・・」と感じていて、「以前の自分と比較して、自分のどこかがおかしい」という自覚を明確に持っていて、自分の状態に「不安」を感じているのです。ところが「中ボケ」の段階になると、そうした自覚を持つこと自体が出来なくなります。自分の状態に対する自覚がないので、不安も全く感じていないのです。逆に、家族が「こんなところが、おかしいと」指摘しても、「そんなことはない。私は、ボケてなんかいない」と言い張り、自分のおかしな行動についての、一端の言い訳(ヘリクツの類)ばかりを並べ立てるのが特徴です。

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「軽度認知症」(小ボケ)に特有の症状(Aー17)

2012-03-24 | アルツハイマー型認知症の三段階の症状

「軽度認知症」(「小ボケ」)の段階の症状は、「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)の働きだけが異常なレベルに衰えている(左脳と右脳と運動の脳は正常レベル)ので、「前頭葉」の機能障害の症状と同じなのです。「認知度」と直結していて、認知に不可欠の「意欲」、「注意集中力」及び「注意の分配力」が状況に相応して必要なレベルで働かない、的確に働かないゆえの症状を示します。認知症は、「生活の自立度」がどうであるかを問題にする性質のものなので(社会生活や家庭生活やセルフケアにどのような支障があるかを問題とする)、原因である脳の機能は前頭葉だけが異常なレベルであっても、そのアウトプットである「症状」には、コントロールタワーの前頭葉の機能レベルが直接反映されるので、正常なものではなくなります。この点が、認知症の定義にも反映されるべきだと思います。DSMーⅣの定義を含めて、「アルツハイマー型認知症」を診断する精神科医も治療薬を開発している研究者も、「前頭葉」の機能の仕方及びその衰え方に対する理解が浅いのではないかと思います。

「軽度認知症」の段階だけに認められる「特有な症状」には、こんなものがあります。

4つ以上に○が付くときは、軽度認知症(小ボケ)を疑うことになります。

□  複数のことに注意を分配できなくて、3つの用事を同時に並行してさばけない

□  何かに感動することがなくなり、顔つきが無表情で目の光がどんよりしている

□  発想する力が乏しくなり、何事にも画一的な行動が目立つようになる

□  料理の献立が単調になり、同じ食材ばかりを買ってくる

□  することを何も思いつかない様子で、一日や一週間の生活面の計画を自分で

  立てようとはしない、

□  根気が続かなくなり、中途半端なことを繰り返すようになり、やりかけの状態   が目立つ

□  歩行や手の動きなどの動作がもたもたして、足腰が悪くはないのに、階段を

   ゆっくりとしか下りられない

□  ぼんやりしていることが多くなり、自分からは何もしようとしないが、指示される

  とできる「指示待ち人」になる

□  歩くときは前屈みになり、小股でトボトボ歩き、反応が遅く動作がもたもたする

□  自分に自信がなくなってきて、何かにつけて人を頼ろうとする

□ 朝は遅くまで起きてこないのに、やたらと昼間に居眠りする

□  本人はそのことに気づかないで、同じ内容を繰り返し話したり尋ねたりする

□  思い込みや思い違いをすることが多くなり、一旦言い出したら、間違いを指摘

  されても訂正や変更ができない

□ 自分が言いたいことだけを一方的に言い、相手の話を聞こうとはしない

□ 簡単な計算ができなくなり、お札ばかりで買い物をするために、やたらと小銭が  たま る

注1)    小ボケの脳の機能レベルのアウトプットが、小ボケの症状なのです。情報を連絡する神経線    維に器質的な変化が起きて、支障が出てきている訳ではないのです。

注2)  上記は、認知症の小ボケの症状です。アルツハイマー型認知症であるかどうかの判定は、「前    頭葉」の機能レベルの判定及び「脳機能の衰え方 のパターン」を基礎とした「二段階方式」によ    る別のチェックが必要です。

   来週は、「中等度認知症」と「重度認知症」に特有に見られる症状について整理したものを報告し   ます。確定的な診断の基準にはなりませんが、一応の目安としては利用できるはずです。

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「軽度認知症」(小ボケ)と脳の働き具合(A-16)

2012-03-23 | アルツハイマー型認知症の三段階の症状

「アルツハイマー型認知症」は、日常生活を送る中で出番が極端に少ないため(使われる機会が少なすぎる)「廃用性の機能の低下」が起きてくることが原因の病気であって、老人斑の生成とか神経原線維変化等の器質の変化が起きてくることが原因の病気ではないのです。私たちは、老人斑の生成とか神経原線維変化等の器質の変化は、「廃用性の機能の退化」の進行の副産物(「結果」)だと考えています(N-05を読み返してみてください)。

認知症の初期の段階である「軽度認知症」(小ボケ)は、左脳と右脳と運動の脳は正常レベルなのですが、脳全体の司令塔である「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)の働きだけが異常なレベルに衰えてきているのです。

 そのため、前頭葉の機能の中で最も基礎的で且つ重要な働きであり、意識の構成要素に対する認知度」を左右している「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」が的確、且つ十分に働かなくなっているのです。その結果、行為の目的であるテーマ自体とテーマの中身を構築している構成要素に対する認知機能が正常なレベルで働いていないのです。更には、認知している各構成要素の内容について、「記銘」、「保持」及び「想起」の機能の発揮も不十分なものとなっているのです。簡単に言うと、日常の「社会生活」面で発生してくる種々のテーマを実行するのに必要となるレベルでの認知機能が十分機能していないのです。こうした条件下で行われるため、状況の判断、実行テーマの計画と内容の工夫、機転や見通し及び決断等が的確にできなくなるのです。 こうした事態は、「空気ポンプ」に例をとって説明すれば、空気をチューブに送る役割のゴム管部分に支障があるからではなくて、そもそもチューブに空気を送り込む働きをするポンプの部分の機能がちゃんと働いていないせいなのです(N-15を読み返してください)。

  10棟30人ほどが暮らしている、或る「仮設住宅」地を訪問してみたとしましょう。役場の人がやってきて、「1人当り3000円の給付金を渡すので、みんなが元気になるような催し物をやってください。内容は、自由です」と言う話なのです。リーダー格3人を選んで、催し物の企画を練ってもらうのです。3人の共同企画ではなくて、それぞれが企画した案を出してもらうのです。3人が出してきた案は、「3人3様」で、それぞれの「人柄の特徴」(その人独自の評価基準の表れ)があふれ出ている内容でした。

 役場が費用を負担してくれるかどうかは置いといて、似たような経験を皆さんお持ちでしょう。「置かれている状況を判断して、何をどのようにするかを企画し、あれこれの視点からシミュレーションしたうえで、最終的な内容を選択し実行する」それが「前頭葉」の機能だと言いました。それは、前頭葉に内在する「評価の基準」の機能が確立されていてきちんと働いているおかげでもあるのです。こうした意思決定のいろいろな過程で必要となる「前頭葉」の機能の働き方が揺らいできている段階が、「軽度認知症」(小ボケ)のレベルなのです。余談になりますが、「自我の確立」という見方があります。私たちは、そのことを脳の機能と言う視点から言えば、「前頭葉の評価及び意思決定機能の確立」であると考えています。そんな働きをする前頭葉が、壊れてもいないのに異常なレベルに機能が衰えてきたとき(私たちの見解では、不十分にしか使われないことで、異常なレベルに廃用性の機能退化が進んできているとき)、薬さえ飲めば元の正常な機能レベルに回復できるなど理解できないのです。

  

「軽度認知症」(小ボケ)のレベルでは、「社会生活」にトラブルが出てくるようになるのです。

「軽度認知症」(小ボケ)のレベルになると、発想が湧いてこないし、見通しも立たないし、何をどうするのかという「テーマの構想と計画や工夫」が的確に出来なくなるのです。意欲が出てこなくなって、毎日ボンヤリと過ごし、居眠りばかりするようにもなります。その人らしい生活態度が消えていき「こんな人ではなかった」と、周りから言われるように「人柄の本質」自体が変わっていくような症状を示してきます。

「小ボケ」のイメージは、何事も人を頼るようになって、一日や一週間の計画も立てられず、指示してもらわないと動けない「指示待ち人」が特徴です。

小ボケに特有の具体的な症状は、次回に整理して報告します。

 注)本著作物(このブログA-16に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

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アルツハイマー型認知症は、治せる防げる(A-15)

2012-03-22 | アルツハイマー型認知症の三段階の症状

認知症の大多数、90%以上を占めている「アルツハイマー型認知症」は、症状が軽い段階、「軽度認知症」(小ボケ)や「中等度認知症」(中ボケ)の段階で見つければ、脳のリハビリ(脳の使い方と言う視点からの「生活習慣」を改善すること)によって回復させることが出来るのです。早期発見・早期治療が鍵の「生活習慣病」なのです。その上、「予防」することもできるのです。

アルツハイマー型認知症に対する「予防」や「回復」が、国民的なテーマとして認識され、「個人や家族単位」或いは「地域単位」で、全国レベルで「生活習慣」の改善に取り組むことになれば、破綻の危機にある介護保険の財政状況を大きく改善させることも可能になるのです。

世間一般の人たちは、どうしても「権威に弱い」と言う傾向があります。有名大学の医学部の教授とかが出てきて、テレビの番組で話すと、内容の実際のレベルはさておいて、その人が話したことを「正しいもの」と信じてしまいます。まして、認知症に関してとなると、その傾向はいっそう強まります。世間で権威があるとか、専門家であるとか言われている人たちの誰もが、「アルツハイマー型認知症は、原因不明で治らない病気」だと書物で書いているし、権威のあるテレビ局の番組に出てきてそのように語っていますが、それは間違った見解なのです。

 これまでに、このブログで何度も指摘してきたように、最初に注目すべき軽い段階の症状、脳の司令塔の「前頭葉」の働きだけが異常なレベルに衰えていて、高次機能の左脳も右脳も未だ正常なレベルにある段階で認知症の症状が発現してくる「軽度認知症」(小ボケ)に注目すべきなのに、そのことに気づいていないのです。「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)の機能が加速度的に衰えていき殆ど機能しなくなってくる段階、そして高次機能も異常なレベルに衰えてきて、いきついた最後の段階、末期の症状を示している「重度認知症」の段階になって初めて、認知症と診断しているのです。「重度の記憶障害」の症状が出ているとか、「失語」とか「失行」とか「失認」とかの末期段階に見られる「重度の症状」が出てくるようになって認知症と診断していたのでは「遅すぎる」のです。せっかく見つけても「アルツハイマー型認知症は、原因も分からないし、治らない」病気という結果になってしまうのです。

私たちのデータと根拠からすれば、「アルツハイマー型認知症」を治せる薬とは、異常なレベルに機能が衰えている前頭葉の機能を正常レベルに引き戻すことが出来る薬と言うことになります。意識的な行為の世界をコントロールしている、脳全体の司令塔の前頭葉の機能から見たとき、そのような効能を持った薬が開発できるとは考えられないのです。自転車のチューブに空気を入れる「空気ポンプ」という機器があります。アルツハイマー型認知症は、空気をチューブに運ぶ紐状のゴム管の部分(脳で言えば、情報を伝達する神経線維)に支障があるのではなくて、ポンプを押して空気を押し出してやる部分(脳で言えば、情報を発信してやる前頭葉等の機能)に支障が起きてきたこと(「廃用性の機能低下」)により、正常に働かなくなったことが原因で発病する(「認知症」の症状がでてくる)病気なのです。「廃用性の機能低下」が原因で異常なレベルに働きが衰えている訳なのだから、正常なレベルに引き戻す方法は、日常生活のいろんな場面で、前頭葉の出番が増えるようなテーマ、趣味や遊びや人づきあいや運動を楽しむこと、目標や生き甲斐がある生活を送ることしかないのです。但し、「重度認知症」の段階にまで脳の機能が衰えたら、回復させることはもう期待できないのです。

「器質的変化」が本質の病気だと誤解しているために、「アルツハイマー型認知症」に効く薬が開発できるかもしれないと研究者たちは考えてしまうのです。多数のデータの分析と根拠に基づき、私たちがこれまでに指摘しているように、「機能的変化」(廃用性の機能低下)が本質の病気だとすれば、脳を十分に使ってやりもしないナイナイ尽くしの「単調な生活」をしていて、飲むだけで効くような、そんな薬はあり得ないのです。

前頭葉は、脳全体の司令塔として、左脳や右脳や運動の脳と協働しつつもそれらを主導して意識的な世界をコントロールしています。

 左脳も右脳も未だ正常な機能レベルにあっても、コントロールタワーである「前頭葉」の働きが異常なレベルにある「軽度認知症」(小ボケ)の段階では、脳の機能レベルのアウトプットである意識的な行為や言動は、既に「認知症」のレベルの「症状」として発現しているのです。専門家と言われる人達は、早くこのことに気付いてほしいのです。認知症に移行する確率が高いとして最近取りざたされるようになった「軽度認知障害」という考え方についても、上記の視点から良く見直してほしいのです。

 

 もしも、認知症の研究を専門にしている人たちがこのブログを読む機会があったなら、脳の「重度の萎縮」が認められるとか、アミロイドベータやタウ淡白による「老人斑の生成や神経原繊維変化」などが認められ,器質的変化が認められるような重度の段階ではなくて、器質的変化は未だ認められないが、「前頭葉の廃用性の機能低下」だけが認められるようになるもっと軽度の段階に焦点を当てて欲しいのです。

 「解剖所見」から出発して「アルツハイマー型認知症」の原因を考えるのではなく、方向を転換して、生きている脳の全般的な機能低下、しかも司令塔の「前頭葉」機能の廃用性の機能低下に注目してほしいのです。その場合は、CTとかMRIとかで脳の形を調べるのではなくて、「神経心理機能テスト」でもかまわないので、脳の働き、特に「前頭葉の働き具合」を、きちんと調べてほしいと思うのです。  

  注)本著作物(このブログA-15に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。    

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認知症の重症度別の人数の実態(A-14)

2012-03-21 | アルツハイマー型認知症の予防活動

認知症は、いったん完成した脳機能が、何らかの原因で全般的に(左右両側性に)機能低下し、社会生活や家庭生活やセルフケアに支障が起きてくる病気をいうものと定義されています。もともとは、脳の機能が正常で「社会生活」を営めていた人に起きてくるものである以上、現在脳の機能が全般的に衰えてきていて、「セルフケア」もおぼつかなくなっている人であっても、過去に遡れば正常であった時期があるのです。

その人が、何らかの契機で、「アルツハイマー型認知症」を発病した後、仮に医療機関で受診していたとしても、専門家の医師は、重度の記憶障害が認知症診断の第一の要件と考えている(実は、これは米国の「DSM-4」が犯している重大な間違いなのですが)ため、重度の記憶障害の症状が出てくる段階、「重度認知症」(大ボケ)のレベルでないと、認知症とは診断しないのです。

そのため、回復可能な「軽度認知症」(小ボケ)と「中等度認知症」(中ボケ)の段階が見過ごされてしまうことになるのです。その結果、認知症を発病後に家族がどこかおかしいと感じて、せっかく病院に連れて行っても「回復」の方法と「機会」が得られなくて、放置されているのです。手をこまねいて放置された結果、症状が徐々に重症化していき、現在の重度の症状を発現しているのです。ところが、「重度認知症」の段階になると、もはや回復の見込みはなく、家族の負担が大きい介護の対象でしかないのです。これが、「介護保険」財政の悪化にも大きく影響しているのです。

蛇口を開きっぱなしにしていて、受ける桶が小さいことだけを大騒ぎしていたのでは、早晩あふれかえってしまうのは目に見えています。 あふれかえってしまう前に「対策」を打たないと、「介護保険制度」自体が破綻してしまう危険があります。早期診断による「回復」と個別及び地域単位での「予防」を国民的なテーマとする啓蒙活動の展開が必要なのです。その大前提として、専門家が「アルツハイマー型認知症」の診断基準の間違いに、早く気づくことが不可欠なのです。

         

2012年2月末現在、厚生労働省が発表している認知症患者の数は、200万人とされ、今後更に高齢化が進行する見通しの中で、認知症の患者の数も増加していくと考えられています。ところが、この200万人と言う数は、「重度認知症」(大ボケ)のレベルの人たちの数なのです。「重度認知症」(大ボケ)の直前の段階が、世間では老化現象と間違えられている「中等度認知症」(中ボケ)で、その前の段階が世間で不活発病と呼ばれて見逃されている「軽度認知症」(小ボケ)なのです。「軽度認知症」と「中等度認知症」の数の合計は、「重度認知症」の数の4倍にもなると私達が蓄積してきたデータは示しています。

注)本著作物(このブログA-14に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

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脳の働きで見つける認知症と症状の3段階(A-13)

2012-03-20 | アルツハイマー型認知症の原因

私達の意識的な行動は、脳の司令塔の「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)が左脳や右脳や運動の脳と協働しつつ、且つそれらを主導して実行されています。

何らかの原因で脳の機能が全般的に機能低下したことにより、私達が意識的に何かを実行しようとするとき、生活面に支障が出てくる病気のことを「認知症」と言います。どんな生活面で支障が出ているのかは、高度なレベルから順に「社会生活」、「家庭生活」、「セルフケア」の3つに区分されます。

どんな内容、レベルのものであれ、「社会生活」を行うのに要求される脳の機能レベルは「家庭生活」に要求される脳の機能レベルよりも高いものが要求されるし、「家庭生活」を行うのに要求される脳の機能レベルは「セルフケア」に要求される脳の機能レベルよりも高いものが要求されることについては、誰も異論はないと思います。

また、「脳の機能が低下」していることが原因で生活面に「支障」があると言うことは、支障が「症状」として認められると言うことです。

私たちは、こうした視点から、この3つの生活区分に対応した「脳の機能レベルにリンクした症状」について、データを蓄積してきたのです。蓄積されたデータを分析し、「アルツハイマー型認知症」の脳の機能の衰え方とそれに対応した症状、つまり「3段階に区分」され、且つ、それぞれに「グループ分け」された「段階的症状」をパターン化しています。

脳全体の司令塔の 前頭葉」の働きが異常なレベルに衰えてきている人達、言い換えると認知症の症状を示している人達は、脳の働き具合とそれに対応した症状のレベルから区分すると、軽いほうから軽度認知症「小ボケ」(社会生活に支障)、中等度認知症「中ボケ」(家庭生活に支障)、重度認知症「大ボケ」(セルフケアに支障)の「三つの段階」に区分されるのです。 

    

上の図は、協働しながら働く最高次機能(前頭葉)と高次機能(左脳及び右脳)の働きが、同時進行且つ加速度的に衰えていくその衰え方を「かなひろい」テストと「MMS」テストの二種類の「神経心理機能テスト」を使って調べた結果を示しています。

 社会生活が支障なくできていた脳の働きが、何かを「キッカケ」としてナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続することにより、老化が加速され、廃用性の機能の退化が進んでいくとき、「衰え方の順序がある」ことが分かってきたのです。

脳全体の司令塔の役割をしている最高次機能の「前頭葉」が先に衰えていきます。次いで、前頭葉と相互に情報のやり取りをしている高次機能の「左脳」と「右脳」が衰えていくということです。このとき、全ての脳の衰え方は、何年もかけて徐々に衰えていくとは言え、直線的ではなくて加速度的に衰えるのが特徴です。更に、専門的になるのでもっと先で報告しますが、左脳と右脳の衰え方にも「規則性がある」のが特徴です。

こうした「衰え方の規則性」は、アルツハイマー型認知症に特有のものなので、認知症の症状を発現している人が、「アルツハイマー型認知症」であるかどうかの判定・鑑別の強力な武器となるのです。

認知症にも、たくさんの種類があります。とはいえ、アルツハイマー型認知症と脳血管性認知症とで95%ほどを占めてしまうのです。回復させることも、予防することも可能な「アルツハイマー型認知症」だけで90%以上を占めるのです。

この報告の中で何度も言及してきたように、「アルツハイマー型認知症」について専門家は、原因も分からないし、治すこともできないと言っています。それは、「重度の記憶障害」を認知症診断の第一の要件と考える過ちにより、見つける段階が遅すぎる、末期段階の「重度認知症」の段階で見つけている結果であって、本来の性質からすれば、廃用症候群に属する「生活習慣病」にすぎないのです。

その根拠は、(N-05)で詳しく説明してあるので、読み返してみてください。

注)本著作物(このブログA-13に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

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「不活発病」の正体と回復方法(A-12)

2012-03-19 | アルツハイマー型認知症の原因

私たちの「脳機能データ」を基に考えると、昨年の東日本大震災を被災されたお年寄りの何割にも相当する多くの人達を対象(「第二の人生」を送っている60歳を超える年齢の「高齢者」だけが対象)にして、今後5~6年が経過すると、「アルツハイマー型認知症」に特有の、且つ極めて重い「症状」の発現が確認されるようになってしまうのです。

同居していた家族や兄弟、住居や家財や家畜、田畑や店舗や舟や車を含む財物、野山や海岸、大切な風景や想い出、職場、それらの全てを一瞬の内に呑み込み奪い去って行った未曽有の災難、東日本大震災の被災を「キッカケ」にして、何事にも意欲を喪失してしまい、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものも無い単調な毎日の連続、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」が継続していると、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」(「前頭前野」を言うものとする。以下、同じ)を含む脳全体の機能が廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させていき、その先に、「アルツハイマー型認知症」の発病が待っているのです。その最初の段階が私たちの区分で言う「小ボケ」の段階であり、次いで、「中ボケ」の段階が有り、最後に、末期の段階である「大ボケ」の段階へと症状が進んで行くのです。

被災を「キッカケ」としてナイナイ尽くしの単調な生活が始まり、キッカケから半年から1年が経過するまでの期間が発病までの期間(意欲の喪失の程度によりこの程度のタイムラグが生じる)であり、小ボケの期間が3年間、中ボケの期間が2~3年間で、最後は、末期の段階である大ボケの段階に入っていくのです。「脳のリハビリ」(「前頭葉」を含む脳全体の活性化を目的とした、脳の使い方としての「生活習慣」の改善と工夫とその実践を言う)により回復させることが比較的容易な段階が小ボケの段階であり、未だ可能である段階が中ボケの段階であり、末期の段階である「大ボケ」の段階にまで「前頭葉」のの機能を含む脳全体の機能レベルが衰えてきてしまうと、もはや回復させることは困難となり、「介護」の道しか残されていないのです。その「大ボケ」の段階で初めて「アルツハイマー型認知症」の発病であると診断しているのが、医療現場の実態と言うことなのです。

 回復させるのが比較的容易な軽度の認知症の段階(小ボケ)は、研究者達が「不活発病」という名で呼んでいるものであり、認知症の専門家達が「老化現象」と混同しているものが中等度の認知症の段階(中ボケ)であり、末期の段階である重度の認知症の段階の症状の発現の確認に加えて、重度の「記憶障害」の症状の確認が「アルツハイマー型認知症」と診断する上での第一要件だと思い込んでいる精神科医からは、小ボケ及び中ボケの段階の症状は、認知症の症状とは見られていないのです。

廃用性の「生活習慣病」(但し、食生活ではなくて、脳の使い方としての「生活習慣」であることに留意する)をその本態とする「アルツハイマー型認知症」の場合は、本当の意味での早期の段階(「小ボケ」及び「中ボケ」の段階)で見つければ、「脳のリハビリ」により正常なレベルに回復させることができる(症状を治すことが出来る)ものなのです。世界中の認知症の専門家達が『「アルツハイマー型認知症」は治すことが出来ないタイプの認知症である』としているのは、病気それ自体の性質によるのではなくて彼らが見つけて居る段階が遅すぎるだけのことなのです。彼らは、末期の段階であり私たちの区分で言う「大ボケ」の段階でしか「アルツハイマー型認知症」を見つけることが出来ないでいるが為に、『治すことが出来ない』と誤解しているだけなのです。

 そこで、被災地に居住する高齢の人達は、前回の報告(N-07)で提案した、「1日5000歩」を目安に、「速足での散歩」をとりあえず始めてほしいのです。 

自身の「生きがいや喜び」につながるような「テーマ」や「目標」に取り組む生活があった方が、「前頭葉」の活性化にとってより効果的なのですが、被災地の高齢者にとっては、現在おかれている環境を考えると到底無理なことでしょう。

そんな人達であっても、仮設住宅で知り合った人達と一緒に、「一日5000歩」を目安に「速足での散歩」を日課とすることなら、無理なことではないでしょう。散歩をする時、意識的に膝を高く上げるようにすると、脳への刺激が一層高まります。

実は、これを日課として「数ケ月から半年の間」続けることで、「不活発病」という名前をつけられているレベル、私たちの区分で言えば「アルツハイマー型認知症」の最初の段階である「軽度認知症」(小ボケ)のレベルから、の正常なレベルに回復してくることが出来るのです。半年を回復の目安にして、頑張ってみてください。

「軽度認知症」(小ボケ)を脳の機能の面から説明すると、左脳、右脳と運動の脳はすべて正常レベルにあって、最高次機能である司令塔の「前頭葉」の機能だけが異常なレベルに衰えてきている段階なのです(「アルツハイマー型認知症」における脳の機能の衰え方とその特徴に関するデータは、後ほど開示して説明します)。従って、「小ボケ」のレベルから「正常なレベル」に回復させるポイントは、「前頭葉」の出番が多くなるようなテーマを日々の生活に取り入れ、「前頭葉」機能の「3本柱」である「意欲」と「注意の集中力」と「注意の分配力」の機能をしっかり使ってやることなのです。3本柱の機能が元気を回復することが、「前頭葉」の機能が元の正常レベルに回復することに直結しているのです。

「速足での散歩」が脳を活性化させるメカニズムについては、(N-07)の報告で、詳しく説明してあるので、読み返してみてください。 

 注)本著作物(このブログA-12に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

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脳血管性認知症に対する問題の提起(A-11)

2012-03-18 | 脳血管性認知症の診断と誤診の問題

ところで前回の報告で、脳出血や脳梗塞の後、直ぐに認知症と認められるような程度や態様の症状が出てくるケースは、とても少ないと言いました。 専門家の間では、「脳血管性認知症」と診断されるケースの多くのものは、認知症と認められるような程度や態様の症状が直ぐには出てこないで、「何年もかけて、じわじわと症状が出てくる」ものが主流だとされています。そして、それらは、“まだら性”とか“多発梗塞性”の「脳血管性認知症」と呼ばれています。

  “ま だら性”の脳血管性認知症の特徴として、初期には、記憶力が低下している一方で、理解力や判断力がしっかりしていて、更には人格が保たれていて、「認知症の症状が“まだらに”出てくる」のが特徴とされています。

初期の症状を発現させている前頭葉の働き具合を、前頭葉の機能レベルを調べることが出来る「かなひろい」テストなどの神経心理機能テストを使って、正常レベルかどうかを調べてみないと、「初期の特徴とされている症状」がどのレベルの脳機能の結果として発現したものなのかが不明なのです。理解力や判断力がしっかりしているとか、人格が保たれているという表現の意味している程度や内容自体がとても「あいまいで、疑わしい」ものなのです。

前頭葉の機能レベルを計測し評価することを怠っている上に、重度認知症のレベルにならないと認知症であるとは考えない基準によって診断していたのでは、既に前頭葉の機能が異常なレベルに衰えているレベル、私たちが指摘している軽度認知症(小ボケ)や中等度認知症(中ボケ)のレベルであっても、理解力や判断力がしっかりしているとか、人格が保たれているとかの誤った評価をしてしまうことになるのです。

この初期の症状の特徴とされていることを言い換えれば、「初期には、前頭葉の機能は正常レベルに保たれている」と言っているのと同じことなのです。前頭葉は、脳全体のコントロールタワーであり、最高次の機能なのだから、前頭葉が正常に機能しているということは、脳の全般的な機能の低下が起きていないことを意味します。その初期の何年かの間で、前頭葉の機能が正常レベルに保たれている期間は、認知症を発病していなくて、左脳や右脳や運動の脳の局部的な機能の障害による「後遺症」の症状が出てきているだけということなのです。「まだらな症状が、じわじわと出てくる」と言っているのは、認知症の症状ではなくて、単なる「後遺症」としての症状のことなのです。

本人やその家族の側にとって、局部的なものとはいえ、「脳梗塞や脳出血」は重大な病気です。診察を受けて、局部的な脳出血や脳梗塞であれ、重大な脳の病気が発生した結果としての後遺症の出現に驚くと同時に、それを怖がり、いろいろな後遺症が発現しているその状態を恥ずかしがり、その状況からくる肉体的精神的負担に負けてしまうことがとても多いのです。

 その結果、局部的なものであれ、脳梗塞や脳出血という脳の機能の障害による後遺症の発現を「キッカケ」として、趣味も遊びも人付き合いも運動もしない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まるケースがとても多いのです。

脳を不十分にしか使わない「単調な生活」が何年も継続していく中で、前頭葉を含めた脳の機能が廃用性の機能退化を起こしてきて、その機能退化の進行につれて、アルツハイマー型認知症の症状が、軽度認知症(小ボケ)、次いで中等度認知症(中ボケ)、最後に重度認知症(大ボケ)の症状として、段階的に進行して現れてくるのです。

”まだら性”の「脳血管性認知症」の初期の症状の期間が終わって以降に最終的に認知症の症状であると診断されている症状(私たちの言う「重度認知症」)へと症状が進行していく過程は、後にそのメカニズムについて詳説する「アルツハイマー型認知症」の「小ボケ」、「中ボケ」を経て最後に「大ボケ」の段階へと段階的に進行していく進行過程に見られるものなのです。

専門家たちは重度の記憶障害を認知症と診断する第一の要件と考えているので、重度の記憶障害の症状があらわれてくる認知症の段階(私たちの区分で言えば、「重度認知症(大ボケ)」の段階)にならないと認知症とは考えないのです。そのため、回復可能な軽度の認知症(小ボケと中ボケ)の段階は、記憶障害の程度を含めて軽度の症状が主となるので、見落としているのです。その期間中は、認知症の症状が”まだら”に現れていると考えているのです。そして、重度の症状が継続的に現れるようになる(私たちの区分で言う「重度認知症」の段階)と、”まだら”な症状の期間が終わったと考えているのです。

“まだら性”とか“多発梗塞性”の「脳血管性認知症」と世間で呼ばれているものの多くは、私たちの見解からすれば、「脳血管性認知症」ではないのです。本来は「アルツハイマー型認知症」と診断されるべきものが、”まだら性”、或いは”多発梗塞性”の「脳血管性認知症」と誤診されているだけなのです。

「脳血管性認知症」が認知症全体に占める割合を最近の有力説でさえ15%~20%としているのに対し、私たちは5%と主張していますが、アルツハイマー型認知症であるはずのものを脳血管性認知症としているという上記の誤った診断が両者の数値の差となって現れていると考えられるのです。(難しい話は、これで終わりです!)。

 上記の誤りが是正されることになれば、認知症の大多数はアルツハイマー型認知症が占めることとなり、アルツハイマー型認知症の早期発見による回復、或いは予防というテーマが、喫緊の「国民的な課題」となるのです。これまでの報告で何度も説明しているように、アルツハイマー型認知症は生活習慣病であり、早期発見(小ボケと中ボケの軽度な段階の認知症の発見)と脳リハビリにより「回復」させることも、脳の使い方という視点からの「生活習慣の改善」により「予防」することもできるものだからです。

  注)本著作物(このブログA-11に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

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脳血管性認知症と因果関係の確認(A-10)

2012-03-17 | 脳血管性認知症の診断と誤診の問題

「脳血管性認知症」とは、「脳を養っている大小の血管の障害である脳梗塞や脳出血に起因しておきる認知症」を言うものと定義されています。脳を養っている大小の血管が閉塞して十分に血液を脳に送れなくなったために、脳の働きが全般的(左右両側性)に低下して、認知症の症状を起こしてくる「閉塞性血管障害のもの」が最も多く、一部に「出血性のもの」があります。

どの種類の認知症であれ、「脳の器質的な障害を含む何らかの脳機能の障害によって、正常なレベルとされる程度にいったん完成された知的機能が、全般的(左右両側性)且つ継続的に機能低下した状態にあることにより、社会生活や家庭生活やセルフケアに支障が出てきている状態」を認知症と言うとするのが、一般的な認知症の定義の仕方です。

 従って、「何らかの脳機能の障害」という直接の(原因)により「知的機能の全般的(左右両側性)且つ継続的な機能低下」という(結果)をきたしており「認知症の症状」を呈しているという、「原因」と「結果」との間に「相当因果関係」が確認されることが不可欠になるのです。

 「脳機能の障害」(原因)が認められると言うためには、脳のある領域に血流の低下が確認され、且つその血流低下を惹き起こしている原因血管が確認されることが必要です。次いで、その血流障害がもたらしている「脳機能の低下部位」と認知症の症状を発現させている「脳機能低下の範囲」とが合致(結果)していることの確認も必要です。

( ここで、コーヒー・ブレイク) 逆に言えば、脳機能の障害という直接の(原因)認知症の症状という(結果)との間の相当因果関係が確認されていなければ、認知症と診断してはいけないのです。(今回の報告は、専門的すぎてすみません)。

実際の診察の現場では、「局部的な脳出血や脳梗塞」があると、左脳又は右脳の片側の脳の機能障害による後遺症としての記憶障害、或いは言語の障害や手足の身体的な不具合を伴う症状、又は後遺症を基にした種々の生活上の不便さえ認められれば、「脳機能の全般且つ継続的な低下」の確認及び原因と結果との間の「相当因果関係」の確認を行うこともなく、「脳血管性認知症」と診断しているケースが多いのです。 そのために、血管性認知症の認知症全体に占める割合が15~20%もの大きな数値になっているのです。

「脳血管性認知症」とされるケースで、脳出血や脳梗塞の後、直ぐに認知症と認められるような程度や態様の症状が出てくるケースは、実際にはとても少ないのです。

左半球に大きな梗塞巣が出来て、左半球が高度に障害されると高度の失語症を起こし、生活面に重大な支障をもたらすことになります。この場合、「神経心理機能テスト」で調べさえすれば、「脳機能の全般的な低下」が起きているかどうかは、容易に確認することができるのです。テスト結果から、右半球の機能は良く保たれていて、「脳機能の全般且つ継続的な低下」が起きていないことを簡単に知ることが出来るのですが、「神経心理機能テスト」で調べるという手間をかけていないのです。

注)本著作物(このブログA-10に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

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末期段階の症状が認知症との誤解が世間の常識に(A-09)

2012-03-16 | アルツハイマー型認知症の原因

認知症の大多数を占める「アルツハイマー型認知症」は、認知症を扱うのが専門の精神科医や研究者たちの間で、「原因も分からないし、治すことも出来ない病気」とされています(多数出版されている認知症に関する書籍でも、多数開設されているブログの記事でも同様です。基本的に、原因不明で治らない病気として扱われています)。

(ここで、コーヒー・ブレイク) 書籍やブログの記事の中で、「認知症の回復とか予防」という言葉が使われていることがありますが、それは、アルツハイマー型認知症以外のタイプの認知症に使われているにすぎません。一番良く使われているのは、脳血管性認知症の場合です。その予防方法としては、調和のとれた食事、適切な運動、十分な睡眠などがテーマに取り上げられているようです。

ところが、周りのお年寄りの生活実態をよく観察して見ると、多数を観察すればするほど、「専門家が言っていること及び診断や研究の対象としていること」と「実態」とは違っていることが分かります。皆さんも、周りのお年寄りの生活振りを良く観察してみてください。

昨日まで普通に生活できていたお年寄りが、一晩寝たら、突然身の回りのことも出来なくなり、ズボンを頭から被ったり、住んでいる家が分からなくて徘徊したり、同居している家族の顔も名前も分からなくなったりはしないのです。

つまり、同居して一緒に生活している家族に、状況や生活ぶりを詳しく聞いてみると、最初に「ちょっとおかしいな」と気づいたときから3年以上、時には7~8年もかかって症状が次第に重くなってきていることがわかります。

最後の「重度の段階」、(N-51)で取り上げる例に見られるような末期の症状を示す段階が、せっかく見つけても手遅れの段階、「原因も分からないし治すこともできない」とされている「重度認知症」(大ボケ)なのです。

この段階になると脳の器質的変化が起きてきているため機能は元の正常レベルに回復することはもう出来ません(N-05を読み返してみてください)。症状がこの重度の段階にまで進んでからお医者さんが見つけているので、「原因も分からないし、治らない」と言うことになってしまうのです。

(再度、コーヒー・ブレイク) 末期段階の重度の症状が出てきてどうにも手に負えなくなって初めて、家族が病院に連れて行くのです。そのために、アルツハイマー型認知症は「原因も分からないし、治らない」という誤解精神科医の間に広まり、それが世間の常識にされてしまったのです。

「アルツハイマー型認知症は、治らない病気」なのではなくて、「発見が遅すぎるために、治らなくなっている」だけなのです。その他の一般の病気と同じように、「早期発見と早期治療が大切な病気」なのです。

 それだけで、驚かないでください。後の報告で詳説しますが、「予防」することもできるのです!

 注)本著作物(このブログA-09に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

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精神科医は、回復可能な「軽い段階」を見落としている(A-08)

2012-03-15 | アルツハイマー型認知症の三段階の症状

□ 服を自分で着られなくなり、ズボンを頭から被る;とか

□ 自分の家が分からなくて、徘徊して迷子になる;とか

□ 同居している、家族の顔も分からない;とか

□ お漏らしした服を、平気で着ている;とか

こんな症状が見られるようになると皆さんは、「その人は認知症」だと考えるのではないでしょうか。 

正確に言うと、こんな症状が出ている人は、「認知症の末期段階」の人なのです。

こんな「重度の症状」(末期の症状)が出てくるもっと前の回復可能な「軽い段階」(初期の症状及び中期の症状)があるのを、精神科医が見落としているのです。

回復可能な「軽い段階」が見落とされていて、回復困難な重度の「末期段階」だけに焦点が当てられている結果として、「アルツハイマー型認知症は、原因不明で治らない」という「誤った見解」が世間の常識になってしまっているのです。

 昨日まで正常で、趣味や遊びや人付き合いを楽しんでいたお年寄りが、一夜明けたら「服を自分で着られなかったり」、「自分の家が分からなかったり」、「家族の顔が分からなかったり」は、しないのです。

 認知症の大多数を占めていて、原因も分からないし治らないとされている 「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症は、「何年もかけて、症状が徐々に、段階的に進行していく」(段階的症状を示す)のがもう一つの特徴です。特定の遺伝子の異常が原因で発病する「狭義のアルツハイマー病」とは、進行度合いが全く違うし、発病する原因も全く異なるのです。

精神科医が「初期の症状」と言っているのは、回復困難な末期段階の「重度の症状(大ボケ)」の中の初期の症状(MMSの換算値で14~11点のレベル)のことなのです。だから、せっかく見つけても、治らないのです。

回復可能なもっと軽い段階の「小ボケ」や「中ボケ」の症状(本当の初期症状)については、「認知症のレベルと回復の可能性」に関する脳の機能レベルとリンクしたデータの開示も含めて、次回から、逐次詳細な説明をしていきます。

その前に、(N-05)をもう一度読み返しておいてください。

アルツハイマー型認知症は、「回復容易」な段階、「回復可能」な段階、最後が「回復困難」な段階の「3つの段階」に分かれることが、脳の機能レベルと症状の程度との関係で詳しく説明してあります。

注)本著作物(このブログA-08に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

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脳を活性化させる魔法の散歩(A-07)

2012-03-13 | アルツハイマー型認知症の予防活動

「一日5000歩」を目安に、速足の散歩習慣化しましょう!!

3月11日。どのテレビ局も、東日本大震災の被災報道をメインに番組を組み立てていました。一方で、画面から流れる映像は、進まない復興の現実ばかり。多大な被害を受けた市町村はどこも、未だに、瓦礫の処理は終わっておらず、1年もたったというのに復興の足音は、どの画面からも聞こえてきませんでした。

 住み慣れた地域も、景色や町並みも、家も土地も、家族も友達も、職場も、それらにまつわる想い出も、全てを失くしてしまった人達。復興の中心となるはずの若い人達でさえ、1年経った今も職を失ったまま仮設住宅に住んでいて、この先が見えないまま毎日を過ごしている姿ばかりを映像は映すだけでした。テレビを見ている側の私までも、心がとても痛み気力がなえていくような一日でした。

 今日、私が上のテーマを取り上げるのには、特別な意味があるのです。

私達が意識的に何かを実行しようとする世界、私たちの意識的な世界における脳の働きは、全て最高次機能である脳全体の司令塔の「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)がコントロールしています。前頭葉左脳、右脳、運動の脳と協働しながら且つそれらを主導し、統括し、コントロールして、状況を判断し、テーマを発想し、テーマの詳細な実行の内容を組み立て、どのように実行すべきかをケースワークした上で、最終的な実行内容の決定及び実行の決断を行い、脳の各部に実行の指令を出しているのです。前頭葉が、左脳、右脳及び運動の脳が牽く三頭立ての馬車の「御者」と考えると、その役割が分かり易いでしょう。「御者」が居眠りしていると、馬はどうしていいのか分からなくなり、目的地には辿り着けなくなるのです。馬である左脳、右脳及び運動の脳の全てが正常な機能レベルに在ろうとも、御者である「前頭葉」の機能が異常なレベルに衰えてくると、そのアウトプットはすでに異常な内容のもの、「アルツハイマー型認知症」の症状(私たちの区分で言う、「小ボケ」の段階の症状)が発現してきているのです。

実は、その司令塔の前頭葉には、加齢と共に老化していくという性質(私たちが、発見し、「正常老化の性質」と名付けているもの)が有り、その上、不十分にしか使わないことにより出番が極端に少なくなると、高齢者の場合は、どんどん機能が異常なレベルに低下していくのです。ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続することが加重される要件として働くことにより、「前頭葉」を含む脳全体機能が加速度的に低下していくその先に、「アルツハイマー型認知症」の発病という事態が待っているのです。

  私たちが確認している機能だけでも70以上もある頭葉個別認知機能の高度な働きの中で、状況を理解し、判断し、状況の判断に沿ったテーマを発想し、その実行の内容を企画し、計画し、実行の内容を組み立て、ケースワ-クする上で必要な「様々な認知」機能を発揮する上で不可欠な働きをしているのが、意欲、注意の集中力と注意の分配力(10を超える種類の異なった「テーマ」を、同時に平行して処理する脳機能)という「前頭葉の」三本柱の機能なのです。「前頭葉」の各種の個別認知機能を発揮する上で、その働き具合を支配し、下支えしているのがこの三本柱の機能なのです。三本柱の働き次第で、全体としての及び/又は個々の対象となっているテーマに対する「認知度」が左右されるのです。三本柱の機能の働きが通常レベルであれば(正常なレベル)、いろんなテーマを組み立てたり、シミュレーションしたり、判断したり、十分に、的確に実行できるのに対し、三本柱の働きが極端に低くなれば(「アルツハイマー型認知症」を発病のレベル)、不十分に、不的確に、或いは異常にしか、、それらを実行できなくなるのです。

私たちが三段階に区分する「アルツハイマー型認知症」の症状の段階、「軽度認知症」のレベル(小ボケ)、「中等度認知症」のレベル(中ボケ)、「重度認知症」のレベル(大ボケ)と認知症の症状が進んでいくにつれて(前頭葉の機能レベルが加速度的に低下して来ていることが症状発現の基盤となっているので)、何がどのように出来るのか、或いはどの程度にしか出来ないのかという認知症の症状」も、次第に重いものになっていくということなのです。

これと言った生き甲斐や目標もなく、趣味や遊びや人付き合いを楽しむ生活習慣もなく、運動もしない毎日。こんなナイナイ尽くしの「単調な日々」の生活を繰り返していると意欲、注意の集中力及び注意の分配力と言う「前頭葉」の「三本柱」の機能の出番が極端に減少してしまう為に、高齢者(第二の人生を送っている60歳を超える年齢の高齢者)の場合は、「前頭葉」の加速度的な機能低下(不十分にしか使われないことによる「廃用性」の機能低下)を)惹き起こしてしまうのです。

 東日本大震災の被災(何かをしてみよう、考えてみようとする意欲自体を喪失してしまうことになる人が多いのです)を経験された高齢者が置かれている現在の状況からすれば、生き甲斐や喜びが得られるようなが「テーマ」を見つけること自体が困難だと思うのです。むしろ、日々の「目標」となるものさえ見つけ出せないという状況だと思うのです。

  そこで、とりあえず、「1日5000歩」の速足での散歩をして欲しいのです。歩く速さは、「会話が楽しめるが、軽く息がはずむ程度の速さ」(有酸素運動)です。安全な場所を選んで、歩きやすいところで、仮設住宅で知り合ったお友達を誘って、一緒に、「おしゃべりを楽しみ」ながら、歩いて欲しいのです。

速歩で歩くことは、「意欲」と「注意の集中力」という「前頭葉」の三本柱の機能の潜在的な機能レベルを高めるのにとても効果があるのです。「時間が経つのも忘れてしまう」ようなテーマについて、同行している仲間とのおしゃべりを楽しみながら歩くと、「注意の分配力」の機能も活発に働きます。もちろん、天気が良くなかったり、足腰に痛みがあるなど身体の調子が良くないときは、無理をしてはいけません。そんなときは、仮設住宅で、仲間とおしゃべりでも楽しみながら休んでいてください。

 一週間、二週間、一ヶ月、半年と、歩く日が続く中で、自分でもはっきりと意欲が湧いてきたなと実感することが出来るようになるはずです(副産物として、日頃気になっている「物忘れ」の回数も減ってくることになるすはずです)。

意欲が出てくるようになったら、脳の司令塔の前頭葉の働きが良くなってきた証拠ですから、そこで、周りの人たちにも相談しながらはず、じっくりこれからの対処策や目標あるいは生き甲斐について、考えてみてください。

 注)本著作物(このブログA-07に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

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