認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

認知症の地域予防活動と展開上の基本的な骨格ーその3 QA Room(A-57)

2012-08-30 | アルツハイマー型認知症の予防活動

Q:市町村の保健師が地域住民と協働して実施する「アルツハイマー型認知症」の「地域予防」活動を展開する上での基本的なイメージと言うか、「骨格」となる内容及び展開上の留意点について、できるだけ具体的に説明して欲しいのですが。

        

A:エイジングライフ研究所は、「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)を含む脳の機能を「神経心理機能テスト」を使って調べ総合的に判定する「二段階方式」という手技を開発して「マニュアル」化しています。「脳の機能レベル」(A)とそのアウトプットである「症状」(B)と現在の機能レベルをもたらした脳の使い方としての「生活歴」(C)等を詳細に調べ聞き取り、規定された「判断基準」に従って総合的に判定するのです。1995年の活動開始以来、市町村の保健師さん達による行政活動としての「アルツハイマー型認知症」の「地域予防活動」を提唱すると共に「認知症予防講演会」及び「二段階方式」の「実務研修会」を実施して、「地域予防活動」を展開拡大するための指導を450を超える市町村で行ってきました。(その詳しい内容については、ブログの末尾にある「エイジングライフ研究所」をクリックしてください)。

       

市町村の「保健師」さん達(地域包括支援センター、在宅介護支援センターを含む)が主体となり、地域と共同して実施する「アルツハイマー型認知症」の「地域予防活動」の骨格と展開上の留意点の概要は、次のようになります。

●  精神科医は、DSM-4の基準に依拠して診断を行う為に、回復が困難な「アルツハイマー型認知症」の末期の段階である「重度認知症」(大ボケ)の段階でしか見つけることができません。その結果、「アルツハイマー型認知症」は、「原因不明で治らない病気」とされてしまい、その「誤った情報」が全国津々浦々、地域の隅々にまで行き渡り、住民の頭と心に浸み込んでしまっているのです。誤ったその固定概念を変えさせ、「地域予防活動」を展開していくに際して、地域住民を対象とした(認知症は防げる治せる)と題する「アルツハイマー型認知症予防講演会」による啓蒙が不可欠となります;

● 更に、市町村が「早期診断の窓口」を常設して、回復可能な早期の段階(回復が容易な「小ボケ」及び回復が期待できる「中ボケ」)を見つけて、正常レベルに「回復」させて見せることが重要なのです。「右脳」の活用を柱とした自分なりの「目標」(メニュー)の達成による「前頭葉」の活性化により、脳の使い方としての「生活習慣」の改善を指導して、「正常」レベルに回復させてみせることが、住民全体の考えと意識とを替えることができる極めて有効で有益な施策となるのです;(ここを「クリック」してください

       

● 「地域予防教室」の対象となるタイプの認知症は、生活習慣病である「アルツハイマー型認知症」のみとし、それ以外のタイプの認知症は専門の医師の手に委ねることを対外的にも対内的にも明確にしておきます;「地域予防教室」は、「アルツハイマー型認知症」の予防を目的とする活動であることを明確に活動目的として掲げ、参加者が自分なりに「脳の活性化」を体験できる場とするのです(ここをクリックしてください);

● 展開の順番は、地域のカクシャク老人やボランティアの組織が、手を挙げて、「地域予防活動」を自分たちの地域でやりたいとの「意志と情熱」を示す所から優先して実施することが重要です(手が積極的に上がらない地域は、後回しにすることが大切なのです;ここで、「公平」を優先していたのでは、何時まで経っても動き出さないのです);

● 公民館或いは集会所が存在するくらいの「小単位」の各地域毎に、30~40人を単位とした「小集団」ベースによる「アルツハイマー型認知症」の予防を目的とした「脳イキイキ教室」を運営していきます。

       

●  「地域予防教室」は、「前頭葉」を柱とする脳の機能をいつまでも正常レベルに保つことを主目的とする全く新しいタイプの活動であり、既存の活動組織を「地域予防教室」にそのまま組み替えることはしません(既存組織のいろいろな制約が活動の障害になることが多いのです)。

●  第二の人生での出番が最も多い「右脳」の活用による「前頭葉」の活性化を図り、「右脳」を中心としたメニューの実行(目的の達成)により、集団の中での「趣味」や「遊び」や「人付き合い」や「運動」を楽しむ体験をさせ、「右脳を重視」した「生活習慣」の構築とその達成の重要性に目覚めさせるのです。右脳の活用を中心とした自分なりの「目的」(メニュー)を達成する生活により、達成感や喜びや生き甲斐が得られる「生活習慣」が、「前頭葉」を活性化させ脳全体の若さを保つのに極めて有効であるることを「地域予防教室」で実体験させるのです。「前頭葉」の働きを活性化させ「正常」レベルに保ち続けるには、右脳の活用」を中心とした「目的」(メニュー)がある「生活習慣」を維持することが重要で不可欠であることを「地域予防教室」での体験を通して理解させるのです(ここをクリック);

       

● 「地域予防教室」の運営に係る保健師さん達は、「二段階方式」に基づく「脳の機能」レベルの判定及びその経時変化による(改善、維持又は悪化)の評価並びに評価結果に基づく「生活改善」の指導をする役割を担うのです;

● 「地域予防教室」の運営は、最初の半年間(状況により1年間)のみ保健師さんがメニューの作成を含む運営全般に関与するが、それ以降は「地域ボランティア」による「自主運営」を基本とします。自主活動の体制下では、、保健師さんは脳の機能のレベルの判定評価と生活改善指導だけを担うことになります。(保健師さんが全てを取り仕切っていたのでは、人的な制約から、対象地域を「全域」に拡大していくのが難しくなるからです);

       

次に重要なのは、「地域予防教室」に参加するメンバー構成は、「脳の機能レベル」を唯一の判定基準として決めることが不可欠だと言うことです。 「地域予防教室」に参加するお年寄りは、脳の機能レベルが正常レベルの人を対象とすることを「基本」とすることが重要です(但し、「軽度認知症」までは、一定の人数割合以下に抑えるもとで、可とします)

○  「社会生活」をそれなりにこなせている、正常レベルの普通のお年寄り達が、大多数を占めることになります;

○  次いで、趣味や遊びや人付き合いを生き生きと楽しんでいる、かくしゃく老人が占めます;

○  最後に、社会生活に支障が出てきた「軽度認知症」(小ボケ)レベルの人が少人数ながら一角を占めます(重要なことは、「小ボケ」レベルの人たちの全体に占める割合が、25~30%以下に抑えることです。この割合より大きくなると、自主運営が難しくなるのです);

       

○ 「中等度認知症」(中ボケ)レベルの人も「重度認知症」(大ボケ)レベルの人も、「予防教室」に入れてはいけないのです;

○ 「軽度認知症」(小ボケ)は、「地域予防教室」に継続的に参加して日常生活での「生活習慣」を自分なりに改善していく中で、脳の機能が正常レベルに回復していきますが、「地域予防教室」の主たる目的は治すことではなくて予防」することにあることを忘れないでください。現実的には僅かな人数の体制下で、「アルツハイマー型認知症」の「地域予防教室」を展開していくことが求められるのです。認知症を予防」することが活動の主たる目的となる点に十分配慮することが必要なのです。最初の立ち上がりは小さな一地区からであっても、最終的には全ての地区で「地域予防教室」が展開されることが重要だからです;

● 「中等度認知症」(中ボケ)のレベルになると、集団の中での活動についていくこと自体に困難が生じてきます(「中等度認知症」のレベルになると、その機能レベルに見合った「特別の個別のメニュー」を(家族の協力の下に)実行しないと、脳の活性化の効果が出てくるのが難しくなってきて、脳の機能が向上してこなくなるのです。その上、脳の機能レベルが低い分、係わるスタッフの人数も余分の人数が必要になるのです);

● 「重度認知症」(大ボケ)のレベルになると、脳の機能レベルの改善は困難となり、「大ボケ」レベルの中で更に症状が進行していくことになります。「大ボケ」レベルのなかでの更なる症状の進行(悪化)をくい止め或いは、少しでも遅らせるることを目的とした、「個別のメニュー」が必要となり、日常生活面でのセルフケアの介助を基礎とした対応が殆どとなるので、この段階にまで脳の機能が衰えてくると、「施設」での対応が不可欠となります;

       

「かくしゃく」老人は、かくしゃくなレベルのままに、「正常」老人は正常なレベルのままに脳の機能レベルを保ち、「軽度認知症」(小ボケ)は正常レベルに脳(前頭葉)の機能レベルを向上させることが、「認知症予防教室」運営の第一の目標になることを忘れないでください(「中ボケ」以降になると、高次機能である「左脳」と「右脳」とが異常なレベルに衰えているのですが、「小ボケ」では高次機能は正常レベルにあって「前頭葉」の機能だけが異常なレベルに衰えているので、「前頭葉」を正常レベルに引き戻してやるだけで良いのです)。繰り返して注意を喚起しておきますが、「予防」こそが、第一義的に重要なテーマであることを肝に銘じておいていただきたいのです;

○ 「地域予防教室」の対象者に「中等度認知症」(中ボケ)レベルのお年寄りと「重度認知症」(大ボケ)レベルのお年寄りが含まれないということは、運営の手間(人手と時間とコスト)が少なくてすむことを意味します。「中ボケ」レベルのお年寄りは家族が主体となり、「大ボケ」(レベルのお年寄りは、施設が中心となって、「回復よりは、更なる症状の進行を抑制することを主たる目的とする」のが現実的といえるのです;

       

(コーヒー・ブレイク ーその1)認知症のお年寄りを抱えた家族の困難で悲惨な状態を日ごろ目にしている保健師さんは、どうしても「中ボケ」や「大ボケ」の介護に目がいき勝ちなのです。「中ボケ」及び「大ボケ」レベルのお年寄りの介助或いは介護自体は、「地域予防教室」ではなくて、家族或いは、施設が主体となって行われるしかないということを理解し納得しておくことが重要です。「予防」に徹底して対策を構築し実行する(蛇口を閉める)のでない限り(介護対策ばかりに目が行っていたのでは)、認知症問題(「アルツハイマー型」認知症が90%以上を占めています)の解決策はないということを理解し、覚悟を決めて、「予防対策」に取り組んでいただきたいのです。

        

(コーヒー・ブレイクーその2) 「重度認知症」(大ボケ)のレベルのお年よりは、脳の機能レベルの改善の可能性(改善の可能性はなく、更なる症状の進行を緩やかにすることしか期待できない)という視点から見ても、介護内容の充実度の質的及び量的な要求性(家族による介護を期待することは、家族自身の生活の崩壊を招くことにつながる)の視点から見ても、これこそが「介護保険制度」で手厚く対応していくより方法はないと、市町村におけるこれまでの体験に照らして、私たちは考えています(ここをクリックしてください)。

 注)本著作物(このブログA-57に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

     エイジングライフ研究所のHPここをクリックしてください)

 脳機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)

  

 

 

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認知症の地域予防と脳を活性化する生活習慣の指導-その2 Q/A Room(A-56)

2012-08-23 | アルツハイマー型認知症の予防活動

 Q:「アルツハイマー型認知症」の早期発見と回復及び予防の為の「生活習慣の改善」を目的とする「地域予防活動」を展開する上での保健師の役割については、基本的な理解はできているつもりです。脳を活性化する為の「生活習慣の改善」指導が回復と予防の要となると言うことも分かりました。ナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続による廃用性の「加速度的な機能低下」とイキイキとした生活による「脳機能の改善」について、「脳の機能」の構造的な測面から、もう少し詳しく説明して欲しいのですが。

           

 A: 生き甲斐なく、趣味なく、交友なく、運動もせず、目標もない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」、「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)の出番が極端に少ない生活の継続により、脳が廃用性の加速度的な老化(機能の低下)を速めていく過程について、脳の神経心理機能の測定による脳の機能レベル(正常、小ボケ、中ボケ、大ボケ)と定期的な検査によるその変化(改善、維持、悪化)を調べる「二段階方式」の手技で詳細にチェックしてみると;最初に、脳全体の司令塔の役割をしていて最高次機能である「前頭葉」の働きだけが加速度的に衰え始めることが分かります(この間は、高次機能である「左脳」と「右脳」の機能は正常なレベルのままなのです)。

           

 「アルツハイマー型認知症」の場合は、高齢者と呼ばれる年代のお年寄りだけが対象となるのです。第二の人生を送っている「高齢者」が、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続する日々を送っていると、最初に「前頭葉」の働きだけが加速度的に衰えて異常なレベルに入り込み「社会生活」に支障がでてきます(ここからが「小ボケ」の段階)。その後も「単調な生活」が継続したままでいると、「前頭葉」の機能の加速度的な衰えが更に進行していきます。「社会生活」に支障が出てくる域と「家庭生活」に支障が出始める域との境界点に達したときになって初めて、「前頭葉」を支えて協働する働きをしている高次機能である「脳の後半領域」の「左脳」と「右脳」の働きも、その順番で加速度的な衰えを示し始めるのです(ここから、家庭生活に支障が出てくる「中ボケ」の段階に入ります)。

前頭葉と高次機能の加速度的な「機能の衰え」の進行に連動して、その機能障害の相乗効果が症状(態様及び程度)となって現れてくるのです。「中ボケ」レベルになっても何も対策が取られないで(或いは、「年のせい」などと誤解されて放置され)「単調な生活」がそのまま継続されていると、脳全体の機能が更に加速度的に衰えていき、「セルフ・ケア」に支障が出てくるようになったところが回復困難な末期段階の「重度認知症」(大ボケ)なのです。「大ボケ」の領域は、「前頭葉」以外の機能は或る程度残っているレベルから「脳全体」がほとんど機能しなくなる植物人間状態までとても幅が広いのです。(ここをクリックしてください)。

       

上述した「二段階方式」の解析データから言えることは、「前頭葉」の機能が正常なレベルにあるということは、「左脳」も「右脳」も「運動の脳」もちゃんと働いているということなのです。すなわち、「前頭葉」がちゃんと働いていれば「脳全体」が正常なレベルで働いていて、たとえ物忘れなどの「記憶障害」の症状を示していても、「アルツハイマー型認知症」を発病してはいないと言うことなのです。加齢の中で「正常な老化」のカーブを描きながらも、「前頭葉」の出番が十分に確保された(しっかりと使う)「生活習慣」の維持の下で、「前頭葉」の機能が正常なレベルを保っていれば、「アルツハイマー型認知症」を発病することはないのです。「前頭葉」の機能を正常なレベルに保つ「生活習慣」の維持こそが、「アルツハイマー型認知症」の「予防」に直結するのです。「物忘れ」は、ここをクリックしてください)。

      

「アルツハイマー型式認知症」は、脳の機能レベルの加速度的な衰えに連動しつつ、「小ボケ」、「中ボケ」、「大ボケ」と何年もかかって緩やかに「段階的」に症状が進んでいくのが特徴です。「軽度認知症」(小ボケ)は回復が容易で、「中等度認知症」は回復可能で、「重度認知症」(大ボケ)のレベルになると、せっかく見つけても手遅れ回復は困難となるのです。(ここをクリック)。

回復可能な早期の段階を見つけるには、「脳の委縮」の度合いとか「記憶」のレベルとかに焦点を当てるのではなくて、「前頭葉」の働きのレベルに焦点を当てることが必要不可欠の条件になるのです。「記憶」の障害を第一の要件とし、「失語」「失行」「失認」を第二の要件に規定している「DSM-4」の診断基準は、その意味で重大な誤りを犯していると言わざるを得ないのです。「DSM-4」の基準に依拠して診断する限り、回復可能な早期の段階(「小ボケ」及び「中ボケ」)を見つけることはできず、回復困難な末期の段階(「大ボケ」)でしか見つけることが出来ないのです。「失語」「失行」「失認」の症状は、「重度認知症」(大ボケ)レベルの中でも後半になって出てくるとても重い症状であり、(MMSの換算値が一桁のレベル)にまで脳の機能が衰えてこないと出てこない症状だからです。

「アルツハイマー型認知症」の原因を研究している人達は、長年「重度認知症」(大ボケ)のレベルにあったお年寄りの死亡後の脳の「解剖所見」を基礎とした推測に基づいて、アミロイドベータ或いは、タウ蛋白が情報を伝達する神経細胞を侵し、そのことによって、「記憶の障害」が起きてくることが、「アルツハイマー型認知症」発病の原因だと理解しているのですが、これも重大な「誤解」なのです。

     

脳全体の「司令塔」の役割という極めて重要な機能でありながら、複雑で高度なその働きを調べる「手技」の開発が難しいが為に、これまで脳の専門家達から余り注目されず世界的にも研究が遅れて、脳の中の「空白域」と称されてきた「前頭葉」には、意欲、注意集中力、注意分配力、自発性、発想、計画性、洞察力、工夫、創造力、機転、推理、好奇心、感動、抑制力及び忍耐力並びにテーマや、その内容や、実行の方法や程度などを選択する為に不可欠の「評価の物差し」といった、私達が「意識的」に何かの「テーマ」を思いつき実行しようとする上でなくてはならない高度な機能が集積されています。

「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズム、早期診断と回復及び予防等のテーマについて深く理解するには、この極めて高度な働きをしている「前頭葉」の機能(機能レベルとそのアウトプット)に焦点を当てることが不可欠になるのです。この「前頭葉」の機能は、人間だけに特有のものなのです。この複雑で極めて高度な機能は、人間に最も近いとされるオランウータンやゴリラやチンパンジー等の類人猿にさえ原始的なレベルのものしか備わっていないのです。ましてや、認知症の治療薬の開発段階で記憶に絡むデータが良く使用される「ラット」などにはそのカケラさえも備わっていない、極めて高度な機能なのです。

       

専門家が注意を向けなければならないのは、「前頭葉の機能」機能レベルとそのアウトプットなのであって、いろいろな認知レベルで必要ではあるがその単なる手段としての機能でしかない、「記憶」ではないのです。ましてや、「前頭葉」とのリンクも考えずに単に「症状」だけを基礎とした「記憶」を追っていたのでは、何時まで経っても、「アルツハイマー型認知症」の本質を理解することはできないのです。その「記憶」のレベル(症状の程度及び態様)自体も、「記憶」の構成要素である記銘、保持、想起について「二段階方式」の手技を活用して詳しく調べてみると、「記銘」と「想起」の両面で「前頭葉」の三本柱である意欲、注意の集中力及び注意の分配力の働き具合に大きく左右されていることが分かるのです。

自分が置かれている状況下で、何を(テーマ)どのように(程度及び態様)実行するのか、それをシミュレーションした上で選択することが出来る脳の正常な働き具合、言い換えれば「前頭葉」の正常な機能レベルが失われた時、「アルツハイマー型認知症」は、もう始まっているのです。とわいえ、「前頭葉」の機能だけが異常なレベルに衰えている「軽度認知症」(小ボケ)の段階では、高次機能である「左脳」も「右脳」も「運動の脳」も、機能が全て正常なレベルにあるので、DSM-4が第二の要件として規定している「失語」(左脳の機能障害)も「失行」(運動の脳の機能障害)も「失認」(右脳の機能障害)も全く起きてきていないのです。

       

(コーヒー・ブレイクーその1)認知症の研究者や治療薬を開発している人や医師達は、このことに早く気づいて欲しいと切に願うのです。大事な一生をかけて研究に打ち込んでいるはずなのに、「前頭葉」の機能が備わっていない、本能だけで行動している「ラット」の記憶行動などを追いかけていたのでは、何時まで経っても本質は見えてこないのです。(ここをクリックしてください

(コーヒー・ブレイクーその2)更に、働き盛りの50歳代で「アルツハイマー型」認知症になる人が増えているなどとテレビで放映されることがあります。それらケースの殆どは、「アルツハイマー型認知症」ではなくて「アルツハイマー型認知症」と紛らわしい病気である「側頭葉性健忘症」や「感覚性失語症」や「緩徐進行性失行」とまちがえている場合が殆どなのです。それらのケースは、若年性の認知症と誤診されるケースが多いのです。重度の「記憶障害」の症状や記憶障害と誤診されやすい「感覚性失語」による症状、或いは「緩徐進行性失行」の症状があっても、前頭葉」の機能レベルが正常な場合は、認知症ではないのです。なお、「前頭葉」の機能レベルは、神経心理機能テストで容易に確認できます。CTやMRIでは、確認することはできません。念のため注意を喚起しておきます。

             

そして、原因が分からないとされている「アルツハイマー型認知症」を発病するメカニズムを解明する上で重要なのは、肝心要のこの「前頭葉」には、「20歳を過ぎると、年をとるにつれて100歳に向かって、緩やかではあるが徐々に働きが衰えていく」という特徴を有する老化曲線、言い換えると「正常老化曲線」があること(第一の要件)なのです。それなりに前頭葉の出番がある「生活習慣」を維持していても、加齢とともに機能が緩やかに衰えて行くのです(高齢者の入口である65歳では、三本柱の機能レベルが最も高い20歳ごろのほぼ半分くらいに衰えてきていることが注目すべき要素なのです:「アルツハイマー型認知症」は、60歳以降の高齢者が発病の対象となり、70歳、80歳、90歳と高齢になればなるほど発病する人の割合が、どんどん増えて行くのです)。

私たちが意識的に何かのテーマを思いつき実行しようとするときに、必要とされる各種の認知機能を発揮する上で、必要不可欠の機能である「前頭葉の三本柱」とも言うべき、「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」には、この「正常老化曲線」の性質があるのです。そのカーブは、下図に示すとおりです。

               

この「前頭葉」の老化の曲線のカーブの行く先は、60歳を過ぎた高齢者と言われる年齢になると、脳の使い方という視点からの「生活習慣」に大きく左右されるようになります。脳の後半領域の働きである左脳、右脳及び運動の脳から送られてくる情報の質と量次第で、前頭葉の老化の曲線は、「緩やかなカーブ」(正常な老化)を描き、或いは、「加速度的に低下するカーブ」(異常な老化)を描くのです。 

たくさんの量と質のよい情報が送られてくるような「生活習慣」が継続されているお年寄りは、老化の曲線は緩やかなものとなり、身体が持つ限り脳も保てる、「かくしゃく老人」への道が開けてきます。生き甲斐なく、趣味なく、交友なく、運動もせず、目標もない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続されていて、量も少なく質も劣る情報しか送られてこない「生活習慣」が継続されている(「第二の要件」)お年寄りは、老化の曲線が加速度的な低下の曲線を描いて、急速に低空飛行していくことになります。その先には、「アルツハイマー型式認知症」の発病が待っていることになるのです。(発病のメカニズムについては、ここをクリック)。

            

上述のように、「アルツハイマー型認知症」は、脳の使い方という視点で言うところの「生活習慣病」なのです。本来的な性質として内包している「前頭葉」の「正常老化の曲線」の問題(「第一の要件」)と第二の人生に入って、何かを「キッカケ」にして、「右脳」も「運動の脳」も極端に使う機会が少なくなるような生活、「生き甲斐なく、趣味なく、交友なく、運動も楽しまない」ナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まり、そうした生活が継続していく(「第二の要件」)と、出番が極端に少なくなった「前頭葉」が「第一の要件」と「第二の要件」との「相乗効果」により廃用性の機能低下を起こしてきて老化を加速させていき、「アルツハイマー型認知症」発病への道を歩みだすことになるのです。(「キッカケ」については、ここをクリックしてください)。

高齢になったお年寄りが、何かをキッカケとして、歩行する機会が極端に少なくなると、膝の筋肉が廃用性の機能低下を起こして来て歩けなくなります。「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズムは、高齢者の膝の筋肉が廃用性の加速度的な機能低下を起こしていくのと同じメカニズムと考えられるのです。つまり、「アルツハイマー型認知症」の発病を予防するには、脳をしっかり使う自分なりの「生活習慣」の構築と維持が不可欠だと言うことになるのです。

       

(コーヒーブレイクーその3)前頭葉と左脳及び右脳の働き具合を同時に測定し、その「機能レベル」を総合的に判定すると共に、脳の機能レベルにリンクした「症状」を段階別に定型化し、且つ脳の機能を加速度的に衰えさせる原因となった「キッカケ」後のナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続という「生活歴」の確認により、「アルツハイマー型認知症」の早期診断を可能にした「二段階方式」の手技は、他に例のない独自のものです。その手技の詳細は、「マニュアル」化されています。「二段階方式」の手技は、簡便でありながら、極めて的確に、「アルツハイマー型認知症」の判定、認知症の重症度の判定並びに「アルツハイマー型認知症」以外のタイプの認知症との鑑別及び認知症と紛らわしい病気との鑑別が出来るように工夫され、様式化されています。

        

日本中どこの市町村でも、一部の大都市を除いて、近い将来に高齢化率が30%を超えるような高齢化がどんどん進んでいく中で、独居老人や老夫婦のみの世帯が加速度的に増加してきている現状を考えるとき、「お年寄りが、いつまでも元気なままでいられる」、「身体が持つ限り、脳もちゃんと持たせる」、或いは、「年齢相応の社会生活が送られる」レベルに脳の機能を保つための施策が、すべての市町村で切実に求められているのです。

もちろん、お年寄り本人自身が、「アルツハイマー型認知症」にならない為の最大限の努力を日々行う(「脳が生き生きと働くような」自分なりの生活習慣を構築し、維持するよう努力する)ことが大前提なのですが、家族がそれを側面から支える体制を築き、さらに行政が地域全体で支える「地域予防活動」を展開するための啓蒙活動や支援システムの構築や文化の創成やボランティアの組織化を行うことが超高齢化社会では求められるのです。こうした社会的要求にこたえられる効果的な施策が、エイジングライフ研究所が提案し、450を超える市町村で先駆的に実践されてきた、「二段階方式」に基づく「認知症予防教室」の展開を柱とした「地域予防活動」なのです。

       

そして、脳を活性化する「生活習慣」の構築により、イキイキとした第二の人生を送る上での自分なりの「生き甲斐を創造」する新しいコンセプトに基づく「地域予防活動」を展開する中で、市町村の保健師さん達に期待されているのは、「脳の健康」の必要性と重要性とを地域住民に啓蒙する活動を立ち上げて、全域に拡大していくことなのです。

第二の人生を歩んでいるお年寄りが、家に閉じこもる時間をできるだけ避けて、できるだけ家の外に出ていく時間を多くして、できるだけ多くの人と交わり、コミュニケーションや交歓の場を楽しみしながら、何らかの共通の目的に添った「テーマ」や「活動」を集団で協働して行うこと、換言すれば、「社会生活」を楽しむ時間を集団の中での交わりを通じて共有する生活を送ることが、「アルツハイマー型認知症」の予防に不可欠の条件となるのです。(ここをクリック)

         

(コーヒー・ブレイクーその4)「前頭葉」は、「社会生活」を送る上で不可欠な脳なのです。第二の人生を送っている高齢者にとって、その「前頭葉」を支えるもっとも頼りになる柱は、「右脳」なのです。「右脳」の出番は、趣味や遊びや人付き合いを楽しむ場が中心となるのです。保健師さんを中心とした「アルツハイマー型認知症」予防のための新しい地域活動は、「脳の働きという物差し」により定期的に脳の働き具合を検査する機会を持ち、且つ「右脳を活性化させる集団活動の場」の創造を柱とするものであることを肝に銘じておいて頂きたいのです。

注)本著作物(このブログA-56に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

        エイジングライフ研究所のHPここをクリックしてください)

    

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地域予防活動と保健師さんに期待される役割-その1 Q/A Room(A-55)

2012-08-16 | アルツハイマー型認知症の予防活動

Q:私は、高齢化率が30%を超える小さな町の保健師です。町には、認知症のお年寄りがたくさん居ます。認知症のお年寄りを抱えた家族による介護の状況や精神的にも経済的にも大きな負担を伴う実態を見るにつけ、どうしても「アルツハイマー型認知症」の「予防活動」に取り組みたいと思うのですが、「どのような視点をもち、どのような役割を果たす」ことが保健師に期待されるのでしょうか。

            

A:人生60年といわれていた一昔前の時代と違って、世界に先駆けて超高齢化社会に突入した現在の日本では、誰でも80歳や90歳まで生きるのが当たり前となっています。会社や役所勤めの人のように定年がある場合が典型的ですが、農林業や漁業や自営業の場合でも、60歳から65歳くらいの年齢を起点にして、第二の人生に入るのが通常でしょう。

 この場合第二の人生が20年も30年もある訳ですから、第一の人生がどうだったかだけでなくて、「第二の人生」がどうなるかがとても重要な意味を持ってくることになります。第一の人生がどんなに立派でも、「第二の人生」で早々と認知症になってしまったのでは、自分らしい人生を全うしたことにはならないでしょう。その上、家族による認知症のお年寄りの「介護の負担」を考えるとなおさらのことではないでしょうか。

 第二の人生がとても長い「超高齢化社会」を皆が生きていくのが当たり前と言う現実を考えれば、更には、認知症になった場合の家族による「介護の負担」、或いは、甚大な規模の額となっている市町村や国の「財政的負担」の重さなどを考えれば、身体が持つ限り「脳」もちゃんともたせて、認知症にならずに第二の人生を完走することが、個人のレベルではもちろん、家族のレベルでも、市町村のレベルでも、国のレベルでも強く求められてくるのです。

            

このブログで詳説してあるように、認知症の大多数90%以上を占めるのは、「アルツハイマー型認知症」(老年性アルツハイマー病とも言います)と呼ばれるタイプの認知症です(脳卒中等の病後に、何年かかかって徐々に認知症の症状が出てくるものが、全て「脳血管性認知症」と診断されカウントされています。脳卒中等の既往さえあれば、「因果関係」を確認することもなく、「脳血管性認知症」とするこの診断のやり方は、実は誤りなのです。そもそもこれは「アルツハイマー型認知症」であり、「アルツハイマー型認知症」にカウントされるべきものなのです。)。その正体は、東日本大震災の被災地に居住する極めて多くの高齢者が「アルツハイマー型認知症」を発病(新規の発病及び症状の急激な重症化の進行)してきているという実態からも疫学的に証明されてきているように、「毎日の生活習慣である脳の使い方」が原因の病気、「生活習慣病」なのです。(ここをクリック) 

認知症の大多数を占めていながら、「原因もわからないし、治す方法もない」と言われ放置されてきた「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症は、毎日の脳の使い方という視点からの「生活習慣の改善」により、予防することもできるし、早期の段階(「小ボケ」及び「中ボケ」の段階)で見つければ治すこともできるのです。DSM-4という誤った基準に依拠して診断している精神科医は、回復が困難な末期の段階(「大ボケ」)で見つけるので、原因も分からないし治らないだけなのです。認知症の90%以上を占める「アルツハイマー型認知症」の早期発見による回復と予防と言う「テーマ」が、全国の市町村の重要な施策として、予防活動に専従できる「保健師」さんを育成して実施することが出来るようになれば、個人の心配も、介護に伴う家族の負担も大幅に減少し、市町村や国の財政的な負担も大きく改善されることになるのです。(ここをクリック

      

(コーヒー・ブレイク)「アルツハイマー型認知症」についての医療機関による「診断の実態」をみると、回復困難な「重度認知症」(大ボケ)の段階で見つけて、原因も分からないし、治らないとされて放置されているのです。医療機関としての社会的な役割を放棄していると言っても過言ではないでしょう。医療機関が「大ボケ」の段階でしか見つけられないでいるのは、DSM-4(世界で最高の権威とされる、米国精神医学会の「アルツハイマー型認知症」についての診断基準)という権威はあるが内容が誤っている基準に依拠して診断するためであることは、このブログで詳細に説明したとおりです。(ここをクリックしてください

             

 ところで、「アルツハイマー型認知症」の正体は、生活習慣病であるということには、二つの重要な側面があります。

 1つは、「予防したり治したりするには、投薬や手術や治療などの医行為を必要としない」ということなのです。言い換えると、脳の使い方という視点からの「生活習慣」の改善指導こそが、予防及び回復の為の唯一つの方法となるのです。認知症の大多数を占める「アルツハイマー型認知症」こそ、保健及び予防活動の最も重要な対象となるテーマなのです。そこでは、医師ではなくて「保健師」さんが、その担い手となるのです。

 もう1つ、回復可能な早期の段階である「軽度認知症」(小ボケ)と「中等度認知症」(中ボケ)の段階の診断(早期発見)とその回復及び予防には、投薬や手術や治療といった「医行為」ではなく、「生活改善指導」だけが必要且つ有効な対策となるということは、高額なCTやMRIの使用は不必要であり、「二段階方式」に代表される(保険点数が極めて低い) 「神経心理機能テスト」の活用だけで十分ということになるのです。 

              

(コーヒー・ブレイク)CTやMRIの活用が不必要とされ、(保険点数が極めて低い) 「神経心理機能テスト」の活用だけで十分だとされると、「アルツハイマー型認知症」の早期発見と回復及び予防という「テーマ」は、事業としてペイするだけの収益をあげることが期待できなくなるのです。事業としてペイするだけの収益が期待できないことが明白な早期発見による回復や予防という「テーマ」について、医療機関に大きな役割を果たすことを期待することは無理なことだと思うのです。

厚生労働省の政策レポート(認知症を理解する)を読みましたが、「認知症ケアパスの」体系を構築する上で、この点をどう考えるのかが極めて重要なテーマになると思うのです。

      

結論を言うと、収益はあげられなくても、費用が減るメリットがある、自治体や国でしか「アルツハイマー型認知症」の早期発見による回復やその予防という「テーマ」には対応できないということなのです。こうした視点に立脚すれば、「アルツハイマー型認知症」の早期診断と回復及びその予防活動(A)と「アルツハイマー型認知症」以外のタイプの認知症及び認知症と紛らわしい病気の診断とその対応(B)とは対応の在り方を根本的に従来とは異なる視点から考える必要があると思うのです。即ち、前者(A)は市町村(地域包括支援センター及び在宅介護支援センターを含む)やNPOが主として担当し、後者(B)は医療機関が専権事項として担当するという、両者の「棲み分け」の議論が必要になってくるのではないかと私達は考えています。

          

 日本は世界に先駆けて超高齢社会に突入していますが、この先、高齢化が更に進んでいく中で、なにもしないでこのまま手をこまねいていると、高齢者の大半は、「体が持ちながら、脳が持たない結果として、行き着くところは認知症老人」という悲惨な将来像が、はっきりと見えてきているのです。(ここを「クリック」してください

これからの市町村の保健師さん達は、「脳の健康」という視点から、超高齢化社会を支える重要な役割を担うことになるのです。対象を「アルツハイマー型認知症」に特化した専門家集団として、1つは「早期診断」の窓口活動により、回復可能な「早期段階」の発見と回復を担い、もう1つは「脳を活性化する生活習慣」の啓蒙活動により、発病を予防する為の「地域予防活動」を担うのです。「アルツハイマー型認知症」の早期診断による回復及び地域予防活動による予防が定着していけば、認知症にかかわる種々の問題は大きく改善されていくのです。認知症の大多数、90%以上を「アルツハイマー型認知症」が占めているからです。

              

認知症のお年寄りを抱えた家族の介護の精神的及び経済的負担の重さ、介護保険制度の財政的破綻の可能性などを考えると、高齢者を抱える高齢化率が高い個々の市町村が実施の主体となり、行政活動の中の「重要なテーマ」として「アルツハイマー型認知症」の予防活動を位置づけ、専門家集団を育成して取り組むことが、この先とても重要になると思うのです。

 地域単位で実施する「アルツハイマー型認知症」の「予防教室」での体験を基礎として、個々の住民自体が、脳が活性化する生き方、趣味や遊びや人付き合いを通じた自分なりの「脳活性化策」を日々の生活に取り込み、「生活習慣」として構築していくための「脳の健康」を指導する役割を担うことが保健師さんに求められてくるのです。介護保険で期待されている、従来型の「身体介護サービス」提供の担い手ではなくて、「お年寄りの生き甲斐創造」の手助けとなる新しいタイプのサービスを提供する担い手になっていただきたいと願うのです。   

 注)本著作物(このブログA-55に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

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アルツハイマー型認知症を予防する脳の活性化方法 Q/A Room(Aー54)

2012-08-09 | 認知症に対する正しい知識のQ&A

Q:私達夫婦は、今年中に古希を迎えます。ここまで長生きしてくると、一番心配なのは、アルツハイマー型認知症になることです。脳がイキイキと働くような生活を毎日していれば、アルツハイマー型認知症にならないという話を友達から聞いたのですが、どんな方法が脳を活性化させるのでしょうか。簡単な方法があるなら、教えてください。

     

A: 私達は、意識的に何かの「テーマ」を実行する際の、「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)を含む脳の働き具合とそのアウトプットとしての行為(症状)を「二段階方式」による神経心理機能テストを使って詳細に調べ分析してきました。通常の正常なレベルから、正常下限のレベル、「アルツハイマー型認知症」発病後の「小ボケ」のレベル、「中ボケ」のレベル、更には末期段階の「大ボケ」のレベルに至る「脳の機能レベル」の変化とそれにリンクした各レベルでの「症状」の程度及び態様の経過(変化)について、極めて多数のデータを蓄積してきました。(「小ボケ」から「中ボケ」、「中ボケ」から「大ボケ」へと症状が進行するその間、脳機能の衰え方は、常に加速度的に進むのが特徴であり、この点に注意することが重要です。

           

特に、末期段階の「大ボケ」のレベルでは、脳の機能が或る程度機能している「大ボケ」の初期のレベルから、加速度的に衰えを増していき、最終的には殆ど機能しなくなる「大ボケ」の末期までの間のとても幅広い症状を示すのです。その脳機能レベルのアウトプットとしての「症状」の程度差は、極めて幅広く、且つ深いのが特徴なのです。そのため、区分上は「回復が困難」という意味での同じ「大ボケ」のレベルでも、その中での症状の進行につれて、介護する上での負担がどんどん大きくなっていくのです)。

製薬会社は、「アルツハイマー型認知症」の症状の進行を遅らせる効果があるという宣伝文句でいろんな薬を開発し、販売していますが、私達がこれまでに蓄積してきた脳機能データの分析の結果(15000例に上るデータの解析)から言えば、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を継続したままで居て、飲むだけで、「前頭葉」を含む脳の機能が改善してくる(或いは、脳機能の衰え方が改善される)ような「薬」など存在するはずがない(開発できるはずがない)と考えています。更には、テレビのコマーシャルに出てくるような、飲むだけで「前頭葉」の機能が活性化するようなサプリメントや食物もないと考えています。ここを「クリック」してください

     

 認知症の専門家たちは、長い年月にわたって「重度認知症」のレベルにあった患者の「解剖所見を基礎とした類推」によって、アミロイドベータやタウ蛋白によって情報を伝達する神経細胞が侵され、脱落・消失する為に「アルツハイマー型認知症」の症状(「記憶の障害」を基礎とした種々の症状)が出てくるものと主張していますが、これは重大な誤解なのです。「敵は、本能寺にありなのです!」。

        

私達の「アルツハイマー型認知症」の症例についての「脳の働き具合の変化」とそれにリンクした症状の変化に関するデータの分析結果から言うと、神経細胞が侵されて情報が伝達されなくなってくる為に認知症の症状が出てくる訳ではないのです。「前頭葉」の出番が極端に少ない「生活習慣」、ナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続により、の機能が廃用性の機能低下により加速度的に衰えて行く(使われる機会が極端に減少することで、脳の働き具合が加速度的に衰えて行く)ことによって、情報が次第に処理できなくなっていく(且つ、発信されなくなっていく)結果として、「アルツハイマー型認知症」の症状が出てくるだけのことなのです。(ここを「クリック」してください)

それ故、症状は、「前頭葉」を含む脳の機能レベルが衰えて行くにつれて、それに相応した程度及び態様の症状が出てくるだけのことなのです。「脳の機能レベル」とリンクさせた「症状」について、「小ボケ」、「中ボケ」、「大ボケ」の症状の段階的な差異を調べて行けば、直ぐに分かることなのです。「アルツハイマー型認知症」の専門家と称する人達は世の中に数多いのに、この程度のことが何故分からないのかと不思議でなりません。

                

認知症の専門家達から「原因不明で、治らない」と言われ続けてきた「アルツハイマー型認知症」は、脳の使い方という視点からの「生活習慣病」に過ぎないのです。「アルツハイマー型認知症」が「生活習慣病」であるということは、「アルツハイマー型認知症」を予防する(脳の働きを正常レベルに保つ)には、「普段の生活習慣」が決め手になると考えて下さい。決め手になる生活習慣とは、「前頭葉」の本柱(「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」)の出番が多い生活を自分なりに工夫構築して、「前頭葉」の働きを活発にしてやる日々の脳の使い方、「生き方」のことなのです。

脳全体の司令塔としての「前頭葉」の働きの中核的なそれは、自分の置かれている状況を判断し、状況に沿ったテーマを思いつき、テーマを実行する内容と手順を計画し、実行した場合の結果をシミュレーションし、シミュレーションに基づいて実行すべき内容や手順を選択し、選択した結果に基づいて脳の各部(左脳や右脳や運動の脳)に対し必要な指令を出すという一連の作業を行うことなのです。この一連の作業を一定レベル以上で実行するには、一定レベル以上の「認知機能」の発揮が要求されることになります。その認知機能の発揮レベルを支える基礎となるのが、「前頭葉の三本柱」と言うことなのです。

                  

ところで、「脳を使う」と言うと皆さんは直ぐに「左脳」を使う(仕事や勉強をする)イメージをお持ちだと思いますが、「アルツハイマー型認知症」を予防するための「脳を活性化」させるエース・ピッチャーは、実は「右脳」なのです。皆さんは、「時間が、あっという間に経ってしまう、楽しい体験」をお持ちでしょう。こんな時間こそ、脳全体が極めて活性化している、イキイキと働いている時間なのです。脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」の働きを活発にするのに最も効果的な方法は、「右脳」をしっかり使う生活、趣味や遊びや人づきあいをしっかり「楽しむ生活」を送ることが不可欠になるのです。「趣味や遊びや人づきあい」などを楽しむことで、自分なりに目標や喜びや生き甲斐があり、意欲が湧いてくるような毎日を過ごすのです。

趣味や遊びや人づきあいといった「右脳」重視の生活が、「前頭葉」の出番を増やし働きを活性化させることになり、脳全体の機能が正常レベルに維持されることになるのです。趣味や遊びや人付き合いが苦手な人は、「運動の脳」を使うことが脳を活性化させる上で意外と効果的です。

      

「左脳」を使うテーマも勿論あっていいのですが、皆さんが思っている程の効果はありません。「第二の人生」を送っているということは、仕事はもうテーマにならないので、「勉強」ということになります。ところが、勉強が好きで好きで、食事をするのも忘れて、勉強に熱中した経験があるような人は、恐らく少数派だと思うのです。まして60歳を超えた「高齢者」であればなおさらのことだと思うのです。

世間では、小学校の低学年レベルの「平仮名で書かれた文章の音読」や「一桁の足し算と引き算程度の簡単な計算」(これらは、共に「左脳」を使うテーマなのです)をすることが、脳の活性化に役立つとして教育事業者などから提案されています。このような程度のものでも、その作業をしているときには、関係する脳がそれなりのレベルで働くのは当たり前のことなのです。必要とされる脳機能の程度は低くても、「前頭葉が絡む意識的な世界」であることに変わりがないからです。その時の脳の作用を「f-MRI」などを使って計測しても、それが「効果を証明することにはならない」のです。そのとき、そこに「意識的な世界」があり、関係する脳の機能が働いていると言うことを証明しているだけのことなのです。

これに特化した生活を何カ月か継続させた(趣味や遊びや人づき合いを楽しむ生活を排除しないと正しい評価が出来ない)お年寄りの「前頭葉」の機能レベルの変化(改善の有無)を神経心理機能テストで計測評価してみれば、効果があるのかないのかがはっきりとわかるはずです。私達は、このようなレベルの「左脳」刺激の方法では、大事な時間をかける割に大した効果が期待できないので、極力排除するよう指導しています。

           

第二の人生を過ごしている高齢者にとっては、やるのが楽しくて、時間があっという間に経って、またやりたくなるような「趣味」や「遊び」や「人づきあい」を積極的に楽しむ、「右脳」がらみの生活とその仕方を工夫することが、脳を活性化させるのに不可欠なのです。それを実感できているときは、「意欲」が湧き出ていて、「注意が集中」していて、「注意が分配」できているからです。言い換えると、そうした時間は、「前頭葉の三本柱の働きが、極めて活性化している」生き生きと働いている時間と言うことなのです。 

                 

私達が開発した「二段階方式」のシステムを導入している市町村では、「二段階方式」を活用して、認知症の「予防教室」に参加しているお年寄りたち全員の脳全体の機能レベル(前頭葉、左脳及び右脳)を定期的に検査し、所定の基準に基づき三段階に区分して評価(「改善」、「維持」及び「悪化」)しています。その評価の基礎データと評価結果とは、「二段階方式」の「管理ソフト」により、個人別及び地域単位別に集計され、「時系列管理」されます。極めて多数のデータの分析の結果から、上述した問題が確認されているのです。      

「 仕事」一筋(「左脳」一辺倒の生活習慣)の人生を送ってきていて、「右脳」がらみの生活習慣である「趣味」も「遊び」も「人づきあい」も苦手だったと言う人には、「運動の脳」からの刺激が取り組みやすい上に意外と効果的なのです。 一日一時間の速足での散歩が目標(5000歩が目安)です。その場合も、散歩をするのが楽しくなるような「一工夫」が大切です。散歩するのに安全な場所を選び、散歩してみたくなるような場所を探し、家族や友人仲間と談笑しながら一緒に歩くと効果が一層大きくなります。(脳を活性化させる「魔法の散歩」については、ここをクリックしてください)。

注)本著作物(このブログA-54に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

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アルツハイマー型認知症の早期発見とその方法 Q/A Room(A-53)

2012-08-02 | 認知症に対する正しい知識のQ&A

Q:77歳になる私の義父が、先日近くの大学付属病院で診察を受け、アルツハイマー型認知症と診断されました。診断してくれた精神科医は、アルツハイマー型認知症は治らない病気なので、家族みんなで介護してあげてくださいと言われて帰ってきました。発病の原因としては、アミロイドベータとする説とタウ蛋白であるとする説があるが、どちらも仮説であって、実際のところは良くわからないのだと言われました。しかも、アミロイドベータが発病の原因とする説は、それを否定する有力なデータが出てきている状況だとも言われました。「アルツハイマー型認知症」発病の原因は、どれを信じたらいいのでしょうか。そもそも、治る可能性はないのでしょうか。

      

A:テレビ番組がいろんな種類の認知症の番組を組むので、御承知の方も多いかと思いますが、認知症にもいろんな種類があります。更に、治せる種類のものもあれば、治せないものもあるのです。脳を養っている大小の血管の障害である脳梗塞や脳出血などが原因で発病する「脳血管性認知症」もあれば、遺伝子の異常が原因で若い年齢を対象として発病する「若年性アルツハイマー病」もあります。そのほかにもいくつかの種類の認知症がありますが、それらが認知症全体に占める割合は、極めてわずかなのです。

マスコミが大々的に取り上げて、国民的な課題にすべきなのは、「アルツハイマー型認知症」(老年性アルツハイマー病とも言います)なのです。認知症の大多数、90%以上を占めている上に、末期の段階(重度認知症「大ボケ」)ではなくて早期の段階(軽度認知症「小ボケ」及び中等度認知症「中ボケ」)で発見すれば、脳のリハビリにより回復させることも出来るし(治せるし)、脳を活性化する「生活習慣」の構築により発病を予防することも出来るのが「アルツハイマー型認知症」だからです。

             

認知症の専門家は、「アルツハイマー型認知症」は治せないと言っていますが、それは重大な2つの過ちが原因なのです。「1つ目の過ち」は、末期段階の「重度認知症」(大ボケ)レベルにあった患者の解剖所見に基づいてアルツハイマー型認知症の発病原因を理解しようとしている過ちなのです。「重度認知症」の患者は、長期澗にわたって前頭葉を含む脳の働きが殆ど機能しないレベルで生活していたために(脳が持たないのに、身体がもつのがアルツハイマー型認知症の特徴)、「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)を含む脳全体の機能が廃用性の加速度的な機能低下を起こしたその末期の状態で蓄積された副産物でしかないアミロイドベータの作用による「老人斑の生成」やタウ蛋白の作用による「神経原線維変化」が神経細胞の脱落や消失をもたらすことが発病の原因だと誤解している過ちです。

神経細胞の脱落や消失に過度に目が行っているために、「記憶の障害」を第一の要件と考える「もう1つの過ち」を犯すことになるのです。それは、米国精神医学会が定める「アルツハイマー型認知症」の診断基準「DSM-4」の過ちにもつながっているのです。「DSM-4」は、世界で最も権威があるとされてはいるものの、内容に二つの重大な誤りがある診断基準なのです(現在、内容の重要な改訂を検討中との情報があります)。その「二重の過ち」とは、原因である「認知」を左右している「前頭葉」の機能低下に目が向けられないで、機能低下の結果でしかない症状、特に目がつきやすい「記憶の障害」の症状を第一の要件と考える過ち及び「重度認知症」(大ボケ)の段階になって初めて現れてくる重度の症状を第二の要件と考える過ちなのです。

       

医療機関が「アルツハイマー型認知症」の診断を行う際は、この「二重の過ち」を犯している「DSM-4」に依拠して診断が行われるので、回復が可能な早期の段階である「軽度認知症」(小ボケ)と「中等度認知症」(中ボケ)を見落としてしまい、回復が困難な末期の段階である「重度認知症」(「大ボケ」)でしか見つけられないでいて、「アルツハイマー型認知症」を原因不明で治らない病気と誤解しているのが実態なのです。

       

上記「2つの過ち」については、次の「3つの根拠」を指摘できるのです。1つ目は、「アルツハイマー型認知症」の早期の段階である「軽度認知症」(小ボケ)或いは、「中等度認知症」(中ボケ)の段階で見つけると、脳のリハビリによって、脳の機能が正常レベルに回復してくる(認知症が治る)ことです。2つ目は、神経心理機能テストとして世界的に活用されている「MMS」により、脳の後半領域の衰えて行く状態を調べてみると、MMSで測定される脳の機能に衰えて行く順番がある(出来なくなっていく項目の順番に明確な「規則性」がある)ことです。最後の3つ目は、このブログでたびたび予告し指摘してきたように、東日本大震災の主な被災地である岩手県、宮城県、福島県に居住するお年寄りたちの間で極めて多数の「アルツハイマー型認知症」を発病(新規の発病及び症状の急速な重症化の進行)する人達が確認されてきており、その数の「異常な多さ」は、この先さらに注目されていくことになるということです。

       

マスコミ報道によると、見解を求められた東北大学の或る教授は、東北3県で起きている最近の状況についてそれを「異常な現象」だとコメントしています。これは、「異常な現象」ではなくて、「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズムに係わる「構造的な問題」なのです。「アルツハイマー型認知症」が、脳の使い方という視点からの「生活習慣病」であるという私達の主張が疫学的に証明される結果となっているに過ぎないからです。「異常な現象」などという誤った見方をしてこのまま放置していると、この先、これらの地域に居住するもっと多くのお年寄り達が、「アルツハイマー型認知症」を発病(新規の発病及び症状の急激な重症化の進行)することになり、マスコミが大騒ぎするような極めて大きな社会問題となってくるはずなのです。(「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズムについては、ここをクリック)。

 これまで、認知症の専門家たちから「原因不明で、治らない」と言われてきた「アルツハイマー型認知症」は、脳の使い方という視点からみた「生活習慣病」であり、「早期発見」、「早期治療」が大切な普通の病気だったのです。早く見つける程、回復する可能性が高いのです。その上、「前頭葉」を含む脳全体の活性化という「生活習慣の改善」により、予防することもできるのです。

「軽度認知症」(小ボケ)で見つければ、簡単に治せます(回復容易)。

「中等度認知症」(中ボケ)で見つければ、手間はかかり大変だけど、家族の協力があれば何とか治せます(回復可能)。

「重度認知症」(大ボケ)で見つけたのでは、見つけても手遅れ、どんなに頑張っても治らないのです(回復困難)。

            

 認知症の専門家達は、「アルツハイマー型認知症」の末期段階の大ボケの症状(特に、重度の記憶障害の症状)を物指しとして見つけます。それでは、見つける段階が遅すぎるので、せっかく見つけても治らないのです。貴女のお父さんも、末期の段階で見つけられていて、アルツハイマー型認知症との診断を受けているのです。もっと早い段階、回復可能な早期の段階(「小ボケ」及び「中ボケ」)で見つけられるように、医療機関が見つける方法を変える必要があるのです。

医療機関は、よくCTやMRIを使いますが、CTやMRIなどで脳の萎縮を調べても、「アルツハイマー型認知症」の早期の段階を見つけることはできません。回復可能な早期の段階を見つけるには、「二段階方式」に代表されるような「神経心理機能テスト」の活用による「前頭葉」の機能レベルの変化を含む脳の働き具合を調べる方法に変える必要があるのです。但し、神経心理機能テストの活用は、回復可能な早期の段階を正確に見つけることができるのですが、保険点数が低すぎるため医療機関としては、高額なCTやMRIとの併用でないと事業的にペイしないので、単独では神経心理機能テストを活用出来ないことが大きなネックになっているのです。

             

 ところで、このブログで「アルツハイマー型認知症」からの「回復の方法」と言うときは、「小ボケ」と「中ボケ」だけを対象として回復の方法を説明しています。「大ボケ」の段階にまで脳の機能が衰えてくると、正常レベルに回復させることは無理だからです。「中ボケ」の段階に回復させることさえも、相当に困難と言わざるをえません。

理由は、「大ボケ」の段階にまで脳の働きが衰えてきていると、とりわけ脳の司令塔の役割をしている前頭葉」の三本柱の機能(「意欲」、「注意の集中力」と「注意の分配力」)が殆ど働かなくなってきているので、どんな「生活改善」(脳の使い方としての「生活習慣」の改善)策を実施しようにも、本人の三本柱の機能がそれに反応することが出来ず(改善策の意味を理解できないし、継続的に実行する意欲が出てこないし、実行に必要なレベルでの注意の集中や分配の機能も働かない)、生活改善の実質的な効果が出てこないからなのです。

情報を伝達する神経線維の働きに問題があるのではなくて、情報を発信する源である脳自体が機能していないことが原因なのです。(脳の働きと神経線維との関係は、ポンプとチューブの関係とおなじであり、ここをクリックしてみてください)

             

(コーヒー・ブレイク)専門家(研究者や医師)は、早くこのことに気付いて欲しいのです。しばしば取り上げられる「老人斑」とか「神経原繊維変化」とかは、「アルツハイマー型認知症」を発症させる原因ではないのです。ナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続の下で、脳が加速度的な廃用性の機能低下を起こしていくことの副産物(結果)であって、原因ではないのです。その副産物(結果)を生み出す犯人として、アミロイドベータとかタウタンパクを追いかけている限り、何時まで経っても真犯人(原因)を見つけることが出来ないばかりか、解決策(治療の方法)を見出すこともできないのです。東日本大震災の主な被災地である岩手、宮城、福島の極めて多人数の高齢者たちが、アルツハイマー型認知症を発病(新規の発病及び症状の重症化の急激な進行)してきていると言う事実が、「アルツハイマー型認知症」は生活習慣病であるという私たちの主張を疫学的に証明しているのです。

注)本著作物(このブログA-53に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

         エイジングライフ研究所のHPここをクリックしてください)

    

 

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