認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

アルツハイマー型認知症の治療ー中ボケからの回復(A-86)

2013-05-21 | アルツハイマー型認知症の治療方法

○  「アルツハイマー型認知症」の発病と「前頭葉」の機能レベルとの関係                                                                                                                                                    60歳を超える年齢で、足元がおぼつかない高齢のお年寄りが、雨が降り滑りやすくなった玄関先で、何かの弾みに滑って転んで、複雑骨折をして、何カ月間か病院のベッドに伏せったままでいると、二つの問題を抱えることになります。1つは「身体」の問題であって、長らく使われないままにされている脚の筋肉が廃用性の委縮を起こしてきて、歩行が困難になるのです。他の1つは「脳」の問題であって、「単調な生活」が日々継続する生活環境下のため出番が極端に少ないままでいる「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)が廃用性の加速度的な機能低下を起こしてきて、認知症の症状(「小ボケ」の症状)が出てくることがよくあるのです。実はこれこそが、「アルツハイマー型認知症」発症の1つの典型的なケースなのです。

「老人斑」ができたせいでも、「神経原線維変化」が起きてきたせいでもないのです。転んで、複雑骨折したことが「キッカケ」となって、何か月も病院のベッドに伏せったままで、生き甲斐なく、趣味なく、交友なく、運動もせず、目標もない、あのナイナイ尽くしの「単調な生活」、言い換えると「前頭葉」の出番が極端に少ない日々が続くだけの「単調な生活」が継続したせいで、「前頭葉」が老化を加速させ、機能が異常なレベルに衰えてきたことが直接の原因なのです(「廃用性の加速度的な脳機能の低下」による、「アルツハイマー型認知症」の発病なのです)。

○ 「アルツハイマー型認知症」の診断基準である「DSM-4」の改訂

世界で最も権威があるとされる米国精神医学会の診断基準である「DSM-4」の規定では、「記憶の障害」が「アルツハイマー型認知症」診断の最も重要な要件(第一の要件)とされてきたのです。それを前提にして、「失語」や「失行」や「失認」などの「重い症状」(私達の区分で言う「重度認知症」でも後半にならないと現れてくることがない極めて重い症状が認められることが(第二の要件)とされてきたのです。

ところが、この二つの要件を充足すると、「社会生活」面や「家庭生活」面といったレベルにおける支障というような程度をはるかに通り越して、「セルフケア」の面にも支障が出て来るレベルになるので、日常生活面での「介助」が不可欠になるのです。このブログで何度も問題を提起してきたように、この段階で見つけていたのでは、治すことは(「前頭葉」を含む脳の機能を正常なレベルに回復させることは)、困難になるのです。正常なレベルに脳の機能を回復させることが困難な末期の段階に特有な症状を基準にして、「アルツハイマー型認知症」を診断することにどれほどの意味があるのかと言いたいのです。治すことを放棄してしまっているのではないかと疑わざるを得ないのです。近々公開される予定の 「DSM-4」の改訂版である「DSMー5」では、この点がどのように改善されることになるのか、それとも改悪されるのか、早くその内容を知りたいと思うのですが。

○ 「アルツハイマー型認知症」の本質は、実は「記憶の障害」の問題ではないのです。その診断基準である「DSM-4」の規定を作成した人達が、末期の段階の「重度認知症」の段階にあった人達の「脳の解剖所見」に引きづられて、「重い症状」ばかりに目がいっていることに問題があるのです。単に誤解して、原因ではなくて結果に引きづられているだけなのです。脳機能データの解析による私達の考え方に基づいて、この点をもう少し詳しく、説明しておきましょう。

「前頭葉の諸機能」の障害すなわち、色々な認知機能を発揮する上での基礎となる三本柱の意欲、注意集中力及び注意分配力」の機能の障害並びに理解、考察、発想、企画、計画、観察、分析、洞察、推理、予見、シミュレーション、工夫、機転、抑制、忍耐、興味、創造、感動及び判断等の機能の障害、更にそれらに加えて最終的な実行内容を選択する上で不可欠な機能である「評価の物差し」としての評価機能の障害という「各種の前頭葉機能の障害」を基礎として、左脳、右脳及び運動の脳との協同関係による脳全体の機能レベル(機能障害の異常なレベル)のアウトプット自体が「アルツハイマー型認知症の症状」として発現してくることに気づいていないことが最大の問題なのです。「アルツハイマー型認知症」は、「前頭葉」を含む脳全体としての機能レベル自体が認知症の症状として直接発現してくるのが特徴なのです。従って、(「前頭葉」を含むどの脳の機能が異常なレベルに衰えると、どのレベルの認知症の症状が発現してくることになるのかという一定の診断基準を持たないと、正しい診断をすることもできないし、回復させることが可能な早期の段階を見つけることもできないのです。

ところで、「前頭葉」を含む脳の機能レベルそれ自体が、認知症の症状として発現してくる「アルツハイマー型認知症」は、三段階に区分される「脳の機能レベル」に対応する三段階に区分される「認知症の症状」が、段階的に発現してくるのです。このことが、認知症の専門家とされる人達に未だに認識されていない(理解されていない)と言うしかないのです。 「アルツハイマー型認知症」の場合は、脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」の機能だけが最初に異常なレベルに衰えてくるのが特徴なのです(「軽度認知症」の段階:この段階では、左脳も右脳も未だ正常な機能レベル)。そのため最初の「軽度認知症」(小ボケ)の段階では、「セルフケア」や「家庭生活」の面では何らの支障も起きてこなくて、「社会生活」の面だけ種々の支障が起きてくるようになります。

次いで、「左脳と右脳」も異常なレベルに入ってくる「中等度認知症」(中ボケ)の段階では、「家庭生活」の面にも支障が起きてくるようになります。そして、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」の働きだけでなくて、左脳も右脳も運動の脳までもが極めて低いレベルでしか機能できなくなってくる末期段階の「重度認知症」(大ボケ)の段階になると、「セルフケア」の面にも支障が起きてきて、日常生活に「介助」が要るようになるのです。こうした脳の機能レベルの低下に対応して、段階的に次第に重い症状が出てくるようになるのです。ここで皆さんに注意を喚起しておきたい大事なことがあります。それは、脳の機能レベルをどんどん低下させて行っている犯人は、一部の学者が主張しているような、アミロイド・ベータでもタウ・タンパクでもないということなのです。「脳を使おうとしない生活」、ナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続という「生活習慣」こそが、真犯人なのです。

このブログで何度も指摘してきたように、最初の段階、脳の司令塔の「前頭葉」の働きだけが異常なレベルに衰えてきて、「左脳も右脳も運動の脳」もその働きが未だ正常なレベルにある段階で発現してくる「症状」は、不活発病と揶揄されるようなものではなくて、「アルツハイマー型認知症」の」症状そのものなのです。回復が困難な「末期の段階」ばかりに焦点が当てられていて、「脳リハビリ」による回復が可能な「早期の段階」である「軽度認知症」(小ボケ)或いは「中等度認知症」(中ボケ)の段階は、「不活発病」とか、「老化現象」とか、「軽度認知障害」等の名前で呼ばれて、何等の注意の喚起も対策も施されないで放置されたままでいるのが現状なのです。放置されたままの状態で「軽度認知症」(小ボケ)の段階が3年も続くと、私達の区分で言う「中等度認知症」(中ボケ)の段階に進んでしまうのです。「単調な生活」が継続している下で、脳全体の加速度的な機能低下が更に進行していくことが原因なのです。

「アルツハイマー型認知症」の脳の機能レベルと対応する症状とを区分して観察していれば容易に理解されるように、この「中ボケ」の段階では、「DSM-4」が第二の要件で取り上げているような、「失語や失行や失認」などの重い症状は未だ現れてこないのです。「軽度認知症」(小ボケ)の段階なら回復が容易なのに、「中等度認知症」(中ボケ)の段階に進んでしまうと、回復は未だ可能なのですが、周りの家族を巻き込んでの「脳リハビリ」の為の大変な対応が要求されることになるのです。この段階さえも「老化現象だ」等と見誤って放置し、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が更に2~3年間継続していくと、「中等度認知症」(中ボケ)レベルに回復させることさえもが困難になる末期段階の「重度認知症」(大ボケ)の段階に入ってしまうことになるのです。「DSM-4」の規定に依拠して診断を行う限り、末期の段階である「重度認知症」の段階でしか「アルツハイマー型認知症」を見つけることができないのです。このことに「米国精神医学会」でさえ気づいていないのです。

「重度の記憶障害」の症状が出ていて、且つ「失語」とか「失行」とか「失認」とかの末期段階に初めて見られる症状が出てくる「重度認知症」(大ボケ)の後半の段階になって「アルツハイマー型認知症」と診断していたのでは(それが、DSMー4」の診断基準なのですが)、見つけるのが「遅すぎる」ことになってしまうのです。この段階で見つけていたのでは、せっかく見つけても手遅れ、「アルツハイマー型認知症は、原因も分からないし、治らない」病気にされてしまうだけなのです。

ところで、アミロイドベータ仮説やタウ蛋白仮説の考えを信望する人達が開発を目指している「アルツハイマー型認知症」の「治療薬」とは、異常なレベルに機能が衰えている「前頭葉」を含む脳の機能レベルを、飲むだけで(或いは、貼るだけで)、正常なレベルに引き戻すことが出来る薬と言うことになります。 意識的な思考や行為或いは言動をコントロールしている、脳全体の司令塔である前頭葉」の機能を含む脳全体の働き方のメカニズムから考えたとき、そのような効能を持った薬が開発できるとは考えられないのです(あり得ないと私達は考えるのです)。

飲むだけで(貼るだけで)正常なレベルに脳の機能を回復させることがあたかも可能であるかのような「新薬開発」の言葉がマスコミの記事で踊る度に、市町村による「予防」活動への取り組みが遠のいていくことになるのです。日本全体での高齢化率が30%を超えた時、取り返しのつかない状態がくるのです。予防は、啓蒙活動だけでは足りないのです。市町村による(保健課や地域包括支援センター等)早期診断の窓口の常設と小規模単位集落ごとでの「地域予防活動」の密な実践とが不可欠になるからです。

「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズムは、「前頭葉」を含む脳が「廃用性の機能低下」により、働きが異常なレベルに加速度的に衰えてくる結果として、認知症の「症状」が発現してくる(脳の機能レベルのアウトプットが症状)ということなのです。従って、「アルツハイマー型認知症」を治療する方法とは、脳の使い方としての「生活習慣」の改善によって、異常なレベルに衰えた脳の働きを正常なレベルに引き戻すこと、それしか他に方法はないのです。日常生活の様々な場面で「前頭葉」を含む脳全体を活性化させてやること、「趣味」や「遊び」や「人づきあい」や「運動」、或いは「社会活動」等を自分なりのやり方で楽しむ生き方を「生活習慣」化すること、自分なりの目標生き甲斐がある生活を日々送ることが唯一無二の治療法となるのです。意欲、注意の集中力及び注意の分配力という「三本柱」の機能が活性化されるような「テーマ」の実行、「前頭葉」の出番を増やしてやる(しっかり使ってやる)「テーマ」の実行を生活習慣化することしか他に方法はないと言うのが、脳の機能データと実践に裏付けられた私達の結論なのです。

但し、「重度認知症」の段階にまで脳の機能が衰えてしまった時は、「前頭葉」の機能自体が殆ど働かなくなってきているので、本人が状況を理解することができない上に、脳を使おうとする意欲さえ全く出てこなくなるので(その先はできなくなる)、正常なレベルは愚か、「小ボケ」や「中ボケ」のレベルに回復させることさえも、もはや期待できなくなってしまうのです。

○ それでは、今日の主題である「中ボケからの回復」の方法について、その要点を説明することにしましょう。

世間では「アルツハイマー型認知症」の原因が分からないでいるせいか、症状を段階的に区分することさえもしていません。「社会生活」面での支障と「家庭生活」面での支障と「セルフケア」面での支障とでは、支障のレベルも態様も次元が異なるレベルの差異があるにも拘わらず、同列にしか考えていないというか、「十把一絡げ」の扱い方しかしていないのです。「前頭葉」を含む脳の機能レベルが直接「認知症」の症状として現れてくるのが「アルツハイマー型認知症」の特徴であると考えている私達は、3つの段階に区分される脳の機能レベルに応じて、症状も、「軽度認知症」(小ボケ)の症状、「中等度認知症」(中ボケ)の症状及び「重度認知症」(大ボケ)の症状の3つの段階に区分しています。今回のこのブログでは、「中等度認知症」(中ボケ)からの回復について説明します。

「アルツハイマー型認知症」の最初の段階である「軽度認知症(小ボケ)の段階を「不活発病」などと誤解して、「前頭葉」機能の活性化による機能の回復を図るための何らかの対策を施すこともなく、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続されたままで居ると、次の段階である「中等度認知症」(中ボケ)の段階に入っていくことになります。この場合、脳の使い方としての「生活状況」が人それぞれなので、それなりの差異は有るのですが、通常のケースでは「軽度認知症」(小ボケ)の期間は大体3年間続きます。

「中等度認知症」(中ボケ)は、脳の司令塔である「前頭葉」の働きが「軽度認知症」のときより更に異常なレベルに加速度的に衰えてきている上に、「軽度認知症」のときは未だ正常だった「左脳」と「右脳」と「運動の脳」の働きも異常なレベルに衰えてきていて、「脳全体」の働き具合が異常なレベルになってくるのです。三頭建ての馬車の御者だけでなく、3頭の馬さえもが異常なレベルに衰えてくる、それが「中ボケ」の段階なのです。脳全体の働き具合が異常なレベルに入ってきた「中等度認知症」のお年寄りの脳の働き具合は、「4~6歳児」相当のレベルと考えると、実態によく合致します。

自分が置かれている状況の判断も、状況判断に基づく「テーマ」の発想や企画も、「テーマ」を構成する内容の組立或いはそのやり方の工夫も、実行するに際して事前に行われる洞察や推理やシミュレーションも、最終的な実行の決断も、「4~6歳児」相当のレベルの脳が行っているのです。「中等度認知症」(中ボケ)のイメージは、家庭内の簡単な用事程度のことさえもちゃんとできないのに、口先だけは一人前、「言い訳の上手い幼稚園児」が特徴です。家族、特に同居していない家族は、口先にごまかされないよう、中身をしっかりと見極めていただきたいのです。

「中等度認知症」(中ボケ)の段階になると、情報の認知度を左右する三本柱の機能である「意欲、注意集中力と注意分配力」の働き具合が、「軽度認知症」(小ボケ)のレベルよりも更に不十分にしか働かなくなります。その結果、認知それ自体とその記銘、保持及び想起の機能の発揮が更に不十分なものとなってしまうのです。「左脳」がらみの論理的思考や計算や言葉に対する理解、或いは「右脳」がらみの色や形や時間や空間などに対する認知、更には自分が置かれている状況の判断等にも、家庭生活を送る上でトラブルが起きてくる程の支障が出てくるのです。

状況の判断、物ごとの理解や見通し等の判断が「幼稚園児」の程度となる結果、「家庭生活」面に支障やトラブルが起きてくるようになります。但し、「中等度認知症」の段階では、「家庭生活」面に支障が出てくるとは言え、衣服の着脱、食事、大小便、入浴など身の回りのこと(所謂、「セルフケア」)は自分で一応できるので、家族に迷惑をかけることはあまりないのです。そのため家族も、「アルツハイマー型認知症」を発病しているとは考えもせず、「年のせい」くらいにしか考えないで、悠長に構えているのが普通なのです。

「中等度認知症」(中ボケ)の段階になると、食器の片付けや、洗濯物の取り込み、庭の草むしりといった、「家庭内の簡単な用事」程度のこともちゃんとできなくなります(「4~6歳の幼児」がやる程度にしかできないのです)。せっかく洗ってくれたお茶碗はもう一度洗いなおさないといけないし、庭の草取りをしてもらうと花の苗まで抜いてしまいます。この程度にまで脳の機能が衰えてきていても、「DSM-4」が「第二の要件」に掲げている失語や失行や失認等の「重度の症状」及び第一の要件に掲げている「重度の記憶障害」の症状は発現してこないので、家族がせっかく病院に連れて行っても、「アルツハイマー型認知症」とは診断されないのです。

「前頭葉」の機能が異常なレベルに衰えてきているとはいえ、「軽度認知症」(小ボケ)の段階では、未だ自覚が持てます。「意欲もわかないし、根気が続かないし、てきぱき出来ないし、発想も湧かないし、物事に感動することもないし、どうかしたのだろうか・・・」と自身が感じていて、「以前の自分と比較して、自分のどこかがおかしい」という自覚を明確に持っていて、自分の状態に「不安」を感じてもいるのです。ところが、「中等度認知症」(中ボケ)の段階になってくると、そうした自覚を持つこと自体が出来なくなってくるのです。

自分の状態(軽いとはいえ、れっきとした「認知症」の症状なのですが、、、)に対する自覚がもてないので、不安も全くと言っていい程に感じていないのです(脳の機能レベルの更なる低下が原因で、感じることがもうできないのです)。逆に、家族が、「こんなところが、こんなふうにおかしい」と指摘しても、「そんなことはない。私は、ボケてなんかいない」と言い張るのです。その上、自分のおかしな言動についての、一端の言い訳(ヘリクツの類)ばかりを並べ立てるのが「中ボケ」の特徴なのです。

「中等度認知症」(中ボケ)の段階になっても手をこまねいていて(そもそも、本人には自覚がないのですが、家族を含む周りの人達にも状況が理解されていなくて)、相変わらずナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続されたままでいると、「前頭葉」を含む脳全体の廃用性の機能低下が更に加速度的に進んでいき、回復が困難な末期の段階である「重度認知症」(大ボケ)の段階に入っていくことになるのです。

前回のこのブログでは、「アルツハイマー型認知症」の最初の段階である「軽度認知症」(小ボケ)の症状が出てきているお年寄りの症状を治す(前頭葉の働きを正常なレベルに引き戻す)方法と留意点について説明しました。異常なレベルに機能が衰えた「前頭葉」の働き具合を正常なレベルに回復させるには、「前頭葉」の出番が多い生活に変えて、「前頭葉」の働きを活発にしてやることが必要不可欠、唯一無二の方法だと言いました。

やるのが楽しくて、時間があっという間に経って、またやりたくなるような、趣味や遊びや人づきあいを楽しむ生活(「右脳」の活性化を目的とした生活)とその仕方を工夫するのが大切だと言いました。脳の活性化が異常なレベルに衰えた脳の機能を正常なレベルに回復させる(認知症を治す)唯一の方法という点では、「軽度認知症」(小ボケ)も「中等度認知症」(中ボケ)も基本的には同じなのです。但し、両者の脳の機能レベルが異なる段階にあるので(小ボケ」では、「前頭葉」の機能だけが異常なレベルであったものが、「中ボケ」になると左脳も右脳も異常なレベルに機能が衰えてくるので)、「中ボケ」の段階になると、自分にどこかおかしなところがあるという認識がもてなくなってしまうのです。そのため、「中ボケ」のレベルにある本人の脳を活性化するための「テーマ」の選択や実行の程度や態様或いは実行する上での様々な工夫について、周りが留意すべき点が多くなり並びに家族が周りから本人を支えるべき手間や程度や態様が一段と要求されることになってくるということなのです。

○  「中ボケ」の脳リハビリに対する家族の心構え

「中ボケ」は、「小ボケ」より達成目標を下げると共に、本人が頑張って実践すべき脳活性化のための「テーマ」自体の計画や実行について、家族自身も一層の手間をかけることが必要不可欠になります。「中ボケ」のレベルになると、「左脳も右脳」も異常なレベルに衰えてきているために、「時の見当識」や「所の見当識」と呼ばれる認知機能が異常なレベルに衰えて、揺らいでくるのです。そのため、「今日が何月何日なのか」が分からなくなってくるのです。今までに行き慣れている所に行くのにも、間違うようになってくるのです。

その上、「自分の脳の働き具合が、どこかおかしいという自覚もない」のが普通なのです(自分の脳の働き具合がどこかおかしいという自覚がもてるのは、「小ボケ」のレベルまでになります)。脳を活性化させるための生活習慣に取り入れる「テーマ」は「小ボケ」と同じでも、やり方や程度や態様及び頻度を変える必要があるのです。従って、家族の深い理解と十分な後押しとが、「小ボケ」の段階よりはるかに重要な役割を担ってくるのです。そのため、家族の負担が極めて重くなります。但し、「中ボケ」までなら、未だ脳の機能レベルが正常なレベルに回復する可能性があるので、家族には自分自身のためにも頑張っていただきたいのです。「大ボケ」のレベルにまで脳の機能を衰えさせてしまうと、回復の可能性はなくなります。その一方で、「身体だけは何時までももちつつ、脳の機能が更に衰えていく」のが「アルツハイマー型認知症」の特徴なので、家族自身が共倒れになってしまうのです(或いは、自分なりの人生を送ることができなくなってしまうのです)。

●家族がいくら説明して、おかしな言動があるといっても、「わたしは、ボケてなんかいないよ、何ともないよ」と言い張って、一向に家族の話を聞こうとはしなくなります。「中ボケ」の段階に特有な、いろいろな症状が出てきていて、「家庭生活」面に様々な支障やトラブルが起きていても、自分自身の問題としての理解ができないのが「中ボケ」の特徴でもあるのです。

●「中ボケ」のレベルになると、脳を活性化するための努力の必要性を理解することも出来ません。それでいて、理解力や判断力が衰えてきている割に口は立つので、口先だけの色々な理由を並べ立てます(単にやりたくないが故のヘリクツのたぐい)。家族が必死になって前から引っ張ったり、後から押してあげないと、脳が活性化するような生活習慣の改善(脳リハビリ)に真剣に取り組もうとはしないのです。

●周りの人(できれば同居の家族)が、本人の過去の趣味や遊びや人づきあいの仕方の程度とか生活環境などを考えて、「テーマ」自体とそのやり方を具体的に計画してあげてください。具体的な生活習慣の改善を計画し、家族全員で本人を支えて、「脳リハビリ」の実行に一緒に取り組んであげることが、改善への道につながる不可欠の条件になります。

●口先だけが達者な「中ボケ」に対する脳リハビリのコツは、本人の発言に惑わされずに、行動を根気よく観察することから始まります。着衣・食作法・トイレや入浴・家事(炊事・洗濯・片付け・掃除・庭や畑仕事)などの行動や言動或いは実行のレベルをよく観察することが大切です。身についた行動なのでたまにはスムーズにできることもありますが、自身の判断が必要な状況になると、とたんにトラブルが発生します。その状態を、こどもの行動レベルと比較してみると、よく理解できるはずです。幼稚園の年少・年中・年長に相当するレベルと考えると、納得がいくはずです。

●「脳リハビリ」の項目や「テーマ」は「小ボケ」と同じでも、幼稚園児に対する指導と同じように、噛み砕いて簡単にすることが必要です。更には、目標レベルが高すぎないことが肝心です。本人が過去に熱中していたり、得意だった分野や「テーマ」があれば、必ずそれを取り入れるのです。「昔取った杵柄」が頼りとなります。

●行動は幼稚園レベルに低下していても、数十年生きてきた体験そのものは消えるわけではないので、「言葉遣い」や「態度」にはそれなりの注意が必要です。「左脳」よりも「右脳」の方が衰え方の進行が緩やかなので、「言葉や論理」に対する理解が十分でなくなっても、感覚的或いは感情的な部分は家族が思っている以上に未だ働くのです。

 注)本著作物(このブログA-86に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

エイジングライフ研究所のHPここを「クリック」してください。

機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)

 http://blog.goo.ne.jp/quantum_pianist

 http://blog.goo.ne.jp/kuru0214/e/d4801838dd9872301e0d491cd8900f1a

 

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アルツハイマー型認知症の治療ー小ボケからの回復(A-85)

2013-05-11 | アルツハイマー型認知症の治療方法

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                             

○「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズム

脳の司令塔の「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)の働きには加齢とともに老化していく性質があります。正常な老化の場合でも、高齢者と呼ばれる年代の65歳頃になると誰でも、「前頭葉」の働き具合が20歳の頃に比べて半分程度にまで衰えてきています(加齢による「前頭葉」の「正常老化」)。そして、加齢による「前頭葉」の「正常老化」の進行は、70歳代、80歳代、90歳代と年をとるにつれて、直線的ではあるが緩やかに「低空飛行」の状態に入っていくのが特徴なのです(「第一の要件」)。

正常な老化の過程とはいえ、加齢による老化により「前頭葉」の機能が低空飛行状態に入ってきている60歳を超えた高齢者と呼ばれる年齢の「お年寄り」「第一の要件」)が、脳を積極的には使わない生活、生き甲斐や目標もなく、趣味や遊びや人付きあいもなく、運動もしない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を日々続けていると(「第二の要件」)、出番が少ないために使われる機会が極端に減った「前頭葉」が廃用性の機能低下を起こしてきて、第一の要件と第二の要件とが重なり合うことの相乗効果により「前頭葉」の老化が加速度的に進行していくのです。「前頭葉」の働きが加速度的な速さで衰えていき、「異常なレベル」に衰えてきたところに、「アルツハイマー型認知症」(晩発型アルツハイマー病)の発病が待っているのです。 

       

 脳全体の司令塔で、置かれている状況を判断したり、状況判断に基づいて何をするのかの「テーマ」を思いついたり、「テーマ」を実行するための「計画」を立てたり、そのやり方を工夫したり、「テーマ」の実行の仕方や予見される実行結果に対する洞察や推理やシミュレーションをしたり、状況の変化に応じて機転を利かせて対応を変更したり、或いは感情の吐露の仕方や程度や態様について、状況の評価に基づく必要な抑制をしたり、実行結果の体験に感動したりする等、各種の高度な働きを担当しているのが「前頭葉」なのです。私達が意識的に何かをする世界、思考や行為や行動をする場面をコントロールしているのが「前頭葉」なのです。廃用性の異常な機能低下を直接の原因として、「前頭葉」の働きが正常なレベルで機能できなくなった段階で「社会生活」に支障が出てくるようになります。すなわち、失語や失行や失認等の重い症状が全く認められない、極めて早期のこの段階で、「アルツハイマー型認知症」が始まるのです

(コーヒー・ブレイク) 米国精神医学会が定める「アルツハイマー型認知症」の診断基準である「DSM-4」の改訂版として「DSM-5」が今月中に公開されると聞いているのですが、「DSM-4」の規定で第二の要件に規定されていた「失語や失行や失認」等の末期段階の重い症状の取扱いを変更できているのかどうか(削除しているのか否か)が、回復可能な早期の段階を見つけることに直接関係するので、期待しているのです。但し、肝心の「前頭葉」に目が向けられていなければ、期待は失望に変わってしまうのですが。

本題に戻ります。自分なりの生き甲斐や目標がある生活を過ごすことで、日々使ってやることが脳の機能を正常なレベルに保つ上で不可欠の条件となるので、使われる場面が極端に減少するような生活は、極めて危険な生活ということになるのです。「前頭葉」を含むこうした脳全体のメカニズムからすると、これといった生き甲斐もなく、楽しんだり熱中したりできる趣味もなく、親しく交友する友達もなく、散歩程度の運動もせず、達成しようと心に決めた目標もない生活、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が来る日も来る日も繰り返される毎日を生きているということは、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」の出番が極端に少ない毎日を過ごしていることになるのです。

そうした脳の使い方が毎日繰り返されているだけの「単調な生活」の下では、「前頭葉」の根幹をなす機能(基礎的な機能)である「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」という「三本柱」の機能の出番が極端に少ないということなのです。この「三本柱」の機能には、加齢と共に働きが衰えてくるという「正常老化の性質」が備わっているのです。そのため、60歳を過ぎた「高齢者」と呼ばれる年齢のお年寄りが、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を日々継続していると、お年寄りなら誰でも経験があるあの体験、「膝」の筋肉の衰えと同じようなことが、「脳」の機能にも起きてくるのです。

例えば足腰が痛いとか痺れがあるとか、何かの拍子に、出不精を決め込んで外に出ていかないで部屋にこもったままの生活をしていると、膝の筋肉があれよあれよという間に衰えていくのと同じように、「三本柱」の機能を使う機会が極端に少ない生活が継続されていると、廃用性の機能低下が起きてきて、「前頭葉」を含む脳の機能が加速度的に衰えてくるのです。脳の機能が加速度的に衰えていく結果として、異常なレベルに衰えた脳の機能レベルの直接のアウトプットとしての「アルツハイマー型認知症」の症状が現れてくることになるのです。

 

世間で認知症の専門家達から原因不明と言われている「アルツハイマー型認知症」は、上述したように、「加齢とともに脳の老化が進む」(加齢に伴う正常老化)という(「第一の要件」)「ナイナイ尽くしの単調な生活の継続」(廃用性の機能低下)という(「第二の要件」)の二つの条件の「相乗効果」により、脳の老化が「加速度的に進んでいく」ことによって発病するというのが私達の考えなのです(「廃用性の機能低下」のメカニズム)。

このメカニズムのもとでは、「第一の要件」は誰しも共通であって、「第二の要件」こそが「アルツハイマー型認知症」を発病するかしないかを決定づける条件となります。更に「第二の要件」こそは、発病を「予防」する生活習慣を構築する上で考慮すべき「テーマ」並びにその実行にかかわる程度及び態様を考える際の重要な視点ともなるのです。認知症の大多数90%以上を占める「アルツハイマー型認知症」は、ナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続という、第二の人生での「生活習慣」と密接な関係がある病気、廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」であるというのが、極めて多数の脳機能データの解析による私達の結論なのです。

○  「アルツハイマー型認知症」の症状と脳の機能レベルとの関係

「アルツハイマー型認知症」は、「前頭葉」を含む脳の機能レベル自体が「認知症の症状」としてそのまま現れてくるのが特徴なのです。世間では「アルツハイマー型認知症」の原因が分からないでいるせいか、認知症の症状を区分けることをしていません。私達が開発した「二段階方式」と呼称する神経心理機能テストに基づいた極めて多数の脳機能データの解析を根拠として、「前頭葉」を含む脳の機能レベルが直接「認知症」の症状として現れてくると考えている私達は、3つの段階に区分される脳の機能レベルに応じて、症状も「軽度認知症」(小ボケ)の症状、「中等度認知症」(中ボケ)の症状、「重度認知症」(大ボケ)の症状と呼称する3つの段階に区分しています。

米国精神医学会が定める診断規定である「DSM-4」は、「アルツハイマー型認知症」であると診断するための第一の要件を「記憶の障害」としています。そのため医療機関で受診すると、専門の医師は、第一の要件に規定されている「記憶の障害」の症状があるかどうかを先づ確かめようとするのです。次いで、第二の要件に規定されている「失語や失行や失認」などの症状が出ているかどうかを確認しようとするのです。私達の脳機能データによれば、「失語や失行や失認」などの症状は末期段階の「重度認知症」の段階にならないと発現して来ないとても重い症状なのです。第一の要件とされる記憶の障害についての程度や態様についての規定はないのですが、両者は同じ人に発現している診断時の症状ということになるので、「記憶の障害」自体も極めて重い記憶の障害の症状ということになります。それがために、「ついさっき食事をとったことさえも思い出せない」ような症状が記憶障害の基準例として取り上げられているのです。

「アルツハイマー型認知症」としての「認知症の症状」が現れてくる最初の段階である「軽度認知症」(小ボケ)の段階で認められるそれらの症状は、「DSM-4」が言うようなレベルの「記憶障害」の症状とは全く関係が無いのです。「意欲や注意の集中力や注意の分配力」など、「前頭葉」の機能の根幹(基礎)をなしていて、「前頭葉」の各種の高度な機能の「認知度及び発揮度」を左右している「三本柱の機能」が異常なレベルに衰えていることが、症状として現れてくるだけなのです。つまり、「小ボケ」の段階では、「三本柱」の機能障害の症状が「認知症の症状」として現れてくるということなのです。勿論この段階では、「DSM-4」で第二の要件として規定されている失語や失行や失認などの重い症状は、そのカケラさえも認められないのです。

「アルツハイマー型認知症」の初期(最初)の段階であり、私達の区分で言う「軽度認知症」(小ボケ)は、左脳と右脳と運動の脳は正常レベルなのですが、脳全体の司令塔である「前頭葉」の働きだけが異常なレベルに衰えてきているのです。そのため、「前頭葉」の機能のうち最も重要な「三本柱」の機能である「意欲」、「注意集中力」及び「注意分配力」が的確に発揮されなくなります。この「三本柱」の機能の衰え具合の相乗効果としての働き具合いが、いろいろな認知機能の対象となる情報や思考の処理にかかわる「認知度」及び「発揮度」を左右しているのです。その結果、小ボケの段階では、この「三本柱」の機能が異常なレベルに衰えてきていることの機能障害を示す症状が「小ボケの症状」として特徴的に現れてくるのです。

「三本柱」の機能が異常なレベルに衰えた影響が、発想や企画や計画や洞察や判断や機転や感動や抑制といった「前頭葉」の各種機能の「認知度」及び「発揮度」に影響するために、対象となる情報や思考の認知及び記銘やその保持や想起並びに処理の面でも、機能の発揮が不的確で不十分なものとなるのです。そのため、的確な状況の判断、発想、計画、創意、工夫、機転といった機能、或いは的確な見通しや意思決定などが要求される、「社会生活」の面で、程度や態様を含む種々の支障が出てくるようになります。その結果、「社会生活」面での種々のトラブルが生じてくるようになるのです。勿論、この段階では、「家庭生活」の面にも「セルフケア」の面にも何の支障も起きてはきません。それぞれの段階で必要とされる「脳の機能のレベル」が異なるからなのです。

○ 「小ボケ」レベルでの「中核的な症状」の特徴を挙げると、次の5つの要素を中核とする種々の支障が、「社会生活」のいろいろな面で現れてくるのです。

● 自分の置かれている状況を的確に判断できなくなります。

● 発想が湧いてこなくて、見通しも立たないので、この一日或いは一週間、何をどうするのかという「テーマの発想と計画」が出来なくなります。

● 何かをしようとする「意欲」が出てこなくなり、毎日をボンヤリと過ごして、居眠りばかりするようになります。

● 何事をするにつけても人を頼るようになり、指示してもらわないと動けない「指示待ち人」になります。

● その人らしい「生活態度」が消えていき、「こんな人ではなかったのに」と周りから言われるようになります。

○ 「小ボケ」(指示待ち人)の段階で現れてくる認知症の症状 

「前頭葉」の機能だけが異常なレベルであって、「左脳も右脳も運動の脳も」未だ正常な機能レベルにある「小ボケ」の段階で発現してくる「小ボケ」の症状は、「前頭葉」の根幹(基礎)をなす働きである「三本柱」の機能が異常なレベルに機能低下したことのアウト・プットそのものなのです。以下に列記するのは、「軽度認知症」(小ボケ)の段階に見られる特有の症状です(4つ以上に該当していると、「小ボケ」のレベルであることが疑われます)。

□ 複数のことに注意が分配できなくて、3つの用事が同時にさばけない

□ 機転がきかなくて、創意工夫ができない

□ 発想が乏しくて、画一的な行動が目立つ

□何事をするにも億劫で面倒がり、何かをやってみようという意欲が見られない

□ 同じ食材を買ってくることが多く、料理の献立の単調さが目立つ

□ 一日や一週間の計画が自分で立てられず、なにも思いつかない様子

□ 朝は遅くまで起きてこないのに、気がつくと居眠りしている

□ これまでなら感動していたことに対して感動しない

□ 問いかけに対する反応が遅く、生き生きした笑顔がほとんど見られない

□ ぼんやりしていることが多く、自分から何もしないが指示されるとできる

□ 根気が続かず中途半端なことを繰り返し、やりかけの家事が目立つ

□ 目の光がどんよりしていて、顔つきが無表情

□ 反応が遅く動作がもたもたしていて、階段をトントンと降りられない

□ 歩くとき前屈みの姿勢で、小股でトボトボと歩く

□ 料理の手際が悪くなり、家族数に関係なく多すぎる量の料理を作る

□ 自分に自信がなくなり、何かにつけ人を頼ろうとする

□ 髪の手入れや、おしゃれに無関心

□ 同じ内容を繰り返して話し、そのことに本人が気づかない

□ 会話の最中唐突に、一方的に言いたいことを言い相手の話しを聞かない

□ 思い込みや思い違いが多く、指摘しても訂正や変更ができない

□ これまでなら楽しんでいた趣味や外出や旅行を嫌がる

 

○  「小ボケ」の治療は、脳を活性化させる「テーマ」の実行を生活習慣化すること(脳のリハビリ):

「軽度認知症」(小ボケ)は、「前頭葉」の三本柱の機能である、意欲、注意の集中力及び注意の分配力の働きが異常なレベルに衰えているだけなので、その機能を正常なレベルに引き戻してやれば脳全体の機能が正常なレベルに回復するのです(認知症が治る)。どうやって「前頭葉」の機能を正常なレベルに回復させるのか、それは、「三本柱」の機能の出番が多い「テーマ」を実行する生活を中核とする日々の過ごし方を考え、そうした「テーマ」の実行を「生活習慣化」することにより、「三本柱」の機能を正常レベルに回復させるのです。

「アルツハイマー型認知症」も、早期発見、早期治療が大切なのです。早く見つける程、回復する可能性が高いのです。標語的な表現を借りて言えば、「小ボケで見つければ、簡単に治せます(回復容易)」、「中ボケで見つければ、手間はかかり大変だけど、家族の協力があれば未だ治せます(回復可能)」、「大ボケで見つけていたのでは、見つけても手遅れ、治らないのです(回復困難)」。世間では、「DSM-4」の規定に準拠した診断をするので、言い換えると末期の段階である「大ボケ」の症状を物指しとして、「アルツハイマー型認知症」を見つけようとするので、せっかく見つけても治らない(治すことができない)のです。

○  今回は、「小ボケ」からの回復方法についての基本的な考え方を説明します。

「アルツハイマー型認知症」の最初の段階、「軽度認知症」(小ボケ)の症状が出てきているお年寄りの症状を治す(「前頭葉」の働きを正常なレベルに引き戻す)には、「前頭葉」の出番が多い生活に変えて、「前頭葉」の働きを活発にしてやることが必要不可欠、唯一無二の方法なのです。効く薬はないし、薬は効かないのです。「アルツハイマー型認知症」は、ナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続を第二の要件とする、廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」なので、「アルツハイマー型認知症」を治す薬を開発することは、最近流行りの「ips細胞」に頼ろうとも、不可能なことなのです。

ところで、脳を使うとか、脳を活性化させる方法というとみなさんは、すぐに読書や計算、つまり、「左脳」を使うことだと考えていませんか。お年寄りと言われる年齢の高齢者にとって、「前頭葉」の働きを活発にするのに最も効果的な方法は、「右脳」をしっかり使う生活、趣味や遊びや人づきあいをしっかり楽しむ機会をできるだけ多く日々の生活の中に取り込むこと、「生活習慣化」することなのです。趣味や遊びや人づきあいなどを楽しむことで、自分なりの目標や喜びや生き甲斐があって、取り組む意欲が湧いてくるような「テーマ」を日々の生活に取り込んで暮らすようにするのです。

趣味や遊びや人づきあいといった「右脳」中心の生活或いは、運動や散歩や体操などの「運動の脳」を使う生活習慣が、「前頭葉」の出番を増やし、働きを活性化させることになり、「前頭葉」の元気を取り戻させせることになって、正常なレベルに機能が回復してくる(「アルツハイマー型認知症」が治る)ことになるのです。

やるのが楽しくて、「前頭葉」の三本柱の機能である「意欲や注意の集中力や注意の分配力」の出番が多くて、時間があっという間に経って、またやりたくなるような、趣味や遊びや人づきあいを楽しむ生活とその仕方を工夫するのが大切なのです。周りが助けて、本人なりに毎日を楽しめる生活習慣を組み立てるのです。過去の生活習慣にさかのぼって、どんなことに熱中していたのか、どんなことなら意欲を持って取り組めていたのかを調べてあげることも必要です。

 趣味も遊びも人づきあいも苦手と言う人には、「運動の脳」からの刺激が意外と効果的なのです。一日一時間の速足での散歩が目標(5000歩が目安)です。その場合も、散歩をするのが楽しくなるような工夫が大切です。散歩するのに安全な場所を選び、散歩してみたくなるような場所を探し、家族や友人が談笑しながら一緒に歩いてあげると効果が一層大きくなります。

 

○ 「小ボケ」の脳リハビリに対する家族の心構え

「小ボケ」は、よほどその気で注意して聞いていないと、日常会話のレベルであれば普通に話せるので、おかしいとは気がつかないのです。家族であるがゆえにむしろ、普通に見ようとする心理も働くのです。

ところが一旦家庭の外に出ると、その場の状況の変化についていけなくなるのが、「小ボケ」の特徴なのです。このことを家族は忘れないでいて欲しいのです。「セルフケア」の面や「家庭生活」の面では、なんの支障も起きてこないのですが、家庭の一歩外、他人と交わり或いは協同しながら何かの「テーマ」を実行しようとする生活の場である「社会生活」の面では、支障が出てくるのが「軽度認知症」(小ボケ)なのです。

上述のように、「小ボケ」は、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」の働きだけが異常なレベルに衰えてきている(もはや正常なレベルにはない)のです。「前頭葉」の三本柱の機能である意欲、注意の集中力及び注意の分配力の働きが異常なレベルに衰えていて、そのことが「前頭葉」全体のいろいろな機能の働き具合に現れてくるのです。「前頭葉」の働きが異常なレベルに衰えてきていることの直接のアウトプットが、認知症の症状として、思考や思考の仕方や、思考の深さや、状況の判断、或いは、頭では理解ができていても行動につながらない言動など、その程度や態様に症状として現れてくるのです。こうしたことを家族や周りの関係者が十分に理解して、やさしく言葉かけをして、本人を後押ししてあげることが必要であり、とても大切なことなのです。

○ 「小ボケ」は、気がつくと居眠りばかりしているという特徴を示します。居眠りをさせない(何か具体的な「テーマ」をやらせる)ように、家族や周りが気をつけて欲しいのです。例えば、以下に例示するような対応を心がけて欲しいのです。

● 声かけをしてくれる人を探す:

家族。離れて生活しているなら、曜日を決めた電話、関心を呼びそうなテーマの手紙も次善の策として有効。

近所の人に頼む、あるいはボランティアを探す。

本人の興味が湧いてきそうな趣味や遊びの集いへ参加させる。

 一日や一週間の日程を組んで、その中にテーマの実行や日程や目標を盛り込む。

● 本人の生活に変化をつけさせる工夫が必要:

散歩(できれば、速歩での散歩)を生活習慣化する。速歩での散歩は、「前頭葉」の三本柱の一角をなす「意欲」という機能を強化してくれる効果があるので、第一番に考えて欲しいテーマなのです。衰えている「意欲」の機能が正常なレベルに回復することで他の脳機能が回復するための第一歩となるのです。

何かを考えて何かの行動をするには、一定の機能レベルにある「意欲」が不可欠なのです。その肝心の「意欲」の機能が異常なレベルに衰えてきているので、家にこもっていると、何もしないで居眠りばかりすることになるのです。どこかに連れ出して、何かをやらせて、その中で関心や興味が動かされるもの、やる「意欲」を引き出すことにつながりそうな体験をさせて欲しいのです。誰かのために何かを探して、買いに行くのでもいいのです。テレビの番組で今流行りの「散歩」、住み慣れているはずの町や村の中を散歩して、新発見を楽しむのでもいいのです。

 できるだけたくさんの人達との「交流の機会」を増やすことが、大原則:

友人であれ、単なる他人であれ、人と交わることは、自分と相手とが関係する人的な状況を作り出すことになります。その人的な環境と状況の中で、話をすることであれ、何かをすることであれ、「共通のテーマ」が発生することになるわけです。共通のテーマを実行していく過程で、相手の話を聞いたり、話の内容を理解したり、相手の表情を読んだり、自分なりの考えを持ったり、自分の考えをまとめたり、自分の考えを相手に伝えたりする必要が生じてくることになります。そうした状況に対応する過程では、「前頭葉」の三本柱である意欲、注意の集中力や注意の分配力の機能の出番が要求されることになるのです。それなりに対応していく中で、「三本柱」の機能を使う場面があればあるほど、「前頭葉」の各種機能の回復が期待できるのです。

● 生活自体の中に、「楽しみ」を見つけ出させることが大事なのです:

本人が、趣味や遊びに挑戦する機会(右脳や運動の脳を使うことを主とする)を工夫するのです。本人が過去に興味を持って取り組んでいたもの、熱中していたものなどがあれば特に有効です。

● 自信を取り戻させることが大切です。

本人のレベルを考えて、それなりのレベルで出来る可能性があることをやってもらうのです。それなりのレベルでできたときは、そのことをきちんと評価して、努力や結果を褒めてあげることがとても大切なことなのです。家事や、畑仕事など、「昔取った杵柄」を探して、自信を取り戻す材料に使うのです。

注)本著作物(このブログA-85に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

 エイジングライフ研究所のHPここを「クリック」してください。

脳機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)

   http://blog.goo.ne.jp/quantum_pianist

 http://blog.goo.ne.jp/kuru0214/e/d4801838dd9872301e0d491cd8900f1a

 
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アルツハイマー型認知症の治療と回復に係る問題点 (A-84)

2013-05-01 | アルツハイマー型認知症の早期診断

○   認知症の人達の数とされているのは、末期段階の数なのです:

厚生労働省の発表によると、認知症のお年寄りの数は2013年4月末現在300万人超と言われています。300万人もの認知症のお年寄りとは、自分が住んでいる家がわからなかったり、同居の家族の名前や顔もわからなかったり、ズボンを頭から被ったり、トイレの後始末も自分ではできない、所謂「セルフケア」にも介助が要る人達、言い換えると認知症の末期段階の人達、私達の区分で言う「重度認知症」(大ボケ)の段階の人達だけの数なのです。

回復可能な早期の段階として私達が提起している、「社会生活」面だけにしか支障が出てきていない「軽度認知症」(小ボケ)とセルフケアには未だ支障がないが「家庭生活」面では支障が出てきている「中等度認知症」(中ボケ)とは、その数の対象には入っていないのです。

○ 権威とされる「診断基準」自体に重大な誤りがあるのです:

これまでのこのブログの中で幾度も指摘し問題にしてきたように、医療機関では、「アルツハイマー型認知症」については、私達の区分で言う「重度認知症」(大ボケ)のレベルの症状が出てきていないと認知症とは診断されません。

米国精神医学会の診断基準である「DSM-4」の規定に従って診断していることが原因なのです。この「DSM-4」の規定では、記憶の障害を第一の要件とし、失語、失行、失認又は実行機能の障害を第二の要件としています。失語や失行や失認の症状は、回復可能な早期の段階である「軽度認知症」や「中等度認知症」の段階では絶対に出てくることがないレベルの症状なのです。失語や失行や失認という重度の症状は、回復が困難な末期の段階である「重度認知症」の段階になって初めて出てくる症状なのです。

世界的な権威があるということだけを頼りにして、疑うこともなく信望して、「DSM-4」の規定を金科玉条として、「アルツハイマー型認知症」の診断を行うので、失語や失行や失認という重度の症状が出てきていないと「アルツハイマー型認知症」とは診断しないのです。「軽度認知症」や「中等度認知症」の段階の症状が出てきていても、「不活発病」とか「老化現象」だとされ、見過ごされているのです。その結果、「アルツハイマー型認知症」は、原因もわからないし、治すこともできないし、予防することもできない病気にされてしまっているのです。

元々は「社会生活」を営めて、正常な機能レベルにあった脳の司令塔の役割を担っている「前頭葉」を含む脳の機能が、廃用性の機能低下により、異常なレベルに衰えてきたその直接の結果として、「認知症の症状」が現れてくるのが、「アルツハイマー型認知症」という病気なのです。そのまま放置していると(身体は持つのに、脳は持たない)ので、脳の機能レベルの低下に連れて、「軽度認知症」は「中等度認知症」に「中等度認知症」は「重度認知症」に段階的に症状が進んで行くのが特徴なのです。驚くなかれ、私達のデータから推計すると、「軽度認知症」(小ボケ)と「中等度認知症」(中ボケ)とを合わせた人数は、「重度認知症」(大ボケ)の人数の4倍にもなるのです。

次回から2回にわたるこのブログの記事で、「アルツハイマー型認知症」からの回復の方法について詳細な説明をする予定なのですが、次の点を肝に銘じておいていただきたいのです(ここを「クリック」してください)。 

治療、回復の可能性という視点から言うと、次のとおりなのです。

  「軽度認知症」(小ボケ)レベル   回復容易

  「中等度認知症」(中ボケ)レベル  回復可能

  「重度認知症」(大ボケ)レベル    回復困難

○ 仮説の内容自体が誤りであり、因果関係の確認がなされていないのです:

認知症の大多数、90%以上を占めている「アルツハイマー型認知症」は、脳の使い方としての「生活習慣」が発病や回復を左右する廃用症候群に属する病気であり、早期の段階で見つけると「回復」させることも可能なのです。さらには、「予防」することもできるのです。市販されている専門書を読み漁っても、インターネットで検索してみても、どの書籍もどのブログも、「アルツハイマー型認知症」はアミロイドベータやタウ蛋白によって脳の神経細胞が侵されることが原因で発病する病気なので、治すことも予防することもできない病気だとしか書かれていません。原因不明の病気としながら、アミロイドベータやタウ蛋白が犯人とする他人の仮説をそのまま挙げて説明しているのです(ここを「クリック」してください)。

私達が1995年に活動を開始して以来これまでに集積してきた脳の機能データと市町村での「地域予防活動」を実践指導する中からの体験を基礎にして考察すると、「アルツハイマー型認知症」について医療機関が抱える最大の問題点は、「発見するのが遅すぎる」ことにあるのです。医療機関は、前述した「DSM―4」の規定に準拠して「アルツハイマー型認知症」の診断を行っているので、失語や失行や失認の症状が現れてきていないと、つまりは「重度認知症」(大ボケ)の段階の症状が出てきていないと、「アルツハイマー型認知症」とは診断しないことに問題があるのです。失語や失行や失認の症状が認められる段階、私達の区分で言う「重度認知症」の段階で見つけていたのでは、遅すぎるのです。見つける段階が遅すぎるから、「原因も分からないし治らない」と誤解されているだけなのです。

「原因も分からないし、治らない病気」と専門家が言い、その上、狭義の「アルツハイマー病」(これこそ、「遺伝子」の異常が原因の病気なのです)とアルツハイマー型認知症(これは、単なる「生活習慣病」なのです)とをまとめて「アルツハイマー病」と呼ぶ過ちを犯している権威がある人達が居るために、回復可能な軽い段階言い換えると(「軽度認知症」や「中等度認知症」の症状が出てきている程度)では、(世間体を気にして)周りに隠す気持ちのほうが先立ち、家族も病院に連れて行かないのです。「重度の記憶障害」の症状が日常的に出てくるようになって、失語や失行や失認の症状が現れてきて、「もうどうにも手に負えない」段階にならないと、家族が病院に連れて行かないという悪循環を繰り返す結果にもなっているのです。

○ 末期の段階である「重度認知症」の段階で見つけることに意味があるのか:

このことについての国民的な確認が必要なのです。もっと軽い段階で見つけてもらって、回復のための治療の指導(脳の使い方と言う視点からの「生活習慣」の改善指導)をやってもらい、「脳の機能」が正常なレベルに回復してくる、つまり治せるという体験をすることが重要なのです。その体験をする人が日本全国で増えてくれば、離島の果てにまでも染み込んでいる世の中の誤解も解けてくるのです。それによって、個人も家族も救われ、自治体や国の財政も救われることになるのです。

このままの状態、悪循環の現状を放置して、「原因も分からないし、治らない病気」のままにしていると、国の財政さえおかしくなってしまうほどの巨額のコストが介護に振り向けられているのが実情なのです。国全体の収入金額に対するそのあまりにも大きな割合に、その巨額さを皆さんが知ったら仰天するほどの金額に到達しているのに、治療や予防というテーマはどこからも聞こえてこないのが不思議でならないのです。「介護」に対する介護保険制度での対応は不可欠ですが、「蛇口を開きっぱなし」にしていたのでは、介護保険制度自体が財政面から破綻し、崩壊してしまう勢いなのです。

○ 早期診断による回復が可能なのです:

「早期診断」による早期治療と回復及び予防という蛇口を閉める方法があるのだから、そのことを「国民的な課題」とすべきなのです。その努力を、個人や家族のレベルで尽くして、自治体が地域予防の活動を小さな単位ごとに定着させる施策を展開して、それでもなおアルツハイマー型認知症を発病し、回復困難な「重度認知症」(大ボケ)の段階に進んでしまう人が出てくることは避けられないので、その人に対する手厚い介護を介護保険制度で対応すべきなのです。インターネットでアルツハイマー型認知症の治療と検索すると、医療機関による種々の解説ページが出てきて、「早期診断」を歌っています。But:その内容は全て、回復の可能性がない「重度認知症」の段階を見つけて、「治すことはできないが、ケースによっては症状の進行が遅くなることが期待できる」とする何種類かの薬を処方するだけの診察なのです。この薬を飲ませたところで回復を期待することはできず、ただ症状が進んでいくだけの薬を処方するのが「早期診断」と言えるのか、疑問を抱くのです。

 第一に考えるべきテーマは、「早期発見と早期治療」です。その実施の方法は、医療機関による「早期診断」と「生活習慣の改善指導による回復」を図ることが最も効果的です。年に2回の定期検診を行い、「軽度認知症」(小ボケ)や「中等度認知症」(中ボケ)のレベルに衰えていないかどうかを調べるのです。

但し、「診断」は、従来行われているようなCTやMRIの「画像」による診断ではなくて、「神経心理機能テスト」による脳の働き具合を調べる診断が不可欠です。「アルツハイマー型認知症」は、最初に「前頭葉」のみが異常なレベルに衰え(小ボケ)、次いで、「左脳と右脳」が異常なレベルに衰えていく(中ボケ)という衰え方の規則性があります。回復可能な早期の段階を見つけるには、「神経心理機能テスト」で「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)を含めた脳の働き具合を調べる診断が不可欠なのです。

ところが、医療機関による早期診断については、「前頭葉」を含む脳の機能レベルを判定する上で不可欠である「神経心理機能テスト」の使用には保険点数が極端に低いことによる「事業を維持するうえで必要な額としての事業収益が得られない」という問題があります。そのため私達は、代替案として、市町村による早期診断と地域予防活動の展開を提案しているのです(ここを「クリック」してください)。

○ 画像による診断では、回復可能な早期の段階が見つからないのです。

「画像」による診断は、脳の形(「萎縮」の度合い)は測れても、脳の働き具合を測ることはできないのです。脳の萎縮の度合いと脳の働き具合との間には直接の「因果関係」(脳の「萎縮」の度合いと認知症の段階的「症状」の発現との間の因果関係)が確認できないのです。私達は、脳の萎縮の度合いが認知症の症状と直接の因果関係があると言う考えには賛成できませんが、仮にその主張どおりに確認できるとしても、「重度認知症」よりも「中等度認知症」、更に「軽度認知症」と症状が軽い段階になるほど因果関係の確認は困難になるはずだと考えているのです。言い換えれば、回復困難な「重度認知症」の段階になれば脳の萎縮の度合いとのある程度の相関は認められても(万一の「仮定」の話ですが)、「早期診断」の本当の意味がある回復可能な、「中等度認知症」や「軽度認知症」の段階になると、脳の萎縮の度合いを基準としていたのでは発見が困難なはずだと考えるのです。

CTやMRIなどの機器を使うと高額の医療費を稼ぐことはできるのですが、この方法によって診断している限り、「アルツハイマー型認知症」は、「原因も分からないし、治らない病気」のままで、介護対象者が増大するだけという途をたどっていき、介護保険制度はやがて財政面から崩壊してしまうことになるでしょう。そのことを恐れるが故なのかどうかは分かりませんが、「家族による介護」が制度化されようとしていることに私達は重大な危惧を抱いているのです。 

                                                                                                

「家族による介護」は、制度化ではなくて、本人達の選択に任せるべきものと考えるからです。まだ前途ある若い年齢の人達が、「アルツハイマー型認知症」を発病していて、しかも末期段階である「重度認知症」の段階にあるお年寄りの介護を続けることに異論があるのです。「脳の機能は衰えていくばかりなのに、身体だけがいつまでももつ」のが、「アルツハイマー型認知症」という病気の特徴だからです。今日は、前置きが長くなってしまって、本題の治療による回復の説明にいたりませんでした(このブログは20000字が限度と制限があるのに、私のブログは、いつも、字数が多すぎて迷惑ばかりおかけしているので、今回はこれで終わりにします)。次回は、「軽度認知症」(小ボケ)の治療方法と回復について説明します。

 注)本著作物(このブログA-84に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

  エイジングライフ研究所のHPここを「クリック」してください)

脳機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)

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