認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

アルツハイマー型認知症の症状と記憶障害との関係 &3 (Bー22)

2014-10-15 | 記憶障害は発病の原因ではなくて結果

 冷蔵庫 開けた途端に 物忘れ 

              区別を知らず 痴呆の診断      By kinukototadao

     

&1「アルツハイマー型認知症」は、「記憶障害」が本当に「第一要件」なのか

○ 「記憶の障害」を第一の要件と考える三大「仮説」の問題点

それら三つの仮説では、「アルツハイマー型認知症」の末期の段階(私たちの区分で言う「重度認知症」の段階)、その中でも更にその後半になって現れてくる症状であり、あの「DSM-4」が「アルツハイマー型認知症」の診断の第二の要件に掲げている症状である、失語、失行又は失認の症状が出てきたことが確認された人達(MMSの得点が一桁に落ちてきている人達)の死後の脳の「解剖所見」を仮説組立の大前提としているのです。

解剖所見の対象となった人達の脳では、脳の神経細胞の減少、脳の委縮、老人斑及び神経原線維変化の出現を特徴としていることが「仮説」の唯一の根拠とされているのです。すなわち、学説と主張する上で、必要不可欠であるはずの「因果関係」の立証さえもが未だに為されないままでいるのです。

それら三つの仮説とは、脳の中に、アミロイド・ベータと呼ばれる蛋白質が沈着することによる老人斑の生成が原因で(「アミロイド・ベータ仮説」)又はタウ・タンパクと呼ばれる蛋白質の蓄積による神経原線維変化が出現することが原因で(タウ・タンパク仮説)、或いは脳の萎縮が原因で(脳の萎縮説)、神経細胞を変性させ、或いは死滅もしくは脱落させることにより、「記憶の障害」に関わると見られる症状が発現し(「DSM-4」が掲げる「第一の要件」の充足)並びに失語や失行や失認などの症状を発現させてきて(「DSM-4」が掲げる「第二の要件」の充足となる)初めて、「アルツハイマー型認知症」の発症と認めることができると考えている(誤解している)のです(ここを「クリック」してください)。

    

○ 三つの「仮説」が抱える致命的な誤解

以前のこのブログで説明したことがあるのですが、上記の問題点を分かり易くするために、再度ここで取り上げて説明します。それは、「空気ポンプ」の機能の構造を例にした話です。自転車のチューブに空気を入れる「空気ポンプ」という機器があります。「アルツハイマー型認知症」は、空気をチューブに運ぶ紐状のゴム管の部分(脳で言えば、情報を伝達する神経細胞)がアミロイドベータやタウタンパクに侵されたことにより、又は脳の萎縮の進行により、神経細胞が変性、死滅、或いは脱落を惹き起こして、情報を伝達する神経細胞の機能に重大な支障が起きてくることが「アルツハイマー型認知症」の症状としての「記憶障害」の症状を発現させている直接の原因だと考えるのが、アミロイド・ベータ説やタウ・蛋白説、或いは脳の萎縮説の考え方なのです。

こうした考え方に立脚しているのが、ゴム管の部分を繕って空気が漏れる量を少しでも抑える効果を期待できることを目的に開発され、現在販売されている4種類の「薬」ということになります(但し、これらの薬は、認知症自体を治すという意味での治療の効果は期待できないので、「症状」の進行を遅らせる効果を狙うものと宣伝されているのですが)。

  

私達(脳の使い方としての「生活習慣」に起因する「廃用性」の加速度的で、且つ異常な脳機能低下説)は、空気を送るゴム管の部分に支障があるからではなくて、ポンプを押して空気を押し出してやる部分{脳で言えば、情報を処理・発信してやる「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする)を含む脳全体の機能レベル}に廃用性の機能低下による支障が起きてきて(使われる機会が極端に少ない生活習慣に起因する「廃用性」の加速度的で、且つ異常な脳機能レベルの低下)、脳が正常なレベルでは機能出来なくなったことが重度の「記憶障害」の症状を含む「アルツハイマー型認知症」の症状を発現させている「直接の原因」だと考えているのです(私達が集積してきた極めて多数の脳機能データは、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルのアウト・プットそれ自体が「アルツハイマー型認知症」の症状だということを示しているのです)。

従って、いくらゴム管を繕ってみたところで(変性、死滅、或いは脱落したと主張される神経細胞の修復)、そもそもポンプを押す作業をしない限り(「前頭葉」を含む脳の機能が、必要とされるレベルでちゃんと機能出来ないままでは)、空気は流れない(ちゃんとしたレベルでの、情報の処理も発信も出来ない)ということなのです。「記憶障害」を診断の第一の要件と規定している「DSMー4」には、重大な過ち(勘違い)があるということを指摘したいのです。「二段階方式」を活用して集積した極めて多数の生きた人間の「脳の機能データ」(脳の機能レベルにリンクした段階的な症状)の解析に基づき、「前頭葉」を含む脳の廃用性の異常な機能低下こそが、診断の第一の要件とされるべきだということを指摘し、主張しておきたいのです。

      

&2「アルツハイマー型認知症」の症状の発現とは

○ 「アルツハイマー型認知症」は、廃用症候群に属する「生活習慣病」がその本質なのです

極めて多数に上る「脳の働き具合」(「前頭葉」を含む脳全体の機能レベル)とリンクした「症状」(正常なレベル及び異常なレベル) の解析結果から、「アルツハイマー型認知症」は、加齢による脳の老化を「第一の要件」とし(言い換えると、60歳を超える年齢の「高齢者」であること)、且つ、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもない生活、「前頭葉」を使う機会が極端に減少するナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続による廃用性の機能低下を「第二の要件」とし、両者の条件が同時に充足されることの相乗効果により、「前頭葉」を含む脳全体としての機能の加速度的で異常な機能低下が惹き起され、脳の機能が正常なレベルから次第に異常なレベルに低下していき、終いには殆ど機能しないレベルにまで衰えていくこと(謂わば、脳機能の退化が進行していくこと)が直接の原因で発病し並びに症状の重症化が進行していく病気、本質的には廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」だというのが私たちの主張なのです。

○ 「アルツハイマー型認知症」の症状の進行とその特徴

「アルツハイマー型認知症」の症状の進行というとき、脳の機能レベルと症状のレベルと言う両者のレベルが各々対応しつつ、1つには「前頭葉」の機能レベル並びに「左脳」、「右脳」及び「運動の脳」の機能レベルとの組み合わせによる「脳全体としての機能レベル」の低下が「三つの段階」に区分される形で進行していき、他の1つには、脳全体としての機能レベルのアウトプットとしての症状の重症化もまた「三つの段階」に区分され対応する形で進行していくのが、「アルツハイマー型認知症」の特徴なのです。

私たちが脳の機能レベルとそれに対応する症状とを各々三つの段階に区分していることには、「病気を治せる」可能性という視点からの極めて重要な意味があるのです。「軽度認知症」(小ボケ)の段階であれば「脳のリハビリ」の実行により回復させることが容易であり、「中等度認知症」(中ボケ)の段階であれば「脳のリハビリ」の実行により回復させることが未だ可能であるのに対し、「重度認知症」(大ボケ)の段階になってしまうと回復させることは困難になってしまうからなのです。「小ボケ」からの回復については「ここ」を、「中ボケ」からの回復については「ここ」をクリックしてください。 

    

○ 回復させることが可能な、本当の意味での「早期の段階」とは

「DSM-4」の規定が末期の段階(私たちの区分で言う「重度認知症」の段階にあって、その中でも更に症状が進んだレベル、「MMS」の得点が一桁に落ちるまでに脳の機能が低下してしまっている段階)になって初めて発現してくる「失語」や「失行」や「失認」等の症状を不可欠の要件(診断の「第二の要件」)に規定していることを金科玉条として(鵜吞みにして)その症状を確認することを診断の必須の要件にしている限り、「脳のリハビリ」により回復させることが可能な「本当の意味での早期の段階」である「軽度認知症」(小ボケ)及び「中等度認知症」(中ボケ)の段階を見つけることは出来ない(見落としてしまう)のです。 

「アルツハイマー型認知症」の最初の段階、脳の司令塔の「前頭葉」の働きだけが異常なレベルに衰えてきていて、「左脳」も「右脳」も「運動の脳」もその各々の働きが未だ正常なレベルにある段階(私たちの区分で言う「小ボケ」の段階)で発現してくる「症状」並びに「前頭葉」の機能レベルだけでなく「左脳」及び「右脳」の働きまでもが異常なレベルに衰えてきている段階(私たちの区分で言う「中ボケ」の段階)で発現してくるそれらの症状は、世間で一部の学者から、「不活発病」とか言う名前を冠せられて揶揄されている、或いは「老化現象」と勘違いされているのですが、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルが正常なレベルで発現している症状ではなくて、更には「軽度認知障害」(MCI)の症状と言う極めてあいまいな表現、且つ概念で、問題提起されている「認知症ではないが認知症の前駆的な症状」と言うような症状でもなくて、実は、「アルツハイマー型認知症」の症状そのものなのです。

(CTやMRIと言った画像診断により脳の形を判定するのではなくて)私たちが開発した「二段階方式」のように「前頭葉」を含む脳の機能レベルを精緻に判定することができる手技を活用してみれば、そのことを容易に確認することができるのです。

     

○ 医療現場における対応(診断と治療)の実態

回復させることが可能な「早期の段階」を見つけることは、「前頭葉」を含む脳の機能レベルを判定する方法によってしか出来ないのに、医療の現場では、CTとかMRI等の機器、「前頭葉」を含む「脳の働き具合」ではなくて、「脳の形」しか判定することが出来ない画像による診断機器を「アルツハイマー型認知症」の「早期診断」に使いたがるのです。画像による早期診断では、「早期診断」とは名ばかりで、「脳のリハビリ」により回復させることが容易な「小ボケ」も、回復させることが未だ可能な「中ボケ」も見つけることができないでいて(見落としていて)、末期の段階でありもはや回復させることが困難な「大ボケ」の段階の人達を見つけて、(私たちには、その根拠が理解できないことなのですが)症状の進行を遅らせる効果が期待できるとか言って何種類かの薬を飲ませているだけなのです。

「前頭葉」を含む脳全体の働き具合を精緻なレベルで判定できる「二段階方式」のような神経心理機能テストの活用は「保険点数」が低すぎて、「稼ぎにならない」のに対して、「前頭葉」の機能レベルを判定することができず、脳の形しか判定することができないCTやMRI等の画像診断機器の使用は、「保険点数」が極めて高くて「稼ぎになる」ので、医療機関が使用したがるのが実態であり、理由なのです。

    被災して1年後の陸前高田市の風景写真

「アルツハイマー型認知症」は、脳の使い方としての意味で言う生活習慣病であり、小ボケや中ボケの早期の段階で見つければ、「脳のリハビリ」によって回復させることができる(脳の機能を正常な機能レベルに回復させることができる)のです。末期の段階である「大ボケ」の段階で見つけるから治せない、つまり、「見つけるのが遅すぎる」ということなのです。

「前頭葉」を含む脳の機能を正常なレベルに回復させることが可能な、本当の意味での「早期の段階」で見つけて、「治療して治す」(進行を遅らせるとか言った類の「薬を服用させる」のではなくて、「脳のリハビリ」の実践指導により脳の機能を正常なレベルに回復させる)とか、「前頭葉」を含む脳全体の活性化を促す生活習慣の構築と実践の指導により、発病自体を「予防」するとかいう視点は、専門家とされる人達の心の一体どこに置き忘れられてしまったのでしょうか(ここを「クリック」してください)。

発病の予防もせず、回復させることが可能な早期の段階で見つけることもせず、蛇口を開きっぱなしのままにして放置していて、介護するしか他に途がなくなる大ボケの段階で見つけているだけでいると、「介護保険制度」さえもが財政面から早晩破綻してしまうといった危機感はもたないのでしょうか。医師としての社会的使命と言う視点はどこかに置き忘れてしまっていて、自分だけが良ければそれでいい(稼ぐことが目的)とでも言うのでしょうか(「アルツハイマー型認知症」の発病の予防については、ここを「クリック」してください)。   

     

&3「重度認知症」(大ボケ)の段階で発現する症状と脳の機能レベル

○ 専門家達は脳全体の司令塔の役割を担う「前頭葉」の働きを看過している

私たちの意識的な思考や身体の動静としての行為や言動或いは表情や感情の表出の程度及びその態様は、「前頭葉」を含む脳全体の働き具合のアウトプットそのものなのです。そうした脳全体のアウト・プットそれ自体が、病気の「症状」とならないものであるためには(言い換えると、正常なものであるためには)、「前頭葉」の機能が正常なレベルに保たれていることが、「必要不可欠」の条件となるのです。

この視点が、「アルツハイマー型認知症」の専門家とされる人達の問題意識にないことが、単なる生活習慣病でしかない「アルツハイマー型認知症」を、原因不明で治らない不可解な病気にさせてしまっている重大な原因であり理由なのです。様々な程度態様で生活している生きた人間の実際の生活実体を、「前頭葉」を含む脳の働き具合(「脳の機能レベル」)とそのアウト・プットとしての生活実態(社会生活面や家庭生活面やセルフケアの面に区分した「生活の自立度」)を、私たちが開発した「二段階方式」に代表されるような神経心理機能テストを活用して、精緻で多数の脳機能データを集積し解析してみれば、「アルツハイマー型認知症」の正体、「発病のメカニズム」を知ることは、それほど難しいことではないのです(ここを「クリック」してください)。

    

○ 人間だけに特有な「前頭葉」と言う脳の機能とその役割

自分が置かれている「状況の判断」の下で、且つ「状況判断」に沿った様々な「テーマ」を発想し、企画し、計画し、洞察し、シミュレーションし、修正し、決断し、決定しているのが「前頭葉」の働きなのです。こうしたメカニズムのもとで働いている、脳の意識的な働きの具合(機能レベル)のアウトプットが、すなわち私たち人間の意識的な行動(言動、身体の動静、或いは思考)なのです。

思考や判断、行為や言動、或いは感情や表情の表出としてのアウトプットそれ自体が正常なものでなくなったとき、私たちはそれを症状と呼ぶのです。そうしたアウトプットが異常なものであるとき(病気レベルとしての症状を示す時)、「アルツハイマー型認知症」の場合は、その震源である「前頭葉を含む脳の機能レベル」が必ず異常なレベルにあることを、「二段階方式」の活用により私たちがこれまでに集積してきた極めて多数の「脳機能データ」が明らかにしているのです。認知症の専門家とされる人達から、原因不明の病気と言われている「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症は、「前頭葉」を含む脳の異常な機能レベル下でのアウトプットそれ自体が「認知症の症状」を示すところに一番の特徴があるのです。

だからこそ、「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズム(発病の原因)を知るにも、治療の方法を知る(開発する)にも、予防の方法を知る(開発する)にも、脳全体の司令塔(コントロールタワー)の働きをしている「前頭葉」の働き、特に「加齢とともに進行する老化による機能の衰え方」(意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能に構造的に潜む「正常老化の性質」)についての知識が不可欠になるのです。ところが世間で認知症の専門家とされている人達は、こうした点、特に「前頭葉」の老化による機能の衰えというテーマに無関心なこと(或いは知識が欠けていること)が、早期診断による回復も予防も可能である廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」でしかない「アルツハイマー型認知症」を原因不明で治らないと専門家たちが主張する摩訶不思議な病気の世界に追いやっている最大の原因なのです。

      

○ 「記憶障害」ではなくて、「前頭葉」の機能障害が本質

「アルツハイマー型認知症」の最初の段階であり私たちの区分で言う「軽度認知症」(小ボケ)の段階では、左脳も右脳も運動の脳も全て未だ正常な機能レベルにあるのに対し、脳全体のコントロールタワーである肝心の「前頭葉」の機能自体が異常なレベルに衰えていることが重要なのです。コントロールタワーの「前頭葉」の機能レベルが異常なレベルにある限りは、左脳、右脳及び運動の脳が正常な機能レベルに在ろうとも、脳全体としてのその働き具合のアウトプットは、異常な症状、つまり「認知症の症状」となって発現してくることになるのです。上述した三つの学説も、「DSM-4」も、このことに気付いていないか、或いはそのメカニズム自体を知らないのではと疑わざるを得ないのです(ここを「クリック」してください)。

 (コーヒー・ブレイク) 「二段階方式」の神経心理機能テストを活用し、生きた人間の脳の働きとその働き具合を対象として、私達が長年にわたって根気強く精緻なレベルで実施し集積してきた極めて多数の「脳機能データ」の解析から、「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症は、早期発見により回復させることも、発病自体を予防することも可能な廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」であることが解明されたのです。以前のこのブログで関連する「脳機能データ」のグラフを開示しましたが、そもそも私達人間の脳には、脳をどのように使っていようとも(「生活習慣」の如何に拘わらず)加齢とともに機能が衰えていくという性質(「正常老化」の性質)が備わっているのです。

「前頭葉」の基礎的な機能をなす、意欲、注意の集中力及び注意の分配力の「3本柱の機能」にその性質(「正常老化」の性質)が備わっていることを、「二段階方式」と呼称する神経心理機能テストの活用による2万例に上る精緻な「脳機能データ」の解析で私達は発見しているのです。

消費税の更なる増税を目前にしていても、ピント外れの物ばかりで、実りのある議論はなされていないのです。与党も野党も、「アルツハイマー型認知症」の発病の予防並びに本当の意味での早期の段階(私たちの区分で言う「小ボケ」及び「中ボケ」の段階)で見つけて治せるようなシステムを制度化すれば、夢のような規模での「医療費の抑制」が達成できるのです。増税分は、ほかの目的に使えるのです。

    

「予防」することができる病気なのに予防対策を考えてもみないで放置したままでいて、早期の段階で見つければ「回復」させることができて、介護費用が掛からなくなるというのに、名医どころか実態は迷医の言うことを鵜のみにして、末期の段階である「大ボケ」の段階の症状が出てくるまで待っていて、そこで初めて「アルツハイマー型認知症」の発病だとかいう「医師の診断」を放置していて、言わば、「蛇口を開きっぱなし」にしたままでいるのです。消費税を2%増税したところで、2兆円の増収にしかならないのです。介護保険の適用基準を絞ってみたり、「家族介護」に舵を切ってみたところで、費用の抑制効果は僅かな規模の金額にしかならないのです。増大する一方の「介護費用」の抜本的な抑制を図るには、発病自体の「予防」と早期発見による「回復」以外に方法は無いのです。 

具体的には、市町村と地域住民との協働による脳の活性化を目的とした「地域予防活動」を制度化することなのです。脳の使い方と言う視点での「生活習慣」の改善及び「脳のリハビリ」による「回復」を目的とした実践的な「予防活動」なのです。全国の自治体で、且つ小さな地域単位で、上述した市町村が主導する「地域予防活動」を制度化し実践すれば、「単年度で数兆円規模」での「費用の支出を抑制」することも夢ではないのです(ここを「クリック」してください)。 

 増税を繰り返されようとも、約束とは違う使われ方をされようとも、貧富の格差が拡大していこうとしていようとも、何も言わず、デモもせず、じっと我慢だけをしている、そんな我が国の国民に対して、どのような問題提起の仕方、訴え方をしたら、その重い腰を上げてくれることになるのかしら、「思案投げ首」の今日この頃なのです。ア~! 嘆かわしや。

      

&4 「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズムとは

○ 「前頭葉」の三本柱の機能に潜む「正常老化」の性質

「前頭葉」には、上述のように、「正常老化の性質」が備わっている為に、「高齢者」と呼ばれる年齢の人達、60歳を超えた年齢のお年寄りが、脳の司令塔の「前頭葉」を含む脳全体の機能が使われる機会が極端に少ない単調な生活習慣、生き甲斐なく、趣味なく、交友なく、運動もせず、目標もないというナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続する日々を過ごしていると、そうした「生活習慣」の下では、脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」を含めた脳の機能が加速度的に衰えてくることになるのです(正常な老化に加え、廃用性の機能低下が加わることで、加速度的で、且つ異常な脳機能の低下が進むことになるのです)。

そして、廃用性の加速度的で、且つ異常な脳機能の低下が進んでいくその先に、異常な症状の発現、「アルツハイマー型認知症」の発病が待っているということなのです(ここを「クリック」してください)。  

      

&5 脳の機能及びその機能レベルから見た「大ボケ」の症状

       

 (小ボケ、中ボケ、大ボケ:かなひろい-MMSの散布図)

上掲した三つの図、私たちが開発した「二段階方式」の手技を活用して、「前頭葉」を含む脳の働き具合を調べた「脳の機能図」です。小ボケ、中ボケ、大ボケへと症状が次第に重くなっていくのは、「アルツハイマー型認知症」の専門家とされている人達が主張しているような、「記憶障害」が直接の原因なのではないのです。

脳全体の司令塔の役割を担う「前頭葉」の働き具合が、「小ボケ」の段階では、居眠りをしている程度だったのが、「大ボケ」の段階になるとほとんど機能しなくなっているのが右端のグラフから分かるでしょう。「大ボケ」の段階では、「小ボケ」の段階では正常な機能レベルに合った「左脳」、「右脳」及び「運動の脳」までもが、ナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続と言う生活習慣の下で、(日々使われる機会が極端に少ない生活に起因する)廃用性の加速度的で異常な機能低下を起こしてくる結果として、脳全体の機能の劣化が起きてきているのです。意識的に何かをしようとする場面での、そうした脳全体の機能レベルのアウトプットそれ自体が、「小ボケ」や「中ボケ」や「大ボケ」レベルでの症状となって発現してきているのです。「アルツハイマー型認知症」は身体が持つのに脳が持たないのが特徴なのです。何か他の病気が原因で死を迎えることになるまで、症状が進行し続けていく(「前頭葉」を含む脳全体の機能の異常な低下が進行していく)のです。「大ボケ」の段階になって、更にその本当の意味での「末期」の段階になってくると、「前頭葉」の三本柱の機能である、意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能がほとんど働かなくなってくるので、「意識的」に何かをしようとすることさえしなくなってしまうのです。

日々使われる機会が極端に少ないナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続していることに直接に起因して、「前頭葉」を含む脳機能が、「廃用性」の加速度的で、且つ異常な機能低下を進行させていくことにより、「前頭葉」を含む脳の機能レベルの直接のアウト・プットそれ自体が、「アルツハイマー型認知症」の段階的な症状(小ボケ、中ボケ及び大ボケ)として発現してきているだけなのだということを「アルツハイマー型認知症」の専門家達(世界中の学者や製薬会社の研究者や医師達)に問題提起しておきたいのです。それ故にこそ、「アルツハイマー型認知症」を発病する対象者は、50歳代以下の若い年齢の人達ではなくて、60歳を超える年齢の「高齢者」だけに限られているのです。

このことに気づかない限り、何時まで迷路におけるエサを探すラットの行動を追っかけまわしてみたところで、回復させることが可能な本当の意味での早期の段階を見つける途も、その段階にある人達を脳のリハビリによって正常なレベルに回復させる途も、牽いては、「アルツハイマー型認知症」を発病させているそのメカニズムズムを発見する途も、全てが、霧の彼方に遠ざかってしまうことになるのです。

     

○ 「大ボケ」の症状の概観

米国精神医学会の診断規定である「DSM-4」が、「記憶の障害」を診断の第一の要件に規定している、言い換えると、記憶の障害が基礎(第一次的な要因)となっていて、そのことが失語や失行や失認と言った症状(第二次的な要因)を発現させているという考え方、「アルツハイマー型認知症」の症状発現のメカニズムに対する重大な誤解から、学者や研究者や医師と言った世界中の専門家とされる人達が皆、重度の「記憶障害」の症状さえあれば「アルツハイマー型認知症」だと言ったり、或いは「アルツハイマー型認知症」の「前駆的な症状」(MCI)だと言ったりする過ちを犯すことになってしまっているのです。

以下に掲げる症状は、私たちの区分で言うところの「重度認知症」(大ボケ)の段階、もはや回復させることが困難な「末期の段階」に特有な症状ばかりなのです。子細に検討してみればそれらの症状は、記憶障害に直接起因している症状が発現しているのではなくて、「前頭葉」を含む脳全体の働きがほとんど機能しなくなってきていることが症状発現の直接の第一次的な原因だということ(「記憶障害」の症状は二次的で、且つ付随的な症状に過ぎないことが)が、専門家ではない皆さんのレベルでも、お分かりだと思うのですが。「大ボケ」の段階にまで脳の機能が衰えてくると、意識的に何かを行うときに最も必要な機能である状況の理解と判断と言う「前頭葉」の機能が殆ど(症状が進むと全く)働かなくなっていることが原因なのです「前頭葉」の働きの詳しいメカニズムについては、ここを「クリック」してください)。何時の日になったら、専門家とされる人達がこのことに気づいてくれるのやら。  

   ア~! 嘆かわしや。

□ 着ている服を脱ぎたがらず、便で汚れた下着をそのまま平気で着ている

□ 風呂に入るのを嫌がる

□ 服を正しく着られず、ズボンを頭からかぶったり上着に足を通したりする

□ 家族の名前を間違えたり、子供を配偶者と間違えたりする

□ 食事やあいさつをしたことなど直前に起きたことをすぐに忘れてしまう

□ 家庭生活にも全面的な介助が必要(食事、入浴、排泄)

□ 自宅に居ても落ちつかず、出て行きたがる

□ 大小便を失敗しても、後の処置ができない(大小便で汚れた下着を、押し入れなどに隠すようなこともあります)

□ 自宅の方向が、たびたびわからなくなる

□ 同居している家族の名前も顔もわからない(家族かどうかも分からない)

□ 今は昼なのか夜なのかがわからなくて、夜中に騒ぐ(夜中に起きてくる、家中の電気をつけて回る、会社に行くとか田んぼに行くとか言い張る)

□ 痛んだものを平気で食べ、食べ物でないものを口にする

□ 独り言や同じ言葉の繰り返しが目立つ

□ 誰も居ないのに「人が居る」と言ったりする

   

 注)本著作物(このブログB-22に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

エイジングライフ研究所のHPを「クリック」してください)

        脳機能からみた認知症(IEでないとうまく表示されません

       

 


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アルツハイマー型認知症の「中ボケ」の症状と記憶障害との関係&2 (B-21)

2014-10-01 | 認知症初期の症状と老化現象との区別の方法

   

年取れば 日ごと気になる 物忘れ 

            肝心なのは 脳の働き  By kinukototadao

     

&1「中等度認知症」(中ボケ)の段階で発現する症状と脳の機能

□ 何度教えても日付けがあいまいになる(「時」の見当識を基準にして説明すると、「中ボケ」の段階で起きてくるのは、「今日が(何日)なのか、平成の(何年)なのか、(何月)なのか、今の(季節)が何なのか」が分からなくて言えなくなっていくのです。然も、脳機能の衰えにリンクした症状の進行につれて、この順番に分からなくなっていくのです。但し、昼夜の区別もつかなくなるのは、末期の段階の「大ボケ」になってからのことなのですが)。「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)を含む脳機能の低下と症状の進行との関係を「二段階方式」の手技を活用して調べていくと、単純な「記憶障害」と片付けてはならないことに気が付くのです。「前頭葉」の各種個別認知機能の認知度及び発揮度を左右していて、「三本柱」の機能と私たちが名付けている意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能が廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させていくのに連動する形で、対象となる情報の「記銘」に関わる記銘度自体が衰えていくことが分かるのです(ここを「クリック」してください)。

    

□ 簡単な計算もできない(買い物に行くと、「三本柱」の機能の低下が原因で、(支払うべき金額をそれなりに暗算した上で)支払をするのが難しくなり、大きな額のお札ばかりで支払いをするために、やたらと小銭がたまるようになるのです)。

□ 電気やガスの消し忘れ、水道の蛇口の閉め忘れなどが目立つ(目の前の1つのテーマを追うので精いっぱいになっていて、複数のテーマを処理することができないのです)。

□ 家庭内の簡単な用事程度のこともきちんとできない(4~6歳の幼児程度の思考及び判断力しかないので、部屋の片づけや洗濯物の整理、食後の片付け、畑や庭仕事などについて言うと、「簡単な用事」程度のことでさえもきちんと出来なくなっているのです)。

□ お金や持ち物のしまい場所をすっかり忘れてしまい、一日中探している(「記銘」する機能の発揮度が高かった昔のことについては比較的よく覚えているのに対して、廃用性の加速度的で異常な機能低下により、「記銘」する機能の発揮度が低くなってしまったせいで、想起することが難しくなっているのです。それがために、昔に記銘した古いことの方が記銘度が高い頃の記憶であるがために覚えていて想起しやすくて、最近記銘した新しいことの方が、記銘度が低いために覚えていなくて、想起するのが難しくなっているのです)。

□ 自分が飲む2~3種類の服薬管理ができない(「前頭葉」を含む脳の機能の廃用性の加速度的で異常な低下が原因で判断力が低下してきているので、どの薬を食前に何粒飲んで、どの薬を食後に何粒飲んでといった程度のことがきちんとできなくなっていて、飲み忘れたり、いい加減に飲んでしまったりするのです。「記憶の障害」が原因ではないのです)。

□ 服の着方に無頓着で、重ね着が目立つ(セーターの上からシャツを着てみたり、裏表や前後ろに着たり、入浴前に着ていた下着の上に入浴後新しい下着を着たりするようになるのです)。

□ 入浴時の温度管理が出来ず、身体を洗わないとか、石鹸が身体についたままで居たりするようになる(身体を洗うことを忘れているから起きてくる症状ではないのです。司令塔の「前頭葉」の働き並びに左脳及び右脳までもが異常なレベルに衰えてきた直接の結果として「状況の判断」が悪くなってきている、入浴したら何をどのようにすべきなのかの判断力が衰えてきているせいなのです)。

□ 周りを汚したり流してないなど、トイレの後始末がきちんとできない(上記に同じ)。

□ 料理の味付けが変になる(特に、塩加減が極端に変になるのが特徴です。塩辛すぎて、周りが食べられないようなものを作り、本人だけが平気で食べるようになります。「記憶の倉庫」に照らして評価する働きをする「前頭葉」の「評価の物差し」が僅かにしか機能しなくなってきている結果起きてくる症状なのです)。

□ (自分の子供)の現在の居住場所、その生まれ順、その数の説明が、(この順番に)きちんとできなくなります(これも、「人の見当識」が異常なレベルに衰えてきていることが直接の原因であって、忘れているから起きてくる症状ではないのです)。

□ 今の季節が何かが分からなくなる(「記憶の障害」が原因なのではなくて、今の季節がなんなのか、どのような状態としての季節なのか、「状況判断」ができない結果として、夏にセーターを着るなど、季節違いの服を平気で着るようになるのです)。ここまでが「中ボケ」のレベルであって、昼夜の区別がつかなくなる症状は、次の「大ボケ」の段階になって発現してくるのです。

□ 昨日の出来事をすっかり忘れてしまう(「前頭葉」を含む脳の廃用性の加速度的で異常な機能低下が直接の原因であって、「記銘」する機能自体が極めて衰えてきているために、保持も想起も出来なくなっていて、それが原因で起きてくる症状なのです。「想起」する以前の問題であって、「記銘度」が極めて低いか/又は「記銘」自体ができていないのです。「中ボケ」の特徴は、昔のことは比較的よく覚えているのに対し、新しいことを覚えていないのが特徴です)。

□ 物盗られ妄想(物の置き場所を記銘できていないがために想起することができず、相手が隠したとか盗んだとか言うとか、世話をしてくれる人に対して口汚くののしる行為とかがある。上記に同じ)。

    

 &2 脳の機能レベル(メカニズム)から見た「中ボケ」の症状

「中ボケ」の段階での症状が進行する(症状が重くなっていく)メカニズムと言うか直接の原因は、「前頭葉」の三本柱の機能ともいうべき「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の機能が加速度的で異常な機能低下を進行させていくことにより、「前頭葉」に備わる発想、考察、企画、計画、工夫、推理、洞察等の種々の「個別認知機能」の発揮能力自体が衰えてきてしまい、更には、後天的に獲得され自身の思考や行動の在り方を決定する規範としての働きを有する「評価の物差し」の機能及びこれまでの人生での実体験や伝聞体験に基づく知識や情景など様々な種類及び態様による情報が蓄積された「記憶の倉庫」の機能並びに「前頭葉」のコントロールのもとにその下部機構として働く「左脳」、「右脳」及び「運動の脳」などの機能を発揮する能力が衰えてきてしまっていることにあるのです。

「アルツハイマー型認知症」の各段階での症状(段階的な症状)は、それに対応する、「前頭葉」を含む脳全体の働き具合の直接のアウトプットに過ぎないことを、私たちが「二段階方式」の手技を駆使して集積してきた極めて多数の「脳機能データ」が証明しているのです。言い換えると、「中ボケ」の段階で発現してくるそれらの症状は、廃用性の加速度的で異常な機能低下状態にある「前頭葉」並びに「左脳及び右脳」の機能障害を一次的で直接の原因としているのであって、且つその反映として付随的に惹き起こされる「記憶の障害」が二次的に絡んでいるだけなのだということに、認知症の専門家とされる人達が未だに気づいていないことが問題なのです。

    

&3 上に列記した症状は、私たちの区分で言う「中等度認知症」(中ボケ)の段階だけにみられる特有な症状ばかりなのです。

なお、「アルツハイマー型認知症」の症状は、「前頭葉」を含む脳の機能レベルを直接反映した症状が発現しているものなので、症状全体で言えば、「中ボケ」の段階になると、「小ボケ」の段階に特有にみられる症状に加えて、「中ボケ」の段階に特有にみられる症状が併発して発現してくることになりますので、注意してください。但し、この段階では、「大ボケ」の段階に特有にみられる症状(特に、「DSM-4」が診断の第二の要件として要求している失語や失行や失認と言った症状)はそのカケラさえも認められないことにも注意していただきたいのです。

世間で認知症の専門家とされる人達は(某テレビ局で名医として紹介されている人達を含めて)、この程度のことさえも知らないで、「前頭葉」並びに「左脳及び右脳」の働きまでもが廃用性の加速度的で異常な機能低下により異常なレベルに衰えてきているのが「中ボケ」の段階なのであって、且つそのことが症状を発現させている直接の原因であることに気づかないでいるのです。そうした「前頭葉」を含む脳の廃用性の加速度的で異常な機能低下の問題(メカニズム)に気付かないで/或いは知らないで、単純に「記憶の障害」に直接起因する症状だと誤解してしまっている(片づけている)のです。

「中ボケ」及び「大ボケ」の段階で発現してくる様々な症状及びそれらの態様は、「前頭葉」並びに「左脳」及び「右脳」の働き具合が異常なレベルに衰えてきていることこそが直接の原因なのであって、「記憶の障害」はそのことが反映されただけの「付随的な原因」に過ぎないのです。

「アルツハイマー型認知症」の症状について、私たちのように「三つの段階」に区分けることもしないで(できないで)、全ての症状を「記憶障害」が直接の原因と誤解したまま、いろいろな症状をアトランダムに並べ立てているだけなのです。更には、彼らがしばしば用いる「中核症状」とか「周辺症状」とかいう区分も、意味がありそうで実は意味のない区分に過ぎないのです。

     

 上述した症状を並べられると皆さんは、それらのどの症状も「記憶の障害」が直接の原因なのかなと思うでしょう。「アルツハイマー型認知症」の専門家とされる人達でさえ、そう考えているのですから、皆さんがそのような誤解に陥るのも無理ないことと思うのです。こうした症状の発現の根底には、「記憶の障害」以前の、「前頭葉」を含む脳の機能が廃用性の加速度的で異常な機能低下を起こしてきているという「脳の働き具合と言う構造的な問題」が潜んでいるのです。そのことに気づかないがために、「アルツハイマー型認知症」の診断の第一の要件を「記憶の障害」と単純に考えてしまう、「DSM-4」のような誤りを犯すことになってしまっているのです。

     

&4 「軽度認知障害」(MCI)と言う概念の問題点

「アルツハイマー型認知症」の症状でありながら、認知症を専門とする医師達でさえ、私たちの区分で言う「小ボケ」や「中ボケ」の段階の症状を「老化現象」との区別さえもつけられないでいる、それが今日の医療現場の実態なのです。「中ボケ」の症状を発現させている「前頭葉」を含む脳の機能とそのレベルと言う視点を持たない限り正しい診断はできないのです。「軽度認知障害」(MCI)等と言う響きだけが専門的で内容があいまい過ぎて早期段階の診断基準にはならない概念を持ち出してきたところで、私たちのように、回復させることが可能な本当の意味での早期の段階である「小ボケ」及び「中ボケ」の段階(「前頭葉」を含む脳の機能レベルにリンクさせた私たち独自の区分)を的確に見つける(判定する)ことは、無理な相談だと言いたいのです。

      

&5  意識的な世界を支配している「前頭葉」の働きの概観

このブログでたびたび取り上げて説明してきているように、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」には、自ら様々なことに取り組むための「自発性」、色々なテーマを思いつくための「発想」、実行しようとする内容を組み立てる上で必要な「理解」や「計画」や「工夫」、実行内容をシミュレーションする上で必要な「考察」や「分析」や「予見」、実行した場合の結果の推測に必要な「推理」や「想像」や「洞察」、予期しない状況に対応するための「機転」や「修正」、状況や実行内容の「判断」、感情の高ぶりを抑えるための「抑制」、実施を指令するための「指示」、その他、「創造」、「感動」といった機能等、私たち人間だけに備わる様々な働きが詰まっています。更に「前頭葉」には、自分の置かれている状況を判断し、種々ケースワークした上で、実行テーマの内容や実行の仕方を最終的に選択し決定するために必要な「評価の物差し」という大事な働きも備わっています。全ては、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」が左脳や右脳や運動の脳と協働して、「周りの状況を判断し、テーマを企画し、何をどのようにするかをケースワークした上で決定し、且つそれらに必要な指令を出して、実行させている」のです。

これが、「意識的な行為」における「脳の働き方」のメカニズムの概観なのです。言い換えれば、運動の脳、左脳、右脳という「三頭建ての馬車」をあやつりつつ、状況判断に合った「テーマ」とその目的に沿った「内容」の実行を目指す「御者」の役割をしているのが「前頭葉」なのです。

  

60歳を超える年齢の「高齢者」が、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものさえもない、言わば、ナイナイ尽くしの「単調な生活」と言う「生活習慣」(脳の使い方としての生活習慣)を継続したままで居ると、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」並びにそのコントロール下で協働して働いている「左脳」、「右脳」及び「運動の脳」までもが、使われる機会が極端に少ないことに起因した廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させてくることになるのです。そうした脳全体の働き具合(「前頭葉」を含む脳全体の機能レベル)が加速度的に衰えていき異常なレベルにまで機能が低下したことの直接のアウトプットとして、「アルツハイマー型認知症」の「中ボケ」段階の症状が発現してくることになるのです。

     

&6 「前頭葉」の三本柱の機能に組み込まれた正常老化の性質

脳全体の司令塔で、置かれている状況を判断したり、何かを思いついたり、計画を立てたり、工夫したり、洞察や推理をしたり、機転を利かせたり、感動したり、抑制を働かせたり、各種の高度な働きを担当している「前頭葉」の機能、中でも、その認知機能を正常に発揮する上でとりわけ重要な「認知度」を左右しているのが、「前頭葉」の三本柱の機能である「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の働きなのです。ところが、それらの働きには、「加齢と共に誰でもその機能が老化し衰えていく」という重要なしかし専門家達からは見過ごされている性質があるのです(ここを「クリック」してください)。

「前頭葉」の各種認知機能の発揮度を左右しているこの「三本柱」の機能には、18歳から20歳代の半ばまでがピークで、20歳代の半ばを過ぎるころから100歳に向かって緩やかではあるが、一直線に衰えていく性質があるのです。 「アルツハイマー型認知症」を発病する人の割合が急に多くなってくる年齢、「高齢者」の仲間入りをしたばかりの60歳代半ばにもなると、脳の使い方としての生活習慣の如何に関わらず、「前頭葉」の三本柱の働き具合は、ピーク時の18歳から20歳代の半ばの頃に比べて、半分以下のレベルにまで衰えてきているのです。70歳代、80歳代、90歳代、100歳代と、年をとればとるほど、「前頭葉」の三本柱の働きがさらに衰えていって、正常なレベルを保ちつつもどんどん「低空飛行」になっていくのが特徴なのです。

     

&7 「記銘」と「想起」の機能(思い出す働き)との関係

上述したように、記憶は、「記銘」したものを「保持」して、それを「想起」してくると言う経路をたどります。「はっきりと記憶している」とか「すっかり忘れてしまった」とかいうことは、どの程度に記銘され、保持されていて、想起されたのかという、個々の要素の機能レベルが相乗的に影響していると私たちは考えているのです。

その中でも、「記銘」するときの記銘の度合い(「記銘度」)が最も重要だと考えています。認知の対象となり海馬に集められた情報を記銘するとき、(記銘度が高いもの)であったなら、その記銘度に応じて「長期」に保存されるし、(記銘度が低いもの)であったなら、その記銘度に応じて「短期」にしか保存されないと考えているのです。

  

「記銘」する(覚える)ときの「記銘度」が高い(よく記銘される)情報は、よく「保持」され、よく「想起」される(思い出される)のです。このことは、「記銘」した5分後に「想起」できる程度をチェックしてみれば、直ぐに分かります。「記銘度」が高い情報ほど、想起することが容易なのです。更に、よく「記銘」された(「記銘度」が高い)情報は、長期に記憶されるのです。専門家が言うような、(海馬が「選択」して、短期記憶と長期記憶とに区別して記憶している)からなどとは、考えられないのです。私たちがこれまでに「二段階方式」を活用して集積してきた脳機能データの解析によると、MMSの下位項目である「想起」の得点(満点は、3点)について言うと、「中ボケ」の段階における分布は、0点となる人達が殆どであって、1点になる人達が僅かに10~20%いるに過ぎないのです。認知の対象となった情報の記銘度が極端に低くなっていることが原因で(「三本柱」の機能の劣化が直接の原因で)、5分後には想起することができないのです。

     

 更に付け加えると、私たちのデータによれば、MMSの下位項目中、「想起」の機能が最も早く加齢により衰えていく項目なのです。そもそも、「記銘」自体が「意欲」、「注意の集中力」、「注意の分配力」という「前頭葉」の三本柱の働き具合に直接的に大きな影響を受けるからです。そして、この「三本柱」の各々の機能には、上述したように「加齢と共に誰でもその機能が衰えていく」と言う性質が備わっているのです。そのため、年をとるにつれて、「覚える」こと(記銘)自体が難しくなっていき、「思い出す」こと(想起)も難しくなっていくことは、皆さん経験済みのことでしょう。私たちが「正常老化の性質」と名付けているもの、加齢により誰でも機能が衰えていくという「三本柱の機能」の性質が、高齢者である皆さんが日常的に体験している「物忘れ」と直接的で密接な関係があるということなのです。私たちが集積した「脳機能データ」によると、「中ボケ」の次の段階である「大ボケ」、すなわち「アルツハイマー型認知症」の末期の段階である「重度認知症」の段階の更に後半の段階に入ってくると、(□ 食事をしたことをすぐに忘れるとか、□ しばしば自宅の方向が分からなくなる)等といったたぐいの症状が出てくるようになります。この人達の脳では実は、「想起」することができない前に、既に「記銘」すること自体が出来なくなっていることが分かるのです。こうした症状を示している人達の「脳機能データ」によると、MMSの下位項目である「記銘」の得点(満点は、3点)自体が、大半の人達が0点か1点となってきているからなのです。

     

&8 「アルツハイマー型認知症」の「段階的症状」

脳全体の司令塔である「前頭葉」の働き具合(機能レベル)が異常なレベルに衰えてきたとき、その直接の結果として、「アルツハイマー型認知症」の症状が発現してくるのです。その最初の段階が「小ボケ」の段階(脳リハビリにより回復させることが容易な段階)であり、次いで、「中ボケ」の段階(脳リハビリにより回復させることが未だ可能な段階)であり、最後に末期の段階である「大ボケ」の段階(回復させることは、もはや困難な段階)があるのです。

私たちは回復させることが可能であるかどうかという視点から、「二段階方式」の活用により「前頭葉」を含む脳の機能レベルとそれに直接リンクさせた「アルツハイマー型認知症」の症状を精緻に判定した上で、このように「3つの段階」に区分しているのです。

  

私たちが推奨している「脳のリハビリ」とは、意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能の出番ができるだけ多くなるような、社会活動や、趣味や遊びや人付き合いと言ったその人なりの「テーマ」を実践することなのです。日常生活面で密に、そうした脳のリハビリを実施することによって、「小ボケ」の段階であれば、比較的容易に正常な機能レベルに回復させることができるし、「中ボケ」の段階であっても、正常なレベルに回復させることが未だ可能なのです。極めて多数に上る、こうした「脳リハビリ」の実施による正常な機能レベルへの回復症例を、私たちは、「二段階方式」の成果として獲得しているのです。そうした「脳リハビリ」によって、「前頭葉」を含む脳の機能が正常な機能レベルに回復してくるということからして、「中ボケ」も「小ボケ」も、アミロイドベータの蓄積による老人斑の生成とか、タウ蛋白の蓄積による神経原線維変化等と言った器質的な変化は未だ起きてきていないと考えられるのです。なぜなら、いったん消滅した神経細胞が、脳リハビリによって回復してくることなどはあり得ないからです。「小ボケ」及び「中ボケ」までの段階では、器質的な変化は未だ起きてきていなくて、単に廃用性の加速度的で異常な機能低下が起きてきているに過ぎないと考えるべきなのではないでしょうか。

    

「中ボケ」の段階で発現してくる症状についてもう少し厳密な言い方をすれば、「記憶の障害」が絡んだ症状ではあるが、根本的にはその前段として、「前頭葉」の働きが「軽度認知症」(小ボケ)の段階の時に比べて更に異常なレベルに衰えてきていること並びに「小ボケ」の段階では未だ正常なレベルにあった「左脳」及び「右脳」の働きまでもが異常なレベルに衰えてきていることの相乗効果によって、こうした症状が発現してきているということなのです。

このことについて、意識的な世界における「前頭葉」の働き方(三頭立ての馬車)とそのアウトプットとしての症状の発現の仕方並びに「前頭葉」の機能の発揮度を直接左右している「前頭葉」の三本柱の機能の衰え方の問題について順を追ってその外観を説明した上で、具体的な例示をしつつ分かり易く説明しておきたいと思います。

     

 それではここで、例示して分かり易く説明してみましょう。発現してくる「記憶障害」が二次的に絡む(関わる)その症状についての「中ボケ」の段階における特徴として、昔の出来事、言い換えると昔記憶(記銘)したことはかなり正確に覚えている(「想起」することができる)のに対し、最近の新しい出来事を余り覚えていないで(記銘できていないので)想起することができないのです。つまり、「記銘」するときに必要な、「前頭葉」の三本柱の機能である「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の機能が「小ボケ」の段階の時より更に異常なレベルにまで衰えてきていること並びに「小ボケ」の段階では未だ正常なベルに合った「左脳及び右脳」の働きまでもが異常なレベルに衰えてきているその相乗効果としての「中ボケ」段階の症状の発現となっているのです。

すなわち、「前頭葉」の各種の個別認知機能である、状況の判断、自発性、観察、分析、考察、洞察、推理、理解、興味、関心、発想、企画、計画、創意、工夫、予見、シミュレーション、修正、整理、機転、抑制、忍耐、感動及び決断など、各種の個別の認知機能が発揮される対象となる情報の処理や思考の際の「認知度」及び「発揮度」が並びに「左脳及び右脳」の機能の発揮度が「三本柱」の機能の衰え具合に左右される結果、「中ボケ」の段階では、全ての機能がちゃんとした機能を発揮できなくなってきているのです。そうした脳全体の働き具合の結果として、上述した「中ボケ」の段階の症状が発現してきているということなのです。

&9 脳機能の加速度的な機能低下の進行にリンクした症状の重症化

        

「中等度認知症」(中ボケ)は、脳の司令塔である「前頭葉」の働きが「軽度認知症」(小ボケ)のときより更に異常なレベルに加速度的に衰えてきている上に、「軽度認知症」のときは未だ正常だった「左脳」と「右脳」と「運動の脳」の働きも異常なレベルに衰えてきていて、「脳全体」の働き具合が異常なレベルになってきているのです。三頭建ての馬車の御者だけでなく、3頭の馬さえもが異常なレベルに衰えてきている、それが「中ボケ」の段階なのです。その中でも注目されるのは、上掲してある図にみられるように、「小ボケ」から「中ボケ」、「中ボケ」から「大ボケ」へと進んでいくにつれて、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」の機能が、加速度的に衰えていくことが分かるのです。脳の機能レベルの加速度的な衰えの進行につれて、「アルツハイマー型認知症」の「症状」が重くなっていく(いろいろなことができなくなっていく、できることが減っていく)のです。

「左脳及び右脳」の働き具合までもが異常なレベルに入ってきた「中等度認知症」のお年寄りの脳の働き具合は、「4~6歳児」相当のレベルと考えると、実態によく合致します。 自分が置かれている状況の判断も、状況判断に基づく「テーマ」の発想や企画も、「テーマ」を構成する内容の組立或いはそのやり方の工夫も、実行するに際して事前に行われる洞察や推理やシミュレーションも、最終的な実行の決断も、「4~6歳児」相当のレベルの脳が行っているのです。

「左脳」がらみの論理的思考や計算や言葉に対する理解、或いは「右脳」がらみの色や形や時間や空間などに対する認知、更には自分が置かれている状況の判断等にも、「社会生活」を送る上で要求される機能レベルよりもはるかに要求レベルが低くなる「家庭生活」を送る上でのトラブルが起きてくるようになる(「家庭生活」面で種々の支障が出てくる)、それが「中ボケ」の段階なのです。

    

  何時まで待ったら、認知症の専門家とされる人達が、「前頭葉」を含む脳の機能レベルと「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズムと言うテーマに目を向けてくれるようになるのでしょうか。あの「東日本大震災」の被災地の「高齢者」達に起きてきている未曽有の人災、研究者達から「不活発病」と意味不明の名前を冠されたままで居たり、或いは、認知症を専門とする医師達から「老化現象」と誤解されたままで放置されていて、何等の調査も対策も施されないままに時間だけが経っている状態なのです。

被災から3年半が過ぎたということは、私たちの「脳機能データ」から推測すると、「小ボケ」や「中ボケ」の段階の人達が皆さんの想像を絶するほどの規模で存在し、且つその症状が進行していて、更には症状の進行が速い人達の場合はそろそろ「大ボケ」の段階に進んできているはずなのです。然も、今日も、復興がなかなか進まない被災地の全ての地域で、「アルツハイマー型認知症」を発病する人たちが出てきているはずなのです。

このまま放置された状態のままで居て、この先1年半から2年と言う時間が経過すると、私たちの区分で言う「大ボケ」の段階の人達(「アルツハイマー型認知症」の末期の段階の人達で、認知症の専門家達が「アルツハイマー型認知症」と認める人達)が、街中にあふれかえることになるのです。このブログで何度も問題提起してきているように、「大ボケ」の段階にまで症状が進んだときは(「前頭葉」を含む脳の機能がそこまで衰えてきてしまった場合は)、もはや手遅れ、「大ボケ」の段階の中で更に症状が進んでいくのを介護して見守るしか途はなくなるのです。「脳のリハビリ」により、正常なレベルに回復させることができるのは、「中ボケ」の段階までの人達だからです。

 注)本著作物(このブログB-21に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

エイジングライフ研究所のHPを「クリック」してください)

       脳機能からみた認知症(IEでないとうまく表示されません

      

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