認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

認知症の予防と脳を活性化する生活習慣 「一芸を極める」(B-02)

2014-01-15 | 認知症初期の症状と老化現象との区別の方法

 初春を 迎えし我は  中のボケ

      今日が幾日か 覚えも知らず (2) By kinukototadao

○   退職後の生活で、一番気にかかる不安は、「認知症」になること

私は、長年一筋に勤め上げてきた会社を昨年の11月に定年退職して、第二の人生を歩みだしたばかりなのです。年は、65歳になります。先輩達の話を聞くと、第二の人生で一番気になることは、「アルツハイマー型認知症」と言う病気のことなのだそうです。その病気にかかると、妻だけでなく息子や娘たちまでにも計り知れない迷惑と精神的経済的に多大な負担をかけさせることになるのだそうです。第一の人生を、家族の幸せと人並に豊かな生活の獲得と維持とを目標にして、仕事一筋で突っ走ってきた私です。趣味や遊びに目を向けたり、そうした生活を楽しむ精神的な余裕はありませんでした。仕事人間だった私にとって、仕事とは無縁になる第二の人生をボケとは無縁で生きていくには、何をどのようにしたらいいのか、それが第二の人生の出発点となる今年のお正月の最も大事な関心事なのです。

  kinukototadao」の(N0-101)のブログを読んで、恐れている「アルツハイマー型認知症」と言う病気にかからない方法があると知りました。第二の人生が始まったばかりのこの若さで早々とその病気にかからないためにも、第二の人生を楽しむ中で、脳を活性化する為の生活習慣を構築することを、一年の計ではなくて第二の人生の計として第一の目標にしようと心に決めたのです。

ところが、仕事一筋に、ただがむしゃらに第一の人生を突っ走ってきた私には、元旦の朝そう考えてはみたものの、三ケ日が過ぎても、その先が進まないのです。「そうは言っても、何を、どのようにしたらいいの?」の状態のままで、肝心の私の「前頭葉」が少しも働かないのです。どうしたらいいのでしょうか。

 

それでは、Kinukototadao  からのアドバイスを次のとおり、お取り次ぎします。 まずは、「アルツハイマー型認知症」についての正しい知識を持ちましょう。その上で、脳の働きのメカニズムについて知り、「アルツハイマー型認知症」の発病予防に不可欠である脳を活性化させる「生活習慣」の構築と実践とを、家族の理解と協力も得ながら、自分なりの「テーマ」と自分なりの「やり方」とで日々実行するのです。

第二の人生が始まっているということは、然も何をどうしたらいいかと私にアドバイスを求めてこられたということは、「時間はあり余るのにすることがない」状態にあるのでしょう。逆にそのことを幸いにして、私のこれまでのブログをしっかり読んでください。昨年末のN-100を開いて(12月15日公開)、関心のある読みたいテーマを選んで、まずはそれを読んでみてください。そこで興味が少しわいてきたら、次に読みたい他のナンバーを見つけて読むのです。私としては、Q/A Roomの様式でみなさんの関心がありそうなテーマを取り上げて書いてあるN‐44からN‐65までを一気に読み進むことをお勧めします。

ところで、認知症に対するテレビ等のマスコミの取り上げ方には注意が必要です。視聴率を気にするあまり、テーマのセンセーショナルな取り上げ方をしたり、本当の意味での専門家というよりもマスコミ受けする人を登場させるきらいがあるからです。働き盛りの若い年齢の人達の間に「アルツハイマー型認知症」が増えてきているなどというのがその典型です(それらの大半は、側頭葉性健忘症や感覚性失語症などを認知症だと誤診しているだけなのです。「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)の働き具合を精緻に測ることさえもしないで、「DSM-4」の第一の要件に引きずられ、重度の「記憶障害」の症状、或いはそれと紛らわしい症状さえ確認されると、なんでも「アルツハイマー型認知症」だと誤診してしまうのです)。色々な種類が数多くある認知症の大多数、90%以上を占めているのが、「アルツハイマー型認知症」と言うタイプの認知症なのです。ありふれた認知症と言うか、皆さんが普段の生活の中でしばしば出くわすのは、殆どがこの「アルツハイマー型認知症」なのです(ここを「クリック」してください)。   

 

「アルツハイマー型認知症」発病の第一の要件は「加齢」にあるのです(具体的な基準を挙げると、60歳以上の「高齢者」であることが必要条件となります)。働き盛りの50歳代で「アルツハイマー型認知症」を発病する人が増えてきているというのは誤りなのです。50歳代で「アルツハイマー型認知症」を発病するケースは、皆無とは言わないまでも極めて稀なのです。50歳代以下の若い年齢で発病するのは、生まれつき特定の遺伝子に(現在、3種類の遺伝子が確認されている)異常がある人だけが発病の対象となる「若年性アルツハイマー病」であるか、或いは「重度の記憶障害」の症状を呈する「側頭葉性健忘症」などの認知症と紛らわしい病気が認知症と誤診されたケースなのです。然もそれらはいづれも、発病数それ自体が僅かなものなのです。従って、高齢化率が30%を超えるような市町村、或いは大都会でも高齢のお年寄りが集まって生活している地域や場所、例えば高齢のお年寄りが大勢生活している大型の古いマンションなどでは、「アルツハイマー型認知症」のお年寄りに遭遇する機会がそれだけ多くなります。

その「アルツハイマー型認知症」の発病原因については、学者達が主張している主要な説で、現在まだ学説として生き残っているものだけでも、「アミロイドベータ説」、「タウ蛋白説」及び「脳の萎縮説」の3つもの説があります(実はそれらの学説の全てが、主張しているその原因と認知症の発病との間の因果関係を説明できていない、全くの「仮説」にすぎないのです)。

 インターネットで検索すると、「早期診断」と銘打った医療機関の多数の客寄せブログに出会うことが出来ます。ところが、認知症の専門家とされる人達(学者や医師や治療薬の研究者達)は、「アルツハイマー型認知症」の末期段階の人達、私達の区分で言うところの「重度認知症」(大ボケ)の段階の人達の症状にしか注目していないのです。

「早期診断」と銘打っておきながら、そこでいう「早期」という意味は、私達が問題提起している本当の意味での早期の段階、回復させることが容易な「軽度認知症」や回復させることが未だ可能な「中等度認知症」ではなくて、もはや回復させることが困難な「重度認知症」の段階の中の比較的早期のことを言っているに過ぎないのです。 「重度認知症」の症状が出てきて、且つアメリカ精神医学会が定める「アルツハイマー型認知症」の診断基準である「DSM-4」の第二の要件として確認が要求されている「失語」や「失行」や「失認」などの症状が出てくるようになったお年寄りでないと、「アルツハイマー型認知症」を発病しているとは考えようとしないのです。

 

「社会生活」や「家庭生活」に支障が出てくる状態、回復させることが可能な「アルツハイマー型認知症」の早期の段階(私たちの区分で言う「軽度認知症」及び「中等度認知症」の段階)の症状が発現しているのに、何事にも意欲が出てこない症状に着目して「不活発病」とか言う病名をつけてみたり、頻繁に出てくるようになる物忘れの症状だけに目をつけて「老化現象」とか言ってみたりして、それら初期の症状を見落としているのです。「セルフケア」にも支障が出てきて日常生活面での介助が要るようにならないと、「アルツハイマー型認知症」の症状が発現しているとは考えようともしないし、疑ってみようともしないのです。それが医療現場の実状なのです。

その人達は認知症の専門家とされながら、「アルツハイマー型認知症」の本当の意味での「早期の段階」であり、回復させることが容易な「軽度認知症」(小ボケ)の段階のことも、回復させることが未だ可能な「中等度認知症」(中ボケ)の段階のことも知らないのです。権威だけはあるが内容としては極めて重大な過ちを犯していることにも気付かないで、アメリカ精神医学会の診断規定である「DSM-4」の規定に準拠して「アルツハイマー型認知症」の診断を行うがために、回復させることが可能な早期の段階を見落としてしまっているのです。医療の現場にいて、様々な程度と態様を呈する「アルツハイマー型認知症」の患者を診察する立場にいながら、「DSM-4」の基準を疑うこともなく、ただそれに盲従しているだけと言うしかないのです。

いろいろな種類がある認知症のうちの大多数、90%以上を占めているにもかかわらず、「アルツハイマー型認知症」は、原因不明で治らないし、発病を予防することもできない病気とするのが世界中の医学会での定説となってしまっているのです。「アルツハイマー型認知症」の発病の原因についても上述した三つの学説が世界中の定説なのです。ところが、それらの学説の説明内容を詳細に検討してみると、「末期の段階の症状が何年間か続いて」、何らかの他の病気が原因で死亡したお年寄りを解剖して得られる「解剖所見」が示す3つの特徴のうちのいずれかが、「アルツハイマー型認知症」の発病の原因だと勘違いしているのです。「末期段階の症状が何年間か続いた」結果としての産物(副産物)に過ぎない老人斑の生成とか、神経原線維変化とか、脳の萎縮とかを、因果関係の確認も立証もなしに、「アルツハイマー型認知症」を発病させる真犯人だと主張しているのです。

 

「アルツハイマー型認知症」は、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルのアウトプットがそのまま段階的な症状として現れてくるだけの病気であり、その本質は「廃用症候群に属する単なる生活習慣病」に過ぎないのです。言い換えると、「前頭葉」を含む脳を使う機会が極端に少ない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続が原因で(私達が定義する発病の「第二の要件」なのですが)、「前頭葉」を含む脳の機能レベルが異常なレベルに衰えた直接の結果として、認知症の症状が発現してくるだけの病気なのです。

「前頭葉」を含む脳の働き自体が異常なレベルに衰えていることに対応する段階的な認知症の症状が出てくるだけの病気なので、身体が保つのが特徴なのです(「アルツハイマー型認知症」の発病が直接の原因で死ぬことにはならないのです)。「アルツハイマー型認知症」は、器質的な変化ではなくて機能的な低下(退化)を本質とする病気に過ぎないのです。このことは、私達が440を超える市町村でこの20年間にわたって実践してきた成果とそれを根拠づける脳機能データにより実証されているのです。

 

 私達の主張には権威がないと不安に思われる方達は、今後数年もすれば、東日本大震災を被災したことが「キッカケ」となりナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続を余儀なくされるにいたった「高齢者」たちの内の多くの人達が、他のどの地域の高齢者の年齢別の発症率と比較しても異次元と言われる程の高率により、「アルツハイマー型認知症」を発病し且つ(その人達の症状の重症化が現在も進行していっているので)、私達が問題にしているその時期になると、「中等度認知症」の後半の段階から「重度認知症」の段階の症状を示すようになっているはずなのです(ここを「クリック」してください)。

そうした事象が誰の目にも明らかになってくるような規模になると、認知症の専門家達が初めて問題にし、マスコミが取り上げることにもなり、私たちの主張が疫学的に立証されたことが確認されることにもなるのです。「キッカケ」が発生してからナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まり継続していく中で、「小ボケ」の期間が「キッカケ」の発生から半年から3年の間続き、「中ボケ」の期間が「キッカケ」の発生から4~5年経つまでの間続き、「キッカケ」の発生から6年が経つと「大ボケ」の段階が始まるからなのです(ここを「クリック」してください)。なお、「大ボケ」の期間というのは、「大ボケ」の段階の症状が発現してから何らかの他の病気が原因で死亡するまでの期間ということになります。「大ボケ」の段階にまで症状が重症化してくると、症状を発現させている原因である「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルの異常な低下が進行してしまっているので、治すことは困難になってしまうからです。身体が保つ限り(命が続く限り)、症状が更に進行していくだけになるのです。従って「大ボケ」の期間は、人により様々なものとなるのです。

 

○  生活の中で日々しっかり使ってやれば、「異常な機能低下」は防げるのです

何かを「キッカケ」として、「趣味なく、交友なく、運動もせず、目標もなく、生き甲斐もない」、ナイナイ尽くしの「単調な日々」を送る生活習慣の下で、言い換えると「前頭葉」を含む脳の出番が極端に少ない日々が続くうちに、使われる機会が極端に減った「前頭葉」を含む脳全体の機能が加速度的な機能の低下、「異常老化」を起こしてくることになるのです(ここを「クリック」してください)。 

言い換えると、「アルツハイマー型認知症」の本質は、廃用症候群に属する「生活習慣病」に過ぎないので、脳を活性化する「生活習慣」の構築と日々の実践によりその発病を「予防」することが出来るのです。

ところで、意識的に何かの行動を起こすには、先ずは、考えることが先決となります。何をどうするのかそのテーマを考えて(色々な可能性のテーマをシミュレーションして)、その考えたテーマの中からこれと思うものを選択して、その選択したテーマの実行計画を立てて、立てた計画のやり方を工夫しつつ行動に移す。それが、私たち人間だけが獲得した特権なのです。

ここで、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」の機能、「意識的な世界」を支配している「前頭葉」の働き方について概説しておきましょう。私達人間だけが有する「前頭葉」の機能を中核として(わかりやすく表現すると、三頭建ての馬車の「御者」の役割)、私たち人間は、意識的に何かの「テーマ」を考え、その内容を計画し、いくつかのケース・シミュレーションを経て、個々人ごとに異なる「前頭葉」の「評価の物差し」に照らして、最終的な判断による決断をして、左脳や右脳や運動の脳に対し指令を出して実行しているのです。

最終的な判断或いは決断に至る過程では、様々なケース・シミュレーションが必要となるので、「前頭葉」の三本柱の機能(意欲、注意集中力および注意分配力)の中でも「注意分配力」の機能が働くことで、「主題」となっているテーマを保持しつつ同時に、いくつかの選択肢であるシミュレーションの対象となる「副題」に対しても注意を分配し関係する機能が発揮されるのです。その場合、「注意の分配機能」の分配された度合いに応じて当該副題に対する「認知度」及び「意識度」が高くも低くもなるということなのです(「認知及び意識の多重及び多層構造」の問題)。

 

○   前頭葉の「3本柱」の機能に潜む「正常老化」の性質

意識的に何かの「テーマ」を実行する場面では、自発性、観察、分析、考察、洞察、推理、理解、興味、関心、発想、企画、計画、創意、工夫、予見、シミュレーション、比較、修正、整理、機転、抑制、忍耐、感動及び判断等、「前頭葉」を構成している各種の高度な認知機能を正常に発揮する上で、一定レベル以上での「認知度」が確保されていることが不可欠となるのです。認知度が一定レベル以下だと、「前頭葉」の各種認知機能自体が必要なレベルで発揮されなくなるのです。そうした「認知度」の高さ或いは低さを左右しているのが、意欲、注意の集中力及び注意の分配力という「三本柱」の機能なのです(「認知度」と「発揮度」とがともに、「三本柱」の機能レベルと「リンク」している)。

「前頭葉」を中核の機能として、左脳や右脳や運動の脳も参加して、脳全体で何をどのようにするかを決めるには(テーマを選択し、実行計画を立て、実行に移す)、先立って且つ常に、必要な機能レベルでの「意欲」の継続的な発揮が不可欠になるのです。様々な状況を考慮し、いくつものケースシミュレーションを経た上で、最終的な内容を決定し、実行に移すには、「注意の集中力」と「注意の分配力」の機能の発揮も必要になるのです。上述のようにその「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の機能は、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」と言う脳の働きの「3本柱」の機能と言えるのです。 

ところが、私たちが意識的に何かのテーマを思いつき実行しようとするときに、必要とされる各種の認知機能を発揮する上で、必要不可欠の機能である「前頭葉の三本柱」とも言うべき、「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」には、加齢とともにその働きが衰えていく「正常老化曲線」の性質が内在されているのです。そのカーブは、私たちが「二段階方式」に基づく「かなひろいテスト」の実施により集積した年齢別の機能レベルの推移を示す下図のとおりなのです。

        

脳の司令塔は「前頭葉」であり、その「前頭葉」の三本柱の機能に加齢と共に働きが衰えていくという性質、「正常老化の性質」が内在していることが「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズムを解明する上で不可欠の重要な指標となるのです。

原因が分からないとされている「アルツハイマー型認知症」を発病するメカニズムを解明する上で重要なのは、肝心要のこの「前頭葉」の三本柱の機能には、「20歳を過ぎると、年をとるにつれて100歳に向かって、緩やかではあるが徐々に働きが衰えていく」という特徴を有する老化曲線、言い換えると「正常老化曲線」があることなのです。それなりに「前頭葉」の出番がある「生活習慣」を維持していても、加齢とともに機能が緩やかに衰えて行くという性質があるのです。「高齢者」の入口である65歳頃には、「前頭葉」の「三本柱」の機能レベルが最も高い20歳頃のほぼ半分くらいにまで衰えてきていることが注目すべき要因なのです。実態面からも明らかなように、「アルツハイマー型認知症」は、60歳以降の「高齢者」が発病の対象となり、70歳代、80歳代、90歳代、100歳代と高齢になればなるほど、発病する人の年齢別の割合が、どんどん増えて行くのです。

この「前頭葉」の老化曲線のカーブの傾きの度合いは、60歳を過ぎた高齢者と言われる年齢になると、脳の使い方という視点からの「生活習慣」に大きく左右されるようになります。脳の後半領域の働きである左脳、右脳及び運動の脳から送られてくる情報の質と量次第で、「前頭葉」の老化の曲線は、「緩やかに低下するカーブ」(正常な老化)を描き、或いは、「加速度的に低下するカーブ」(異常な老化)を描くことになるのです。 

たくさんの量と質のよい情報が送られてくるような「生活習慣」が継続されているお年寄りは、老化の曲線は緩やかなものとなり、身体が保つ限り脳も保てる、「かくしゃく老人」への道が開けてきます。生き甲斐なく、趣味なく、交友なく、運動もせず、目標もない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続されていて、量も少なく質も劣る情報しか送られてこない「生活習慣」が継続されているお年寄りは(私たちが定義する「アルツハイマー型認知症」発病の「第二の要件」)、老化の曲線が加速度的な低下の曲線を描いて、急速に低空飛行になっていくことになります。その行き着く先には、「アルツハイマー型認知症」の発病が待っているのです。    

上述した概説からお分かりのように、「アルツハイマー型認知症」の本質は、脳の使い方という視点で言うところの廃用症候群に属する「生活習慣病」なのです。本来的な性質として内在している「前頭葉」の「正常老化の曲線」の問題(発病の「第一の要件」)と第二の人生に入って、何かを「キッカケ」にして、「右脳」も「運動の脳」も使う機会が極端に少なくなるような生活、「生き甲斐なく、趣味なく、交友なく、運動もせず、目標もない」ナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まり、そうした生活が日々継続していくと(発病の「第二の要件」)、出番が極端に少なくなった「前頭葉」が「第一の要件」と「第二の要件」との「相乗効果」により廃用性の機能低下を起こしてきて老化を加速させていき、「アルツハイマー型認知症」発病への道を歩みだすことになるのです(ナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まる「キッカケ」については、ここを「クリック」してください)。 

  

○   脳全体をしっかりと使い、脳が生き生きと働く生活習慣を継続することが、「アルツハイマー型認知症」発病の予防になるのです。

高齢になったお年寄りが、何かをキッカケにして、歩行する機会が極端に少なくなると、膝の筋肉が廃用性の機能低下を起こして来て歩けなくなります。「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズムは、高齢者の膝の筋肉が廃用性の加速度的な機能低下を起こしていくのと同じメカニズムと考えられるのです。従って、廃用性の生活習慣病がその本質と考えられる「アルツハイマー型認知症」の発病を予防するには、脳をしっかり使う自分なりの「生活習慣」の構築と維持が不可欠だと言うことになるのです。

「アルツハイマー型認知症」を予防するには、日常生活のいろいろな場面で、「前頭葉」を含む脳全体を「しっかりと使ってやる」ことが必要不可欠の条件なのです。脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」には、そもそも、加齢とともに働きが衰えていくという性質があるからです。「アルツハイマー型認知症」を発病しないためには、老化のカーブ(上述した「正常老化」のカーブ)を支えていくこと(下支えする「生活習慣」を構築し、維持すること)が不可欠の条件となるのです。

自分なりの「目標」がある生活、その「目標」を達成することで「生き甲斐」や「喜び」や「感動」が得られることが、その過程での「意欲」や「注意の集中力」や「注意の分配力」という「前頭葉」の三本柱の出番を多くすることになり、「脳を活性化」させ、廃用性の老化を防止することになるのです。そうした「前頭葉」の三本柱の出番が多い「生活習慣」の下では、発想、創意、企画、構成、計画、工夫、観察、分析、理解、把握、考察、洞察、推理、予見、シミュレーション、組み換え、修正、変更、整理、機転、興味、創造、感動、評価、判断、抑制忍耐、及び決断等の「前頭葉」の高度な諸機能が、それなりに働く機会が与えられることで、「年齢相応」の自分なりの「正常な機能のレベル」を維持することが出来ることになるのです。

   

○   「アルツハイマー型認知症」の段階的な症状は、「前頭葉」を含む脳全体の働き具合の直接のアウトプットなのです。

世の中の専門家達から原因がわからないと言われている「アルツハイマー型認知症」は、「前頭葉」を含む脳の機能が、廃用性の機能低下により(使われる機会が極端に少ないために、機能が衰えてくることにより)、加速度的に異常なレベルに衰えてくることが直接の原因で発病し、認知症の症状が発現してくるのです。

「アルツハイマー型認知症」の症状は、「前頭葉」を含む脳の機能が異常なレベルに衰えてきたことの直接のアウトプットにすぎないのです。従って、「前頭葉」の出番が多い「生活習慣」を維持することによりその機能が正常なレベルに保たれている限り、「アルツハイマー型認知症」を発病することはないのです

自分なりの「テーマ」とその達成に関わる「目標」がある生活、その目標を達成する過程及び結果により「達成感」や「喜び」や「感動」や「生き甲斐」が得られる生活を送ることで、「三本柱」の機能を含む「前頭葉」の諸機能の「出番を増やしてやる」(しっかりと使ってやる)ことしか他に、「アルツハイマー型認知症」の発病を予防する方法はないし、回復可能な早期の段階(回復が容易な「小ボケ」の段階及び回復が未だ可能な「中ボケ」の段階)からの回復の方法もないと言うのが、データと実践に裏付けられた私達の考えなのです。従って、「前頭葉」の働き方及び異常なレベルへの機能の低下のメカニズムから考えると、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続するままで居て、異常なレベルに衰えた「前頭葉」を含む脳全体の機能を、飲むだけで(或いは、貼るだけで)正常なレベルに機能回復させることができる薬(「アルツハイマー型認知症」の治療薬)を開発することができるなどというのは、不可能なこと、絵空事だとしか思えないのです。

    

○   脳を活性化させる上で、第二の人生での「テーマ」となるものとは

そうした視点から言えば、第二の人生では仕事(「左脳」が中心となる)がらみの「テーマ」を目標とすることは一般的には無いことなので、仕事以外の「テーマ」、「趣味」や「遊び」や「人づきあい」(「右脳」が中心となる)や「運動」(「運動の脳」が中心となる)、或いは「社会活動」等を「テーマ」として、それを自分なりの「目標」の設定と自分なりの「やり方」で実行し、且つそうした生き方を自分なりに「楽しむ」という生活を「習慣化」することが、「アルツハイマー型認知症」の発病を「予防」する必要不可欠の条件ということになるのです。

やることが楽しくて、「意欲」が自然と湧いて来て、熱中できるような、自分なりの「目標」となる「テーマ」、「注意を集中」したり「注意を分配」(複数の異なったテーマを同時並行して実行する前頭葉の機能)したりすることができるだけ多い「テーマ」に取り組む「生活習慣」を継続する中で、自分らしい「生き方」、自分らしい「生活の楽しみ方」を追及し、そうした暮らし方(脳の使い方としての「生活の仕方」、すなわち、「生活習慣」)が、「アルツハイマー型認知症」の発病を「予防」してくれることになるのです。

 ○  意欲が湧き、その意欲がまた他のテーマの遂行に向かう循環が大切

その為には、周りを気にせず、自分の置かれた諸環境と条件とを考慮した上で、自分なりの楽しみが得られ、自分なりの夢を追うことが出来る「テーマ」を見つけて、自分なりのやり方で実行し、その遂行の過程と結果とが自分なりの基準で評価し満足することが出来るようなものであること、言い換えると、「自分の身の丈に合った、自分なりの幸せや生き甲斐や目標を追求する生き方」が不可欠となるのです。周りと比較して、自分が負けているとか勝っているとかいう価値基準にはきっぱりと決別することが必要不可欠の条件となるのです。

「テーマ」が「仕事」の実行であった第一の人生では、皆さん誰でも、周りと比較して自分が負けてるとか勝ってるとかを問題にし、重要視してきたのです。少なくとも人並みと言える程度の経済的に豊かな生活を追求し、獲得することが世間一般に求められ、そのことを家族に保証することが価値とされてきたのです。それが当たり前の価値基準だと思い、周りもそれを求めてきたのです。

ところが第二の人生では、「仕事」のテーマに代わって、「趣味」や「遊び」や「運動」や「人づき合い」や「社会活動」がテーマとなるのです。そうした場では、第一の人生での価値基準を放棄してしまい、忘れ去ってしまうことが必要不可欠となるのです。

周りを見て、周りと同じようなテーマややり方を選択し、周りと比較して自分が勝っているかどうかを評価する従来の「価値基準」のままでいたのでは、肝心の脳が活性化されないのです。勝っていればいいけど、負けていると感じると、やる気が続かなくなるからです。そのテーマを日々実行していく為に必要な「意欲」が出てこなくなるからです。そうした価値基準ではなくて、「自分なりのテーマを自分なりに実行し、その遂行の過程自体を楽しみ、その結果自体をそのままに受け入れて満足する」と言う新しい価値基準の適用が大原則となるところが、「仕事」をテーマとして選択するときとは根本的に異なることに注意が必要なのです。

   

○   すべてのお年寄りに共通の脳を活性化させる生活習慣としての第一番目の「テーマ」となる生活習慣は、「速歩の散歩」なのです。

ところで、「脳を使う」と言うと皆さんは直ぐに「左脳」を使う(仕事や勉強をする)イメージをお持ちだと思いますが、「アルツハイマー型認知症」を予防するための「脳を活性化」させるエース・ピッチャーは、実は「右脳」なのです。皆さんは、「時間が、あっという間に経ってしまう、楽しい体験」をお持ちでしょう。こんな時間こそ、脳全体が極めて活性化している、イキイキと働いている時間なのです。脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」の働きを活発にするのに最も効果的な方法は、「右脳」をしっかり使う生活、趣味や遊びや人づきあいをしっかり「楽しむ生活」を送ることが不可欠になるのです。「趣味や遊びや人づきあい」などを楽しむことで、自分なりに目標や喜びや生き甲斐があり、意欲が湧いてくるような毎日を過ごすのです。

趣味や遊びや人づきあいといった「右脳」重視の生活が、「前頭葉」の出番を増やし働きを活性化させることになり、脳全体の機能が正常レベルに維持されることになるのです。趣味や遊びや人付き合いが苦手な人は、「運動の脳」を使うことが脳を活性化させる上で意外と効果的です(ここを「クリック」してください)。

  

○   第二のテーマとなる生活習慣は、「一芸を極める」ことです【その一】

第一の人生で、仕事一筋の仕事人間であったあなた、趣味や遊びに目が行かず体験したこともないあなたに、いきなり、アノ趣味をとかコノ遊びをとか言っても始まらないでしょう。多芸多趣味は、理想的ではあるのですが、誰にでも達成できる訳のものではありません。そこで、今日はあなたに、「一芸を極める」やり方を提案したいと思います。多芸ではないが、さりとて、無芸ではない道の追求です。

誤解がないように最初に忠告しておきますが、「一芸を極める」生活習慣とは、「一芸に秀でる」生活習慣とは本質的に異なる価値基準が必要となるのです。周りの人と自分とを比較してみてください。「一芸に秀でよう」としても、親から引き継いだDNAも、生まれ育った環境も、第一の人生での種々の体験も、現在の生活環境も、経済環境も、人的環境も、全てが異なるのです。或るものについてはそれなりに優位であっても、大多数については逆の状況にあるでしょう。比較優位ではないそうした諸環境及び諸条件のなかで、どうしたらあなたの「脳を活性化させる」ことが出来るテーマを見つけられると言うのでしょうか。

その「唯一つ無二の方法」とは、「周りの人達とは比較しない」と言うことなのです。周りの人達と比べて、「勝ってるとか負けてるとか」を問題にしている限り、あなたの脳が活性化されることはないのです。必ず、あなたより勝っている人が周りに居るはずだからです。周りと比較して、負けているのを知って、肝心の「意欲」を落としてしまうことになるのです。

周りの人と比較して負けてるとか勝ってるとか言わないで、自分のやり方で、自分なりにそのテーマを追求し、「その追及の過程自体を楽しみ、その結果を受け入れる」やり方、第一の人生でのそれとは本質的に異なる「価値基準」が、あなたの脳を活性化させ、そのテーマを追求し続ける「意欲」を拡大させ継続させてくれることになるのです。その時、「そのテーマは、あなたの脳を活性化させる生活習慣になっている」はずなのです。

 注)本著作物(このブログB-02に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

エイジングライフ研究所のHPここを「クリック」してください。

脳機能からみた認知症の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)

 

 

 

 

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アルツハイマー型認知症の早期診断による回復と発病の予防(B-01)

2014-01-01 | アルツハイマー型認知症の予防活動

    初心を 忘るべからず 座右銘   

                  ボケの進行  脳の居眠り (1)

                               By kinukototadao

○ アルツハイマー型認知症は、「脳の使い方」が原因の生活習慣病なのです

私達の意識的な思考や行為、言動或いは行動は、脳の司令塔の「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)が「左脳」や「右脳」や「運動の脳」と協働しつつ、且つそれらを主導して実行されています。

朝目覚めて寝床から起き上がるにも、尿意を催してトイレに行くにも、顔を洗って自分好みにお化粧するにも、今日の行動予定に見合った服に着替えるにも、ニュースを知ろうと新聞受けに新聞を取りに行くにも、朝食の用意のため電気釜にスイッチを入れるにも、こうした「意識的な世界」はすべて脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」の働きなしには実行することが出来ないのです。もっと正確な言い方をすると、「前頭葉」がちゃんと働いていないと、こうした行動を必要とされるレベルできちんと実行することは出来ないのです。「前頭葉」が正常なレベルで機能していて初めて、目的となる行動を、意図したレベルできちんと実行することができるのです。「社会生活」の面であれ、「家庭生活」の面であれ、「セルフケア」の面であれ、「前頭葉」が正常なレベルで機能していない限り、それらの生活面では支障が出てくることになるのです。

  

その司令塔の「前頭葉」が正常な機能レベルで働くことが出来なくなったときから、「アルツハイマー型認知症」はもう始まっているのです。左脳、右脳及び運動の脳の全てが正常な機能レベルで働くことが出来ていても、肝心の「前頭葉」が正常なレベルで機能出来なくなったときから(異常なレベルに衰えてきたときから)、「アルツハイマー型認知症」はもう始まっていることを、認知症の専門家とされる人達が見逃している(気づいていない)ことが、早期に見つければ回復させることが出来るし、発病を予防することもできる病気、脳の使い方と言う視点から見た単なる廃用性の「生活習慣病」に過ぎない「アルツハイマー型認知症」を発病の原因も分からない、治すこともできない、予防することもできない病気、モンスターに仕立ててしまっているのです。

何らかの原因で脳の機能が全般的に機能低下したことにより、私達が意識的に何かを実行しようとするとき、生活面に支障が出てくる病気のことを「アルツハイマー型認知症」と言います。どんな生活面で支障が出ているのかは、高度なレベルから順に「社会生活」、「家庭生活」、「セルフケア」の3つに区分されます。どんな内容、レベルのものであれ、「社会生活」を行うのに要求される脳の機能レベルは「家庭生活」に要求される脳の機能レベルよりも高いものが要求されるし、「家庭生活」を行うのに要求される脳の機能レベルは「セルフケア」に要求される脳の機能レベルよりも高いものが要求されることについては、誰も異論はないと思います。また、「脳の機能が異常なレベルに低下」していることが原因で生活面に「支障」があると言うことは、支障が「症状」として認められると言うことです。

  

私たちは、こうした視点から、この3つの生活区分に対応した「脳の機能レベルにリンクした症状」について、データを蓄積してきたのです。蓄積されたデータを分析し、「アルツハイマー型認知症」の脳の機能の衰え方とそれに対応した症状、つまり「3段階に区分」され、且つ、それぞれに「グループ分け」された「段階的症状」をパターン化しているのです。

脳全体の司令塔の 「前頭葉」の働きが異常なレベルに衰えてきている人達、言い換えると認知症の症状を示している人達は、脳の働き具合とそれに対応した症状のレベル及び正常なレベルへの回復の可能性と言う視点から区分すると、軽いほうから回復させることが容易な「軽度認知症」(「小ボケ」:社会生活面に支障)、回復させることが未だ可能な「中等度認知症」(「中ボケ」:家庭生活面に支障)、及び回復させることが困難な「重度認知症」(「大ボケ」:セルフケア面に支障)の「三つの段階」に区分されるのです。

   

ところが「アルツハイマー型認知症」の専門家とされる人達(治療薬の開発研究者、学者及び医師)の間では、「アルツハイマー型認知症」の症状の段階を区分しないのです。「十把一絡げ 」にしていて、色々なレベルの症状を順不同に単に並べてみているだけなのです。

その人達は、「アルツハイマー型認知症」の段階的な症状が「前頭葉」を含む脳の機能レベルにリンクしていることを知らないからなのです。更に言うと、アメリカ精神医学会が定めている「アルツハイマー型認知症」の診断基準としての「DSM-4」が規定する二つの要件に束縛されていて、末期の段階になって初めて発現してくる症状、私達の区分で言うところの「重度認知症」(大ボケ)の段階の症状だけが「アルツハイマー型認知症」の症状であると誤解しているところにその理由と原因とがあるのです。

 15000例の症例による解析図   

左の図は、協働しながら働く脳全体の司令塔の役割を担う「前頭葉」とデジタルな情報を処理する機能である「左脳」及びアナログな情報を処理する機能である「右脳」の働きとが、同時進行且つ加速度的に衰えていくその衰え方を、私達が開発した「二段階方式」のテスト(「かなひろい」テストと「MMS」テストの二種類の「神経心理機能テスト」を使用する)を使って調べた結果を示しています。

 社会生活が支障なくできていた脳の働きが、何かを「キッカケ」としてナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続することにより、老化が加速され、廃用性の機能の異常な低下が進行していくとき、「衰え方の順序がある」ことが分かってきたのです。

脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」が先に衰えていきます。次いで、前頭葉と相互に情報のやり取りをしている「左脳」と「右脳」が衰えていくということです。このとき、全ての脳の衰え方は、何年もかけて徐々に衰えていくとは言え、直線的ではなくて加速度的に衰えるのが特徴です。更に、専門的になるのですが、左脳と右脳の衰え方にも「規則性がある」のが特徴なのです。

神経心理機能テストにより確認されるこうした「衰え方の規則性」は、「アルツハイマー型認知症」に特有のものなので、認知症或いは認知症と紛らわしい病気の症状を発現している人が、「アルツハイマー型認知症」であるかどうかを判定・鑑別する上で極めて強力な武器ともなるのです。

認知症にも、たくさんの種類があります。とはいえ、アルツハイマー型認知症と脳血管性認知症とで95%ほどを占めてしまうのです。「回復」させることも、発病自体を「予防」することも可能な「アルツハイマー型認知症」だけで90%以上を占めているのです(ここを「クリック」して)下さい。      

      

「アルツハイマー型認知症」について専門家は、原因も分からないし、治すこともできないと言っています。このブログの中でこれまでに何度も言及してきたように、それは、「失語」や「失行」や「失認」と言った症状の確認を要件とする誤った考え(「DSM-4」の基準)を金科玉条としている結果、言い換えると「見つける段階が遅すぎる」(末期段階の「重度認知症」の段階で見つけている)結果であって、「アルツハイマー型認知症」自体はその本来の性質からすれば、廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」に過ぎないのです。早期の段階(私たちの区分で言う「軽度認知症」及び「中等度認知症」の段階)で見つけると脳のリハビリにより正常なレベルに「回復」させることが出来るし(治すことが出来る)、脳を活性化させる「生活習慣」の構築とその実践により発病自体を「予防」することも出来る病気なのです。

本当の意味での早期の段階、私たちの区分で言う「軽度認知症」(小ボケ)及び「中等度認知症」(中ボケ)の段階を認知症の専門家とされる人達が見落としていることが重大な問題なのです。何らの対策を打つこともなくこのまま放置していると(具体的に問題点を挙げて指摘すれば、蛇口を開きっぱなしにしたままでいて、回復させることや発病を予防することを棚上げにして、回復させることが困難な末期の段階になって初めて見つけて、何種類もの効きもしない薬を処方し大量に投与するだけの状態のままにしていると)、介護保険制度自体が費用負担規模の果てしのない拡大に追い込まれていき、早晩行き詰ってしまうことになりかねないと私達は危惧しているのです。

「小ボケ」の段階で見つければ正常なレベルに回復させることが容易であり、「中ボケ」の段階で見つければ回復させることが未だ可能なのです。医師を含め、認知症の専門家とされる人達が回復させることが期待できない末期の段階、私たちの区分で言う「重度認知症」(大ボケ)の段階になって初めて見つけている現状は、専門家としての社会的な使命を忘れている、放棄しているのではないかと苦言を呈したくなるのです。末期の段階の「重度認知症」(大ボケ)の段階で見つけることに、何の、どのような意味が有り、社会的使命を果たしていると言えるのでしょうか。「重度認知症」(大ボケ)の段階になると、回復させることはもはや困難になり、身体が持つ限り症状がさらに重症化していくだけ、言い換えると何らかの他の病気が原因で死を迎えることになる時まで、症状が「重度認知症」の段階の中でさらに重症化していくだけなのですから(ここを「クリック」してください)。

「アルツハイマー型認知症は、原因不明で治らない病気」というフレーズには虚構が潜んでいるのです。早期の段階を放置しているから、「早期診断」と銘打ちながら「重度認知症」の段階で見つけているから、治らない(治せない)だけなのです。

今年度春からは消費税の税率が現行の5%から8%に変更され、増税となります。ところがこれだけ大騒ぎをして税率を上げるにも拘わらず、増税による増収額は5兆円程度に過ぎないのです。世界に先駆けて超高齢化社会に突入した我が国では、誰でもが80歳、90歳まで生きることができます。この先更なる高齢化が進行する中で、「アルツハイマー型認知症」を発病する人達の数も増加の一途をたどると予測されています。介護保険の適用による費用の負担が皆さんの想像をはるかに超える巨額の規模となっている現状にかんがみるとき、「アルツハイマー型認知症」の早期発見による「回復」と発病の「予防」を制度化して全国の市町村で、市町村の小学校区域単位の各地域で実践することになれば、消費税の増収額をはるかに超える規模の巨額の介護保険費用をセーブすることができるはずなのです。

  

私たちが440を超える市町村でこの20年間にわたって実践してきた「地域予防活動」の経験とその成果からすると、認知症の大多数、90%以上を占める「アルツハイマー型認知症」は、脳を活性化する「生活習慣」を構築することで発病を「予防」することが出来るし、早期の段階で見つけて「生活習慣」を改善させる為の脳リハビリを実行するだけで「回復」させることが可能なのです。現状における医療機関による診断の最大の問題は、「発見するのが遅すぎる」ことにあるのです。末期の段階である「重度認知症」(大ボケ)のレベルで見つけていたのでは、遅すぎるのです。見つける段階が遅すぎるから、「原因も分からないし、治らない」と誤解されているのです。

「原因も分からないし、治らない病気」と専門家が言い、その上、狭義の「アルツハイマー病」(これは、特定の「遺伝子」に生まれつき異常がある人だけが発病の対象となる極めて特殊な認知症であり、認知症全体に占める割合は、1%程度に過ぎない)と「アルツハイマー型認知症」(これは、廃用性の単なる「生活習慣病」であり、認知症全体に占める割合は、90%を超える極めてありふれたもの)とをまとめて「アルツハイマー病」と呼ぶ過ちを主要な地位にあるマスコミ機関自体が犯しているために、回復可能な軽い段階(「軽度認知症」や「中等度認知症」の症状が出てきている程度)では、(世間体を気にして)周りに隠す気持ちのほうが先立ち、病院に連れて行かないのです。「重度の記憶障害」の症状が日常的に出てくるようになって、どうにも手に負えなくならないと、家族が病院に連れて行かないという悪循環を生む結果にもなっているのです。

  

このことについて国民的な確認が必要です。もっと軽い段階で見つけてもらって、回復のための治療の指導をやってもらい(脳の使い方と言う視点からの「生活習慣」の改善指導:「アルツハイマー型認知症」の回復に効果がある薬は現状では存在しないし、今後も開発される可能性はないと言いきっておきます)、「脳の機能」が正常なレベルに回復してくるという体験をすることが重要です。その体験をする人が日本全国で増えてくれば、世の中の誤解も解けるのです。それによって、個人も家族も救われ、自治体や国の財政も救われることになるのです。このまま、「原因も分からないし、治らない病気」として放置していると、国の財政さえおかしくなってしまうほどの巨額のコストが介護の費用に振り向けられているのです。「介護」に対する介護保険制度での対応は不可欠のものですが、「蛇口を開きっぱなし」にしていたのでは、介護保険制度自体が崩壊してしまいます。

早期診断による早期治療と「回復」及び発病の「予防」という蛇口を閉める方法があるのだから、そのことを「国民的な課題」にすべきなのです。

その努力を、個人や家族のレベルで尽くして、自治体が地域予防の活動を小さな単位ごとに定着させる施策を展開して、それでもなお「アルツハイマー型認知症」を発病し、回復困難な「重度認知症」(大ボケ)の段階に迄症状が進んでしまう人が出てくることは避けられないので、その人に対する手厚い介護を介護保険制度で対応するのです。「重度認知症」(大ボケ)の段階にまで脳の機能が衰えてしまったお年寄りを、家族が介護するのは、精神的にも経済的にも極めて重大な負担を介護にかかわる家族に強いることになるのです。介護保険制度の費用負担面からの崩壊を危惧するのであれば、家族介護を制度化するのではなくて、早期診断による回復と発病の予防を自治体の業務として制度化するほうが、費用を軽減する上でもはるかに効率的だと私たちは考えるのです。

  

第一に考えるべきテーマは、「早期発見と早期治療」です。その実施の方法は、本来なら医療機関による「早期診断」と「生活習慣の改善指導による回復」を図ることが最も効果的なはずなのです。年に2回の定期検診を行い、「軽度認知症」(小ボケ)や「中等度認知症」(中ボケ)のレベルに衰えていないかどうかを調べるのです。

但し、回復可能な早期の段階(「小ボケ」及び「中ボケ」の段階)を見つけるには、「二段階方式」に代表される精緻な「神経心理機能テスト」で「前頭葉」を含めた脳の働き具合を的確に調べ判定する診断方法が不可欠となります。早期の段階であるか否かの「診断」は、現在行われていて主流のCTやMRIによる「画像」診断ではなくて、「神経心理機能テスト」による「前頭葉」の働き具合を含む脳全体の働き具合を調べる診断が不可欠となるからです。「アルツハイマー型認知症」は、最初に脳全体の司令塔である「前頭葉」のみが異常なレベルに衰えていき(「小ボケ」)、次いで、「左脳」と「右脳」とが異常なレベルに衰えていく(「中ボケ」)という衰え方の規則性があるからです。

  

「画像」による診断は、脳の形(「萎縮」の度合い)は測れても、脳の働き具合を測ることはできません。脳血管性認知症の診断はできても、「アルツハイマー型認知症」の的確な診断はできないのです。

萎縮の度合いと脳の働き具合との間には直接の「因果関係」(脳の「萎縮」の度合いと認知症の段階的な「症状」の発現との間の相当因果関係)が確認できないからです。私たちは、脳の萎縮の度合いが認知症の症状と直接の因果関係があると言う考えには賛成できませんが、仮にその主張どおりに確認できるとしても、「重度認知症」よりも「中等度認知症」、更に「軽度認知症」と症状が軽い段階になるほど因果関係の確認は困難になるはずです。言い換えれば、回復困難な「重度認知症」の段階になれば発見が可能であっても(万一の仮定の話)、回復可能な、「中等度認知症」や「軽度認知症」の段階では発見が困難なはずなのです。

この方法によって診断している限り、「アルツハイマー型認知症」は、「原因も分からないし、治らない病気」のままで、介護対象者が増大の一歩をたどっていき、介護保険制度はやがて財政面から崩壊してしまうことになるでしょう。

    

猶、現行制度では、(画像による診断をやめて、「神経心理機能テスト」を実施)するのでは医療機関がペイしないので(事業の継続実施に必要な事業収益を確保できない)、どの医療機関もその方法を採用しないでしょう。

それを解決する方法は、「神経心理機能テスト」の評価ポイント(保険点数)を大幅に引き上げる方法か、それとも、(診療費が自己負担となる)混合診療で行う方法、或いは自治体による早期診断を制度化した「地域予防活動」の展開等の新規の政策が必要です。「神経心理機能テスト」により「前頭葉」を含む脳全体の働き具合を的確に調べることによって、回復可能な「小ボケ」と「中ボケ」の段階を見つけることが出来るので、脳のリハビリ(生活習慣の改善指導)により正常レベルに回復させることが出来るのです。更には、自治体と地域住民とが協働して実践する「地域予防活動」の全国的な展開により、「アルツハイマー型認知症」の発病の「予防」が図れることにもなるのです。これらが制度化されることによって、介護保険の財政状況は、劇的に改善されることになるはずなのです。

認知症の90%以上を「アルツハイマー型認知症」が占めていて、然も「小ボケ」や「中ボケ」の段階で見つけることが出来れば、正常レベルに回復させることが出来るからです。悪くても「中等度認知症」(中ボケ)(家庭生活に支障)でとどめさえすれば、「重度認知症」(大ボケ)にさえしなければ、介護費用は大してかからないのです。「小ボケ」や「中ボケ」の段階のお年寄りであれば、正常なレベルに回復させることが可能なので、回復させることが困難な「大ボケ」の段階にあるお年寄りの介護とは異なり、家族による介護にも希望が出てきて、精神的な励みや喜びにもつながるのです。

  

○ 地域予防活動の中核になれるのは、市町村の保健士さん達

「アルツハイマー型認知症」は、脳の使い方という視点からするところの「生活習慣病」なのだということについて、全国民的な啓蒙活動を展開する必要があります。個人及び家族単位での「生活習慣」の改善の実践と地域単位での予防活動の展開が必要なのです。小学校区単位で、廃校や公民館などの公的施設を活用して、「脳を活性化」させるテーマを参加者が楽しむ「体験の時間」を、一週間に半日設ければいいのです。その体験を元にして、自分なりに楽しめる「趣味」や「遊び」や「人づきあい」や「運動」を日常生活に取り入れ「生活習慣」化するだけで良いのです。そうしたテーマの日常的遂行が脳を活性化させるメカニズムと根拠となるデータについては、(N-54:ここを「クリック」してください)で詳しく説明してあります。

ところで、地域単位での「予防活動」の展開は、事業としてはペイしないものなので、医療機関だけでなくて、民間による活動もあまり期待できません。その意味で、市町村の健康福祉課などや在宅介護支援センターや地域包括支援センターなどの公的機関による活動やNPOなどによる活動が不可欠になると思います。

「アルツハイマー型認知症」は脳の機能面から言うところの「生活習慣病」なのですから、市町村の保健師さんは、かつて先輩達が「身体の健康」指導に多大の貢献をされてきたことを思い起こし(世界に先駆けて、誰でもが80歳や90歳まで生きられる超高齢化社会が実現された)、これからは「脳の健康」の指導に社会的な役割と使命とを見出し、「アルツハイマー型認知症」の発病予防の活動に貢献していただきたいと切に願うのです。

 注)本著作物(このブログB-01に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

エイジングライフ研究所のHPを「クリック」してください)

 脳機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません

   http://blog.goo.ne.jp/quantum_pianist

 http://blog.goo.ne.jp/kuru0214/e/d4801838dd9872301e0d491cd8900f1a

   

 

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