アルツハイマー病、脳血管性認知症、二次性認知症、アルツハイマー型認知症等、様々な種類が数有る認知症の内の殆ど大多数、90%以上を占めている『アルツハイマー型認知症(以下、「AD型認知症」と略記する)』は、症状が軽い段階、本当の意味での早期の段階である「軽度認知症」(小ボケ)及び「中等度認知症」(中ボケ)の段階で見つければ、『脳のリハビリ(脳の使い方と言う視点からの「生活習慣」を改善すること)』によって、回復させること及び又は、症状の更なる重症化の進行の抑制が出来るのです。早期発見・早期治療が鍵の「生活習慣病」なのです。その上、発病自体を『予防(発病時期の先送り)』することも出来るのです。
「AD型認知症」に対する①発病の「予防」や、②症状の「回復」や、③重症化の進行の抑制が、国民的なテーマとして認識され、「個人や家族単位」或いは「地域単位」で、全国的レベルで「生活習慣」の改善に取り組むことになれば、破綻の危機にある介護保険の財政状況を大きく改善させることも、可能になるのです。
世間一般の人達は、どうしても「権威に弱い」と言う傾向があります。有名大学の医学部の教授とかが出てきて、テレビの番組で話すと、内容の実際のレベルはさておいて、その人が話したことを「正しいもの」と信じてしまいます。まして、認知症に関してとなると、その傾向はいっそう強まります。世間で権威があるとか、専門家であるとか言われている人たちの誰もが、「AD型認知症は、原因不明で治らない病気」だと書物で書いているし、権威のあるテレビ局の番組に出てきてそのように語っていますが、それは間違った見解なのです。
これ迄に、ブログで何度も指摘して来たように、最初に注目すべき軽い段階の症状、「意識が覚醒した/目的的な世界」に於ける脳全体の司令塔の役割りを担っている脳機能、「前頭葉」機能の働きだけが異常なレベルに衰えていて、高次機能の左脳も右脳も未だ正常なレベルに在る段階で、症状が発現してくる「軽度認知症」(小ボケ)に注目すべきなのに、そのことに気付いていないのです。「前頭葉」機能(前頭前野の穹窿部に局在する複合機能体)の機能が、①廃用性の/②加速度的で/③異常な機能低下が進行して行くことに因り、殆ど機能しなくなってくる段階、且つ、高次機能の「左脳も/右脳も/運動の脳」もが、極めて異常なレベルに衰えてきて、行き着いた最後の段階、「末期の段階」の症状を示している「重度認知症(大ボケ)」の段階になって初めて、「AD型認知症」の発病と診断しているのです(「発病のレッテル貼り」をするだけの診断)。
「極めて重度の記憶障害の症状(物忘れの症状)」が出ているとか、「失語」とか/「失認」とか/「失行」(紛い)の症状と言う、末期段階の「大ボケ」の後期で初めて発現して来る「極めて重度の症状」が出てくるようになって認知症と診断していたのでは「遅すぎる」のです。せっかく見つけても「AD型認知症は、原因も分からないし、治らない」病気という結果にされてしまうのです。
私たち「二段階方式」の「脳機能データ」と根拠からすれば、「AD型認知症」を治せる薬とは、異常なレベルに機能が衰えている『前頭葉機能』を正常なレベルに引き戻すことが出来る薬と言うことになります。私たち人間だけに特有な世界である『意識的/目的的な世界』をコントロールしている、脳全体の司令塔の役割を担っている『前頭葉機能』の機能の発揮から見たとき、そのような効能を持った薬(所謂、「治療薬」が開発されることは、未来永劫、絶対に有り得ないことなのです。
※ 自転車のチューブに空気を入れる「空気ポンプ」という機器があります。
「AD型認知症」は、(空気をチューブに運ぶ)紐状のゴム管の部分(脳の機能で言えば、情報を伝達する神経線維)に支障が有るのではなくて、『ポンプを押して空気を押し出してやる機能の部分(脳の機能面で言えば、情報を発信してやる『前頭葉』等の機能)』に支障が起きてきたこと(「廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行」)に因り、正常に働かなくなったことが原因で発病する(「AD型認知症」の症状が、発言して来る)病気なのです。「廃用性の機能低下」が原因で/異常なレベルに働きが衰えている訳なのだから、『正常なレベルに引き戻す方法は、日常生活のいろんな場面で、「前頭葉」機能の出番が増えるようなテーマ、趣味や遊びや人づきあいや運動を積極的に楽しむこと、楽しみや/喜びや/目標や/生き甲斐が有る生活習慣を構築して、継続的に実践の自助努力をして、『前頭葉』機能が(活性化)する日々の暮らし方/「第二の人生」での脳の使い方としての視点と意味で言う(生き方)を、自分なりに追及することしか、他に方法が無いのです。但し、「重度認知症(大ボケ)」の段階にまで、脳全体の機能が衰えて来てしまったなら、『為す術が何も残されていなくて、「介護の対象」となるだけ』なのです。
「器質的変化」が本質の病気だと誤解している為に、「AD型認知症」に効く効能を有する「治療薬」が開発出来るかもしれないと、製薬会社の研究者達は考えてしまうのです。多数の「脳機能データ」の解析と根拠に基づき、私たち「二段階方式」が、これまでに何度も指摘しているように、「機能的変化」(廃用性の異常な機能低下の進行)が本質の病気である為に、脳を十分に使ってやりもしない『ナイナイ尽くしの「単調な生活習慣」が継続していて、『飲むだけで効く(症状の進行を遅らせる効能を有している)ような、『そんな薬は、未来永劫、有り得ない』のです。
左脳も/右脳も/運動の脳もが、未だ正常な機能レベルにあっても、コントロールタワーである「前頭葉」機能の働きが異常なレベルにある「軽度認知症」(小ボケ)の段階では、脳全体の機能レベルのアウトプットである(意識的/目的的な思考/思索/発言/会話/行為や言動や行動は、既に「AD認知症」の発病の「症状」として発現しているのです。専門家と言われる人達は、早くこのことに気付いてほしいのです。該当者と判定された高齢者は、「AD型認知症」に移行する確率が高いとして最近取りざたされるようになった「MCI=軽度認知障害」という考え方についても、上記の視点から、見直しが為されるべきものと考えるのです。
※(14689例のテスト結果の分布図) ⇔①(小ボケ)
②(中ボケ)
③(大ボケ)
もしも、認知症の研究を専門にしている人達が、このブログを読む機会があったなら、脳の「重度の萎縮」が認められるとか、①アミロイドβの蓄積や/②タウ蛋白の沈着に因る「①老人斑の生成や/②神経原線維変化」等が認められ用途も、③「前頭葉の廃用性の異常な機能低下」だけが認められるようになるもっと軽度の段階に、焦点を当てて欲しいのです。
※重度の症状が確認されていた「高齢者」の死後の「脳の解剖所見」から出発して、「AD型認知症」の原因を考え/憶測により想定するのではなくて、方向を転換して、『生きている人間の「前頭葉」機能を含む、脳全体の異常な機能低下、且つ、「意識」が覚醒下目的的な世界に於ける脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」機能の廃用性の異常な機能低下に注目してほしいのです。
その場合は、CTとかMRIとかで脳の形を調べるのではなくて、「神経心理機能テスト」でもかまわないので、脳の働き、特に「前頭葉の働き具合」を、きちんと調べて欲しいと願うのです。
注)本著作物(このブログA-08に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。