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認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

「軽度認知症」(小ボケ)に特有の類型的症状 (Aー10)

2012-03-24 | アルツハイマー型認知症の三段階の症状
 
 
 
 
 
 
&1 「AD型認知症」の症状の段階区分とその意味
(1) 『前頭葉』機能の機能レベルの精緻な判定を含む、(脳全体の機能レベル)の客観的な判定と評価に因り、発病してくる症状を「三段階」に区分する意味は、(脳の機能レベルに応じた)症状の改善及び/又は重症化の進行の抑制が目的である『脳のリハビリ』の実践を指導する上で、以下の重要な意味があるからなのです。
私たち「二段階方式」では、以下の区分に従い、「脳のリハビリ」(複合機能体である『前頭葉』機能が活性化する「生活習慣」の構築と継続的な実践の自助努力)の指導を行います。
  • 小ボケ「脳のリハビリ」の実践により、症状を改善させる重症化の進行を抑制することが、可能な段階
  • 中ボケ「脳のリハビリ」の実践に因り、症状の重症化の進行の抑制が、未だ可能な段階
  • 大ボケ「脳のリハビリ」の実践により、進行を抑制することさえ、最早困難な段階
(2)『小ボケ』の段階は、「意識的な世界」(目的的な世界)に於ける脳全体の司令塔の役割を担っている『前頭葉』の機能だけが異常な機能レベルに在って、手足の役割である左脳及び右脳の機能は、未だ正常な機能レベルに在るのです。
『中ボケ』の段階は、左脳も右脳も異常な機能レベルに在って、『前頭葉』機能を含む脳全体の機能が、異常なレベルに在るのです。『大ボケ』の段階は、『前頭葉』機能を含む脳全体の機能が、「中ボケ」の段階より更に異常なレベルに機能低下が進んで、『実行機能』の機能の行使及び発揮度を左右している『注意の分配力』の機能が殆ど機能しなくなってきている為に、『メタ認知』自体が全く困難であり、『脳の機能年齢で言えば、(3歳児~0歳児)であり、且つ、(為す術が何も残されていなくて、介護の対象となるだけ)』なのです  !!
 
(3)米国精神医学会が策定した(「AD型認知症」の診断基準である)「DSM-Ⅳ」の第二要件の規定が、「AD型認知症」発病の初期症状として確認を要求している失語、失認、失行(紛い)の症状は、記憶障害が進んだこと(アミロイドβの蓄積による老人斑の沈着が、神経細胞の大量死を惹き起こした領域が拡大)により発現して来ているのではなくて、(真の原因)は、廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行に因り、『注意の分配力』の機能が殆ど働かなくて/「実行機能」の駆使が出来ない為に、『メタ認知』自体に重大な支障が起きてきている為なのです。
 
(4) ハーバード大学を筆頭とする(我が国は、東大)世界中の権威ある機関は、①『前頭葉』機能を含む脳全体の機能の/②廃用性の/③加速度的で/④異常な機能低下の進行に起因して、①『前頭葉』機能を含む/脳全体の機能レベルに/②厳密にリンクした/③三段階に区分される類型的症状(「改訂版30項目問診票」)が発現してくるのが、『AD型認知症』の特徴であることに、未だに気が付いていなくて、更には、「AD型認知症」が、私たち人間だけに「特有な世界」である『意識の機能構造/意識が覚醒した目的的な世界』と深い関係があることに気付かないで、「注意の分配力」の機能が備わっていなくて、『前頭葉』の機能が備わっていない、「マウス/マーモセット」を研究対象に、権威だけを笠に着た「憶測」ばかりしているのです。
 
(5)『AD型認知症』の本態は、(廃用症候群)に属する老化廃用型の「生活習慣病」に過ぎないのであり、治療の効能(症状を治したり、症状の進行を抑制する効能)や発病を予防する効能を有する『治療薬』が開発されることは、未来永劫有り得ないことなのです。エーザイの研究者達も、アミロイドβの蓄積を除去することが出来ても、そのことが、「症状の進行を抑制する結果には繋がらないこと」に気付くべきなのです(「因果関係」の有無の評価の仕方が杜撰!!)。
※FDAが迅速手続きによりエーザイのレカネマブを承認したとしても、そのことは単に、『レカネマブの服用により、(アミロイドβの蓄積の除去)の効果が認められる』程度のことであり、そのことに起因して、『AD型認知症』の症状の進行の抑制効果には繋がらないのです。即ち、『アミロイドβの蓄積と「AD型認知症」の発病との間には、因果関係自体が存在していない』からなのです!!
※『A(アミロイドβの蓄積)という原因が、B(「AD型認知症」の症状の進行)という結果を惹き起こしていると言える為には、『Aという原因が存在しないならば、Bという結果は発生してこない』ことが、実証される必要があるのです(訴訟の場では、実証出来ないことは、主張する意味がないのです=時間とコストの無駄遣い)。
 
&2 『AD型認知症』の発病者の症状が進行して行く順番(「改訂版30項目問診票」)
(1)「小ボケ」の類型的症状の10項目(「改訂版かなひろいテスト」に不合格=「前頭葉」機能が異常なレベルが大前提となります)。
①三つ以上の用事を、同時に並行して処理できなくなる(『注意の分配力』の機能が異常なレベルに衰えて来た為、様々な場面で、物事をテキパキと処理できなくなる。車を運転している際に、注意の分配力が十分には発揮できない機能レベルに在る為、小さな事故を、しばしば起こすようになってくる。後続車を何台も従えていることにも注意が回せなくて、道路の真ん中よりを時速30キロ程で、ノロノロ運転するようになる。)
②一日や一週間の計画が立てられなくて、自分ではどんなテーマをどのように実行したら良いのか思いつかなくなる(注意の分配力の機能が異常なレベルにあるため、実行機能を駆使して発想、洞察、推理、シミュレーションすることが出来にくくなる)
③何かをやりかけても、中途半端で、根気が続かなくなってくる(テレビを見ていても、根気が続かず、やたらとチャンネルを変える)
④問いかけに対する反応が遅くなって、動作がもたもたしてくる
⑤発想力が乏しくなり、料理の内容や行動内容が画一的になる(同じ料理用の材料を重ねて買ってきて、冷蔵庫の中にたまる)
⑥本人は気づかないで、同じことを何度も繰り返し話したり、尋ねたりする(注意の分配力の機能が異常なレベルに在るため、自分が話した内容の記銘度が低いので、ついさっき話したことを忘れている)
⑦何か、何事かに対して、生き甲斐を覚えている雰囲気が無くなってくる(注意の分配力の機能が異常なレベルに在るため、評価の物差しが十分には働かない結果、それまでなら覚えていた生き甲斐を感じられなくなる)
⑧何かをするでもなく、ぼんやりして過ごしていることが多くなり、やたらと居眠りするようになる(注意の分配力の機能が異常なレベルに在る為、実行機能の一要素である「実行テーマ」を発想する機能が発揮できなくなってくる)
⑨思い込みや思い違いが多くなり、相手の意見を聞き入れられなくなる(実行機能の一要素である抑制する力が異常なレベルに衰えたせい)した「大ボケ」の段階の症状の発現を初期症状だと誤解しているのです。「介護」の仕事に従事している人達は、本態が、廃用症候群に属する老化廃用型の『生活習慣病』であることを知らない。その結果、症状の重症化の進行自体が、廃用性の加速度的で異常な機能低下が進行して行くこととなる為に、より高度な機能の順番に、『前頭葉の機能⇒左脳⇒右脳⇒運動の脳』の厳密な順番に衰えが進行して行くことも知らない。
 
(2) 発病の『末期の段階』である『大ボケ』の後半、「DSM—Ⅳ」の第二要件が規定する初期症状(実は、極めて重度の症状)が発現してきていると、「注意の分配力」の機能が、実行機能が、即ち『前頭葉』の機能が、殆ど働かなくなってきているのです。左脳(論理的な思考や言葉の使用など、デジタル情報の処理に特化した機能)の働きも衰えてきてしまっていて、主として、右脳(感情や空間の認知など、アナログ情報の処理に特化した機能)の機能と運動の脳(身体を動かすことに特化した機能)の機能とが、僅かに働いている脳の機能レベルに在るのです。『前頭葉』を含む脳全体の機能レベルを、分かり易く表現すれば、『3歳~0歳児』の脳の機能年齢にあるのです。但し、「3歳の幼児」と違うのは、何十年間も生きて来たことの残滓が、時々、身体にしみこんでいる言葉の一片や態度が、表面的に出てくることなのです。
 
(3) 自由意思に基づいた『評価の物差し』(意識の首座=自我)の機能の関与は全く困難な脳の機能レベルに在るのです。外観からの憶測だけで、判断してはいけないのです。『前頭葉』を含む脳全体の機能が、そのような機能レベルに在る発病者(「大ボケ」の後期の発病者)が、『自分らしく生きていく』ことは、最早不可能なことなのです(自分らしいテーマの選択、理解や判断や評価や決断が出来るには、「評価の物差し」、最終的な機能としては、『前頭葉』の機能が正常なレベルに在ることが不可欠の条件となるのです。医師が発病者と診断する「大ボケ」の段階の高齢者達の前頭葉は、極めて異常なレベルに在るのです)。
 
(4) 『発病高齢者の「意思」を尊重する』対応の要求は、『前頭葉』を含む脳全体の機能レベルという視点を持っていない人達の、独りよがりの主張に過ぎないのです。彼等は、「ボケ」の段階にある発病者は愚か「ボケ」の段階の発病者が、我が身に起きている様々で重大な支障(『AD型認知症』の発病の症状)について、『認識が最早困難となっている(脳の機能レベル)に在る』ことに無知なのです⁉
 
&3 『AD型認知症』の症状が進行して行く特徴
(1) 上記に提示の小ボケ、中ボケ、大ボケの三段階に区分された「類型的症状」を注意して読んでみてください。
これらの段階的で類型的な症状は、「前頭葉」機能を含む『脳全体の機能レベル』(二段階方式は厳密な定義を有している)に厳密にリンクした症状なのです。権威達(DSM-Ⅳの規定やMCIの規定)が憶測し、主張している原因、「記憶の障害」に起因して、発現してきたものではないことを理解できるでしょう。
 
(2) 例えば、「小ボケ」の段階の症状である『発想力が乏しくなり、料理の内容や行動内容が画一的になる』について、『前頭葉』を含む脳全体の機能レベルという視点を加え、考えてみましょう。
何十年間も家族のために料理を作ってきて、家族の好みや栄養にも気を配って、栄養のバランスが良くて、それなりにおいしい料理を作ることが出来ていたのです。その(高齢者)が、夫婦二人だけの生活が続く第二の人生を送ってきていて、何時か、同じ料理ばかりを作ったり、同じような食材が、冷蔵庫の中に溜まるようになってきたのです。二人だけの生活なのに、お豆腐やらアゲやらが、『何人分も溜まってくる』のが常態化してくる。
※これは、『記憶障害が、為させている訳のものではない』のです。
 自分が置かれている状況を分析し、理解し、判断して、②状況判断に沿ったテーマを発想して、③テーマの実行の内容(程度と態様を含む)を計画して、④実行の結果を洞察、推理、シミュレーションして、⑤シミュレーション結果を比較し、⑥必要な修正を加えた上で、最終内容(程度と態様を含む)を選択して、⑦実行の決断を下して、⑧実行する。これが、意識的な世界(目的的な世界)における脳全体の司令塔の役割を担っている『前頭葉』機能の働き方であり、即ち、『前頭葉』の機能が正常なレベルに在る場合の働き方なのです。
『AD型認知症』の発病者である場合は、『前頭葉』機能が(から)真っ先に、異常なレベルに衰えていくのが特徴なのです(二段階方式が世界に誇る『AD型認知症』の発病者14689人分の「脳機能データ」が根拠)。
 
(3)「DSM-Ⅳ」の策定者や、アミロイドβ仮説を筆頭とする「3つの仮説」の支持者達は、「前頭葉の機能レベルについての精緻な判定の為の手技」を持っていないので、前頭葉機能が異常なレベルに衰えて来た時発現してくる症状、本当の意味での「早期の段階」の症状である「小ボケ」の段階の存在について未だに無知、無関心なのです。挙句の果てに、「物忘れの症状」の外観的な確認だけを持って、「AD型認知症」の発病の前駆的な段階が判定できるなどと主張しているのです(『MCIの基準』の支持者達)。
※発病の最初の段階である「小ボケ」は、左脳と右脳(MMSEで判定)の機能は正常な機能レベルに在る(MMSEの総得点が、24点以上)ことが確認されるのに対し、『前頭葉』の機能は、異常な機能レベルに在る(「改訂版かなひろいテスト」が不合格となる)ことが確認されるのです。
 
(4) 例えば、「中ボケ」の段階の症状である『2~3種類の薬の服薬管理が出来なくなり、家族が管理する必要がある』について、『前頭葉』機能を含む脳全体の機能レベルという視点を加えて、考えてみましょう。
例えば、「糖尿病」の治療薬として、血糖値の上昇を抑えるために処方される薬、3種類の薬があって、①食前と食後に服用の区分があり、②食前に服用すべきものと食後に服用すべきものとが明確に区分されているとしましょう。
ⅰ)実は、「小ボケ」の段階だけでなく、「中ボケ」の段階も、その存在について専門家達が気づかなくて、見落としているのです(「大ボケ」の段階のことと症状しか知らないのです)。
前頭葉の機能レベルを精緻に判定できる手技があれば、容易に気づく筈のものなのに、MMSE(医師によっては、長谷川式)しか活用しない為に、〔前頭葉の機能レベル〕の判定に関心が向いていないのです。中ボケの段階にまで、前頭葉を含む脳全体の機能レベルが衰えてくると、その直接の結果として、我が身に起きてきている様々で重大な支障(『AD型認知症』の発病としての症状)について、認識が出来ないのです。他方、中ボケの段階の発病者であれば、口だけは結構しゃべれるのです(「中ボケ」の脳の機能レベルの特徴は、『言い訳ばかりする幼稚園児』)。
ⅱ)(それなりにしゃべれる)発病者を見て、精神科医は、『AD型認知症』の発病者ではないと診断するのです(「失語紛いの症状」とは、かけ離れて、しゃべれるからです)。 それでいて、「中ボケ」の段階の発病者であれば、『前頭葉』機能を含む脳全体の機能が、相当な程度異常なレベルに衰えてきているのです。①自分が置かれている状況を理解し、判断したり、②状況判断に沿った、実行すべき「テーマ」を思いついたり、③実行の仕方について、シミュレーション(洞察、推理)できなくて、④自分に発現してきている様々で重大な症状の認識が出来ないのです。
そうした『脳の機能レベルにある』為、『2~3種類の薬の服薬管理が出来なくなり、家族が管理する必要がある』のです。『記憶障害が原因で起きてきている症状ではない』ことは、『本人が、服用の仕方の説明書を読んでみても、管理が無理なことを見れば、理解できる』のです。『何をどのように管理すべきなのかの理解と判断が出来ない為、服薬管理が出来ない』!!
 
(5) 例えば、「大ボケ」の段階の症状、『服を一人では正しく着られないで、上着に足を通したりする』について、『前頭葉』を含む脳全体の機能レベルという視点から、考えてみましょう。
今は冬の寒い時期(但し、当の本人は、寒い冬の時期だから、風邪などを引かないように、厚手のセーターを着ることにしようとは、考えることが出来ない、『前頭葉』を含む脳全体の機能レベルに在ることに注意)。専門家が、発病者であると言っている高齢者は、①重度の物忘れの症状が確認されていて、②失語や失認や失行(紛い)の症状が確認されているのです。その高齢者(「大ボケ」の後期=『メタ認知』機能が殆ど働かない脳の機能レベル)がセーターを着ようとするとしましょう。セーターの腕の中に、頭を入れようとして、悪戦苦闘するのです。セーターの着方を忘れた為に起きてくるものと専門家達は、「誤解している」だけなのです。
 
(6) 『前頭葉』機能を含む脳全体の機能が、極めて異常なレベルに衰えてきている「失語や失認や失行(紛い)の症状が確認される高齢者」は、①(脳全体の司令塔)の役割を担う『前頭葉』の機能が極めて異常なレベルに衰えてきて、②注意の分配力の機能が殆ど働かない機能レベルに在り、③左脳、右脳、運動の脳が極めて異常なレベルに衰えて、11の下位項目により構成されて、30点が満点であるMMSEの総得点が一桁、9点以下になって初めて確認される極めて重度の症状なのです=14689例の発病患者の脳機能データの解析結果で、事象の事実の『MMSE下位項目の項目困難度』の指標が根拠〕ことが原因で、起きてくる症状であり(前頭葉を含む脳全体の機能レベルに厳密にリンクした症状)、「DSM-Ⅳ」の第一要件が規定し及び「3つの仮説」が想定している『記憶の障害』に起因して発現してきているものではないのです。
ⅰ)『意識』の機能構造については、世界中の専門家達から、未だに不明で、『人類最大の難問である』とされているのです。私たち「二段階方式」が解明したところでは(意識の機能構造については、このブログの【G-02-その1~3】を参照して下さい)、『実行機能』自体については、機能を発揮させる機構が備わっていないのです。どうやって、実行機能の『機能の発揮度』が確保されているのかというと、【「注意の分配力」の機能が関わることに因って、初めて、実行機能の発揮度が確保される機能構造をしている】のです。『注意の分配力』の機能(の発揮度)が、実行機能能の機能の発揮度を左右し、下支えている機能関係、言い換えると、『機能発揮上の二重構造』の問題(機能発揮機構)が存在しているのです【=By 二段階方式】。
ⅱ)ところで、『注意の分配力』の機能の発揮度は、「注意の集中力」の機能が左右し、下支えている機能関係に在って、更には、「注意の集中力」の機能の発揮度は、「意欲」の機能が、左右し下支えている機能関係にあるのです。
このことについて下部機構から上部機構の順に沿って言い換えると、①「意欲」の機能が『注意の集中力』の機能の発揮度を左右し、下支えていて、②「注意の集中力」の機能が、『注意の分配力』の機能の発揮度を左右し、下支えていて、③「注意の分配力」の機能が実効機能、評価の物差しの機能並びに左脳、右脳及び運動の脳の機能の発揮度を左右し、下支えている機能関係にあるのです。
従って、『前頭葉の三本柱』の機能(意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能を総称して、二段階方式が名付けている呼称)が、実行機能及び評価の物差しの機能(意識の首座=自我)、即ち、それらの機能総合体としての『前頭葉』の機能(前頭葉の三本柱の機能、実行機能及び評価の物差しの機能により構成される複合機能体であると二段階方式は、考えている)の発揮度を左右し、下支えている機能関係(「機能発揮上の二重構造」)にあるのです。
ⅲ)上記、※1及び※2で説明した『機能構造の関係』(機能発揮上の二重構造の関係)により、『服を一人では正しく着られないで、上着に足を通したりする』という症状は{「DSM-Ⅳ」の第二要件が規定する失語、失認、失行(紛い)の症状も同じことなのですが}、「DSM-Ⅳ」の第一要件が規定しているような『記憶の障害』に起因して発現してくるのではなくて、『前頭葉の三本柱』の機能が廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させてきて、末期の段階(大ボケ)の後半にまで、重症化が進行してきたことに因る機能障害、機能発揮上の二重構造の関係から、「実行機能」、就中『前頭葉』の機能障害に直接起因した症状として発現してきているものに過ぎないのです。
 
(7) ここに挙げてある症状は、全て、「AD型認知症」の発病患者に確認される類型的な症状について、軽い症状の順番に並べたもの(現行の30項目問診票の順番を入れ替えたもの)です。世界の専門家達は、上記の内の末期の段階の後半の症状を発病の初期症状と誤解しているのです。
ⅰ)「小ボケ」や「中ボケ」の段階があることにさえも気づいていないので、重度の物忘れの症状の主観的な観察に基づいただけのMCI (軽度認知障害)とかの極めてあいまいで主観的な内容の基準の該当者とされるお年寄り達(=「極めて重度の物忘れの症状」の発現者)について、「AD型認知症」発病の前駆的状態に在るとかの説明が行われているのです。加えて、失語、失認、失行(紛い)の症状(注意の分配力の機能が殆ど働かないことが原因で発現)が確認されて初めて、「AD型認知症」の発病だとしているのです。
ⅱ)回復させたり、症状の進行を抑制できる本当の意味での早期の段階、小ボケ及び中ボケの段階を見過ごしていて、「末期の段階」である大ボケの段階で初めて発病を見つけて居る「発病のレッテル貼り」をしているだけの『診断費用』並びに発病の予防も症状の回復も将来の「研究課題と言う名目」で棚上げにして居て、介護が不可欠となる「大ボケ」にまで症状が進行したことに因る『介護の費用』の合計総額は(今回決定された防衛費の総額をはるかに超える規模)、単年度ベースで、優に20兆円を超える規模となっていて(一般会計と特別会計の総額)、『ボケても、安心な社会作り』を追求する政策、川下にしか目が向いていない対策は、世紀の愚策であり、『発病自体の予防及び早期診断と早期治療による回復又は、更なる重症化の進行の抑制』を国策として制度化し、全国展開することに因って初めて、『持続可能な超高齢社会』の構築と維持が可能となるのです。
ⅲ)「AD型認知症」の発病者であれば、(脳全体の司令塔)の役割を担う『前頭葉』の機能が最初に異常なレベルに衰えて行くのです(発病の『最初の段階である「小ボケ」の段階』では、①左脳も右脳も運動の脳も、「正常な機能レベルに在る」のに対して、前頭葉の機能だけが異常なレベルに在るのです②。『前頭葉の機能が正常なレベルに保たれている限りは、AD型認知症の発病は、絶対に起きて来ない』ということなのです。

(まとめ)

「軽度認知症」(「小ボケ」)の段階の症状は、『前頭葉』機能の働きだけが異常なレベルに衰えている(左脳と右脳と運動の脳は正常レベル)ので、「前頭葉」の機能障害の症状と同じなのです。「認知度」と直結していて、認知に不可欠の「意欲」、「注意集中力」及び「注意の分配力」が状況に相応して必要なレベルで働かない、的確に働かないゆえの症状を示します。認知症は、「生活の自立度」がどうであるかを問題にする性質のものなので(社会生活や家庭生活やセルフケアにどのような支障があるかを問題とする)、原因である脳の機能は前頭葉だけが異常なレベルであっても、そのアウトプットである「症状」には、コントロールタワーの前頭葉の機能レベルが直接反映されるので、正常なものではなくなります。この点が、認知症の定義にも反映されるべきだと思います。「DSMーⅣ」の定義を含めて、「AD型認知症」を診断する精神科医も/治療薬を開発している製薬会社の研究者も、「前頭葉」の機能の発揮及びその衰え方に対する理解が、浅過ぎるのではないかと思うのです。

 

   来週は、「中等度認知症」と「重度認知症」に特有に見られる症状について整理したものを報告し   ます。確定的な診断の基準にはなりませんが、一応の目安としては利用できるはずです。

 注)本著作物(このブログA-10 に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

 

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