様々な種類が数ある認知症の内の大多数、(90%以上の割合)を占めている『アルツハイマー型認知症(以下、「AD型認知症」と略記する)』については、1995年に私たち「二段階方式/KinukoとTadの二人が主宰するエイジングライフ研究所」が、「住民参加型の地域予防活動」の実践展開の指導を開始し、僅か数年後には、厚生省に呼ばれて、尾嵜課長から全国展開を要望されるほどの顕著な成果を挙げ、活動を開始してから10年後には、北海道から九州に跨る全国的規模、452の先駆的な市町村に活動範囲が拡大し(国保中央会/各県の国保連合会が、導入先の拡大に大きな貢献をして下さいました!!!)/顕著な成果を挙げていた時期から、今日に至るまでの間だけでも、「AD型認知症」の発病/症状の重症化の進行原因については/「アミロイドβの蓄積(老人斑)」と憶測する仮説、「タウ蛋白の沈着(神経原線維変化)」と憶測する仮説、「アセチルコリンの不足」と憶測する仮説等/種々の学説が入れ替わり、立ち代り唱えられて来たのです。
それらの仮説は、「発病/症状の重症化が進行するメカ」についての科学的で/客観的な根拠の提示が出来ない儘及び(主張している原因要因と発病/症状の重症化の進行と言う結果との間)の「因果関係の存在」について、実証出来ない儘、うたかたのように出ては消えるのを繰り返して来ているのです。
その結果、我が国だけでなくて、世界中の認知症研究/診断の専門機関(専門家達)の間では、『「AD型認知症」は、「発病の原因が分からないし、治すことも出来ないし、発病を予防することも出来ないタイプの認知症」である』とされていて、『為す術もなく放置されているのが、現状』なのです。そうした原因を作ったのが、診断基準では/米国精神医学会が策定した「DSM-Ⅳ」の規定であり、学説では/「アミロイドβ仮説」という訳なのです!!
「AD型認知症」の診断を専門とする精神科医が、診断の現場で行っていることと言えば、「AD型認知症」の発病であると診断する上で/米国精神医学会が定めた「DSM-Ⅳ」の第二要件が確認を要求している失語(紛い)の症状や/失認(紛い)の症状や/失行(紛い)の症状という「重度認知症(大ボケ)」の段階でも/後期(30点が満点である/MMSEの得点が一桁の9点以下)にならないと発現して来ない「極めて重度の症状」を確認して初めて、『AD型認知症』の発病と診断する愚を犯し続けて来ている結果として、実態面では、「重度認知症(大ボケ)」の後期の段階でしか/「AD型認知症」の発病を見つけられないでいるのです。
医療現場のそうした状況の中で憂慮すべきなのは、私たち「二段階方式」の区分で言う末期の段階である「重度認知症(大ボケ)」の段階の高齢者を「家庭」で/「家族」が介護することを推奨する人達が、未だ少なからずいることなのです。(我が国に在ってはならない)老々介護やら、認々介護やら、果ては、「介護離職」が、社会現象化して来ていると言うのに!!
「①軽度認知症(小ボケ)」及び/又は、「②中等度認知症(中ボケ)」の段階迄であれば、「① 回復させることが可能(小ボケ)」及び/又は、「②症状の重症化の進行の抑制が未だ可能(中ボケ)」なのですが、「重度認知症(大ボケ)」の段階に迄/『「前頭葉」機能を含む/脳全体の機能が/極めて異常なレベルに迄衰えて来てしまう』と、(為す術が何も残されていなくて)、「介護」の途しか、残されていないのです。
『AD型認知症』の特徴は、「脳全体の機能レベルが更に加速度的に衰えて行く一方」で、つまりは、「症状が更に重症化して行く一方」で、「身体だけは、しっかりもつのが特徴」なのです。
「重度認知症(大ボケ)」の段階が始まった時点では/MMSEの換算値は14点あるので、「脳全体の機能レベル」は/3歳児以下のレベルなのですが、身体がもっている間は/(併発した他の病気が原因で、死亡しない限り)、「重度認知症(大ボケ)」の枠の中で、(脳全体の機能が、更に衰え続けて行くことを反映)して、「発現して来る症状が、更に重いものになって行き」、行き着くところは、「植物人間状態」にまで、症状が進行して行くことになるのです。
『AD型認知症』の発病/症状の重症化が進行して行く特徴は、実は、人類最大の難問と言われている『意識』が、関わることなのです!!!
「意識」が覚醒した/目的的な世界に於ける「脳全体の司令塔の役割り」を担っている「前頭葉」機能の機能レベル(働き具合)が、『一つには、①「加齢の進行の要因」がもたらす「正常老化の進行」と言う、基盤の要因』に因り及び『もう一つ別の要因である、②「60歳を超えた年齢の高齢者」が、「第二の人生」を生きる上で、日々に展開される「ナイナイ尽くしの単調な生活習慣』の継続が惹起する「廃用性の、異常な機能低下の進行」と言う加重要因』の同時存在、即ち、『①と②と言う、「異なる二つの要因が、同時に並行して存在し、重なり合う」ことに因る「相剰効果」に因り、「③前頭葉機能を含む/脳全体の機能」について、『④ 廃用性の/加速度的で/異常な機能低下の進行が、惹き起こされて来る』/⑤その行き着く先に、「AD型認知症」の発病/症状の重症化の進行が、待っていると言うことなのです(私たち「二段階方式」が、世界で初めて解明し、且つ、主張内容が正しいことを、『住民参加型の地域予防活動』の顕著な成果と言う疫学的方法に因り実証済みのものなのです。
(「意識」との関わりを/意識的に避けている)医療の現場では、(「神経心理機能テスト」を活用して「前頭葉」機能を含む/脳全体の総合的な「機能レベル」を調べることをしないで)、CTやMRIなどの機器を使って(「脳の形:脳の委縮の度合い」)を中心に調べているのです。それに付け加えるのが『記憶の障害/重度の物忘れの症状』なのですが、これにも問題があるのです。
「前頭葉」機能を含む/脳全体の総合的な「機能レベル」を調べないので、その結果として発現している『段階的症状』という考えもなく、「DSM-Ⅳ」に規定されている「極めて重度の物忘れの症状」(しばしば取り上げられる症状が、『つい先ほど食事を摂ったばかりなのに、直ぐにそのことさえも忘れる』という症状)並びに、失語(紛いの症状)/又は、失認(紛いの症状)/若しくは、失行(紛いの症状)と言う「末期の段階」にしか発現してこない「極めて重度の症状」が、「AD型認知症」の初期症状であると誤解しているのです。
回復が可能な「軽度認知症(小ボケ)」の段階も、症状の更なる重症化の進行の抑制が未だ可能な「中等度認知症(中ボケ)」の段階も、無知と無関心に因り、見過ごされてしまっているのです(「AD型認知症」の症状を、軽度認知症、中等度認知症及び重度認知症の/(3つの段階)に区分するのは、「二段階方式」独自の区分方法)。これら「早期の段階」では、発現して来ている症状が、「重度認知症(大ボケ)」の段階の症状に比べて、相対的に/遙かに軽いものばかりであり、失語(紛い)や/失認(紛い)や/失行(紛い)といった、極めて重度の症状は、未だ発現していないので、(見過ごされていて)/「AD型認知症」の発病とは診断されないのです!!
その結果、「AD型認知症」は、本当の意味での早期の段階である(「①小ボケ」や/「②中ボケ」の段階)で/発病を見つけると/「①正常なレベルに脳の機能を回復させることが出来る(治せる)」し及び、「 ②症状の更なる進行の抑制が、未だ可能(「大ボケ」にはさせないことが、未だ可能) 」であり、究極の目的である「③ 発病自体を予防することも出来る性質のもの」なのであって、即ち、廃用症候群に属する/老化・廃用型の/「生活習慣病」に過ぎないのに、「原因も分からないし、治すこともできないし、予防することもできない病気」に、されてしまっているのです。
「AD型認知症」の診断が専門の精神科医達が皆/そのように言うので、権威を重んじる我が国の国民もまた、医師の言葉をそのままに信じるのです。「AD型認知症」は、原因が分からないし、治すことが出来ないし、予防することも出来ないタイプの認知症だとする考え方が、北海道から沖縄まで、全国通津裏裏、離島を含めた我が国の隅々に至るまで、深く浸透してしまっているくのです。
他方で、「脳をどのように使うべきなのか」と言う視点からの/日々の生活の仕方が、発病や/症状の進行を左右する「①廃用症候群に属する/②老化・廃用型の/③生活習慣病である」と主張している/私たち「二段階方式」の説を/「疫学的に裏付ける」実態がる、出現して来てもいるのです。
被災から約2年弱という僅かな期間しか経過していない/にも拘わらず、東日本大震災の被災地に於いては、『不活発病』のレッテルを貼られる高齢者達が、異常な規模で出現して来ていて、今もなおその状況が進行しているという実態が、学者たちの間で、問題視されているのです。実は、この人達は、「AD型認知症」発病の最初の段階である「軽度認知症(小ボケ)」の段階の人達なのです。
このお年寄りたちの「前頭葉」機能を含む/脳全体の機能レベルを、「二段階方式」に代表される「神経心理機能テスト」を活用して判定してみれば、左脳も右脳も正常なレベルにあって、司令塔の「前頭葉」機能の機能レベルだけが異常なレベルに衰えて来ていることが分かるのです(「軽度認知症(小ボケ)」の段階)。特に、「前頭葉の三本柱」の機能を構成する「意欲、注意の集中力及び注意の分配力」の機能が異常なレベルに衰えて来ている為に、その直接のアウトプットとしての「症状」(「不活発病」のレッテルを貼られるような症状)が発現しているのです(実は、それこそが、「軽度認知症(小ボケ)」の段階で発現して来る症状なのです)。「AD型認知症」の特徴である、段階的な症状の発現についての知識を持たない人達が、誤って、「不活発病」のレッテルを貼り付けているだけということなのです。
「不活発病」のレッテルを張られるだけで/放置された儘の「軽度認知症(小ボケ)」の段階に在る高齢者達は、「小ボケ」の標準的な滞留期間である3年の期間が経過すると、次の段階である「中等度認知症(中ボケ)」の症状を示すようになり、「中ボケ」の標準的な滞留期間である(2~3年の期間)が経過/(発病から5~6年が経過)した後は、速いケースだと/「重度認知症(大ボケ)」の段階の症状を示すようになるのです。「重度認知症(大ボケ)」の段階の症状が発現して来るようになれば、『DSM-Ⅳ』の規定を金科玉条と考えている「AD型/認知症」の診断が専門の精神科医達さえもが、騒ぎ出す事態になる筈なのです。
「AD型認知症」は、「第二の人生」を送っている「高齢者」が、日々の生活を送る中での/「脳の使い方」としての「生活習慣」(「前頭葉」機能を含む/脳全体の機能の出番が極端に少ない/単調な「生活習慣」)の継続に因り、「廃用性の/加速度的で/異常な機能低下の進行」が起きて来ることが原因の病気に過ぎないのです。換言すれば、『自分なりに追及する特定の「テーマ」が無く、生き甲斐なく、趣味なく、交友なく、運動もせず、目標もない、ナイナイ尽くしの「単調な生活習慣」が継続する生活状況の下では、「前頭葉」機能を含む/脳全体の機能の使われる機会が少なすぎるということなのです。一部の学者が唱えているような、「老人斑の生成」とか「神経原線維変化」等の/器質的な変化が起きてくることが原因で発病する訳ではないというのが、(14689例にも上る)極めて精緻で、多数例の「脳機能データ」を根拠とした、私たち「二段階方式」の考え方なのです。
(コーヒー・ブレイク) 「AD型認知症」の各段階(私達の区分でいう、「小ボケ」、「中ボケ」及び「大ボケ」の段階)で発現してくる個別の「症状」(「3段階」に区分される症状)は、使われる機会が極端に少なくなった為に/加速度的に異常なレベルにまで衰えてきた「前頭葉」機能を含む/脳全体の機能レベルの単なる「アウト・プット」に過ぎないと/私たち「二段階方式」は考えているのです(①「廃用性」の/②加速度的で/3異常な機能低下が進行して行くにつれて、各段階における「脳の働き具合」が、そのまま各段階の「症状」として、発現して来るだけなのです)。 「AD型認知症」研究の専門家達(研究者や精神科医)は、早くこのことに気付いて欲しいと願うのです。
○ 脳の働き方とその機能の発揮レベル
「AD型認知症」の最初の段階である「軽度認知症(小ボケ)」の段階は、「左脳と右脳」の機能は未だ正常なレベルにあるのですが、『意識』が覚醒した/目的的な世界に於ける/脳全体の司令塔の役割を担っている/複合機能体としての「前頭葉」機能の機能レベル(働き具合)だけが、「異常なレベル」に衰えて来ている状態なのです。 その為に、複合機能体としての「前頭葉」機能の中で/最も基礎的で且つ重要な働きであり、意識の各構成要素に対する「機能の発揮及び発揮度」を左右している「前頭葉の三本柱」の機能である「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の機能が、就中、『注意の分配力』の機能が、様々な場面で、的確且つ十分には働くことが出来なくなって来ているが故の/「AD型認知症の症状」が、発現して来ることとなるのです。
このことを、(脳の機能面)からもう少し詳しく説明すると、「軽度認知症(小ボケ)」の段階では、「意識的/目的的な」思索や思考、発言や行為、更には、行動や言動を実行する為の「テーマ」の中身自体及び「テーマ」の中身を構成をしている構成要素に対する「認知」の為の機能/機構が、正常且つ必要なレベルで、十分には、機能出来なくなって来ている(廃用性の/加速度的で/異常な機能低下が、そこまで進行して来ている)のです。
即ち、『意識』が覚醒した、意識的/目的的な世界に於ける/思考、発言、行為、行動、言動等の実行の過程で/機能すべき「前頭葉」機能の構成要素として、「実行機能」と総称されている個別の認知機能(分析、理解、発想、企画、計画、工夫、考察、予見、洞察、推理、シミュレーション、比較、選択、修正、機転、創造、感動、決定、判断、抑制、忍耐、指示等の機能)の発揮及び発揮度を支配し、下支えている機能である「前頭葉の三本柱」の機能、就中、『注意の分配力』の機能について、廃用性の/加速度的で/異常な機能低下が進行して来たことの直接の反映、私たち「二段階方式」が世界で初めて解明した、「機能発揮上の二重構造」に起因した、『評価の物差し』の機能及び『実行機能』の機能障害が惹起されて来ること、即ち、それら三者の複合機能体である『前頭葉』機能の機能障害に起因した「AD型認知症」の発病なのであり、最初の段階である「軽度認知症(小ボケ)」の段階の症状が、発現して来ることになるのです。
私達が開発した「二段階方式」と言う神経心理機能テストを活用し、この「前頭葉の三本柱」の機能を調べてみると、高齢者と呼ばれる年代の入り口の60歳代にもなると大幅に衰えてきて、70歳時にはピーク時の20歳代の半ばに比べて半分程度にまで衰えて来ているのです。80歳代、90歳代と年をとるにつれて、脳の機能レベルは更に低空飛行になって行きます。「前頭葉」機能の各構成機能が働く際の「認知度」を左右している「意欲、注意集中力及び注意分配力」という「前頭葉の三本柱」の機能には、「生活習慣」の如何に関わらず、20歳代の半ばをピークとして、「加齢の進行と共に、働きが、正常な機能レベルの範囲内に在り乍らも/緩やかなカーブを描きつつ、衰えていく」という性質があるのです(加齢要因に起因した「正常老化」の性質)。実は、「前頭葉の三本柱」の機能、就中、『注意の分配力』の機能は、「記憶」の工程である「記銘」、「保持」及び「想起」の機能の発揮及び発揮度にも/深く関わっていて、直接影響しているのです(30歳代の後半から、いわゆる「物忘れ」の症状が発現してきて、加齢に伴い、その程度態様が進行して行くのは、このメカの故なのです)!!
「自分が置かれている状況を理解し、判断して、何をどのようにするかを企画し、あれこれの視点からの結果を、ケース・シミュレーションした上で、最終的な実行内容を選択し、脳の各部に実行の指令を出している」それが、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」機能の役割だと言いました。そして、あれこれの視点から結果をケース・シミュレーションした上で、最終的な実行内容を「選択」出来るのは、「前頭葉」機能に内在する「評価の物差し」の機能が、確立されていて(これが、所謂「自我」の確立)、且つそれが、きちんと働いている故でもあるのです。
こうした、『意識が覚醒した/目的医的な世界に於ける』意思決定のさまざまな過程で必要となる「前頭葉」機能の働き具合が、揺らいできている(機能が、異常なレベルに衰えて来ている)最初の段階が、「軽度認知症(小ボケ)」の段階なのです。意識的/目的的な思考、発言、行為、行動、言動等を実行する世界で、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」機能が、壊れてもいないのに(器質的な原因が、存在していなくて)異常なレベルに機能が衰えて来たことが、症状が発現して来る真の原因である(私たち「二段階方式」は、極めて精緻で多数の「脳機能データ」の解析から、使われる機会が極端に少ない、ナイナイ尽くしの「単調な生活習慣」が継続する中で、①廃用性の/②異常な/機能低下が、③加速度的に進んで来たことに因り、即ち、複合機能体としての「前頭葉」機能が、異常なレベルに迄衰えて来たことのアウト・プットそれ自体が、「AD型認知症(小ボケ)」の症状として、発現してきている)と考えているのです。従い、「症状の重症化の進行を遅らせることが出来る治療薬」の開発は、「AD型認知症」の発病/症状の重症化が進行して行くメカに照らして、『未来永劫、有り得ないこと』だと考えているのです!!
「軽度認知症(小ボケ)」の段階になると、発想が湧いてこないし、見通しも立たないし、何をどうするのかという「テーマの発想/構想と計画や工夫」が的確に出来なくなるのです。 『意欲』が、出てこなくなり、毎日をボンヤリと過ごし、居眠りばかりするようにもなります。何等かの「テーマ」に取り掛かっても、「注意の集中力」が続かなくて、「あれも遣り掛け、これも遣り掛け」という風に、中途半端になってしまうのです。頭の回転が鈍くなってしまって、かってのようにテキパキと物事を処理することが出来ないのです。その人らしい「生活態度」が消えていき、「こんな人ではなかったのに」と周りから言われるようになります。「人柄の本質」自体が、変わっていくような症状(前述した、「前頭葉の評価の物差しとしての機能レベルのゆらぎに起因)を示して来るのです。「軽度認知症(小ボケ)」のイメージは、何事も人を頼るようになって、一日や一週間の計画も立てられず、指示してもらわないと動けない「指示待ち人」が特徴。
「AD型認知症」は、発病後の症状の進行が緩やかであり、何年もかけて徐々に/段階的に進んで行くのが特徴です。発病後/急激に症状が進行していき、僅か2~3年で寝たきり状態になってしまう「狭義のアルツハイマー病」とは、発病原因(発病のメカニズム)だけでなく、症状の進行度合いも、全く異なるのです。
「中等度認知症(中ボケ)」は、脳の司令塔である「前頭葉」機能のレベルが、「軽度認知症(小ボケ)」のときより更に異常なレベルに加速度的に衰えて来ている上に、「軽度認知症(小ボケ)」のときは未だ正常だった高次機能の「左脳」と「右脳」と「運動の脳」の働きも、異常なレベルに衰えて来ていて、「前頭葉」機能を含む/脳全体の働き具合が異常なレベルに衰えて来ています。「中等度認知症(中ボケ)」の高齢者の(脳の機能年齢)は、「6~4歳児」相当のレベルと考えて下さい。
「中等度認知症(中ボケ)」の段階になると、「意識の覚醒度」を左右する、「意欲、注意集中力と注意分配力」の機能が、「軽度認知症(小ボケ)」の時よりも/更に低い機能レベルに衰えが進行して来ていて、更に不十分にしか働かなくなります。その結果、左脳がらみの論理的思考や計算、或いは言葉に対する理解や判断力、更には右脳がらみの色や形や時間や空間などに対する認知能力にも、重大な支障が出て来ます。状況の判断、物ごとの理解や見通し等の判断力が、「6~4歳の幼児」程度となる結果、「家庭生活」の面にも/重大な支障が起きて来るようになります。
「中等度認知症(中ボケ)」の段階になると、食器の片付けや、洗濯物の取り込み、庭の草むしりといった、『家庭内の/簡単な用事程度のこと』さえも、きちんと出来なくなります。「6~4歳の幼児」がやる程度にしか、出来ないのです。せっかく洗ってくれたお茶碗は/もう一度洗いなおさないといけないし、庭の草取りをしてもらうと/花の苗まで抜いてしまいます。この程度にまで脳の機能が衰えて来ていても、「DSM-Ⅳ」の「第二の要件」が確認を要求している「極めて重度の症状」/『失語(紛い)/又は失認(紛い)/若しくは失行(紛い)の症状が発現して来ていないと、せっかく家族が病院に連れて行っても、「AD型認知症」の発病とは診断されないのです。「中等度認知症(「中ボケ」)」のイメージは、(家庭内の簡単な用事程度のこともちゃんとできない)のに、口先だけは一人前、「言い訳の上手い幼稚園児」が特徴。
「前頭葉」の機能が異常なレベルに衰えて来ているとはいえ、「軽度認知症(小ボケ)」には、未だ自覚があります。「意欲も湧かないし、根気が続かないし、テキパキ処理出来ないし、発想も湧かないし、物事に感動することもないし・・」と自身が感じていて、「以前の自分と比較して、自分のどこかがおかしい」という自覚を明確に持っていて、自分の状態に「不安」を感じているのです。ところが、「中等度認知症」(中ボケ)の段階になると、そうした自覚を持つこと自体が出来なくなってくるのです。自分の状態に対する自覚がもてないので、不安も全く感じてはいないのです。
逆に、「こんなところが、おかしい」と家族が指摘しても、「そんなことはない。私は、ボケてなんかいない」と言い張るのです。自分のおかしな言動についての、一端の言い訳(ヘリクツの類)ばかりを並べ立てるのです。
「中等度認知症(中ボケ)」の段階になっても/手をこまねいて(家族を含む周りの人達にも/状況が理解されていなくて)、相変わらず、ナイナイ尽くしの「単調な生活習慣」が継続していると、「前頭葉」機能を含む/脳全体の機能についての、①廃用性の/②加速度的で/③異常な機能低下が、更に進行して行き、「重度認知症(大ボケ)」の段階に入って行きます。
「AD型認知症」の末期の段階である、「重度認知症(大ボケ)」の段階は、「前頭葉」機能を含む/脳全体の機能の機能レベル(働き具合)が、「中等度認知症(中ボケ)」の段階よりも/更に異常なレベルに衰えて来ているのです。左脳と右脳と運動の脳の働きも、幼稚なレベルの機能が、僅かに残っている程度である上に、脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」は殆ど機能しなくなっているのです。大本の機能である「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の機能が、殆ど働かない機能レベルに在る為に、①『機能発揮上の二重構造』の関係に因り、「評価の物差し」の機能及び「実行機能」の機能の発揮及び発揮度も、殆ど (機能していなくて/立ち上がっていなくて)、②そのことに起因して「メタ認知」機能が殆ど機能していないことに連動し、③メタ認知に僅かに遅れて、連動し/随伴する「実体験認知」機能が殆ど働いていないことが原因で、「DSM-Ⅳ」の第二要件が確認を要求する失語(紛い)の症状、又は失認(紛い)の症状、若しくは失行(紛い)の症状が発現して来る(「DSM-Ⅳ」の第一要件が確認を要求する記憶障害が原因で、それらの極めて重度の症状が発現して来ている訳ではないので念の為)『前頭葉』機能を含む/脳全体の機能レベルに在るのです。猶、「重度認知症(大ボケ)」の高齢者の(脳の機能年齢は、「3歳児以下」のレベル)と考えて下さい。
脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」機能が、殆ど寝たきりの状態になっている「重度認知症(大ボケ)」の段階になると、これまでの人生で何度となく体験して体に浸み込んでいるような「言葉」や「テーマ」或いは「状況」に対しては/或る程度の対応が出来るのですが、折々に直面する新しい状況や身体に浸みこむほどの経験がないテーマに対しては殆ど対応出来ないのです。
脳全体の司令塔の「前頭葉」機能が、殆ど働かなくなっている上に、左脳や右脳や運動の脳が極めて不十分にしか働かない「重度認知症(大ボケ)」は、「大ボケ」の枠の範囲の中で、症状が更に、進行して行くので、自分の身の回りのことをする「セルフ・ケア」の面にも重大な支障が出て来ます。食事をしたり、服を着たり脱いだり、お風呂に入ったり、トイレの後始末をしたりといった、身の回りのことも/自分で出来なくなり、日常生活面での「介助」/「介護」が必要となるのです。
(コーヒー・ブレイク)
そもそも、記憶は、「記銘」して、「保持」して、「想起」して来るという経路を辿るもの。「重度認知症(大ボケ)」の段階になると、直前の事さえ忘れてしまうような重度の記憶障害の症状(ほんの少し前に食事をしたことさえ/覚えていないような症状)が、例示としてしばしば取り上げられています。(前頭葉機能を含む/脳全体の機能)が、「大ボケ」の段階にまで/廃用性の加速度的で異常な機能低下が進行して来ると、脳全体の司令塔の役割りをしている「前頭葉」機能、中でも、意欲、注意の集中力及び注意の分配力という「前頭葉の三本柱」の機能が、殆ど働かなくなって来ているので、「保持」及び「想起」に必要な程度での/「記銘自体が、出来なくなって来る」のです。いろいろな「テーマ」の内容を記銘する為の/記銘度自体が極めて低いので、保持も、就中、「想起」が、極めて困難になって来るのです。(その結果)として、「直前の出来事さえも覚えていない/想起出来ない」ということになるのです。
次に、「中等度認知症(中ボケ)」の段階では、「昔の出来事」は、(認知症の重い症状が出ている人とは、とても思えない程の)かなりなレベルで、思い出すことが出来るのです。
その一方で、「最近起きた/新しい出来事」についての記憶が、とても困難になるのです。その理由は、「意欲」、「注意集中力」と「注意分配力」の機能が/不十分にしか働かなくなっている為に、「記銘」する際の/「記銘度が、とても低いものになってしまう」ことが、原因なのです。昔の記憶は、年が若くて(「前頭葉の三本柱」の機能が正常なレベルにあった為に)、「記銘度」自体が高かったころの記憶ということになり(記銘度が高いと、長期に保持されるので)、今でも思い出す(想起する)ことが出来るのです。
注)本著作物(このブログ A-45に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。