認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

アルツハイマー型認知症発病の原因を知る鍵は、脳の働き方のメカニズム(A-77)

2013-02-21 | アルツハイマー型認知症発病のメカニズム

○   意識的な行為の世界における脳の働き方のメカニズム

私たちが、「意識的」に何かの「テーマ」を実行しようとするとき、その行動や行為や思考は、すべて「脳の働きの仕組み」とその「働き具合」の結果なのですが、脳の働きについて、皆さんはどんなイメージをお持ちなのでしょうか。「二段階方式」により私たちが計測した脳の働き具合(脳の機能レベル)についての詳細な説明に入る前に、「意識的な行為」の世界における「脳の働き方」のメカニズムについて、ここで概観しておきたいと思います。

「人間の脳の働きの仕組み」を知るには、医学会でよく使われている「ラット」などの行動ではなくて、脳が壊れた人に発現してくる「症状」を調べると、そのメカニズムの概要を知ることができます。頭のてっぺんの所には、身体を動かす指令を出す「運動の脳」があります。脳卒中で、半身麻痺になる人がいます。運動の脳の左の部分が壊れると、右半身麻痺が起きます。右の部分が壊れると、左半身麻痺が起きます。「運動の脳」の左の部分が右半身を動かしていて、右の部分が左半身を動かしているのです。

 脳の後ろの左側部分には、勉強や仕事などをする上で不可欠の「左脳」があります。左脳が壊れると、言葉や計算や論理や場合分け等に支障が起きてきます。「左脳」は、言葉や計算や論理や場合分けなど「デジタルな情報」を処理しているのです。 脳の後ろの右側部分には、趣味や遊びや人付きあいなどを楽しむ為の「右脳」があります。右脳が壊れると、色や形や空間の認知や感情の処理に支障が起きてきます。「右脳」は、色や形や空間や感情など「アナログな情報」を処理しているのです。

  額のところには、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)があります。私達が意識的に何かの「テーマ」を実行しようとするとき、どのようなテーマをどのように実行するか、「運動の脳」をどのような目的のためにどのように働かせるか」(身体を動かすテーマ)、「左脳」をどのような目的のためにどのように働かせるか」(言葉や計算や論理や場合分けなどデジタル情報を処理するテーマ)、「右脳」をどのような目的のためにどのように働かせるか」(色や形や空間の認知や感情や感覚などアナログ情報を処理するテーマ)、全ては司令塔の「前頭葉」が「左脳」「右脳」及び「運動の脳」と協働しつつ、周りの状況を判断し、実行結果をシミュレーションし、最終的な実行内容と実行の仕方などを決定し、「左脳」、「右脳」及び「運動の脳」に実行の指令を出しているのです。

ところが、肝心の「前頭葉」の働きの仕組みの理解や働き具合(機能レベル)の計測や判定については、世界的に研究が遅れているのです。その働き具合を調べる方法を開発するのが難しいからです。人間の脳の働きは、人間に最も近いとされる類人猿のそれと比較しても、比較にならないほど複雑で高度で多様な働きをしています。そのため、通常よく使われる方法である、「ラット」や「猿」などの行動を調べるくらいでは、人間のそれを理解する根拠資料としては不十分で役には立たないのです。

「アルツハイマー型認知症」発病の原因について、アセチルコリンとする説やアミロイドベータとする説やタウタンパク質とする説や脳の委縮とする説等が唱えられては消えてきました。それらの学説は、「アルツハイマー型認知症」の末期の段階(私達の区分で言う「重度認知症」の段階)にあって何年間も生きた人達の脳を死後に解剖した「解剖所見」を基礎とした「推測」に基づいたものばかりなのです。それらの学説は、発病の「原因」も主張する原因と結果である認知症の症状との間の「因果関係」も、未だに説明できないままでいるのです。因果関係の説明ができないのでは、単なる「推測」の域を出ない主張というほかないのです。

生きている人間(特に、60歳以上の「高齢のお年寄り」)の「脳の働き具合」(脳の機能レベル)とそれにリンクした「症状」を分析して、その多数の分析データと全国的規模で展開された「440を超える多数の市町村での地域予防活動」の実践の成果に基づいて、「発病のメカニズム」及び早期診断による「回復の方法」並びに生活習慣の改善による「予防の方法」をシステム化しているのが、私達の「二段階方式」なのです。その「二段階方式」の考え方の概要を、このブログで公開しているのです。

公開する理由は、我が国の「高齢化」が予想をはるかに上回るスピードで進行していることにあります。我が国の高齢化の進捗状況は、高齢化率(65歳以上の年齢のお年寄りの総数が、人口全体の数に占める割合を言います)が40%を超える町や村がいくつも出てきているうえに、国全体の高齢化率までもが25%に迫るところまで来ているのです。早期診断による「回復」と生活習慣の改善による「予防」をできるだけ早急にシステム化し制度化しないと、取り返しのつかない状況に追い込まれてしまうことを私たちは恐れるのです。その前提条件として、(そのことを少なくとも実践の対象となる「地域住民」全体の共通認識にしておく必要がある)というのが実践体験に基づく私たちの考えなのです。地域住民自体が積極的に参加しないのでは、『笛吹けど踊らず』になってしまうからです。私たちが、「地域予防活動」の実践開始に先駆けて、地域住民を対象とした「講演会」を実施するのを必須としているのは、地域住民の理解と要求のもとで実践するのでなければ、深く浸透することもないし、長続きもしないからなのです。

この写真は、陸前高田で撮影したものです。

「アルツハイマー型認知症」は、脳の使い方としての視点から言うところの、廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」に過ぎないのです。言い換えると、「生活習慣」を改善し脳を活性化することができれば、治すこともできるし(脳の機能レベルを正常ベルに改善させることができる)、発病を予防することもできる病気なのです。「原因も分からないし、治すこともできないし、予防することもできない」病気とされているのは、米国精神医学会の診断基準である『DSM-4』の規定自体に重大な誤りがあるために、その基準に依拠して診断すると「見つけるのが遅すぎる」のがその理由なのです(回復可能な早期の段階を見逃していて、回復が困難な末期の段階でしか見つけられないでいるだけなのです)。『DSM-4』の規定に依拠して、「アルツハイマー型認知症」の診断を行っている専門の医師達も、このことに早く気付いて欲しいと切に願うのです。

それでは、本題に戻りましょう。脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」には、自ら様々なことに取り組むための「自発性」、色々なテーマを思いつくための「発想」、実行しようとする内容を組み立てる上で必要な「理解」や「計画」や「工夫」、実行内容をシミュレーションする上で必要な「考察」や「分析」や「予見」、実行した場合の結果の推測に必要な「推理」や「想像」や「洞察」、予期しない状況に対応するための「機転」や「修正」、状況や実行内容の「判断」、感情の高ぶりを抑えるための「抑制」、実施を指令するための「指示」、その他、「創造」、「感動」といった機能等、私たち人間だけに備わる様々な働きが詰まっています。こうした高度な脳機能は、チンパンジーやゴリラにさえも備わっていないのです。ましてや、「ラット」などに備わっているはずもないのです。ラットの行動を分析して、人間の「記憶」にかかわるメカニズム等を研究している人達がいますが、「本能」に基づくラットの行動の記憶に比べ、「前頭葉」の指令に基づく人間の行動の記憶は、異次元のものなのだとだけ言っておきましょう。

更に「前頭葉」には、自分の置かれている状況を判断し、種々ケースワークした上で、実行テーマの内容や実行の仕方を最終的に選択し決定するために必要な「評価の物差し」という大事な働きも備わっています。これも、私たち人間だけに備わった、特有な機能なのです。こうした「前頭葉」の機能が備わっているからこそ、私たち人間だけが、道具を深化させ、ここまで文明を発展させてくることが出来たのです。

 私が今住んでいる伊豆高原の別荘地も(伊豆半島の東海岸にあって、熱海と下田の中間あたりに位置し、国立公園の中にあります)、このところ天気がぐずつく日々が続いていて、久しぶりに晴れ間を見ることができました。温度はやや低いものの、小雪がちらつきそうにもありません。久方ぶりに味わう日和の良い今日のこの日に、「何処か」へ出かけて楽しんで何かを体験するための「テーマ」を考えつけるのも、その楽しみを一緒に味わえる友達を選べるのも、テーマと季節に合った服装を選択できるのも、全ては、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」が左脳や右脳や運動の脳と協働して、「周りの状況を判断し、テーマを企画し、何をどのようにするかをケースワークした上で決定し、且つそれらに必要な指令を出して、実行させている」からなのです。

 これが、「意識的な行為」における「脳の働き方」のメカニズムの概観なのです。言い換えれば、運動の脳、左脳、右脳という「三頭建ての馬車」をあやつりつつ、「テーマ」とされたその目的に沿った内容の実行を目指す「御者」の役割をしているのが「前頭葉」なのです。 三頭の馬を十分に働かせられるのも、不十分にしか働かせられないのも、「前頭葉」の働き方次第ということになるのです。ところで、「御者」が「馬」をあやつれなくなったら、どうなりますか?たちどころに、馬はどこへ行ったらいいのかが分からなくなってしまうでしょう。

脳全体の司令塔である「前頭葉」の働き具合(機能レベル)が異常なレベルに衰えてきたとき、その直接の結果として、「アルツハイマー型認知症」の症状が発現してくるのです。認知症の専門家達が「アルツハイマー型認知症」の診断基準として、金科玉条のように信望している米国精神医学会の診断規定である『DSM-4』の規定の「第一の要件」に規定されている記憶障害、言い換えると、ほんの少し前に食事をしたばかりなのに、そのことさえ思い出せないような「重度の記憶障害」が出てくるようになるはるか以前の段階で、「アルツハイマー型認知症」はもう始まっているのです。その始まりの時期とは、脳の司令塔の「前頭葉」がちゃんと働かなくなった時点ということなのです。「二段階方式」の手技を活用して計測し判定すると、この時点では、左脳も右脳も未だ正常なレベルであって、「前頭葉」の機能レベルだけが異常なレベルにあることが分かるのです。

私の家の庭の景色です。

60歳という節目の年齢を超えて第二の人生を生きている高齢の「お年寄り」が、何かの出来事を「キッカケ」にして、生き甲斐なく、趣味なく、交友なく、運動もせず、目標もない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を日々継続するようになると、「前頭葉」を含む脳の働きが異常なレベルに衰えてきて(「廃用性の機能低下」)、そのために「社会生活」面や、「家庭生活」面や「セルフ・ケア」の面に支障が起きてくる、それが「アルツハイマー型認知症」という病気なのです。

そして、「アルツハイマー型認知症」の症状を発現させている犯人(原因)は、一部の学者が主張しているような「アセチルコリン」でも、「アミロイドベータ」でも、「タウ蛋白」でも、「脳の委縮」でもないのです。「アルツハイマー型認知症」は、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が日々継続される下で、異常なレベルに衰えてきた「前頭葉」を含む脳の機能レベルの直接のアウトプットが、そのまま「症状」として発現してくるタイプの認知症なのです。1995年以来、北海道から九州まで、440を超える市町村で私たちが実践指導してきた保健師さんとの共同による「地域予防活動」の実践に伴う多数のデータ(「脳の機能レベル」と直接リンクした「認知症の症状」のデータ)が、そのことを明快に語ってくれているのです(ここを「クリック」してください)。

○   「前頭葉を含む脳の働き具合」(脳の機能レベル)を測る「物差し」が必要不可欠

 「アルツハイマー型認知症」発病の原因を見つけるにも、回復可能な「早期の段階」(小ボケや中ボケの段階)で見つけて「治す」にも、適切な介護をするにも、更には発病を「予防」するにも、「脳の働きという物差し」が不可欠になるのです。使用による「保険点数」が極めて高い「CTやMRI」等の高額な精密機器で調べてみると、脳の形(脳の委縮の度合い)を精密に計測することはできるのですが、肝心の「脳の働き具合」(脳の機能レベル)を計測し判定することはできないのです。このブログでこれまでに詳しく説明してきたように、様々な程度と態様で発現してくる「アルツハイマー型認知症」の「症状」について、評価の基準があいまいなままに「記憶の障害」にかかわる症状をメインにして並べてみたり、或いは、様々な程度と態様の「脳の萎縮」の度合いをCTやMRIなどの機器を使用して計測するだけの方法では、「アルツハイマー型認知症」発病の原因(メカニズム)を解明することも、更には、「回復」させることが可能な早期の段階(「小ボケ」や「中ボケ」)を見つけることも、ましてや発病することを「予防」する方法を見つけることも出来ないことに、認知症を専門とする医師たちが早く気付いて欲しいのです。

どんな程度と態様のものであれ、「アルツハイマー型認知症」の症状は、司令塔の「前頭葉」を含む脳全体の働き具合である「機能レベル」のアウトプットに過ぎないのだから、「脳の機能レベル」と「症状」とを直接「リンク」させて計測し判定することが、発病の原因を解明するためにも、早期の段階を見つけて治すためにも、更には、発病自体を予防するためにも不可欠になるのです。そのためには、脳を死後に解剖してみるのではなくて、生きて使われている脳の「働き具合(機能レベル)」を計る物差し」の開発が必要不可欠となるのです。

私たちが開発し、市町村の「地域予防活動」での実践に活用している「二段階方式」と呼ばれる「神経心理機能テスト」は、御者である「前頭葉」と前頭葉と協働して働いている「左脳及び右脳」との働き具合(機能レベル)を客観的に計測し判定できる優れた手技なのです。簡便ではあるが、脳の働き具合をとてもセンシティブに測ることが出来る優れものなのです。

 ○ 認知症の専門家達は、司令塔である「前頭葉」の働きを無視している

ところで、所謂「物忘れ」を経験されている年齢の皆さんならご存知のように、「記憶の障害」と言っても様々な程度と態様とがあるものなのです。ところが、世間で認知症の専門家と言われる人達は、世界的に権威がある米国精神医学会の診断規定である「DSM-4」の定義の影響を強く受けているので、「重度の記憶障害」の症状を「アルツハイマー型認知症」診断の「第一の要件」と考えているのです。言い換えると、私達の区分で言う末期段階の「重度認知症」(大ボケ)の段階で出てくる「重度の記憶障害」の症状が現れるようにならないと、「アルツハイマー型認知症」とは診断しないのです。

そもそも、「第二の要件」として『DSM-4』に規定されている、失語や、失行や、失認という症状は、末期の段階である重度の症状(私達の区分で言う「重度認知症」の症状)の中でも後半にならないと発現してこない症状なのです。ところが、「DSM-4」の規定は、或る特定の人が「アルツハイマー型認知症」であるかどうかを診断するための規定なので、第一の要件(「記憶の障害」)も第二の要件も同じ人の同じ時に計測し判定された症状でないといけない訳です。従って、その人の症状が第一の要件と第二の要件を「同時に充足する」ということは、第一の要件として規定されている「記憶の障害」という要件は、第二の要件を充足する症状を発現している人の記憶の障害でなくてはならないことになる、このことが理解できたでしょうか。つまり、認知症の専門の医師が「アルツハイマー型認知症」と診断する人の「記憶の障害」は、ほんの数時間前に摂ったばかりの「食事」のことさえも覚えていないような(「記銘」も「保持」もできていない、「想起」することもできない)程度態様の「重度の記憶障害」のことを意味するということになってしまうのです。

世間では、私たちが「アルツハイマー型認知症」の始まりの段階と考えている「軽度認知症」(小ボケ)の段階を単なる「不活発病」として、「中等度認知症」(中ボケ)の段階を「老化現象」としてしか捉えていなくて、「アルツハイマー型認知症」とは考えもせずそのまま放置し、見逃してしまっているのです。脳の働き具合(機能レベル)という視点から言うと、「軽度認知症」(小ボケ)の段階では、馬の役割しかしていない「左脳も右脳も」働きが未だ正常なレベルにあるのに対して、三頭立ての馬車の御者の役割をしている(脳全体の司令塔の役割を担っている)「前頭葉」の機能だけが既に異常なレベルに衰えてきていることを知ることが、極めて重要な視点になるのです。アミロイドベータ説やタウタンパク説や脳の委縮説等の主張内容が正しいのであれば、セルフケアや家庭生活面には何の支障も起きてきていなくて「社会生活」面にだけ支障が起きてきているこの「軽度認知症」(小ボケ)の段階で、(老人斑が前頭葉の部位だけに生成)されていたり、(神経原繊維変化が前頭葉の部位だけに起きて)きていたり、(脳の顕著な萎縮が前頭葉の部位だけに認められる)はずということになるのです。それぞれの学説にかかわる人達は、この私の問題提起に対する「説得力ある回答」を出していただきたいと思うのです。

「脳の機能レベル」と「症状」との関係について、私たちが開発した「二段階方式」のような「神経心理機能テスト」を活用して、多数の症例を対象にして、詳細且つ厳格に計測し分析してみると、「脳の働き具合」(機能レベル)のアウトプット自体が直接「症状」となって現れてくることが分かるはずなのです。「二段階方式」の手技に代表される「神経心理機能テス」の活用により集積された「前頭葉」を含む脳の機能「データ」を更に解析してみれば、「左脳や右脳」の働きが未だ正常なレベルにあっても、それらをコントロールしている脳の司令塔の「前頭葉」が正常に機能しなくなった段階で、その働き具合のアウトプットである症状も同時に異常なレベルのものになってしまう、言い換えると、認知症の「症状」として発現してくることが分かるはずなのです。

生活面(生活の自立度)という視点から説明すると、私達の区分であるこの「軽度認知症」(小ボケ)の段階で既に「社会生活」面に支障が出ているのです。つまりは、脳の司令塔の「前頭葉」が正常に機能しなくなった段階で、「アルツハイマー型認知症」はもう始まっていると考えるべきだということになるのです。そして、「脳の働き具合」(機能レベル)を正常なレベルに回復させることが可能な「小ボケ」や「中ボケ」の早期の段階で「アルツハイマー型認知症」を見つけるには、「前頭葉」の働き具合を計測する手技を活用することが不可欠になるということを私達がこれまでに集積した「データ」が証明しているのです。医療の現場で行われている主流の方法である、CTやMRIで計測し判定する方法では、脳の形(萎縮の度合い)を計測することはできても、肝心な脳の働き具合(「前頭葉」を含む脳の機能レベル)を計測する(判定する)ことはできないということなのです。ところが、このことに関連して、「神経心理機能テスト」の活用に適用される「保険点数」が極めて低く、医療機関が「アルツハイマー型認知症」診断の手技として採用することには、「事業採算的に極めて困難」という問題が存在していることを政府関係者は認識しておいていただきたいのです。

(コーヒー・ブレイク) 「二段階方式」では、「前頭葉」のコントロールのもとで「前頭葉」と協働して働いている「左脳や右脳」の働き具合を計測するために「MMS」の活用をしています(「租点」のままでは、判定がややルーズになるので、「二段階方式」では「換算点」を使用しています)。MMSテストで30点の満点を取る人たちの中にも、「前頭葉」の機能テスト(私たちは、「かなひろい」テストを使います)で調べてみると、異常なレベルに衰えている人達が相当数いるのです。加えて、この人達の「生活の自立度」を調べてみると、「社会生活」面に支障が出てきているのです。従って、「左脳や右脳」の機能レベルが正常レベルでありながら、司令塔の「前頭葉」の働きだけが異常なレベルに衰えてきている段階があることに、認知症の専門家達が早く気づく必要があるのです(私達の区分で言う「軽度認知症」の段階)。「神経心理機能テスト」を活用して、「前頭葉」の機能レベルと「左脳及び右脳」の機能レベルを同時に計測しその組み合わせ結果を判定すると、回復させることが容易な「小ボケ」の段階と回復させることが未だ可能な「中ボケ」の段階と回復させることが困難な「大ボケ」の段階の3つの段階に区分されることが分かるのです。 

 

○   前頭葉の三本柱(意欲、注意集中力と注意分配力)の加齢による老化のカーブ   

脳全体の「司令塔の役割」を担っていて、自分の置かれている状況を「判断」したり、実行する「テーマ」を思いついたり、実行する「計画」を立てたり、実行の内容や仕方を「工夫」したり、実行結果の「シミュレーション」をしたり、状況の変化に対応して「機転」を利かせたり、各種の高度な働きを内包している「前頭葉」の機能、中でも、その認知機能を正常に発揮する上でとりわけ重要な「認知度」を左右する本柱の、「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の働きには、「生活習慣」の如何にかかわらず「加齢と共に老化し衰えていく」という重要なしかし専門家からは見過ごされている性質があるということを、ここで問題提起しておきたいと思います(「正常老化」の性質)。

この「三本柱」の機能の「働き具合」(機能レベル)は、18歳から20歳代半ばまでがピークで、20歳代半ばを過ぎるころから100歳に向かって、緩やかではあるけれど、一直線に衰えていくのです。 「アルツハイマー型認知症」を発病する人の割合が急に多くなってくる60歳代後半にもなると、前頭葉の働き具合は、ピーク時の18歳から20歳代半ばの頃に比べて、「働き」が半分以下に衰えてきているのです。70歳代、80歳代、90歳代、100歳代と、年をとればとるほど、前頭葉の働きがさらに衰えていって、正常なレベルを保ちつつもどんどん低空飛行になっていくのです。

認知症の大多数90%以上を占めていて、皆さんが普段よく目にしていて、専門家からは「原因も分からないし治らないし予防することもできない」と言われている「アルツハイマー型認知症」の正体は、「加齢による脳の老化」という問題が基本にあるのです。「加齢による脳の老化」という問題が基本にあるから、「アルツハイマー型認知症」は、若者には関係なくて、「60歳代以降のお年寄りだけが対象になる」のです(ここを「クリック」してください)。

「アルツハイマー型認知症」発病の原因の(第一の要件)は、この「加齢による脳の老化」を充足することなのです。つまりは、アルツハイマー型認知症を発病する対象は、60歳代以降の「高齢者」であることなのです。その第一の要件を充足する年齢の「高齢者」が、(第二の要件)である、ナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続(生き甲斐なく、趣味なく、交友なく、運動もせず、目標もない「単調な生活」のことを言います)という要件を充足するとき、「アルツハイマー型認知症」を発病することになるのです。30代や40代の若い人たちが、どんなにぐうたらな生活、ナイナイ尽くしの単調な生活を日々送っていたところで、「アルツハイマー型認知症」を発病することは絶対に起きてこないのです。第一の要件と第二の要件を充足すること、つまりその「相乗効果」によって、「アルツハイマー型認知症」が惹き起こされてくるのです。「アルツハイマー型認知症」の専門家とされる人達(医師や研究者や学者)は、このことに早く気付いて欲しいと願うのです。

だからこそ私たちは、「東日本大震災の被災地の高齢者たち」のことをとても心配しているのです。その人たちの多くが、第一の要件と第二の要件を共に充足する生活を日々送っているとすれば、その人たちは必ず「アルツハイマー型認知症」を発病することになるからです。被災から起算して半年から3年の期間は「軽度認知症」(小ボケ)の段階が続きます。その後の、1~2年の期間は「中等度認知症」(中ボケ)の期間で、その後の期間が「重度認知症」(大ボケ)の期間となります。「小ボケ」と「中ボケ」の段階までは、脳を活性化させる「生活習慣」の改善による脳のリハビリにより回復させること(「前頭葉」を含む脳の機能を正常レベルに引き戻すこと)が未だ可能なのですが、「大ボケ」の段階にまで脳の機能が衰えてしまうと、回復させることは困難となり、身体が持つ限り脳の機能は衰え続ける(症状がひたすら重くなっていく)のです。 

       

回復が困難で「介護の対象」でしかない「大ボケ」レベルの人達は、2012年8月時点での厚生労働省による発表数字で300万人超とされています。 私たちが蓄積してきたデータによると、「小ボケ」と「中ボケ」とを合わせた人数(大ボケの予備軍)は、「大ボケ」の人数の4倍にもなります。回復困難な大ボケの人数に、「回復」可能な早期レベルの認知症の人たち、小ボケと中ボケとを加えると、日本ではすでに1300万人を超える数の「お年寄り」達が、「アルツハイマー型認知症」を発病していることになるのです。

そして、「アルツハイマー型認知症は、原因不明で治らないし予防することもできない病気」として手をこまねいたままでいると、「小ボケ」の人は中ボケに、「中ボケ」の人は「大ボケ」に進んでしまうのです。「大ボケ」に進んでしまうと、もはや回復は困難となり、「介護」だけがテーマとなるのです。その上、「アルツハイマー型認知症」と言う病気は、脳の機能がどんどん衰えていくのに比して、身体はよく持つのが特徴でもあるのです。巨額な「介護費用」(介護保険による負担と自費負担の費用)の問題に加えて、「家族介護」の負担の問題とがあるのです。「アルツハイマー型認知症」の早期診断による回復と予防のシステムを制度化するという「テーマ」が国民的な喫緊の課題となってきていることを認識していただけたでしょうか。

○   「アルツハイマー型認知症」の年齢別発症頻度とその意味

 私たちがこれまでに「アルツハイマー型認知症」の早期発見と回復及び予防の為の「地域予防活動」を展開してきた市町村(高齢化率が30%を超える市町村)において畜積したデータによると、「アルツハイマー型認知症」を発病している「小ボケ」以下の人達(「小ボケ」、「中ボケ」及び「大ボケ」レベルの全て)の年代ごとの割合は、定年退職などで「第二の人生」が始まったばかりの60歳代で12%もの高い割合を示していて、70歳代で30%、80歳代で50%、90歳代で75%、加齢の極まりの100歳代で97%というように、年をとるにつれて、どんどん増加していくのが特徴なのです。

「高齢化率」が30%を超える市町村のどこかの地域で、70歳代のお年寄りがアトランダムに100人集まると、30人はもう「アルツハイマー型認知症」を発病しているのです。「小ボケ」(「社会生活」に支障がある)か、「中ボケ」(「家庭生活」に支障がある)か、「大ボケ」(「セルフケア」にも支障がある)か、どれかのレベルになっているのです。認知症の専門家たちは、私達の区分で言う「重度認知症」(大ボケ)の段階の症状を発現していないと、認知症とは診断しないので、「小ボケ」と「中ボケ」とは見逃されていて、放置されたままになっているのです。

       

私たちが「二段階方式」の手技を活用して集積してきた多数のデータは、以下のことを示しています。

○  「アルツハイマー型認知症」の対象は、50歳代以下の人は殆どいなくて、高齢者と呼ばれる60歳以上の年齢のお年寄りに限られている;

○  年をとるほど「アルツハイマー型認知症」の人の割合が増えていき、身体も限界の100歳代では、殆どの人が(97%の人が)「アルツハイマー型認知症」になっている;

○  「アルツハイマー型認知症」になっているお年寄りの年代ごとの割合が、北海道、東北、関東、東海、中部、北陸、近畿、中国、四国、九州のどの地域をとってみても、どこも殆ど同じで、地域差が認められない。

 こうした「データ」から、「アルツハイマー型認知症」を発病する要因は、食べ物でも金属の摂取でもなくて、「加齢による脳の老化」という問題が基本的な条件(「第一の要件」)として考えられるのです。上述のように、「アルツハイマー型認知症」を発病する対象者は基本的に60歳以降の高齢者だけなのです。「脳の老化」と言う問題が基本にあるから、「アルツハイマー型認知症」は若者には関係なくて、「60歳以降のお年寄りだけが対象になる」と考えられるのです。但し、年をとれば誰でも「アルツハイマー型認知症」を発病するわけではありません。70歳代の人たちの70%の人達は、「前頭葉」の機能が正常レベルを保っていて、年相応のレベルでの「社会生活」を送っているのです。「アルツハイマー型認知症」を発病する30%の人達と発病しない70%の人達とを区分けしている鍵となる「第二の要因」とは一体何なのか。その第二の要因は、実は、第二の人生での脳の使い方(「生活習慣」)にあるのです。「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズムについては、第二の要因の「類型パターン」を含めて、今後のブログの記事の中で詳しく説明する予定です。

 注)本著作物(このブログA-77に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

エイジングライフ研究所のHPここを「クリック」してください)

 

脳機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)

 

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あの頃チャンネル(2012年04月13日~2013年02月11日)

2013-02-16 | アルツハイマー型認知症発病のメカニズム

あの頃チャンネル(2012年04月13日~2013年02月11日)

テレビで認知症の番組を見ていて、うちのおばあちゃん(おじいちゃん)大丈夫かなと、心配になることがありませんか?色々な種類がある認知症の中でも、その大多数90%以上を占めているのが、アルツハイマー型認知症というタイプの認知症です。ところが、アルツハイマー型認知症は、「原因もわからないし、治せないし、予防もできない」とされて、放置されたままなのです。全国440を超える市町村での地域予防活動の成果に基づいて、アルツハイマー型認知症発病のメカニズム、回復及び予防の方法等について、根拠となるデータを含め、分かりやすく説明するブログが、「アルツハイマー型認知症の早期診断、介護並びに回復と予防のシステム」(「kinukototadao』と入力して、検索すると、このブログが開きます。毎月、1日、11日、21日に更新しています)。文章だけでは、読みづらいので、或る段落ごとに「写真」を挿入しています。そうした写真を集めたものが、この写真集です。

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アルツハイマー型認知症を発症する脳の機能レベルと症状との関係(A-76)

2013-02-11 | アルツハイマー型認知症発病のメカニズム

認知症の大多数90%以上を占めている「アルツハイマー型認知症」については、1995年に私達が市町村での「地域予防活動」を開始してから今日にいたるまでの間だけでも、発病させる原因を「アセチルコリン」と推測する説、「アミロイドベータ」と推測する説、「タウ蛋白」と推測する説、「脳の委縮」によると推測する説等の種々の学説が入れ替わり立ち代り唱えられてきました。それらの学説は、「発病のメカニズム」及び主張している「原因と結果との間の因果関係」を説明できないまま、うたかたのように出ては消えるのを繰り返してきているだけなのです。その結果、「アルツハイマー型認知症」は、認知症の専門家達の間では、「原因も分からないし、治すことも出来ないし、予防することも出来ない病気」とされ、なす術もなく放置されているのが現状なのです。

認知症を専門とする医師達が、診察の現場で行っていることと言えば、失語や失行や失認という「重度認知症」の段階でも更に末期にならないと発現してこない極めて重い症状だけを診断の要件(「第二の要件」)に規定している米国精神医学会が定める「DSM-4」の基準に依拠して診察を行い、「重度認知症」の段階でしか「アルツハイマー型認知症」を見つけられないでいるのです(前回N-75の「重度認知症」の症状を参照してください)。回復させることを放棄し、予防を提案することもなく、回復が困難である末期段階の「重度認知症」の段階の人達だけを見つけて、その人達を「介護施設」に送り込んでいるだけ、それが医療機関の役割になっているのです。認知症の専門家と言いながら、「DSM-4』の規定の問題点(重大な誤り)に気づくこともなく、規定を鵜呑みにし、金科玉条として受け入れているだけなのです(ここを「クリック」してください)。

医療現場のそうした状況の中で憂慮すべきなのは、「重度認知症」(大ボケ)の段階のお年寄りを「家庭」で家族が介護することを提案する人達が少なからずいることなのです。軽度認知症(小ボケ)及び中等度認知症(中ボケ)の段階までなら回復させることが可能なのですが、「重度認知症」の段階にまで脳の機能レベルが衰えてしまうと、回復させることは困難になるのです。「重度認知症」の人たちの問題点は、「回復させることが困難」なだけでは済まないのです。

「脳の機能レベル」が更に加速度的に衰えていく一方で、つまりは、「症状が更に重症化」していく(前回列挙した「重度認知症」の症状の上の方に列記してある症状から下の方に列記してある症状に向かって症状が進んでいく)一方で、「身体だけは、しっかりもつ」のが特徴なのです。「重度認知症」が始まった時点ではMMSの換算値で14点あるので、「脳の機能レベル」は4歳児レベルなのですが、(「アルツハイマー型認知症」という病名の死亡診断書は存在しないので)、身体がもっている間に他の病気を併発しない限り、ひたすらMMSのテストも全くできないレベルにまで脳の機能が衰え続けるのです。

言い換えると、「重度認知症」のお年寄りを抱えた家族は、自分の「社会生活」(自分らしい生き方の社会生活)をする機会も時間も気力も失くしていってしまうことになるのです。ただひたすら介護に追われることになり、趣味や遊びや交友や運動を楽しむ機会をなくしてしまうのです。現役であれば、働く機会を失うことさえ必要になるのです。これは、「価値観」の問題なので、それでも「家族介護に追われる人生」を選ぶかどうかは、最終的には本人が決めればいいことなのですが、その選択を社会的な風潮にすべきではないと思うのです。ましてや、国がそれを政策的に求めるとか制度化すべきものではないのです。介護保険制度の破綻(介護費用)の問題や家族介護の困難さなどの問題に目が向くのであれば、それこそ、「アルツハイマー型認知症」の早期発見による「回復と予防」を制度化すべきなのです。蛇口を閉める方法があるのだから、開きっぱなしにしている蛇口を閉める方策や政策に目を向けるべきだと思うのです(ここを「クリック」してください)。

脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉の機能レベル」を調べることが忘れ去られている医療の現場では、(「神経心理機能テスト」を活用して「前頭葉」を含む脳全体の総合的な「機能レベル」を調べることをしないで)、CTやMRIなどの機器を使って(「脳の形:脳の委縮の度合い」)を中心に調べているのです。それに付け加えるのが『記憶の障害』の症状なのですが、これにも問題があるのです。「前頭葉」を含む脳全体の総合的な「機能レベル」を調べないので、その結果として発現している『段階的症状』という考えもなく、「DSM-4」に規定されている「重度の記憶障害」(しばしば取り上げられる症状が、『つい先ほど食事を摂ったばかりなのに、すぐにそのことさえも忘れる』という症状)と失語や失行や失認という「末期の段階」にしか発現してこない極めて「重度の症状」だけが認知症の症状であると誤解しているのです。回復が容易な「軽度認知症」の段階も、回復が未だ可能な「中等度認知症」の段階も見過ごされてしまっているのです(「アルツハイマー型認知症」の症状を、軽度認知症、中等度認知症及び重度認知症の3つの段階に区分するのは、「二段階方式」の区分方法)。これら早期の段階では、発現してきている症状が、「重度認知症」の段階の症状に比べて相対的に軽いものばかりで、失語や失行や失認といった重い症状は未だ発現していないので、認知症とは診断されないのです

その結果、「アルツハイマー型認知症」は、早期の段階(「小ボケ」や「中ボケ」の段階)で見つけると正常なレベルに脳の機能を回復させることができる(治せる)し、更には予防することもできる性質のものであって、廃用症候群に属する「生活習慣病」の一種に過ぎないのに、「原因も分からないし、治すこともできないし、予防することもできない病気」にされてしまっているのです。認知症専門の精神科医達が皆そのように言うので、権威を重んじる我が国の国民もまた、医師の言葉をそのままに信じるのです。「アルツハイマー型認知症」は、原因もわからないし、治すことも出来ないし、予防することも出来ない病気だとする考えが、北海道から沖縄まで、全国通津裏裏、離島を含めた我が国の隅々にいたるまで深く深く浸透してしまっているのです。

他方で、脳をどのように使うのかと言う視点からの日々の生活の仕方が発病や回復を左右する「廃用症候群に属する生活習慣病である」とする私達の説を「疫学的に裏付ける」実態が出現してきてもいるのです。被災から約2年弱という僅かな期間しか経過していないにもかかわらず、東日本大震災の被災地に於いては『不活発病』のレッテルを貼られる高齢のお年寄り達が異常な規模で出現してきていて、今もなおその状況が進行しているという実態です。実は、この人達は「アルツハイマー型認知症」の最初の段階である「軽度認知症」(小ボケ)の段階の人達なのです(前回のブログで表記した、「小ボケ」の段階の症状を読み返して、比較してみてください)。

このお年寄りたちの「前頭葉」を含む脳の機能レベルを、「二段階方式」に代表される「神経心理機能テスト」を活用して判定してみれば、左脳も右脳も正常レベルにあって、司令塔の「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)の機能レベルだけが異常なレベルに衰えてきていることが分かるのです(「軽度認知症」の段階)。特に、三本柱の「意欲、注意集中力及び注意分配力」の機能が異常なレベルに衰えてきているので、その直接のアウトプットとしての「症状」(「不活発病」のレッテルを貼られるような症状)が発現しているのです(実は、それこそが、「軽度認知症」の段階に発現してくる症状なのですが)。「アルツハイマー型認知症」の特徴である、段階的な症状の発現についての知識を持たない人達が、誤って「不活発病」のレッテルを貼り付けているだけということなのです。

「不活発病」のレッテルを張られるだけで放置されたままのこのお年寄り達は、この先2~3年も経つと、次の段階である「中等度認知症」(中ボケ)の症状を示すようになり、その段階を経て、(被災から4~5年が経過した後)速いケースだと「重度認知症」(大ボケ)の段階の症状を示すようになるのです。「重度認知症」の段階の症状が出てくるようになれば、『DSM-4』の規定を金科玉条と考えている認知症専門の医師達が大騒ぎする事態になることを予告しておきます。

「アルツハイマー型認知症」は、第二の人生を送っている「高齢者」が、日々の生活を送る中での脳の使い方としての「生活習慣」(「前頭葉」を含む脳の出番が極端に少ない「生活習慣」)のために、「廃用性の機能の異常な低下」が起きてくることが原因の病気に過ぎないのです。換言すれば、生き甲斐なく、趣味なく、交友なく、運動もせず、目標もない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」の下では、「前頭葉」を含めた脳の使われる機会が少なすぎるということなのです。一部の学者が唱えているような、「老人斑の生成」とか「神経原線維変化」等の器質の変化が起きてくることが原因で発病する病気ではないというのが、「脳の機能データ」を根拠とした私達の考えなのです(ここを「クリック」してください)。

こうした時の経過(被災から、4~5年)を経て、東日本大震災の被災地の「高齢者」たちが、他のどの地域の高齢者とも異なる「はるかに高い割合」で、「アルツハイマー型認知症」の症状を示すようになれば(被災から4~5年が経過したその時点では、速い人の場合は「重度認知」症の症状を示すようになります)、私達の主張内容に専門家達の注目が集まることになり、「アルツハイマー型認知症」の発病原因に対する専門家達の考えにも、コペルニクス的な転換の時期が訪れることになると思うのです。

(コーヒー・ブレイク) 「アルツハイマー型認知症」の各段階(私達の区分でいう、「小ボケ」、「中ボケ」及び「大ボケ」の段階)で発現してくる個別の「症状」(前回のブログで概説を説明した、「3段階」に区分される症状)は、使われる機会が極端に少なくなった為に急速に異常なレベルにまで衰えてきた「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルの単なる「アウト・プット」に過ぎないと私達は考えているのです(「廃用性」の加速度的な脳機能の低下が進行していくにつれて、各段階における「脳の働き具合」が、そのまま各段階の「症状」として発現するだけなのです)。 「老人班」や「神経原線維変化」或いは「脳の極度の委縮」は、「アルツハイマー型認知症」の末期の段階である「重度認知症」(大ボケ)のレベルを何年間も患ったままでいた為に生じてきた結果(副産物)であって、「アルツハイマー型認知症」を発病させる「原因」ではないのです。認知症の専門家達(研究者や精神科医)は、早くこのことに気づいて欲しいと願うのです。

○  脳の働き方とその機能の発揮レベル

今日は、「アルツハイマー型認知症」の症状を発現させている「原因」である、「脳の働き方とその機能の発揮レベル」について、分かり易く概説してみたいと思います。

「脳の働き方とその機能の発揮レベル」という視点から言えば、「アルツハイマー型認知症」の最初の段階である「軽度認知症」(小ボケ)の段階は、「左脳と右脳」は未だ正常レベルにあるのですが、脳全体の司令塔である「前頭葉」の働き具合だけが「異常なレベル」に衰えてきている状態なのです。 そのため、「前頭葉」の機能の中で最も基礎的で且つ重要な働きであり、意識の各構成要素に対する「認知度」を左右している「三本柱」の機能である「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」が、様々な場面で、的確且つ十分には働くことができなくなっているが故の「症状」を発現してくるのです。

このことを脳の機能面からもう少し詳しく説明すると、「軽度認知症」(小ボケ)の段階では、「意識的な行動、行為及び思考」の目的である「テーマ」自体と「テーマ」の中身を構築している構成要素に対する「認知機能」が、正常且つ必要なレベルで働いていないのです。その上、意識的な行動、行為及び思考の過程で機能すべき「前頭葉」の各構成要素としての機能(自発性、発想、理解、計画、工夫、考察、分析、予見、洞察、推理、想像、機転、修正、創造、感動、判断、抑制、忍耐、指示等の機能)の認知内容について、「記銘」し、「保持」し及び「想起」する機能の発揮度も同時に不十分なものとなっているのです。

私達が開発した「二段階方式」による神経心理機能テストを活用して、この「三本柱」の機能を調べてみると、高齢者と呼ばれる年代の入り口の60歳代にもなると大幅に衰えてきて、70歳代ではピーク時の20歳代に比べて半分程度にまで衰えてきているのです。80歳代、90歳代と年をとるにつれて、脳の機能レベルは更に低空飛行になっていきます。「前頭葉」の各構成機能が働く際の「認知度」を左右している「意欲、注意集中力及び注意分配力」という「三本柱」の機能には、「生活習慣」の如何に関わらず、20歳代の半ばをピークとして、「加齢とともに、働きが緩やかなカーブを描きつつ、衰えていく」という性質があるのです(機能の「正常老化」)。実は、「三本柱」のこの機能は、「記憶」の工程である「記銘」、「保持」及び「想起」の機能発揮度にも深く関わっていて、影響しているのです(30歳代の後半から、いわゆる「物忘れ」の症状が発現してきて、加齢に伴いその程度態様が進行していくのは、このメカニズムの故なのです)。

ここで、「軽度認知症」(小ボケ)の脳の働き具合を簡単に言うと、日常の「社会生活」面で発生してくる種々の「テーマ」を実行するのに必要となるレベルでの「三本柱に下支えられた認知機能」が十分機能していない状態にあるのです。こうした条件下で行為が発想・企画・実行されるため、自発性、状況の判断、実行「テーマ」の計画と内容の工夫、機転や見通し及び決断等が的確にはできなくなるのです。 こうした事態は、自転車のチューブに空気を入れる「空気ポンプ」という機器に例をとって説明すれば、理解しやすいのではないかと思います。「アルツハイマー型認知症」は、空気をチューブに送る役割の紐状のゴム管の部分(脳で言えば、情報を伝達する神経線維)に支障があることが原因(アセチルコリンやアミロイドベータやタウ蛋白が発病を引き起こす原因と主張する学説の考え方)なのではなくて、ポンプを押して空気を押し出してやる部分(脳で言えば、情報を処理し発信してやる「前頭葉」等の脳の機能)に支障が起きてきたこと、つまり、(「廃用性の機能低下」により、働きが異常なレベルに衰えてしまい、正常に機能しなくなったこと)が原因で発病する(「認知症」の症状がでてくる)病気なのです(私達の考え方)。

「自分が置かれている状況を判断して、何をどのようにするかを企画し、あれこれの視点から結果をシミュレーションした上で、最終的な実行内容を選択し、脳の各部に指令を出して、それを実行する」それが、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」の機能だと言いました。そして、あれこれの視点から結果をシミュレーションした上で、最終的な実行内容を「選択」できるのは、「前頭葉」に内在する「評価の物差し」の機能が確立されていて(これが、所謂「自我」の確立)、且つそれがきちんと働いている故でもあるのです。

こうした意思決定のさまざまな過程で必要となる「前頭葉」の機能の働き具合が揺らいできている(異常なレベルに衰えてきている)最初の段階が、「軽度認知症」(小ボケ)の段階なのです。意識的な行動、行為及び思考の世界で、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」が、壊れてもいないのに異常なレベルに機能が衰えてきたとき(私達は、極めて多数の脳機能データの解析から、使われる機会が極端に少ない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続する中で、廃用性の機能低下が進んで、「前頭葉」の機能が異常なレベルに衰えてきていると考えているのです)、薬さえ飲めば元の「正常な機能レベル」に回復できるなど、理解することができないのです(「脳の構造と機能」という視点から考えて、そんなことは、「ありえない」と考えるのです)。

 「アルツハイマー型認知症」の症状を発現する最初の段階であり、「脳のリハビリ」(換言すると、「生活習慣」の改善による脳の活性化)により回復させることが容易な「軽度認知症」(小ボケ)の段階では、「社会生活」に支障やトラブルが出てくるようになるのです。

「軽度認知症」(小ボケ)の段階になると、発想が湧いてこないし、見通しも立たないし、何をどうするのかという「テーマの構想と計画や工夫」が的確に出来なくなるのです。意欲が出てこなくなって、毎日ボンヤリと過ごし、居眠りばかりするようにもなります。何かの「テーマ」に取り掛かっても、注意集中力が続かなくて、「あれも遣り掛け、これも遣り掛け」という風に、中途半端になってしまうのです。頭の回転が鈍くなってしまって、かってのようにテキパキと処理することができないのです。その人らしい生活態度が消えていき、「こんな人ではなかったのに」と周りから言われるようになるのです。「人柄の本質」自体が変わっていくような症状(前述した、「前頭葉の評価の物差しとしての機能レベルのゆらぎに起因)を示してくるのです。「軽度認知症」(小ボケ)のイメージは、何事も人を頼るようになって、一日や一週間の計画も立てられず、指示してもらわないと動けない「指示待ち人」が特徴です。

「アルツハイマー型認知症」は、発病後の症状の進行が緩やかで、何年もかけて徐々にしか進んでいかないのが特徴です。発病後急激に症状が進行していき、僅か2~3年で寝たきり状態になってしまう「狭義のアルツハイマー病」とは、発病原因(発病のメカニズム)だけでなく、症状の進行度合いも全く異なるのです。「アルツハイマー型認知症」は、脳の機能レベル」のアウトプットが「症状」となので、同時に脳の働き具合もリンクさせて調べると、症状は前回のブログで例示したように「3つの段階」に区分されることが分かるのです。「軽度認知症」(小ボケ)と「重度認知症」(大ボケ)の中間が「中等度認知症」(中ボケ)です。「アルツハイマー型認知症」を発病して、相変わらずナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続していると、脳全体の廃用性の機能低下が更に進んでいき、「中等度認知症」(中ボケ)の段階に入っていきます。「軽度認知症」の段階の次に、「脳のリハビリ」により回復させることが未だ可能な、「中等度認知症」の段階があるのです。

「中等度認知症」(中ボケ)は、脳の司令塔である「前頭葉」の働きが「軽度認知症」のときより更に異常なレベルに加速度的に衰えてきている上に、「軽度認知症」のときは未だ正常だった高次機能の「左脳」と「右脳」と「運動の脳」の働きも異常なレベルに衰えてきていて、脳全体の働き具合が異常なレベルになってきています。「中等度認知症」のお年寄りの脳の働き具合は、「4~6歳児」のレベル相当と考えて下さい。

「中等度認知症」(中ボケ)の段階になると、意識の認知度を左右する「意欲、注意集中力と注意分配力」が「軽度認知症」のレベルよりも更に不十分にしか働かなくなります。その結果、認知それ自体とその記銘、保持及び想起の機能の発揮が更に不十分なものとなるのです。左脳がらみの論理的思考や計算、或いは言葉に対する理解や判断力、更には右脳がらみの色や形や時間や空間などに対する認知能力にも支障が出てきます。状況の判断、物ごとの理解や見通し等の判断が「幼稚園児」の程度となる結果、「家庭生活」面に支障やトラブルが起きてくるようになります。但し、「中等度認知症」の段階では、「家庭生活                                                                                                 面」で支障が出てくるとは言え、食事、大小便、入浴など身の回りのこと(セルフケア)は自分で一応できるので、家族に迷惑をかけることはあまりないのです。そのため家族も、「アルツハイマー型認知症」を発病しているとは考えもせず、「年のせい」と考えて悠長に構えているのです。

「中等度認知症」(中ボケ)の段階になると、食器の片付けや、洗濯物の取り込み、庭の草むしりといった、家庭内の簡単な用事程度のこともちゃんとできなくなります。「     4~6歳の幼児」がやる程度にしかできないのです。せっかく洗ってくれたお茶碗はもう一度洗いなおさないといけないし、庭の草取りをしてもらうと花の苗まで抜いてしまいます。この程度にまで脳の機能が衰えてきていても、失語や失行や失認等の「DSM-4」が「第二の要件」に掲げている「重度の症状」及び第一の要件に掲げている「重度の記憶障害」の症状が発現してきていないと、せっかく家族が病院に連れて行っても、「アルツハイマー型認知症」とは診断されないのです。

「中等度認知症」(「中ボケ」のイメージは、(家庭内の簡単な用事程度のこともちゃんとできない)のに、口だけは一人前、「言い訳の上手い幼稚園児」が特徴です。「前頭葉」の機能が異常なレベルに衰えてきているとはいえ、「軽度認知症」(小ボケ)には、未だ自覚があります。「意欲もわかないし、根気が続かないし、てきぱき出来ないし、発想も湧かないし、物事に感動することもないし・・・」と自身が感じていて、「以前の自分と比較して、自分のどこかがおかしい」という自覚を明確に持っていて、自分の状態に「不安」を感じているのです。ところが「中等度認知症」(中ボケ)の段階になってくると、そうした自覚を持つこと自体が出来なくなってくるのです。自分の状態に対する自覚がもてないので、不安も全くと言っていい程に感じていないのです。逆に、「こんなところが、おかしい」と家族が指摘しても、「そんなことはない。私は、ボケてなんかいない」と言い張るのです。自分のおかしな言動についての、一端の言い訳(ヘリクツの類)ばかりを並べ立てるのです。

「中等度認知症」(中ボケ)の段階になっても手をこまねいていて(そもそも、本人には自覚がないのですが、家族を含む周りの人達にも状況が理解されていなくて)、相変わらずナイナイ尽くしの「単調な生活」を本人が継続していると、「前頭葉」を含む脳全体の廃用性の機能低下が更に加速度的に進んでいき、「重度認知症」(大ボケ)の段階に入っていきます。

「アルツハイマー型認知症」の末期の段階であり、回復させることが困難な「重度認知症」(大ボケ)の段階は、「前頭葉」を含む脳全体の働きが「中等度認知症」の段階よりも更に異常なレベルに衰えてきているのです。左脳と右脳と運動の脳の働きも、幼稚なレベルの機能が残っている程度である上に、脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」は殆ど機能しなくなっているのです。そのため、意識の認知度を左右する「意欲」、「注意集中力」と「注意分配力」がほとんど働いていない状態なのです。「重度認知症」(大ボケ)段階のお年寄りの脳の働き具合は、「4歳児以下」のレベル相当と考えて下さい。 

 

脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」がほとんど寝たきりの状態になっている「重度認知症」(大ボケ)の段階になると、これまでの人生で何度となく体験して体に浸み込んでいるような「言葉」や「テーマ」或いは「状況」に対しては或る程度の対応ができるのですが、折々に直面する新しい状況や身体に浸みこむほどの経験がないテーマに対しては殆ど対応できないのです。

脳の司令塔の「前頭葉」は、殆ど働かなくなっている上に、左脳や右脳や運動の脳も極めて不十分にしか働かない「重度認知症」(大ボケ)は、脳の機能を回復させることは困難となり、症状がさらに進んでいくので、自分の身の回りのことをする「セルフ・ケア」の面にも支障が出てきます。食事をしたり、服を着たり脱いだり、お風呂に入ったり、トイレの後始末をしたりといった、身の回りのことも自分でできなくなり、日常生活に「介助」が要るようになるのです。

(コーヒー・ブレイク) ところで、米国精神医学会の規定である「DSM-4」では、「記憶の障害」を「アルツハイマー型認知症」診断の「第一の要件」と定めているのですが、「アルツハイマー型認知症」のお年寄りの「記憶の障害」の問題について、少し説明しておきましょう(まず、ここを「クリック」してください)。

精神科医が「アルツハイマー型認知症」であると診断する第一の要件である「重度の記憶障害」の症状は、「前頭葉」を含む脳全体の働き具合が異常なレベルに衰えてしまっているので、「認知」それ自体と「記銘」、「保持」及び「想起」の機能が極めて不十分にしか働かない(症状の進行に連れて、どんどん機能しなくなっていく)ために起きてくるものなのです。

そもそも、記憶は、「記銘」して、「保持」して、「想起」してくるという経路をたどるものなのです。「重度認知症」(大ボケ)の段階になると、直前の事さえ忘れてしまうような重度の記憶障害の症状(ほんの少し前に食事をしたことさえ覚えていないような症状)が例示としてしばしば取り上げられています。「重度認知症」の段階にまで脳の機能が衰えてくると、脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」の機能、その中でも特に、意欲、注意の集中力及び注意の分配力という「三本柱」の機能がほとんど働かなくなってきている状態なので、「保持」及び「想起」に必要な程度での「記銘」自体ができなくなってくるのです。いろいろな「テーマ」の内容を記銘する記銘度自体が極めて低いので、保持も想起もできなくなっているのです。その結果として、直前の出来事さえも覚えていないということになるのです。

次いで、「重度認知症」の直前の段階である「中等度認知症」(中ボケ)の段階では、「昔のこと」は(認知症の重い症状が出ている人とは、とても思えない程の)かなりなレベルで、はっきりと思い出すことが出来るのです。その一方で、「最近起きた新しいこと」についての記憶が困難になるのです。その理由は、「意欲」、「注意集中力」と「注意分配力」の機能が不十分にしか働かなくなっているため、「記銘」するときの「記銘度が低くなってしまっている」ことが第一の原因なのです。昔の記憶は、年が若くて(三本柱の機能が正常なレベルにあったので)、「記銘度」が高かったころの記憶ということになり(記銘度が高いと、長期に保持されるので)、今でも思い出す(想起する)ことが出来るのです。

そして、「アルツハイマー型認知症」の最初の段階である「軽度認知症」(小ボケ)の段階では、日常生活面で、いわゆる「物忘れ」の症状が頻繁に起きてくるようになるのが「記憶の障害」にかかわる特徴なのです。この場合、「前頭葉」の機能が異常なレベルにまで衰えてきているので、「前頭葉」の「三本柱」の機能である意欲、注意の集中力及び注意の分配力がきちんと働かなくなっているのです。そのため、「正常な人達」(「前頭葉」の機能レベルが正常な人達)にも起きてくる「物忘れの症状」(「老化の物忘れ」の症状)に比べて、何事をするにも意欲が湧いてこず、注意が集中できず、注意の分配力が的確には働かないので、物忘れが起きてくる「頻度」が高く、且つ物忘れの「程度」が激しいのが特徴なのです。

注)本著作物(このブログA-76に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

エイジングライフ研究所のHPここを「クリック」してください)

脳機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)

  http://blog.goo.ne.jp/quantum_pianist

 http://blog.goo.ne.jp/kuru0214/e/d4801838dd9872301e0d491cd8900f1a


 

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アルツハイマー型認知症の症状は、こんな風に段階的に現れるものなの(A-75)

2013-02-01 | アルツハイマー型認知症の三段階の症状

 「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症は、認知症の大多数、90%以上を占めているの。皆さんが普段見かける「認知症のお年寄り」は、その大半が「アルツハイマー型認知症」の人達ということなの。「アルツハイマー型認知症」を発病する対象となる人達って、60歳以降の「高齢者」と呼ばれる年齢の人達だけなのよ。早いと30歳代から、遅くても50歳代の年齢の人達だけを対象として発病する「若年性アルツハイマー病」と混同している人達がいるのだけど(両者をまとめて、「アルツハイマー病」と呼ぶ人達のこと)、両者は性質自体がまったく異なるものなので注意してね。

 「若年性アルツハイマー病」は、特定の「遺伝子」に生まれつき異常がある人しか発病しない特殊なタイプの認知症で、認知症全体に占める割合も1%程度のものなの。「アルツハイマー型認知症」は、第二の人生を送っている「高齢者」で、生き甲斐なく、趣味なく、交友なく、運動もせず、目標もないという、ナイナイ尽くしの「単調な毎日」を送っている「お年寄り」だけが対象となる、廃用症候群に属する「生活習慣病」の一種なのよ。

ところで、私達が意識的に何かの「テーマ」を実行しようとするとき、その「テーマ」に関わる行為や行動や思考は、脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」が、左脳や右脳や運動の脳と協働しつつ、且つそれらを主導して、実行されているものだということを御存知かしら?私達が意識的に何かの「テーマ」を実行しようとするとき、いろいろな原因というか、何か「特定」の原因によって、「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)を含む脳の機能が異常なレベルに機能低下したことにより、日常の生活面に支障が出てくる(認知症の症状が出てくる)病気のことを「認知症」と言うの。脳の機能を全般的(両側性)に異常なレベルに低下させている原因によって、どんなタイプの認知症であるか、その種類が分類されているのよ。ただ、認知症の大多数、90%以上を占めている「アルツハイマー型認知症」だけは、「原因がわからないし、治すことができないし、予防することもできない」とするのが認知症の専門家と言われる人達のこれまでの考えなの。私達は、第二の人生での生活習慣(脳の使い方)が原因で、「高齢者」だけを対象に発病してくる、廃用症候群に属する「生活習慣病」だと考えているの(ここを「クリック」してみて。もうすこし、詳しい説明があるから)。

日常のどんな「生活面」で支障が出てくる(認知症としての「症状」が出てくる)のかは、高度なレベルから順に、「社会生活面」、「家庭生活面」、「セルフケア面」の3つに区分されるのが普通なの。どんな内容、レベルのものであっても、「社会生活面」で要求される脳の機能レベルというものは「家庭生活面」で要求される脳の機能レベルよりも高いものが要求されるし、「家庭生活面」で要求される脳の機能レベルというものは「セルフケア面」で要求される脳の機能レベルよりも高いものが要求されることについては、誰しも異論はないと思うの。

「脳の機能が異常なレベルに低下している」ことが「直接の原因」となって、3つに区分されるその「生活面」に「支障」があるとされる程度とは、言い換えれば、支障が「病的な症状」として認められるレベルのものと言うことなの(例えば、30歳代の後半から誰にでも起きてきて、加齢とともにその頻度や程度が進んでいく、いわゆる「物忘れ」の症状は、「前頭葉」の基礎的機能である三本柱の「意欲、注意の集中力及び注意の分配力」という機能が、加齢とともに機能低下を起こしてくる性質に起因するものなの。つまりは、これもまた「前頭葉」の機能障害に起因する症状ということなの。但し、「前頭葉」の機能障害(機能の低下に付随して起きてくる症状)なのだけど、こうした程度態様のものは、「病的な症状」とは言わないの。機能のレベルが衰えてきているとはいえ、「前頭葉」の機能レベル自体がまだ正常なレベルを維持していることがその理由なの。ところが、「前頭葉」の機能レベル自体が異常なレベルに衰えてきた結果として発現してくる「記憶障害」の症状は、病的な症状としてとらえないといけないの。したがって、問題となる「記憶障害の症状」が、病的な症状であるかどうかは、「前頭葉」の機能が正常なレベルであるのか、それとも異常なレベルであるのかを正しく判定する必要があるということになるの。唯一の例外として、脳の変性に起因する「側頭葉性健忘症」という病気があるの。この病気に起因する記憶障害の症状だけは、「前頭葉」の機能レベルが正常なレベルであっても、記憶障害の症状の程度態様が、「病的な症状」(しかも、この病気の場合の特徴として、高度の記憶障害で且つ新しい記憶だけが形成されないという症状を示すの)として発現してくるので、専門家もこの点だけは注意が必要になるの。「側頭葉性健忘症」を「アルツハイマー型認知症」であると誤診しているケースがとても多いの)。

私達は、こうした視点に立って、この3つの生活区分に対応する「脳の機能レベル」とそれにリンクした「症状」について、データをたくさん蓄積してきたの。蓄積されたたくさんのデータを分析し、「アルツハイマー型認知症」の「脳の機能の衰え方」とそれにリンクし対応した「症状」、つまり私たちの基準で、「3つの段階」に区分され、且つ、それぞれに「グループ分け」された「段階的症状」をパターン化して整理してきたの。たくさんのデータを集積して分かったこと、それは、3つの段階に区分される「脳の機能レベル」が3つに区分される「段階的な特有の症状」として発現してくるのが「アルツハイマー型認知症」の特徴ということなの。

脳全体の司令塔の 役割をしている「前頭葉」の働きが異常なレベルに衰えてきている人達、言い換えると、「認知症の症状」を発現している人達は、「脳の働き具合のレベル」とそれに対応した「症状のレベル」から言うと、軽いほうから軽度認知症「小ボケ」(社会生活面に支障)、中等度認知症「中ボケ」(家庭生活面に支障)、重度認知症「大ボケ」(セルフケア面に支障)の「三つの段階」に区分されるの。回復の可能性(治せるか否か)という視点から区分すると、最初の段階である「軽度認知症」は回復が容易で、中期の段階である「中等度認知症」は回復が未だ可能で、末期の段階である「重度認知症」は回復が困難ということなの。 

 

上に掲げた図に示された「3つの段階」は、協働しながら働く「前頭葉」と(左脳及び右脳)の働き具合が、同時に進行し且つ加速度的に衰えていくときのその衰え方を、私達が開発した「二段階方式」と呼称している「神経心理機能テスト」を使って調べた結果を示しているの。北海道から九州までの地域にわたる極めて多数が集積されたこれらのデータから、認知症の専門家達から「治せない」とされている「アルツハイマー型認知症」には、回復が容易な「軽度認知症」(小ボケ)の段階に始まって、次いで、回復が未だ可能な「中等度認知症」(中ボケ)の段階があって、最後に、回復が困難な「重度認知症」(大ボケ)の段階があることが分かってきたのよ。

専門家達が、「治すことができない」と言っているのは、末期段階の「重度認知症」の段階でしか「アルツハイマー型認知症」を見つけることができない基準になっている米国精神医学会の診断基準(「DSM-4」)を金科玉条として、診断の拠り所にしているせいなの(この問題点については、いずれ、詳しく説明するわね)。

「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症は、他のタイプの認知症とは異なり、「前頭葉を含む脳の機能レベル」がそのまま「認知症の症状」として発現してくるものなの(他の例として、「脳血管性認知症」の場合を挙げて説明するわね。脳血管性認知症の場合は、脳のどの範囲の部位の血管がどの程度に障害されたのかによって、認知症の症状の程度が決まるの)。今回のブログでは、「3つの段階」に区分される「症状」について詳しく説明するけど、次回(2月11日記載予定)は症状を発現している元となる「脳の機能レベル」とその構成について、詳しく説明するつもりだから読んでみてね。

「年齢相応」の程度態様であるとは言え、それなりに 「社会生活」が支障なくできていた「高齢者」(60歳以上の年齢のお年寄り)が、或る「出来事」の発生を「キッカケ」として(ここを「クリック」して)、ナイナイ尽くしの「単調な生活」(キャッチ・コピー的に言い換えると、「生き甲斐」なく、「趣味」なく、「交友」なく、「運動」もせず、「目標」もない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」のことを言うのよ)が、日々繰り返され継続されることにより、「前頭葉を含む脳の機能」の老化が加速され、廃用性の異常な機能低下(「機能の退化」とも言うべきもの)が進んでいくのが、「アルツハイマー型認知症」というものなの。

私達が開発した「二段階方式」の手技を活用して、脳の機能の衰え方を詳しく調べてみると、「脳の機能」が廃用性の衰えを示していく(使われる機会が、極端に少ないことにより機能が異常なレベルに低下していくことを言うの)そのとき、面白いことに、「規則的な衰え方の順序がある」の。「アルツハイマー型認知症」の場合には、脳全体の司令塔の「前頭葉」を含む脳の機能の衰え方に対応する「段階的な症状」が発現してくるのが特徴なの。突然「重い症状」が出てくるのではなくて、それともわからない程に軽いものから、次第に段階的に重いものになっていくという、「症状」の発現の仕方にも明らかな特徴があるの。若年性の「アルツハイマー病」とも、「脳血管性認知症」とも、症状の発現の仕方が全く異なっていることを皆さんに知っていて欲しいの。

「アルツハイマー型認知症」の場合は、脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」から先に衰えていくのが「第一の特徴」なの。次いで、「前頭葉」と相互に情報のやり取りをしている「左脳」と「右脳」が衰えていき、その「脳の機能」の衰え方の程度に応じて、症状が段階的に発現してきて、「小ボケ」、「中ボケ」、「大ボケ」へと「症状」が進んで重くなっていくの。このとき、何年もかけて徐々に衰えていくとは言え、全ての脳の機能の衰え方は、直線的ではなくて加速度的なカーブを描きつつ衰えていくのが特徴なの。

更に、専門的になるので、もっと先のブログで説明するつもりなのだけど、左脳と右脳の衰え方にも「規則性がある」(MMSという「神経心理機能テスト」で計測される下位項目が衰えていくときの順序とパターンが決まっている)のが「第二の特徴」なの。このことは、日本中だけでなくて、世界広しといえど未だ誰も知らない(私達以外には、誰も気づいていない)ことなのよ。すごいでしょ!!

こうした「脳の機能の衰え方の規則性」は、「アルツハイマー型認知症」に特有のものなので、認知症の症状を発現している人が、「アルツハイマー型認知症」であるかどうかの判定・鑑別(或いは、「認知症」と紛らわしい病気との鑑別)の強力な武器ともなるのよ。

ところで、認知症にも、たくさんの種類があることをご存じかしら?正しい診断に基づいて集積された「データ」をたくさん収集し、分析すれば、「アルツハイマー型認知症」と「脳血管性認知症」とで95%ほどを占めてしまうことになるの。「アルツハイマー型認知症」だけで90%以上を占めている。もっと大事なこと、それは、「アルツハイマー型認知症」は、原因もわからないし、治せない」というのは誤りで、「回復させる(治す)ことも、予防することも可能」なのよ。このブログをしっかり読んで、ぜひ皆さんに、そのことを理解して欲しいと思ってるの。(ここまで、話し言葉で書いてみたのだけど、とても疲れるのよね。この先は、いつもの、書き言葉に戻しても良いかしら?)

これまでのブログの中で何度も言及してきたように、「アルツハイマー型認知症」について専門家と言われている人達は皆さん、「原因も分からないし、治すこともできないし、予防することもできない」と言っています。それは、「重度の記憶障害」を認知症診断の第一の要件と考える過ち(米国精神医学会の規定である『DSM-4』に規定された診断規定の誤り)により、「見つけている段階が遅すぎる」だけなのです。末期の段階の「重度認知症」の段階しか見つけられないでいる結果、「原因もわからないし、治せないし、予防できない」だけなのです。本来の性質からすれば、廃用症候群に属する「生活習慣病」にすぎないのです。「アルツハイマー型認知症」は、「前頭葉」の出番が極端に少ない生活習慣(生き甲斐なく、趣味なく、交友なく、運動もせず、目標もない、ナイナイ尽くしの『単調な生活』)が継続する中で、廃用性の脳機能の異常な低下が加速度的に起きてくることが原因で、認知症の症状が発現してくる病気、廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」なのです。加齢とともに衰えていく性質を内包しているとはいえ、それなりに使ってやっていれば、そこそこ機能がもつのに、使ってやる機会が極端に少ない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を続けているために、機能が異常なレベルに加速度的に衰えていくだけのことなのです(「アミロイドベータ」も、「タウタンパク」も、「脳の委縮」も、発病の原因とは関係がないのです)。

加速度的なカーブを描いて急速に衰えていきつつ、「廃用性の異常な機能低下」(機能の退化)が原因で発病する「アルツハイマー型認知症」(老年性の「アルツハイマー病」と呼称する人達もいます)は、(遺伝子の異常が生まれつき備わっている人達だけを対象に発病)して、極めて短期間に症状が進行していく若年性の「アルツハイマー病」とは異なり、症状が何年もかけて、「徐々に段階的に」進んでいくのが特徴なのです。最初に回復が容易な「小ボケ」の段階があって、次いで回復が未だ可能な「中ボケ」の段階があって、最後に回復が困難な「大ボケ」の段階がくるのです。 昨日まで正常だったお年寄りが、一晩寝たら、突然自分の家が分からなくなったり、同居している孫娘の顔も分からなくなったりはしないのです(「脳血管性認知症」の場合にのみ、且つ、障害された脳血管の部位と程度と範囲との関係では、こうしたことも起きてくるのですが)。

「キッカケ」を契機にして、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が日々継続するようになって、「小ボケ」の期間が「キッカケ」の発生から0.5~3年、「中ボケ」の期間が4~5年、6年経つと「大ボケ」になるのが大原則なのです。だからこそ、東日本大震災を被災した「高齢者」の状況を、私たちはとても心配しているのです。「不活発病」などと言う訳の分からない病名などつけて、放置しておかないで欲しいのです。東日本大震災の被災を『キッカケ』に始まった、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が日々営まれる生活を継続している大量の「お年寄り」が、「アルツハイマー型認知症」を発病していて、「軽度認知症」(小ボケ)の段階にあるのです。

その人達が、「アルツハイマー型認知症」をよく知らない人達から、「不活発病」のレッテルを張られただけで放置されているのです。「小ボケ」の段階にあるそのお年寄り達は、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続するままに、日々を無為に過ごしていると、次の段階である「中等度認知症」の段階に向かって、「脳の機能」がさらに低下して行っているのです。このまま放置していて、あと2~3年もすると、速い人では「重度認知症」の段階が始まりその症状が出てくるので、認知症の専門家とされる人達が、大騒ぎする状況になるのです。「マヤ暦」の予言は外れましたが、残念ながら、私達の予言は的中してしまうことになるでしょう。

 私達の定義に言う「軽度認知症」(「小ボケ」)の段階は、脳の後半領域の左脳も右脳も未だ正常な機能レベルにあって、脳全体の司令塔の「前頭葉」の機能だけが異常なレベルに衰えてきているのです。認知症の現行の定義からすると、私たちが言う「軽度認知症」(「小ボケ」)の段階は脳全体が異常なレベルにあることにならないので、認知症を発病していることにならないのではないかと考えた人は、なかなか鋭い人と言えるのですが、「今一歩」なのです。何故かと言うと、脳の機能面から考えると、脳の後半領域の機能である左脳も右脳も運動の脳も、「意識的な行為」の世界では、必ず司令塔の「前頭葉」のコントロールのもとに働いているのです。従って、そのアウト・プットとしての行為は、機能が異常なレベルに衰えている「前頭葉」の(機能障害を伴ったアウト・プット)になってしまうのです。御者である「前頭葉」の機能が異常なレベルにあって、左脳、右脳、運動の脳という「三頭の馬」を制御しているので、アウト・プットとしての行為や行動は、「前頭葉」の機能障害が反映されたものになってしまうのです。

 このように、意識的な行為(行動、或いは思考)は全て、必ずその時点での「前頭葉を含む脳の機能レベル」を反映したものとなるのです。「前頭葉」の機能だけが異常なレベルにあって「左脳、右脳及び運動の脳」は未だ正常な機能レベルにあるこの「軽度認知症」(小ボケ)の段階では、脳全体の機能レベルのアウト・プットとして、「社会生活に支障が出てきている症状」を必ず確認することができるのです。つまり、「脳全体の機能」が異常なレベルにあることとする現行の定義自体に誤りがある(或いは、不正確な記述と言ってもいいのですが)のであって、「前頭葉の機能」が異常なレベルにあるとする定義が正しいのです。定義自体を変えてやらないと(米国精神医学会の診断基準である「DSM-4」のように、「重度の段階の症状」を診断基準としていたのでは)、早期の段階、回復が容易な「軽度認知症」(小ボケ)の段階及び回復が未だ可能な「中等度認知症」(中ボケ)の段階を見落としてしまうことになるのです。近年、「軽度認知障害」という概念が提案されていますが、相変わらず「記憶」を中心とした「症状」からのアプローチとなっていて、「前頭葉」の機能障害という視点を欠いているために、対象領域があいまいすぎて使い物にならないのです。

  ところで、「前頭葉」は、意欲、注意の集中力及び注意の分配力を「三本柱」として、自発性、発想、計画性、工夫、理解、判断、機転、洞察力、推理、創造力、好奇心、感動、抑制力といった、私達が「社会生活」を送る上でなくてはならない極めて高度な機能を集積しています。「軽度認知症」(小ボケ)は、この「前頭葉」の機能が異常なレベルにあるために、上述したような(「前頭葉」の高度な機能)の障害が小ボケの「症状」として現れてくるというメカニズムなのです。認知症の専門家や医師達は、このことに気づく必要があるのです。文末に整理してある「軽度認知症」(小ボケ)の症状を、この視点からよく観察してみていただきたいのです。

 軽度認知症(「小ボケ」)の次の段階を私たちは、「中等度認知症」(「中ボケ」)と呼んで、末期段階の「重度認知症」(「大ボケ」)の段階と区別しています。認知症の専門家とされる人達は、「DSM-4」の基準に依拠して「アルツハイマー型認知症」の診断を行うので、末期段階の「重度認知症」(「大ボケ」)の段階にならないと認知症とは診断しないのです。ところが、「軽度認知症」の段階なら「回復が容易」で、「中等度認知症」の段階なら「回復が可能」であるのに対し、「重度認知症」の段階になると「回復は困難」になるのです。回復が困難な末期段階(私たちの区分で言う「重度認知症」の段階)になって初めて「アルツハイマー型認知症」を見つけている「診察の現状」に何の意味があるのか、疑問を呈しておきたいのです。

    

最後になりますが、以下に「小ボケ」、「中ボケ」、「大ボケ」の順にそれぞれの段階に「特有な症状」をまとめて順番に並べて表示しておきます。「アルツハイマー型認知症」の症状(「前頭葉」を含む脳の機能レベルにリンクした症状)の進行具合が明確に読み取れることと思います。脳の機能が、前頭葉の三本柱の「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の異常な衰えに始まり、次第に左脳、右脳、運動の脳と異常な衰えが進んでいくことの結果として、症状が出てきて、その症状も次第に重くなっていく(「段階的な症状」を示していく)ことが分かることと思います。専門家達が考えているような、情報を連絡する神経線維が(アミロイドベータやタウ蛋白によって侵されていく)ことにより、認知症の「症状」が重くなっていくわけではないことに、早く気付いて欲しいと願うのです。

○  [ 小ボケのチェックリスト](「軽度認知症」(小ボケ)に特有の症状を列記しておきます)

☆脳の機能としては、 「前頭葉」の機能の三本柱である意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能が異常なレベルに衰えてきたことのアウトプットとしての「症状」を示すのが特徴です(この段階では、左脳や右脳及び運動の脳は、未だ正常レベルにあるのです。そのトータルの脳機能レベルのアウトプットが、この段階の症状なのです)。

(4つ以上に該当していると、「小ボケ」のレベルであることが疑われます)。

□ 複数のことに注意が分配できなくて、3つの用事が同時にさばけない

□ 機転がきかなくて、創意工夫ができない

□ 発想が乏しくて、画一的な行動が目立つ

□ 何事をするにも億劫で面倒がり、何かをやってみようという意欲が見られない

□  同じ食材を買ってくることが多く、料理の献立の単調さが目立つ

□ 一日や一週間の計画が自分で立てられず、なにも思いつかない様子

□ 朝は遅くまで起きてこないのに、気がつくと居眠りしている

□ これまでなら感動していたことに対して感動しない

□ 問いかけに対する反応が遅く、生き生きした笑顔がほとんど見られない

□ ぼんやりしていることが多く、自分から何もしないが指示されるとできる

□ 根気が続かず中途半端なことを繰り返し、やりかけの家事が目立つ

□ 目の光がどんよりしていて、顔つきが無表情

□ 反応が遅く動作がもたもたしていて、階段をトントンと降りられない

□ 歩くとき前屈みの姿勢で、小股でトボトボと歩く

□ 料理の手際が悪くなり、家族数に関係なく多すぎる量の料理を作る

□ 自分に自信がなくなり、何かにつけ人を頼ろうとする

□ 髪の手入れや、おしゃれに無関心

□ 同じ内容を繰り返して話し、そのことに本人が気づかない

□ 会話の最中唐突に、一方的に言いたいことを言い相手の話しを聞かない

□ 思い込みや思い違いが多く、指摘しても訂正や変更ができない

□ これまでなら楽しんでいた趣味や外出や旅行を嫌がる

         

○ 【中ボケのチェックリスト】(「中等度認知症」(中ボケ)に特有の症状を列記しておきます)

 ☆この段階になると、脳の機能としては、 「前頭葉」の機能の三本柱である意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能が「小ボケの段階」よりも更に加速度的に衰えてきたことによる「前頭葉の各種機能」の衰えに加えて、左脳や、右脳も異常なレベルに衰えてきています。「中ボケの段階での症状」は、そのトータルの脳機能レベルのアウトプットとしての「症状」を示しているのです。

 (4つ以上に該当していると、「中ボケ」のレベルであることが疑われます)。

□ 何度教えても日付けがあいまいになる

□ 簡単な計算ができない(お札ばかりで買い物をし、やたらと小銭がたまる)

□ 電気やガスの消し忘れ、水道の蛇口の閉め忘れなどが目立つ

□ 家庭内の簡単な用事程度のこともきちんとできない(部屋や洗濯物の

整理、食後の片付け、畑や庭仕事などがきちんとできなくなる)

□ お金や持ち物のしまい場所をすっかり忘れてしまい、一日中探している

□ 自分が飲む2~3種類の服薬管理ができない

□ 服の着方に無頓着で、重ね着が目立つ(セーターの上からシャツを着

る。裏表や前後ろに着る。入浴後、着ていた下着の上に新しい下着を着

る)

□ 入浴時の温度管理が出来ず、体を洗わないとか石鹸がついたままとかする

□ 周りを汚したり流してないなど、トイレの後始末がきちんとできない

□ 料理の味付けが変になる(特に、塩加減が極端に変になる。塩辛す

ぎて、周りが食べられないようなものを作り、本人だけが平気で食べる)

□ 行き慣れている所に行くのに、スムーズに行けない(行き先の違う乗

り物に乗ったり、行き道を間違えたりする)

□ 自分の子供の数、生まれ順、居住場所の説明がきちんとできない

□ 季節が分からなくなる(夏にセーターなど、季節違いの服を平気で着

る)

□ 昨日の出来事をすっかり忘れてしまう

□ 物盗られ妄想(物の置き場所を忘れて、相手が隠したとか盗んだとか

言う)とか、世話をしてくれる人に対して口汚くののしる行為とかがある

        

 ○【大ボケのチェックリスト】(「重度認知症」(大ボケ)に特有の症状を列記しておきます)

 ☆この段階になると、脳の機能としては、前頭葉の三本柱の機能である意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能が加速度的に衰えてきたことによる「前頭葉の各種機能」の更なる衰えにより、前頭葉の機能がわずかにしか機能していない(殆ど機能していないような状態)に加えて、「左脳や、右脳や運動の脳」の機能も更に異常なレベルに衰えてきています。。「大ボケの段階での症状」は、そのトータルの脳機能レベルのアウトプットとしての「症状」を示しているのです。

  (3つ以上に該当していると、「大ボケ」のレベルであることが疑われます)。

□ 着ている服を脱ぎたがらず、便で汚れた下着をそのまま平気で着ている

□ 風呂に入るのを嫌がる

□ 服を正しく着られず、ズボンを頭からかぶったり上着に足を通したりする

□ 家族の名前を間違えたり、子供を配偶者と間違えたりする

□ 食事やあいさつをしたことなど直前に起きたことをすぐに忘れてしまう

□ 家庭生活に全面的な介助が必要(食事、入浴、排泄)

□ 自宅に居ても落ちつかず、出て行きたがる

□ 大小便を失敗しても、後の処置ができない(大小便で汚れた下着を、押し入れなどに隠すようなこともあります)

□ 自宅の方向が、たびたびわからなくなる

□ 同居している家族の名前も顔もわからない(家族かどうかも分からない)

□ 今は昼なのか夜なのかがわからなくて、夜中に騒ぐ(夜中に起きてくる、家中の電気をつけて回る、会社に行くとか田んぼに行くとか言い張る)

□ 痛んだものを平気で食べ、食べ物でないものを口にする

□ 独り言や同じ言葉の繰り返しが目立つ

□ 誰も居ないのに「人が居る」と言ったりする  

        

(最後に、コーヒー・ブレイク) 服を自分で着られなくなり、ズボンを頭から被るとか;自分の家が分からなくて、徘徊して迷子になるとか;同居してる家族の顔も分からないとか;失禁した服を平気で着ていたりしたら、自信を持って、その人はボケてると皆さんは思うのではないでしょうか。正確に言うと、これは、「アルツハイマー型認知症」の末期の段階の症状なのです。こうした症状が出てくるもっと前の「軽い段階」(回復が容易な「小ボケ」及び回復が未だ可能な「中ボケ」の段階)があるのを専門家の精神科医でさえ見落としているだけなのです。「アルツハイマー型認知症」は、脳の機能レベル(「小ボケ」、「中ボケ」及び「大ボケ」の機能レベル)に対応する段階的な症状(「小ボケの症状、「中ボケ」の症状及び「大ボケ」の症状)を発現してくるのだということを理解しておいてほしいのです。「或る日は、小ボケの症状を示し、次の日には中ボケの症状や大ボケの症状を示すようなことは、絶対にない」のです。

注)本著作物(このブログA-75に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

 エイジングライフ研究所のHPここを「クリック」してください)

 脳機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)

 

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