認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

アルツハイマー型認知症の発病の予防と交流の場所の確保(B-86)

2017-07-15 | アルツハイマー型認知症の予防が国民的課題

(プロローグ)

約一週間も降り続いた雨がようやく終わって、私が一年のうちで一番苦手とする梅雨の季節も終わりを告げました。ダイヤランドに在る脳活性化研究所の建物は、2階に在るリビングと中2階に在るお風呂から、真正面に富士山を眺められる設計になっているが為に、山肌が急な傾斜になっている場所に建てられているのです。ダイヤランドは域内に2700戸の別荘が点在している大きな別荘地である上に、域内全域にわたり巨木が密な状態で林立しているので、梅雨の季節中に降った大量の雨が樹々に吸い込まれて保存されて、晴天の状態になると、車庫の壁に空けられている水抜き用の穴から、どっと水が溢れ出してくるのです。建物の背側の傾斜地にある木々に蓄えられた水が、地面にしみこんでいき、建物の床下から上がってきて、部屋全体が湿っぽくなってしまうのです。脳活性化研究所の建物は、まるで万里の長城まがいのような分厚いコンクリート壁の床が建物の下側に縦横に走った構造になっているので、地崩れの心配は皆無なのですが、1階の各部屋々に湿気が溜るのはどうしようもないことなのです。今季の梅雨が始まって以来、ダイヤランドへは殆ど行っていなかったので、そのことがとても気がかりだったのです。梅雨が空けたら出来るだけ早く行って、部屋と言う部屋を開け放して、湿った空気と湿っぽくてカビ臭い匂いを追い払わなくてはと、そのことがずっと気がかりだったのです。そうした懸念も今日限りのことになると思うだけで、気分が湧き立ってくるのです。伊豆高原からダイヤランドへ行くには、色々な行き道があり、何処で昼食をとるかとか、何処で夕食の食材を購入するかとか、途中で本屋に寄り道するのかとか、場合によっては、気に入った喫茶店で少し休んでいくのかとか、その時の気分次第で、行く道筋が決まるのです。今日は、先日、私の「快気祝い」で西伊豆に泊まりに行った帰りに立ち寄り気に入った中伊豆にあるおしゃれなレストラン創作料理「TAKA」へ寄ってから行こうと決めたのです。車でただ行くだけと言うのよりはずっと、「前頭葉」の活性化になるでしょう。こうしたちょっとしたことでも、工夫することが大切なのです。加齢により衰えてきているとはいえ、「前頭葉」の機能は、使ってやればやるほど、老化のカーブが緩やかなものになっていくのですから。そのことを言い換えれば、「アルツハイマー型認知症」を発病するリスクがそれだけ遠のいて行くということにもなるのです。「仕事」に追われるという状況がない第二の人生では、些細なように思えることであっても、出来るだけ「注意の分配力」の機能の出番が多くなるような「テーマ」を発想し、具体的な行動を企画し計画し、楽しく実行する生き方が求められるのです。

 & 「アルツハイマー型認知症」の発病と「加齢」と言う要素

私たちの「脳機能データ」を根拠として、「アルツハイマー型認知症」を発病するお年寄りの割合について言うと、言い換えると、「小ボケ」、「中ボケ」及び「大ボケ」の全ての段階のお年寄り達の数を併せた発病率はどのようなものになるかというと、「第二の人生」が始まったばかりの60歳代では12%、70歳代では30%、80歳代になると二人に一人は発病する50%となり、90歳代では75%、加齢の極まりの100歳代では97%、殆どのお年寄りが発病するということになるのです。世界中の認知症の専門家達から発病のメカニズム(原因/機序)が不明とされている「アルツハイマー型認知症」と言うタイプの認知症は、後述するように、廃用症候群に属する「生活習慣病」(但し、脳の使い方としての「生活習慣」であることに留意する)を本態とするものであるが故に、発病の対象となる人達は、「第二の人生」を送っている60歳を超えた年齢の「高齢者」に限られていることに加え、年をとればとる程発病率が高くなっていくのが特徴なのです。上述した年代別の発病率の傾向を見れば、「加齢」と言う要素が発病の一つの重要な要件であることは、専門家ではない皆さんでも気づかれることだと思うのです。「アルツハイマー型認知症」の発病原因についての最近の有力とされる学説(但し、主張する原因と発病との間の因果関係の立証が未だに為されていないので、「仮説」として扱われている)であるアミロイドベータ説であれ、タウタンパク説であれ、上記の実態を適切、且つ的確に説明することはできないのです。

次章で説明するように、私たちは、生きた人間の「意識的な世界」を構築し、統括し、支配し、コントロールしていて脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」を含む脳全体の機能について、私たちが独自に開発した精緻な神経心理機能テストである「二段階方式」の手技を活用して集積した14689例にも上る脳機能データ、左脳、右脳及び運動の脳と言う三頭立ての馬車の御者の役割を担う「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルに厳密にリンクした症状と脳の使い方としての「生活習慣」という実態を解析して得られた結論に基づいて、様々な種類が数有る認知症全体の内の90%以上の割合を占めている「アルツハイマー型認知症」と言うタイプの認知症の「発病のメカニズム」それはナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」の継続に起因した廃用性の機能低下が発病の原因だと主張しているのです。様々な程度及び態様により発現してくる「アルツハイマー型認知症」の症状は、米国精神医学会が策定した「DSM-4」の規定の第一要件でその確認が要求されている「記憶障害」に起因した症状ではないという事なのです。「アルツハイマー型認知症」の発病の原因(機序)について詳しく説明すると、発病の原因としては、「加齢」という要件(私たちが主張する発病の第一の要件)以外にもう一つ別の要件、脳の使い方としての「生活習慣」という要件(私たちが主張する発病の第二の要件)が存在しているのですが、いずれにしろ、「加齢」と言う「第一の要件」が存在しているが故に、「アルツハイマー型認知症」を発病する対象となるその年齢は、60歳を超える年齢で、且つ「第二の人生」を送っている「お年寄り」だけということになるのです。そこで今日のブログでは、「アルツハイマー型認知症」を発病しない為に必要不可欠で唯一の条件である脳の活性化、就中、「前頭葉」(「前頭前野」を言うものとする。以下、同じ)の活性化という「テーマ」について、政策を含めた具体的な提言と言う形で、語ってみたいと思うのです。世の中では、と言うか、世界中の認知症の専門家(学者、研究者、医師)の間では、「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズムについて、アセチルコリン説とか、アミロイドベータ説とか、タウ蛋白説とか、脳の萎縮説とか言った様々な説が主張されてきている訳なのですが、それらはすべて仮説(主張の内容と発病との間の因果関係が立証されていない、推測又は憶測に基づいた単なる主張)であり、主張している人達や属する組織に権威は有っても、主張の内容自体は単なる仮説で、発病を予防した実績も無ければ、認知症の症状を治した実績も無いものばかりなのです。

今日は、そうした権威が主張する内容のことは忘れて、「権威自体には未だ欠けるが、北海道から九州までの極めて広範囲にわたる地域、452を数える多数の市町村で展開した住民参加型の「地域予防活動」の実践により、発病を「予防した」実績があり、小ボケ及び中ボケと言う本当の意味での早期の段階で見つけて、症状を「治した」実績がある私達の具体的な提言に耳を傾けていただきたいと思うのです。皆さんと「問題意識」を共有することが出来れば、そのことが将来の具体的な展開面でも有益だと考えるのです。現状は、アベノミクスの成功によりわずかながらも経済成長率を維持できていて、失業率の面でも先進国では突出した低失業率と言う状況を維持できてはいるのですが、出生数の減少に伴う人口の減少並びに高齢化の進行に伴う社会保障費の増大及び1100兆円を超える天文学的な規模の国が抱える債務等の問題があり、政権の不安定化に伴う経済の舵取りが少し乱れるだけで、先週九州地方を襲った大豪雨のような状況が我が国を襲う危険が現実味を帯びてくることになるのです。

     

& 「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズム(機序)と症状の特徴

○ 「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズム

第二の人生」を送っている60歳を超える年齢の「高齢者」(私たちが規定する発病の「第一の要件」)にとって、仕事とは無縁の日々となる基本的な生活環境の中で、「前頭葉」を活性化させ得るような「テーマ」を見つけて、且つ日々楽しみながらそれに従事することが出来るという「生活習慣」の構築と実践と言うことは、口で言うほど簡単な事ではないのです。そのことは、年代別の「発病率」の高さとなって現れてきていると言っても過言ではないでしょう。生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもない「単調な生活」、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が日々繰り返され継続される「生活習慣」の下では(発病の「第二の要件」)、出番が極端に少なくなった「脳の機能」(「前頭葉」を含む脳全体の機能)が、「第一の要件」と「第二の要件」が同時に充足され重なり合うことの相乗効果により、廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させていくことになるのです。その行き着く先に、「アルツハイマー型認知症」の発病が待っているということなのです(通常は、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まってから早くて半年、遅くて1年程の期間の経過後に発病し、私たちが区分する「小ボケ」の段階に特有な症状が発現してくる)。

 ○「前頭葉」を含む脳の機能レベルの直接のアウト・プットが症状

いろいろな種類が数ある認知症の中で、私たちのデータから推測すると認知症全体の90%以上の割合を占めている「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症は、「前頭葉」を含む脳全体の機能が、廃用性の加速度的で異常な機能低下を起こしてくることに直接に起因して発現する症状、私たちが「脳のリハビリ」による回復の可能性という視点から三段階に区分する「アルツハイマー型認知症」の「段階的な症状」が発現してくるのが特徴なのです(誰の脳にも生来的な性質として内在するもので、「加齢」とともに機能が低下してくる「正常老化」の性質に、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」の継続に起因した「廃用性」の機能低下が加わることで、脳全体の機能の低下が加速されることになるのです)。「アルツハイマー型認知症」の症状とその進行とは、発病の最初の段階であり、私たちの区分と呼称で言う「軽度認知症」(小ボケ)の段階に始まり、次いで、「中等度認知症」(中ボケ)の段階を経て、最後は末期の段階である「重度認知症」(大ボケ)の段階へと進むことになるのです。

○三段階に区分される「アルツハイマー型認知症」の症状は、「前頭葉」を含む脳全体の「機能低下の規則性」を厳密に反映したもの

 (1)私達が集積してきた「脳機能データ」の解析によると、「アルツハイマー型認知症」の場合には、廃用性の機能低下により脳の機能が衰えていく時、その「衰え方」に以下の特徴が確認されるのです。

この特徴は、様々な種類が数有る認知症の内で、「アルツハイマー型認知症」である場合に限り確認されるものなのです。

ⅰ)脳全体の司令塔の役割を担っていて、左脳、右脳及び運動の脳と言う三頭立ての馬車の御者の役割を担っていて、私たち人間だけに特有な世界である「意識的な世界」を構築し、統括し、支配し、コントロールしている「前頭葉」の機能が廃用性の加速度的で異常な機能低下を起こしてきて異常なレベルに衰えていく結果、「社会生活」に支障を起こす原因となる症状が最初に出てくるのです(軽度認知症「小ボケ」:この段階では、左脳と右脳と運動の脳は、未だ正常な機能レベルのまま);

ⅱ)ナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続を条件として、「前頭葉」が廃用性の加速度的で異常な機能低下を継続する中で、次の段階からは、同時に「左脳」と「右脳」が廃用性の加速度的で異常な機能低下を起こしてきて、「前頭葉」を含む脳全体としての機能が更に異常なレベルに衰えていく結果、「家庭生活」に支障を起こす原因となる症状が出てくるのです(中等度認知症「中ボケ」);

ⅲ)ナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続を条件として、「前頭葉」並びに左脳、右脳及び運動の脳が廃用性の加速度的で異常な機能低下を同時に並行して更に進行させていく結果、「セルフ・ケア」にも支障を起こす重度の症状が出てくるのです(重度認知症「大ボケ」)。

注)ナイナイ尽くしの「単調な生活習慣」の継続に終止符を打って、「前頭葉」を含む脳全体の機能を活性化させる「生活習慣」の構築とその実践(「脳のリハビリ」の実践)により、「前頭葉」を含む脳全体の機能を正常な機能レベルに回復させることが出来るのは「中ボケ」までの段階であり、「大ボケ」の段階にまで脳の機能が衰えてくると、回復させることはもはや困難となるのです。認知症の専門家達が、{「アルツハイマー型認知症」は、治すことが出来ないタイプの認知症である}と主張しているのですが、そのこと自体は誤りであり、末期の段階である「重度認知症」(大ボケ)の段階で見つけているが為に治すことが出来ないだけなのです(見つけるのが遅すぎるのです)

ⅳ)「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルが、小ボケ、中ボケ、更には、大ボケの段階へと衰えていくとき、神経心理機能テストのMMSEで判定される「MMSEの下位項目」には衰えていく順番に「厳密な規則性」が認められるのです(「MMSEの下位項目」について、出来なくなっていく項目の順番、言い換えると、脳の機能が衰えて行く順番についての「厳密な規則性」を示す根拠としてのパターンは、14689例の精緻な「脳機能データ」の解析により確認されているのです)。

ⅴ)「二段階方式」テストにより得られる上記「4つの特徴」を客観的な指標として活用することにより、「アルツハイマー型認知症」の判定(鑑別)に際しては、他の種類の認知症との鑑別並びに認知症と紛らわしい病気との鑑別が精緻で容易なものになるのです

(2)米国精神医学会が策定した診断規定である「DSM4」の規定の「第二の要件」の問題点は、以下の通り

ⅰ)「DSM-4」の「第二の要件」は、失語、失認、失行又は実行機能の障害(「前頭葉」機能の障害のこと)のいずれかの症状の確認を要求しています。ところが、「アルツハイマー型認知症」の症状としてのこれら全ての症状は、私たちが「意識的」に何かのテーマを実行しようとする際に起きてくる症状のことなのです。

ⅱ)私達の意識的な世界は、「前頭葉」が左脳、右脳及び運動の脳と協働し、且つ、それらを統括し、支配し、コントロールしつつ、自分が置かれている状況の理解と判断、状況の判断に基づく「テーマ」の発想、「テーマ」の実行内容の企画及び計画、実行の手順の組み立て、計画した内容の実行結果のシミュレーションに基づいた実行内容の修正並びに実行の程度及び態様の選択に基づく実行の指示が行われているのです。「器質的な病変」が原因で前頭葉を含む脳全体についての機能の障害が起きてきているわけでもないのに(脳が壊れてもいないのに)、意識的に何かを実行すること自体に様々な程度及び態様による支障が起きてくるのが「アルツハイマー型認知症」なのです。我が国だけでなくて世界中の認知症の専門家とされる人達(学者や研究者や医師)は、自分が置かれている状況の理解と判断に基づく「テーマ」の発想、「テーマ」の実行内容の企画及び計画、実行の手段及び手順の組み立て、計画した内容の実行結果のシミュレーションに基づいた実行内容及び態様の選択に基づく実行の意思決定並びに脳の各部に対する実行の指示を行うには、意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能から成る「前頭葉」の三本柱の機能、中でも、注意の分配力の機能が働くことが不可欠となること並びに「DSM-4」が「第二の要件」で確認を要求している失語や失認や失行の症状が確認されるお年寄りの「前頭葉」は殆ど機能していないこと、就中、「注意の分配力」の機能が殆ど機能していないことを知るべきなのです。意識的に何かの「テーマ」を実行する場面では、自発性、観察、分析、理解、考察、洞察、推理、想像、興味、関心、発想、企画、計画、創意、工夫、予見、予測、シミュレーション、区別、比較、評価、修正、具象化、抽象化、整理、段取り、組み立て、機転、抑制、感動及び判断等、「前頭葉」の機能を構成している各種の高度な「個別の認知機能」(猶、「学習」機能は、大脳辺縁系の機能であって、「前頭葉」の機能ではないことに留意する)を正常に発揮する上では、一定レベル以上での機能の発揮度が確保されていることが不可欠となるのです。

機能の発揮度が一定レベル以下だと、例示した「前頭葉」の各種個別の認知機能自体が必要なレベルで的確には/十分には発揮されなくなるのです。そうした「前頭葉」の個別認知機能による機能の「発揮度」及び「認知度」の高さ、或いは低さを左右しているのが、意欲、注意の集中力及び注意の分配力という「前頭葉の三本柱」の機能なのです(「前頭葉」の個別認知機能による機能の「発揮度」と「認知度」とが共に、「三本柱」の機能の発揮レベルと「リンク」している)。

この意識的な世界を構築する上で不可欠の機能要素である「前頭葉」の個別の認知機能を語るには、私たちが自我を完成させていく上で獲得した自分独自の「評価の物差しの機能」(自分独自の物の見方、捉え方、感じ方及び考え方としての物差しのことを言うものとする)と自己体験と伝聞の集積体としての「記憶の倉庫としての機能」の働きを忘れてはならないのです。プールの脇に立っていて、天にも届かんばかりの高さと勢いとで無数の花を咲かせているブーゲンビリアの巨木、露天風呂の脇の花壇に在って、しとしと降り続く梅雨の長雨に濡れて、薄紅色の可憐な花を咲かせている百合の花の存在、形、色、或いは、それらが醸し出している風情、それらを私たちが意識的に認知し、認識し、観察し、感受し、感動する上で、「前頭葉」の「個別の認知機能」、「前頭葉」の「三本柱の機能」、「評価の物差しの機能」及び「記憶の倉庫としての機能」が協働することによって初めてそうした世界が開けること及び私たち個々の、且つ、独自の意識的な世界が構築され発現してくるものであること、更には、個別の認知機能の機能の発揮度及び認知度を左右しているものが、私たちが「前頭葉」の「三本柱の機能」と名付けている「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の機能であること、そうした意識的な世界での「前頭葉」を含む脳全体としての認知構造、働き具合及び衰えるメカニズム等に気づくことが、「アルツハイマー型認知症」発病のメカ二ズム、又は、症状の発現のメカニズム、或いは、症状の重症化のメカニズムを解明する上で必要不可欠となるのです。私たち人間に特有の「意識的な世界」の特徴はというと、意欲、注意の集中力の機能の働きもさることながら、「注意の分配力」の機能が縦横無下に働いている世界、言い換えると、「注意の分配力」の機能の働き無しには存在し得ない世界だということに気づいていただきたいのです。マウス(アミロイドベータを注入したアルツハイマーマウスを含む)が、檻の中でエサを探して徘徊する行動に関わるマウスの「記憶」を調査し、研究してみたところで、私たち人間の意識的な思索や行為や行動を推し量ることは出来ないし、ましてや、「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズムの解明には何の役にも立たないことを指摘しておきたいのです。「アルツハイマー型認知症」の発病、又は、症状の発現、或いは、症状の重症化とアミロイド・ベータの蓄積とかタウ蛋白の蓄積とかは、「全くの無関係」なのだということに早く気づいて欲しいと願うのです。

ⅲ)生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもないナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続される「生活習慣」の下で、「前頭葉」の機能が廃用性の加速度的で異常な機能低下を起こしてきた「アルツハイマー型認知症」の最初の段階(私たちが定義する「軽度認知症:小ボケ」の段階)では、手足である左脳も、右脳も、運動の脳も、その全てが未だ正常な機能レベルに在るのに対して、司令塔の役割を担っている「前頭葉」の働きだけが異常な機能レベルに在って、且つその結果として、「前頭葉」の機能障害の症状だけが発現してくることになるのです(正常域との境界域に在る「小ボケ」の段階で発現してくる「アルツハイマー型認知症」としての症状は全て、「記憶障害」に起因した症状ではないのです。小ボケの段階では、記憶障害に起因した症状はその欠片も確認されないのです)。それに対して、「アルツハイマー型認知症」の末期の段階(私たちが定義する「重度認知症:大ボケ」の段階)の症状が確認されるようになると、それら全ての症状は、異常なレベルに衰えてきて、殆ど機能することが出来なくなっている「前頭葉」の働きを中核とした脳全体の働き具合(廃用性の加速度的で異常な機能低下により、「前頭葉」だけでなく、左脳も右脳も運動の脳も その全ての機能が異常なレベルに低下してきている)を直接に反映したものとなってしまうのです。「アルツハイマー型認知症」の「末期の段階」である「重度認知症」(大ボケ)の更に後半になって初めてその発現がみられる失語や失認や失行などの症状は、「脳のリハビリ」により正常な機能レベルに回復させること(治すこと)がもはや困難な機能レベルに在る「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルの直接のアウト・プットとしての症状ということなのです。「脳のリハビリ」により回復させることが困難となるこの段階で見つけていることこそが、医療現場の重大な誤りだと指摘しておきたいのです。

ⅳ)「意識的な世界」における脳の機能の働き具合としてのアウト・プットは、「前頭葉」が脳全体の司令塔としての役割を担う機能構造の下で、且つ「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルの総合的な機能状態を直接反映した症状、私たちが三段階に区分する様々な症状として、発現してくるのです(「DSM-4」が規定する「第二の要件」は、失語や失認や失行の症状と実行機能の障害を同列に扱い、並列で規定していることからも、この「重要な視点を欠いている」と言わざるを得ないのです)。

「アルツハイマー型認知症」の症状であり、末期の段階である「大ボケ」の段階の症状が発現している人達(「前頭葉」の機能レベルを判定する「かなひろいテスト」が不合格となり、且つ、換算後のMMSEの得点が14点以下0点までの人達)の内で、その後半の脳機能レベルの人達、換算後の「MMSEの得点が一桁」になって初めて発現してくる「失語の症状」が確認される人達では、「前頭葉」が殆ど機能していない状態にあって且つ、「左脳」も僅かにしか機能しなくなっているのです。それよりも更に脳の機能が衰えてきている段階で発現してくる「失認の症状」や「失行の症状」は、「前頭葉」が殆ど機能していない状態にあって且つ、右脳も、運動の脳も、ほんの僅かにしか機能し得なくなっているのです。これらの症状が発現するその基本には、「前頭葉」を含む脳全体の機能を異常なレベルにまで衰えさせた直接の原因、「DSM4」がその「第一の要件」で確認を要求している「記憶障害」と言う原因ではなくて、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」の継続に起因した廃用性の加速度的で異常な機能低下が基礎に在る(原因)と私たちの「脳機能データ」が教えているのです。

ⅴ)「アルツハイマー型認知症」は、廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」であり、その発病の原因はと言うと、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもないナイナイ尽くしの単調な生活習慣の継続に起因した廃用性の加速度的で異常な機能低下が、「前頭葉」を含む脳全体としての機能レベルを異常なレベルに低下させたことであり、その機能レベルの直接のアウトプットとしての段階的な症状が発現してきているだけなのです。その意味で、「アルツハイマー型認知症」の特徴は、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルに厳密に対応する形で三段階に区分される認知症の症状が発現してくるのが特徴となるのです。とはいえ、その本態が、器質的な病変が原因ではなくて、廃用性の機能低下が原因であるが為に、「小ボケ」の段階であれば、「脳のリハビリ」(脳の使い方としての「生活習慣」の改善)により容易に正常なレベルに回復させることが出来る(治すことが出来る)のであり、「中ボケ」の段階で見つければ、「脳のリハビリ」により正常なレベルに回復させることが未だ可能なのです(この場合も、小ボケのレベルを経由したうえで、正常なレベルに回復してくるのです)。しかし乍ら、「大ボケ」の段階で見つけていたのでは(「前頭葉」を含む脳全体の機能が、大ボケの段階にまで衰えてきていたのでは)、治すことは出来ないのです(中ボケの段階に回復させることさえも出来なくなるのです)。アミロイドベータの沈着による老人斑の生成とか、タウ蛋白の蓄積による神経原線維変化とか、或いは脳の萎縮とか言った「器質的な病変」が「アルツハイマー型認知症」発病の原因ではないということなのです。

更なる指摘をし、問題提起しておくと、「DSM-4」が「第一の要件」に規定する「記憶障害」の症状は、正常域との境界域にある「小ボケ」の段階ではその欠片さえも確認されないことに注目すべきなのです。そもそもはと言えば、アミロイド・ベータもタウ・タンパクも、脳全体の司令塔としての「前頭葉」が構築し、統括し、支配し、コントロールしている世界、私たち人間の意識的な世界での様々な情報の伝達に不可欠の重要な役割を担うたんぱく質なのです。アミロイド・ベータやタウ・タンパクの沈着や蓄積が神経細胞を侵し、それが原因で、情報の連絡の不具合が起きて、「記憶障害」の症状を発現させてくるという主張(ストーリーの組み立て)は、主張している人達や組織にどれだけの権威が有ろうとも、実証派の私たちからしてみると、誤解に基づく推論、空想、又は「妄想」の類に過ぎないということになるのです。

   

 & 「アルツハイマー型認知症」の発病を予防する唯一の方法

14689例に上る「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルとそれに厳密にリンクした「アルツハイマー型認知症の症状」並びに脳の使い方としての具体的な生活習慣の類型化により構成される「脳機能データ」の中身とその解析結果から言っても、或いは、北海道から九州まで452の広域にわたる市町村で実践した住民参加型の「地域予防活動」の成果から言っても、『「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症は、廃用症候群に属する「生活習慣病」であり(但し、食生活ではなくて、「脳の使い方」としての生活習慣病であることに留意する)、私たちの区分で言う「小ボケ」及び「中ボケ」(本当の意味での早期の段階)で見つけて「脳のリハビリ」を実践することにより治すことが出来るし、気心が知れた仲間達と出来るだけ多く交わる機会を持つ日々の生活の中で、考え、従事し、或いは実践することにより、「前頭葉」を含む脳全体が活性化して、自分なりに、「楽しみや喜びや生き甲斐」が得られるもので、長期間にわたって継続することが出来て、「意欲」をもって、或いは、集中して打ち込められそうな、趣味や遊びや人付き合いや運動、或いは町興しを含むボランティア活動等の地域活動といった「テーマ」の中から、自分なりに興味や関心が持てるものを選択し、且つ、達成すべき自分なりの「目標」を立てて、日々それを実践するという「生活習慣」を打ち立てることが出来さえしていれば、発病自体を予防することが出来るタイプの認知症である』という私たちの主張内容は、それほど遠くない将来に、世界の基準(Global gold standards)となると考えているのです。

私達が主張する「発病の第二の要件」に鑑みて言うと、発病の対象となる60歳を超えた年齢の「高齢者」が、仕事とは無縁の「第二の人生」を送る生活の中で、「アルツハイマー型認知症」の発病を予防するには、「前頭葉」の出番を出来るだけ確保し、「脳が生き生きと働き、自分なりに楽しめる生き方」によって、日々を過ごすことが必要不可欠の条件となるのです。その為には、「家に籠っている」だけの消極的に生きる生活から抜け出て、お年寄り達が集まっている場所に積極的に出かけて行き「お茶仲間」に入れて貰い、様々な「笑いの仲間」に入れて貰うだけでも、「前頭葉」の出番が増えるのです。要は、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」(就中、注意の分配力の機能)を居眠りさせないことが絶対の条件となるのです。

自分が置かれている状況を判断し、状況判断に沿った「テーマ」を発想し、テーマの実行内容を組み立て、実行結果をシミュレーションした上で必要な修正を施し、最終的な実行内容並びに実行の程度及び態様を選択して、実行の指令を左脳、右脳及び運動の脳の各馬に発する役割、「三頭立ての馬車」の御者の役割を担っているのが、「前頭葉」と言う脳機能であり、『「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症は、「前頭葉」の機能が廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行により異常な機能レベルに衰えてくることから発病するもの(小ボケの段階)』だからなのです。

   

&「アルツハイマー型認知症」の「地域予防活動」の展開

(1)私達が北海道から九州に至る広範囲な地域、452を数える市町村での住民参加型の「地域予防活動」を展開してきた中で、最も特徴的で印象に残っていることと言えば、「第二の人生」を送っている「お年寄り」が「家に籠り勝ちの生活」をしているケースが極めて多いということなのです。廃用症候群に属する「生活習慣病」を本態とする「アルツハイマー型認知症」にとって、「第二の人生」を送っているお年寄りが、家に籠り勝ちの生活をするということは、そのことだけで、発病のリスクがとても高くなるということなのです。脳の活性化、「前頭葉」を含む脳全体の機能が正常な機能レベルを保つ生活習慣の実践という場合に最も重要な要素はというと、それは、「家の外に出て行って、他人と交わる機会を出来るだけ多く持つ」ということなのです。芸術家のような特別の/特殊のレベルの「右脳の優位性」が備わっている人達を除いて、右脳の機能レベルが一般のレベルである皆さんの場合は、家の内に籠っていたのでは、「前頭葉」を活性化させるテーマを見つけること自体が極めて困難になるからなのです。「他人と交わる」ということは、何らかの「テーマ」について言葉を交わす機会が必然的に多くなることを意味します。その際には、相手の話の内容を聞き取り概要を理解するにも、相手に対して言葉や表情や態度で反応を返すにも、「前頭葉」の個別認知機能の発揮度を左右し下支えする役割を担っている「前頭葉」の三本柱の機能、即ち、「意欲」、「注意の集中力」の機能だけでなく、最も必要で重要な機能である「注意の分配力」の機能の出番が必然的に増えることになるからなのです。「注意の分配力」の機能の出番が増えるということは、「前頭葉」の機能の活性化に直結しているということなのです。

 (2)  地方の創生が期待されながらも、有効で且つ即効的な政策や対策が具体的な施策として立ち上がってきていない現状に鑑み、地方の市町村における「アルツハイマー型認知症」の発病の予防を目的とした住民参加型の「地域予防活動」の展開を小地域を単位とした全域にわたり展開することが、直接的には、時流に沿った「女性専門職の活用」という時代が要請している「テーマ」に最適、且つ「新規の専門職としての職種」の開発と「女性」の雇用機会の創出及び高齢化と過疎に悩む地方の「地域」の活性化並びに高齢者の消費行動の多様化及び消費活動の活発化による相当程度の経済価値を生み出すことことになるだけでなくて、或いはそれ以上の効果として、既に年間15兆円を超える規模に達してしまっている「アルツハイマー型認知症」の発病と要介護状態の老人の増加に伴い増大し続ける介護関連の費用(診察費用、投薬費用及び介護費用の合計総額)の削減にも多大な効果をもたらすことになることが期待できるのです。

(ⅰ) 市町村が「二段階方式」を導入して、1年間に2度、定期的に「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルを判定すること及び脳を活性化する「生活習慣」の改善指導を行うことを制度化するのです(「前頭葉」を含む脳全体の機能レベル」の判定、「アルツハイマー型認知症」の発病の有無及び三段階に区分される認知症の症状の判定並びに脳を活性化させるための「生活改善」の指導は、医行為を含まないので、医師ではない保健師さんが専門職として実施できるのです)。

(ⅱ) 市町村の保健師さんが、月に2回の「脳イキイキ教室」を開設し、脳を活性化(「前頭葉」を含む脳全体の機能の活性化)する生活体験を基礎として、「アルツハイマー型認知症」の発病自体を「予防」する「生活習慣」を組み立て実践する為の教育的指導及び支援を行いつつ、地域全体の人的資産としてのボランティアを結集し、活用することにより、地域興し、催事の復活と近隣地域との交流を促進する、住民参加型の「地域予防活動」を展開するのです(対象者は、脳機能が正常レベルの者と「小ボケ」レベルの者を対象とする:「中ボケ」レベル及び「大ボケ」レベルのお年寄りは対象外とすることが重要)。

(ⅲ) 上述の住民参加型の「地域予防活動」は、出来るだけ小さな地域単位で、且つ頻度を出来るだけ密に実施すればする程、参加者の「前頭葉」を含む脳全体の機能の改善効果が期待できることになるのです。

(ⅳ) 医行為を伴わない「二段階方式」の手技は、医師でなくて、保健師さんが実施することが出来る利点が特徴であり、女性を活用する「新規の職種」が世の中に(日本中の全ての市町村の小規模の地域にまで広く)生み出され及び高齢化率が高い「地方の地域」の活性化にも大きく寄与することが期待できるのです。

(ⅴ)「アルツハイマー型認知症」を発病して症状が進行し、要介護状態に陥った時に備えて消費行動を抑制し、単に貯蓄に励むだけの「第二の人生」を送っているお年寄り達に対して、「アルツハイマー型認知症」の発病を自身が予防することを明確な目的意識に持ち、「第二の人生」を生き生きと楽しみながら生きる為に趣味や遊びや交遊を活発に行う為の実践と体験の場として、「脳イキイキ教室」が重要な教育機能を持つことになるのです。

注1)認知症の大多数、90%以上を占めているのが「アルツハイマー型認知症」なのです。その発病者達はというと、60歳を超える年齢の「高齢者」だけなのです。消費に貢献することもなく、留まることを知らない「介護関連費用」の増大の主因となっている「高齢者」達の日々の「生活習慣」について、脳の健康という側面、脳の使い方としての「生活習慣」についての具体的な関心と問題意識を醸成させる重要な体験の場とするのです。

注2)脳の使い方としての「生活習慣」という視点がなく、なんとなく第二の人生を送っている高齢者が、「脳イキイキ教室」での体験を通して、住民参加型の「地域予防活動」に積極的に参加して、自分自身の日々の「生活習慣」の改善に向けた意識が向上することにより、「アルツハイマー型認知症」の発病のリスク自体が大幅に軽減されることになり、現状で年間15兆円を超える規模の「介護関連費用」(診断、投薬及び介護の費用の総額)が劇的に減少していく好結果を生み出し、更には、趣味や遊びや交遊と言ったテーマについて、生き生きとした活発な日常生活行動が「生活習慣化」されることにより、消費活動にも貢献することが出来るようになるのです。従来の、要介護状態に陥る日に備えて消費活動を抑制し貯蓄に励み「お迎えが来る」日を単に待つだけの消極的な「第二の人生」が様変わりして、自分なりのテーマを選択して、自分なりの夢や目標を設定して、自分らしさを追求する「生活習慣」の構築と実践により、自分なりの「生き甲斐や喜びや感動」が得られる積極的な「第二の人生」を送る時代がやってくることになるのです。

(3)上述の住民参加型の「地域予防活動」を市町村と言う公の主体による事業として展開し、地方及びお年寄り達の消費行動を活性化させる為に必要となる支援資金は、「アルツハイマー型認知症」の発病自体の「予防」の効果と私たちの区分で言う小ボケ及び中ボケの段階での早期診断による「回復」の成果とにより、現在何等の対策が実施されていない状況下で(蛇口が開きっぱなしで、水があふれだして、介護保険制度が財政面から破綻の危機に在る状況の中で)「介護」の対象でしかない「大ボケ」レベルの発病者数の大幅な削減効果により、十分に賄うことが期待できるのです。

注1)現行の「介護保険」制度の下では、「アルツハイマー型認知症」を発病していても、「小ボケ」や「中ボケ」の段階のお年寄りが「アルツハイマー型認知症」の発病者として「介護保険」の適用の対象とされるケースは極めて少なく、介護保険制度適用の対象者の大半は末期段階の症状が出てきている「大ボケ」レベルの人達だけなのです。問題なのは、「大ボケ」レベルの人は、正常なレベルは愚か「中ボケ」レベルへの回復さえも期待できないので、その対策方法は、「介護」の途しか残されていないのです。介護関連費用の際限ない増大支出に不安を抱いて、「家族介護」の方向に舵が切られつつありますが、「大ボケ」の段階にあるお年寄りを「家族が介護する」制度下では、介護する側の家族自身も共倒れし、介護側の家族の人達の人生自体が失われていくことにもなります(「老老介護」、「認認介護」及び「介護離職」の社会現象化)。「アルツハイマー型認知症」の発病の「予防」と早期診断による「回復」を目的とする住民参加型の「地域予防活動」の全国展開及び発病自体を「予防」する上で極めて予防効果が高いその基地としての「交流の駅」の建設と運営(次章で説明する)を制度化することで「家族介護」の必要性は激減することになるのです(「大ボケ」の段階のお年寄りこそ、家族介護ではなくて、「介護保険」で全面的に対応できる体制を構築すべきだと考えるのです)。

 注2)「アルツハイマー型認知症」は、基本に「脳の正常老化」という条件(私たちが「前頭葉」の三本柱の機能と名付ける意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能が「生来的な性質」として抱えているもの)が存在するので(「生活習慣」の内容の如何に関わらず生じてくるものであり、「前頭葉」の三本柱の機能の「加齢」に伴う老化現象であって、私たちはそれを「正常老化」の性質と名付けています:私たちが規定する「発病の第一の要件」)、現状のように何等の対策を講じないままでいると、高齢になるに従って「アルツハイマー型認知症」を発症する危険が更に高くなっていくのです。何かを「キッカケ」にして(周りから見れば、ほんの些細な事でも、本人にとって意欲を喪失させるような出来事であれば)、廃用性の機能低下をもたらす原因となる単調な「生活習慣」、言い換えると、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもない、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」が始まり、継続されることになるのです(私たちが規定する「アルツハイマー型認知症」発病の第二の要件」)。

その上、「小ボケ」は「不活発病」とかの名前を冠されるだけで及び「中ボケ」は「年のせい」(老化現象)として放置されているのが、現状なのです。従って、「小ボケ」及び「中ボケ」レベルのお年寄りの「前頭葉」を含む脳全体の機能を正常レベルに回復させる為並びに正常レベルにある者を正常レベルのままで保たせる為に、市町村の保健師さんが主導し及び当該地域に居住する住民がボランティア活動として運営の企画に全面的に参加すること並びに住民参加型の「地域予防活動」の制度化が必要不可欠であり、その実施品質が高く、展開の規模が大きいほど、「介護関連費用」の加速度的で且つ大規模な削減効果が期待できることにもなるのです。

   

 & 「アルツハイマー型認知症」の「地域予防活動」を展開する活動の目的と要となる保健師さんとボランティア組織の役割

1.「二段階方式」の手技は、神経心理機能テストによる「前頭葉」を含む脳の機能テストの実施とテスト結果の判定に基づいて、「アルツハイマー型認知症」の回復可能な早期の段階を判定し、脳の活性化を目的とする生活習慣の改善指導(「脳リハビリ」の指導)を行うことで正常なレベルへの回復を可能にさせるシステムであり並びに脳の活性化を目的とする生活習慣の改善(脳の使い方としての「生活習慣」の改善)を体験させることを目的とした小地域単位での「予防教室」の開催により、参加者の日常生活に「脳の活性化」というテーマを持ち込ませ実践させることにより、「アルツハイマー型認知症」の発病の予防を図る(脳の活性化を生活習慣化させることによって、「前頭葉」の機能レベルが正常な人を、正常なレベルのままに維持させる)理論的に体系化された、且つ440を超える市町村で実証された成果に裏打ちされた、実務的な「システム」なのです。

2.従って、活動の目的は、市町村の窓口における「個別事例の判定及び改善指導」と地域住民参加による小地域単位での「予防教室(脳イキイキ教室)の運営」の二面性を持つ活動となります。

(1)個別事例の判定及び改善指導というテーマについては、個人と密接な継続的関係の維持が不可欠であるため、導入市町村の保健師さん達(女性)の役割が極めて重要なのです。更には、個別事例の的確な判定により、「小ボケ」や「中ボケ」の段階にあるお年寄りを見つけ、且つ、「脳リハビリ」の適切な指導により(脳の使い方としての「生活習慣」の改善の指導)実際に治して見せる(「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルを正常なレベルに改善させてみせる)ことが、「地域予防活動」の活発化に大きく寄与することを忘れてはならないのです。「前頭葉」の機能テストを含む「脳の機能テスト」(脳の機能レベルを「二段階方式」のテストで調べてもらうこと)に対するお年寄り側の抵抗感を払拭させる上で、大きく寄与するだけでなく、逆に、積極的に「脳の機能テスト」を受ける雰囲気が住民の間に醸成されてくることになるからです。

(2)地域住民の自主的な参加による小地域単位での「予防教室(脳イキイキ教室)」の運営というテーマについては、「脳の機能テスト」を実施する保健師さんの役割と脳を活性化するテーマの実施にかかわる予防教室の自主活動と運営(脳の活性化に資するテーマの選択、実施企画及び組織化と運営)を担当する地域の各種ボランティア組織の参画とその役割分担がきわめて重要なものとなるのです。

3.なお、「二段階方式」の手技については、その実施が「医行為」を含まない為に、保健師さんが全ての面について実施でき、活動を広範囲に展開できることが大きなメリットとなるのです。

 

 & 「交流の駅」の建設と運営

(1)  そうでなくても家に籠りがちな傾向がみられるお年寄りを家の外に出て行かせると言っても、掛け声だけでは何の役にも立たないのです。「とりあえず、出ていく場所がある」ことが重要なのです。そこへ行きさえすれば、誰かに出会えて、何かをする機会を見つけることが出来る場所を定常的に、定置するということなのです。

(2) 例えば、森林維持の為の伐採作業で出てくる「間伐材」や森林保護の為の伐採作業で出てくる「竹材」等を活用して、更には国や市町村が保有する「空き地」等を活用して、簡易な台所と便所を併設した「平屋建ての建物」を小地域ごとに建設して、周辺の地域に居住する高齢者達が集って談笑する場(「交流の駅」)とすることが、「アルツハイマー型認知症」の発病の「予防」と言う視点から極めて有効な施策となるのです。

(3)  お年寄りが家に籠って、人と交わることもなく、且つ為すこともなく日々を過ごすのは、ナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続という危険な生活習慣に直結していて、「アルツハイマー型認知症」を発病するリスクが高くなる大きな要因の一つだからなのです。

(4)  出来るだけ小さな単位での、「地域コミュニティーの活性化」という政策の実施が、「アルツハイマー型認知症」の発病自体の予防に必要不可欠で、喫緊の課題であり、且つ最善の「テーマ」となることを政治家及び官僚の皆さん方に指摘しておきたいのです。お互いが助け合いながら生きていくという日本人の古き良き伝統でもある「価値観」を醸成し共有することにより、更には、「交流の駅舎」を設置することで常日頃から「交流の機会」を増やし、人的な深い絆を構築しておくことが、超高齢化社会を、財政的に、人的に、社会的に支える必要不可欠のシステムとなるのです。

(5)「アルツハイマー型認知症」の早期診断による回復と発病自体の予防を明確な活動目的とした住民参加型の「地域予防活動」の実践の基地(市町村の保健師さんによる早期診断と生活習慣の改善指導の現場)として、老若男女全部を含む地域住民間の交流基地(お茶飲み、得意料理やお漬物などの食材の持ち寄りと実食並びに談笑及び懇談)として、地域活性化全般の企画基地(空き家及び空き室対策と脳の活性化の為の「民泊」の活用と拡大)として、祭りを中核とした催事、地域習俗及び慣習の復活企画基地として、或いは、おもてなしの進化及び多様化の為の企画基地として、国内及び海外観光客集客の為の地域興しの企画基地として、地域の住居、建物、風景及び美化並びに風紀改善の企画基地として、域内及び域外との催催事交流及び人的交流の企画基地として又は若い世代の移住を促進する為の企画及び実践基地として、出来るだけ狭い単位ごとに「交流の駅舎」を建設し、運営するのです。

(6) 活動費用の源資

住民参加型の「地域予防活動」の展開並びに「交流の駅舎」の建設及び運営の為の費用の「源資」は、介護給付費の前年度支払い実績総額の1%相当額を介護保険から支出することとするのです。住民参加型の「地域予防活動」の展開による「アルツハイマー型認知症」の発病の予防と早期診断による回復の効果並びに「交流の駅舎」での交流の活発化による「アルツハイマー型認知症」の発病の予防の効果により費用の捻出額をはるかに上回る「介護関連費用」の削減効果が期待できることになるのです。

   

&「高齢者」の生活の活性化による「一億総活躍社会」の達成

○ 「アルツハイマー型認知症」に対する認識を根底から変える

 これまで様々な「仮説」が提示され、発病の原因が不明で、発病を予防することも治すこともできないとされてきた「アルツハイマー型認知症」の正体は、廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」であることが解明されたのです。脳を活性化する「生活習慣」の構築とその実践により、「アルツハイマー型認知症」を発病する危険は日々遠のいていくのです。趣味や遊びや交遊や運動、或いは地域興しへの参加などのテーマの企画と実践を自分なりに楽しむ生活、そうした日々の過ごし方が、目的の設定や目的の達成に伴う生き甲斐や喜びのある生活につながり、高齢者の「前頭葉」を含む脳全体の機能のレベルを正常な機能レベルの儘に保つ上での重要で効果的な施策となり、且つ、「アルツハイマー型認知症」の発病の危険を小さなものとし、発病して「要介護状態」に陥る日を、それだけ遠のいていかせることに直結していくのです。地域単位ごとでの講演による啓蒙活動により、このことを我が国の隅々にまで浸透させ、「地域予防活動」ができるだけ小さな単位の地域で実践される体制とシステム化とが全ての市町村で整った暁には、同時に、「高齢者」による活発な消費活動が我が国の隅々で、高齢化率の高い地方の田舎においても、発生しているはずなのです。

 ○ 高齢者の消費行動の活発化による地方の活性化

(1)   その場合、お年寄り達が交流する場所としての平屋建ての施設 (「交流の駅舎」)を自治体が保有する土地を活用して、自治体保有の施設として、小さな単位集落ごとに一戸建設するのです。お年寄りが歩いて片道30分で行ける範囲毎に一戸、「交流の駅舎」を建設するのです。家に籠りがちなお年寄りを家の外に出かけさせていき、人と交わる機会が得られるようにすることが、ナイナイ尽くしの「単調な生活」の開始を予防し、或いは、「単調な生活」からの脱出の機会を与えることとなり、そのことだけでも、「アルツハイマー型認知症」の発病を防止する極めて有効な施策となるのです。

(2)   そこに、対象集落で生活している老年、壮年、青年、子供達(老人が主体となるのですが)が集い合い、語らい合い、助け合い、交流し合う場にするのです。駅舎の建設用木材は、国有林の「間伐材」及び山林保護のために伐採して得られる竹材を使用するのです。更なる施策として、国有林の間伐材の伐採作業のみを対象として、且つ安全な作業部分のみを対象として、地域の予防教室に継続して参加しているお年寄りが構成員となっているNPOのみを有資格として、その伐採作業を請け負わせるような政策を制度化するのです。 但し、当該伐採作業によりNPOが稼ぎだした作業代は、交流駅舎での交遊の費用に支出することをNPOの活動目的に入れさせることも制度化するのです。交流駅舎の自主的運営は、予防教室に参加している高齢者に任せるものとし、交流駅舎での交流には、誰であれ参加できることとするのです(地域内外の高齢者達は勿論のこと、壮年の人達も、年少の人達も、交流に参加できる場にするのです)。

 高度経済成長に突入する以前の我が国の地方にかつて存在した交流の場、「地域の老若男女が全て一緒になって交流した場」を再現させるのです。老、壮、青、子供たち、すべての年代の人達の頻繁な交流が、生きていく上での不可欠な「意欲」を高め、活発な消費活動にもつながり、ひいては、地方の再生にもつながると考えるのです。

(3)   それと時を同じくして、「地域予防活動」を展開する上でその基盤、中核となる「高齢者」の脳の機能レベルを定期的に判定する業務が女性を中核として実行される社会が実現することにもなるのです。 どんな小さな役場であっても、専門的なレベルでの「二段階方式」の手技を使いこなせる保健師さん(基本的には、女性)が居て、その保健師さんが、まるで小さな町の診療所のかかりつけ医のように、役場の窓口に行けば、「二段階方式」の手技を活用して、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルを定期的に判定してくれ(1年間に2回)、改善、維持又は低下の判定結果に対応した、「脳の使い方としての生活習慣」のチェックと必要に応じて「生活改善の助言と指導」をしてくれる社会を実現させる、それを、「一億総活躍社会」を実現する上での重要な政策及び施策の中核の一つに据えるのです。

注)本著作物「Bー86」に記載され表現された内容に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

 エイジングライフ研究所のHP左の部分をクリックしてください)

 脳機能から見た認知症(具体例をベースとしたもう一つのブログです)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アルツハイマー型認知症の発病の予防と地域予防活動(B-85)

2017-07-01 | アルツハイマー型認知症の予防を国民的テー

 

(プロローグ)

皆さんに我が国での現状についての正しい認識を是非ともしていただきたいことがあります。何かというと、様々な種類が数有る認知症の内の大多数、90%以上の割合を占めていて、認知症の専門家達から『発病の原因が分からないし、症状を治す方法が分からないし、発病を予防する方法が分からない』と言われている「アルツハイマー型認知症」の発病者総数及び年代別の発病率のことなのです。

先ずは、「発病者総数」についてのことなのですが、厚労省が発表している500万人という数字は、「脳のリハビリ」(「前頭葉」を含む脳全体を活性化させる「生活習慣」の改善と工夫)により回復させることが困難な末期の段階、私たちの区分で言う「大ボケ」の段階のお年寄り達だけの数であって、それよりも症状が軽い段階、「脳のリハビリ」により回復させることが可能な本当の意味での早期の段階(私たちの区分で言う「小ボケ」及び「中ボケ」の段階)のお年寄りの数は、その数に含まれてはいないということなのです。後述するように、認知症の専門家達は、「小ボケ」及び「中ボケ」の段階を見落としているからなのです。私たちのデータによると、「小ボケ」と「中ボケ」とを加えると発病者総数は、「大ボケ」の数の2倍にもなるのです。

認知症の専門家とされる人達(学者、研究者、医師)は、「アルツハイマー型認知症」の診断について、米国精神医学会が策定した診断基準である「DSM-Ⅳ」の規定内容を疑うこともなく信望していて、その「第一の要件」で確認が要求されている「記憶の障害」に起因した症状並びに「第二の要件」で確認が要求されている失語、失認又は失行(紛い)の症状のいずれかの症状が確認されないと、「アルツハイマー型認知症」の発病とは考えないのです。失語、失認又は失行(紛い)の症状は、いずれも、脳の後半領域の機能レベルを判定する神経心理機能テストのMMSEの得点(30点が満点なのです)が 一桁になるまでに「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルが衰えてきているお年寄りにしか発病が確認されない極めて重度の症状であり、私たち「二段階方式」の区分で言う「大ボケ」の段階の症状の中でも後期にならないと発現が確認できない症状なのです。その為、認知症の専門家達の間では、本当の意味での早期の段階、私たちの区分で言う「小ボケ」及び「中ボケ」の段階の症状が発現しているお年寄り達は、見落とされているのです

 

&1  『アルツハイマー型認知症』の発病者数の予測数値と実態の加速

アルツハイマー型認知症」を発病するお年寄り達の割合について言うと、言い換えると、「小ボケ」、「中ボケ」及び「大ボケ」の全ての段階のお年寄り達の数を併せた発病率はというと、「第二の人生」が始まったばかりの60歳代では12%、70歳代では30%、80歳代になると二人に一人は発病する50%となり、90歳代では75%、加齢の極まりの100歳代では97%、殆どのお年寄りが発病するということになるのです。然も、発病者数は、この先増加の一途を辿るとも予測されているのです。厚労省の予測数値によると、「大ボケ」の段階のお年寄りの数だけで、我が国では、2025年には630万人にも達することになるのです。私たちが幼児であった頃、人生60と言われていた時代には、「アルツハイマー型認知症」を発病するお年寄りは極めて少数だったのです。寿命(体の寿命)が劇的に伸びたにもかかわらず、言い換えると、『身体が持つにもかかわらず、肝心の脳が持たない』ことが「アルツハイマー型認知症」を発病するお年寄りの数を激増させているということなのです。この先も続く我が日本の「超高齢化社会」を健全な形で維持する上での国や市町村での短期及び長期の政策を策定し実施するについても、「第二の人生」をこの先長期間に亘って生きていく皆さんにとっても、更には、介護を担う家族にとっても、『「アルツハイマー型認知症」の発病の予防と早期診断による回復並びに症状の進行の抑制』というテーマは極めて重要な問題であり、現状何等の対策が実施されないままに「医療費介護費用を併せた介護関連の総費用」に投入している税金の総額(「アルツハイマー型認知症」の発病の有無の診断、投薬及び介護の費用に投入している税金の総額)が増加し続けている状況を放置する訳にはいかない、喫緊の極めて重要な『国民的政策課題』なのです。

現在国会で議論されることと言えば、「介護施設」の数を増やしたり、介護施設で働く人達の給与を上げるというレベルのことばかりなのです。毎年度天文学的な規模で増え続けている「介護関連の費用」の削減対策として、もっと根源的な対策となる、「アルツハイマー型認知症」の発病の「予防」と早期診断による「回復」とについて、国としての抜本的な政策の在り方を議論していただきたいのです。隣国韓国の大統領降ろしの真似事ではあるまいに、肝心の政策論議はどこかに置き忘れたかのように、これが法治国家の国会審議なのかと疑うばかりの劇場型の国会審議、森友学園の問題や加計学園の問題ばかりの、然も、違法とされる法律も具体的な適用条文の明示も為されないで、声ばかりを張り上げる野党議員の姿、そうした報道に過熱気味のマスコミも、核の開発を推進し、長距離弾道ミサイルを我が国の排他的経済水域内に打ち込んできている北朝鮮の問題も含めて、もっと重要で深刻な政策テーマがあるはずなのに、本来の役割の在り方を忘れ果てているのではないでしょうか。

 

 専門家とは言うものの、実際には、「アルツハイマー型認知症」に対する認知症の専門家とされる人達の考え方はというと、『「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症は、発病の原因が分からないし、症状を治す方法が分からないし、発病自体を予防する方法も分からない』とされているのです。裏を返せば、そうした考え方のもとに、発病の予防についても、症状を治すことについても、何等の対策が実施されないままに、放置されてきているのです。その行きつくところが、「アルツハイマー型認知症」に対する診断、投薬及び介護にかかる総費用の額が、2015年度ベースで15兆円を超えてしまった上に、この先その額は更に急激に膨張していくと予測されてもいるのです。後述するように、「脳のリハビリ」による治療の効果が期待できなくなる末期の段階、私たちの区分で言う「大ボケ」の段階を見つける為に、高額の費用が掛かるだけの意味しかないCTやMRIやSPECTや、果てはPETまで持ち出して(「脳のリハビリ」による回復が可能な「小ボケ」及び「中ボケ」の段階は見落としているのですが)、その上、効きもしない薬を処方しているだけの診断がまかり通っているのです(それらの薬の効能として、「症状の進行が、1年程度遅れることがある」とは、何を根拠にしているのか開発担当者に聞いてみたいのです。因果関係を立証できるはずがないのです)。

その結果、身体が持つことが特徴であるので、「アルツハイマー型認知症」を発病したお年寄りは、末期の段階にまで症状が進行していく結果、セルフケアにも支障が出てくるようになり、日常生活面での「介護」が不可欠となっていき、その状態が何年間も続くのです。そうした費用、「介護関連の費用」(診断、投薬及び介護)の総額が、2015年度で既に15兆円を超える規模にまで膨れ上がってきていて、この先その額はさらに増大してゆくと予測されているのです。

 

&2 学会、医療業界、製薬業界の問題点

末期の段階になってやっと発病を見つけて居る「アルツハイマー型認知症」の診断(「発病のレッテル」を貼っているだけ)と症状の進行の抑制には効きもしない薬(治療の効能は無くて、アリセプトに代表される単なる対症療法薬)の処方に明け暮れる医療現場、セルフケアもままならなくなったお年寄りの『介護事業』の拡大に奔走する介護業界、あたかも治療薬の開発が可能であるかのような謳い文句ばかり並べていながら、効きもしない薬を開発し製造し続ける製薬業界、それらの業界にとっては、2015年度ベースで年間15兆円もの収入規模であり、今後とも規模が増大し続けると予測されている分野、言い換えると魔法の、打ち出の小槌、そうした状況の維持に極めて有効であり、且つ担保してくれる合言葉が、『アルツハイマー型認知症は、発病の原因が分からないし、症状を治す方法が分からないし、発病を予防する方法が分からない』という主張なのです。『発病の予防』を訴える医師はいないし、『脳のリハビリ』(「前頭葉」が活性化する生活習慣への改善と継続的な実践)により回復させること/症状の進行を抑制することが可能な本当の意味での早期の段階、私たちの区分で言う「小ボケ」及び「中ボケ」の段階で「アルツハイマー型認知症」を見つけようと試みる医師はいないし、回復させることが可能な早期の段階を見つけるには何の役にも立たなくて、費用が高額なだけの機器であるCTやMRIやSPECTやPETの使用を中止して、私たちの「二段階方式」のように精緻な機能を有しつつも(保険点数が極めて低い為費用が安く、診療費を稼げない)神経心理機能テストの活用には無関心な医療業界効きもしない薬(症状の進行を1年程度遅らせるという触れ込みとは裏腹に、副作用ばかりで症状の進行を遅らせる効能は無いのです:「脳の使い方としての暮らし方が、症状の回復や進行に影響する生活習慣要因」により、症状の進行が遅れる効果があることを知らないか、無視しているだけのことなのです:詳細については、このブログの「A-34」をお読みください)を開発し続ける製薬業界、そうした現状を奇禍として事業の拡大に乗り出す介護業界、彼らは、発病の予防にも、早期診断による回復にも、大きな抵抗勢力となるのです(獣医学部の新設に関わる例の加計学園の問題の裏側には、岩盤規制を崩そうとする内閣府と抵抗勢力との間の鬩ぎあいという構図が存在している由)。

何故なら、「アルツハイマー型認知症」こそが、発病を予防することが出来て、早期診断により認知症の症状を治すことが出来る/症状の進行を抑制することが出来るタイプの認知症の典型であるからなのです

 但し、「アルツハイマー型認知症」と言うタイプの認知症の発病及び症状が進行するメカニズムは、廃用性の機能低下であるが故に、脳の使い方としての生活習慣の見直しと工夫だけが発病の予防及び治療に有効な唯一の方法となるのであり、「薬」の出番は皆無なのです。簡単な計算なので、考えてみてください。「アルツハイマー型認知症」の発病を予防すること、然もその予防方法は投薬ではなくて、『前頭葉』(「前頭前野」に局在する前頭葉の三本柱の機能、評価の物差しの機能及び実行機能から構成されているれている「複合機能体」を言うものとする。以下、同じ)を含む脳全体が活性化する「生活習慣」の工夫と日々の生活への取り込みと継続的実践により、100%予防することが出来るようになれば、現在税金から支出している15兆円という天文学的な規模の「介護関連費用」の総額はゼロ円となるのです。100%の予防が出来なかったとしても、精緻でありながら費用が極めて安価な「二段階方式」を活用して(CTやMRIやSPECTやPET等の機器は一切使用を止めて)、早期の段階である「小ボケ」や「中ボケ」の段階見つけて、「脳のリハビリ」により回復させることが50%出来るようになれば、 診断費用は激減し、薬代はゼロとなり、介護の為費用も50%になるのです。100%の発病の予防も、早期診断による100%の回復も現実には起こり得ない事なのですが、現在15兆円を超えるという天文学的な規模にまで膨張してきている「介護関連の総費用」を劇的なスピードと劇的に大幅な規模の額とで劇的に減少させることが可能になるのです。但し、抵抗勢力に対する強い世論の後押しがないと、政府は実行に着手できないと思うのです。選挙権の行使をもっと有効にすべく、国会議員の選挙では、言葉の遊びでなくて、具体的な方策を提示する候補者選びの視点を持って頂きたいのです。

ところが、認知症診断の専門医師達は、「アルツハイマー型認知症」の末期の段階の症状ばかりを診断の対象として、且つ、その症状を重度の記憶障害の症状という外観的な観察により判断していて(何故か、CTやMRIやSPECTやPET等を使用したがる。原因の究明には何の役にも立たない機器なのに)並びに、学者はと言うとアミロイドベータ仮説を通説とした4つの仮説が提示されているだけなのです。世界的に通説の地位にあるアミロイドベータ仮説の内容は、マウスにアミロイドβを注入して、注入量に対するマウスの記憶行動の変化を研究するというまるで漫画の世界なのです。その結果、『「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症は、発病の原因が分からないし、症状を治す方法が分からないし、発病自体を予防する方法も分からない』と主張しているのです(このこと自体が重大な誤解)。医学会で『仮説』とされている意味はというと、『主張する発病原因=仮説の主張内容と「アルツハイマー型認知症」の発病との間に因果関係が存在していることが実証できていない』(憶測の類)ということなのです。

私たち人間の意識を構築し、統括し、支配し、コントロールしている「前頭葉」の機能との関係に着目し、もっと軽い段階の症状を判定する方法を開発し、鑑別し、類型化しさえすれば、『「アルツハイマー型認知症」は、廃用症候群に属する老化・廃用型単なる生活習慣病(但し、食生活でなくて、脳の使い方としての生活習慣であることに留意する)であり、発病自体を予防することも出来るし、「小ボケ」及び「中ボケ」の段階であれば、症状を治すことも出来るし、症状の進行を抑制することも出来るタイプの認知症である』ことが比較的容易に分かるものなのです。加えて言うと、廃用症候群に属する老化廃用型の単なる生活習慣病であることを本態とする『アルツハイマー型認知症』の場合は、症状の進行を抑制するにも、症状を治すにも、更に、発病自体を予防するにも、何等かの効能を有する「」が開発されることは未来永劫有り得ない事であって、「前頭葉」を含む脳全体を活性化させるようなテーマの実践を「生活習慣化」することが『唯一無二』の治療法となり、予防法となるのです。このことは、私たちが独自に開発した精緻な神経心理機能テストである「二段階方式」の手技を活用して、生きた人間の「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルとそれに厳密にリンクした症状を類型化した14689例に上る症例の集積と北海道から九州に至る広範囲の452の市町村での住民参加型の「地域予防活動」の展開により、疫学的方法により実証してきているところなのです。「アルツハイマー型認知症」と言うタイプの認知症は、様々な種類が数有る認知症の中で唯一廃用性の機能低下、言い換えると、生き甲斐いなく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもない『ナイナイ尽くしの単調な生活習慣』の継続に起因して発病する病気なのです。然も発病の対象となるのは、60歳を超えた年齢の高齢者で、「第二の人生」を送っているお年寄りだけということなのです。その基礎基盤には、「前頭葉」の三本柱の機能と私たちが名付ける意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能について、私たちが発見した「正常老化の性質」が存在しているからなのです。このことを世界中の認知症の専門家達(学者、研究者、医師)の誰一人として、気づいていないことが重大問題なのです。

  

米国精神医学会が策定した「アルツハイマー型認知症」の診断規定である「DSM-Ⅳ」の「第二の要件」が確認を要求する失語や失認や失行【紛いの】症状が発現してきているお年寄り、私たちの区分で言う「大ボケ」の段階の後期(MMSEの総得点が一桁)になってからでないと発現が見られない症状ばかりに焦点を当てていたのでは、発病の原因も症状を治す方法も発病を予防する方法も分からない(見つけることが出来ない)のは、当然なのです。

認知症の専門家達から見落とされている症状、私たちの区分で言う「小ボケ」及び「中ボケ」の段階の中でも特に、正常域との境界に在る「小ボケ」の段階に焦点を当てることによって、「アルツハイマー型認知症」の発病の原因並びに症状を治す方法及び発病自体を予防する方法を解明することが出来たのです。その場合、「器質的な病変」ではなくて、「廃用性の異常な機能低下」がKey となるのです。更に言うと、「記憶の障害」に起因した症状ではなくて、「前頭葉の機能障害」に起因した症状であることがKey となるのです。

マウスを追いかけまわしているアミロイドベータ仮説の支持者(我が国では、東大、京大、理化学研究所が牙城)に注意を喚起しておきたいのです。
一つ目は、『アルツハイマー型認知症は、人間だけに特有な「意識」が関わるタイプの認知症であること』を、忘れていませんか。
二つ目は、『人間の記憶は、「注意の分配力」の機能の発揮度が関わる為に、記銘と想起が、マウスの世界で起きているのとは異次元であること』を、忘れていませんか。
三つ目は、『意識的な世界のkな目の機能である「前頭葉」は、単体の機能ではなくて、意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能で構成される前頭葉の三御柱の機能、評価の物差しの機能及び実行機能により構成された複合機能体であること』を、忘れていませんか。
 
&3  「軽度認知症」(小ボケ)に特有で、代表的な症状を8項目例示)

□ 発想が乏しくなって、画一的な行動が目立つようになる

□ 何事にも億劫で面倒がり、やろうとする意欲が見られない

□ 一日や一週間の計画が立てられず、なにも思いつかない様子

□ 問いかけに対する反応が遅く、生き生きした笑顔が見られない

□ 根気が続かず中途半端なことを繰り返し、やりかけが目立つ

□ 目の光がどんよりとしていて、普段の顔つきが無表情となる

□ 歩くとき前屈みの姿勢で、小股でトボトボと歩く

□ 自分に自信がなくなり、何かにつけて人を頼ろうとする

此処に挙げた症状は全て、「アルツハイマー型認知症」の最初の段階(私たちの区分で言う「小ボケ」の段階)に特有な症状であり、それらの症状が発現してくるメカニズム(機序)は何かというと、認知症の専門家達が言っているような器質的な病変としての「記憶障害」に起因したものなのではなくて、『前頭葉」

認知症の専門家達はというと、「DSM-Ⅳ」の規定内容の重大な誤りに気づいていない上に、それを鵜呑みにして、むしろ信望さえしているのです

ここで「DSM-Ⅳ」の規定内容の重大な誤りを指摘しておくと二つあるのです。その一つが、『「第一の要件」の内容であり、「記憶の障害」に起因した症状が「アルツハイマー型認知症」の発病の基礎を構成しているとして、その確認が要求されている』ことであり及び二つ目が、第二の要件」の内容であり、『失語や失認や失行【紛い】』の症状(「末期の段階」である「大ボケ」の後期にならないと発現が確認されることが無い極めて重度の症状)の発現の確認が要求されていることなのです。失語や失認や失行(紛い)の症状は、「脳のリハビリ」により回復させることが困難となる「末期の段階」(私たちの区分で言う「大ボケ」の段階)の更に後期になって初めて発現してくる極めて重度の症状であり、それらの症状が発現してきているお年寄りはと言えば、30点が満点のMMSEの得点が一桁にしかならない人達、意識的に何かの「テーマ」を発想し実行しようにも、肝心の「前頭葉」の三本柱の機能の内で最も高度な機能であり/廃用性の機能低下により最も早くに機能が衰えて行く性質を有する『注意の分配力』の機能が殆ど働かない(結果として、機能発揮上の二重構造の関係にある『実行機能』を行使してメタ認知することが出来ない結果、あいさつ程度の簡単な会話も交わせせないし歯ブラシを握っても、どうしていいかが分からないし、ズボンを頭から被ったりするのです。これらの症状は、失語、失認、失行とは根本的に異なるものであり、発現してくる「脳の機能関係」に無知な人たちからすると、それらの紛いものに見えるだけのことなのです)までに廃用性の異常な機能低下が進行してきている人達であることさえも知らない為に、せっかく発病を見つけても、治すことが出来ないという結果になるのです(「末期の段階」で、発病を見つけることに何の意味もないのです=発病のレッテル貼りをしているだけの診断)。  

 

&4 「アルツハイマー型認知症」の本態と発病のメカニズム

前頭葉を含む脳全体の働き具合」(機能レベル)と厳密にリンクした「アルツハイマー型認知症の症状」(三段階に区分される段階的症状)について、14689例もの極めて多数に上る「脳機能データ」の解析結果から、「アルツハイマー型認知症」は、加齢による脳の老化(60歳を超える年齢の「高齢者」であること=誰の脳にも宿る内因性のものとしての「正常老化の性質」に起因した「前頭葉」の三本柱の機能低下)を発病の「第一の要件」とし、複合機能体である『前頭葉』を含む脳全体の機能を使う機会が極端に減少する『単調な生活習慣』、自分なりに追求する特定のテーマがなく、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもないナイナイ尽くしの「単調な生活習慣」の継続起因した廃用性異常な機能低下の進行を発病の「第二の要件」として並びに両者が同時に充足される条件下でのその「相剰効果」に因り「前頭葉の廃用性の加速度的で異常な機能低下」が惹起され、「前頭葉」を含む脳全体の機能が、異常な機能レベルに機能低下が進行していくことが直接の原因で認知症の症状が発現し、重症化が進行していく病気だと私たちは考えているのです。私たちが独自に解明し、主張している「アルツハイマー型認知症」の発病及び症状進行のメカニズム(機序)は、世界中の認知症の専門家達が主張しているような「器質的な病変」に起因するものではなく、更には、「記憶障害」の症状に起因するものでもなくて、『第二の人生』の暮らし方における「脳の使い方」としての『生活習慣』の在り様が関わる病気なのです。

「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症は、「第二の人生」を送っている60歳を超えた年齢の「高齢者」だけを対象として発病する「廃用症候群に属する老化廃用型の生活習慣病であり、「第二の人生」を送る上で、日々展開される『脳の使い方』としての「暮らし方」(生活習慣)の在り様が問われる病気であると私たちは主張しているのです(疫学的方法により、主張内容が正しいことを実証済み

なお、ここで私たちが言う「生活習慣」とは、脳の健康という視点、「脳の使い方」という視点と意味での「生活習慣」を言うことに注意してください。従来型の、運動や食事という視点で言う、身体の健康を維持するための生活習慣とは全く異なるのです

本態が廃用症候群に属する老化廃用型の『生活習慣病』であり、そこで言う「生活習慣」が脳の使い方としての生活習慣である故に、『アルツハイマー型認知症』の発病を予防したり、或いは、症状の進行を抑制し/防止したり、又は、症状を治したりする効能を有する治療薬やサプリメントは存在し得ない(開発されることは、未来永劫、有り得ない)ことだと断言することが出来るのです。様々な程度及び態様の下で発現してくる『アルツハイマー型認知症』の諸症状は、ナイナイ尽くしの単調な生活習慣に起因した廃用性の加速度的で異常な機能低下が進行したことが直接/唯一の原因で発現してくるのであり、私たち人間の「意識的な世界」(目的的な世界)を構築し、統括し、支配し、コントロールしている「前頭葉」と言う脳機能、即ち、左脳、右脳及び運動の脳という三頭立ての馬車の「御者」の役割(脳全体の司令塔の役割)を担っている『前頭葉』が、状況に応じて的確に働くことが出来なくなったことにより(「小ボケ」の段階)/或いは殆ど機能しなくなったことにより(「大ボケ」の段階)、自分が置かれている状況の判断も、実行すべきテーマの発想も、実行内容の企画や計画も、実行結果のシミュレーションとその結果としての修正も、実行の決断と脳の各部に対する実行の指令も不的確(「小ボケ」の段階)/支離滅裂(「大ボケ」の段階)になってしまう結果が、「認知症の症状」として発現してくるだけのことなのです。

上述の「小ボケ」の段階で確認される症状の類型が正にそれであり、「大ボケ」の段階で確認される症状の類型が、以下のようなものなのです。これらの症状は、有力な学説として最近注目されている『「前頭葉前野」という部位の損傷を含む器質的な病変が症状発現の原因』と主張する「仮説」との間には、肝心の「因果関係」自体が存在していないことを指摘しておきたいのです。

「器質的な病変」とそれに基づく末期の段階の症状(私たちの区分で言う「大ボケ」の段階の症状)ばかりに焦点を当てているので、そのような誤解が生じてくるのです。『アルツハイマー型認知症』発病の最初の段階であり、私たちの区分で言う「軽度認知症」(小ボケ)の段階の症状(類型の一部について上掲)が発現しているお年寄り100人を無作為に選んで、「前頭前野」について、CTやMRIで確認すれば、損傷を含む器質的な病変が確認されないことを容易に知ることが出来るのです。

更に、様々な状況下での強度の/極度の不安や恐怖や衝動に基づく様々な感情の発露、或いは行為の選択が、「情動」に規制されているとする最近の学説も、基本的な誤りを犯しているのです。そもそも「情動」は、大脳辺縁系に属する「扁桃体」が専管する脳機能であり、扁桃体が「前頭葉」を規制し、支配し、コントロールしているのではなくて、『前頭葉』が「扁桃体」を経由して送られてくる感情の一種としての情動を(前頭葉の構成機能である評価の物差しの機能による自由意思に基づいての)規制、評価、選択、コントロールしていること並びに様々な状況下での様々な感情の発露、更には、行為、実行の内容、実行の手段及びその程度や態様の最終的な選択及び実行の決断は、扁桃体という機能の働きである「情動」が規制しているのではなくて、「前頭葉」の機能の一つである「評価の物差し」の機能による評価、注意、関心、選択に基づくもの(即ち、複合機能体としての『前頭葉』の働き)と私たち二段階方式は、考えているのです(その背景には、「意識の機能構造」についての私たち二段階方式独自の理解があります)。

規制するための困難度の差異はあるものの、右脳を経由する感情だけでなく、扁桃体を経由する情動も、『前頭葉(評価の物差し)』による規制(抑制)の対象であり、且つ、規制の網が働いていることを知るべきなのです。

 

&5 「重度認知症」(大ボケ)に特有で、代表的な症状8項目を例示)

□ 着ている服を脱ぎたがらず、便で汚れた下着をそのまま平気で着ている

□ 風呂に入るのを嫌がり、怖がるようになる

□ 服を正しく着られず、ズボンを頭からかぶったり、上着に足を通したりする

□ 家族の名前を間違えたり、子供を配偶者と間違えたりする

□ 自宅に居ても落ちつかず、外に出て行きたがる

□ 大小便を失敗しても、後の処置や始末ができない

□ 今は昼なのか夜なのかがわからなくて、夜中に騒ぐ

□ 痛んだものを平気で食べ、食べ物でないものを口にする

私たちが『脳のリハビリ』(「前頭葉」を活性化させる生活習慣の改善と工夫)により回復させることが可能であるか及び症状の進行の抑制が可能であるか否か並びにその可能性の程度から三段階に区分する「アルツハイマー型認知症」の最初の段階である「軽度認知症」(小ボケ)の段階(私たちの基準で言うところの「改訂版かなひろい」テストが不合格で、MMSEの換算値が24点~30点)では、左脳、右脳及び運動の脳の働き具合は未だ正常なレベルにあるのですが、脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」の働き具合だけが、「異常なレベル」に衰えてきているのが特徴なのです。

アルツハイマー型認知症』の場合は、『前頭葉』を含む脳全体の機能レベルに厳密にリンクした三段階に区分される類型的な症状が発現してくるのが特徴でありこのように、私たちの『意識的な世界』(目的的な世界)を構築し、統括し、支配し、コントロールしていて、脳全体の司令塔としての役割、左脳、右脳及び運動の脳という三頭立ての馬車の「御者」としての役割を担っている、「前頭葉」の働きだけが異常な機能レベルに衰えていくことから認知症の症状(初期症状)が発現してくるのが特徴なのです。

※1 権威とされる機関(専門家達)は、重度の物忘れの症状(「DSM - Ⅳ」の第一要件が確認を要求)及び失語、失認、失行(紛い)の症状(「DSM -Ⅳ」の第二要件が確認を要求)を確認して初めて、『アルツハイマー型認知症』の発病であると誤解しているのです(認知症の診断が専門の医師達も同じ)。
※2 『アルツハイマー型認知症は、性質それ自体として、治すことが出来ない』タイプの認知症ではないのです。医師達が、「発病を見つけている段階が遅すぎる為に治せないだけ」であることを問題提起したいのです。

米国精神医学会が策定した「アルツハイマー型認知症」の診断基準である「DSM-Ⅳ」の規定のように、「失語」、「失認」「失行」(紛いの症状)という末期の「重度認知症」の段階の更に後期の段階(30点が満点のMMSEの得点が一桁にしかならないまでに「前頭葉」を含む脳全体の機能の機能レベルが衰えてきている)にならないと発現することがない「極めて重度の症状」の確認を診断の要件としていたのでは、このような「本当の意味での早期の段階」(「脳のリハビリ」により、症状を治すことが可能な段階)の症状を見逃してしまうことになるのです。「前頭葉」を含む脳全体の機能を正常なレベルにまで回復させることがもはや困難となる段階であり、食事をしたり、服を着たり脱いだり、入浴したり、大小便をしたりする等の「セルフケア」もままならない状態、日常生活面で『介護が不可欠』となる段階で「アルツハイマー型認知症」の発病を見つけることに何の意味があるのかと聞きたいのです。

上述の「軽度認知症」(小ボケ)の段階では、脳の器質的な変化は起きてきていなくて、「機能レベルの異常な低下」(機能の廃用性の異常な低下)が起きてきているに過ぎないのです。理由は、この初期の段階で発見できれば、「脳のリハビリ」によって、「前頭葉」の機能は「正常なレベル」に比較的容易に回復させることが出来る(「アルツハイマー型認知症」の症状自体を治すことが出来る)からなのです。更に、「中等度認知症」(中ボケ)の段階(私たちの基準で言うところの「かなひろい」テストが不合格で、MMSEの換算値が15点~23点)では、左脳と右脳の働き具合も異常なレベルに衰えてくる上に、司令塔の「前頭葉」の働き具合は、「軽度認知症」(小ボケ)のときに比べて更に異常なレベルに衰えてきていることに注意が必要です。

なお、このレベルでも、MMSEの換算値が20点以上を確保できている「中等度認知症」(中ボケ)の前期までの段階であれば、脳の器質的変化は未だ起きてきていなくて、機能レベルの異常な低下(廃用性の異常な機能低下)が起きてきているに過ぎないのです。理由は、この段階で発見できれば個別の周密なものではなくて「集団」レベルでの「脳のリハビリ」によってでも、「前頭葉」を含む脳全体の機能を正常な機能レベルに回復させることが未だ可能だからなのです。ところが、MMSEの換算値が15点から19点までの「中等度認知症」の後期レベルにまで脳全体の機能が衰えてくると、「個別」での頻度と密度の濃い「脳リハビリ」を取り入れることにより、正常な機能レベルに回復させることが未だ可能ではあるのですが、家族を含めた支援態勢と個別のメニューの工夫という厳しい条件下での「脳リハビリ」の実施という困難が伴うことになってくるのです。但し、回復させることは未だ可能なので、この後半の段階であっても脳の器質的な変化自体はまだ起きてきてはいないということなのです。

私達がアミロイドベータ(老人斑)の蓄積やタウ蛋白の蓄積(神経原線維変化)は、「アルツハイマー型認知症」発病の原因なのではなくて、発病の結果に過ぎないと主張する根拠がここに在るのです。

 

&6 発病の予防と「第二の人生」での生き方の「基本的な理念」

廃用性の生活習慣病(但し、食生活ではなくて、脳の使い方としての生活習慣であることに留意する)を本態とする「アルツハイマー型認知症」の発病を予防するには、脳の活性化、「前頭葉」を含む脳全体が活性化する脳の使い方としての「生活習慣」が求められるのです。「仕事」の遂行が生活の中心であった「第一の人生」とは異なり、仕事とは無縁となる「第二の人生」では、生き方そのものが変わり、その基礎となるべき考え方や価値観も変える必要があるのです。「脳の使い方」についても劇的な変化が求められ、「左脳」(仕事や勉強に不可欠の脳)が中心であった「第一の人生」とは異なって、「第二の人生」では「右脳」(趣味や遊びや人付き合いを楽しむため不可欠の脳)が主役となる「生き方」が求められるのです。

自分を中心に据えて(但し、利己的という意味ではないことに留意する)、「自分らしく、自分なりに」を基本に据えて全てを考え、行動することが求められるのです。自分の考えだけで自由にできる時間が思う存分使える自由を満喫する贅沢な生き方が、「前頭葉」を中核とした脳全体の活性化、言い換えると、「アルツハイマー型認知症」の発病を予防する為には、必要不可欠の条件となるのです。

 なお、この場合誤解のないように皆さんに理解して頂きたい最も重要な考え方を言っておきます。自分の脳が活性化するテーマを「生活習慣化」するということは、何年間にもわたって継続できるということを意味します。その為には、自分にとって楽しいものであること、楽しみながらやれることが必要不可欠の条件となります。言い換えると、絶対に他人(周りの人達)と比較してはならないということなのです。他人と比較すると、どうしても格差が生じてきます。もって生まれた才能も違えば、幼児期の家庭及び家族環境も異なれば、社会人としての生きてきたキャリアも異なります。その上、「第二の人生」を生きている現在の生活環境や生活条件の格差、或いは、肉体的な条件の差もあります。どんな人であれ、何事についてであれ、何時も勝ち組になれる訳のものではないでしょう。負け組と感じると、結果として、楽しくなくなり、意欲がしぼんできて、長続きしなくなってしまうのです。「他人は他人と割り切り」、加えて、「自分なりの目標を設定して、自分なりのやり方で実行して、自分なりに楽しめて、熱中できるもの、そして、自分なりの喜びや生き甲斐に繋がること」が、極めて重要なのです。「やりたいことを、やりたい時に、やりたいようにやる、出来ればやりたい人達と」、「第一の人生」ではありえなかったこのやり方を「第二の人生」では思う存分楽しんでいただきたいのです。

「仕事」中心で生きてきた「第一の人生」での価値観、評価の尺度とは全く異なる、或る意味で全く逆の物が必要となるのです。そうでないと、何かにつけて、何事につけて、「意欲」が落ち込むこととなり、『肝心要の「前頭葉」の機能レベルを身体が持つ限り正常な機能レベルに保ち続ける』ことが出来なくなってしまうからなのです。そうでなくても、「加齢」と共に、「前頭葉」の機能が「正常老化の性質」の為に衰えて行っているからなのです。嫌な出来事や、辛いことや、哀しいことに「耐える力」も、「前頭葉」の機能の一つであり、「正常老化の性質」により、「加齢」と共に衰えてきているからです。

 

&7「アルツハイマー型認知症」の「地域予防活動」の展開

私達が北海道から九州に至る広範囲な地域、452を数える市町村での住民参加型の「地域予防活動」を展開してきた中で、最も特徴的で印象に残っていることと言えば、「第二の人生」を送っている「お年寄り」が「家に籠り勝ちの生活」をしているケースが極めて多いということなのです。年を取るということは、身体の基礎体力が衰えて来て免疫力が低下してきます。加齢に伴う機能低下の進行により「前頭葉」の機能も衰えて来ます。「前頭葉」の個別認知機能の一つである「耐える力」が衰えてくるのです。体調が少しばかり思わしくない時や、ほんの少しばかり辛い出来事があっただけで、心が萎えたり、折れてしまったりするのです。廃用症候群に属する「生活習慣病」を本態とする「アルツハイマー型認知症」にとって、「第二の人生」を送っているお年寄りが、「家に籠り勝ちの生活」をするということは、そのことだけで、ナイナイ尽くしの「単調な生活」に陥っていく、言い換えると、「アルツハイマー型認知症」の発病のリスクが高くなるということなのです。脳の活性化、「前頭葉」を含む脳全体の機能が正常な機能レベルを保つ生活習慣の実践という場合に最も重要な要素はというと、それは、「家の外に出て行って、他人と交わる機会を出来るだけ多く持つ」ということなのです。芸術家のような特別の/特殊のレベルの「右脳の優位性」が備わっている人達を除いて、右脳の機能レベルが一般のレベルである皆さんの場合は、家の内に籠っていたのでは、「前頭葉」を活性化させるテーマを見つけること自体が極めて困難になるのです。家の外に出て行って、「他人と交わる」ということは、何らかの「テーマ」について言葉を交わす機会が必然的に多くなることを意味します。家に籠って心が萎えていたり、折れたりしていた場合は、猶更のことなのです。外の空気を吸い、気分が転換されるだけで、心も張れるのです。その上、「交流の駅舎」で人出会って、何かのテーマで話が弾めば、その際には、相手の話の内容を聞き取り概要を理解するにも、相手に対して言葉や表情や態度で反応を返すにも、「前頭葉」の個別認知機能の発揮度を左右し下支えする役割を担っている「前頭葉」の三本柱の機能、即ち、「意欲」、「注意の集中力」の機能だけでなく、最も必要で重要な機能である「注意の分配力」の機能の出番が必然的に増えることになるのです。「注意の分配力」の機能の出番が増えるということは、「前頭葉」の機能の活性化に直結しているということなのです。

そのベースの基地として、次回のブログで提案する、『廃校や空き家』の活用による「交流の駅舎」の運営が極めて有効、有益な施策となるのです。


注)本著作物「Bー85」に記載され表現された内容に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

 エイジングライフ研究所のHP左の部分をクリックしてください)

 脳機能から見た認知症(具体例をベースとしたもう一つのブログです)

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする