認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

脳血管性認知症の診断に関わる種々の問題の指摘と国民的課題の提起(N-74)

2013-01-21 | アルツハイマー型認知症に対する正しい知識

認知症の専門書やブログサイトを読んで見ると、数ある認知症の中で占める割合が二番目に大きい「脳血管性認知症」が一番大きく取り上げられているのが普通です。一方で、一番大きな割合を占めていて、認知症の大多数90%以上を占める「アルツハイマー型認知症」(「老年性アルツハイマー病」と言われることもあります)については、「発病のメカニズムは分からず、治すこともできないし、予防することもできない」としか記載されていません。「記憶」の異常に起因する様々な「症状」が単に並べられているだけなのです。その上、その「症状」は、発病のメカニズムも性質そのものも全く異なるものである「アルツハイマー病」(「若年性アルツハイマー病」とも言われます)と同一視されているのです(これは、誤解による混同なのですが)。たまに認知症の「予防」という「テーマ」で取り上げられているものも、それは「脳血管性認知症」の予防(食事や運動を中心とした「身体」の健康条件維持をテーマとしている)にすぎないのです。そこで、今日は、「脳血管性認知症」の種々の問題を取り上げて論点を整理して提示することにより、みなさんに正しい知識を身につけていただくと同時に、認知症の大多数、90%以上を占めていて、認知症の専門家とされる人達から、「発病の原因もわからないし、治す方法も予防する方法もわからない」と言われている「アルツハイマー型認知症」の「予防」に対する正しい知識と問題意識とを持っていただきたいと思うのです。その説明に先立って、まずは、「脳血管性認知症」が認知症全体に占める割合の「データ上の間違い」の問題を説明し、次いで、「診断上の間違い」の問題について説明したいと思います。私達が、市町村において「アルツハイマー型認知症」の早期発見と「回復」及び「予防」を目的とする「地域予防活動」の指導を開始した、今から17年前の頃は、日本人の場合は、「脳血管性認知症」が最も多く、且つ認知症全体に占めるその割合は「60%」と認知症の専門家達の間では言われていました。私達は、私達のデータの解析から、「5%程度」と主張していました。今も、私達が主張しているこの数値は変わっていませんが、専門家達の現在の主張数値は「20%」というのが定説になっているのです。17年の経過のうちに、随分と数値が小さくなったと皆さんは驚かれるかもしれませんが、この「20%」という数値自体も実は、「いい加減な数値」に過ぎないのです。

「アルツハイマー型認知症」に次いで大きな割合を占める「脳血管性認知症」について、原因である「脳血管の障害」(脳を養っている部位の血管が詰まったり、出血を起こすこと)とその直接の結果である「認知症の症状」(本来は、脳の当該領域に十分な量の血液が供給されなくなったことに直接起因する症状でないといけないのです)との間の「因果関係」を厳密に確認して診断される場合の正確な数値を挙げると、それは「5%」にしかならないのです。後述するように、この「脳血管の障害」と「認知症の症状」とのあいだの「因果関係」を確認もしないで、脳梗塞等の「既往」さえ認められると全て「脳血管性認知症」と診断しているために、20%という大きな数値が未だに出てきたりしているのです。

ところで、「脳血管性認知症」の認知症全体に占める正しい割合の数値を5%とすると、認知症の大多数90%以上を「アルツハイマー型認知症」が占めることになるのです。認知症の大多数90%以上を占めている「アルツハイマー型認知症」についての最大の問題は、認知症の専門家とされる人達が、相変わらず「原因もわからないし、治せないし、予防することもできない」と主張していて、且つ、その認識が、我が国の隅々に至るまで深く浸透してしまっていることなのです。北海道から沖縄まで、専門家達だけでなく一般の人達の間にも、深く浸透しているのです。その結果我が国は、300万人近い数の「アルツハイマー型認知症」のお年寄りを抱え込むこととなっていて、その「介護のための費用」(介護保険による負担と自費負担の合計額)の総額が年間18兆円にものぼるという、極めて深刻な状況に置かれているのです。しかも、300万人という現在の数値は、この先さらに拡大する一方というのが「厚労省の予測」なのです。このままでは、保険料を大幅に引き上げないと、「介護保険制度」自体が財政破綻してしまう勢いなのです。

「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズムについては、順次このブログで、その詳細を明らかにしていく予定ですが、結論から言うと、「アルツハイマー型認知症」は、脳の使い方という視点からの「生活習慣病」というのがその正体なのです。第二の人生を送っている高齢の(60歳以上の年齢の)お年寄りが、日々どのような「脳の使い方」をしているかというその「生活習慣」が、「発病」及び「回復」を左右する、廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」に過ぎないのです(ここを「クリック」してください)。「第二の人生」での「脳を活性化」させる日々の過ごし方(「生活習慣」)の構築により発病を「予防」すること、或いは「早期診断」により「早期の段階」(「小ボケ」及び「中ボケ」の段階)を発見して、「脳のリハビリ」を実践することにより「回復」させることによって、こうしたコストの大半を削減することが可能となるにも拘わらず、そのことに「国民的な注意も関心も向けられていない」のが現状なのです。「予防」と「回復」とをシステム化し、「定期検診」を制度化することによって、且つ市町村の「保健師」さんを中核として地域住民との「共同活動」を展開することにより、大幅に介護費用を削減することが可能なのです。

ところで、「アルツハイマー型認知症」の「予防」も、早期診断による「回復」も、どちらも「早期診断と生活改善指導」を実施する上で、「神経心理機能テスト」の実施が不可欠となります(「前頭葉」を含む脳の機能レベルの判定が不可欠であるために、「神経心理機能テスト」の実施が不可欠なのです。CTやMRIでは、「前頭葉」を含む脳の機能レベルの測定ができないのです)。ところが、「神経心理機能テスト」の実施に対する評価(保険点数)が余りにも低いために、「神経心理機能テスト」の実施を制度化した「定期検査」を医療機関に期待すること自体が無理なのです。医療機関といえども、「事業収益」を無視するわけにはいかないからです。こうした背景から、「アルツハイマー型認知症」の早期診断による「回復及び予防」という「テーマ」は、事業収益を上げる必要がない「市町村」が実施するしか他に方法がないのです。「定期検査」を制度化し、「早期診断による予防と回復」の実施により削減される介護費用の何割かを、「少子高齢化」を減速させるための措置や「婦人の社会進出」を容易にし、加速させるための措置を構築する費用に振り向けることができれば、衰退する一方のこの国を「再生」させる重要な基本施策となりうるはずなのです。財政面からの「地方分権」の推進を叫ぶ首長さんたちにも、格好の「テーマ」となると思うのです。

その為には、一般の皆さんの「アルツハイマー型認知症」に対する正しい知識と理解、市町村の保健師さんを中核とした「地域予防活動」の展開についての「ボランティアの組織化」と拡大が不可欠になるのです。このことをこのブログを通じて、世の中に啓蒙していきたいと考えているのです。このブログを読まれた一般の皆さん及び「保健師」さんは、周りの人達にもこのブログの存在を知らせてあげていただきたいのです。

ところで、今日のブログの本題である「脳血管性認知症」というのは、「脳を養っている大小の血管の障害」である脳梗塞や脳出血に「直接起因しておきる認知症」を言うものと定義されています。実態面から言えば、脳を養っている大小の血管が閉塞して十分な量の血液を脳に送れなくなったために、脳の働きが全般的(左右の脳の両側性)に低下して、そのことを原因として認知症の症状を起こしてくる「閉塞性血管障害」のものが最も多く、一部に「出血性」のものがあります。

どの種類の認知症であれ、「脳の器質的な障害を含む何らかの脳機能の障害によって、正常なレベルとされる程度にいったん完成された知的機能が、全般的(左右の脳の両側性)且つ継続的に機能低下した状態にあることにより、社会生活や家庭生活やセルフケアに支障が出てきている状態を認知症と言う」とするのが、一般的な認知症の定義の仕方です。 従って、「何らかの脳機能の障害」という直接の(原因)により「知的機能の全般的(左右の脳の両側性)且つ継続的な機能低下」という(結果)をきたして「認知症の症状」を呈しているという、「原因」と「結果」との間に直接の「因果関係」が確認されることが不可欠になるのです。

 「脳機能の障害」(原因)が認められると言うためには、脳のある領域に血流の低下が確認され、且つその血流低下を惹き起こしている原因血管が確認されることが必要です。次いで、その血流障害がもたらしている「脳機能の低下部位」と認知症の症状を発現させている「脳機能低下の範囲」とが合致(結果)していることの確認も必要です。逆に言えば、脳機能の障害という直接の(原因)と認知症の症状という(結果)との間の「因果関係」を厳密に確認することもなく、認知症と診断してはいけないのです。

ところが、「脳血管性認知症」については、数値の問題だけでなくて「診断内容」自体にも、認知症の専門家たちの主張には、大きな問題があると言わざるを得ないのです。実際の診察の現場では、「局部的な脳出血や脳梗塞」がある場合(あるいは、脳梗塞や脳出血の既往さえあれば)、左脳又は右脳の片側の脳の機能障害による「後遺症」としての記憶障害、或いは言語の障害や手足の身体的な不具合を伴う症状、又は「後遺症」を基にした種々の生活上の不便が認められると、「脳機能の全般且つ継続的な低下」の確認及び原因と結果との間の直接の「因果関係」の確認を行うこともなく、「脳血管性認知症」と診断しているケースが極めて多いのです。そのために、「脳血管性認知症」の認知症全体に占める割合が20%もの大きな数値になっているのです。

「脳血管性認知症」とされるケースで、脳出血や脳梗塞の後、直ぐに認知症と認められるような程度や態様の「症状」が出てくるケースは、実際にはとても少ないのです。左半球に大きな梗塞巣が出来て、左半球が高度に障害されると高度の「失語症」を起こし、生活面に重大な支障をもたらすことになります。この場合、「神経心理機能テスト」で調べさえすれば、「脳機能の全般的な低下」が起きているかどうかは、容易に確認することができるのです。このように、神経心理機能テストによるテスト結果から、右半球の機能は良く保たれていて、「脳機能の全般且つ継続的な低下」が起きていないことを簡単に知ることが出来るのですが、認知症の専門の医師たちは診断に際して、「神経心理機能テスト」で調べるという手間をかけていないのが実情なのです。

先の説明で、(脳出血や脳梗塞の後、直ぐに認知症と認められるような程度や態様の「症状」が出てくるケースは、とても少ない)と言いました。 専門家とされる人達の間では、「脳血管性認知症」と診断されるケースの多くのものは、認知症と認められるような程度や態様の症状が直ぐには出てこないで、「何年もかけて、じわじわと症状が出てくる」ものが主流だと主張されているのです。そして、それらは、“まだら性”とか“多発梗塞性”の「脳血管性認知症」と呼ばれています。この数値が実は、上述の「20%」のうちの15%を占めているのです。

 もうひとつの問題点としては、 “ま だら性”の「脳血管性認知症」を主張する人達の主張内容の特徴として、「初期には、記憶力が低下している一方で、理解力や判断力がしっかりしていて、更には人格が保たれ」ていて、「認知症の症状が“まだらに”出てくる」のが特徴だとされていることです。ところが、「初期の症状」と主張されている程度態様の症状を発現させている「前頭葉」の働き具合を、「前頭葉」の機能レベルを調べることが出来る「かなひろい」テストなどの「神経心理機能テスト」を使って、「前頭葉」の機能が正常レベルであるのかどうかを、きちんと調べてみないと、「初期の特徴とされている症状」がどのレベルの脳機能の結果として発現したものなのかが不明なのです。「前頭葉」を含む脳の機能レベルが、きちんと提示され確認されていない診断では、「理解力や判断力がしっかりしているとか、人格が保たれている」とかいう表現の意味している程度や内容自体が「とてもあいまいで、疑わしい」ものとしか言い様がないのです。

「神経心理機能テスト」による「前頭葉」の機能レベルを計測し評価することを怠っている上に、「重度認知症」のレベルにならないと「アルツハイマー型認知症」であるとは考えない診断基準(その代表が、「DSM-4」という、米国精神医学会の診断基準なのです)によって認知症の有無や種類や程度を診断していたのでは、「前頭葉」の機能が既に異常なレベルに衰えているレベル(私たちが指摘している「軽度認知症」(小ボケ)や「中等度認知症」(中ボケ)のレベル)であっても、「理解力や判断力がしっかりしているとか、人格が保たれているとか」の誤った評価をしてしまうことになるのです。

この説に言うところの、「初期の症状」の特徴とされていることを言い換えれば、「初期には、前頭葉の機能は正常レベルに保たれている」と言っているのと同じことになるのです。「前頭葉」は、意識的に何かの「テーマ」を実行するときの、脳全体の司令塔(コントロールタワー)であり、最高次の機能なのです。従って、意識的な行為のアウトプットは全て、「前頭葉」の機能レベルの直接の影響を受けた程度及び態様のものとして発現することになるのです(ここを「クリック」してください)。つまり、「前頭葉」が正常に機能しているということは、「脳の全般的な機能の低下が起きていない」ということを意味することになる訳です。

そうした説が言うところの「初期」の何年かの期間で、「前頭葉」の機能が正常レベルに保たれている期間は、認知症を発病していなくて、左脳や右脳や運動の脳の「局部的な機能の障害」による「後遺症」の「症状」が出てきているだけということなのです。「まだらな症状が、じわじわと出てくる」と言っているのは、認知症の症状ではなくて、単なる「後遺症」としての「症状」に過ぎないのです。

ところが、本人やその家族の側にとっては、局部的なものとはいえ、「脳梗塞や脳出血」は重大な病気です。診察を受けて、局部的な脳出血や脳梗塞であれ、(その上、「誤診」であるとは言え、本人も家族も、専門の医師による診察の結果として、「脳血管性認知症」だと告知されている状況下では)、「重大な脳の病気」が発生した結果としての「後遺症」の症状の出現に驚くと同時に、それを怖がり、「後遺症」としての種々の「症状」が発現しているその状態を恥ずかしがり、その状況からくる肉体的精神的負担に負けてしまうことがとても多いのです。その結果、局部的なものであれ、脳梗塞や脳出血という重大な脳の機能の障害による「後遺症」としての「症状」の発現を「キッカケ」として、趣味も遊びも人付き合いも運動もしない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まるケースがとても多いのです脳を不十分にしか使わない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が何年も継続していく中で、「前頭葉」を含めた脳の機能が廃用性の機能退化を起こしてきて、その機能退化の進行につれて、「アルツハイマー型認知症」の症状が、「軽度認知症」(小ボケ)、次いで「中等度認知症」(中ボケ)、最後に「重度認知症」(大ボケ)の症状として、段階的に現れてくるのです。

”まだら性”の「脳血管性認知症」と主張されている病気(実は、「誤診」)の「初期の症状」とされるその期間が終わって以降に、最終的に認知症の症状であると診断される「症状」(私たちの言う、末期段階の「重度認知症」の症状)へと症状が進行していく過程は、後にそのメカニズムについて詳説する「アルツハイマー型認知症」の「小ボケ」、「中ボケ」を経て最後に「大ボケ」の段階へと段階的に進行していく進行過程に見られる「症状」そのものなのです。

認知症の専門家達は、米国精神医学会が定める「アルツハイマー型認知症」の診断基準としての「DSM-4」の規定に依拠して診断を行うのです。その結果、「重度の記憶障害」を認知症と診断するための「第一の要件」と考えていて及び失語(左脳)や失行(運動の脳)や失認(右脳)という「重度認知症」の後期にならないと発現することがない重度の認知機能障害を『第二の要件』と考えている(これこそが、「重大な誤り」)ので、重度の記憶障害の症状があらわれてくる認知症の段階(私たちの区分で言えば、末期段階の「重度認知症(大ボケ)」の段階)にならないと「アルツハイマー型認知症」とは考えないのです。そのため、回復可能な軽度の認知症(小ボケと中ボケ)の段階は、記憶障害の程度を含めて軽度の症状が主となるので、見落としているのです。その期間中は、認知症の症状が”まだら”に現れていると考えている(上述したように、「これらの症状は、認知症の症状ではなくて、「後遺症」としての症状に過ぎない」のですが)だけなのです。そして、重度の症状が継続的に現れるようになる(私たちの区分で言う「重度認知症」の段階)と、”まだら”な症状の期間が終わったと考えているのです。

 “まだら性”とか“多発梗塞性”の「脳血管性認知症」と世間で呼ばれているものの多くは、私たちの見解からすれば、「脳血管性認知症」ではないのです。本来は「アルツハイマー型認知症」と診断されるべきものが、”まだら性”或いは、”多発梗塞性”の「脳血管性認知症」(正しく言うと、このような種類の「脳血管性認知症」は存在しない。)として、診断(誤診)されているだけなのです「脳血管性認知症」が認知症全体に占める割合を最近の有力説でさえ20%としているのに対し、私たちは5%と主張していますが、「アルツハイマー型認知症」であるはずのものを「脳血管性認知症」としているという上記の誤った診断が両者の数値の差となって現れているのです。

 上記の誤りが是正されることになれば、認知症の大多数90%以上は「アルツハイマー型認知症」が占めることとなり、「アルツハイマー型認知症」の早期発見による「回復」、或いは「予防」という「テーマ」が、喫緊の「国民的な課題」となってくるはずなのです。これまでのブログの中で何度も説明しているように、「アルツハイマー型認知症」は「生活習慣病」であり、早期発見(「小ボケ」と「中ボケ」の軽度な段階の認知症の発見)と脳リハビリにより「回復」させることも、脳の使い方という視点からの脳を活性化させる「生活習慣の構築」により「予防」することもできるものだからです。

 今回は、専門的な内容になってしまいましたが、皆さんに一番言いたいことは、「認知症の大多数は、アルツハイマー型認知症が占めている。」のだということ、そして、「アルツハイマー型認知症は、治すことも予防することも出来る病気」だということなのです。このことを、皆さんに正しい知識として知っておいて欲しいということなのです!。認知症の大多数、90%以上を占めていて、介護費用の総額が年間18兆円にも上っている、「アルツハイマー型認知症」の早期診断による「回復」と発病の「予防」という「テーマ」に国民的な関心を持ち、市町村の「保健師」さん達と「地域の住民」との「共同』活動により、小字単位のできるだけ「小さな地域単位」ごとに「地域予防活動」を全国的に展開しなければ、対策が間に合わなくなってしまうのです(ここを「クリック」してください)。

繰り返しになりますが、皆さんが日ごろ目にする認知症の殆どは「アルツハイマー型認知症」であること、「アルツハイマー型認知症」は早期の段階で見つけると「治す」ことができるし、更には、発病自体を「予防」することもできるのだということをしっかりと認識しておいていただきたいのです。そのことが、住民参加による「アルツハイマー型認知症」の「地域予防活動」を可能にする「前提条件」となるのです。「笛吹けど踊らず」ということでなくて、住民自らが行政に要求していくようにならないと、深く浸透していくことも、活動が継続されていくことも期待しにくいのです。この「テーマ」こそ、日本のどの地域にも必ず存在する『カクシャク』の称号を周りの人達から贈られているお年寄りが「先頭に立って引っ張っていく」べきものなのです。そのことはとりもなおさず、その「カクシャク老人」にとっての生き甲斐を伴う『脳の活性化』策ともなるからです。

注)本著作物(このブログN0-74に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

エイジングライフ研究所のHPここを「クリック」してください)

脳機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)

 

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「アルツハイマー型認知症」の正体は、「生活習慣病」なのです(A-73)

2013-01-11 | アルツハイマー型認知症に対する正しい知識

 このブログは、認知症の専門家達(研究者や医師)から「原因もわからないし、治らない病気」と言われ続けてきた「アルツハイマー型認知症」の正体(発病のメカニズム、特有な症状と症状の段階的進行の仕方、回復及び予防の方法並びに市町村による「地域予防活動」の展開等)について、一般のみなさんと市町村の保健師さんに分かりやすく解説する目的で、開設しています。昨年は、東日本大震災の被災地の「高齢者」に、できるだけ速く多くのことを知らせたいとの思いから、3月に開始して71回ブログの記事を書きました。今年は、毎月1日、11日、21日の各3回、ブログの記事を書いていくつもりです。「アルツハイマー型認知症」に関する私たちの考えの体系は、マニュアル化されている内容だけでも、「個別事例判定マニュアルA、B、CのA4版三部作」で630ページを超えるものになります(そのほかにも、「個別事例判定マニュアル使用の手引き」、「二段階方式による手技のフローチャート解説」及び「典型事例集による個別事例判定の仕方の解説」等があります)。ブログに書かれる都度の記事を読んでいただくだけで、「アルツハイマー型認知症」に関する私たちの考え方の「概要」を伝えられるよう、できるだけ工夫して書くようにしたいと考えています。

○   アルツハイマー型認知症」を発病する対象は、「高齢者」だけ

一口に認知症と言っても、いろいろな種類があることをご存知でしょうか。アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、二次性認知症、レビー小体型認知症、アルツハイマー病等、認知症にもいろいろな種類があるのです。そうした数ある認知症の中でも、その大多数、90%以上を占めているのが「アルツハイマー型認知症というタイプの認知症なのです(認知症のうちの20%を「脳血管性認知症」が占めると主張する人達がいますが、その人達は、脳血管の障害と認知症の症状との間の「因果関係」の確認が極めてルーズな人達なのです。因果関係をきちんと把握し確認すると、実際の数値は5%にしかならないのです。残りの15%相当分は、脳血管性認知症ではなくて、「アルツハイマー型認知症」なのです。両者をきちんと見分けるすべを知らないので、このようないい加減な数値になっているのです。このことについては、別途詳しく説明します)。

これまで、「アルツハイマー型認知症」と言うタイプの認知症については、認知症の研究者や医師など専門家と呼ばれる人達の間では、「アルツハイマー型認知症は、原因もわからないし、治せないし、予防することも出来ない病気」と言われてきたのです。

ところで、実態面から見たとき、「アルツハイマー型認知症」は、主に60歳以降の「高齢者」だけを対象に発病するので、老年性(晩発型)アルツハイマー病とも呼ばれているのです。但し、生まれつき特定の遺伝子を持つ人にしか発病してこない狭義の若年性「アルツハイマー病」と老年性の「アルツハイマー型認知症」とをまとめて「アルツハイマー病」と呼ぶ人達がいるのですが、昨年のブログでも説明したように、両者は全く性質が違いますので注意してください(両者は発病のメカニズムが全く異なるものなのに、「解剖所見が似ている」というだけの理由で、両者の本質を誤解している人達がいて、混同しているだけのことなのです)。

つまり、皆さんが普段目にしている認知症のお年寄り達は、その殆どが、「アルツハイマー型認知症」の人達なのです。そして、「アルツハイマー型認知症」は、第二の人生にある60歳代以降の「高齢者」だけを対象として発病してくるという極めて重要な「特徴」を有するのです(この極めて重要な要素に目を向けていないが為に、世界中の認知症の専門家と呼ばれる人達が、「アルツハイマー型認知症」の「発病のメカニズム」を未だに解明できないでいるのです)。その上、「アルツハイマー型認知症」は、60代より70代、70代より80代、80代より90代、90代より100歳代と、高齢になるほど発病する人の割合が多くなっていくという特徴を有するのです。従って、「高齢化率」が30%を超えるような町や村、高齢化率がそれほど高くない市や町でも高齢のお年寄りが大勢住んでいる地域では、「アルツハイマー型認知症」の症状を示すお年寄りの姿をよく見かけるようになるのです。

これから先、このブログでは、「アルツハイマー型認知症」に的を絞って、「発病のメカニズム」、「重症度別の段階的症状及びその回復法」、「適切な介護の仕方」及び「発病の予防法」等について、専門家と呼ばれている人達に「問題提起」しつつ、且つ一般の人達と市町村の保健師さん達にも、分かりやすく説明していきます。「アルツハイマー型認知症」を発病するメカニズムを解明するその鍵は、「脳の働き具合」と「脳の機能レベル」にリンクした「症状」及びそれらの脳の機能レベルを測る「物指し」とにあることを心に留めておいて欲しいのです。

○   研究者や精神科医は、回復可能な「軽い段階」(小ボケ及び中ボケ)を見落としている

□ 服を自分で着られなくなり、ズボンを頭から被る;とか

□ 自分の家が分からなくて、徘徊して迷子になる;とか

□ 同居している、家族の顔も分からない;とか

□ お漏らしした服を、平気で着ている;とか

□ つい先ほど食事を摂ったばかりなのに、そのことをすっかり忘れている

こんな症状が見られるようになると皆さんは、「その人は認知症」だと考えるのではないでしょうか。正確に言うと、こんな症状が出ている人は、回復が困難な「アルツハイマー型認知症」の「末期段階」(大ボケ)の人、なのです。こんな「重度の症状」(末期の症状)が出てくるもっと前の回復可能な「軽い段階」(初期の症状及び中期の症状)があるのを、精神科医が見落としているだけなのです。

精神科医が、回復が可能な「軽い段階」を見落としていて、回復が困難な「末期の段階」しか見つけられないでいる最大の原因は、診断の際に依拠するDSM-4」(米国精神医学会が定める「アルツハイマー型認知症」の診断基準)というその診断基準自体に重大な誤りがあるからなのです。「失語」、「失行」、「失認」という「末期段階」にならないと発現することがない「重度の症状」(私たちの区分でいう「重度認知症」の段階の症状)を診断の要件として規定しているDSM-4の基準に依拠して診断する限り、回復可能な「軽い段階」が見落とされ、回復困難な「重度の症状」が発現している「末期の段階」だけに焦点が当てられることになってしまうのです。その結果として、「アルツハイマー型認知症は、原因不明で治らないし、予防できない病気」という「誤った見解」が、精神科医の診断を通して、「世間の常識」になってしまっているのです。

「アルツハイマー型認知症」の場合は、 昨日まで正常で、趣味や遊びや人付き合いを楽しめていたお年寄りが、一夜明けたら「服を自分で着られなかったり」、「自分の家が分からなかったり」、「家族の顔が分からなかったり」は、しないのです。こうした「症状」は、「アルツハイマー型認知症」の回復が困難な「末期の段階」のみに見られる症状であって、ここまで症状が進んでくる前の「軽い段階」(回復が容易な「小ボケ」の段階及び回復が未だ可能な「中ボケ」の段階)があるのです。

 認知症の大多数を占めていて、専門家達から、「原因も分からないし、治らない」とされている 「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症は、「何年もかけて、症状が徐々に、段階的に進行していく」(段階的症状を示す)のがもう一つの特徴なのです(特定の遺伝子の異常が原因で発病する「狭義のアルツハイマー病」とは、進行度合いが全く違うし、発病のメカニズムも全く異なるものなのです)。

精神科医が「アルツハイマー型認知症」の「初期の症状」と言っているものは、回復が困難な末期段階の「重度の症状」(大ボケ)の中の初期の症状(MMSの換算値で14~11点のレベル)のことなのです。だから、ここまで脳の機能レベルが衰えてきていると、「せっかく見つけても、治らない」ことになるのです。回復が可能なもっと軽い段階の「小ボケ」や「中ボケ」の症状(回復がまだ可能な本当の初期症状:MMSの換算値で15点以上のレベル)については、「認知症のレベルと回復の可能性」に関する脳の機能レベルとリンクしたデータの開示も含めて、逐次、詳細な説明をしていく予定です。

○   器質的変化ではなくて、廃用性の異常な機能低下(機能の退化)が本質の病気

組織や細胞が変形、変性あるいは破壊され、元の形に戻らなくなるように変化することを器質的変化といいます。「アルツハイマー型認知症」は、アミロイドベータの作用によりもたらされる「老人斑の生成」やタウ蛋白の作用によりもたらされる「神経原繊維変化」という器質的変化が本質の疾患とするのが専門家達の多数説ですが、私達は、廃用性の異常な機能低下(機能の退化)が本質の疾患だと考えているのです(「廃用性」の異常な機能低下とは、使われる機会が極端に少なくなることにより、脳本来の機能が退化していくことを言います。その詳細については、追って、関連する「脳機能データ」の開示を含めて詳しく説明する予定です)。

「 脳の働き具合」(機能レベル)とリンクした「症状」(段階的症状)の多数に上るデータの分析結果から、「アルツハイマー型認知症」は、加齢による脳の老化を「第一の要件」とし、「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)を使う機会が極端に減少する「単調な生活」の継続による廃用性の機能低下を「第二の要件」として、両者の相乗効果により、「脳機能の加速度的な機能低下」が惹起され、脳の機能が加速度的に異常なレベルに低下していく(機能の退化)病気、言い換えると「廃用症候群に属する生活習慣病」だと私たちは考えているのです。

       

 「軽度認知症」(小ボケ)のレベル(MMSの換算値が24点~30点)では、高次機能とされる左脳、右脳と運動の脳の働き具合は未だ正常レベルにあるのですが、脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」の働き具合だけが、もはや正常レベルにはなくて異常なレベルに衰えてきているのです(「アルツハイマー型認知症」の場合は、このように、「前頭葉」の働きだけが先行して衰えていくことが特徴なのです)。米国精神医学会の診断基準である「DSM-4」の規定のように、「失語」、「失行」、「失認」という末期の段階にならないと発現することがない「重度の症状」とリンクした「記憶の障害」を診断の要件としていたのでは、このような「初期の段階」を見逃してしまうことになるのです。但し、この「軽度認知症」(小ボケ)のレベルでは、器質的変化は未だ起きていなくて、機能レベルの異常な低下」(機能の退化)が起きてきているに過ぎません。理由は、この初期の段階で発見できれば、脳のリハビリによって、脳の機能は正常レベル」に比較的容易に回復させることが可能だからです。

「中等度認知症」(中ボケ)のレベル(MMSの換算値が15点~23点)では、高次機能とされる左脳と右脳の働き具合も異常なレベルに衰えてくる上に、司令塔の「前頭葉」の働き具合は、軽度認知症(小ボケ)のときに比べて更に異常なレベルに衰えてきているのです。但し、このレベルでも、MMSの換算値が20点以上を確保できている中等度認知症」(中ボケ)の前期までの段階であれば、器質的変化は未だ起きてきていなくて、機能レベルの異常な低下(機能の退化)が起きてきているに過ぎないのです。理由は、この段階で発見できれば、集団生活レベルでの「脳のリハビリ」でも、脳の機能を正常レベルに回復させることが未だ可能だからです。

更に、MMSの換算値が15点から19点までの中等度認知症」の後期レベルに衰えてくると、個別での頻度と密度の濃い「脳リハビリ」を取り入れることにより、回復させることが未だ可能なのですが、家族を含めた支援態勢と相当な条件下での脳リハビリの実施という困難が伴うことになります。

そして、「重度認知症」(大ボケ)のレベル(MMSの換算値が14点以下)では、高次機能とされる左脳、右脳と運動の脳の働き具合が中等度認知症のときに比べて更に異常なレベルに衰えてくる上、司令塔の「前頭葉」の働き具合は、中等度認知症のときに比べ更に加速度的に機能が衰えていくので、殆ど機能しなくなってきているのです。その上、MMSの換算値が14点から11点へと低下してくるにつれ、徐々に器質的変化が現れてきて、10点以下のレベルでは、顕著な器質的変化が起きてきていると考えられるのです。理由は、この末期段階の「重度認知症」の段階では、脳のリハビリによる機能の回復の効果が期待できなくなるからです。

「アルツハイマー型認知症」の専門家といわれる研究者や医師たちは、前述した「DSM-4」の規定に依拠して診断を行う為に、この末期段階の「重度認知症」(大ボケ)の段階だけを捉えて「アルツハイマー型認知症」であると診断しているのです。そのため、本来は機能レベルの退化が本質なのに、器質的変化を起こしていることが「アルツハイマー型認知症」の本質であると本質を見誤っているのです。

「アルツハイマー型認知症」は、「脳の働き具合」のアウトプットが「症状」の程度・態様として発現してくるだけなのです。脳の機能レベル(小ボケ、中ボケ及び大ボケ)に対応して、機能レベルに特有の「段階的な症状」(小ボケの症状、中ボケの症状及び大ボケの症状)が発症してくるのです。「脳の機能レベル」が「症状」の程度態様とリンクしているわけですから、脳の機能レベルの異常な低下(機能の退化)がもっと軽い段階から、且つ症状の進行を段階的継続的に変化移行していくものとして理解し捉えて、データを集積し分析することが、的確な判定や診断に必要不可欠となるのです。「DSM-4」という、権威はあるが内容自体に重大な誤りがある「診断基準」を金科玉条としていたのでは、いつまで経っても、「アルツハイマー型認知症」の本質を理解することはできないし、的確な診断を行うことはできないというのが専門家達に対する私達からの問題提起なのです。

認知症の大多数、90%以上を占めている「アルツハイマー型認知症」も、一般の病気と同様に、早期発見・早期治療が鍵になるのです。「軽度認知症」(小ボケ)と「中等度認知症」(中ボケ)の段階で見つけると、脳のリハビリ(「前頭葉」を中心とした脳の活性化を目的とする「生活習慣」の構築と実践)により、「治す」(脳の機能を正常なレベルに回復させる)ことができるのです。認知症専門の医師達は、末期段階の「重度認知症」(大ボケ)の段階になって初めて、「DSM-4」の基準に依拠して「アルツハイマー型認知症」であると診断することになるので、その結果として、「アルツハイマー型認知症は、治すことができない」ことになってしまっているだけなのです。認知症の専門家と呼ばれる人達が言っているような、「原因不明で治らない病気」ではないのです。 「アルツハイマー型認知症」は、廃用症候群に属する「生活習慣病」の一つにすぎないということを早く理解してほしいと願うのです。更には、発病を「予防」することもできるのです(このことについては、市町村による「地域予防」の展開方法という「テーマ」で詳しく説明する予定です)。 

ところで、「生活習慣」と言うと、「調和のとれた食事、適切な運動、十分な睡眠」などが直ぐに「テーマ」にされるのですが、私達の市町村での「地域予防活動」の実践の成果から言うと違うのです。「アルツハイマー型認知症の回復と予防」には、北海道から九州まで、日本人全体について、「脳の使い方」と言う視点からの「生活習慣の見直し」が不可欠となるのです。こうした視点からの「脳を活性化する生活習慣」の構築と実践とを全国民的な「テーマ」として、特に、第二の人生に入っている高齢者(及び第二の人生を迎えようとしている50歳代の人たちを含む)に、このブログを通じて、呼び掛けていきたいと考えているのです。

注)本著作物(このブログA-73に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

 エイジングライフ研究所のHPここを「クリック」してください)

 脳機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)

 

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アルツハイマー型認知症専門ブログ(発病の原因、回復と予防)(A-72)

2013-01-01 | アルツハイマー型認知症に対する正しい知識

○ 専門ブログ開設の目的

このブログは、認知症の大多数、90%以上を占めていて、認知症の専門家達から「原因もわからないし、治すことも出来ない」とされている「アルツハイマー型認知症」について、出来るだけ分かりやすく世の中に、(特に、東日本大震災を被災された被災地の高齢者達及び市町村の保健師さん達に)知らせたいとの思いから、根拠となるデータの開示を含め、概要を公開しているものです。私達の主張や問題提起や基礎データの根拠は、1995年に「エイジングライフ研究所」を立ち上げて活動を開始して以来これまでに、「440を超える市町村」で実践指導してきた「地域予防活動」の成果に基づいています。

 「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズム、早期発見による回復、症状の進行の抑制と適切な介護の在りかた、そして個人及び地域単位での「アルツハイマー型認知症」の予防の仕方が、本ブログの「テーマ」です。「マニュアル」化され、「システム」化された「二段階方式」と呼ばれるそのシステムの使用は、有償、(使用許諾契約の対象は、市町村の健康・保健・福祉課など、在宅介護支援センター、地域包括支援センター、介護施設事業者及びNPO法人に限定されています)となっていますが、このブログの中で、「その概要」を逐次みなさんに公開していくつもりです。

「市町村」と「地域」との共同による、「アルツハイマー型認知症」の「予防」を目的とする「地域予防活動」(脳の使い方としての「生活習慣の改善」という考え方の地域住民への浸透とその日常生活レベルでの実践並びに早期診断による「アルツハイマー型認知症」からの回復のための窓口の開設)が全国的に拡大され普及することにより、「アルツハイマー型認知症」とは無縁の「第二の人生を完走」していただける「超高齢化社会」の実現に大きな役割を果たすことができると考えています。その根拠となる「脳機能データ」の開示を含めた「概要」を公開するのが、この専門ブログの役割です。

 「アルツハイマー型認知症」については、世界で最も権威があるとされている米国精神医学会の診断規定である「DSM-4」における定義で、「記憶障害」の症状(第一の要件)と末期段階の「重度の症状」だけに見られる失語や失行や失認の症状(第二の要件)とを「アルツハイマー型認知症の診断要件」として規定している為に、認知症の専門家とされる精神科医による診察では、認知症が気がかりで訪れる人の診断の際、「末期段階の重度の症状」を示している場合でないと「認知症」とは診断されないと言う結果を導くこととなっているのです(「DSM-4」の規定の問題点については、逐次説明していきます)。そのベースの上で、家族も「重度の記憶障害」の「症状」が出てくるようになって、どうにも手に負えなくなって初めて本人を精神科医のところに連れていくので、(「アルツハイマー型認知症は、原因も分からないし、治らない病気」)にされてしまったのです。「アルツハイマー型認知症」は、治らない病気ではないのです。「DSM-4」の規定に問題があって、その為に見つけるのが遅すぎる、言い換えると、「末期の段階」でしか見つけられないから、「原因も分からないし、治らない」病気にされているだけなのです。 その基準が現在もまかり徹っているために、我が国には300万人もの認知症のお年寄りが居るのです(その全てが、末期段階の「重度認知症」の段階の人達)。  

 その結果、回復可能な軽度の認知症の段階は、専門家達から「不活発病」や「老化現象」の名前を張られるだけで、見過ごされ、放置されたままになっているのです。「不活発病」のレッテルを貼られているものが最も初期の段階の症状(回復が容易な小ボケ)であり、「老化現象」と混同されているものが中期の段階の症状(回復が未だ可能な中ボケ)であり、原因も分からないし治らない介護の対象とされているものが末期の段階の症状(回復が困難な大ボケ)なのです。

 「アルツハイマー型認知症」に関して出版されている本は、そのほとんどを読みました。新刊本も読みました。「アルツハイマー型認知症」をテーマにしているブログやホームページも、それなりのレベルで書かれているものは、ほとんど読みました。それらのほとんどの記事で、「アルツハイマー型認知症」の発病原因や症状の進み方の特徴等について書かれている内容は、誤りだらけと言うほかありませんでした。更には、「アルツハイマー型認知症」の回復と予防を「テーマ」とする記載については、どこにも見つけることができませんでした。「予防」がテーマとされている認知症は、唯一、「脳血管性認知症」だけでした。「アルツハイマー型認知症」の治療や予防を可能にするかの如くの「新薬の開発」に関する新聞記事やテレビの報道が時々見受けられますが、「治療や予防を可能にする薬の開発はあり得ない」ことを、このブログを読んでいる研究者や医師達に理解して欲しいと願うのです。

全ての記事は、「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症は、原因も分からないし、治せない」ものとして記述されており、発病の原因に関する推測として、アミロイドベータ説やタウ蛋白説や脳の委縮説等の概要が記述されているだけでした。私達は、(「アルツハイマー型認知症」は、「原因不明でも、治せないものでもなく」て、「早期の段階で見つけると治せるし、予防することもできるものなのだ」)という正しい知識を全国に広めたいと考えているのです。

「アルツハイマー型認知症」の回復と予防を「テーマ」にしているこのブログでは、根拠となる「多数のデータ」を開示することにより、認知症の専門家達を含めて世間全体の「アルツハイマー型認知症」に対する誤解を解消させていく一助となればと願ってい るのです。このブログを通じて開示する内容は、エイジングライフ研究所が1995年の活動開始以来、440を超える市町村で(市町村の保健師さんたちとの共同により)展開してきた、「アルツハイマー型認知症」の早期発見と回復(「相談窓口」)及び発病の予防を目的とした「認知症予防教室」の開催を中核とする、集団参加による「地域予防活動」の実践の成果に基づきデータ化され、システム化されているものの概要です。

 ○ 主な認知症の種類と全体に占める比率

我が国では、「アルツハイマー型認知症」の患者がどんどん増えてきています。ご存知のように、認知症にもいろいろな種類があります。いろいろな種類がある認知症の中で、その大多数90%以上を占めているのが、「アルツハイマー型認知症」と呼ばれるものなのです。その「正体」は、毎日の脳の使い方としての「生活習慣」が原因で、第二の人生を歩んでいる「高齢者」だけを対象にして発病する病気、「廃用症候群に属する生活習慣病」なのです。

ところで日本では、「若年性のアルツハイマー病(狭義のアルツハイマー病)」と「老年性のアルツハイマー型認知症」とをまとめて「アルツハイマー病」と総称していますが、これは大きな誤解を招くものです。若年性アルツハイマー病(狭義のアルツハイマー病)は、「アルツハイマー型認知症」とは性質が根本的に異なるものだからです。 「狭義のアルツハイマー病」は、特定の「遺伝子」に生まれつき異常が認められる人にしか認知症の症状が発症してこないのです。しかも、発病する年齢は、早いと30代で遅くても50代どまりなのです。そして、発病後に症状が進行する速さも、「アルツハイマー型認知症」の場合の症状の進行度合いとは全く異なる、比べ物にならない速さで進行するのです。そのうえ、現在の医療レベルでは、症状の進行を抑制する方法も、症状を回復させる方法もありません。認知症全体に占める割合も、老年性の「アルツハイマー型認知症」が90%を超えるのに対し、若年性の狭義の「アルツハイマー病」は1%程度なのです。

○ 脳機能のレベルと認知症の症状とのリンク

「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズムについて、重度の段階でしか認知症であるか否かの判定が困難な方法である脳の萎縮を基準に考えたり、原因ではなくて結果を示しているにすぎないアミロイドベータやタウタンパクによる老人斑の生成や神経原線維変化などを対象とする世間一般のアプローチと比べて、私たちのそれは根本的に異なるものです。

エイジングライフ研究所では、独自に開発した「二段階方式」と呼ばれる「現に生きている人達の脳の働き具合」とそのアウトプットである「症状」とをリンクさせて判定する方法により、「アルツハイマー型認知症」の予防を目的とする17年間に及ぶ市町村での実践活動の中で、極めて多数のデータを蓄積してきました。「脳機能と症状とのリンク・データ」が示す「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズムを、このブログの中で、簡潔に要約して載せたいと思います。「東日本大震災」の被災地の高齢者が他のどの地域の高齢者とも比較にならないほどの高い割合で「アルツハイマー型認知症」を発病すれば、「アルツハイマー型認知症は、生活習慣病である」という私達の考えが「疫学的に証明される」こととなり、専門家たちを含めて、世の中の考えを変える重要な契機になると考えています。  

○ 長い第二の人生を、「アルツハイマー型認知症」とは無縁で、完走しよう 

人生60年と言われていた一昔前の時代と違って、世界に先駆けて「超高齢化社会」に突入した現在の日本では、誰でも80歳90歳まで生きるのが当たり前となっています。会社や役所勤めの人のように定年がある場合がもっとも典型的ですが、60歳前後の年齢を起点にして、第二の人生に入るのが通常でしょう。人生60年と言われ、第二の人生の期間が殆どなかった昔の人達の老後とは違って、「超高齢化社会」に生きる私達には、「第二の人生」が20年も30年もある訳ですから、第一の人生がどうだったかだけでなく、「第二の人生」がどうなるかがとても重要な意味を持ってくることになります。第一の人生がどんなに立派でも、第二の人生ではやばやとボケてしまったのでは、人生を全うしたことにはならないでしょう。

「アルツハイマー型認知症」は、「狭義のアルツハイマー病」とは発病のメカニズムも症状の進行の度合いも回復と予防の可能性も全く異なるものなのです。「アルツハイマー型認知症」は、「症状が、何年もかけて、徐々に段階的にしか進行しない」のが特徴なのです。世間で「アルツハイマー型認知症」を発病してから死亡するまでの期間について言及しているものを見かけますが、あの数値は、末期段階の「重度認知症」(大ボケ)から数えた数値なのです。私たちが問題にしている、「軽度認知症」(小ボケ)の段階と「中等度認知症」(中ボケ)の段階を加えると、「脳はもたないのに、はるかに長く身体はもつ」ところが、このタイプの認知症の特徴なのです。

 日本全体の高齢化率も25%が目前です。手遅れにならないうちに、市町村を中核とした「地域予防活動」を展開し、普及させることが求められているのです。高齢化がどんどん進んでいく中で、独居老人や老夫婦のみの世帯がしだいに増加してきている現状をふまえるとき、お年寄りが、「いつまでも元気なままでいられる」、「身体が持つ限り、脳もちゃんともたせる」、或いは、「年齢相応の社会生活が送られるレベルに脳の機能を保つ」ための施策が、全ての「市町村」で切実に求められているのです。事業としての「必要な収益」を挙げることが期待できない、早期診断による回復や予防は、医療機関が中核となることは、困難だからです。「アルツハイマー型認知症」について、正しい知識を世の中に広め、早期発見と回復並びに予防と密接な関係がある、日々の脳の使い方としての「生活習慣」の改善に向けて、国民的な関心を呼び起こしたいと私たちは考えています。

 注)本著作物(このブログA-72に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

エイジングライフ研究所のHPここを「クリック」してください)

脳機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)

   http://blog.goo.ne.jp/quantum_pianist

 http://blog.goo.ne.jp/kuru0214/e/d4801838dd9872301e0d491cd8900f1a

 
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