認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

発病の引き金を引くのは、記憶障害ではなくて、前頭葉の機能障害 (F-12)

2021-09-30 | アルツハイマー型認知症の予防が国民的課題

 コロナ下に 狂騒と迷走招く 世の乱れ カンナ咲く庭 忌中の札

&1 重層的な『意識』の構築、分離、統合及び管理と注意の分配力との関係

1.「意識的(目的的)」な思索、行為、行動、発言及び言動の世界と『前頭葉』の個別認知機能群(『実行機能=Executive Function』と総称)によるその認知及び機能の発揮の仕組み

意識的(目的的)に何等かの「テーマ」を実行する場面では、自発性、観察、分析、考察、洞察、推理、憶測、忖度、想像、理解、興味、関心、発想、連想、企画、計画、創意、工夫、予測、シミュレーション、検索、比較、選択、修正、整理、機転、感動、抑制、決定及び決断等、「前頭葉」の機能を構成している各種の個別の認知機能(実行機能)を正常に発揮する上で、一定レベル以上での『認知度』が確保されていることが不可欠となるのです。

認知度が一定レベル以下だと、上記に例示した「前頭葉」の各種個別の認知機能(=実行機能)自体が必要なレベルで発揮されなくなるのです。

評価の物差し(意識の首座=自我)」による評価、注意、観方に基づいて、『注意の分配力』の機能が、「実行機能」を駆使して、メタ認知し及び実体験認知する際、意欲、注意の集中力及び注意の分配力という『前頭葉の三本柱』の機能がわらないと、「認知度」と「発揮度」とが共に発揮されないこと、即ち「前頭葉の三本柱」の機能レベルと評価の物差し及び実行機能の発揮とが「リンク」していることに注意して下さい。この機能構造を、『機能発揮上の二重構造』と私たち「二段階方式」が独自に命名しているのです。

2.『前頭葉』(前頭葉の三本柱の機能、評価の物差しの機能及び実行機能から構成されている複合機能体であると、私たち「二段階方式」は理解)を中核の機能として、有機的な連携のもとに、手足となる「左脳」、「右脳」及び「運動の脳」並びに「記憶の倉庫」も参加して、脳全体で何をどのように実行するのかを組み立てるには(自分が置かれているその状況を分析し、理解し、判断し、判断に沿って実行すべき「テーマ」をいくつか発想し、その中から1つを選択し、その実行内容及び実行の程度と態様とを企画し、計画するには)、先立って且つ、常に、必要な機能レベルでの「意欲」と「注意の集中力」の継続的な発揮が不可欠となるのです。自分が現在置かれている状況と環境の判断をベースとして、様々な状況の変化を予測して考慮しつつ、いく通りかのケース・シミュレーションを経た上で最終的な実行内容及び実行の程度と態様とを決定し、実行の決断を下して最終的に実行に移すには、『注意の分配力』の機能の継続的で、高度な発揮が不可欠となるのです。これが、意識的で、目的的な世界に於ける脳の働き方なのです。

上述のように、私たちが「前頭葉の三本柱」の機能と名付けている「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の機能が、「三頭立ての馬車」の「御者」の役割、意識的な世界における脳全体の司令塔の役割を担っている『前頭葉』の機能の構成要素である「個別認知機能群」(=実行機能)によるその認知度及び機能の発揮度を左右し、下支えする働きを担っていて、個別の「認知機能群」の機能を十分に発揮するに際しての『二重構造の関係』(私たちのネーミング)が存在しているのです。世界中の脳科学者や認知症の専門家とされる人達の誰もが、未だ気づいてはいないその「テーマ」である、「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズムが解明され、脳全体の司令塔の役割を担っている『前頭葉』という脳機能の働き方のメカニズムにも注目が集まることにより、「重層的」な複数の意識の同時存在並びにそれらの覚醒度及び内容を構築し、統合し、分離し、管理し、コントロールしている機能が、『注意の分配力』の機能を核心とした『前頭葉の三本柱』の機能であるという視点と理解とが、専門家達に要求されるのです。

3.そのテーマには、「前頭葉」の三本柱の機能の一つであり、廃用性の異常な機能低下という視点で言うと最初にその機能が衰えていくところの『注意の分配力』の機能が直結しているのです( アルツハイマー型認知症発病のメカニズムを解明する上で、不可欠の視点)。「意識」が存在している世界と言っても、各「意識」の覚醒度及び内容が様々に異なる(複数の意識の並存)が常態である世界、対象となる特定の「主題」に絞り込まない限り基本的には常に複数の重層的な「意識」が構築されて存在しているという、私たち人間だけに特有な「意識の世界」に、脳科学者達が未だ気づいていないのです。

或る特定の「主題」に「意識」を集中させ、一定レベルでの機能を発揮させるには、「意欲」と「注意の集中力」の機能の発揮が不可欠となり、複数の「主題」について「注意」を同時に分配させて、一定レベルでの機能を同時に発揮させるには、一定レベルでの『注意の分配力』の機能の正常な発揮が不可欠となるのです。但し、我が身が置かれている状況下での「主題」を選択し/特定の内容に意識を集中させる機能は、「前頭葉の三本柱」の機能ではなくて、別の機能である、即ち、『評価の物差し=意識の首座=自我が関与することにより/且つ同時に、「覚醒された意識」の世界が出現することになるのです。『評価の物差し』の機能には、カメラのレンズの焦点を特定の主題に選択的に切り変え、且つ絞るかのような機能が備わっているのです。

4.ナイナイ尽くしの単調な生活習慣の継続に起因する廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行を本態とする『アルツハイマー型認知症』の場合は、脳の機能に衰えていく明確な順番があり、「前頭葉」の三本柱の機能、就中最も高度な機能である『注意の分配力』の機能から異常なレベルに衰えていくのです(前頭葉、左脳、右脳、運動の脳の順番に、廃用性の機能低下が進行して行く=アミロイドβ仮説では、説明が不可能)。私たちの区分で言う「軽度認知症」(小ボケ)の段階では、自分が置かれている状況の分析と理解と判断も、状況判断に沿った「テーマ」の発想も、テーマに沿った実行内容の企画や計画も、実行結果についてのシミュレーションも、実行の決断も、「前頭葉の三本柱」の機能、就中、『注意の分配力』の機能の発揮が異常なレベルに機能低下が進行してきていることを基礎/反映した「アルツハイマー型認知症の症状」が発現してくるのです。世界中の権威が有るとされる人たちは、この機能構造に気づいていない為に、「記憶の障害」と言う誤った的に焦点を絞って、間違った場所に、間違った方法で矢を射かけているだけなのです。

&2「アルツハイマー型認知症」の発病と「記憶障害」の要因との関係

1.生まれつき「特定の遺伝子に異常」が存する人だけを対象に発病するタイプの認知症を最初に発見したドイツ人「アルツハイマー」の名にちなんで「アルツハイマー病」と呼びます。その「アルツハイマー病」の場合は、30歳代から50歳代までの「若年で発症」するのが特徴なのです。

「器質的な原因病変」は何等存在していなくて、認知症の症状が発現して来るお年寄りが居ます。そのお年寄りの症状について、極めて重度の症状である失語や失認や失行(紛いの)症状が確認されていたお年寄りの死後の「脳の解剖所見」で、アミロイドβの蓄積に因る老人斑、タウ蛋白の蓄積に因る神経原線維変化、脳の顕著な萎縮が確認されるだけなのです。後者については、特定の遺伝子異常が確認できないものの、死後の「脳の解剖所見」で同じものが確認されることから、後者を「アルツハイマー認知症」と呼ぶことになったのです。

2.『3つの仮説』は、未だに主張されているものの、現状は瀕死の状態

アルツハイマー型認知症』(生まれつき「特定の遺伝子に異常」がある人達だけが発病の対象となり、30歳代から50代までの若年発症が特徴である所謂「アルツハイマー病」とは、全く異なるものであることに注意して下さい。

専門家と称しながら、両者を纏めてアルツハイマー病」と呼称する人たちが多いのです)の発病原因については、以下に例示する「3つの仮説」が、世界的に、今猶主張されています。「仮説」という扱いが為される意味は、各々が、「発病の原因」と主張する内容と「アルツハイマー型認知症」の発病との間の『因果関係』が存在していることについて、未だに実証できていない為に仮説の扱いが為されているという訳なのです。

➡ 『記憶障害という原因条件が存在しない限り、アルツハイマー型認知症の発病という結果は起きてこない』ということが、実証されない限り、「記憶障害」が「アルツハイマー型認知症」の発病を惹き起こす直接の原因とは言えないということになるのです。夫々が、世界的に、それなりに権威がある(支持する学者の数が、それなりに有る)とはいえ、それ等「3つの仮説」は、全てが、『アルツハイマー型認知症は、記憶の障害に起因して発病する』との想定に立脚した構想の下での単なる仮説なのです。

⇒米国精神医学会が策定した「アルツハイマー型認知症」の診断基準である『DSM-4』の第一要件が、「記憶の障害に起因した症状が発現する』と規定してある内容を鵜呑みにして、「末期の段階」にまで症状の重症化が進行していたお年寄りの死後の「脳の解剖所見」に見られる3つの特徴が「発病原因である記憶の障害を惹き起こす要因と想定」したのが、以下の(1)、(2)、(3)の「仮説」の始まりなのです(想像と憶測と推理に基づいて、記憶障害に起因して発病するという前提条件を想定し、それが原因で発病する/症状が発現すると憶測し、構想しただけの仮説に過ぎないのです)。

(1) アミロイドベータ仮説(通説=支持している学者の数が一番多いだけ):

アミロイドベータの蓄積により発現して来る老人斑が持つ毒性が、情報を連絡する神経細胞の大量死を惹き起こすことに因る記憶障害に起因して、「アルツハイマー型認知症」の症状が発現すると主張する仮説。アミロイドベータ仮説の考え方に基づいて、治療薬の開発が試みられたが、全てが失敗に終わっている。同じアミロイドベータ仮説の考え方に基づいて開発された「アデュカヌマブ」という薬は、一旦発病してからでは、治療の効能を有する薬の開発は困難であるとの考えで、アミロイドベータが僅かでも確認された段階でその除去を目的とした発病の予防薬という謳い文句ではあるが、&4に詳細を説明するように、二段階方式が解明した「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズムからも、発病を予防及び/又は症状の進行を抑制する効能は有していないものなのです。

(2) タウタンパク仮説:

情報を連絡する神経細胞にタウタンパクが沈着することにより、情報を連絡する神経細胞の神経原線維変化を惹き起こすことに因る記憶障害に起因して、「アルツハイマー型認知症」の症状が発現すると主張する仮説。

(3) アセチルコリン仮説:

情報の連絡に関わるアセチルコリンの不足が惹き起こすことになる記憶の障害に起因して発病すると主張する仮説。

(4) 3つの仮説は、「DSM-4 」の第一要件の内容が(正しいことを前提とした)仮説にすぎないのです。

3.記憶の障害(それに起因した症状)は、発病原因ではなくて、結果

記憶の障害というとき、彼等が取り上げるのは、物忘れの症状のことなのです。物忘れの症状が、①加齢(正常老化の要因)に起因して発現して来る軽度の物忘れから、②アルツハイマー型認知症の発病ではないが、①の物忘れの症状よりは、もう少し重い物忘れの症状と、同時に軽度の認知機能障害を伴うレベルのものという極めて曖昧で単純な基準で『MCI』(軽度認知障害)の基準 (&6で、MCIの基準が抱える問題点について詳細に説明します)が取り上げる段階の症状があり、その次に、③「アルツハイマー型認知症」の発病としての「重度の記憶障害」に起因した失語や失認や失行(紛いの)症状を初期症状とするアルツハイマー型認知症の症状が存在していると主張するのが、世界中の専門家達の言い方なのです。➡ 失語や失認や失行(紛い)の症状が認知症発病の初期症状であると主張(重大な誤り)しているのです。

(1) このMCIの基準も、「記憶の障害」(物忘れの症状)がアルツハイマー型認知症発病の有無を判定する上での核となる要因だと主張(単なる誤解)しているのです。

(2) 記憶の障害自体が、後述するように、前頭葉の機能障害に起因して発現して来ることに無知なのです。その意味からも、「アルツハイマー型認知症」を発病させている原因は、記憶障害でなくて、「前頭葉の機能障害」なのであり、解明すべきは、『前頭葉の機能障害』を惹き起こさせている要因なのです。

人間だけに特有な世界の要の機能、「意識的な世界」における脳全体の司令塔の役割を担っている『前頭葉』の機能について、何が、どのようなメカニズムが、その機能障害を惹き起こしているのかの解明が、すなわち、『アルツハイマー型認知症』の発病及び症状が重症化するメカニズム、更には、症状の回復、症状の重症化の進行の抑制、果ては、「発病自体の予防」の方法の解明へとつながるものであることを、世界中の、専門家達に問題提起したいのです。アミロイドベータ仮説の主張者は、マウスを研究材料にして、「アミロイドベータの注入量とマウスの記憶の機能レベルの変化」を追求しているのですが、「前頭葉の機能が備わってもいない、ましてや、『注意の分配力』の機能が備わっていないマウスの行動を追求するのは、時間と費用と人材の無駄遣いなのです。

&3 『注意の分配力』という脳機能の特徴的な役割と重要性

1.『注意の分配力』という脳機能の特徴

(1) 「散歩しながら暗算をする」とか言う風に、『異なる二つのテーマを同時に並行して実行する』ことが、『脳を活性化させる』とか唱える人達が出てきて、『デュアル・タスク』という言葉が一世を風靡したのは、まだ、記憶に新しい出来事なのです。「注意の分配力」という脳機能の紹介をしている訳なのですが、実は、その人たち自身が、「注意の分配力」の機能についての深く正しい意味を知らないのです。私たち人間だけに特有な世界である「意識的な世界」、目的的な世界を構築している要の機能が、『注意の分配力』という脳機能であり、デュアル等という簡単な機能ではないのです。彼等に対する啓蒙の意味も含めて、「正しい意味」を詳しく説明しておくことにします(『意識』の機能構造自体が、世界的にも、未だに解明されていない状況の中で、「注意の分配力」の機能は、意識に関わる要の機能でもあるのです。「あの人は頭の回転が速い」と言う言葉に代表されるように、とっさの判断や処理にも不可欠の機能なのです=高齢者が惹き起こす日常的で軽微な自損事故や、ときには重大な自動車事故の原因=二段階方式の脳機能データとその解析結果)。

(2) 『注意の分配力』の機能と言うのは、「意欲」及び「注意の集中力」の三者を含めて、私たち「二段階方式」が、『前頭葉の三本柱』の機能と名付けている極めて重要で核心的な機能なのです。

「二段階方式」の定義で言うと、『注意の分配力』の機能は、『3つ以上の異なる複数の「テーマ」或いは、「意識」を同時に、並行して処理し、管理する上で不可欠の機能であり、並びに、「意識」(覚醒の度合い及び内容がそれぞれに異なるのが、意識的な世界の常態であることに注意)を構築し、統合し、統括し、分離し、管理し、コントロールする上で、不可欠の機能なのです(意識の研究者達、世界中の権威機関が、このことに、未だに気付いていないことが、重大問題)。

加齢の進行という要因(正常な老化現象)に因り、「物忘れの症状」が発現して、頻度が増し、程度や態様がより重いものになって行く原因が、この「注意の分配力」の機能の加齢に因る機能低下の進行の直接的な反映であることが、専門家とされる人達の間でも、殆ど知られていないことなのです。そもそも、『物忘れの症状』が発現して来る原因は、記銘する機能の低下と想起の機能の低下との「相剰効果」に因るものであり、両者がともに、「注意の分配力」の機能の機能低下の「直接的な影響」を受けることに気づいていないのです。

私たち「二段階方式」が集積した脳機能データである「正常老化の曲線」は、実行機能の発揮度を下支えし、支配している「注意の分配力」の機能を核心とする「前頭葉の三本柱」の機能は、30歳代の半に入ると緩やかではあるが明確に下降して行くカーブを描き出すことを示しているのです。その直接の反映として、所謂『正常な物忘れの症状』が発現して来ることになるのです。

その、加齢という要因のみに起因したものとしての所謂『物忘れの症状』は、加齢の進行に連れて、頻度や程度や態様が増していき、仕事とは無縁の日々となる「第二の人生」を送る高齢者の場合は、日常茶飯事のものとなってくるのです。従って、老化要因のみに因る記憶障害であるか(正常な物忘れの症状)、アルツハイマー型認知症の発病の結果としての記憶障害の症状であるか(異常な物忘れの症状)は、『前頭葉』の機能レベルが、①正常なレベルに在るか(所謂、物忘れの症状)、②異常なレベルに在るか(認知症発病の症状としての記憶障害の症状)を精緻に、客観的に判定することでしか、鑑別することが出来ないのです。その『前頭葉』の機能レベルが正常であるか、異常であるかを客観的な方法で、且つ、精緻に評価し、判定し、鑑別出来る手技は、世界中を見渡しても、私たち「二段階方式」の『改訂版かなひろいテスト』しか、開発されていないのです。そのため、権威とされる人達は、物忘れの症状について、主観的な言葉による区分けしかできないでいるのです。

生きた人間の『認知機能』を問題とする以上、手足の役割を担っていて、大脳後半領域の機能である左脳と右脳の機能レベルでなくて、前頭前野の穹窿部局在する脳全体の司令塔の役割を担っている『前頭葉』の機能レベルを第一に評価し、判定し、鑑別すべきことに、専門家の誰も異論がないはずなのです。

※ 『注意の分配力の機能』の分かり易い説明として、前回のブログで説明した、車の運転時の「注意の分配力」の機能の発揮の状況を以下に、引用し、説明します。⇔仲のいいお友達を助手席に乗せ、好みのBGMを流しながら、女性の活躍が目立ったオリンピックの思い出話に花を咲かせながら、交通量が比較的に多い街中を、昼間に運転している状況を想像してください。こうした状況が、異なる3つ以上の複数のテーマを、同時に並行して処理している状況なのです。会話の流れを把握し、会話の内容を理解し、楽しみながら、他方で、BGMを楽しみながら、更には、行き交う車の動きやその変化にも注意しつつ、信号の色の変化にも気を配りつつ、どんどん代わって変化して行く周囲の景色にも目をやり、楽しみつつ、運行する周りの車のスピードの変化に合わせてアクセルを踏んだり、時にはブレーキを踏んだりして、自分の車の速度の維持や変化にも注意しながら、目的とする喫茶店に向けて、適切に車を運行して行くことが出来るのです(小ボケになると、それが、出来なくなるのです)。

(3) 私たち二段階方式の「改訂版かなひろいテスト」は、『かなで書かれた「お話」を①読んで行きながら、同時に並行して、②読んだところまでの話の概要を把握し、理解し、③覚えて行きながら、④「あ、い、う、え、お」が出てくるその度に、そのかなに丸を付けて行く』という作業を実行して行く「神経心理機能テスト」なのです。作業が終わった時点で、⑤読んだところまでの「話の概要」を書いてもらうのです(ここまでが、テスト)。

このテストの目的は、被験者の有する「意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能」の働き具合(機能レベル)、を個別に及び三者を総合的に評価することにあるのです。

私たち人間だけに特有な世界である「意識的な」世界、意識が関わる世界は、「注意の分配力」の機能を核心としている「前頭葉の三本柱」の機能が構築し、統合し、統括し、分離し、管理し、コントロールしている世界なのであり、&4で詳細を説明するように、ナイナイ尽くしの単調な『生活習慣』が継続されている状況下で、「第二の人生」を送る「高齢者だけを対象(老年発症が特徴となることに注意)として、『前頭葉』を含む脳全体の機能が、廃用性加速度的異常な機能低下を進行させていくことに因り、『アルツハイマー型認知症』を発病し、症状の重症化が進行して行くことになるのです。

2.「記銘」と「想起」の機能の項目困難度の差異分析

(1)『記憶の構造』

記憶は、記銘した事象の内容を保持して、想起してくると言う過程を辿ります。その場合、記銘する対象の事象の内容(範囲と記銘度の深さ)は、様々な程度と態様となることは、経験則上明らかな事だと思うのです。その時の「自身の脳機能のレベルと機能の発揮度」とが常に関わってくるものなので、一旦認知された事象の範囲と内容とがそのまま記銘されることにはならないのであり、その上更に、機能構造的に、想起される範囲と内容とが直接的な影響を受ける結果として、想起される範囲と内容とは、記銘された通りのものとはなりにくいことになるのです。前頭葉の三本柱の関わり、就中、『注意の分配力の機能』の発揮度が記銘度及び想起の発揮度に対して、直接的に影響する為に、認知≧記銘≧保持≧想起という結果が生じてくるのです。

(2) 『MMSE下位項目の項目困難度の指標』という「脳機能データ」

①「想起」が最も困難度が高い(最も早くに、機能が衰えて行く)項目であるのに対して、「記銘」は、項目困難度が低い項目となるのです。

➡ 『MMSE下位項目の項目困難度』の脳機能データは、『アルツハイマー型認知症』の発病者(小ボケ、中ボケ及び大ボケの全ての段階を含む)と判定されたお年寄り14689人の「脳機能データ」であり、『事象の事実』を示す極めて重要な意味があるものなのです。

⇔「二段階方式」の手技を活用して集積し、解析した結果は、以下の通りとなるのです(以下に、「項目困難度が高い順」に表示します)。

想起、注意と計算、時の見当識、所の見当識、三段階口頭命令、模写、

文を書く、記銘、書字命令、復唱、命名

注)ここに示す『MMSE下位項目の低下順』は、極めて厳密な低下順を示すものであり、アルツハイマー型認知症の発病者である場合は、且つ、その場合に限って、必ず、この低下順に出来なくなっていくことが事象事実として示されているのです。世界的に通説の地位にあるアミロイドβ仮説も、タウタンパク仮説及びアセチルコリン仮説も、事象の事実としての『MMSE下位項目の項目困難度の指標』を説明することが出来ない(=それらの仮説の主張内容は、100%誤りとなる)のです。⇔この一事をもってしても、アミロイドベータ仮説の主張内容が、間違った内容であることの、科学的で、客観的な証拠データであると言い切れるのです。

(3) 「記銘と想起」の機能の関係の比較と分析

私たち人間だけに特有な「意識的な世界」、「目的的な世界」では、何等かの「テーマ」を実行して行く為に、『実行機能』がその機能を発揮することが不可欠となります。その「実行機能」の発揮度を下支えし、支配しているのが、『注意の分配力』の機能なのです。何かの事象を記銘するに際しては、異なる複数のテーマ及び意識を構築し、統合し、統括し、管理し、コントロールしている「注意の分配力」の機能の関与を出来るだけ(特定の記憶の対象に集中)して、意欲と注意の集中力の発揮度を高めて、記銘度を高めることが必要になります。よく記銘された対象が、よく保持されるからなのです。

記銘され、保持されている事象を(想起)するには、逆に、意欲注意の集中力の発揮度を出来るだけ高めると同時に、(記憶の倉庫)とのやり取りについて、あれこれ条件建てして検索する為に、注意の分配力の機能を最大限発揮させていくことが不可欠となるのです。

3.人間に特有な意識的な世界と「記憶のメカニズム」

(1) 「重度の記銘力障害」と海馬の萎縮

前頭葉』の機能レベルを精緻に判定する「手技」を持たない為に『側頭葉性健忘症』という病気が誤診されて、『架空の病気』である「若年性アルツハイマー型認知症」という病名が冠されているのです。1998年にオーストラリア人の女性、クリスティーン・ボーデンさんが、「私は誰になって行くの」という本を出版して、一躍世界的に有名になったのが、所謂『若年性アルツハイマー型認知症』と言う病気なのです。海馬の萎縮に始まる脳の変性により、『重度の記銘力障害』(記銘できないことに因り、想起が出来ない=直ぐに忘れてしまうと単純に考えられている)が発現して来ることから、「アルツハイマー型認知症」と誤解されていて、若年で発症するのが特徴であることから、単純に、「若年性のアルツハイマー型認知症」として世界的に有名となり、現在もなお、その誤診が世界的に広まっている架空の病気なのです。

「アルツハイマー型認知症」の発病による記憶障害の症状は、&3の2で詳細にデータを付して説明してあるように、「記銘」は出来るのです。末期の段階である「大ボケ」の後期の段階、30点が満点であるMMSEの総得点が一桁(9点以下)の段階になっても、3点が満点の記銘の項目は、満点をとるお年寄りが一番多い、良くできる項目なのです。一方で、『想起』は、11の下位項目中で最も難しい項目(機能が、一番最初に衰えて行く項目)であり、MMSEの総得点が26点の段階になると、3点が満点の想起の項目は、0点をとるお年寄りが一番多い項目、最も難しい項目(一番最初に、衰えて行く項目)なのです。

⇔(記銘)自体に極めて重度の障害が存する為に(想起)に重大な支障が出ることが特徴である記憶障害、即ち、(重度の記銘力障害が特徴)である『側頭葉性健忘症』並びに記銘する機能は、最後まで残っているのが特徴である「アルツハイマー型認知症」の特徴を知らないで、鑑別が出来ない為に、両者を混同しているのです。

(2) 『側頭葉性健忘症』の特徴は、重度の記銘力障害と海馬の萎縮が確認されるものの、『前頭葉』の機能が正常なレベルに在ることが確認される特徴を有する病気なのです。専門の医師達から、重度の記銘力障害と海馬の萎縮の確認だけにより、アルツハイマー型認知症の発病者とされ、(若年で発症することから)若年性アルツハイマー型認知症と(誤診されている)のです。

脳の変性により情報の入り口としての海馬の機能が障害されることに因り、重度の記銘力障害が発現して来るのです。「直前の事象」でさえも、「記銘」されない為に、「想起」出来ないことに因り、重度の記憶障害の症状と考えられていて、海馬の萎縮の発現を伴うことから、『アルツハイマー型認知症』の発病であると誤診されているものなのです。

※1『側頭葉性健忘症』についても、さしたる知識が無くて(鑑別する手技を有していない)、更には、『アルツハイマー型認知症』についてもさしたる知識が無くて(鑑別する手技を有していない)、両者の間には、①記銘力の相違だけでなくて、②『前頭葉の機能レベルの相違』が存在していることも知らないのです(『側頭葉性健忘症』は、「前頭葉」の機能が正常なレベルに在ることが特徴であるのに対して、『アルツハイマー型認知症』は、「前頭葉」の機能が真っ先に異常なレベルに衰えて行くのが特徴なのです。肝心の「前頭葉」の機能レベルを精緻に判定する手技を持たない上に、記銘力の相違にも気付いていなくて、両者を混同していて、『側頭葉性健忘症』の発病者を『アルツハイマー型認知症』の発病者であると誤診しているのです。側頭葉性健忘症は若年発症が特徴であり、アルツハイマー型認知症は老年発症が特徴であることも知らないで、『若年性アルツハイマー型認知症』という架空の病気が、実在しているかのような誤診が、世界的に横行していて、誤った報道がなされているのです。

2 二段階方式の区分で言う「中ボケ」の段階(脳の機能年齢は、幼稚園児程度)になると、発病している本人には、中ボケの段階で発現して来る様々な症状についての認識が持てないのです。自分が置かれている生活状況での種々の問題点を整理して、他人に言葉で伝えたりは出来ないのです。他方では、専門家達は、失語や失認や失行(紛いの)の症状が「初期症状」であると誤解しているので、中ボケの段階のお年寄りをアルツハイマー型認知症の発病者とは考えてもいない(見落としている)のです。

(2) 『長期記憶と短期記憶』が生じる機能構造の背景理解

上述のように、「よく記銘されたものが良く想起される」のであり、深い悲しみ憤り恐怖心或いは、心の傷を残すこととなった『心に深く刻み込まれた』事象、或いは、繰り返し記銘し覚え込んだ事象は、更には、内容の深い理解を伴う事象という要因が存在する分、記銘度が高くなる為に、良く保持されて、良く想起されるのです。これが、長期記憶と短期記憶を生じるメカニズムなのです。「海馬が、長期記憶と短期記憶とを区分けている」とする専門家達の説明は、単なる憶測や推測の産物なのであり、誤りなのです。そもそも、「どのような基準」で区分けているのかを考えてみるだけで、そうしたことが起こり得ないこととわかるでしょう。基本的に、記憶の対象となる事象は、左脳、右脳、運動の脳、「実行機能」、「前頭葉の三本柱」の機能が、夫々に/相互に関わりを持ちながら、複雑な関係上の役割をもって関わってくるものであり、「記憶の対象となる事象を都度、長期に保存すべきものと短期に保存すべきものに区分ける基準などは、存在し得ないはずと考えるべきもの」だからなのです。

(3) 長期に記憶されている記憶が、加齢とともに想起しにくくなる理由

想起の機能についても、加齢に起因した機能低下の進行という問題が存在しているからなのです。『チコちゃんに叱られる』に登場した脳機能データであり、二段階方式が誇る「加齢に因る前頭葉の老化曲線」がその証拠データなのです。

このデータは、各年齢についての多数の被験者に対して「かなひろいテスト」を実施したデータを集積したものなのです。前頭葉の三本柱の機能である意欲注意の集中力及び注意の分配力の機能を個別に及び総合的に判定し、評価した脳機能データであり、即ち、機能構造的に、「実行機能」及び「前頭葉」の老化曲線でもあるというものなのです。此処に取り上げた3種類の機能が、意識を構築している要の機能なのであり、「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症が、何等の器質的な原因病変が確認できない(実は、存在していない)にも拘わらず、認知機能が異常なレベルに衰えてきて、認知症の症状が発現して来る原因(根拠)なのです。専門家達が、このことに気づくべきなのです。世界中の専門家達は、未だに、『器質的な原因病変』を探し求めているのです。

➡ 「中ボケ」の前期の段階にある「お年寄り」の特徴として、「最近の事象」について思い出せない(想起出来ない)のに対して、「過去の事象」については、以外にも、よく思い出すという特徴が確認できるのです。最近の事象は、記銘時の記銘度が低い(記銘する機能が異常なレベルに低下している)のに対して、過去の事象は、記銘度が高い(記銘時は、年齢が若く、且つ、発病してもいなかった為、前頭葉の三本柱の機能が正常で、もっと高度な機能レベルに在った)為、想起し易いのです。

&4『記憶の障害』が発現するメカニズム

(1) 人間だけに特有な「記憶のメカニズム」

そもそも、私たち人間の「記憶」は、無意識下で行われたり、睡眠中に整理されたりする機能構造にはなっていないのです。私たち人間だけに特有な世界である「意識的な世界」、即ち、「目的的な世界」で、行われているものなのです。意識的に何かのテーマを発想し、実行に移す際に、記憶が行われる(記銘して、想起する)ものなのです。記銘想起のはざまに存在する保持は、記銘に連動して起きてくるだけのものなのです。記銘度の高さに応じた保持が起きてくるだけのことなのです。その記銘と想起の問題については、前出の&2で、詳しく説明した通りなのです。「よく記銘された事象は、良く保持されて、良く想起される」のです。

睡眠中は、意識の覚醒の度合いが極めて低い状態を維持しつつ、サーカディアン・リズムの規制の下で、レム睡眠とノン・レム睡眠とを繰り返しているのです。意識の覚醒の度合いが極めて低い状態下では、意欲や注意の集中力及び/又は注意の分配力の機能を発揮しようにも機能レベル自体が極めて低い状態にあるのであり、その結果として、記銘度自体が極めて低いものとなる為、人は、睡眠中には記憶の整理など行われ得ないことを知るべきなのです。➡ マウスと人間とでは、「記憶のメカニズム」が根本的に異なるのです。

(2) 所謂「物忘れの症状」(加齢に起因した記憶障害)

記憶』は、①記銘して、②保持して、③想起する3つの過程を辿ります。

所謂「物忘れ」の症状も、「意識的な世界」、「目的的な世界」で起きてくるものなのです。意識的に何かのテーマを実行しようとしている際に起きてくるものなのです。その意識的な世界(且つ、目的的な世界)で、『実行機能』の働き具合を(機能の発揮度を)下支えし、支配し、管理し、コントロールしているのが、『前頭葉の三本柱』の機能なのです。その際に、異なる複数のテーマを処理する場面が起きてくるのが常態なのであり、その要となる脳機能が、『注意の分配力』の機能という訳なのです。分かり易い例で説明しましょう。遠く離れた町にお嫁に行って、生活している娘が、新型コロナに感染して、発症して、発熱が続いているのに、娘を受け入れてくれる医療施設が無くて、家で寝たままで居ると知らされたとしましょう。居ても立っても居られないのに、家には、アルツハイマー型認知症を患っていて、徘徊迄する義父が居るとしましょう。夫はと言うと、中国の武漢に海外駐在で行っていて、独りで、留守宅を守っている状況なのです。

夕ご飯の準備をしていても(冷蔵庫を開けて、アレッ?!何を取ろうとしてたんだっけ?)、階段を二階に上がって行き、部屋の扉を開けた途端に(アレッ?!何をしようとして二階に上がって来たんだっけ?)という風になってしまうのです。原因はどこに有るのか? 実行機能の働き具合を下支えし、支配している『注意の分配力』の機能が備わっていることに因り、私たち人間だけが、『3つ以上の異なるテーマを同時に並行して実行することが出来る』のです。「物忘れの」症状が発現して来る最大の原因は、此処に在るのです。

新型コロナに感染して自宅で療養している娘のことが、何をしていても、常に気になってしょうがないのです。夕ご飯のおかずにと、魚を煮つけようとしていて、しょうゆを取り出そうと考えたときも、娘のことが気になって仕方がないのです。『高熱が出てきてないか、医師との連絡は取れているのか』心配で、娘のことがあれこれと気に懸かりながら、『同時に並行して、他のテーマを処理しようとしていた』為に、起きて来た事件なのです。心ここに有らざる状態下で、醬油を取ろうとしたり、或いは、二階の部屋にスマホを置き忘れたことに気づいて取りに行こうとしていた訳なのです。この状況を脳の機能面から説明すると、『注意の分配力』の働きによって、「異なる複数のテーマを同時に並行して処理」しようとしていた訳なのです。

その際に、無意識に何かをしようとしていたのでなくて、意識的にしようとしていたのです。「注意の大半の部分」が娘のことに分配されていて、しょうゆを取り出そうとか、スマホを取ってこようとか言うテーマに対しては、ほんのわずかしか分配されていなかったということなのです。ほんのわずかしか注意が分配されていないテーマについては、『記銘度が低くなる』為に、想起できなかった(「物忘れ」が生じた)いうことなのです。これは、注意の分配力の機能を筆頭にして、「前頭葉の三本柱」の機能について起きてくる、『加齢に起因した脳機能の老化=機能低下』の進行という要因が犯人なのです。

➡ 『アルツハイマー型認知症』の発病原因については、&5で詳細を説明してあるように、『加齢』に因る機能低下の進行(=機能の老化)が、第一要件なのですが、加齢という要因だけでは、発病はしないのです(第二要件が必要)。

3.「アルツハイマー型認知症」発病としての「重い記憶障害の症状」

(1) 『DSMー4』の第二要件が規定する失語、失認、失行の症状問題点

米国精神医学会が策定した「アルツハイマー型認知症」の診断基準である『DSM-4』の規定は、その「第一要件」で、「記憶障害」に起因して発病すると規定していて及び「第二要件」で、失語や失認や失行の症状が発病の「初期症状」であると規定しています。実は、失語や失認や失行(紛いの)の症状は、MMSEの総得点が一桁、9点以下の段階にあるお年寄りに初めて確認される症状、極めて重度の症状なのです。その結果として、「第一要件」で確認を要求されている「記憶の障害」を充足するものとしては、『重度の記憶障害の症状である』こととなってしまうのです。専門家とされる人でさえ、『昨日友達とレストランに行ったこと自体を思い出せないのは、「アルツハイマー型認知症」発病としての記憶障害の症状であり、その時何を食べたか思い出せないのは、「加齢」による物忘れの症状である』等と、思わず笑い出したくなるような説明をしているのです。正しい判定、鑑別を行う為には、『廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行に因り、前頭葉の機能が、異常なレベルに在ることが確認される』ことを必要とするのです(&5参照)。

(2) 徘徊』に特別の意味は無い

アルツハイマー型認知症』を発病して、末期の段階にまで重症化が進行したお年寄りに確認される症状として『徘徊』が有ります。その徘徊には、本人なりの「目的」があると説明する人達がいます(介護従事者の発言の場合が多い)。脳の機能レベルという視点が無くて、「前頭葉」の機能レベルを精緻に判定する手技も有していなくて、介護している中で、外観的に観察し、憶測しただけの「素人の感想と発言」のレベルに過ぎないものなのです(脳機能について無知)。

MMSE下位項目の項目困難度のデータから説明します。①「時の見当識」は、MMSEの総得点が一桁(9点)になった時から、5点満点である「時の見当識」の得点が0点のお年寄りが一番多くなるのです(0点であるということは、昼夜の区別もつかないという意味なのです)。②「所の見当識」は、MMSEの総得点が一桁(9点)になった時から、5点満点である「所の見当識」の得点が0点のお年寄りが一番多くなるのです(0点であるということは、自分が今いる場所の区別もつかないという意味なのです)。③『アルツハイマー型認知症』を発病して、「徘徊」するお年寄りとは、「時の見当識」も「所の見当識」も、「人の見当識」も機能が殆ど残っていない、働いていないのです。『意識的な世界』における「脳全体の司令塔の役割」を担っている「前頭葉」の機能が、就中、注意の分配力の機能が極めて異常なレベルに在るものの、身体が丈夫である為に、何かの拍子に「住んでいる住居を出たら、意味も目的も無く、歩いて行き、自分が現在何処にいるのかも分からない儘に歩き続ける」結果、「徘徊」して歩き回るということになるのです。家のある場所を忘れた(重度の記憶障害)ことが原因ではないのです➡ 夜中に騒ぎ回ったり、「田圃へ様子を見に行く」とか言い張って、外に出て行こうとするのも、同じことなのです。失語が確認されるということは、簡単な会話さえも、意味の有るやり取りは出来ないということなのです。徘徊や発言は、なにか特別の意味がある行動でも、発言でもないのです。『注意の分配力』の機能が極めて異常なレベルに在って殆ど働かないことの反映、『前頭葉』を含む脳全体の機能レベルのアウトプットが、『大ボケ』の段階の症状として発現してくるものなのですから。

※『DSM-4』の第二要件が、失語や失認や失行(紛いの)の症状が「初期症状」であると規定している為に、中ボケは、発病とは考えられていないのですが、「中ボケ」の段階で既に、日々我が身に起きている『症状の自覚が出来ない』のが、特徴なのです。

&5 「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズム

1.「意識的な世界」と「実行機能」の機能構造

(1) アルツハイマー型認知症というタイプの認知症は、器質的な原因病変が確認されないにも拘らず、私たち人間だけに特有な「意識的な世界」、且つ、「目的的な世界」において、すなわち、何等かの「テーマ」を実行する場面で、『実行機能』の発揮レベルが異常なものとなることに因り、認知症発病としての症状が発現して来るのが特徴なのです(世界中の専門家とされる人たちが、この視点に未だに気づいていない為に、発病の原因をめぐって、迷走を続けているのです)。

※ ここに、『実行機能』(Executive Function)とは、自分が置かれている「状況」を分析し、理解し、判断して、状況判断に沿った何等かの「テーマ」を発想し、発想したテーマの実行内容を企画し、計画して、想定した条件の下で実行の結果を洞察し、推理し、シミュレーションして、シミュレーションの結果を比較し、評価し、修正し、最終的な実行内容及び実行の仕方を選択し、決定し、実行の決断をして、脳の各部に対し実行の指令を出す等、テーマの発想とその実行に必要となる様々な個別認知機能総称した脳機能なのです(他に、抑制感動等もある)。

(2) その「実行機能」が肝心の機能を発揮するには、「前頭葉の三本柱」の機能の要である『注意の分配力』の機能が関与しないと機能が発揮できないという機能構造上の問題、私たち「二段階方式」が世界で初めて発見し、『実行機能の機能発揮上の二重構造』と名付けている問題が存在しているのです。

(3) そうした個別の「認知機能」(それらの総称が、『実行機能』)が必要なレベルでの機能を発揮するには、常に、『注意の分配力』の機能が関与し、下支えし、管理し、コントロールしているという機能構造が存在している訳なのです。

(4) 「小ボケ」の段階で確認される症状(□発想が乏しくなり、画一的な行動が目立つようになってくる、□同じ食材を買ってくることが多く、献立の単調さが目立つ、□一日や一週間の計画が立てられず、テーマを自分で思いつかない)、「中ボケ」の段階で確認される症状(□何度教えても、日付があいまいになる、□自分が飲む2~3種類の服薬管理が出来ない、□行き慣れている所に行くのに、スムーズにいけない)及び「大ボケ」の段階で確認される症状(□着ている服を脱ぎたがらず、便で汚れた下着をそのまま平気で来ている、□服を正しく着られなくなり、ズボンを頭から被ったり、上着に足を通したりする、□住んでいる家を出た後、帰える途が分からなくなり、そのまま徘徊する)等の症状は、全て、『注意の分配力』の機能が、廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行に因り、異常なレベルに衰えてきて、次第に働かなくなっている為に起きてくることを直接的に反映した症状なのです。末期の段階である大ボケの更に後期になって初めて発現が確認される失語や失認や失行(紛い)の症状も、同じメカニズムの下で、発現してきているものなのです。「記憶の障害」に起因した症状であると考えている人達は、脳機能についての理解が浅すぎるのです。

2.「加齢」による機能低下と「廃用性」の機能低下という要因

(1) 『アルツハイマー型認知症』は、何等の「器質的な原因病変が確認されない」にも拘らず、『前頭葉』を含む脳全体の機能が、廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させていくことが原因で発病し、前頭葉を含む脳全体の機能レベルに厳密にリンクした『三段階に区分される症状』が発現して来るのが特徴です。

(2) 発病後の症状が末期の段階にまで進行し、失語や失認や失行(紛いの)、極めて重度の症状が確認されていた発病者(第二の人生を送っていた高齢者)の、死後の脳の解剖所見で確認されるアミロイドベータの蓄積に因る老人斑の沈着やタウ蛋白の沈着による神経原線維変化や脳の顕著な萎縮等は、発病の原因ではなくて、発病し、症状の重症化が進行し、末期の段階である大ボケの後期にまで進んだ結果としての産物に過ぎないのです。

3.「二段階方式」の主張(正しいことを疫学的に実証済み)

(1) 発病の「第一要件」(『基礎要件』)

発病の第一要件は、加齢に起因した『前頭葉』機能の老化に在るのです。我が国での実態としては、「60歳を超える年齢の高齢者」が、発病の第一要件となるのです(二段階方式独自の規定内容であり、現時点で他に類例が存しないもの)。このことが基礎要因であるために、アルツハイマー型認知症は、『老年発症』が特徴となるのです(「正常老化の性質」のカーブが根拠)。但し、発病する為には、第二の要件の充足が不可欠となるのであり、「第一の要件の充足」だけでは、『アルツハイマー型認知症の発病は、起きてこない』ことに注意して下さい

(2) 発病の「第二要件」(『加重要件』)

発病を惹き起こす「第二の要件」、決定的な要件(『加重要件』)が、第二の人生を送る上で展開されるナイナイ尽くしの単調な『生活習慣の継続に起因した廃用性の異常な機能低下の進行(二段階方式独自の規定内容であり、現時点で他に類例が存しないもの)という要件なのです。猶、ここに言う『ナイナイ尽くしの単調な生活習慣』とは、「自分なりに追求する特定のテーマもなく、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、達成すべき目標も無い単調な生活習慣」を言います。この要因が、発病するか/しないか、症状の重症化が進行するか/しないかを区分け、決定づける『唯一の要因』なのです。このことを言い換えると、『仕事』とは無縁の日々となる「第二の人生」を送る上で展開され、継続される『脳の使い方』としての『単調な生活習慣の継続』なのであり、食生活も、学歴も、糖尿病の発病とも無関係のものである(直接の因果関係は存在しない)ことを注意喚起したいのです。

(3) 『アルツハイマー型認知症』の発病のメカニズムと正体(本態)

第一の要件」と「第二の要件」という、異なる二つの要因が同時に存在し、充足されることに因る「相剰効果」により、『前頭葉』を含む脳全体の機能が、廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させていくことに因り、①「前頭葉の三本柱」の機能に端を発し、②評価の物差しの機能が、③「実行機能」が、更には、④複合機能体である『前頭葉』の機能が異常なレベルに衰えて行くことを直接反映したもの、即ち、『前頭葉』を含む脳全体の機能レベルのアウトプットそれ自体が、『アルツハイマー型認知症』発病の症状として発現して来ることになるのです。

アルツハイマー型認知症』は、廃用性症候群に属する老化・廃用型の単なる『生活習慣病』に過ぎないというのが、「二段階方式」独自の主張なのです。

猶、この主張については、北海道から九州に跨る452の市町村での実践、「アルツハイマー型認知症の早期診断による回復及び発病自体の予防を明確な目的とした住民参加型の地域予防活動」の実践展開指導により、正しい主張内容であることを、疫学的方法により実証して来ていて、その成果については、厚労省の認知症施策推進室との協議の際に、実証データを提示してもいるのです。とはいえ、世界中の権威達が、『アルツハイマー型認知症は、発病の原因が不明であり、治すことも、発病を予防することも出来ないタイプの認知症である』と未だに主張していて、二段階方式の主張内容が彼等とは真反対の主張内容であることもあり、未だに、陽の目を見ていないのです。

(4) 様々な程度及び態様により発現して来る『アルツハイマー型認知症』の症状は、前頭葉を含む脳全体の機能レベルに厳密にリンクした症状が発現して来るのが特徴であり、早期診断(小ボケ及び中ボケの段階で発病を見つけること)と早期治療の実施(「脳のリハビリ」の実践)に因る回復の可能性の有無及び程度により「3つの段階」に区分されるべきものなのです。専門の医師達が、『アルツハイマー型認知症は、治すことが出来ない』と主張しているのは、彼等が発病を見つけている段階が遅すぎるせいなのです(&5で詳細を説明)。なお、三段階に区分される症状の類型については、「ブログF-11」の&6を参照)。

&6 『MCI』(軽度認知障害)の基準の問題点

1.基準の概要

(1) 市町村に対し「介護の予防」(介護が不可欠となる段階にまで認知症の症状が進行する時期を少しでも遅らせることを目的)措置の実施を求める認知症施策推進室の「認知症ケアパス作成の手引き」によると、「MCI」(軽度認知障害))の定義は、次の5項目となります。これらに全てが当てはまれば、「軽度認知障害(MCI)」にー相当と判断されるということなのです。

(2)『軽度認知障害(MCI)の定義』は:

①年齢や教育レベルの影響のみでは説明できない「記憶障害」が存在することが確認される。

②本人または家族による『物忘れの症状』の訴えがある。

③全般的な認知機能は正常範囲である(注:認知機能を問題としながら脳全体の「司令塔の役割」を担っている『前頭葉』の機能レベルが正常であるか、異常であるかの客観的な判定は為されていないことに注意して下さい)。

④日常生活動作は自立していると観測される。

⑤認知症ではないこと(注:ここで言う認知症ではないという意味は、「極めて重度の症状」であり、30点が満点のMMSEの総得点が9点以下にならないと発現が確認されないものである「失語や失認や失行(紛いの)」の症状を「初期症状」であると誤解し、考えているものであることに注意して下さい)。

2.MCIの基準の問題点

(1) 重視される要素が、本人または家族の訴えによる物忘れの症状であること

(2) 認知機能を問題としながら、前頭葉の機能レベルの判定が行われないので、単なる言葉上だけのチェックに過ぎないのです(せいぜい、MMSE程度か)。

(3) 言葉の上では、色々記述が為されているのですが、全てが主観的で、客観性の担保が全くなくて、言葉の遊びに過ぎず、恣意的運用を是認したもの。

(4) 「アルツハイマー型認知症」の発病の有無については、失語や失認や失行の症状が確認されていなければ、「認知症ではないと判定される」こと。

(5) 「アルツハイマー型認知症」は、意識的な世界における脳全体の「司令塔の役割」を担っている『前頭葉』の機能が、真っ先に異常なレベルに衰えて行くのが特徴であり、前頭葉を含む脳全体の機能レベルに厳密にリンクした症状が発現して来るものであり、その判定が要素に入っていない基準は、無意味。

本著作物「F-12」に掲載され、記載され、表現された内容に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。このブログ中の内容の一部を引用する際は、必ず、著作権法の規定に則って引用してくださるようお願いします(特に、医学界に身を置く人達に、お願いします)。

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# 認知症  アルツハイマー型認知症の症状と意識の世界との関係 (F-11)

2021-09-01 | アルツハイマー型認知症の予防が国民的課題

&1   今猶、世界最高の権威規定である「 DSM-4」の内容の重大な誤り

1.「 DSM-Ⅳ」の第一要件及び第二要件の規定の構成と内容の分析

(1)米国精神医学会が策定した『アルツハイマー型認知症』の診断規定である『DSM-Ⅳ』の規定は、①第一要件では、記憶の障害(記銘及び想起の機能の障害)に起因して発病し、②第二要件に規定する症状(失語、失認、失行、又は実行機能の障害等)が発現して来ると規定しています。 その論理的構成は、「第一要件」の要因が原因となって、「第二要件」に例示する症状が発現して来るという構成の仕方をしているのです。

(2) 「アミロイドベータ仮説」の旗印の下で、マウスにアミロイドベータを注入したアルツハイマー・マウスとかが檻の中で餌を探して徘徊する動きを対象にして、記憶障害とアルツハイマー型認知症との関係、言い換えると、アミロイドベータの蓄積量と記憶の機能レベルとの相関関係を研究し、世の中に対して、間違った情報を発信しているのが、ハーバード大学であり、我が国では、東大、京大、理化学研究所なのです。彼等は、アルツハイマー型認知症が、意識的な世界、目的的な世界と密接な関係を有するタイプの認知症であることにさえも気づいていないのです。意識的(目的的)な世界、常に異なる『複数の意識が並存』している状態下で、それ等複数の意識を構築し、統合し、統括し、分離し、管理し、コントロールしている要の機能が、『注意の分配力』の機能であることも知らないのです。意識と記憶に関わる最も重要な機能である『注意の分配力』の機能が備わっていない、マウスを研究対象にしていることが問題。

(3)『アルツハイマー型認知症』の発病の原因は、記憶障害にあるのではなくて、『注意の分配力』の機能の機能障害に端を発した、『実行機能』の機能障害を介した機能構造関係、最終的な表現では、『前頭葉』の機能障害が原因なのです。

※「アルツハイマー型認知症」は、「第二の人生」を送る上で継続される、単調な生活習慣、ナイナイ尽くしの単調な『生活習慣』(追求する特別のテーマも無く、生き甲斐無く、趣味なく、交遊無く、運動もせず、達成すべき目標も無い単調な「生活習慣」を言う)の継続に起因した『前頭葉』の廃用性加速度的異常な機能低下の進行が原因で発病し、症状が進行して行く性質のものなのです。➡ 発病を予防するには、食生活ではなくて、仕事とは無縁となる第二の人生を送る上での脳の使い方としての『生活習慣』の創意工夫と継続的な実践、即ち、『前頭葉の三本柱』の機能(意欲注意の集中力及び注意の分配力のことを言います)の出番が多くて、「実行機能」の出番が多くなることに因り、『前頭葉』の機能が活性化する『生活習慣』の構築と継続的な実践が、唯一の方法となるのです。「意識的な世界」を支える要の機能である『注意の分配力』の機能が、廃用性の機能低下の場合には、真っ先に衰えて行く性質があるからなのです。

発病を予防したり、症状の進行を抑制する効能を有する「治療薬」は、発病のメカニズムに照らして、未来永劫開発されることは有り得ないことなのです。アリセプトを含む「4種の薬」に、症状の進行を抑制する/緩やかなものにする効能、治療薬としての効能は存在していないのです。あるのは、単なる『対症療法薬』としての効能(症状の発現の仕方を抑制し、或いは、昂進させる効能)だけなのです。「効能の評価」をする方法に欠陥があるだけなのです。当該薬を飲んだ人達の日々の脳の使い方としての生活習慣が、症状の進行の抑制或いは、緩徐にする影響に気づいていない評価方法なのです(評価方法にも欠陥)。私たち「二段階方式」には、『脳の老化のスピード差をもたらす生活習慣要因』という脳機能データが存在しているのです(ブログ中で公開済み)。

(4) 意識的な世界は、目的的な世界であり、何等かの具体的なテーマを見つけて、自分が置かれている状況を判断して、自分なりの目標を設定して、発想、分析、理解、企画、計画、洞察、憶測、推理、検索、比較、シミュレーションして、シミュレーションの結果により選択して、実行内容及び程度と態様を決定し、実行の決断をして、脳の各部に実行の指令を下す。その際の、脳全体の司令塔の役割を担っている脳機能が、『前頭葉』であり、その過程で、様々な「個別認知機能」が活躍することになるのです。それら個別認知機能の総称が『実行機能』なのであり、実行機能が機能を発揮する(EX.深い洞察や理解をする)上で、その機能の発揮度(実行機能の機能レベル)を下支えし、支配している要の機能が注意の分配力の機能なのです。ここに挙げた、注意の分配力や実行機能や前頭葉という脳機能は、マウスには備わっていないのです。意識的な世界は、注意の分配力の機能が管理している世界であり、『記憶』(記銘、保持、想起)についても、記銘時も想起時も、必ず、注意の分配力の機能が関与することになるのです。こうした脳の機能構造の相違にも気付かないで、アミロイドベータ仮説の研究者たちは、マウスの脳を題材にして、研究しているのです。

(5) 何れにしろ、問題の対象となる世界は、無意識や条件反射の世界で起きてくるものではなくて、意識的な世界、「意識が覚醒」している状態下での、異常な症状として、『アルツハイマー型認知症』の症状が発現して来るものであるとの理解と認識に立って規定すべきものであることに注意を喚起したいのです。

2.上記構成の理解に立って、第二要件の規定内容を検討してみたいのです。

(1) 第二要件の規定を別の視点で分析して見ると、失語、失認、失行(紛い)の症状、又は、実行機能の障害の症状が発現して来ることになると規定しているのです。そうした症状が発現してくる原因が、「記憶の障害という要因だと規定している」のです。

(2) 実は、この第二要件の規定内容自体が、重大な誤り、欠陥規定であるということになるのです。その問題点を&2で論じてみることにします。アミロイドベータ仮説は、「DSM-Ⅳ」の第一要件が、正しい規定内容であるとして、アミロイドベータの蓄積に因る老人斑の沈着により、老人斑が持つ毒性により、情報を連絡している神経細胞の大量死が惹き起こされることに因る記憶障害が原因となって、失語や失認や失行(紛い)の症状が発現して来ると主張しているのです。➡仮説の主張者(支持者)達は、新型コロナ回避の為の「3密の回避」に徹したナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」を長期に亘り継続している状況下で、第二の人生を送る高齢者たちの間で、新規の発病者が激増して、重症化が進行して行っている事象事実をどのように説明できるというのでしょうか。

※「DSM-Ⅳ」の第一要件の規定(記憶障害に起因して発病するとの規定)を妄信し、アルツハイマー型認知症を発病し、末期の段階にまで重症化が進行し、失語や失認や失行の症状が確認されていたお年寄りの死後の「脳の解剖所見」で取り上げられるアミロイドベータの蓄積に因る「老人斑」の沈着に着目して、老人斑が毒性を有していて、その毒性が情報を連絡する役割を担っている神経細胞の大量死を招くことに因り、記憶障害が惹き起こされるという想定をしただけの仮説なのです。その仮説の主張内容とアルツハイマー型認知症の発病との間の因果関係の存在を未だに立証できないでいる為に、仮説の地位に甘んじているものなのです。

&2 「意識的な世界」での「前頭葉」を含む脳全体の機能構造

(1) 「アルツハイマー型認知症」の発病者である場合は、発現して来る症状は、左脳(失語)がらみの症状、右脳(失認)がらみの症状、運動の脳(失行)がらみの症状、又は、実行機能がらみの症状であると、第二要件は規定しているのですが、実はこれが「重大な誤り」の規定内容なのです。最初の3つの要件は、特定の症状を例示しているのに対し、最後の要件は、症状が発現してくる原因、要因を規定したものなのです(=「実行機能」の障害に起因して発現して来る症状という、前3者とは異なる異質の規定の仕方となっているのです)。規定の仕方自体が、論理的に支離滅裂のもの。

※1後で、詳細について説明しますが、失語や失認や失行の症状自体が、実は、記憶障害でなくて、「実行機能」の機能障害(三者の機能構造の関係で言うと、「前頭葉の三本柱」の機能障害に起因した「実行機能」の機能障害=「前頭葉」の機能障害)に起因して、発現して来る症状なのです。

(2) 加えてこの規定は、「意識的な世界」での脳の機能構造を無視したもの(機能構造を知らない為に誤った内容の規定をした)なのです。

(3) 『実行機能』は、意識的な世界、即ち、目的的な世界において、①自分が置かれている状況を分析し、理解し、憶測し、推測し、判断して、②その状況判断に沿った自分なりの何等かの「テーマ」を発想し、③「テーマ」の実行内容及び実行の仕方を企画し、計画して、④想定した条件下での実行の結果を洞察し、推理し、検索し、シミュレーションして、⑤シミュレーションの結果を比較して、⑥最終的な実行内容及び実行の仕方を選択し、⑦決定して、⑧実行の決断をして、⑨意識的な世界における脳全体の「司令塔の役割」を担っている、『前頭葉』の機能が、左脳、右脳及び運動の脳に対して、実行の指令を出すという機能構造になっているのです。①『実行機能』とは、上記(3)で赤字列挙した個別認知機能群の総称なのであり、②実行機能が働くには、左脳、右脳及び運動の脳を介しての働きが不可欠となるのであり、更には、③実行機能が機能を発揮する為には、「注意の分配力」の機能を核心とした「前頭葉の三本柱」の機能による下支え及び支配が不可欠となるという機能発揮上の二重構造の関係があるのです(前頭葉の三本柱の機能、就中、「注意の分配力」の機能の関与の度合いが、実行機能の働きの度合いを左右している機能構造)。

この機能発揮上の二重構造から、実行機能の機能障害は、前頭葉の三本柱の機能の機能障害に起因して惹き起こされることになるという「機能構造」に対する無知からくる規定上での間違いを起こしているのです(「実行機能の機能障害」と規定するのではなくて、「前頭葉の三本柱の機能の機能障害に起因した実行機能の機能障害が正しい理解となるのです)。加えて、実行機能の機能障害は、第二要件ではなく、第一要件に規定すべきなのです。第一次的には、『注意の分配力』の機能障害に起因して(最終的には、即ち、『前頭葉』の機能障害に起因して)失語や失認や失行(紛い)の症状が発現して来るものだからなのです。

(4) 分かり易く表現して説明すると、意識的な世界、目的的な世界は、左脳、右脳及び運動の脳という三頭の馬が牽引する「三頭立ての馬車」なのであり、馬車の運行を判断し、支配し、管理し、コントロールしているのが御者である「前頭葉」という脳機能なのです(意識的な世界、目的的な世界では、『前頭葉』の機能が、脳全体の司令塔の役割を担っているのです)。左脳、右脳及び運動の脳を手足として、『前頭葉』が運行の全般を管理し、コントロールしつつ、思索や思考、行為や行動、或いは、言葉を介した発言を実行して行く上で、不可欠となる脳機能が「実行機能」(太字表記の個別認知機能の総称)なのです。

(5) このことを言い換えると、意識的な世界、即ち、意識が覚醒した世界、目的的な世界では、左脳、右脳及び運動の脳を手足として、実行機能を活用して馬車を運行して行くときに、『前頭葉』の機能レベルが、その先の全ての、意識的なアウトプット、即ち、実行機能の働き具合並びに、左脳、右脳及び運動の脳の働き具合、或いは、それら機能の複合した機能発揮の関係の上で、必ず直接的に反映されるという「因果関係の鎖」の連鎖が存在しているのです。

➡『注意の分配力』の機能を核とした「前頭葉の三本柱の機能」の機能障害が、実行機能の機能障害に繋がり、即ち、そのことが『前頭葉の機能障害』となり、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」の機能障害が、関わる全てのアウトプットに直接反映されることになり、アルツハイマー型認知症の症状が発現して来ることになる(小ボケの段階の症状は、アルツハイマー型認知症としての症状であることが、権威達から、見落とされているのです)※ 小ボケ及び中ボケの段階の症状も、認知症発病としての症状なのです。

(6) 第二要件の規定の問題点を明確にしつつ表現すると、「注意の分配力」の機能を核とする前頭葉の三本柱の機能の機能障害が「実行機能」の機能レベルに直接的に影響し、「実行機能」の機能障害が、即ち、総体としての『前頭葉』の機能障害となるのであり、「意識的な世界」における脳全体の「司令塔の役割」を担っている『前頭葉』を含む脳全体の機能レベルのアウトプットそれ自体が、『アルツハイマー型認知症』の発病としての「症状」となるという訳なのです。

(7) その意味で言うと、発現して来る症状の初期段階の症状について例示列挙的に規定した「DSM-Ⅳ」の「第二要件」の規定の仕方は、上述した、「前頭葉」及び「実行機能」並びに左脳、右脳及び運動の脳との構造的な機能関係を無視した規定内容であるということになるのです(失語や失認や失行の症状自体が、発病の「初期段階の症状」ではなくて、極めて「重度の症状である」ことの問題点については、後述するものとします)。

(8) 第二要件の内容には、もっと重い罪があるのです。

ⅰ)「第二要件」は、アルツハイマー型認知症の症状を例示しているのですが、失語や失認や失行(紛い)の症状が、発病の「初期症状」であると規定しているのです。そもそも、『アルツハイマー型認知症』は、元々は、精神科の専門領域とされていたのです。「重度の記憶障害の症状」に焦点が当てられて、症状が精神症状と誤解されて、精神科のみが診断を行っていたのです。我が国で厚労省が、「アルツハイマー型認知症」の発病患者の診断の為の専門病院の指定に際して、精神科を有する地域の総合病院を『老人性痴呆疾患センター』という形で、僅かな数を指定したのが始まりなのです。「食事をしたばかりなのに、そのことも忘れている」と言った重度の「記憶障害」の症状や「夜中に騒ぐ」とか、「徘徊」等の症状や行動ばかりが取り上げられていたのです。そのため、発病者を抱えることになった家族は、発病を疑っても病院に連れて行かないで、手に負えなくなって初めて病院、精神科に連れて行くことが常態化して行き、『アルツハイマー型認知症は、原因不明で治らないタイプの認知症である』という誤解が、我が国の隅々にまで浸透して行ったのです。浜松医療センターは、『老人性痴呆疾患センター』の中では唯一、精神科の精神科医ではなくて、脳外科の脳外科医が診断を行った為に、正常下限のお年寄りから、軽い初期症状、中等度の症状の発病者から重い症状までを含めた、日本全国の発病患者を診察する機会を得たのです(脳外科で、高槻絹子が、種々の「神経心理機能テスト」を開発したのです)。

ⅱ)失語や失認や失行の症状は、11の下位項目で構成されていて、30点が満点であるMMSEの総得点が、9点以下になって初めて発現が確認される極めて重度の症状であることさえ、精神科医達には、認識されていなかったのです。それが「初期症状である」と第二要件が規定していたので、それらの症状よりも更に重い症状ばかりに目が行っていたのです。症状を治す効能を有する薬も無いし、発病のレッテル張りをしていただけなのです。現在処方されている「4種の薬」も、症状の進行を遅らせる効能が期待されると製薬会社が謳い文句にしているものの、実際には、そうした効能は有していない単なる「対症療法薬」(症状の発現の仕方を抑制したり、又は、昂進させるだけのもの)が、現在もなお、大手を振って処方されているのです。

ⅲ)失語や失認や失行の症状が初期症状であると規定されているために、それより軽い段階の症状(「二段階方式」の区分で言う小ボケ及び中ボケの段階での発現が確認される症状)が存在していることについて、専門家達でさえ未だに考えていないし、知らないのです(『重度の記憶障害』との考えが根底に在る)。

ⅳ)専門家とか言いながら、「MCI」(軽度認知障害)とか言う基準を持ち出してきて、『物忘れの症状』を外観から観察しただけの基準に依拠して、「アルツハイマー型認知症」の発病の「前駆的状態である」とか説明しているのです。

➡意識の機能構造について無知であり、前頭葉の廃用性の機能低下の進行という認識さえなくて、小ボケ及び中ボケの段階が存在することさえ知らないで、末期の段階で発病を見つけていて、『アルツハイマー型認知症は、原因不明で、治せない』タイプの認知症であると公言してはばからないのです。⇔ 全ての責任は、『DSM-4』の第二要件の規定内容の誤りにある。

&3 「意識的な世界」と「注意の分配力」の機能の関わり方

(1) 「意識的な世界」、目的的な世界では、『前頭葉』の機能が、左脳、右脳及び運動の脳を手足の機能としつつ、「実行機能」を介して、更に、「注意の分配力」の機能を核とする「前頭葉の三本柱の機能」による下支え及び支配を得ることに因り、「意識的」な、且つ、「目的的」な思索や思考、行為や行動、或いは、発言や言動を惹き起こしているのです。

(2) ところが、世界中の脳科学者も哲学者も、誰一人として、未だに気づいていない問題、問題を提示し得ていない、「実行機能」の機能発揮と「注意の分配力」の機能との関係、私たち「二段階方式」の表現で言う『実行機能の機能発揮上の二重構造の問題』という機能構造の問題があるのです。実は、この機能構造の問題に気が付かない限り、何時迄、マウス(又は、アルツハイマーマウス)のお尻を追いかけまわそうとも、アルツハイマー型認知症の発病のメカニズム及び症状の重症化が進行して行くメカニズムを解明することは出来ないことを、専門の学者や研究者達に、問題提起したいのです。

&4 実行機能の機能発揮上の「二重構造の問題」

(1) 『注意の分配力』の機能は、『3つ以上の異なる「テーマ」或いは、「意識」を同時に並行して処理する上で不可欠の機能であり並びに「意識」(覚醒の度合いが異なる、覚醒度が異なる状態の意識を含む)を構築し、統合し、統括し、分離し、管理し、コントロールする上で、不可欠の機能であることを注記し、問題提起しておきたいのです(分かり易い事例で。仲のいいお友達を助手席に乗せ、好みのBGMを流しながら、女性の活躍が目立ったオリンピックの思い出話に花を咲かせながら、交通量が比較的に多い街中を、昼間に運転している状況を想像してください。こうした状況が、異なる3つ以上の複数のテーマを、同時に並行して処理している状況なのです。会話の流れを把握し、会話の内容を理解し、楽しみながら、他方で、BGMを楽しみながら、更には、行き交う車の動きやその変化にも注意しつつ、信号の色の変化にも気を配りつつ、どんどん代わって変化して行く周囲の景色にも目をやり、楽しみつつ、運行する周りの車のスピードの変化に合わせてアクセルを踏んだり、時にはブレーキを踏んだりして、自分の車の速度の維持や変化にも注意しながら、目的とする喫茶店に向けて、適切に車を運行して行くことが出来るのです(小ボケになると、それが、出来なくなる)。

こうした状況を可能にしているのが、DNAの99%が同じとされるチンパンジーにも備わっていない、勿論のことマウスには備わってもいない、『注意の分配力』という脳機能なのです。意識的な世界の実行に不可欠の機能である『実行機能』が働く為にも及び複数の異なる意識が、覚醒の度合いが異なる儘に、発現して来ては消えていき、再度復活してくる等、同時に並行して、並存して存在している為にも、正常な機能レベル下での/及び異常な機能レベル下での『意識的な世界』自体が、『注意の分配力』の機能の関与なしには、『存在し得ないもの』であるという機能構造の存在を知るべきなのです。

(2) その『注意の分配力』の機能の発揮度を下支えしていて、支配しているのが「注意の集中力」の機能であり、「注意の集中力」の機能の発揮度を下支えしていて、支配しているのが「意欲」の機能であり、三者間には、常にこの機能関係の鎖という構造が存在していることの理解が、意識的な世界での「前頭葉機能」の及び「実行機能」の種々のアウトプットの判定と評価と理解に不可欠なのです。「第二の人生」を送る高齢者だけを対象として(「二段階方式」が規定する「アルツハイマー型認知症」の発病の「第一要件」)、「キッカケ」の発生と継続を契機に「意欲を喪失」することで開始される『ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」の継続』(「二段階方式」が規定する「アルツハイマー型認知症」の発病の「第二要件」)により、『前頭葉』を含む脳全体の機能について、廃用性の加速度的で異常な機能低下が進行して行くその先に、「アルツハイマー型認知症」の発病並びに症状の重症化の進行が待っていると主張する「二段階方式」が主張する「発病及び重症化が進行するメカニズム」の基礎をなしているのが、上述した理解に基づいた「私たち人間だけに特有な脳の機能構造」なのです。

(3) 『前頭葉』の機能と言う用語は、比較的によく見かけるものの、その前頭葉の機能の精緻な「機能構造」について語れる専門家は、未だに居ないのです。「前頭葉」の機能について語るのであれば、「評価の物差し」(ここをクリックしてください)、記憶の倉庫実行機能「前頭葉」の三本柱の機能とも称すべき極めて重要な機能である意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能、並びに、左脳、右脳及び運動の脳が関わる機能構造の理解と認識が必要となるからです。前頭葉という脳機能は、前頭前野に局在している前述した様々な脳機能の連合体、総体であるというべきものなのです。世界中の著名な専門家とされる人達の論文を見渡しても、「評価の物差し」という概念を提示している人は、このTad以外には、未だに居ないのです。この場合に、「評価の物差し」が働くことが、認知の開始であり、「記憶の倉庫」との照合による同定が起きないと、記銘されない、即ち、認知自体の完成は無いということを知るべきなのです。その上で、「前頭葉の三本柱」の機能の発揮度に下支えられた「実行機能」の機能の発揮度が顕現してくることになる、これが「意識的な世界」で、「目的的な世界」で起きている、様々な種類及び態様に因る「認知の機能構造」なのです。

(4)『アルツハイマー型認知症』の症状の発現及び重症化の進行のメカニズムを考えるとき、上述した脳全体の機能構造の理解が不可欠となるのです。その意味からも、「注意の分配力」の機能も、「実行機能」も、「前頭葉」という脳機能も備わっていない、マウスの行動を対象にして、アミロイドベータの注入量との関係を調べて、そのデータだけを根拠にして、発病のメカニズムを論じている「アミロイドベータ仮説」は、誤った場所を、誤った方法で、単に深く掘り下げているに過ぎない研究というしかないのです。「注意の分配力」の機能と「実行機能」と、不可分のものとして関わることになる「記憶」についても、両者は、脳の機能構造面からも根本的に異なるものなのであり、その面からも、「アミロイドベータ仮説」が行っている「記憶」の評価の仕方は、誤った評価方法なのです。

(5) 注意の分配力の機能を核とした前頭葉の三本柱の機能が実行機能の機能の発揮度を支えている機能構造の下で、意識的な世界、目的的な世界が展開されているのです。その意味で厳密に定義するなら、「アルツハイマー型認知症」の症状は、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルに厳密にリンクした三段階に区分される症状が発現して来るというべきものなのです(二段階方式の場合は、小ボケ、中ボケ及び大ボケの「3つの段階」に区分しているのですが、世界中を見ても、様々な程度及び態様により発現して来る「アルツハイマー型認知症」の症状について、「前頭葉の機能レベルに厳密にリンクした症状」という視点は全くなくて、「記憶障害について、言葉の区分だけで説明しているものばかり」なのです。「症状が記憶障害に起因して発現して来る」と想定する『DSM-4』の規定の「第一要件」の規定内容(重大な誤り)を疑いもしていないのです。

&5 正しく規定した場合の「規定内容」の在り方

(1) 第一要件は、発病のメカニズムを規定していて、第二要件は、発現して来る症状について規定しようとしているのが、「DSM-Ⅳ」の規定の策定者達の意図だった訳なのです。問題は、「意識的な世界の脳の機能構造」についての知見が不足していた為に、規定の内容を間違えたということになる訳なのです。

(2) 「前頭葉」の機能障害に起因して発病したことが確認されること。これが、『DSM-4』の第一要件の規定でのあるべき正しい規定内容だったのです。

この規定が為されていたなら、アルツハイマー型認知症の発病原因について、「記憶障害に起因」して発病するとの誤った内容の規定を、正しい内容であるとして、記憶障害を惹き起こしている原因が「アミロイドベータの蓄積」及び「老人斑」の沈着による神経細胞の大量死であるとする仮説を思いつくことも無かったであろうし、ここ迄の迷路にはまり込むことも無かったろうと考えるのです(その間違いが、世界中で、時間と人材の無駄遣いを導いたのです)。

(3) 「覚醒の度合い」が低い場合を含めて、「意識が覚醒している」状態下で、様々な程度及び態様により発現して来る「アルツハイマー型認知症」の症状は、三つの段階に区分されるものであることを明確な、客観的な条件により、定義すべきなのです。猶、「前頭葉」の機能レベルの判定については、「かなひろいテスト」の実施結果については、50歳代、60歳代、70歳代、 80歳代以上の年齢別の基準値が設定されていて、MMSEのテスト結果については、「注意と計算」の項目について、「時の見当識」の得点を基礎とした換算を実施した後の「換算値」により、『小ボケは、換算値が24点以上』、『中ボケは、換算値が23点以下15点以上』、『大ボケは、換算値が14点以下』と定義されています。

① 最初の段階の症状は、「社会生活」を送る面での支障が出てきていることが確認される症状群であり、左脳、右脳及び運動の脳は、未だ正常な機能レベルに在るものの、「前頭葉」の機能だけが異常なレベルであることが確認されることになるのです(「小ボケ」の段階)。

② それに次ぐ段階の症状は、「家庭生活」を送る面でも支障が出てきていることが確認される症状群であり、脳全体の機能(前頭葉の三本柱の機能、実行機能、左脳、右脳及び運動の脳の全て)が異常なレベルであることが、確認されることになるのです(「中ボケ」の段階)。

③最後の段階、末期の段階の症状は、「セルフケア」の面でも支障が出てきていることが確認される症状群であり、注意の分配力の機能を核とした「前頭葉の三本柱の機能」が、異常な機能レベルに在るために、実行機能が殆ど働かないまでに、極めて異常なレベルに機能低下が進行してきていることが確認されること(「大ボケ」の段階)。

(4) 上記(2)及び(3)の要件が確認されることにより発現して来る症状群、類型的な症状として、次章&6に例示列挙する症状群を規定すること(「小ボケ」、「中ボケ」、「大ボケ」の症状)。

(5) 猶、(2)及び(3)の要件を提示する根拠は、「脳のリハビリ」の継続的な実践に因る回復の可能性の有無及び程度により、以下の実態が疫学的方法により実証されているからなのです。

① 小ボケ 「脳のリハビリ」の継続的な実践により治すことが比較的に容易

② 中ボケ 「脳のリハビリ」の継続的な実践により治すことが未だ可能

③ 大ボケ 「脳のリハビリ」の継続的な実践により治すことが最早困難

&6 各段階で確認される「類型的な症状」の例示(14687例の患者を基礎)

(1) 『小ボケの段階』で確認される類型的な症状(4つ以上の確認が必須)

□ 発想が乏しくなり、画一的な行動が目立つようになってくる
□ 何事をするにも億劫で、何かをやろうとする意欲が見られない
□ 同じ食材を買ってくることが多く、献立の単調さが目立つ
□ 一日や一週間の計画が立てられず、テーマを自分で思いつかない
□ 朝は遅くまで起きてこないのに、気がつくと昼間に居眠りしている
□ これまでなら感動していたことにも感動しなくなる
□ 問いかけに対する反応が遅く、生き生きした笑顔が見られない
□ 根気が続かず、中途半端な繰り返しや、やりかけの家事が目立つ
□ ぼんやりしていることが多く、何もしないが指示されるとできる
□ お化粧や髪の手入れや服装など、おしゃれに無関心になる
□ 自分に自信がなくて、何かにつけて他の人に頼ろうとする
□ 歩くとき前屈みの姿勢になり、小股でトボトボと歩く
□ 目の光がどんよりしていて、顔つきが無表情になる
□ 思い込みや思い違いが多く、指摘しても訂正や変更が効かない
□ 同じ内容を繰り返して話し、そのことに本人が気づかないでいる

(2) 『中ボケの段階』で確認される類型的な症状(4つ以上の確認が必須)

□ 何度教えても、日付けがあいまいになる
□ 簡単な計算ができない(お札ばかりで買い物をして、やたらと小銭がたまる)
□ 電気やガスの消し忘れ、水道の蛇口の閉め忘れなどが目立つ
□ 家庭内の簡単な用事程度のこともきちんとできない(部屋や洗濯物の整理、食事の後片付け、畑や庭仕事などがきちんとできなくなる)
□ お金や持ち物のしまい場所をすっかり忘れてしまい、一日中探している
□ 自分が飲む2~3種類の服薬管理ができない
□ 入浴時の温度管理が出来ず、身体を洗わないとか、石鹸が身体についたまま
□ 服の着方に無頓着で重ね着が目立つ(セーターの上からシャツを着る;裏表や前後ろに着る;入浴後、着ていた下着の上に新しい下着を着る)
□ 周りを汚したり流してないなど、トイレの後始末がきちんとできない

□ 料理の味付けが変になる(特に、塩加減が極端に変になる。塩辛すぎて、周りが食べられないようなものを作り、本人だけが平気で食べる)
□ 行き慣れている所に行くのに、スムーズに行けない(行き先の違う乗り物に乗ったり、行き道 b を間違えたりする)
□ 自分の子供の数、生まれ順、居住場所の説明がきちんとできない
□ 季節が分からなくなる(夏にセーター等、季節違いの服を着る)
□ 昨日の出来事をすっかり忘れてしまう
□ 物盗られ妄想(物の置き場所を忘れて、相手が隠したとか盗んだとか言う)とか、世話をしてくれる人に対して口汚くののしる行為が見られる

(3) 『大ボケの段階』で確認される類型的な症状(3つ以上の確認が必須)

□ 着ている服を脱ぎたがらず、便で汚れた下着をそのまま平気で着ている
□ 風呂に入るのを怖がり、嫌がる
□ 服を正しく着られなくなり、ズボンを頭から被ったり、上着に足を通したりする
□ 家族の名前を間違えたり、自分の子供を配偶者と間違えたりする
□ 食事や挨拶をしたことなど、直前に起きたことを直ぐに忘れてしまう
□ 家庭生活に全面的な介助が必要(食事、入浴、排泄)
□ 自宅に居ても落ちつかず、外に出て行きたがる
□ 大小便を失敗しても後の処置ができない(大小便で汚れた下着を押し入れに隠すようなこともbあります)
□ 自宅の方向が、たびたび分からなくなる(そのまま、徘徊することにもなる)
□ 同居している家族の名前も顔も、分からない(家族かどうかも分からない)
□ 昼なのか夜なのかが分からなくて、夜中に騒ぐ(夜中に起きてくる、家中の電気をつけて回る、会社に行くとか田んぼに行くとか言い張る)
□ 傷んだものを平気で食べ、食べ物でないものを口にする
□ 独り言や同じ言葉の繰り返しが目立つ
□ 誰も居ないのに「人が居る」と言ったりする  

&7 「アルツハイマー型認知症」発病の基礎要因としての『加齢』要因

1.「アルツハイマー型認知症」を発病する対象が60歳を超える年齢の高齢者に限られる理由、「正常老化の曲線」の存在【チコちやんに叱られるに登場】

(1) 世界中の専門家達から今なお原因不明の病気とされている「アルツハイマー型認知症」の発病及び症状の重症化が進行する「メカニズム」を解明する上で、極めて重要な要素、それは、意識的な世界、言い換えると、目的的な世界での「前頭葉」の個別認知機能群である『実行機能』の発揮度を左右し/下支えしている機能である「前頭葉の三本柱」の機能(「意欲」、「注意集中力」及び『注意分配力』の機能のことを、私たちがその特徴と重要性に鑑みて命名したもの)には、『20代半ばを過ぎると、年をとるにつれて100歳に向かって、緩やかではあるが徐々に働きが衰えていく』という特徴を有する老化曲線、言い換えると「正常老化の曲線」(二段階方式独自の命名)とも呼ぶべき加齢と共に機能が緩やかに低下していく特徴的な曲線が存在しているのです。

(2) それなりに「前頭葉」の出番がある「生活習慣」を維持していても、加齢とともに機能が緩やかにではあるが直線的に衰えて行くという性質があるのです。「左脳」の働きが核となる「仕事」とは無縁の日々となる「第二の人生」が始まったばかりの65歳頃には、「前頭葉の三本柱」の機能レベルが、最も高い18歳から20代の半ば過ぎ頃のほぼ半分くらいにまで衰えてきている(機能が低下してきている)ことが、注目すべき要点なのです。『加齢』という要因に起因した『脳の老化』(正常老化の性質)の問題が存在しているのです。

 (3)私たちが独自に開発した「二段階方式」の手技を活用して集積した14689例にも及ぶ膨大な「アルツハイマー型認知症」の症例群とその基礎データとしての「脳機能データ」の解析により、私たちの意識的な世界を構築し、統括し、支配し、コントロールしている脳機能、脳全体の司令塔の役割を担っていて、左脳、右脳及び運動の脳という三頭立ての馬車の御者としての役割を担っている『前頭葉』を含む脳全体の機能の加齢による老化という要因を発見し、且つ、この要因に着目し、『「第二の人生」を送っている60歳を超える年齢の「高齢者」であること』と言う条件を「アルツハイマー型認知症」の発病の「第一の要件」として私たち「二段階方式」は規定しているのです。

2.私たちが集積してきたデータによる予測では、「アルツハイマー型認知症」を発病するお年寄りの年齢別の割合は、「第二の人生」が始まる60歳代では12%となり、70歳代では30%、80歳代では二人に一人となる50%、90歳代では75%を数えていて、加齢の極まりである100歳代では97%にもなるのです。但し、この数値は、「小ボケ」、「中ボケ」及び「大ボケ」の段階の全てを含む数値であって、医療現場が発病と診断している及び厚労省が発病者数として発表しているのは、「アルツハイマー型認知症」の末期の段階である「大ボケ」の段階の人達だけであることに注意して頂きたいのです。厚労省が推定値として発表している我が国全体で600万人と言う数値には、「小ボケ」及び「中ボケ」の段階のお年寄りは含まれていないのです。

3.老化のカーブの傾き具合を左右する要素は、脳の使い方としての「生活習慣」

 (1)自分なりの「テーマ」や「役割」や達成すべき「目標」があり、趣味や遊びや交遊や運動等を楽しむ生活の機会が多くあり、地域興し等の活動にも興味があるお年寄り、日々の生活の中で、たくさんの量と質のよい情報が「前頭葉」に送られてきて処理されているような「生活習慣」が日々継続されているお年寄りは、脳全体としての老化の曲線は緩やかなものとなり、『身体が持つ限り、脳も保てる』、所謂「かくしゃく老人」への道が開けてくるのです。

(2)「かくしゃく老人」である場合の特徴として言えることは、脳の使い方としての「生活習慣」が、早々とボケていく「お年寄り」(時間は、有り余るほどあるのに、することが無い、単調な毎日を過ごしている)のそれとは、対極的内容の『生活習慣』(但し、食生活は無関係であり、脳の使い方としての生活習慣であることに  留意する)を送っているということなのです。両者の間には、世の中で言われているような「食生活としての生活習慣」ではなくて、「脳の使い方としての生活習慣」の顕著な相違が存在するのです。➡久山町の全数調査で提示されている糖尿病の発病者であることとの間には、直接の因果関係は存在しないのです。

(3)「アルツハイマー型認知症」は、老年性のアルツハイマー病とも別称されているように、発病する対象者は60歳を超える年齢の高齢者だけであり、60歳代よりは70歳代の方が、70歳代よりは80歳代の方が、80歳代よりは90歳代の方が、発病率が高くなっていくのです。「発病の原因」そのものが、加齢と言う要素に起因した機能低下という基礎要因と脳の使い方としての「生活習慣」、ナイナイ尽くしの単調な生活習慣の継続に起因した廃用性の機能低下の進行という加重要因の同時存在による相乗効果により発病するものなのであり、その意味で、年齢が上がれば上がるほど、発病するリスクが高くなっていくということが、「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症の特徴なのです。

(4)「アルツハイマー型認知症」を発病するには、上述した「第一の要件」(加齢による機能低下)と「第二の要件」(廃用性の機能低下)とが同時に充足されることが必要不可欠の条件となると言いました。どちらか一方の要件を満たすだけでは、「アルツハイマー型認知症」を発病しないということなのです。

その意味で、NHKが一大キャンペーンを張った報道(『働き盛りの50歳代で、「アルツハイマー型認知症」を発病する人達が増えてきている』)の内容は、根本的な誤りを犯しているのです。番組にもしばしば登場した人達(30歳代から50歳代までの年齢の人達)の全ての人達が、『「アルツハイマー型認知症」を発病していたのでは無くて、全く異なる性質の病気である、「側頭葉性健忘症」(基本は、30歳代から50歳代の若年で発症するが、老年発症の事例も、稀にみられる。重度の記銘力障害海馬の萎縮を特徴とするものの、前頭葉の機能が正常なレベルに在ることが特徴なのです)を発病していた人達なのです。誤診に基づいた、「誤った内容の報道」だったということなのです。「アルツハイマー型認知症」と「側頭葉性健忘症」とを区分ける、「二つの重要な相違点」が存在するのです。

一つは発病する「年齢」と言う要因なのです。「アルツハイマー型認知症」の場合は、60歳を超える年齢発病の対象となり、老年発症が特徴であり、年齢が高齢になるほど発病率が高くなっていくのに対して、「側頭葉性健忘症」の場合は、50歳代以下の若い年齢層が発病の対象となるのが基本なのです(老年での発症は、稀)。最も重要な要因は『前頭葉』の機能レベルが根本的に異なるということなのです。

「アルツハイマー型認知症」の場合は、「前頭葉」の機能が真っ先に異常なレベルに衰えて行くものであるのに対して、「側頭葉性健忘症」の場合は、「前頭葉」の機能が正常な機能レベルに在るのが特徴なのです。「側頭葉性健忘症」の場合は、「新しい事象の記憶」が殆ど入って行かないという特徴を有する「重度の記銘力障害を特徴とした記憶障害の症状」を示すことから、「前頭葉」の機能レベルを判定することもなく(判定する手技を持たないので)短絡的に「アルツハイマー型認知症」の症状だと決めつけた誤診が常態化していて、若年性アルツハイマー型認知症と診断されていて、若年性認知症の内の大半を占めるとされているのです。⇔政府大綱に基づく「介護の予防」事業の展開に当たって、厚労省が提示している「認知症ケアパス作成の手引き」中でも、同様の記述があるのですが、「若年性アルツハイマー型認知症は」架空のものなのです。

&8 アルツハイマー型認知症の「発病及び重症化が進行する」メカニズム

(1)私たち「二段階方式」が1995年の活動開始以来一貫して主張してきているように、『アルツハイマー型認知症というタイプの認知症の本態は、廃用性症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病』なのです。『アルツハイマー型認知症』の発病を惹起する要因は、①一つには、基礎要因としての『「加齢」に起因した脳機能の老化の進行という要因』(第二の人生を送っている60歳を超える年齢の高齢者であること)であり、②もう一つの要因が、これに加重される要因としての、「脳の使い方」としての生活習慣という要因、即ち、『第二の人生を送る生活状況下でのナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」の継続に因り、「前頭葉」を含む脳全体の機能について惹起されてくる廃用性の機能低下の進行という要因』が、発病を惹き起こす「直接の原因」なのです。

(2)第一の要因(第二の人生を送っている60歳を超える年齢の「高齢者」であること)に加え、第二の要因(「第二の人生」を日々送る上で展開されるナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」の継続)が加重されることに因り、即ち、「異なる二つの要因が同時に存在し、充足されること」の『相乗効果』により、『前頭葉』を含む脳全体の機能が廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させていくこととなり、そのことが直接の原因となって、『アルツハイマー型認知症』を発病することになり、更には、症状の重症化が進行していくことになるのです。

(3)最も重要な命題に言及しておきましょう。『廃用性症候群に属する、老化廃用型の「生活習慣病」が本態である『アルツハイマー型認知症』は、性質それ自体として治せないものではなく、「早期診断」により治せるし、発病自体を予防することが出来るもの』なのです。『医師達が見つけて居る段階が遅すぎる為に、治すことが出来ないタイプの認知症にされてしまっている』という訳なのです。➡『治せないというのは、誤解』

注1)1995年の活動開始以来、私たち二段階方式が、北海道から九州に跨る452もの市町村で実践を指導してきた先駆的な活動である『アルツハイマー型認知症の早期診断による回復、介護の予防及び発病自体の予防を明確な目的とした住民参加型の地域予防活動』として、『疫学的方法』により実証してきているように、『アルツハイマー型認知症は、性質それ自体として治らないタイプの認知症ではない』のです。

注2)『医師達が見つけている段階が遅すぎるが為に、治すことが出来ないだけなのです』(※見つけるのが遅すぎる、言い換えると、(「DSM-Ⅳ」の第一要件の規定内容の誤りに気が付かないで、むしろその権威を過度に信頼し盲従していて、失語、失認、又は、失行の症状が初期症状であると誤解したままで居て、『末期の段階で見つけているから、治せない』だけなのです。『アルツハイマー型認知症』も早期診断と早期治療が、必要不可欠の条件となるのです)。➡ 認知症の診断が専門の病院は、重度の物忘れの症状と海馬の萎縮を手掛かりにして、CTやMRIを使って、発病の有無を診断して、物忘れがひどい患者に対して、MCIの基準を持ち出し、発病の先駆的状態にあるので、発病の予防にと「アリセプトを含む4種の薬」(対症療法薬)を処方しているのです。「アミロイドベータ仮説」に基づき開発されたアデュカヌマブに予防の効能は無い」。

&9 『廃用性の機能低下』が原因であるからこそ、「早期の段階」で見つければ、「回復」させる(治す)こと及び重症化の進行を抑制することが可能なのです:

(1)発病の最初の段階となるのが、「軽度認知症」(小ボケ)の段階で、次いで、「中等度認知症」(中ボケ)の段階があって、最後に、「重度認知症」(大ボケ)の段階があるのです(小ボケに始まり、中ボケの段階を必ず経由して、最後に大ボケの段階に至るという経路が「アルツハイマー型認知症」に特有な症状重症化の過程の特徴です=前頭葉を含む脳全体の機能レベルに厳密にリンクした三段階に区分される症状が発現して来るのがアルツハイマー型認知症の特徴)。 医療現場では、誤りだらけの内容が規定されていることにも気づかないで居て、あの「DSM-Ⅳ」の規定の内容に依拠して診断が行われているのです。

第二の要件で確認が要求されている失語や失認や失行の症状が確認されるお年寄りとは、末期の段階である「大ボケ」の段階の枠の中でも更に後期にならないと発現が確認されない極めて重度の症状が発現しているお年寄り達なのです。満点が30点であるMMSEの総得点が14点以下 0点までが「大ボケ」の段階なのですが、失語や失認や失行の症状が確認されるお年寄り達は、MMSEの総得点が一桁の得点(9点以下)にしかならない程「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルが低下してきている人達、言い換えると、末期の段階である上更に、その後期の段階、『極めて重度の症状』が発現している人達のことなのです。

(2)医療現場では早期診断と銘打った診察が横行しているのですが、それは、「脳のリハビリ」により正常なレベルに「前頭葉」を含む脳全体の機能を回復させることが出来る(認知症の症状を治すことが出来る)本当の意味での早期の段階(私たち「二段階方式」の区分で言う「小ボケ」及び「中ボケ」の段階)ではなくて、「失語や失認や失行の症状」の発現が未だ確認されない段階とはいえ、あくまで、末期の段階であり、「脳のリハビリ」により回復させることが困難となる「大ボケ」の前期の段階で見つけて居るにすぎないのです。

『早期診断とは名ばかり』なのです。末期の段階であり、回復させることが最早困難となる「大ボケ」の後期の段階で発病を見つけることに何の意味があるのか、医師としての良心の呵責を感じないのか問いたいのです。その上、効きもしない「薬」(治療薬ではなくて、単なる対症療法薬)を処方してもいるのです(『症状を治す効能は有しないが、ケースにより、半年から1年程症状の進行が遅くなることが有るかも知れない』等と、製薬会社の受け売りのままに処方しているのです。医師が気にするのは、副作用の有無とその程度だけなのです。「症状を遅らせる効能を有する薬は存在し得ないのです(「A-34」を参照)。

(3)「脳のリハビリ」の実践により正常なレベルに回復させることが困難となる(厳密にいうと、前段階の中ボケの段階に回復させることも困難)という意味での末期の段階である「大ボケ」の段階は、症状の重さの幅が大河の川幅のように極めて広いのです。「大ボケ」の枠組みの中で、何等かの他の病気(老衰を含む)が原因で死を迎えることになるその時まで、症状の更なる重症化が進行していくことになるのです(「アルツハイマー型認知症」と言うタイプの認知症は、廃用性症候群に属する単なる「生活習慣病」なのであり、「アルツハイマー型認知症」が直接の原因で死亡するということは起こり得ないのです)。

➡(「アルツハイマー型認知症」が直接の原因で死亡したとの診断は、診断した医師自身が、『「アルツハイマー型認知症」の本態について無知』と言うだけのことなのです)。専門家と言いながら、「失語や失認や失行の症状が発病の初期段階の症状であると誤解」したままなので、「小ボケ」や「中ボケ」の段階があることに気づかないのです。情報を連絡する役割を担っている神経細胞にアミロイドベータが蓄積し、老人斑が沈着することに因り、神経細胞が大量死して重度の記憶障害が起きてきて、失語や失認や失行と言った症状が発現して来ることに因り、どのようなメカニズムにより、死亡するというのでしょうか。

 (4)上述した意味、回復させることは困難であり、「大ボケ」の枠の中で更なる重症化が進行していくだけという意味からも、「大ボケ」の段階の症状の発現が確認されているお年寄りの「家族介護」は、介護する家族側に精神的、肉体的、経済的な負担を強いるだけでなく、介護する側の「社会生活」自体を奪うものであり、「老老介護や認認介護や介護離職」を生むこととなり、我が国の採るべき政策としては、絶対に避けるべきものであると言うことを強調しておきたいのです。二段階方式の考え方及び二段階方式の手技に因る住民参加型の「地域予防活動」を全国展開し、「介護関連総費用」の増加に歯止めをかけ、更には、絶対額自体を大幅に減少させ、何等かの理由で「大ボケ」の段階にまで症状が進行してしまった「お年寄り」の介護にこそ、「介護保険」を全面的に適用すべきものと考えるのです。介護保険制度導入の本旨は、「家族による介護」の負担を軽減することにあったはずなのです。

&10『アルツハイマー型認知症』の「発病を予防」する為の「五か条」

1.権威達の主張する論理的な根拠と対処法

(1)『アルツハイマー型認知症』の発病原因については、現在もなお、「4つの仮説」(他に、タウ蛋白仮説、脳の萎縮仮説、アセチルコリン仮説)が主張されていて、アミロイドベータ仮説が通説(支持する学者の数が一番多いという意味であり、それ以上の意味はありません)とされていて、政府大綱の議論の中でも、更には、「介護の予防」のための措置の展開を市町村の保健師さん達に求めている通達である厚労省認知症施策推進室作成の「認知症ケアパスパス作成の手引き」の中でも、活動のための指針として、『アミロイドベータ仮説』が提示されている状況にあります。

(2)その手引きの中では、お年寄りの物忘れの症状について、単に「言葉の上で」何段階、何区分にも区分けされていて、「物忘れの症状」について、本人や家族の申告や外観から観察しただけの医師の診断を基礎にして、介護の予防措置の対象者を選別し、食事、睡眠、運動等の指導により、「介護の予防」措置(介護が不可欠の状態となる段階が起きてくる時期を僅かでも先送りさせるための指導や支援を行うこと)が求められているのです。

措置を行うべき対象の選別に際しては、MCI (軽度認知障害)の考え方と基準により評価し、判定するよう明記されてもいるのです。そのMCIの基準の考え方の概要について、政府大綱の議論を主導したA氏及びB氏の説明を、以下に引用しておきます。その概要とは、以下の通りです(MCIの基準は、判定基準と言いながら、「客観性が全く担保されていない」のが特徴です)。

MCIとは、原因の疾患に関係なく、軽度の認知障害を指す総称で、まだ生活に大きな支障はないが、物忘れが激しく、無気力になる状態です。放置すれば、4年以内に約半数が「アルツハイマー型認知症」を発症する予備軍ですが、治療によって平均20%余りの方が健常に戻るとされています』(ここで提示されている『4年以内に半数が発病する』とか、『治療により20%余りが治る』とかの説明が為されていますが、間違いなのです。何故なら、記憶障害が原因で発病する訳ではないからなのです。

①「物忘れの症状」の主観的な観察データを基礎として、MCIの基準に相当するとの診断をしようとも、そのことと、「アルツハイマー型認知症」の発病との間には直接の因果関係自体が存在していないので、MCIに相当と判定されたお年寄りが、『4年以内に、半数が発病する』というのは、何等の科学的で、客観的な説明とはならないのです(アミロイドベータの蓄積と老人斑の沈着により発病するとの仮説を支持し乍ら、発病する年数も、割合も、特定の数値が出ると説明していること自体が、意味不明なのです)。

②『MCI(軽度認知障害)に相当』と診断されたお年寄りに対する治療の方法はと言うと、アリセプトを含む「4種の薬」(「治療の効能」は有していなくて、単なる「対症療法薬」に過ぎない)だけであり、他方で、フランスでは、4種の薬の全てが、効能が認められないとして、健康保険の適用対象から除外されているのです。

③ A氏及びB氏が議論を主導した政府大綱の中でさえ、『70歳代のお年寄りについて、「対象期間が、現状に対して10年間で1年の期間の割合で、伸びることを目標値として」(介護が必要となる時期を現状よりも前述の割合で先延ばしすることを目標)設定しようとしたのに対し、外部組織から反対があり、一旦世間に対し発表したものを取り下げた経緯があるのです。その事実を見ても、その目標値を見ても、此処に説明されている数値「治療に因って平均20%余りの方が健常に戻るとされています」を含む説明の内容は、間違いということなのです。
➡『発病を予防するには、どうすればいいのか。基本的には、食事、運動、睡眠が大切になります』と説明されています。二人は共に、「アミロイドベータ仮説」を支持するとしながら、その口裏で、予防出来るとか、治療の効能が無くて、単なる対症療法薬でしかない「4種の薬」の服用により、治せるとか語るのです(論理の展開自体が、意味不明のレベル)。

2.二段階方式(エイジングライフ研究所)が主張する論理的な根拠と対処法

(1) 私たち「二段階方式」(エイジングライフ研究所)は、様々な種類が数ある認知症の内の大多数、90%以上の割合を占めているアルツハイマー型認知症は、前頭葉を含む脳全体の機能レベルに厳密にリンクした三段階に区分される症状が発現して来ると主張しているのです(小ボケ、中ボケ、大ボケの3つの段階全てを含む数での割合であり、厚労省が提示している割合は、末期の段階、二段階方式の区分で言う「大ボケ」の段階の人数だけで言っていることに注意)。

前述してあるように、我が国だけでなくて、世界中の権威とされる機関や人達は、末期の段階である「大ボケ」の段階の症状の発現が確認されているお年寄りだけが発病者であると考えていて、小ボケの段階や中ボケの段階が存在していることに、未だに気づいていないし、認識できていないのです。本当の意味での早期の段階であり、『脳のリハビリ』の実践により症状を治すことが出来る/症状の重症化の進行を抑制することが出来る段階である小ボケ及び中ボケの段階に気づいていないので、発病者の人数には含まれていないのです。

その「大ボケ」の段階の発病者数だけで、我が国での発病者数を600万人と見積もっているのです。小ボケと中ボケとを併せた数は、大ボケの総数を上回ることになるのですが、中ボケでも「介護」が未だ必要でないので、気にもしていないのです。『アルツハイマー型認知症』は、徐々に緩やかに症状が段階的に進行して行くのが特徴であり、早期の段階を放置していると、身体が持つので、重症化の進行が緩やかに進行して行き、「小ボケ」は3年後には中ボケとなり、「中ボケ」は、その期間が2~3年経過すると、末期の段階である「大ボケ」の段階に入って行くことになるのです。現在の医療は、最早治すことが出来ない末期の段階で発病を見つけて、「発病のレッテル」だけを貼り、「治療の効能」が認められない、アリセプトを含む「4種の薬」、単なる「対症療法薬」を処方して、売上高を稼ぐだけの診断が罷り通っているのです。今回、新たに出て来た「アデュカヌマブ」という薬も、『アミロイドベータ仮説』の考え方に基づいて開発されたものであり、『予防や治療の効能は有していない』のです。服用しても、発病の予防が出来る訳がないし、『症状を回復させたり、症状の進行を抑制する効能を有するが開発されることは、未来永劫有り得ないのです。

(2) 『アルツハイマー型認知症』というタイプの認知症は、『廃用症候群』に属する「老化・廃用型」の単なる『生活習慣病』に過ぎないというのが、私たち「二段階方式」が、主張する独自の見解であり、この内容が正しいことは、北海道から九州に跨る452の市町村での『アルツハイマー型認知症の早期診断による回復、介護の予防及び発病自体の予防を明確な目的とした住民参加型の地域予防活動』という先駆的な活動で、疫学的方法により、実証して来ているものなのです(論文を出していないので、知られていないだけ)。

(3) 左脳の出番が必須となる「仕事」とは無縁となる『第二の人生』では、「左脳中心」、仕事偏重だった「第一の人生」とは生き方を変え、右脳中心の生き方への転換を図り、周囲の目を気にせず、『自分らしさ』を前面に打ち出せるような生き方をして、毎日の生活の中に、実践の過程や目標達成の結果に『自分なり』の「楽しみ」や「達成感」を感じて、『自分なり』の「喜び」や「生き甲斐」が得られるような『テーマ』を選択し、『自分なり』の「目標」を設定し、『自分自身がイキイキとしている』と感じられる『脳の使い方』としての自分なりの『生活習慣』を構築して、継続して実践することが、『アルツハイマー型認知症の発病を予防』する上で、「必要不可欠で、唯一の方法となる」のです。

)日々が、「仕事」とは無縁の生活となる第二の人生では、自分の置かれている生活状況に対する肯定的でポジティブな捉え方を基本とし、且つ、『自分なり』のという自分の尺度で、物事を評価し、目標を設定し、追求し、努力する生き方が、『脳の健康』を維持する生活習慣を継続させる上で、即ち、「アルツハイマー型認知症」の発病を予防する上で、極めて重要な条件となるのです。

(4)『発病を予防』する為に構築すべき『生活習慣』としての「五箇条」

症状を治すにも、発病を予防するにも、方法は唯一。『脳全体をしっかりと使ってやる』以外に方法は無いのです。

「趣味や遊びや人付き合いや運動や、地域活動」等を中心とした生活の中に、自分なりの「テーマ」を見つけて、自分なりの『喜び』や『生き甲斐』が得られるような、自分なりの『目標』の設定と実行、生活上の張りのある『生き方』を見つけて、自分らしい『生活の楽しみ方』をして、『脳が活き活きとしている』と感じられるような日々の『脳の使い方』としての「生活習慣」、何かに挑戦する『意欲』が湧いてきて、『注意の集中力』が長続きして、『注意の分配力』の機能の出番が出来るだけ多くなるような『生活習慣』を構築し、『継続して実践』することが、『前頭葉を活性化』させ、『発病を予防』することに繋がるのです。『3密の回避』とは、真反対の「脳の使い方」としての『生活習慣』の実践が不可欠となるのです。

① 時間が経つのも忘れるような、熱中し、夢中になれる、趣味や遊びの機会を出来るだけ多く持ち;

② 趣味や遊びを通じて、できるだけ多くの人達と交わり;

③ 趣味や遊びや人付き合いや、地域の祭りの復興等の地域活動に、自分なりの生き甲斐や目標や喜びを見つけて;

④精神的な張りと緊張感のある毎日を過ごしながら;何事に対しても、出来るだけ肯定的な捉え方、見方、考え方に努めるようにして;

⑤速足の散歩やラジオ体操など、毎日、楽しみながら『運動』するのです。

 3.「共助」が必要となる

 地域住民が活動に参加する「脳のイキイキ教室」を運営するには、『地域ボランティア』の積極的な参加と協力が不可欠のものとなります(※ボランティアとして参加し、予防教室の運営に関わる都度の実施テーマの選択や実施方法の創意や工夫、他地域の予防教室との交流の促進、実施テーマの効果の評価等に積極的に参画することに因り、注意の分配力の活用と前頭葉の活性化により、自身の喜びや生き甲斐、ひいては発病の予防につながるのです)。

4.「公助」が必要となる

 (1) 介護の費用補助(「介護保険制度」による対応)

 「二段階方式」の考え方及び手技の活用に基づいた、「アルツハイマー型認知症」の早期診断による回復、介護の予防及び発病自体の予防を明確な目的とした住民参加型の「地域予防活動」という具体的な対策方法が、北海道から九州に跨る累積452の市町村での予防活動実践の成果として、主張内容が正しいことが疫学的に実証されていて、極めて大きな効果を生み出している我が国では、何等の対策を打たないままに放置していて、認認介護や介護離職が放置されていていい訳がないのです。

(2) 私たちが提案している住民参加型の地域予防活動を全国展開し、地方の地域の隅々にまで浸透させていけば、「認認介護」や「介護離職」が消えていくだけでなくて、単年度ベースで10兆円を超えてきていて、この先更に増加する一方と予測されている介護地獄を解消させ、「介護関連の費用」の規模と総額とを大幅に減少させ、何らかの理由で末期の段階の症状が発現するまでに「前頭葉」を含む脳全体の機能が廃用性の加速度的で異常な機能低下が進行してしまったお年寄りに対しては、「家族介護」の負担を強いることなく、全員を『介護保険制度』で対応することが出来る社会を実現させるべきなのです。

(3)『住民参加型の地域予防活動』を、出来るだけ早期に、国策として実現する為には、更に、その顕著な効果を達成する為にも、国民の深い理解と賛同の声が不可欠となるのです。

本著作物「F-11」に掲載され、記載され、表現された内容に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。このブログ中の内容の一部を引用する際は、必ず、著作権法の規定に則って引用してくださるようお願いします(特に、医学界に身を置く人達に、お願いします)。

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