認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

アルツハイマー型認知症の段階的症状(総集編) Q/A Room(A-52)

2012-07-26 | アルツハイマー型認知症の段階的症状の総ま

Q:認知症の大多数、90%以上を占めるとされる「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズムと発病後の症状の進行の特徴について、分かり易く説明してください。

A:60歳を過ぎた高齢者が、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標もない毎日、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続する日々を過ごしていると、出番が極端に少なくなった脳の機能が、廃用性加速度的機能低下を起こしてきて、「アルツハイマー型認知症」を発病します。「発病のメカニズム」は、ここをクリック。

但し、廃用性の機能低下が原因で発病する老年性の「アルツハイマー型認知症」は、遺伝子の異常が原因で発病し極めて短期間に症状が進行していく若年性の「アルツハイマー病」とは異なり、症状が何年もかけて、徐々に段階的に進んでいくのが特徴なのです。最初に回復容易な「小ボケ」の段階があって、次いで回復可能な「中ボケ」の段階があって、最後に回復困難な「大ボケ」の段階がくるのです。各段階ごとの脳の機能レベルの推移を下図に示しておきます。

    

昨日まで正常だったお年寄りが、一晩寝たら、突然自分の家が分からなくなったり、同居している孫娘の顔も分からなくなったりはしないのです。「キッカケ」を契機にして、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が日々継続するようになって、「小ボケ」の期間が「キッカケ」の発生から0.5~3年、「中ボケ」の期間が4~5年、6年経つと「大ボケ」になるのが大原則なのです。だからこそ、東日本大震災を経験した高齢者の状況を、私たちはとても心配しているのです。「不活発病」などと言う訳の分からない病名などつけて、放置しないで欲しいのです。(「キッカケは、ここをクリック」

       

5月2日のブログ(N-35)の解説で、大量且つ構造的な発病を予告した通りに、東日本大震災の主たる被災地である岩手県、宮城県及び福島県の高齢者を対象として、極めて多数のアルツハイマー型認知症の発病(新規の発病と症状の重症化)が確認されていることが、新聞でも大きく取り上げられるようになってきました。但し、その新聞に登場した専門家は、それを異常な現象だと捉えていて、構造的なもの言い換えれば、アルツハイマー型認知症発病のメカニズムにかかわるものだと言う認識を持っていないのが極めて残念なことです。アミロイド・ベータやタウ・蛋白が発病の主犯であるとする「学説の主張」は間違っているのです。東日本大震災の被災地の高齢者の状況について、今後数年間にわたって大規模な調査を実施すれば、その実態から私達の説が正しいことが、「疫学的に証明」されることになるはずです。(N-35は、ここをクリックしてください

軽度認知症(「小ボケ」)の次の段階を私たちは、「中等度認知症」(「中ボケ」)と呼んで、末期段階の「重度認知症」(「大ボケ」)の段階と区別しています。認知症の専門家たちは、末期段階の「重度認知症」(「大ボケ」)の段階にならないと認知症とは認めていません。ところが、「軽度認知症」の段階なら「回復が容易」で、「中等度認知症」の段階なら「回復が可能」であるのに対し、「重度認知症」の段階になると「回復は困難」になるのです。回復困難な末期段階(私たちの区分で言う「重度認知症」の段階)でアルツハイマー型認知症を見つけることに何の意味があるのか、医師としての社会的使命は放棄されてしまっているのではないかと言いたいのです。

       

以下に「小ボケ」、「中ボケ」、「大ボケ」の順にそれぞれの段階に「特有な症状」をまとめて順番に並べて表示します。「アルツハイマー型認知症」の症状(脳の機能レベルにリンクした症状)の進行具合が明確に読み取れることと思います。脳の機能が、「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)の三本柱の「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の衰えに始まり、次第に左脳、右脳、運動の脳と衰えが進んでいくことの結果として症状が出てきて、その症状も次第に重くなっていくことが分かることと思います。専門家達が考えているような、情報を連絡する神経線維がアミロイドベータやタウ蛋白によって侵されていくことによって症状が重くなっていくわけではないのです。

)以下に、「二段階方式」の判定基準である「小ボケ」に特有の症状を列記しておきます。

  [ 小ボケのチェックリスト]

(4つ以上に該当していると、「小ボケ」のレベルであることが疑われます)。

□ 複数のことに注意が分配できなくて、3つの用事が同時にさばけない

□ 機転がきかなくて、創意工夫ができない

□ 発想が乏しくて、画一的な行動が目立つ

□ 何事をするにも億劫で面倒がり、何かをやってみようという意欲が見られない

□  同じ食材を買ってくることが多く、料理の献立の単調さが目立つ

□ 一日や一週間の計画が自分で立てられず、なにも思いつかない様子

□ 朝は遅くまで起きてこないのに、気がつくと居眠りしている

□ これまでなら感動していたことに対して感動しない

□ 問いかけに対する反応が遅く、生き生きした笑顔がほとんど見られない

□ ぼんやりしていることが多く、自分から何もしないが指示されるとできる

□ 根気が続かず中途半端なことを繰り返し、やりかけの家事が目立つ

□ 目の光がどんよりしていて、顔つきが無表情

□ 反応が遅く動作がもたもたしていて、階段をトントンと降りられない

□ 歩くとき前屈みの姿勢で、小股でトボトボと歩く

□ 料理の手際が悪くなり、家族数に関係なく多すぎる量の料理を作る

□ 自分に自信がなくなり、何かにつけ人を頼ろうとする

□ 髪の手入れや、おしゃれに無関心

□ 同じ内容を繰り返して話し、そのことに本人が気づかない

□ 会話の最中唐突に、一方的に言いたいことを言い相手の話しを聞かない

□ 思い込みや思い違いが多く、指摘しても訂正や変更ができない

□ これまでなら楽しんでいた趣味や外出や旅行を嫌がる

         

)以下に、「二段階方式」の判定基準である「中ボケ」に特有の症状を列記しておきます。

 【中ボケのチェックリスト】

(4つ以上に該当していると、「中ボケ」のレベルであることが疑われます)。

□ 何度教えても日付けがあいまいになる(注1)

□ 簡単な計算ができない(お札ばかりで買い物をし、やたらと小銭がたまる)

□ 電気やガスの消し忘れ、水道の蛇口の閉め忘れなどが目立つ

□ 家庭内の簡単な用事程度のこともきちんとできない(部屋や洗濯物の

整理、食後の片付け、畑や庭仕事などがきちんとできなくなる)

□ お金や持ち物のしまい場所をすっかり忘れてしまい、一日中探している

□ 自分が飲む2~3種類の服薬管理ができない

□ 服の着方に無頓着で、重ね着が目立つ(セーターの上からシャツを着

る。裏表や前後ろに着る。入浴後、着ていた下着の上に新しい下着を着

る)

□ 入浴時の温度管理が出来ず、体を洗わないとか石鹸がついたままとかする

□ 周りを汚したり流してないなど、トイレの後始末がきちんとできない

□ 料理の味付けが変になる(特に、塩加減が極端に変になる。塩辛す

ぎて、周りが食べられないようなものを作り、本人だけが平気で食べる)

□ 行き慣れている所に行くのに、スムーズに行けない(行き先の違う乗

り物に乗ったり、行き道を間違えたりする)(注2)

□ 自分の子供の数、生まれ順、居住場所の説明がきちんとできない

□ 季節が分からなくなる(夏にセーターなど、季節違いの服を平気で着

る)

□ 昨日の出来事をすっかり忘れてしまう

□ 物盗られ妄想(物の置き場所を忘れて、相手が隠したとか盗んだとか

言う)とか、世話をしてくれる人に対して口汚くののしる行為とかがある

        

)以下に、「二段階方式」の判定基準である「大ボケ」に特有の症状を列記しておきます。

 【大ボケのチェックリスト】

(3つ以上に該当していると、「大ボケ」のレベルであることが疑われます)。

□ 着ている服を脱ぎたがらず、便で汚れた下着をそのまま平気で着ている

□ 風呂に入るのを嫌がる

□ 服を正しく着られず、ズボンを頭からかぶったり上着に足を通したりする

□ 家族の名前を間違えたり、子供を配偶者と間違えたりする

□ 食事やあいさつをしたことなど直前に起きたことをすぐに忘れてしまう

□ 家庭生活に全面的な介助が必要(食事、入浴、排泄)

□ 自宅に居ても落ちつかず、出て行きたがる

□ 大小便を失敗しても、後の処置ができない(大小便で汚れた下着を、押し入れなどに隠すようなこともあります)

□ 自宅の方向が、たびたびわからなくなる

□ 同居している家族の名前も顔もわからない(家族かどうかも分からない)

□ 今は昼なのか夜なのかがわからなくて、夜中に騒ぐ(夜中に起きてくる、家中の電気をつけて回る、会社に行くとか田んぼに行くとか言い張る)

□ 痛んだものを平気で食べ、食べ物でないものを口にする

□ 独り言や同じ言葉の繰り返しが目立つ

□ 誰も居ないのに「人が居る」と言ったりする

             

(コーヒー・ブレイク) 服を自分で着られなくなり、ズボンを頭から被るとか;自分の家が分からなくて、徘徊して迷子になるとか;同居してる家族の顔も分からないとか;失禁した服を平気で着ていたりしたら、自信を持って、その人はボケてると皆さんは思うのではないでしょうか。正確に言うと、これは、アルツハイマー型認知症の末期段階の症状なのです。こうした症状が出てくるもっと前の「軽い段階」があるのを専門家の精神科医でさえ見落としているのです。

昨日まで、ゲートボールをしたり、町内会の旅行に参加して楽しんでいたお年寄りが、一夜明けたら、洋服が着られないとか、自分の家が分からないとかには、ならないのです。回復が困難な末期段階の「重度認知症」の段階でしか、「アルツハイマー型認知症」を見つけられないでいる 医療機関は、その社会的な使命を果たしていると言えるのでしょうか。 

 注)本著作物(このブログA-52に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

  エイジングライフ研究所のHPここをクリックしてください)

 

 

 

 

 

 

 
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