認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

アルツハイマー型認知症の予防と脳を活性化させる生活習慣(Bー56)

2016-03-15 | 脳を活性化させる「テーマ」を探して

 気づいてよ 恐れることは 何もない

  大事なことは 脳のイキイキ By kinukototadao

 (プロローグ)

私は暑がり屋なのですが、Tadはというと、寒がり屋なのです。ダイヤランドにある脳活性化研究所の建物の所在場所の標高は、高々500Mに過ぎないのです。寒いとはいっても、雪国に住んでおられる人たちのことを考えれば、比較にならないほど暖かいと思うのです。何しろ、冬の季節中でも雪が降る日は零なのですから。でも、寒がりのTadは駄目なのです。このころの富士山が一年で一番きれいだというのに、寒がりのTadのせいで、2月の中旬からは、訪れることがなかったのです。言わば、開店休業状態だったのです。

天気予報では3月は、中旬以降は暖かい日々が続くということで、中旬からダイヤランドに行くことになったのです。でも、活動を始めるその前に、先ずは「楽しみごと」をということになったのです。私たちは、何故か、何時もこうなのです。一種の規則と言うよりは、規範みたいになっているのです。

     

楽しみごとがあれば、活動を頑張れるというか、楽しみごとが先にないと、活動を頑張る気になれないのです。楽しみごとばかりを繰り返していると、生活面での刺激が少なくなるというか、何か物足りなさを感じてしまうのです。だからと言って、活動に従事する日が多すぎても、つまらないのです。第二の人生が、日々仕事に追われた「第一の人生」のようになってしまうからです。楽しみごとと活動との兼ね合いが、そのバランスがとても大事なのです。「第一の人生」と違って、その兼ね合いをとれるところが、「第二の人生」の良いところでもあるのです。こうした生き方が、私たちの「前頭葉」の中に組み込まれた「評価の物差し」となっているのです。等と格好の良いことを言う前に、「アルツハイマー型認知症」の予防、就中、「地域予防活動」の全国的な展開を提唱している、私たちがボケるわけにはいかないという想いがあるからなのです。少しでも暇があれば、私たちの「脳の活性化」となる「テーマ」を見つけて実践しようという強い「欲求」に支えられてもいるのです。

そうでなくても心が弾んでくる春の到来のお祝いに、脳活性化の「テーマ」として、1泊2日の「箱根旅行」を楽しもうということになったのです。1泊から2~3泊程度の小旅行は、手軽なうえに、ちょっとした「脳の活性化」が期待できる、大事な「テーマ」なのです。東京砂漠で暮らされてるお年寄りの皆さんも、一度この伊豆高原に2~3泊程度で脳活性化の体験に見えてはいかがでしょう。ここ伊豆高原には、脳の活性化に適した様々な施設がありますよ。

私たち2人に加えて、Jガーデンのご主人の「快気祝い」に、泊り客やガーデン訪問の方達の対応で日ごろお忙しい奥様の真樹子さんを箱根の「ハーベストクラブ」にご招待ということになり、8~9日に、Tadを含む3人で出かけることになったのです。当初は、翠陽の中華懐石にご執心のTadの要望もあり、「エクシブ箱根離宮」に泊まる予定だったのですが、混んでいたので、ハーベストの「箱根甲子園」に鞍替えしたのです。いずれにしろ、出かける前から、Tadの脳が活性化していると感じたのは、私のひがみ心からなのでしょうか。

       

話を本題に戻して、先日の新聞記事では、「高齢者」1万人を公募して、その人達のビッグデータを集めて、認知症の発病と関連する項目を解析するという試みが報じられていました。飲食を含む食生活、喫煙、運動等が注目されている項目だとの解説がありました。このような項目と視点では、「脳血管性認知症」との関連はある程度見つけられると思うのですが、肝心の「アルツハイマー型認知症」との関連を見つけ出すことはできないのです。従来の学説にもあったような、無関係な関係である、発病の予防に赤ワインが良いのではとか、ココアが良いのではとか言った程度のことしか出てこないと思うのです。

     

「アルツハイマー型認知症」の本質は、「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)を含む脳全体の機能レベルが廃用性の異常で加速度的な機能低下を進行させてくることにあるのです。私たちが指摘し主張してきているように、脳の使い方という視点での「生活習慣」が調査されるべき項目となるのです。趣味や遊びや人付き合いや運動、或は社会活動という「テーマ」の有無、そのかかわり方の程度が、症状の発現及び症状の進行の程度に直接影響している要因なのです。生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものも無い、ナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続、そのような「生活習慣」こそが、ビッグ・データの活用により、解析されるべき「主題」なのです。対象となる「テーマ」の企画や計画、実行の過程及び実行の結果が「喜び」や「生き甲斐」につながることが、「アルツハイマー型認知症」の発病を予防する為の重要な条件となるのです。その過程で、常に、「前頭葉」の三本柱の機能である、「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の機能が、使われる機会が多くなり、出番が増えることが、「前頭葉」を含む脳全体の脳の活性化につながるからなのです。

「アルツハイマー型認知症」の本質は廃用症候群に属する「生活習慣病」なので、発病を予防するためには、廃用性の機能低下を避ける「生活習慣」が不可欠となるのです。生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものも無い、ナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続、そのような「生活習慣」が回避されることが不可欠の条件となるのです。仕事とは無縁の「第二の人生」を送る日々の生活の中で、脳全体の司令塔の役割を担う「前頭葉」の機能が使われる機会が多い、すなわち、出番が多いことによって、「前頭葉」の三本柱の機能自体が「活性化される」ことが極めて重要なのです。「前頭葉」の個別認知機能は、「前頭葉」の三本柱の機能の活性化によって発揮度が左右されるという「二重構造」の関係(「脳機能データ」の解析によって、私たちが世界で初めて発見した構造)にあるからなのです。

       

「前頭葉」の三本柱の機能の機能ボリュームの容量自体が潜在機能ベースで膨らむことにより、「前頭葉」の三本柱の機能の顕在化する機能もそれだけボリュームが膨らむことになるのです。引いてはそのことが、私達の意識的な世界を支配し、コントロールしている「前頭葉」という脳の機能を構成している個別認知機能である、自発性、観察、分析、考察、洞察、想像、推理、表象、批判、理解、了解、把握、判定、興味、関心、着眼、発想、連想、空想、妄想、意図、企図、企画、計画、創意、工夫、創造、具象化、抽象化、シミュレー・ション、予見、予測、修正、比較、選択、確認、整理、統合、判断、決定、決断、監視、機転、拘泥、執着、憤怒、抑制、忍耐及び感動等の機能の発揮度を強固なものにすることにつながるということなのです。「主題」ごとに様々な程度に区分けられて重層的に存在する私たちの「意識」とその「意識度」(意識の覚醒の程度及び態様)を区分けているものは、「前頭葉」の三本柱の機能(意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能のことを私たちは、このように名付けているのです)の働き具合なのです。

世界中の脳科学者のだれもが未だ気づいてはいないこの「テーマ」、「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズムが解明され、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」という脳機能の働き方のメカニズムにも注目が集まることによって、やがては、「重層的」な存在としての「意識」という「テーマ」が、専門家達に注目される時代がやってくることになるのです。「前頭葉」の三本柱の機能が担う重要不可欠のものとして、覚醒度が異なる複数の「意識」が重層的に、且つ同時に存在する状況下での全体の及び/又は個別の「意識」の発揮度を支配し、コントロールする機能を有しているという、脳の機能構造面からの問題を提起しておきたいと思うのです。

もちろんのこと、そのテーマには、「前頭葉」の三本柱の機能の一つであり、廃用性の機能低下という視点で言うと最初にその機能が衰えていくところの機能、「注意の分配」機能が直結しているということになるのですが。

     

私の覚醒した今の意識を構成していて、視覚中枢を経由して持ち込まれてきて、且つ眼前に存在している対象として認知されていて、風に揺れている一本の杉の枝先、その先に見える放物線状の形状に湾曲した駿河湾、更にその先に見える冠雪した南アルプスの連山、これらに対する焦点の在り方を変えさせているのは、何をどうするのかという「主題」の存在であり、下支えしている脳機能が「前頭葉」の三本柱の機能であり、就中、「注意の分配」の機能ということなのです。あなたの脳でも試してみてください。脳の機能面から言えば、「意識」の覚醒の度合が低いからと言って、その世界は「無意識」の世界ではないのです。

「意識」が存在している世界と言っても、その「意識」の覚醒度が様々に異なる世界、対象となる特定の「主題」に絞り込まない限り基本的には常に複数の重層的な「意識」が構成されて存在しているという、私たち人間だけに特有の「意識」の世界に、脳科学者達が未だ気づいていないだけのことなのです。或る特定の「主題」に「意識」を集中させて、一定レベルでの機能を発揮させるには、「意欲」と「注意の集中力」の機能の発揮が不可欠となり、複数の「主題」について「意識」を同時に分配させて、一定レベルでの機能を同時に発揮させるには、「意欲」と「注意の分配力」の機能の発揮が不可欠となるのです。但し、我が身が置かれている状況下での「主題」を選択し/特定の内容に意識を集中させる機能は、「前頭葉」の三本柱の機能ではなくて、別の機能である「状況を判断する機能」ではないかと私たちは考えているのです。「評価の物差し」が関与することによって/且つ同時に、「覚醒された意識」の世界が出現することになるのです。その機能部位には、カメラのレンズの焦点を特定の主題に選択的に切り変えるかのような機能が備わっているのです。「アルツハイマー型認知症」の場合には、脳の機能に衰えていく明確な順番があり、「前頭葉」の三本柱の機能、就中最も高度な機能である「注意の分配力」の機能から異常なレベルに衰えていくので、私たちの区分で言う「軽度認知症」(小ボケ)の段階で、上述したような意識の世界は、脳の機能面で既に消失しているのです。

     

「意識」に先行する「無意識」の世界の存在、「無意識」が全ての「意識」を支配しているとの学説「仮説」が主張の根拠としている、カリフォルニア大学のサンフランシスコ校のベンジャミン・リベット博士が発表したその実験は、「前頭葉」の働き方のメカニズムを知らないが故の「誤解」に基づく解釈、「仮説」だということを指摘しておきたいのです。

脳全体の司令塔である「前頭葉」は、「秒針が9時の位置に差しかかったその瞬間に、通り過ぎようとする正にその時に、指でボタンを押す」というその「主題」を保持し続けているということが見落とされているのです。秒針が9時の位置に差しかかる正にその直前にその「主題」は強く意識されることになるのです。つまり、秒針が9時に差しかかる正にその直前に、「指でボタンを押す」という「主題」が意識されることになるのです。このことを脳の機能面から説明すると、秒針が9時に差しかかる正にその直前に、「指でボタンを押す」という「主題」が強く意識されることにより、「運動の脳」が働くことになるのです。これは強く意識される「主題」であるので、「前頭葉」の三本柱の機能が強く働くのです。すなわち、この時、強い血流が生じることとなって、強く働いた脳波として、計測されたということなのです。次いで、ボタンを押すという「主題」が意識され、その結果として、指が動いてその動きがセンサーによって検知されたということなのです。脳の働きを順序立てて整理すると次のようになるのです。()秒針が9時に差しかかる正にその直前に、「指でボタンを押す」という「主題」が強く意識されることにより「前頭葉」の三本柱の機能レベルが上がった結果として機能レベルが上がった状態下で「運動の脳」が働き(運動の脳の働きを脳波で計測)、次いで、()指でボタンを押すという「主題」が意識されてその指令が出て(運動の指令信号を脳波で計測)、最後に、() 指令に基づいて指が動いた(センサーで計測)ということに他ならないのです。

教授が実験の結果として主張しているような、「(2)脳で運動の指令信号が発生した時刻➡(1)被験者が、自らの意思で指を動かそうと思った時刻➡(3)実際に指が動いた時刻という順序」で起きていた訳ではないのです。単に、」➡」➡」の順番で起きてきているのを誤解しているだけなのです。私たち人間の意識的な世界が解明されるには、まだまだ、相当の時間がかかりそうなのです。この程度の実験で、このような誤った解釈で、「無意識が、全ての意識的な世界を支配している」などと騒ぎ立てないでほしいのです。権威がある人や機関が発表している見解だからと言って、その内容が正しいものとは限らないのです。世界的な権威があるとされる「DSM-4」の規定、「アルツハイマー型認知症」の診断規定としての「第一の要件」及び「第二の要件」は共に、誤解に基づく、且つ重大な誤りを内包した規定なのです。

     

「アルツハイマー型認知症」の発病及び症状重症化のメカニズム並びに早期診断による回復及び発病自体の予防の方法を見つける(私たちの主張を理解する)には、「前頭葉」機能の働き方及び衰え方の理解が不可欠となるのです。何時になったら、アミロイドベータの蓄積とかタウタンパクの蓄積とか脳の顕著な萎縮といった枝葉末節の個々の樹木の状況の変化だけに拘泥するのを止めて、森の全体の状況の変化に学者や研究者や医師達の目が向いてくれるようになるのでしょうか。

観察の対象がマウスである限り、アミロイド・マウスであろうとも同じことなのです。マウスには、「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズムを解明する上で不可欠である「前頭葉」という脳機能が備わっていないからなのです。人材も豊富で、資金も豊富で、組織も巨大なのに、それらの研究機関は、「記憶」のメカニズム自体も全く異なるのに、迷路を彷徨って餌を求めて動き回るだけのマウスを研究しているのが実態なのです。何故、私たちのように、生きた人間の「前頭葉」の働き具合、或はその機能の衰え方の特徴を研究対象にしようとしないのか、不思議でならないのです。更には、最近の報道によると、アミロイド・ベータを含有させた米を食することによる免疫システムを活用した(「ワクチン」療法)予防/治療薬の開発と言う考え方が、最新の有力な学説として注目されていると言うのです。そもそも、アミロイド・ベータの蓄積による老人斑の沈着が神経細胞を死滅/或いは脱落させることが原因で「記憶障害」を中核とした認知症の症状(「アルツハイマー型認知症」の症状)が惹き引き起こされてくるという考え方(これまた、因果関係の立証が為され無いがままの単なる「仮説」)自体が、誤った仮説なのであり、且つ「アルツハイマー型認知症」の中核的な症状(就中、回復させることが可能な早期の段階である「小ボケ」及び「中ボケ」の段階での症状)は、「記憶の障害の症状」ではなくて、廃用性の加速度的で異常な機能低下に直接起因する「前頭葉」の機能障害としての症状が中核的な症状なのです(ここを「クリック」してください)。この程度のことにさえ、気づいていないのです。

ア~、嘆かわしや。様々な学説(単なる「仮説」)が主張されていて、「アルツハイマー型認知症」の治療薬/予防薬の様々な開発が試みられているとはいいながら、アミロイドベータやタウ蛋白の沈着による神経線維の脱落や滅失が発病の原因だとか、「記憶障害」の症状が中核的な症状だと考えている限り、時間の無駄遣いであり、人材の無駄遣いであり、税金の無駄遣いであり、それら全ての方策は、徒労に終わるだけのことなのです。何故に、「前頭葉」を含む脳全体の機能の廃用性の異常で加速度的な機能低下と言う「テーマ」に気づこうとしないのでしょうか。こうした見方は、研究者と言う学究的な世界に在る人達にとっては、素人ぽく映るので嫌だとでも言うのでしょうか。

その上、「アルツハイマー型認知症」の症状を、「中核症状」とか「周辺症状」とかに区分することに何の意味があるというのでしょうか。私たちは、「アルツハイマー型認知症」を治すこと(「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルを正常な機能レベルに回復させること)の可能性という視点から、回復させることが容易である「軽度認知症」(小ボケ)、回復させることが未だ可能である「中等度認知症」(中ボケ)及び末期の段階であり回復させることが困難な「重度認知症」(大ボケ)の三段階に区分しているのです。

私たちが発見し主張している「アルツハイマー型認知症」を治す方法(「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルを正常な機能レベルに回復させること)は、「前頭葉」を含む脳全体を活性化させる方法である「脳のリハビリ」という、脳の使い方としての「生活習慣」の改善と工夫という方法なのです。「アルツハイマー型認知症」の発病を予防したり、症状を治したり、症状の進行を遅らせたり、或は食い止めたりする効能がある「薬」など、「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズム及び症状が進行するメカニズム並びに「前頭葉」の機能の廃用性の機能低下のメカニズムからしてあり得ない、存在し得ないことだと私たちは考えているのです(ここを「クリック」してください)。

       

「左脳」が担う仕事とは無縁となる第二の人生では、「趣味や遊びや人付き合い」という、「右脳」及び「運動の脳」の出番が多い「テーマ」を日々の生活の中に取り込むことが、「前頭葉」を含む脳全体を活性化させ、その機能レベルを正常なレベルのままに維持する上で、言い換えると、「アルツハイマー型認知症」の発病を「予防」する上で、不可欠の条件となるのです。私たちが問題提起している「脳の使い方」としての「生活習慣」とは、その「テーマ」を日々実践することにより「前頭葉」を含む脳全体が活性化してくる生活、就中、「前頭葉」の三本柱の出番が多い「テーマ」を日々実践すること、そうした生き方を「生活習慣」化する生き方のことなのです。そうした生き方は、「食生活」とは関係が無いし、「サプリメント」の摂取とも関係無いし、「喫煙」とも関係無いし、ましてや、「赤ワイン」や「ココア」を飲むこととは無関係の関係ということなのです。

あなたの脳を活性化するのに、あなたが置かれている生活状況及び諸条件の制約の下で、どのような「テーマ」を選べばいいのか。周りと比較するべきものではないのです。生まれ落ちたときに受け取った脳の機能、「前頭葉」の機能、左脳や右脳や運動の脳の機能は、誰もが異なるのです。たとえ双子、しかも一卵性の双生児として生まれてきても、それらの機能ボリュームは異なるのです。「左脳」、「右脳」、「運動の脳」の機能バランス自体が異なるのです。左脳の方に寄った人もいれば、右脳の方に寄った人もいれば、運動の脳の方に寄った人もいるのです。3歳児以降の人生での「自身の体験」が基礎となって築きあげてきた、ものの見方、考え方、感じ方に係わる物差し、「評価の物差し」自体も各人各様に異なるのです。その上、社会生活面でのキャリアも異なるのです。他人は他人という考え方が、「第二の人生」を送るうえで、「前頭葉」を活性化させる生活習慣を構築し、実践していくうえで、極めて重要な価値観となるのです。

左脳が担う「仕事」に関わる目標の達成が中核となった「第一の人生」では、思うように生きることが出来なかった人が大半だと思うのです。左脳が担う「仕事」とは無縁の「第二の人生」では、自分が実行したいと思うような「テーマ」を選択し、自分なりの目標を設定し、自分なりに楽しむ生き方を追求することが重要なのです。自分が置かれている環境や状況を肯定した上で、自分なりの「テーマ」を選択し、自分なりの達成可能な「目標」を掲げて、実践の過程及び実践の結果を自分なりに楽しむことが、「脳の活性化」、「前頭葉」を含む脳全体の活性化につながるのです。「前頭葉」が活性化する「生活習慣」を継続していれば、身体が持つ限り脳を持たせることが出来るのです。「アルツハイマー型認知症」とは無縁で、「第二の人生」を完走することが出来ることになるのです。そのことを常に念頭に置いて、忘れないでほしいのです。

       

 初日は、午前10時に伊豆高原を出発して、芦ノ湖を眼下に見下ろすレストラン「Bakery & Table Hakone」の3Fでお昼を摂った後、箱根のポーラ美術館を訪ねて、印象派を中心とした絵画を鑑賞した後、5時にハーベストクラブの「箱根甲子園」にチェック・インしました。全館満室状態の為混んでいて、夕食の時間が遅かったので、先にひと風呂浴びてから、夕食をいただきました。夕食時には、2時間半かけて和洋膳を楽しみ、就寝前には、再度温泉露天風呂を楽しみました。

 二日目は、バイキングでの朝食を楽しんだ後、仙石原の周りの散策を楽しみました。お昼はエクシブの「箱根離宮」内のべラビスタで、おしゃれなイタリアンをいただきました。食後は、ショップでのお買い物を楽しんだ後、今回は泊まれなかったので、建物の周りをかこっているお庭の散策を楽しみました。

真樹子さんは、ハーベストの箱根の施設に泊まられるのが初めての体験だったとかで、何をトライしても、「あ~、楽しかった」とおっしゃってくださるので、私たちも、その分余計に嬉しくて楽しくなり、脳がとても活性化されました。あ~、それなのに!私たちの「前頭葉」が最も活性化していた時とは、実は、泡を飛ばして、他人のうわさ話に夢中になって居た時だったのです。簡単な足し算や引き算をしたり、仮名で書かれたおとぎ話を音読する教室の開設が、参加したお年寄りの脳の活性化に有効だと誤解している人達は、教室に集まって授業の前後で親しくなった周りのお年寄り達と「世間話に花を咲かせているとき」が、お年寄り達の脳が最も活性化しているときであって、その体験がお年寄り達の「前頭葉」の機能レベルを向上させている真犯人だということに気づいて居ないのです。私たちの意識的な世界、何かのテーマを実行しようとする世界を支配しコントロールしていて、脳全体の司令塔の役割を担う「前頭葉」には、「評価の物差し」と言う機能が内包されているからなのです。

どのような「テーマ」をどのように実行する「生活習慣」が、各人の「前頭葉」の機能向上に有益なのか、この「評価の物差し」と言う機能の存在を抜きにしては、無益なものとなってしまうのです。教室の有効性の説明資料に、PETで計測したデータを持ち出そうとも、そうしたデータは、肝心の因果関係を無視した資料に過ぎないのです。そのことに、早く、気づいて欲しいのです。お年寄りを10人も集めて、教室にも通わないで、趣味や遊びや運動もしないで、毎日、朝方、昼間、夕方に、独りで黙々と「簡単な足し算や引き算をしたり、仮名で書かれたおとぎ話を音読する」だけの生活を半年間も継続してもらい、教室に通ってきているお年寄り達のデータと比較してみれば、容易に気付くことなのです。その10人のお年寄りの「前頭葉」の機能レベルが明確に低下してきていることを知ることになるはずなのです。

      

 様々な種類が数多くある認知症という病気の中でも、それら全体の90%以上の割合を占めているのが、「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症なのです。「アルツハイマー型認知症」は、ご存知のように、「発病の原因がわからないし、治すことができないし、発病自体を予防することもできない」タイプの認知症であるとされているのです。世界中の認知症の専門家達(学者や研究者や医師達)が手を挙げてしまっている病気なのです。様々な仮説(アセチルコリン説、脳の萎縮説、アミロイドベータ説、タウタンパク説)が主張されてはいるものの、未だに、主張されている原因と発病との間の因果関係は立証されないままなのです。そうした主張が「仮説」と呼ばれる所以なのです。

私たちは、「アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する単なる生活習慣病である」と主張しているのです。この場合、「生活習慣」と言っても、従来型の観念ではないのです。これまで考えられてもいなかった、脳の使い方としての「生活習慣病」なのです。日々の脳の使い方、意識的に何かのテーマを実行しようとする世界、脳全体の司令塔の役割を担う「前頭葉」を核とした脳全体の「活性化」の在り方が問われることになるのです。どのような生活習慣が中核となるのかというと、「前頭葉」の三本柱の機能と私たちが名づける脳の機能、「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の機能なのです。自分なりに関心がある「テーマ」を実行する上での自分なりの目標を設置し、それを日々実行する過程自体を自分なりに楽しみ、目標が達成されることによっての喜びや生き甲斐が得られるようなテーマを探すことが出発点となります。私たちの主張は、14689例にも上る「脳機能データ」、すなわち、「前頭葉」を中核とした脳全体の働き具合(脳全体の「機能レベル」)とその「機能レベル」にリンクした(直結した)認知症の症状(三段階に区分される「アルツハイマー型認知症」の症状)の解析結果並びに北海道から九州に至るまでの440を超える数の市町村での実践、「アルツハイマー型認知症」の発病の予防と早期診断による回復を明確な活動目的とした「地域予防活動」の実践の成果を主張の根拠にしているのです。

        

「アルツハイマー型認知症」の場合は、廃用性の異常で加速度的な機能低下が症状発現の原因なのです。脳の使い方としての生活習慣こそが、発病の源泉なのです。生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもない「単調な生活」が日々継続されることが、発病の「第二の要件」となるのです。誰にでも生来的な性質として内在する「正常老化」の性質により脳機能が加齢と共に衰えてきていること、具体的には、60歳を超える年齢の「高齢者」であることが、発病の「第一の要件」となるのです。第一の要件と第二の要件とが同時に充足されるとき、その相乗効果により、「前頭葉」を含む脳全体の「機能レベル」(働き具合)が、異常で加速度的な機能低下を進行させていくこととなり、その行き着く先に、「アルツハイマー型認知症」の発病が待っているということなのです。その最初の段階が、私たちの区分で言う「軽度認知症」(小ボケ)の段階であり、次いで、「中等度認知症」(中ボケ)の段階があって、最後は末期の段階である「重度認知症」(大ボケ)の段階に至るのです。ところが、認知症の専門家とされる人達は、「末期の段階」の症状にしか目がいかないでいて、「治すことができない」と主張しているだけなのです。

       

「アルツハイマー型認知症」は、本当の意味での早期の段階、「小ボケ」及び「中ボケ」の段階で見つけると「治すことができる」のですが、発病自体の「予防」もできるのが特徴でもあるのです。廃用症候群に属する生活習慣病を本質とする病気である「アルツハイマー型認知症」は、「前頭葉」の機能が最初に衰えていくという明確な順序があるのです(最初の段階である、「小ボケ」の段階では、左脳も右脳も運動の脳も全て未だ正常なレベルにあって、司令塔の「前頭葉」の機能だけが異常なレベルに在るのです)。従って、脳を活性化させる「生活習慣」の構築と実践の継続とによって、「前頭葉」の機能レベルを正常なレベルに保つことが出来さえしていれば、「アルツハイマー型認知症」を発病することは無い、発病自体を「予防することが出来る」ということなのです。 繰り返し記銘しては想起して、忘れないでほしいのです。今朝は、4時に目が覚めテレビをつけたら、「アルツハイマー型認知症」の治療薬の開発にiPS細胞の役割が期待されているとの報道が為されていました。廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」(脳の使い方としての生活習慣に起因する病気)でしかない「アルツハイマー型認知症」(「前頭葉」を含む脳全体の異常で加速度的な廃用性の機能低下が発病の原因)の場合は、iPS細胞と言えども、その出番は絶対に無いのです。無駄なことに税金を投入すべきではないのです。その大本の機能と役割を有するAMED(国立研究開発法人 日本医療研究開発機構)には、「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズム及び治療方法の開発(治療薬の開発ではないことに注意)に対する私たちのような主張にも関心を抱いて欲しいと切に願うのです。権威には乏しくても、極めて多数の「脳機能データ」と「前頭葉」の機能に対する深い理解と極めて多数に上る市町村での実践の成果に基づく正しい主張だからなのです。

さて、実行すべき「テーマ」を見つけ出し、目標を設定し、実行する過程で、「前頭葉」の三本柱の機能の出番が出来るだけ多くなるように、実行の仕方を自分なりに工夫するのです。自分一人でやるのでなくて、気の置けないお友達と一緒に楽しむのは、極めて有効なやり方なのです。

「前頭葉」の三本柱の機能には、「正常老化」の性質があります。60歳を超える年齢の全ての「お年寄り」が例外なく、発病の「第一の要件」を満たしているのです。発病しない為には、「第二の要件」の充足を回避することが不可欠となるのです。「前頭葉」の三本柱の機能の出番ができるだけ多くなるような自分なりの「テーマ」、第二の人生での自分の置かれている諸環境及び諸条件に配慮した自分なりの「テーマ」を選択することは重要な視点となるのです。自分なりに楽しめる「テーマ」を遂行する中で、自分なりの喜びや生き甲斐が得られる生活を心がけてほしいのです。

 注)本著作物(Bー56に記載され表現された内容)に係る著作権は、 (有)エイジングライフ研究所に帰属しています。   

      エイジングライフ研究所のHP左の部分を「クリック」してください)

      脳機能から見た認知症(具体例をベースとしたもう一つのブログです)

 

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アルツハイマー型認知症の本質と認知機能低下のメカニズム(B-55)

2016-03-01 | アルツハイマー型認知症の原因

 的外れ 矢を射るべきは 別の森

  樹ばかり見ては 森は見えない By kinukototadao

     

(プロローグ)

様々なタイプのものがある認知症のうちの大多数、90%以上の割合を占めているのが、「アルツハイマー型認知症」と言うタイプの認知症なのです。その「アルツハイマー型認知症」については、発病の原因もメカニズムもわからないし、治すことが出来ないし、発病を予防する方法もわからないとされているのです。

発病の原因については、アセチルコリン説、アミロイドベータ説、タウ蛋白説、脳の萎縮説等の学説(発病の原因として主張されているものと肝心の発病との間の因果関係が立証されていない、単なる仮説としての主張)が、まるで、よどみに浮かぶうたかたのように、浮かんでは、しばらくの間留まるだけで、やがて消えていくだけのものなのです。

医療の現場での診断はと言うと、記憶障害の症状を主とした認知症の症状らしき病状を呈している患者に対して、診断の基準が明確に存在する他のタイプの認知症、或いは認知症と紛らわしい認知症ではない病気を先に消去していき、最後まで残ったものを「アルツハイマー型認知症」と名付けているだけなのです。皆さんは驚かれると思うのですが、消去法による診断なのです。

 私たちの場合は、「アルツハイマー型認知症」は、廃用症候群に属する生活習慣病、脳の使い方としての「生活習慣病」であると考えているのです。私たちが開発した独自の診断方式、「二段階方式」と呼称する神経心理機能テストを活用した、「アルツハイマー型認知症」の発病原因に直接的に迫る診断方式なのです。その場合、「アルツハイマー型認知症」を他の種類の認知症、或いは認知症と紛らわしい認知症ではない病気と鑑別する直接的な診断基準となるのは、「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)を含む脳全体の機能レベルの判定、その機能レベルのアウトプットである症状、言い換えると、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルに厳密にリンクした症状、並びに、廃用性の異常で加速度的な脳の機能低下をもたらせた原因である脳の使い方としての「生活習慣」及びその「生活歴」と言う要素なのです。そしてその診断の基礎となっているのは、14689例にも及ぶ「アルツハイマー型認知症」の精緻な症状群なのです。「二段階方式」の手技の中で、鑑別の際に適用する基準(極めて重要なノウハウなので、此処には詳細を記述できないのですが、「アルツハイマー型認知症」の場合には、脳の機能に衰えていく厳格な順番があるという「脳機能データ」の解析結果から得られた基準があるのです)は、「アルツハイマー型認知症」の本質が廃用性の機能低下であることを示唆しているのです。

     

従来の全ての学説(アセチルコリン説、アミロイドベータ説、タウ蛋白説及び脳の萎縮説)は、「アルツハイマー型認知症」を発病して、且つ末期の段階、私たちの区分で言う「重度認知症」(大ボケ)の段階の更に後半になって発現してくる症状が確認されたお年寄り達の死後の脳の解剖所見に立脚した脳の器質的な変化に着目した「仮説」であるのに対して、私たちの主張は、廃用性の異常で加速度的な脳機能の低下説なのです。従って、私たちの主張の根拠は、脳の解剖所見とは関係なく、逆に、生きた人間の「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルとその機能レベルに厳格にリンクした症状、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルの直接のアウトプットとしての症状に着目した主張なのです。「二段階方式」の手技を活用して、生きた人間の「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルについて、使われる機会が極端に少ない「生活習慣」の下で廃用性の機能低下を起こしてきたその結果としての症状の変化の特徴について、話を進めていきたいと考えるのです。学説がマウスの行動の観察結果に基づく推測に依拠しているのに対して、私たちの「二段階方式」の主張は、生きた人間の「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルにリンクした症状を何万例も集積し、解析した結果に基づく主張なのです。憶測や推測ではなくて、事実の解析結果なのです。

     

「アルツハイマー型認知症」と言うタイプの認知症の本質は、「前頭葉」を含む脳の器質的な変化が原因で起きてくるものではなくて、機能的な低下が原因で起きてくるものなのです。言い換えると、脳が壊れてもいないのに、意識的に何かのテーマを実行しようとしても支障が起きてくる世界こそが追及すべき世界なのです。そのことに注意を向けないで、アミロイドベータの蓄積であるとか、タウ蛋白の蓄積であるとか、脳の顕著な萎縮であるとかの誤った視点に拘泥したままで居たのでは、何時まで経っても、「アルツハイマー型認知症」の発病の原因(メカニズム)を解明することは出来ない相談なのだということを指摘しておきたいのです。

私たちが意識的に何かのテーマを発想し、発想したテーマの実行内容を企画して組み立て、実行結果をシミュレーションした上で選択した最終的な内容の実行を左脳や右脳や運動の脳と言った脳の各部に指示する世界、脳全体の司令塔の役割を担っていて、三頭立ての馬車の御者の役割を担っている「前頭葉」と言う脳機能の、器質的ではなくて機能的な衰えのメカニズムに注意を向けることこそが、「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズムを解明し、回復や発病の予防のための方法を発見する上で必要不可欠の条件となるのです。今日のテーマである「アルツハイマー型認知症の発病及び症状の進行原因と認知機能の低下」と言う視点は、脳科学者や認知症の専門家達に対し、そのことを教示する目的で書いたものなのです。目を醒ましていただきたいと切に願うのです。

   

世の中の学者も研究者も医師も、「アルツハイマー型認知症」の本質を見誤っているのです。世界最高の権威とされながら、重大な誤りがあるあの米国精神医学会の診断規定、「アルツハイマー型認知症」の診断基準である「DSM-4」の第一要件及び第二要件の規定内容に惑わされているだけなのです。第二の要件が確認を要求している、「失語」や「失認」や「失行」の症状は、末期の段階である「重度認知症」(大ボケ)の更に後半にならないと発現することが無い症状、「前頭葉」の機能が殆ど失われていて、左脳も右脳も運動の脳も、MMSEで判定される機能レベルが30点満点で一桁の得点になるまでに衰えてきた段階でしか発現してこない症状に着目していることにこそ重大な誤りがあることに気づいていないのです。「DSM-4」の規定こそ、「アルツハイマー型認知症」の本質を見誤った見解、廃用性の機能低下が本質であることを見誤り、器質的な変化が原因で症状が発現してくる病気だと勘違いしているのです。更に、「アルツハイマー型認知症」の症状の中核をなすのは、「DSM-4」が第一の要件に規定している「記憶の障害」ではなくて、「前頭葉」の機能の廃用性の機能低下を反映したものであることが、小ボケから中ボケを経て大ボケに至る症状の段階的な変化を詳しく分析してみれば容易にわかることなのです(ここを「クリック」してください)。客観的な根拠データに依拠することなく、外観的な症状の観察に基づく誤解がこのような規定、診断基準の重大な誤りを生む原因となっているのです。診断基準の第一の要件も第二の要件も重大な誤りに基づく規定内容であり、その世界的な影響力に鑑み、早期に破棄されるべき内容(診断基準)だと私たちは考えているのです。

     

& 私たち人間の意識的な世界と脳の働き方のメカニズム

○  脳全体の司令塔の役割を担う「前頭葉」と言う脳機能

 私たちが意識的に何かを実行しようとする場合に、脳が壊れてもいないのに支障が出てきて思うように実行することが出来ない世界、それが、「アルツハイマー型認知症」と言うタイプの認知症が関わる世界なのです。私たち人間の意識的な世界での脳の働き方のメカニズム、言い換えると、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」の働き方のメカニズム及び脳機能の衰え方のメカニズムを知ることなしに、「前頭葉」と言う脳機能を構造的に持たないマウスの極めて幼稚な行動の世界、餌を求めて迷路をさまようマウスの記憶に関わる行動を基礎に、「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズムが解明できるとする考え方自体に重大な誤りがあることを指摘したいのです。

脳全体の司令塔の役割を担い、左脳、右脳及び運動の脳と言う三頭の馬を制御する役割、三頭立ての馬車の御者の役割を担っていて、私たちが意識的に何かを実行しようとする世界を支配し、コントロールしている「前頭葉」と言う機能には、以下に列挙するような何十種類もの極めて高度で、且つ複雑な機能が備わっているのです。ある種の機能は、単体で、又ある種の機能は様々な機能の集合による複合体としての重層的な機能を、更には、複数の単体の機能が重合したものとしての機能をも発揮しているのです。左脳がらみのデジタルな情報を処理している世界、右脳がらみのアナログな情報を処理している世界、運動の脳がらみのアナログな情報を処理している世界、更にはそれらを統合処理している世界が、一つ一つの意識を構成しているのです。脳と言う機能部位は、一方では個別に機能分化されつつ、他方では統合されて機能しているという特殊性を有しているのです。それであるが故に、あの「iPS細胞」をもってしても、「アルツハイマー型認知症」の発病の原因、或いは発病のメカニズムに迫ることは出来ないし、ましてや治療方法の解明にも役には立たないことを指摘しておきたいのです。

     

○  「前頭葉」の三本柱の機能と脳機能発揮上の「二重構造」

意識的に何かの「テーマ」を実行する場面では、意欲、注意集中、注意分配、自発性、観察、分析、考察、洞察、想像、推理、表象、批判、理解、了解、把握、判定、興味、関心、着眼、発想、連想、空想、妄想、意図、企図、企画、計画、創意、工夫、創造、具象化、抽象化、シミュレー・ション、予見、予測、修正、比較、選択、確認、整理、統合、判断、決定、決断、監視、機転、拘泥、執着、憤怒、抑制、忍耐、及び感動等、「前頭葉」の個別機能を構成している各種の高度な認知機能を正常に発揮する上で、一定レベル以上での「認知度」が確保されていることが不可欠となるのです。認知度が一定レベル以下だと、例示した「前頭葉」の各種個別の認知機能自体が必要なレベルで発揮されなくなるのです。そうした個別の認知機能によるその「認知度」の高さ、或いは低さを左右しているのが、意欲、注意の集中力及び注意の分配力という「前頭葉の三本柱」の機能なのです(私たちが「二重構造」と名付ける構造、個別機能の「認知度」と「発揮度」とが共に、「三本柱」の機能レベルと「リンク」しているという構造が存在するのです)。分かり易く説明すれば、「前頭葉」の個別認知機能自体は、潜在的な機能ボリュームが備わっているが、「前頭葉」の三本柱の機能の機能レベルにリンクして機能ボリュームが顕在化してくるという構造、私たちの言葉で言う機能発揮上での「二重構造」のメカニズムが存在しているのです。

 「前頭葉」を中核の機能として、その支配とコントロール下で、有機的な連携のもとに「左脳」や「右脳」や「運動の脳」も参加して、我が身が置かれている状況の判断に基づき、何をどのように実行するのかを組み立てるには(実行すべきテーマをいくつか発想し、その中から1つを選択し、その実行内容を組み立てるには)、先立って且つ常に、必要な機能レベルでの「意欲」の継続的な発揮が不可欠になるのです。自分が現在置かれている状況と環境の判断をベースとして、様々な状況の変化を予測して考慮し、いく通りかのケース・シミュレーションを経た上で最終的な内容を決定し、実行に移すには、「注意の集中力」と「注意の分配力」の機能の継続的な発揮も必要になるのです。意識的な世界を支配しコントロールしている「前頭葉」と言う脳機能は、幾種類もの及び幾層ものネットワークが有機的に結合された複合/集合/統合機能体なのです。その個別の及び/全体的な機能の発揮度及び認知度を左右している大本は、注意の分配機能を筆頭とした「前頭葉」の三本柱の機能なのです。

更にもう一つ付加すべき重要なことは、「左脳」、「右脳」及び「運動の脳」についても、同様のメカニズムが存在しているということなのです。すなわち、「左脳」、「右脳」及び「運動の脳」の機能自体は、潜在的な機能ボリュームが備わっているが、「前頭葉」の三本柱の機能の機能レベルにリンクして機能ボリュームが顕在化してくるという構造(同様の「二重構造」のメカニズム)が「左脳」、「右脳」及び「運動の脳」の機能にも存在しているということも、意識的な世界を理解する上では重要なことなのです。「前頭葉」を含む脳全体としての脳機能の器質的な変化が原因ではなくて、機能的な変化、廃用性の機能の低下と言う視点を持つことが、「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズム(原因)及び症状の重症化、或いは発病の予防及び早期診断による回復と言うテーマを考える上で不可欠の視点となることを注意喚起しておきたいのです。

    

& 加齢による脳機能の衰え(低下)のメカニズム

○  第一の人生を送っていて、物忘れの症状が発現する年代

第二の人生を日々営まれていて、「アルツハイマー型認知症」の発病を恐れておられる60歳を超えた年齢の「高齢者」だけでなくて、未だ年若い人、30歳代の半ばの年齢から60歳までの年齢の働き盛りの人達を含めて、頻度や程度を除外して言えば、「物忘れ」の症状を自覚されていると思うのです。左脳が主役となる「仕事」と言う大きなテーマがあって、達成すべき目標があり、生き甲斐や喜びを覚える機会も多い、第一の人生を送っている年代の人達でありながら、気になる症状、「物忘れ」と言う症状を自覚されていると思うのです。

例外的な人は存在していなくて、全ての人達がこの症状を自覚しているはずなのです。それでいて、この物忘れの症状、言い換えると「記憶障害の症状」の発現の原因は、上述した4つの学説が根拠として主張しているメカニズムにより発現している訳ではないのです。アミロイドベータが蓄積し始めていることが「物忘れ」の症状の原因でもなくて、タウ蛋白が蓄積し始めていることが「物忘れ」の症状の原因でもなくて、脳の萎縮が始まっていることが「物忘れ」の症状の原因でもないのです。「アルツハイマー型認知症」の早期診断、言い換えると「記憶障害」の症状の発生原因であると考えて、アミロイドベータの蓄積が開始される早期の段階を見つけることが「アルツハイマー型認知症」の早期診断につながると主張している研究機関の人達に対し、注意を喚起しておきたいと考え、今日のテーマを選択したのです。

上述したように、30歳代の半ばを過ぎると「物忘れ」の症状(記憶障害の症状)が発現し始めるのです。そして、「物忘れ」の症状は、40歳代、50歳代、60歳代、70歳代、80歳代、90歳代と、年を取るにつれて、頻度が増していき、発現する症状の程度や態様が大きく、複雑化していくのです。この現象には、例外が無いのです。そうだからと言って、「物忘れは、ボケの始まり」という訳のものではないのです。「物忘れ」の症状は、皆さん誰でもが例外なく体験するものなのですが、「物忘れ」の症状が出てくる人達全員がボケる訳ではないからです。

○ 「物忘れ」の症状と「前頭葉」の三本柱の機能との関係

私たちだけが気付いていることなのですが、私たち人間の脳機能、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」の機能及びその手足となって共同して働く役割を担っている「左脳」、「右脳」及び「運動の脳」には、私たちが「正常老化の性質」と名付ける性質が生来的なものとして内在しているのです。その性質自体が、「物忘れ」の症状を発現させる原因、真犯人なのです。そのメカニズムについての私たちの考えを、私たちが集積してきた極めて多数で、且つ精緻な脳機能データ、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベル及びその機能レベルに厳格にリンクした症状に関する「脳機能データ」を根拠に、説明しておきましょう。

     

&「前頭葉」の三本柱の機能に内在する「正常老化」の性質

 脳全体の司令塔で、置かれている状況を判断したり、何かを思いついたり、計画を立てたり、工夫したり、洞察や推理をしたり、機転を利かせたり、各種の高度な働きを担当している「前頭葉」の機能、中でも、その個別の認知機能を正常に発揮する上でとりわけ重要であって、「前頭葉」の個別認知機能の「発揮度」や「認知度」の高さ、或は低さを直接左右している「前頭葉」の三本柱の機能である、「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の機能には、以下に説明するように、趣味や遊びや交遊や運動を仲間と自分なりに楽しむ生活があり、自分なりの目標や生き甲斐がある生活(それなりに「前頭葉」の出番がある生活)を送っていても、「加齢とともに、機能が老化し、衰えていく」という重要な性質があるのです(私たちは、これを「正常老化の性質」と呼んでいます)。

○ 「脳機能データ」が意味するもの

私たちが集積してきた年齢別の「脳機能データ」を基にして簡潔に説明すると、「三本柱」の機能には、18歳から20代の半ばまでがピークで、20代の半ばを過ぎる頃から100歳に向かって、緩やかではあるけれど、一直線に衰えていくという性質があるのです。60代後半にもなると、「三本柱」の働き具合は、ピーク時の18歳から20代の半ばの頃に比べ、働きが半分以下になっているのです。70代、80代、90代、100歳代と、年をとればとる程、「三本柱」の働きが更に衰えていって、どんどん低空飛行になっていくという性質なのです。

 認知症の大多数90%以上を占めていて、高齢化率が高い市町村や高齢化率が高い地域等で、皆さんが普段よく目にし、或は耳にしている「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症は、その発病のメカニズムを考えるとき、「前頭葉」の三本柱の機能に「正常老化」という問題が内在しているという理解が重要になるのです。「脳の正常老化」という問題が基本にあるから、「アルツハイマー型認知症」は、若者には関係なくて、「60歳代以降のお年寄りだけが対象になる」のです。脳の司令塔は「前頭葉」であり、その「前頭葉」の三本柱の機能に加齢と共に働きが衰えていくという性質、「正常老化の性質」が内在していることが「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズムを解明する上で不可欠の重要な要素となるのです。

     

& 「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズム

○  「正常老化」の性質と発病の「第一の要件」との関係

 世界中の認知症の専門家とされる人達から、発病の原因さえも分からないとされている「アルツハイマー型認知症」について、発病のメカニズム自体を解明し並びに発病の予防の方法及び早期診断による回復の方法を手技及び理論面から体系化したのは、私たちが世界で初めてなのです。その発病のメカニズムを解明する上で極めて重要な要素、それは、「前頭葉」の三本柱の機能には、「20歳を過ぎると、年をとるにつれて100歳に向かって、緩やかではあるが徐々に働きが衰えていく」という特徴を有する老化曲線、言い換えると「正常老化の性質」が存在することなのです。「前頭葉」の出番がそれなりにある「生活習慣」を日々維持していても、「加齢とともに、機能が緩やかにではあるが直線的に衰えて行く」という性質があるのです。「高齢者」の入口である65歳頃には、「前頭葉」の「三本柱」の機能レベルが最も高い20歳頃のほぼ半分くらいにまで衰えてきていることが注目すべき要因なのです。「二段階方式」の活用により、「前頭葉」を含む脳の機能の加齢による老化という要素を発見し、且つこの要因に着目して、60歳を超える年齢の「高齢者」であることと言う要件を「アルツハイマー型認知症」の発病の「第一の要件」として私たちは規定しているのです。私たちが規定する発病の「第一の要件」は、誰にでも共通する要因なのですが、私たちが規定する発病の「第二の要件」は、廃用性の機能低下と言う要因なのです。何かを「キッカケ」として始まるナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続と言う「生活習慣」に起因して始まる、異常で過速度的な脳機能の廃用性の機能低下と言う要因のことなのです。

○ 専門家達は、誤った「的」に対し、無駄な矢を射かけているだけ

私たちが主張し、440を超える多数の市町村での「地域予防活動」で実践して成果を出し、「改善、維持、低下」の三段階に区分され判定された「前頭葉」の機能レベルに厳格にリンクした症状群を含むそれらの「脳機能データ」で裏付けられているように、脳の使い方という視点から言えば廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」でしかない「アルツハイマー型認知症」は、世界中の認知症の学者や研究者や医師達から、「治すことも、発病を予防することもできない、原因不明の病気」、モンスターにされてしまっているのです。生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続するだけの日々の暮らしの中で、「アルツハイマー型認知症」を発病し、更にはその症状が進行していき(私たちの区分で言う小ボケ及び中ボケを経由して)、末期の段階である「重度認知症」(大ボケ)の症状が発現してきた上に、その期間が何年も続いた人の死後の脳を解剖して得られる「解剖所見」にみられる3つの特徴である「老人斑」とか、「神経原線維変化」とか、「脳の萎縮」とかが原因で記憶障害の症状が発現してくると誤解していたのでは、或いは「前頭葉」はおろか左脳さえもない下等な動物である「マウス」とやらを追い掛け回していたのでは何時までたっても、「アルツハイマー型認知症」の発病の原因(メカニズム)を解明することはできないのです。

    

○  私たちが主張し、規定する「アルツハイマー型認知症」発病の二つの要件

60歳を超えた年齢の「高齢者」と呼ばれるお年寄りであろうとも、自分なりに楽しめる「テーマ」を自分流のやり方で追及することにより、「前頭葉」の機能レベルが正常なレベルを保っている限りは(「前頭葉」の三本柱の機能である「意欲、注意の集中力及び注意の分配力」の機能の出番が十分にある生活習慣を実践してさえいれば)、「アルツハイマー型認知症」の発病とは無縁で、「第二の人生」を完走することが出来ることになるのです。

 60歳を超えた年齢の「高齢者」と呼ばれるお年寄りが(私たちが規定する発病の「第一の要件」)、左脳の出番である「仕事」とは無縁の「第二の人生」を日々生きていく中で、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が日々繰り返されるだけの「生活習慣」のもとでは(私たちが規定する発病の「第二の要件」)、「前頭葉」を含む脳全体の機能が廃用性の加速度的で異常な機能低下を起こしてきて(「第一の要件」と「第二の要件」とが同時に充足される「相乗効果」により、緩やかに下降するカーブであるそれまでの「正常老化の曲線」から逸脱して、加速度的に下降する異常な「放物線の曲線」をたどることとなる)、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まって、半年から1年が経過すると、「アルツハイマー型認知症」を発病することになるのです。その段階が、私たちが回復の可能性と言う視点から三段階に区分する最初の段階である「軽度認知症」(小ボケ)の段階であり、次いで、「中等度認知症」(中ボケ)の段階があり、最後に末期の段階である「重度認知症」(大ボケ)の段階となるのです。

失語や失認や失行などと言う極めて重い症状の確認を要求している「DSMー4」の規定に依拠して診断が行われるがために、回復させることが可能な早期の段階、小ボケの段階も中ボケの段階も見逃されていて、回復させることが困難な末期の段階、「大ボケ」の段階になって初めて「アルツハイマー型認知症」を発病していると診断されているのです。末期の段階である「大ボケ」の段階になるまで、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルが衰えてしまった状態が何年間も継続した、そのことの「副産物」としてもたらされるものが、アミロイド・ベータ説が注目する「老人斑」であり、タウ蛋白説が注目する「神経原線維変化」であり、脳の萎縮説が注目する「脳の顕著な萎縮」だと私たちは考えているのです。回復の可能性と言う視点から三段階に区分される「アルツハイマー型認知症」の症状の本質は、加速度的で異常な廃用性の機能低下に起因するものなのであり、器質的な変化に起因するものではないのです。「小ボケ」及び「中ボケ」の段階で見つけて、「脳のリハビリ』(「前頭葉」を含む脳全体の使い方としての「生活習慣」の改善)を実行すれば、正常なレベルに回復させることが出来るのです。器質的な変化が生じてきていないからこそ、「小ボケ」(回復させることが容易)及び「中ボケ」(回復させることが未だ可能)までの早期の段階で見つければ、「前頭葉」を含む脳の機能が回復してくる(「アルツハイマー型認知症」が治せる)のです。「大ボケ」の段階で(回復させることは困難な段階)見つけているから、治せないだけなのです。

アミロイドベータの蓄積による老人斑の発生も、タウタンパクの蓄積による神経原繊維変化の発生も、脳の顕著な委縮も、それらすべての器質的な変化は、「アルツハイマー型認知症」の発病原因なのではなくて、「アルツハイマー型認知症」を発病し、末期の段階にまで症状が進行し、且つその期間が何年も継続したことの結果として生じてきているだけのものなのです。次いでのことに付言しておくと、アミロイドベータの蓄積もタウ蛋白の蓄積も「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズムとは無関係の関係なので(発病の原因ではない)、「免疫療法」による治療法の開発と言う発想も、的外れの発想に過ぎないのです。

  注)本著作物(Bー55に記載され表現された内容)に係る著作権は、

 (有)エイジングライフ研究所に帰属しています。   

     エイジングライフ研究所のHP左の部分を「クリック」してください)

      脳機能から見た認知症(具体例をベースとしたもう一つのブログです)

 

 

 

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