&1『アルツハイマー型認知症』の発病/症状進行の原因について権威(機関)が提示する内容
Ⅰ.『DSM-Ⅳ』の「第一要件」も「第二要件」も、両者共に規定内容が重大な誤り/
1.『DSM-Ⅳ』の第一要件の規定内容は、『アルツハイマー型認知症(以下、「AD型認知症」と略記する)』を、「記憶障害」に起因して発病すると規定。この規定は、発病との間の因果関係の存在を客観的な証拠データで証明することが出来ていない上に、末期段階に在る「極めて重度の症状」の発現者の発言や行為や行動を、単に外観的に観察した/推測に基づいた憶測の類に過ぎないのです。「記憶の障害が発病を惹き起こしている」と主張する客観的な証拠データが、存在していない代物。
※私たち二段階方式が、独自に集積/解析/解明した❶『MMSE下位項目の項目困難度の指標』、❷早期の段階である「小ボケ」及び「中ボケ」の滞留期間に関する『標準的な滞留期間』の存在及び「小ボケ」/「中ボケ」の早期の段階でのみ確認される『脳の老化のスピード差をもたらす生活習慣要因の影響』のデータ等の解析結果【=事象の事実/『DSM-Ⅳ』の第一要件が確認を要求している『記憶障害』の規定が、重大な誤りの内容であることの実証データ】が存在している。
2.第二要件の規定内容は、失語や失認や失行(紛い )と言う、「極めて重度の症状」が、発病の初期症状であると規定している重大な誤りの内容。
私たち「二段階方式」の『脳機能データ』によると、失語や失認や失行(紛い)の症状が発現して来るのは、発病の末期の段階、前頭葉の機能テストである「改訂版かなひろいテスト」に不合格の者であって、且つ、MMSEの換算後の総得点が一桁、10点未満となるお年寄り達、末期の段階である「重度認知症(大ボケ)」の後期の段階に在ると判定された高齢者達だけに確認される症状、「極めて重度の症状」なのです。
Ⅱ.発病原因に関する「3つの仮説」の主張内容は、全てが誤り/
1.『AD型認知症』の発病原因(メカ)に関して提示されている「3つの仮説」は、主張内容が全て誤り。
「3つの仮説」の全てが、『「DSM-Ⅳ」の第一要件の規定内容が、正しい』との大前提で想定し/構想された主張内容なのです。発病との間の「因果関係の存在」についての実証が未だに出来ない為に、仮説の儘なのです。『権威が主張したり、支持する内容が、常に正しい訳ではない』の典型的な事例。
2.「アミロイドβ仮説」は、『AD型認知症』の発症についての仮説であり、2006年に提唱されたもの。『AD型認知症』の発病の原因と考えられている仮説の中でも、世界的に現在も通説(支持する学者数が最多の意味)とされていて、悲しい哉、我が国では、東大/京大/理研(MIT研=利根川進)が、牙城なのです。
(1) アミロイドβの蓄積により生成されてくる老人斑が持つ毒性により、神経細胞やシナプスが傷つけられていき、傷ついた神経細胞が大量死することにより、脳が委縮し、『記憶障害』が引き起こされることで、『AD型認知症』を発病するとの憶測に基づいての仮説なのです。
(2)アミロイドβ仮説に基づいて実施された、新薬開発の試みは、全てが失敗に終わっている状況の中で、現在の主流は、アミロイドβが脳内に僅かでも検知された段階で、それを除去する方法の開発に向かおうとしている。アミロイドβ仮説の他には、タウ蛋白仮説とアセチルコリン仮説が提示されています。
(3)アミロイドβが蓄積して「老人斑」が出来、或いは、タウ蛋白が沈着して「神経原線維変化」が起きると、必ず、認知機能が異常なレベルに、低下してしまうのでしょうか。実は、そうではないのです。老人斑や神経原線維変化は、『AD型認知症』の人にも、一つの特徴的な変化として現れて来ますが、『AD型認知症の発病者ではない人』にも見られるのです。
3.三段階に区分される「段階的な症状」が存在することに関する誤解と無知/
我が国だけでなくて、未だに世界的に権威を保っている米国精神医学会が策定した「AD型認知症」の診断規定である「DSM-Ⅳ」の第二要件が、発症の初期症状であるとして確認を要求している「失語や失認や失行(紛い)の症状」は、上述したように、『AD型認知症』の発病患者の末期の段階である「大ボケ」の後期の段階で、初めて確認される『極めて重度の症状』なのです。
※もっと軽い段階であり、「脳のリハビリ」の実施により回復及び/又は症状の進行の抑制が可能である『本当の意味での早期の段階』、私たち「二段階方式」の区分で言う「小ボケ」及び「中ボケ」の段階の症状が見落とされているのです。彼らは、「前頭葉」の機能レベルを精緻に判定出来る「手技」を持たないので、見落としているのです。
様々な程度及び態様での発現が確認される『AD型認知症』の症状は、『前頭葉』機能を含む/脳全体の機能レベルに厳密にリンクした、三段階に区分される段階的で/類型的な症状が発現して来るのが特徴(私たち「二段階方式」独自の区分で言う「小ボケ」、「中ボケ」及び「大ボケ」の順番に発現する)。
その症状は、ナイナイ尽くしの単調な『生活習慣(追及する特定のテーマが無く、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものも無い単調な生活習慣)』が継続されている条件下で、何年間もかけて、徐々に、段階的に、重症化が進行して行くのが特徴。世界中の権威達は、この程度のことさえ知らないのです。
廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行を特徴とする『AD型認知症』の発病の場合は、必ず、〔前頭葉機能⇒左脳⇒右脳⇒運動の脳の(厳密な順番)に、廃用性の加速度的で異常な機能低下が進行して行くのが特徴なのです(14689例に上る、「小ボケ、中ボケ及び大ボケ)の段階の発病高齢者に「二段階方式」の手技を実施して、解析した結果(=「事象の事実!!」。
4.認知症全体に占める割合の誤解とその理由
(1) 杜撰な『脳血管性認知症』の診断の横行とその結果
ところで、「脳血管性認知症」は、「脳を養っている大小の血管の障害」である脳梗塞や脳出血に直接起因しておきる認知症を言うものと定義されています。実態面から言えば、脳を養っている大小の血管が閉塞して十分な量の血液を脳に送れなくなったために、脳の働きが全般的(左右の脳の両側性)に低下して、そのことを直接の原因として認知症の症状を起こしてくる「閉塞性血管障害」のものが最も多く、一部に「出血性」のものがあります。
どの種類の認知症であれ、「脳の器質的な障害を含む何らかの脳機能の障害によって、正常なレベルとされる程度にいったん完成された知的機能が、全般的(左右の脳の両側性)且つ継続的に機能低下した状態にあることにより、社会生活や家庭生活やセルフケアに支障が出てきている状態を認知症と言う」とするのが、一般的な認知症の定義の仕方なのです。
「何等かの脳機能の障害」という(原因)により「知的機能の全般的(左右の脳の両側性)且つ継続的な機能低下」という(結果)をきたして「認知症の症状」を呈しているという、「原因」と「結果」との間に直接の「因果関係」が確認されることが必要不可欠なのです。 「脳機能の障害」(原因)が認められると言う為には、脳のある領域に血流の低下が確認され、且つその血流低下を惹き起こしている原因血管が確認されることが必要。
次いで、その血流障害がもたらしている「脳機能の低下部位」と認知症の症状を発現させている「脳機能低下の範囲」とが合致(結果)していることの確認も必要。逆に言えば、脳機能の障害という直接の(原因)と認知症の症状という(結果)との間の「因果関係」を厳密に確認しないで、認知症と診断してはいけない(杜撰に過ぎる)ということなのです。
※「脳血管性認知症」については、「診断内容」自体にも、大きな問題があるのです。
実際の診察の現場では、「局部的な脳出血や脳梗塞」がある場合(或いは、脳梗塞や脳出血の既往さえあれば)、左脳又は右脳の片側の脳の機能障害による「後遺症」としての記憶障害、或いは言語の障害や手足の身体的な不具合を伴う症状、又は「後遺症」を基にした種々の生活上の不便が認められると、「脳機能の全般且つ継続的な低下」の確認及び原因と結果との間の「因果関係」の確認を行うこともなく、「脳血管性認知症」としんだんしているケースが極めて多いのです。その結果、「脳血管性認知症」の認知症全体に占める割合が25%もの大きな数値になっているのです(誤診の結果としての数値)。5%が正しい数値なのです)。
(2) 本当の意味での「早期の段階が存在する」ことへの無知の結果
我が国の実態で言うと、医療機関での診断では、「DSM-Ⅳ」の第二要件の規定の影響が未だに強くて、末期の段階の症状が初期症状であると誤解しているのです。
大病院になると、CTやらMRIやら、果てはPETまで繰り出して、末期の段階で発病を見つけているのです(機器を総動員することに因って、高額の診断費用を稼ぐことが出来るものの、早期診断とは無縁であって、単に『発病のレッテル貼り』をしているだけの診断なのです)。その上に、症状の進行を抑制する効能は有していなくて、症状の発現の仕方を抑制したり、昂進させる効能しか有していない『対症療法薬』を、「治療薬」と称して処方し、これまた、診断費用を膨らませているのです。
私たち「二段階方式」が、『AD型認知症』の症状を三段階に区分して判定していることには、実は、重大な意味があるのです。
「小ボケ」は、「脳のリハビリ」の継続的な実施に因り、脳全体の機能レベルを正常なレベルに回復させること/症状の進行を抑制することが、可能なのです。
「中ボケ」は、「脳のリハビリ」の継続的な実施に因り、症状の進行を抑制することが、未だ可能なのです。
「大ボケ」の段階で発病を見つけても、最早手遅れ。『為す術が何も残されていない』ので、「介護するだけの対象」となるのです。
『AD型認知症』というタイプの認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の『生活習慣病(但し、「食生活」は無関係のものであり、「第二の人生」を送る上での、「脳の使い方」としての生活習慣病であることに留意する)』に過ぎないというのが、私たち二段階方式の主張なのです。
私たち「二段階方式」の主張内容が正しいことは、北海道から九州に跨る全国的規模、452の市町村での『「AD型認知症」の早期診断による回復、更には、発病自体の予防を明確な目的とした『住民参加型の地域予防活動』の実践指導の顕著な成果により、疫学的方法により、実証済みなのです。
(3) 皆さんが、日頃、耳にしたり、目にする認知症の大多数、90%以上が、『AD型認知症』なのです。その『AD型認知症』について、権威とされる人達が異口同音に、『発病の原因が分からないし、一旦発病すると治すことが出来ないし、発病自体を予防することが出来ないタイプの認知症である』と主張しているので、政府大綱では、「発病の予防と早期診断による回復」については、将来の研究課題という位置づけであり、何等の対策が打ち出されない儘に、放置されているのです。
当面は、『介護の予防』が、国策としてのテーマであり、マスコミも取り上げないし、野党も問題にしないでいて、単年度ベースで、『介護の費用に投入する血税の額だけで、13兆円』、『末期の段階で発病を見つける診断(「発病のレッテル貼り」)及び症状の進行を遅らせる治療薬としての効能は皆無であり、症状の発現の仕方を亢進/又は抑制するだけの「対症療法薬」でしかない薬の処方の費用などの医療費に投入する血税の額が、10兆円』を超えて来ているのです。
主張内容が根本的に誤ったものである「アミロイドβ仮説」が世界的に通説の地位に在り続けていて、米国では、ハーバード大学が、我が国では、東大、京大、理化学研究所(MIT研究室=利根川進)がその牙城であるという、権威とその権勢に気圧され、手も足も出ないということなのでしょうか。
Ⅲ.回復させることも、発病の予防も、困難とする権威達の主張は誤り/
(1) 『治すことが出来ない』との主張の誤りの核心的な原因
世界中の権威とされる機関や専門家達は、「DSM-Ⅳ」の第二要件の規定内容『失語や失認や失行(紛い)の症状が発病の初期症状であると規定していて、医学会では、未だに権威がある為に、その規定を鵜呑みにしているので、それよりも軽い段階の症状に関心が行かない儘なのです。
末期の段階であることに気づかないでいて、「DSM-Ⅳ」が確認を要求する基準に依拠した判定と診断がまかり通っているだけなのです。末期の段階、私たち二段階方式の区分で言う「大ボケ」の段階の症状が発現して来るまでに『前頭葉』を含む/脳全体の機能が、廃用性の加速度的で異常な機能低下が進行してきた高齢者達の脳は、症状の進行を抑制させることさえも、出来ないのです。その意味で言えば、治すことが出来ないということは間違ってはいないのですが、もっと軽い早期の段階、本当の意味での早期の段階である「小ボケ」及び「中ボケ」の段階で発病を見つけて、「脳のリハビリ」を実行すれば、『治すことが出来る』/『症状の更なる進行を抑制出来る』ことを知らないし、その実体験も無いのです。
最近になって、MCI(Mild Cognitive,Impairment=軽度認知障害)という視点と基準が提起されて来て、もっと軽い段階に目が向けられたとは言うものの、「DSM-Ⅳ」の規定の『第一要件』の規定内容も、『第二要件』の規定内容も、(正しいものとの大前提)で提示されているに過ぎないのです。
MCIの判定基準は、外観から観察される記憶障害(重度の物忘れの症状)の症状の確認を基礎として、認知機能について、左脳と右脳の機能レベルの判定を目的とした手技であるMMSE(又は、長谷川式)による判定のみであり、肝心要の『前頭葉』機能の機能レベルについては、無関心なのです。
「MCI」の判定基準を満たす場合は、〔『AD型認知症』の発病の前駆的状態である〕と説明しつつ、客観的な基準も、肝心の発病との因果関係を実証する何等の証拠データも提示されていない、意味不明の基準なのです。
(2) 『予防することが出来ない』とする主張の誤りの核心的な原因/
「アミロイドβ」が蓄積されることに因り、老人斑が生じて、その毒性に因り、脳内の情報を連絡する役割を担っている神経細胞の大量死が引き起こされることが原因で、『AD型認知症』を発病するという仮説が正しいのであれば、発病の予防が困難という主張にもうなづけるのです。
真実はと言うと、『アミロイドβ仮説』は、発病の原因に関する主張内容が、100%間違っているもの』であり、『その仮説の主張者達は、未だに、発病の予防方法を考えつくことが出来ていない』というだけのことに過ぎないのです。
『発病の予防が可能であり、早期診断と脳のリハビリの実施により回復が可能である』と主張し、北海道から九州に跨る全国的規模、452の市町村で、住民参加型の地域予防活動の実践展開を指導し、顕著な成果の実績を残して来ているのは、私たち「二段階方式」だけなのです。
『発病の原因が、分からないし、一旦発病すると治すことが出来ないし、発病を予防することも出来ないタイプの認知症である』とする世界中の権威達の主張とは根本的に異なり、『AD型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の「生活習慣病」に過ぎないのであり、早期診断により治せるし、症状の進行の抑制が可能であるし、更には、発病自体の予防が可能である』と主張し、主張内容が正しいことを、疫学的な方法により実証しているのは、私たち「二段階方式」だけなのです。
&2 意識、認知の機能構造と「AD型認知症」の発病との相互関係
1.意識、認知と『実行機能』と「AD型認知症」との関係
「AD型認知症」の発病のメカニズム(原因)及び症状の重症化が進行するメカニズム(機序)の研究について、世界中で研究している機関や人達の数は、蟻の数ほどにもなると考えられるのです。それでいて、未だに、『発病の原因が分からないし、一旦発病すると治すことが出来ないし、発病自体を予防することも出来ないタイプの認知症である』とする誤った主張が幅を利かせ続けているのでしょうか。それは、「AD型認知症」だけが、私達人間だけに特有なものであり、人類最大の難問と言われている『意識』が関わるものだからなのです。意識の機能構造について古今東西、未だに誰一人として解明が出来ていないのです。
私たち「二段階方式」では、「前頭葉の三本柱」の機能(意欲、注意集中力及び注意分配力)が、複合機能体としての『前頭葉』機能の要である、『評価の物差し(=自我=意識の首座=脳の中のホムンクルス)』の機能及び『実行機能(Executive Function)』の機能の発揮及び発揮度を支配し、下支えしていること(「機能発揮上の二重構造」の問題)に早くから気付き、そのことが基礎に在って、『廃用性の異常な機能低下の進行』という加重要因(発病を惹き起こす引き金)の存在を解明することが、出来たのです(私たち「二段階方式」による世界初の解明/快挙!!!)。
(1)『意識(いしき、Consciousness)とは、「起きている状態にあること(覚醒)」又は、「自分の今ある状態や、周囲の状況などを認識出来ている状態のこと」を指す』と一般的には説明されています。『認知とは、理解・判断・論理などの知的機能を指し、精神医学的には知能に類似した意味であり、心理学では知覚を中心とした概念をいう』と定義されています。
(2)『実行機能』は、ある目標を達成させる為に/計画的に段取りをつけて行動する為に/不可欠の個別の認知機能の総称であって、人が社会的、自立的、創造的な活動を行うのに極めて重要とされている脳機能なのです。
(3) 私たち「二段階方式」の考えでは、DNAの98%が人間と同じであるとされているチンパンジーにさえも認められていない世界、私たち人間だけに特有な世界である『意識的/目的的な世界』とは、意識的/目的的に何等かの「テーマ」を発想し、目標を設定し、実行の仕方を計画して、実行の結果をシミュレーションして、実行の内容と仕方を比較し選択し、最終的な内容を決定し、実行を決断して、言うことになります。
その意識的/目的的な世界について、「AD型認知症」の発病者の場合は、意識的/目的的に何等かの「テーマ」を発想して、目標を設定し、実行の仕方を計画して、実行の結果をケース・シミュレーションして、実行の内容と仕方を比較し選択し、最終的な内容を決定し、実行を決断して、最終的に実行に移す場面、意識的/目的的な世界における様々な場面での、様々な程度態様による『重大な支障(AD型認知症の発病としての症状)が発現して来る』のです。
その核心的な原因が、権威が主張する「記憶の障害」という要因に起因して起きてくる訳のものではなく、『①/一つ』には、加齢の進行に因る機能低下(「正常な老化」の進行)という基盤の要因及び『②/もう一つ別の、要因が、ナイナイ尽くしの単調な『生活習慣』の継続に起因した廃用性の異常な機能低下の進行という加重要因であると、私たち「二段階方式」は、主張し、『住民参加型の地域予防活動』の顕著な成果に因る、疫学的な方法で実証して来たのです(世界に類例のない考え方!!!)。
『①と②と言う、異なるこの二つの要因が、同時に並行して存在し、重なり合うことに因る『相剰効果』によって、『前頭葉』機能を含む/脳全体の機能が、廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させていくその先に、「AD型認知症」の発病及び症状の重症化の進行が待っているのです。
加えて、『前頭葉』機能を含む/脳全体の機能レベルに厳密にリンクした「三段階」に区分される類型的な症状(私たち独自の区分で言うところの三つの段階、「小ボケ」、「中ボケ」及び「大ボケ」の段階)が存在し、確認されることになると主張しているのです。その確認の対象となる、「意識」が覚醒した/目的的な世界における/脳全体の司令塔の役割を担っている複合機能体としての『前頭葉』機能の構成要素機能である「評価の物差し」の機能及び「実行機能(Executive Function )」の機能の発揮度及び「認知度」を左右し、下支えている機能が、意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能(『前頭葉の三本柱』の機能と呼ぶことにします)なのです。この関係を私たち「二段階方式」は、「機能発揮上の二重構造」の関係と名付けています。
『前頭葉の三本柱』の機能が、廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行に因り異常なレベルに衰えて来ると、機能発揮上の二重構造の関係から、『評価の物差し』の機能及び『実行機能』の機能の発揮度及び認知度が異常なレベルのものとなる為に、「AD型認知症」の段階的な症状が発現して来ることになるのです。そこには、器質的な原因病変というものが存在していないのです。
様々な種類が数ある認知症の内の大多数、90%以上の割合を占めて居ながら、発病の原因が不明であり、症状を治すことも、発病自体を予防することも出来ないタイプの認知症であるとされた儘で居るのは、『AD型認知症』の様々な症状が、「意識」のメカと密接不可分の関係に在る為に、解明することが極めて難しいものとなっているからなのです。
何故なら、「意識のメカ」については、『人類最大の難問』とされていて、未だに、誰一人として解明できていない代物だからなのです。私たち「二段階方式」は、活動開始の初期から、「意識」のメカとの関連という独自の視点から、「AD型認知症」の発病原因の解明について、挑戦して来た世界で唯一の研究機関でもあるのです(Kinukoが、「二段階方式」の手技を活用して、集積して来た、極めて精緻で/極めて多数の「脳機能データ」の解析結果及び当該「脳機能データ」を対象としての『Taの思考実験」が、基礎に在って、初めて為し得たことなのです!!!
この視点を持ったことが、次のテーマである(『機能発揮上の二重構造』の関係の存在)という「テーマ」に気づくことに繋がり、「第二の人生」を送る上での脳の使い方としての/ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」の継続に起因した/廃用性の異常な機能低下の進行という要因の解明に繋がったのです。個別での『評価の物差し』の機能及び『実行機能』の機能レベル及び機能低下の進行を/直接に評価/判定することなく、「前頭葉の三本柱] の機能の機能レベル及び機能低下の進行を判定することに因り、『前頭葉』機能の機能レベルを、精緻に/客観的に、判定できる訳なのです!!!
2.『機能発揮上の二重構造』の関係の存在
意識的/目的的な世界では、「意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能が、全ての基礎に在るのです。意欲の機能が発揮されない限り、事は起きてこないのです。注意の集中力が発揮されない限り、全てが中途半端な結果となるのです。注意の分配力の機能が発揮されない限り、テーマの発想も、目標の設定も、創意や工夫をする努力も期待不可能となるのです。
意識的/目的的な世界において、実行機能を発揮させるには、意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能の関与が不可欠となるのです。この二重構造、実行機能の発揮度を左右し、下支えているのが、『前頭葉の三本柱」の機能=意欲、注意の集中力及び注意の分配力』であることを理解しない限り、真の原因解明は、前に進まないのです。
3.複数の意識の同時存在と『意識の覚醒度』との関係
私たち人間には、チンパンジーにさえも備わっていない、『注意の分配力』という機能が備わっています。『注意の分配力』という機能こそ、『意識』の存在にとって不可欠の機能なのです。
『注意の分配力』の機能とは、『内容が異なる(3つ以上の)複数の「テーマ」を同時に並行して処理する上で不可欠の機能』であり、並びに、『内容及び覚醒の度合い(覚醒度)が異なる複数の意識』を、同時に並行して、構築し、管理し、支配し、統合し、分離し、その覚醒度の変化を統括し、管理し、コントロールし、追及する機能を担っているのが、『注意の分配力』の機能なのです。『注意の分配力』の機能の働きがあって初めて、内容及び覚醒度が異なる(多重で、多層の)『複数の意識』の同時並存という世界が、同時に並行して管理されることに因って、構築され、存続し、維持されているのです(By Tad及び「二段階方式」による、世界で初の提示/問題提起なのです)!!!
※1例示的に説明すると、『様々な対象や内容に対する認知の度合いもまた、「前頭葉の三本柱」の機能、就中、『注意の分配力』の機能に左右され、下支えられているのです。古希を迎えた私達が、お友達を運転席の脇に乗せて、BGMを流してそれを楽しみながら、同時に並行して、お友達との会話を楽しみながら、且つ、行き交う車の状況や道路の状況や信号の変化等にも注意を配分しながら、その上、通り過ぎる景色の変化も楽しみながら、事故を起こすことも無く、側溝に脱輪させることも無く、安全に車を運転することが出来るのは、この『注意の分配力』の機能が正常なレベルで機能しているおかげなのです(複数の意識の同時存在とそのコントロールの事象事例)。
※2 車を運転していて、信号無視や歩道に乗り入れて、人身事故や車の損傷事故を起こす「お年寄り」が多いのは、注意の分配力の機能が異常なレベルに衰えてきている(小ボケや中ボケの段階に在る)お年寄りだからなのです。運動能力の衰えの問題以前に、『注意の分配力』の機能の衰えが主たる原因なのです。「AD型認知症」を発病して末期の段階にあるお年寄りが、ズボンを頭から被ったり、歯ブラシの使い方が分からなくなるのは、記憶の障害が原因ではなくて、注意の分配力の機能が異常なレベルに衰えてきていることが原因で起きてきていることに、専門家達が、早く気付いて欲しいのです。
注)「脳の活性化」とは、『前頭葉機能の活性化』ということになる訳なのです。
私たち人間だけに特有な意識的/目的的な世界は、「三頭立ての馬車」(左脳、右脳及び運動の脳という三頭の馬が牽引)の運行に例えると分かり易いと思うのです。三頭立ての馬車の「御者」の役割、意識的な世界における脳全体の「司令塔」の役割を担っているのが、「前頭葉」機能なのです。
意識的/目的的な世界では、何か単一のテーマに意識が集中される状態を作り出すことは極めて困難(特別の鍛錬が不可欠となる)なのであって、一般的にはと言うか常に、複数の多層で多重の意識が混在している状態にあるのです。その多重で多層の「意識」を構築し、統合し、統括し、管理し、コントロールする上で必要不可欠の機能が、「前頭葉の三本柱」の機能の核心をなす機能である『注意の分配力』という機能なのです。従い、『脳が活性化する』ことは、『前頭葉機能が活性化する』ことであり、機能構造的には、『注意の分配力の機能の出番が多くなるようなテーマの実行と処理』が、盛んに行われている状況のことを言うことになるのです。
4.脳の中の『ホムンクルス』の正体
(1)「ホムンクルス」というのは、もとは古代ヨーロッパの錬金術で作れられるという、小人のことを言いました。カナダの脳神経外科医ペンフィールドによると、私たちの脳の中には、グロテスクな小人―「ホムンクルス」が住んでいるということなのだそうです(私の脳の中に居る;もう一人の私のイメージ)。
人間だけに特有な世界、私たちが意識的/目的的に何等かのテーマを発想し、実行に移す世界では、『評価の物差し』の機能及び『実行機能』が働くことが不可欠となります。
自分が置かれている状況を分析し、理解し、判断して、状況判断に沿った「テーマ」を発想し、テーマを実現する際の目標を設定し並びに実行の内容と実行の程度や態様と方法を計画し、創意・工夫し、実行結果を洞察し、推理し、ケース・シミュレーションして、シミュレーションの結果を比較し、最終的な内容を選択し、実行の決断をして、左脳、右脳、運動の脳の各部に実行の指令を出すということになるのです。
『実行機能』が発揮されることになる場面では、常に、必ず、その前提条件であり、前段階の機能である『評価の物差し』の機能と『記憶の倉庫』の働き並びに「前頭葉の三本柱」の機能が構造上関わる機能発揮上の二重構造の理解が、意識の機能構造の理解において不可欠の条件となるのです。
その意識的/目的的な世界の顕現の過程で、「前頭葉」機能を含む/脳全体の機能レベルという問題が存在していて、そのこととの関係で、廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行という視点を持つことが、『AD型認知症』の発病のメカ(原因)及び症状が重症化するメカ(機序)を解明する上で、必要不可欠の条件となるのです。
このことに気付かないで、「記憶障害に起因して発病する」という「DSM-Ⅳ」の第一要件の規定の誤りにも気付かないで、今猶その要件に拘泥し、『器質的な原因病変』ばかりを追求して、アミロイドβの蓄積とか、早い段階でのその除去というテーマを追い求めていて、更には、マウス(アルツ・ハイマーマウスを含む)の尻を追いかけ続けていたのでは、何時まで経っても、発病の原因及び症状の重症化が進行する原因の解明には行き着かないのです。
※1 意識的な世界においては、状況や対象の認知に際して、その前段階の機能としてのⅰ)評価の物差しとⅱ)実行機能とⅲ)記憶の倉庫の関わりが必要不可欠となります。この三者の関わりがないと、そもそも「認知」自体が機能してこないと、Tadは考えるのです。意識的/目的的な世界における認知に際しては、常に、必ず、「評価の物差し」と「実行機能」と「記憶の倉庫」の三者が関わることが、機能構造的に要求されていると考えるのです。
『評価の物差し』が第一段階として働く(制御している)機能構造下で、『記憶の倉庫』との照合を経由した後、『実行機能』の働きを介して、自分独自の『認知』が生じてくると考えるのです。加えて、認知の度合い及び機能の発揮の度合いは、『前頭葉の三本柱』の機能の発揮の度合いが左右し、下支えている『機能発揮上の二重構造』という問題が関係し、存在していると考えるのです。
様々な程度及び態様の下で発現して来ることになる/『評価の物差しの機能及び実行機能』の機能の発揮の度合いも、両者共に、『前頭葉の三本柱』の機能の関わり具合に左右され、下支えられている関係に在ると考えるのです(「二段階方式」独自の考え方)。この機能発揮上の二重構造の存在及び「第二の人生」を送る上で展開されるナイナイ尽くしの単調な『生活習慣』の継続(自分なりに追及する特定のテーマが無く、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動する機会もなく、目標となるものが無い、単調な日々の暮らし方、『脳の使い方』としての「生活習慣」を言うことに留意する)に起因して/惹き起こされる廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行こそが、「AD型認知症」を発病及び症状の重症化が進行する/唯一無二の、真の原因要因であると考えているのです(私たち「二段階方式」独自の考え方!!)。
※2 権威ある人たちから、無意識の作用と誤解されている殆どの作用が、実は『評価の物差し』が常に関わる意識的な作用なのであり、『注意の分配量の差異に因る』/意識の覚醒の度合いの差のアウト・プットに過ぎないことが、(無知/無関心に因り、単に誤解されているに過ぎない)と考えるのです。
『意識』の覚醒の度合いが極めて低い状態下に在っては、認知自体とその結果である意識の存在とが、自覚されていないだけであり(関わる血流量も少ないので現行の機器では検知されない)、所謂「無意識が働く結果としてのアウト・プット」ではないと考えるのです。
(2) ホムンクルスの小人は、「評価の物差し」及び「記憶の倉庫」が関わる全ての認知並びに『実行機能』の発揮により、何等かのテーマが発想され、実行されていく『意識的/目的的な世界』を構築し、統合し、統括し、管理し、コントロールしている「注意の分配力」の機能と「評価の物差し」の機能の共同体を核とする『前頭葉』機能全体の働きなのであり、『前頭葉』という機能が、左脳、右脳及び運動の脳という三頭の馬が牽引する三頭立ての馬車の『御者の役割』を担っていると考えるのです。
&3「AD型認知症」の正体と正しい知識
(1)「AD型認知症」の症状の特徴
「AD型認知症」の症状は、「前頭葉」機能を含む/脳全体の機能レベルに厳密にリンクした三段階に区分される「段階的な症状」が発現して来るのが特徴。
①「軽度認知症(小ボケ)の段階とその特徴
ⅰ)「AD型認知症」の発病としての最初の段階である「小ボケ」の段階の症状が発現して来ている高齢者の脳の何処にも、「器質的な原因病変」はその欠片も見当たらないのです。加えて、「記憶障害」に起因したと考えられそうな症状は全く確認出来なくて、それら全てが、『前頭葉の機能障害に起因した症状』ばかりなのです。
ⅱ)「小ボケ」の症状は全て「前頭葉」の機能の中で最も基礎的で且つ重要な働きであり、意識の構成要素に対する「認知度」及び実行機能の発揮度を左右し/下支えている機能である「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の機能が的確且つ十分には働かなくなって来ていることが直接の原因なのです。
ⅲ)私たち人間だけに特有な意識的/目的的な世界、私たちが意識的/目的的に何等かのテーマを発想し、実行に移す際に不可欠の機能である「評価の物差し」の機能及び「実行機能」の発揮は、「前頭葉の三本柱」の機能により左右され/下支えられているという『機能発揮上の二重構造』の問題が存在しているので、「前頭葉の三本柱」の機能、就中、『注意の分配力』の機能が、ナイナイ尽くしの単調な『生活習慣』の継続に起因して、廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させていくことが「直接の原因」で、『評価の物差し』の機能及び『実行機能』の発揮度が、そのことにリンクして、機能が低下していくことを厳密に反映しているのが、『小ボケ』の段階の症状の特徴なのです。
②『中ボケ』(中等度認知症)の段階とその特徴
ⅰ)「中ボケ」の段階は、廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行が原因で、『前頭葉』の機能が更に異常なレベルに衰えて来ている上に、「小ボケ」の段階では未だ正常な機能レベルにあった左脳、右脳及び運動の脳までもが、異常な機能レベルに衰えて来ているのです。『中ボケ』の段階では、『前頭葉』機能を含む脳全体の機能が、異常なレベルに在ることに注意が必要。
ⅱ)「前頭葉」の機能が異常なレベルに衰えて来ているとはいえ、「小ボケ」には、自覚があります。「意欲も湧かないし、根気が続かないし、てきぱき出来ないし、発想も湧かないし、物事に感動することもないし、抑制が効かない」と感じていて、『以前の自分と比較して、自分のどこかがおかしい』という自覚を明確に持っていて、自分の状態に「不安」を感じているのです。
それが、「中ボケ」の段階になると、「『前頭葉』を含む/脳全体の機能が、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」が継続してきたことに起因した廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行により、そうした自覚を持つこと自体が出来なくなります(「中ボケ」の特徴)。
⇒働き盛りの若い年齢者で(30~50歳代での発症例が多い)、「重度の記憶障害」の症状の発現が顕著となっていても(この場合、重度の「記銘力障害」であることが特徴)、自分が置かれている状況に対する正しい及び適切な認識と理解が出来ていて、自分が困っていることを的確に言葉で表現できる等と言うのは、『AD型認知症』の発病患者には、絶対に起きてこないことなのです。
『側頭葉性健忘症』(海馬の萎縮が確認されるのもこの病気の特徴)が、正しい診断であるものを、『AD型認知症』についても無知であり、「側頭葉性健忘症」についても無知でありながら、権威が有るだけの医師が、誤診し、『誤った情報』を社会に発信し、垂れ流しているのです。
ⅲ)『末期の段階』である「大ボケ」の段階でなくて、認知症研究の専門家達が未だ発病してはいないと誤解している段階、私たちの区分で言う「中ボケ」の段階で「前頭葉」機能を含む/脳全体の機能レベルが原因で(就中、「注意の分配力」の機能の低下が原因で)、上記例示したような症状が自分に起きていることさえも理解できない為に、自覚出来なくなるのです。『発病者本人の考えを尊重した対応や応対が重要』と主張する人達は、脳の機能レベルという視点が欠けていて、この事実を知らない/理解していないのです。
③「重度認知症」(『大ボケ』)の段階とその特徴
ⅰ)「中等度認知症」(中ボケ)になっても「老化現象」と勘違いしたりして、気付かないまま手をこまねいて居て、「脳のリハビリ」に励むことなく、相変わらずナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」が継続されていると、「前頭葉」機能を含む/脳全体の機能の廃用性の加速度的で異常な機能低下が更に進んでいく為に(中ボケの期間が 2~3年間続いた後は)、末期の段階である「重度認知症」(大ボケ)の段階に入っていきます(猶、「DSM-Ⅳ」の規定が、「AD型認知症」の発病と診断する上での十分条件として確認を要求している失語、失認又は失行(紛い)の症状は、「大ボケの段階の後期」になって初めて、発現が確認される症状、「MMSEの得点が一桁になって初めて発現が確認される」ことになる、『極めて重度の症状』であることに注意。「第二の要件」に従って、「AD型認知症」発病の有無を診断している限り、せっかく見つけても手遅れ、最早治すことはできないのです。
ⅱ)『大ボケ』になると、「前頭葉」機能を含む/脳全体の働きが「中等度認知症」の段階よりも,更に異常なレベルに衰えて来ているのです。
左脳と右脳と運動の脳の働きも、幼稚なレベルの機能が僅かに残っている程度である上に、脳の司令塔の役割を担っている「前頭葉」機能は殆ど機能しなくなって来ているのです。挨拶程度の日常会話を交わすにも、ハサミとか歯ブラシ等、手に持っているものの用途を理解するにも、ズボンをはくにも、『注意の分配力』の機能が一定レベル以上の機能レベルに在ることが、『不可欠の条件』なのです。「注意の分配力」の機能が、殆ど働くことが出来ない程に、廃用性の加速度的で異常な機能低下が進行して来ていることが原因で、簡単な日常会話も交わせないし、歯ブラシの使い方も分からないし、ズボンを頭からかぶったりするようになる訳であり、(記憶障害が原因で起きているのではなくて)/メタ認知が困難となることに起因して起きてくるものであることに、専門家とされる人達が早く気付いて欲しいのです。
ⅲ)『大ボケ』の段階の症状が発現してくるまでに『前頭葉』を含む脳全体の機能について、廃用性の加速度的で異常な機能低下が進行してくると、最早治すことは出来なくなるのです(アルツハイマー型認知症は、性質それ自体として治すことが出来ない訳ではない。極めて重度の症状である「失語や失認や失行の症状」が初期症状だと誤解していて、医師達が見つけて居る段階が遅すぎる為に治せないだけなのです。
※ 脳全体の司令塔の役割を担っている『前頭葉』(左脳、右脳及び運動の脳という三頭の馬が牽引する「三頭立ての馬車」の『御者』)が、殆ど働かなくなっている(寝たきり状態に在る)上に、左脳や右脳や運動の脳も極めて不十分にしか働かない『大ボケ』の段階では、自分の身の回りのことをする『セルフ・ケア』にも支障が出る。食事をしたり、服を着たり脱いだり、お風呂に入ったり、トイレの後始末をしたりといった、身の回りのことも自分で出来なくなり、日常生活面での「介助」や『介護』が不可欠の状態となるのです。
ⅳ)失語や失認や失行(紛い)の症状は、記憶障害に起因し発現する訳ではない/
私達が服を着るとき、ズボンであるか、上着であるかを判断し、上着であれば裏表がどちらか、ボタンをかけるタイプかどうか、どのような手順で着ればいいか等を的確に見極め、必要な動作を、適切な手順で的確に行っているのです。上掲の『服を正しく着られず、ズボンを頭から被ったり、上着に足を通したり』と言った症状、「AD型認知症」としての症状は、「記憶の障害」が原因で服を正しく着ることが出来ない訳ではないのです。
上着とはどういうものであり、どのようにして、どのような手順で着るものなのかを忘れた為に着ることが出来ない訳でもないのです。「前頭葉の三本柱」の機能の中でも最も高度な機能であり最も早くから衰えて行く機能である『注意の分配力の機能』(異なる複数の「テーマ」を、同時に並行して処理する為に不可欠の機能)が、殆ど機能しないまでに機能低下が進行して来ていることが直接及び核心的な原因で、加えて、左脳、右脳及び運動の脳までもが廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させて来たことが原因で、『服を正しく着ることが出来ない』だけなのです。
『家族の名前を間違えたり、配偶者を我が子と間違えたりする』という症状も同じことなのです。「配偶者を我が子と間違える」のは、「記憶障害」に起因している症状ではなくて、「前頭葉」機能を含む/脳全体の機能レベルを反映しただけのもの、就中、『注意の分配力の機能が、殆ど働かないレベルにまで廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行により機能が低下してきている』為。
※上記の三段階区分は、14689例に上る「AD型認知症」発病患者の脳機能データの解析結果なのです(発病者の認知機能検査において、前頭葉の機能レベルの精緻で客観的な判定が行われているのは、世界中で、「二段階方式」だけなのです。三頭立ての馬車の御者の役割を担っている「前頭葉」の機能レベルを『改訂版かなひろいテスト』で判定し、牽引する馬の役割を担っている左脳と右脳の機能レベルを『MMSE』で判定するので、Tadが「二段階の判定」という意味で、「二段階方式」と命名したのです。
(2)「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズム
① 新型コロナの感染拡大が止まらない中で、感染予防策としての『3密の回避』が叫ばれています。
一方で、第二の人生を送っているお年寄りが、『3密の回避』に徹した生活習慣を継続していると、「AD型認知症」の発病者(私たちの区分で言う「小ボケ」の段階のお年寄り)が、顕著な増加を見せてきていて、更には、症状の重症化が進行するお年寄り(小ボケ➡中ボケ。中ボケ➡大ボケ)が、顕著な増加を見せてきているのです。
『3密の回避』に徹した「生活習慣」が継続されていると、アミロイドβの蓄積やタウ蛋白の沈着が、加速的に進行するとでもいうのでしょうか。「仮説」の支持者達に聞いてみたいのです。
『仮説の主張内容が誤りである』ことを示す事象の事実、客観的な証拠資料と言えるのです。この事象事実を正しく、且つ、的確に説明できるのは、私たち「二段階方式」の主張だけなのです。私たち「二段階方式」は、『AD型認知症は、廃用性症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病であり(但し、脳の使い方としての意味で言う生活習慣なのであって、食生活とは無関係であることに留意する)、早期発見と「脳のリハビリ」の実施により治すことが出来るし、「前頭葉」を含む脳全体の機能が活性化する「生活習慣」の実践とその継続により、発病自体を予防することが出来る』と主張しているのです。
② 基盤の要因は、「加齢に因る機能低下=正常老化の進行」
「AD型認知症」の発病の基盤にある要因は、『加齢による正常な機能低下の進行』という要因なのです。そうであるが故に、『発病の対象となる人達は、第二の人生を送っている60歳を超えた年齢の高齢者だけに限られる』/老年発症が特徴となるのです。我が国で定年退職し、「第二の人生」に入る年齢である時期の『前頭葉の機能レベル』についての脳機能データでは(正常老化の性質と名付けている)、最盛期である20歳前後の機能レベルのほぼ半分くらいの機能レベルに低下して来ているのです。
その意味で、『若年性アルツハイマー型認知症』というタイプの認知症は存在していない架空のものなのです。記憶障害に起因して発病するとの誤った内容である「DSM-Ⅳ」の第一要件の規定内容を鵜呑みにしていて、「重度の物忘れの症状」の確認と海馬の萎縮の確認だけから、「AD型認知症」の発病であると誤診しているだけなのです。
「前頭葉」の機能レベルを「改訂版かなひろいテスト」を活用して、精緻に判定してみれば、誤診であることが容易に判明するのです。「AD型認知症」の発病者であれば、どの段階であろうと(小ボケ、中ボケ、大ボケの三段階の区分)、『前頭葉』の機能レベルが異常なレベルに在ることを必ず確認できるのです。
他方で、側頭葉性健忘症」(30~50歳代の若年で発症するケースが通常)は、『海馬の萎縮が確認され、極めて重度の物忘れの症状(脳の変性により、極めて重度の記銘力障害に起因した、極めて重度の物忘れの症状が確認されるが、『前頭葉』機能が正常なレベルに在るのが、特徴なのです。
③ 「相剰効果」による加速度的で異常な機能低下の進行
一つの基盤要因が、①「加齢」に起因した正常な機能低下の進行(正常な老化の進行)という要因であり及びもう一つ別の要因が、②ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」の継続に起因した廃用性の異常な機能低下の進行(異常な老化の進行)と言う要因の同時存在、『①と②と言う、異なる二つの要因が、同時に並行して存在し、重なり合うことの「相剰効果」により、③「前頭葉機能を含む/脳全体の機能について、④廃用性の/加速度的で/異常な機能低下が進行して行く先に、⑤「発病が待っている」のです。
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