認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

アルツハイマー型認知症の正体と症状が発現し、重症化する仕組み(B-40)

2015-07-15 | アルツハイマー型認知症の進行とその特徴

  これこそが 真の原因 物忘れ 

        したり顔する 自称の名医   By kinukototadao 


    

& 認知症の権威とされる人達が知らない一番重要なこと

○アルツハイマー型認知症の症状は、「記憶の障害」の症状が必須の要件ではないのです:

アミロイドベータの蓄積とかタウタンパクの沈着とか脳の萎縮とかを「アルツハイマー型認知症」発病の原因とする説が(発病との因果関係が立証されていないので、正確に言うと、仮説に過ぎないのですが)未だに主張されています。特に、アミロイドベータ説については、欧米の巨大製薬メーカーからは既に捨て去られているにもかかわらず、我が国では、著名な独立行政法人を先頭にして、何故だか分からないのですが、今なお声だかに主張され、研究が拡大継続されている状況なのです。

この説は、アミロイドベータの蓄積によって情報を伝達する役割を担っている神経細胞の機能が次第に失われていくものと考えているので、「記憶の障害」を必須の要件と捉えているのです(その点では、このブログでたびたび取り上げて問題点を指摘してきているあの「DSM-4」の規定と同じ視点に立っているようなのですが)。

この説の言うように、アミロイドベータの蓄積が「アルツハイマー型認知症」発病の原因であるというのであれば、「アルツハイマー型認知症」を発病したお年寄りで早期の段階の人達(小ボケ及び中ボケ)は、「脳のリハビリ」(脳の使い方としての「生活習慣」の改善)により正常な状態に回復させることが出来るという実態をどのように説明することが出来るのでしょうか。聞いてみたいものです。


   

「脳のリハビリ」によって正常な機能レベルに回復させることが可能な最期の段階、私たちの区分で言う「中等度認知症」(中ボケ)の段階になってくると、昔の記憶はよく想起されてくるのに対して新しい記憶の想起が難しくなってくることが、私たちがこれまでに集積してきた「脳機能データ」の解析により明確な事実として確認されているのです。これは、「記銘」する機能が衰えてきていることが原因なのです。「中ボケ」の人達の脳機能データに確認される現象、昔の記憶(長期に保存されている記憶)が比較的に良く想起されるのに対して、最近の記憶(短期にしか保存されていない記憶)を想起することが難しいという現象は、長期に保存されている昔の記憶(長期記憶)とは、記銘する機能が良く働いていた頃の記憶であり、短期にしか保存されていない最近の記憶(短期記憶)は記銘する機能が衰えてきた最近の記憶と言うことになるのです。

自分なりに、生き甲斐や目標がある生活が継続されている中であっても、「加齢」とともに機能が衰えていくという性質(私たちの言葉で、「正常老化の性質」)が内在している意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能{私たちの言葉で言う、「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)の三本柱の機能}が、その「正常老化の性質」に加えて更には、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続される下で廃用性の機能低下を起こしてきた結果、すなわち三本柱の機能が加速度的に衰えてきたその結果に過ぎないのです。アミロイドベータが蓄積したせいでも、タウ蛋白が沈着したせいでも、脳の委縮が進行したせいでもないのです。

この記憶するに際しての「記銘」の度合い(記銘度)が高いと長期に保存されて想起が可能になるのに対し、記銘度が低いと短期にしか保存されなくて想起が出来なくなる、それが「長期記憶」と「短期記憶」に分かれる「メカニズム」なのだというのが私たちの主張なのです。長期記憶と短期記憶のメカニズムもわからないで居て、マウスが迷路の中で餌を探して彷徨い歩く行動ばかりを分析して居て、「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズムを研究しているとするレベルで、「治療薬の開発に一定の目途がついてきた」などとマスコミ受けの発表ばかりしないでいただきたいのです。60歳を超える年齢の「高齢者」だけを対象として、「前頭葉」を含む脳全体の機能がナイナイ尽くしの「単調な生活」が日々継続されることにより廃用性の機能低下(異常で加速度的な機能低下)を進行させていくというメカニズム、そのメカニズムによる病気(そのメカニズムを原因とする病気)なのです。すなわち、食生活ではなくて、脳の使い方としての意味でいうところの「生活習慣病」だと私たちは考えているのです。私たちがこれまでに集積してきた「脳機能データ」の基礎に立っていえば、「アルツハイマー型認知症」の発病を予防する薬も、治療する薬も、進行を和らげる薬も、開発される可能性はないというのが結論なのです。空気ポンプの例でいうと、ゴム管の部分の不具合で空気が流れないのではなくて、そもそも空気を押し込む役割の柄の部分を押し出してやらないから空気が流れないのです。


    

○「アルツハイマー型認知症」の本当の意味での初期の段階、特に、脳のリハビリを施すことにより治す(「前頭葉」を含む脳全体の機能を正常なレベルに回復させる)ことが容易である、「軽度認知症」(小ボケ)の段階で確認される認知症としての症状はどれをとってみても「記憶の障害」とは関係のない症状ばかりなのです:

この段階では、左脳も右脳も運動の脳も全て働きが未だ正常な機能レベルを保っているのです。肝心の「前頭葉」の働き具合だけがもはや正常域にはなくて異常な機能レベルに衰えてきているのです。世間の(日本を含めて世界中の)認知症の専門家とされる人たちは、「DSM-4」の規定に代表されるように(或いは、その規定に影響されていて)極めて重い症状が発現してくる段階にしか注目していないのです(「DSM-4」の規定を例にしていえば、失語や失行や失認といった症状の確認を要求していて、私たちの区分でいう「重度認知症」(大ボケ)の段階の症状、極めて重度の末期の段階のさらにその後半にならないと発現してこない症状にしか注目していないのです)。

 私たちは、「社会生活」に支障が起きてくるレベルを「軽度認知症」(小ボケ)として区分し、「家庭生活」に支障が起きてくるレベルを「中等度認知症」(中ボケ)として区分し、セルフケアに支障が起きてくるレベルを「重度認知症」(大ボケ)として区分し、前頭葉を含む脳全体の機能レベルに対応した三つの段階に区分される認知症の症状を類型化しています。その脳機能データによれば、「DSM-4」が第一の要件としている「記憶の障害」に加えて第二の要件として規定している「失語」、「失行」又は「失認」の症状が発現してくるもっと前の軽いレベルの人達(「大ボケ」の段階の人たちのうちで、そうした症状がまだ出てきていない人たち)でさえ、セルフケアに支障が出ている状態なのです。言い換えると、「DSM-4」が要求している「失語」、「失行」又は「失認」の症状の確認は、あまりに重い症状の確認を要求していることになるのです。


    

このことを私たちのデータに置き換えてみた場合、「DSM-4」が要求する基準では、前頭葉の機能を含む脳全体の機能レベルが余りにも衰えてしまっている段階になって初めて「アルツハイマー型認知症」と診断することを要求しているということになるのです。これでは見つけても手遅れ、余りにも見つける段階が遅すぎて治せない結果を招来してしまっているのです。こうした段階で見つけることに何の意味があるのかと言いたいのです。治せる段階を見つけてこそ意味があるのに、規定の誤りから治せる段階があるのに見過ごしてしまう結果を招いているのです。医療の現場で「アルツハイマー型認知症」の患者の診断に日々従事している医師達は、その社会的使命責任からしても、もっと前の軽い段階、「治せる段階」があることに早く気付くべきなのです。

然も、医療の現場で幅を利かせている診断の手技或いは、機器等は、私たちが開発した「二段階方式」が判定上の必須の条件として実施している「前頭葉」の機能レベルを計測し、判定することもなく(判定できないで居て)、CTやMRIや果てはPETまで使用して、保険の点数自体が極めて高く診療報酬は高額になるものの「アルツハイマー型認知症」のレベルの計測とは無関係である機器を使用して、ただ単に脳の形と萎縮の程度を計測しているにすぎないのです。  


    

ある意味で、「記憶の障害」の症状を外観的に観測して、あれこれと推測しているに過ぎないとしか言いようがないレベルの診断なのです。その結果、極めて重度の症状が発現してこないと自信を持って「アルツハイマー型認知症」であることを診断できないでいて、もっと軽い段階、脳のリハビリを実践することにより正常なレベルに脳の機能を回復させることが可能な本当の意味での初期の段階であり、私たちの区分で言う「軽度認知症」(小ボケ)の段階及び「中等度認知症」(中ボケ)の段階を見落としてしまっているのです。

この段階の症状を詳細に検討してみれば、「記憶障害」が第一義的な症状なのではなくて、私たち人間の意識的な世界を支配していて、脳全体のコントロール・タワーの役割を担っている「前頭葉」の個別の機能、すなわち自ら様々なことに取り組むための「自発性」、色々なテーマを思いつくための「発想」、実行しようとする内容を組み立てる上で必要な「理解」や「計画」や「工夫」、実行内容をシミュレーションする上で必要な「考察」や「分析」や「予見」、実行した場合の結果の推測に必要な「推理」や「想像」や「洞察」、予期しない状況に対応するための「機転」や「修正」、状況や実行内容の「判断」、感情の高ぶりを抑えるための「抑制」、実施を指令するための「決断」、「指示」、更には「創造」や「感動」といった機能等、「前頭葉」の個別機能の機能障害に起因する症状が第一義的な症状だということに気付くはずなのです。この場合に注意すべきなのは、こうした症状は「老化現象」ではないということなのです。なぜなら、こうした症状は「前頭葉」の機能が異常なレベルに衰えてきていることが必ず確認されるからです。言い換えると、「老化現象」としての症状である場合は、「前頭葉」の機能が正常なレベルにあることが必ず確認されるからなのです。


    

「アルツハイマー型認知症」の研究や医療に従事している皆さん、「記憶の障害」の症状は「アルツハイマー型認知症」の症状の、必須且つ第一義的な症状ではないことに早く気付いて欲しいのです。「記憶の障害」という症状並びにその重い軽いの程度に拘泥している限り、本当の意味での早期の段階がある(「アルツハイマー型認知症」にも、回復させることが可能な段階がある)ということにいつまでも気づけないままで居ることになるのです。

例えば、回復させることが困難な段階である「重度認知症」(大ボケ)の後半になって現れてくる『□着ている服を脱ぎたがらず、便で汚れた下着をそのまま平気で着ている □ 風呂に入るのを嫌がる

□ 服を正しく着られず、ズボンを頭からかぶったり上着に足を通したりする □ 家族の名前を間違えたり、子供を配偶者と間違えたりする □ 自宅に居ても落ちつかず、出て行きたがる□ 大小便を失敗しても、後の処置ができない□大小便で汚れた下着を、押し入れなどに隠す□ 今が昼なのか夜なのかがわからなくて、夜中に騒ぐ

□夜中に起きてくる、家中の電気をつけて回る、会社に行くとか田んぼに行くとか言い張る□ 痛んだものを平気で食べ、食べ物でないものを口にするetc.』といった症状は、忘れている(覚えていない、又は、思い出せない)が故の症状なのではなくて、そもそも、自らがしている(しようとしている)行為が何を意味し、どのような目的や動作や言動を伴うものなのかが分からない(或いは、そのような行為自体が、手順を含めてどのように、どの程度実行すべきなのかが理解できないが故の行為なのです。

生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が日々継続される下で、廃用性の加速度的で異常な機能低下により「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルがそこまで衰えてきてしまっていることが直接の原因となり、その状況や環境及び行為自体の目的や内容や意味そのものが理解できなくなってしまっているが為に起きてきている症状なのです。アミロイドベータの蓄積やタウ蛋白の沈着や脳の委縮の進行が原因で記憶の障害が起きてきて、そのことが第一義的な要因となって惹き起こされている様々な程度と態様とで構成される症状を発現している訳ではないことに早く気づくべきなのです。「アルツハイマー型認知症」と言うタイプの認知症は、ナイナイ尽くしの単調な生活習慣が継続していることに起因して起きてくる、廃用性の加速度的で異常な脳機能低下、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルの異常な低下をそのままに反映した段階的な症状が発現してくるのが、特徴なのです。「前頭葉」の機能自体が無いマウスやアルツハイマーマウスを何時まで追いかけていても、このことに気づくことは無いのです。

 

    

○ 「前頭葉」の個別機能の認知度及び発揮度を左右している意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能(以下、「三本柱の機能」という)の役割と内在的な性質:

「前頭葉」の個別機能によるその認知度及び発揮度は、「三本柱の機能」の発揮度に左右されていて、「三本柱の機能」の機能の発揮度が高まれば「前頭葉」の個別機能の認知度及び発揮度が高まるし、「三本柱の機能」の機能の発揮度が低くなれば「前頭葉」の個別機能の認知度及び発揮度も低くなるという相関関係(機能発揮上の「二重構造」の関係)にあるのです。その上、「三本柱の機能」には、加齢とともにその機能レベル自体が衰えていくという性質が内在しているのです(「正常老化の性質」)。その為、60歳を超える年齢の「高齢者」が、何かをキッカケとしてナイナイ尽くしの「単調な生活」を継続していると、「前頭葉」の各種個別機能の認知度及び発揮度は、加齢に伴う「正常老化の性質」による緩やかな機能低下に加えて廃用性の機能低下が加味されることになり、両者の「相乗効果」としての加速度的な機能低下が起きてくることになるのです。

60歳を超える年齢の「高齢者」たちの「前頭葉」の各種個別機能の機能レベルは、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続される生活習慣の下で、正常な機能レベルから正常下限のレベルを経て、ついには異常なレベルへと衰えていき、異常なレベルに衰えてきたときから、「前頭葉」の機能レベルを直接に反映した「アルツハイマー型認知症」の症状が発現してくることになるのです。その後も、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続されていると、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルの低下の更なる進行を直接に反映し、且つその脳機能レベルに対応したレベルの「三段階の症状」が発現してくることになるのです。


     

○  意識的に何かのテーマを実行する世界と「三本柱の機能」の働き

意識的に何かの「テーマ」を実行しようとするに際して必要不可欠の、

「状況の判断」、「テーマの構想」、「内容の計画」、「構成の保持」、「シミュレーション」、「実行内容の選択」、「実行の決断」等の「前頭葉」の諸機能を十分に発揮するには、思考の過程中での或る一定レベルでの「三本柱の機能」の機能レベルの維持による認知機能の発揮が要求されることになります。「三本柱の機能」の機能レベルが異常なレベルに衰えてきていると、上述した「前頭葉の諸個別機能」がちゃんと働けないのです。

 その各工程での情報の交信(受け取り、処理、発信)に要求される「認知度」は、「前頭葉」の働きの中で最も基礎的で且つ重要な機能である「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」という「三本柱」の機能が正常に働くことが不可欠の前提条件となります。この「三本柱」の機能に下支えされる形で、発想や計画や工夫や洞察などの高度な認知機能がちゃんと発揮されることになる(認知機能を発揮するうえで、「二重構造」/「層構造」となっていることに注意)のです。実は、「三本柱」のこの機能は、「記憶」の工程である「記銘」、「保持」及び「想起」の機能発揮度にも深く関わっていて、影響しているのです(30代の後半から、「前頭葉」の機能が正常なレベルにありながら、それにもかかわらず所謂「物忘れ」の症状が発現してくるのは、「三本柱の機能」に内在する「正常老化の性質」とこのメカニズムによる為だと、私たちは考えているのです)。

 

    

&「アルツハイマー型認知症」の症状発現の特徴

○「アルツハイマー型認知症」の場合は、最初に、「前頭葉」の機能だけの異常なレベルでの機能低下が起きてくるのです:

然も、その機能が異常なレベルに衰えてくる直接の原因は、アミロイドベータの蓄積による老人斑の形成でもなく、タウタンパクの沈着による神経源線維変化でもなく、ましてや脳の委縮の進行による萎縮の度合いの拡大でもないのです。それでは、「アルツハイマー型認知症」の症状が発現してくる直接の原因とは何なのかと言えば、使われる機会が極端に少ないことに起因した、廃用性の機能低下が原因なのです。何かをキッカケとして、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続、脳の使い方としての「生活習慣」が脳機能の異常な低下を惹き起こしている真犯人なのです。このことは、私たちが集積してきた14689例にも上る精緻な脳機能データが示していることなのです。

「アルツハイマー型認知症」を発病した、極めて多数の患者について集積した脳機能データの解析からわかったこと、その脳の機能の衰え方の特徴についてもう少し詳しいことを明らかにすると、脳全体の司令塔の役割を担っていて、私たち人間の意識的な世界を支配しコントロールしている「前頭葉」の機能が左脳や右脳や運動の脳に先行する形で最初に異常なレベルに衰えていくことに加えて、世界的に評価が確立された神経心理機能テストである「MMS」で判定される「下位項目」についても、出来なくなっていく順番があるということなのです(裏返して言えば、脳機能の衰え方の順番に極めて厳格な規則性があるということなのです)。アミロイドベータの蓄積でもなく、タウタンパクの沈着でもなく、ましてや脳の委縮でもないからこそ言えることなのです。私たちが主張しているように、廃用性の機能低下を本質とするからこそ、このような衰え方が確認される(脳機能が衰えていく順番とその明確な規則性の存在)と考えているのです。専門家の皆さん、いかがですか。


     

& 「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルの異常な低下に対応した段階的な症状の発現を特徴とするのが「アルツハイマー型認知症」:

極めて精緻な神経心理機能テストである「二段階方式」を活用して、「前頭葉」を含む脳の機能レベルとそれに厳密に対応した認知症の症状に関するデータを集積していくと、「アルツハイマー型認知症」の場合は、三つの段階に区分することができることに気付くのです。

左脳右脳も未だ正常な機能レベルにあって、「前頭葉」だけが異常な機能レベルに衰えてきている「軽度認知症」(小ボケ)の段階では、脳のリハビリによって正常な機能レベルに回復させる(「アルツハイマー型認知症」を治す)ことが容易なのです。

「中等度認知症」(中ボケ)の段階では、「小ボケ」の段階では正常な機能レベルにあった左脳と右脳とがともに異常なレベルに衰えてきているのです。「前頭葉」は、「小ボケ」の時よりもさらに異常な機能レベルに衰えてきています。この「中ボケ」の段階では、脳のリハビリに励む生活を密に実行させることによって、正常なレベルに回復させることが未だ可能なのです(まずは、「小ボケ」の段階に戻して、次いで、正常なレベルに回復させることになります)。

「重度認知症」(大ボケ)の段階になると、「中ボケ」の段階の時に比べて、左脳も右脳も、「前頭葉」も、「中ボケ」の時よりも、更に異常なレベルにそれぞれの機能が衰えてきているのです。この段階にまで機能が衰えてきてしまっていると、もはや機能を回復させることは困難になるのです(「中ボケ」のレベルに回復させることさえ困難になることに注意してください)。

 

    

世間では、「アルツハイマー型認知症」の症状を分類するに際して、「中核症状」とか「周辺症状」とか命名した呼称を使用していて、いかにも正しい分類であるかに聞こえるのですが、実はこうした分類自体に特別意味がないというだけでなくて、誤った分類でもあるのです。「アルツハイマー型認知症」の症状は、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルに対応した形で症状が発現してくるのが重要な「特徴」であり、且つ、「前頭葉」、「左脳」、「右脳」、「運動の脳」という順序で、廃用性の衰えが進行していくのです。したがって、認知症の専門家とされる人達の区分でいう周辺症状なるものは、右脳と運動の脳を主足る機能として、わずかに働きが残っている「前頭葉」と左脳との共同作業としての総合的な働きの結果に過ぎないのです。「周辺症状」として分類されている症状は、「小ボケ」や「中ボケ」の段階の脳機能の下では、絶対に発現してくることがない症状なのです。「大ボケ」の段階の脳機能レベルの人達の内でも後半の機能レベル、言い換えるとMMSの得点が一桁になってからでないと発現してこない症状なのです。

脳全体の司令塔の役割を担っていて、意識的な世界を支配しコントロールしている「前頭葉」が殆ど機能していないレベルで、且つ左脳も不十分にしか機能していなくて、右脳と運動の脳が主体という状態で、状況を判断し、テーマを考え付き、その内容を構成し、実行の判断をしているのです。言葉による相互コミュニケーションでの内容の理解も、自分が行おうとする行為の目的や内容の理解も、自分がその時置かれている状況の判断も、殆どできていないことを理解すべきなのです(「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルにリンクした症状なのであり、その結果として、理解できていないが故の様々な程度及び態様下での「言動」や「行為」を行っているに過ぎないのです)。

    

「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症の特徴は、各種及び各レベルでの症状の発現が、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルに厳密に対応した形で症状が発現してくるのであって、アミロイドベータの蓄積の量とかタウタンパクの沈着の量とか、或いは脳の委縮の進行の度合いとかとは、無関係のものなのです(「アルツハイマー型認知症」を発病し、且つそのナイナイ尽くしの「単調な生活」習慣が継続される下で、「症状」が重症化し末期の段階である「重度認知症」の段階にまで進んでいったその副産物に過ぎないと私たちは考えているのです)。それ故にこそ、たとえばアミロイドベータの蓄積量とかを精緻に検出できる独自の方法を完成したからと言って、「アルツハイマー型認知症」の本当の意味での初期の段階を精緻に判定できることにはつながらないのです。このことを指摘し、断言しておきたいと考えるのです。取り上げて報道しているマスコミは、単に相手の言うがままを報道しているにすぎないのです。世間一般の人達に誤解を与え、(実現されることはないのに)実現されそうな甘い期待を抱かせ、「アルツハイマー型認知症」の「地域予防活動」を実践主導したいと考えている保健師さん達に、二の足を踏ませることになっているだけのことなのです。働き盛りの若い年齢で、「アルツハイマー型認知症」を発病する人たちが増えているとの誤った報道をしたのと同じ過ちを繰り返そうとしているのです。あー!嘆かわしや。 

 

     

& 空気ポンプの柄を押してやらないから、空気が出てこないだけ

自転車のチューブに空気を入れる「空気ポンプ」という機器があります。アルツハイマー型認知症は、空気をチューブに運ぶ紐状のゴム管の部分(脳で言えば、情報を伝達する神経線維や海馬の機能)に支障があるのではなくて、ポンプを押して空気を押し出してやる部分(脳で言えば、情報を処理し、発信してやる、「前頭葉」を含む脳の機能)に支障が起きてきたことにより、正常に働かなくなったことが原因で発病する病気なのです(生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもないナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続により、「廃用性の機能低下」が進行してきて、「前頭葉」を含む脳全体の機能が異常なレベルに低下していることが直接の原因で「認知症」の症状がでてくる)。

先日もあるテレビ局が、日本を含む最近の世界各地での「アルツハイマー型認知症」の治療薬の開発の動向などを特集していました。支離滅裂というか、糖尿病や心臓病の薬が「アルツハイマー型認知症」の治療薬として有望だとしてみたり、「大ボケ」の症状が発現している(「大ボケ」のレベルにまで「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルが低下した)お年寄りに対する介護に接する人たちの態度次第で(対応の在り方次第で)症状が回復する(言い換えると、「前頭葉」を含む脳の機能が回復する)かのような報道が為されていました。こんな報道がなされるたびに、「アルツハイマー型認知症」の予防を目的とした市町村の保健師さん達と地域のボランティアとの共同による「地域予防活動」への着手の決断の時期が遠のいて行ってしまうのではと恐れるのです。

 

注) 本著作物(このブログB-40に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。   

 

   エイジングライフ研究所のHP左の部分を「クリック」してください)

 

    脳機能から見た認知症(具体例をベースとしたもう一つのブログです)

 

        


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重度認知症(「大ボケ」)の段階にまで衰えた脳の機能が意味するもの  (B-34)

2015-04-15 | アルツハイマー型認知症の進行とその特徴

 衰えて  ここまで来たか  果てなのか 

     脳の機能は  もはや戻らず   By  kinukototadao 

  & プロローグ

私は、「アルツハイマー型認知症」を発病してはや8年になる老婆。73歳とはいえ、身体はとても元気です。元気がないのは、脳の方だけ。

お医者様から薬をいただいて、毎食後に3種類の薬を飲まされているようなのだけど、「どうも効いていないみたい」と家族が言ってるらしいの。最近は、季節感もなくなってきているうえに、昼夜の区別も次第にあやふやになってきている感じなの。この間も、畑に行って大根を抜いて来ようと思って、出ていこうとしていたら、「こんな夜中に、何処へ行く気なの?」って、娘に大声で叱り飛ばされたのよね。

これは、「重度認知症」(大ボケ)の段階にまで脳の機能が衰えて症状が進んだお年寄りのことを戯画風に書いてみたのですが、彼女の脳では、こんな風に考えること/或いは、自分の状況を理解することはもはや不可能なことなのです。

折々に口を突いて出てくるそれらしい言葉も、折々の場面で表面に現われる態度も仕草も、自分が置かれているその状況を理解できて発している訳のものではないのです。「前頭葉」を含む脳の異常な機能低下が故の言動だとは知らないで、施設で働く人達が、暴力をふるったりすることがあるのだけど、マスコミがそれを単なる暴力事件として報道してしまうのです。

 & 「アルツハイマー型認知症」は治すことが出来ない病気と言うのは、ウソ(「治せない段階」で見つけているだけ)

このブログのN0-132では「軽度認知症」(小ボケ)について、N0-133では「中等度認知症」(中ボケ)について解説しました。今回のN0-134では末期の段階である「重度認知症」(大ボケ)について解説します。色々な種類がある認知症の中でもその大半を占める認知症、私たちのデータでは90%以上を占めるのが、この「アルツハイマー型認知症」と言うタイプの認知症なのです。高齢化率が我が国全体で25%にも達している現在、このタイプの認知症を発病している人をいたるところで日常的に見かけているはずなのです。高齢化率が30%を超えた田舎に住んでおられる方なら誰でも体験されているように、役場の拡声器が「徘徊して行方が分からなくなったお年寄りを見かけたら通報してほしい」とのお願いの放送を聞くのが、日常茶飯事になってしまうのです。

高齢化率がこの先さらに高くなっていく予想の下で、発病者の総数自体も更に多くなっていくはずなのです。「アルツハイマー型認知症」は、60歳を超える年齢の「高齢者」のみを対象として発病し、発病後の症状は緩やかにしか進行していかず、且つナイナイ尽くしの単調な生活が継続されている中で(身体が持つ限り)更なる「重症化」が進行していくのが特徴なのです。

ところが、この「アルツハイマー型認知症」については、世界中の認知症の専門家とされる人達(医師、学者、製薬会社の研究者達)からは、「発病の原因もわからないし、発病を予防することも出来ないし、治すことも出来ない」とされているのです。それは以下に説明するように、真っ赤なウソ。「見つける段階が遅すぎる」ことが原因で、治すことが出来ていないだけなのです。廃用症候群に属する単なる生活習慣病に過ぎない「アルツハイマー型認知症」は、発病自体を予防することも出来るし、早期の段階で見つければ、「脳リハビリ」によって治すことも出来るのです(ここを「クリック」してください)。

    

「アルツハイマー型認知症」は、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもない、言わばナイナイ尽くしの「単調な生活」が日々継続される「生活習慣」を条件として、60歳を超える年齢の「高齢者」だけを対象として発病する病気、廃用症候群に属する単なる生活習慣病であることを、「二段階方式」の活用により集積してきた「脳機能データ」を基礎として主張し、且つ、市町村での「地域予防活動」として実践してきた実績を有するのは、世界中で私たちだけなのです。世界中の認知症の専門家とされる人達の誰も、どの医療機関や研究機関も、「アルツハイマー型認知症」のことが少しも分かっていないのです。それでいて、(如何にも分かっているらしく)死亡後の脳の解剖所見を基礎としたアミロイド・ベータ説だとか、タウ蛋白説だとか、脳の委縮説だとかが主張されているのです。過去には、アセチルコリン説とか言うのもあったのですが。発病との「因果関係」の立証が未だに為されていないこれらの仮説も、方丈記に表現されるような「よどみに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたるためしなし」と同じ運命をたどることになるのです。

我が国には、65歳を超える高齢者が3000万人もいるというのに、これだけ価値のある内容のブログをこうして無償で公開しているのに、哀しくなる程僅かな人達しかこのブログを読んでくれていないのです。私たちの周りにも、「NHKが言っている方が正しいと思うわ」と面と向かって公言する人もいるのです。日本人は、権威主義的な人が多いのでしょうか。認知症の専門家とされる人達でさえ、記載内容に根本的で、且つ重大な誤りがある米国精神医学会の「アルツハイマー型認知症」の診断規定であるあの「DSMー4」の規定を、世界最高の権威があるというだけで盲信して疑おうともせず、診断の根拠にしているのですから。でも、早ければあと1年、遅くてもあと2年もすれば、私たちの主張が正しいことが、「疫学的に実証される日が来る」ことになるのです。日々の生き方、或いは、脳の使い方としての「生活習慣」を見直して、あなたの脳が、「前頭葉」が生き生きと働き活性化するような「テーマ」を是非見つけていただきたいと切に願うのです(ここを「クリック」してください)。

   

3000万人にも上る第二の人生を送っている「高齢者」達が、趣味や遊びや社会活動や運動などの「テーマ」、自分なりの目標のある生活、自分なりに生き甲斐が覚えられる生活を追及してくれれば、それだけで多くのお年寄りは、「アルツハイマー型認知症」の発病を避けることが出来るのです。そうなれば、「介護保険制度」の財政面からの破たんと言う問題も回避することが出来るので、大ボケの段階にまで症状が進んだ{「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)を含む脳の機能が衰えた}お年寄りを家族が介護するという政策(「家族介護」の制度化)、誤った政策を採用しなくて済むのです。

ところで、「アルツハイマー型認知症」が治せないと言われているのは、見つける段階が遅すぎることが原因なのです。米国精神医学会の診断規定である「DSM-4」の基準に基づいて、且つ、それに規定されている「第一の要件」(記憶の障害)並びに「第二の要件」(失語、失認、又は失行)等の症状の確認を基礎として診断するので、言い換えると末期の段階の症状が確認されないと「アルツハイマー型認知症」であるとは考えないのです。見つけている段階が「末期の段階」の症状を基礎としているから、「せっかく見つけても治らない、つまりは、治せない」のです。その上、肝心の脳リハビリを実践させないで、効きもしない薬を何種類も飲ませていることにも治せない原因があるのです。「大ボケ」では無理なのですが、本当の意味での早期の段階(私たちの区分で言う「小ボケ」及び「中ボケ」までの段階)で見つけて、更には、(「家族」の協力と支えを条件として)「脳のリハビリ」を日々密に実践させることによって、「前頭葉」を含む脳の機能を正常なレベルに回復させることが出来るのです(「アルツハイマー型認知症」を治すことが出来るのです)。「治らない病気」と言うのは、ウソ。見つけている段階が遅すぎるだけなのです。

   

 そのデータと実践活動の実績とを基礎として、私たちは、「東日本大震災」の被災地の高齢者たちの間で、「アルツハイマー型認知症」を発病する人達が激増すると予告し、何等の対策も打たれないままに放置されたままで居るとその後は、「発病者数」の大規模な増加と「症状の重症化」とが同時に並行する形で進行していくことを警告し、警鐘を鳴らしてきてもいるのです。

 60歳を超える年齢のお年寄り達が、その被災を「キッカケ」として、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」に陥っていき、その「単調な生活」が継続されたままで居ると、「前頭葉」を含む脳の機能が廃用性の加速度的な機能低下を起こしてきて、「前頭葉」の機能が異常なレベルに衰えてきたところで「アルツハイマー型認知症」を発病することになるからです(ここを「クリック」してください)。 

 震災発生後丁度4年がたった現在では、発病した人達の大半は、私たちの区分で言う「小ボケ」の段階に在る人達が占めることになるはずなのですが、この先症状の重症化が進んで「中ボケ」の段階以降に在る人達が激増して来ることになるはずなのです。その時、初めて、認知症の専門家とされている人達が、大騒ぎすることになるのです。その時期は刻一刻と迫ってきているのです(発病後の症状の各段階、小ボケ、中ボケ、大ボケの滞留年数の基準については、ここを「クリック」してください)。

(コーヒー・ブレイク) 世間で認知症の専門家とされる人たちは、皆さん、「アルツハイマー型認知症」の症状について、誰かが最初に区分した、中核症状と周辺症状という二つに区分するだけなのです(それ自体には何の意味もなく、単に区分してあるだけなのです)。しかもその中心となるのは記憶の障害という考え方なのです。私たちは、回復させることが可能かどうかという視点から三つの段階に区分しています。「小ボケ」は、脳のリハビリ(「前頭葉」を含む脳全体を活性化させる脳の使い方としての「生活習慣」の改善)によって脳全体を正常な機能レベルに回復させることが容易な段階であり、「中ボケ」は、脳のリハビリによって脳全体を正常な機能レベルに回復させることが未だ可能な段階であり、「大ボケ」は、もはや回復させることが困難な段階のことなのです。三つの区分には、このように極めて重大な意味があるのです。そして、各段階ごとに特有な症状を例示列挙しているのです。

発病のメカニズムについての理解のレベルだけでなくて、症状自体についても理解のレベルが異次元という程に異なるのです。名医の触れ込みで、或いは認知症の権威とかの触れ込みで、テレビに登場する人達は皆さん全員、分かったらしくこの中核症状と周辺症状という二つの分類を使った説明の仕方を行い、「記憶の障害」が第一義的な要件であるかの発言を繰り返すのですが、そうした発言や説明を行う人達は、肩書は置いておくとしても、「アルツハイマー型認知症」については何も分かっていない人達なのです。

    

そして、「中ボケ」の段階にまで症状が進んできても、単なる老化現象と勘違いしたままで居て、脳のリハビリを実践させないでそのまま放置し、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続されたままの状態でいると(効きもしない薬を飲ますだけの対応を含む)、「前頭葉」を含む脳の廃用性による加速度的な機能低下が更に進行していくことになるのです。脳機能の加速度的で異常な低下の進行を直接反映する形で、認知症の症状の重症化が進んでいくのです。その先末期の段階の「大ボケ」の段階にまで症状が進んで行くとは言っても、(認知症が原因で死を迎えることにはならないので)身体が持つ限り、(大ボケの段階の症状にも、症状の重さの段階があるので)、症状が更に進んでいくことにもなるのです「アルツハイマー型認知症」は廃用症候群に属する単なる生活習慣病に過ぎないので、何らかの他の病気で死を迎えることになるまで、且つ「大ボケ」の段階に区分される症状の中で、更なる症状の重症化が進んでいくことになるのです)。

 我が国ではすでに、「老老介護」とか、「認認介護」とかの言葉が社会的に認知されてきている状況にありますが、(治すことはすでに困難な)大ボケの症状が発現しているお年寄りを、「家族」が介護するというような政策の愚だけは、絶対に避けていただきたいと願うのです。 

& 末期の段階、回復させることが困難になる「大ボケ」の段階とは

「大ボケ」の段階にまで脳の機能が衰えた場合に発現してくる認知症の症状は、以下のようなものになります【私たちが類型化している「重度認知症」(大ボケ)に特有な症状を列記しておきます】。

 ☆この段階になると、脳の機能としては、「前頭葉」の三本柱の機能である意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能が加速度的に衰えてきたことによる「前頭葉」の各種個別機能の更なる衰えにより、「前頭葉」の機能がわずかにしか機能していない(殆ど機能していないような状態)に加えて、「左脳」や「右脳」や「運動の脳」の機能も更に異常なレベルに衰えてきています。「大ボケ」の段階で発現するその症状は、トータルの「脳機能」レベルのアウトプットとしての「症状」を示しているのです(「前頭葉」の機能レベルを精緻に判定することが出来る「二段階方式」のような神経心理機能テストによって、「前頭葉」の機能が異常なレベルであることが確認されることを前提としてのことになりますが、「3つ以上」に該当していると、「大ボケ」のレベルとなります)。

□ 着ている服を脱ぎたがらず、便で汚れた下着をそのまま平気で着ている

□ 風呂に入るのを嫌がる

□ 服を正しく着られず、ズボンを頭からかぶったり上着に足を通したりする

□ 家族の名前を間違えたり、子供を配偶者と間違えたりする

□ 食事やあいさつをしたことなど直前に起きたことをすぐに忘れてしまう

□ 家庭生活に全面的な介助が必要(食事、入浴、排泄)

□ 自宅に居ても落ちつかず、出て行きたがる

□ 大小便を失敗しても、後の処置ができない(大小便で汚れた下着を、押し入れなどに隠すようなこともあります)

□ 自宅の方向が、たびたびわからなくなる

□ 同居している家族の名前も顔もわからない(家族かどうかも分からない)

□ 今は昼なのか夜なのかがわからなくて、夜中に騒ぐ(夜中に起きてくる、家中の電気をつけて回る、会社に行くとか田んぼに行くとか言い張る)

□ 痛んだものを平気で食べ、食べ物でないものを口にする

□ 独り言や同じ言葉の繰り返しが目立つ

□ 誰も居ないのに「人が居る」と言ったりする 

 「アルツハイマー型認知症」は、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルのアウトプットそれ自体が認知症の症状として発現するもの

「アルツハイマー型認知症」と言うタイプの認知症は、肝心の脳の働きが持たないのに、身体が持つのが特徴なのです。「アルツハイマー型認知症」は、廃用症候群に属する単なる生活習慣病に過ぎないので、他の何らかの病気が原因で死を迎えることになるまで(言い換えると、身体が持つ限り)、症状は進んでいくのです。

「前頭葉」を含む脳の機能レベルのアウトプットそれ自体が認知症の症状となって発現してくるのが「アルツハイマー型認知症」と言う病気なので、出番が極端に少ない生活状況の下で「脳の機能」が衰えていくにつれて症状が重くなっていくのです(「前頭葉」を含む脳全体で考えて、「意識的に何かをする」ことが次第に困難になっていくのです)。考えることだけでなくて、身体を動かすことさえも出来なくなっていき、最後は、植物人間のようになっていくのです。「アルツハイマー型認知症」と言うのは、「前頭葉」を含む脳全体の「機能レベル」(働き具合)それ自体の直接のアウトプットが認知症の症状(脳の機能レベルに応じた段階的な症状)として発現してくるのが特徴なのです。

   


その場合、最初に脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」だけが廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させていき、その状態が同時進行しつつ、左脳、右脳、運動の脳の順番に機能低下を進行させていくのです。更に詳しく言うと、「アルツハイマー型認知症」は廃用症候群に属する「生活習慣病」を本質とするので、脳が衰えていく順番があるのです(実は、MMSのテストを何万例も実施して解析してみると、「下位項目」のできなくなっていく「明確な順番がある」ことが分かるのです)。

小ボケ、中ボケ、大ボケと症状が進んでいく中で、それぞれの段階では、どの脳の機能がどれくらいのレベルに衰えてきているかと言うことが極めて重要なのです。外観から、記憶障害の症状を観察して診断しているだけでは、何の役にも立たないのです。回復させることが困難になる末期の段階である「重度認知症」(大ボケ)の症状が発現してくる場合には、その視点が特に重要となります。「前頭葉」の機能がらみの状況の判断も理解も出来なくなっていて、「左脳」の機能がらみの言葉の理解も表現も、言葉を介した意志疎通が困難になってきている状態の下で、感情の脳である「右脳」と運動の脳だけが未だそれなりに働く脳の機能状態での言動や態度を深く理解した対応が求められることになるのです。「施設」等で介護の職に従事している人達には、「大ボケ」の段階にあるお年寄りの取扱上、この視点と知識と理解とが不可欠のものになるのです。この視点と理解が足りないと、「介護する側」の人までもが感情的な対応をするようになって、「暴力沙汰」が起きてしまうことになるのです。

「小ボケ」の段階における脳の働き具合

「アルツハイマー型認知症」は、日常生活を送る中で出番が極端に少ないため(使われる機会が少なすぎる)「廃用性の機能の低下」が起きてくることが原因の病気であって、老人斑の生成とか神経原線維変化等の器質の変化が起きてくることが原因の病気ではないのです。私たちは、老人斑の生成とか神経原線維変化等の器質の変化は、「廃用性の機能の退化」の進行の副産物(「結果」)だと考えています(ここを「クリック」してください)。

認知症の初期の段階である「軽度認知症」(小ボケ)は、「左脳」と「右脳」と「運動の脳」は機能が全て未だ正常なレベルにあるのですが、脳全体の司令塔である「前頭葉」の働きだけが異常なレベルに衰えてきているのです。

 そのため、「前頭葉」の機能の中で最も基礎的で且つ重要な働きであり、意識の構成要素に対する「認知度」或いは「前頭葉」の各種個別機能の「発揮度」を左右している「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」が的確、且つ十分に働かなくなっているのです。その結果、行為の目的であるテーマ自体とテーマの中身を構築している構成要素に対する認知機能が正常なレベルで働いていないのです。更には、認知している各構成要素の内容について、「記銘」、「保持」及び「想起」の機能の発揮も不十分なものとなっているのです。簡単に言うと、日常の「社会生活」面で発生してくる種々のテーマを実行するのに必要となるレベルでの認知機能が十分機能していないのです。こうした条件下で行われるため、状況の判断、実行テーマの計画と内容の工夫、機転や見通し及び決断等が的確にできなくなるのです。こうした事態は、「空気ポンプ」に例をとって説明すれば、空気をチューブに送る役割のゴム管部分に支障があるからではなくて、チューブに空気を送り込む働きをするポンプの部分の機能がちゃんと働いていないせいなのです(ここを「クリック」してください)。

「中ボケ」の段階における脳の働き具合

「中等度認知症」は、脳の司令塔である「前頭葉」の働きが「軽度認知症」のときより更に異常なレベルに加速度的に衰えてきている上に、「軽度認知症」のときは未だ正常だった「左脳」と「右脳」の働きも異常なレベルに衰えてきていて、脳全体の働き具合が異常なレベルになっています。「中等度認知症」(中ボケ)の脳の働きは、(4~6歳児)のレベルと考えて下さい。

意識の認知度を左右する意欲、注意集中力と注意分配力が「軽度認知症」のレベルよりも更に不十分にしか働かなくなります。その結果、認知それ自体とその記銘、保持及び想起の機能の発揮が更に不十分なものとなります。左脳がらみの論理的思考や計算、或いは言葉に対する理解や判断力、更には右脳がらみの色や形や時間や空間などに対する認知能力にも支障が出てきています。状況の判断、物ごとの理解や見通し等の判断が「幼稚園児」の程度となる結果、「家庭生活」にトラブルが起きてくるようになります。「家庭生活面」で支障が出てくるとは言え、食事、大小便、入浴など身の回りのこと(セルフケア)は自分で一応できるので、家族に迷惑をかけることはあまりないのです。

 「中ボケ」になると、食器の片付けや、洗濯物の取り込み、庭の草むしりといった、家庭内の簡単な用事程度のこともちゃんとできなくなります。「4~6歳の幼児」がやる程度にしかできないのです。せっかく洗ってくれたお茶碗はもう一度洗いなおさないといけないし、庭の草取りをしてもらうと花の苗まで抜いてしまいます。この程度にまで脳の機能が衰えてきていても、「重度の記憶障害」の症状が出てきていないと、家族が病院に連れて行っても、認知症とは診断されないのです。

 ☆「中ボケ」のイメージは、家庭内の簡単な用事程度のこともちゃんとできないのに、口だけは一人前、「言い訳の上手い幼稚園児」が特徴です。

 「大ボケ」の段階における脳の働き具合

「中等度認知症」(中ボケ)の段階になっても手をこまねいていて、相変わらずナイナイ尽くしの「単調な毎日」を送っていると、脳全体の廃用性の機能低下が更に加速度的に進んでいきます。「アルツハイマー型認知症」の末期の段階である「重度認知症」(大ボケ)は、「前頭葉」を含む脳全体の働きが「中等度認知症」の段階よりも更に異常なレベルに衰えてきています。左脳と右脳の働きも、幼稚なレベルの機能が残っている程度である上に、脳の司令塔の「前頭葉」は殆ど機能しなくなっています。そのため、意識の認知度を左右する「意欲」、「注意集中力」と「注意分配力」がほとんど働いていない状態なのです。「重度認知症」(大ボケ)の脳の働きは、(3歳児)以下のレベルと考えて下さい。「前頭葉」、左脳、右脳の機能の衰えが進行していく中で、MMSの得点が一桁の点数になってから、「運動の脳」も異常なレベルに衰えてきて、重度認知症の症状が更に進行していくのです。 

医師達が「アルツハイマー型認知症」の初期と考えている段階、それは私たちの区分で言う「重度認知症」(大ボケ)の段階の中での前期(「前頭葉」の機能が異常なレベルにあって、 MMSの得点が換算値で14点以下10点までの範囲)では、脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」がほとんど寝たきりの状態になっているため、これまでの人生で何度となく体験して体に浸み込んでいるような「言葉」や「テーマ」或いは「状況」に対しては或る程度の対応ができるのですが、折々に直面する新しい状況や体に浸みこむほどの経験がないテーマに対しては、理解することも対応することもできないのです。そして、MMSの得点が換算値で10点を切り一桁の得点になってくると、(この段階になって初めて)「DSM-4」が「第二の要件」として規定する失語や失行や失認などの症状が確認されるようになるのです。「DSM-4」が規定する「第二の要件」が権威を持っている限り、回復させることが可能な早期の発見はあり得ないのです。医療の現場で、認知症の専門家とされる医師達が、せっかく見つけても回復させることが困難な段階でしか「アルツハイマー型認知症」を見つけることが出来ないのは(見つける段階が遅すぎるのは)、この要件が医師達の間で今もなお、権威をもっているからなのです。

医師達が「アルツハイマー型認知症」であると診断する第一の要件である「重度の記憶障害」の症状は、「認知」それ自体と「記銘」、「保持」及び「想起」の機能が極めて不十分にしか働かない為に起きてくるものなのです。脳の司令塔の「前頭葉」は、殆ど働かなくなっている上に、左脳や右脳や運動の脳も極めて不十分にしか働かない「大ボケ」は、その初期の状態であっても自分の身の回りのことをする「セルフ・ケア」にも支障が出てきます。食事をしたり、服を着たり脱いだり、お風呂に入ったり、トイレの後始末をしたりといった、身の回りのことも自分でできなくなり、日常生活に「介助」が要るようになるのです。「記憶の障害」を診断の第一の要件に規定し、「失語、失行又は失認」の症状の確認を要求する「DSM-4」の規定は、根本的な過ちを犯していることがお分かりいただけるでしょうか。権威は世界最高なのかもしれないけど、規定の内容には誤解に基づく重大な過ちがあることを強く指摘しておきたいのです。

先に列記した「大ボケ」の症状を詳細に観察し、「前頭葉」を含む脳の機能及びその機能レベルと言う視点からこれを見れば、及び深く分析してみれば、私たちの指摘が正しいことを理解できるはずなのです。その本質は廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」であり、脳を活性化させる自分なりの「生活習慣」(その「テーマ」を自分なりに実行/或いは実践することによって、意欲や注意の集中力や注意の分配力の機能を使う機会が多くなり、ひいては達成すべき「目標」の設定と実行とにつながり/或いはそうした「生活を継続」する中で、自分なりの「生き甲斐」を覚えることができるような日々の生活の継続を言います。あなたが「第二の人生」を送っていて、且つ60歳を超える年齢の「高齢者」であれば、「仕事」とは無関係なはずです。趣味や遊びや人付き合い、運動、或いは社会活動や社会奉仕と言った分野で自分なりの「テーマ」を見つけるのです。)を構築し実践することによって発病自体を「予防」することが出来るし、早期発見(私たちが区分する早期の段階である「小ボケ」及び「中ボケ」の段階)によって、且つ「脳のリハビリ」を実践させることによって、「治す」ことも出来る(「前頭葉」を含む脳全体の機能を正常なレベルに回復させることが出来る)病気なのです(ここを「クリック」してください)。

 但し、「大ボケ」の段階にまで症状が進んでしまっては、もはや手の打ちようがないのです。もはや治すことは困難であって、身体が持つ限り症状はさらに進んでいくことになるのです。とは言え、この「大ボケ」の段階にまで進んでしまった人達こそ、介護する家族の人生をなくしてしまうような「家族介護」に頼るのではなくて、「介護保険」で対応すべきだと私たちは考えるのです。

 最近は、認知症のお年寄りの介護の相談を無償で実施するようなコンビニが出現してきています。「アルツハイマー型認知症」の発病の「予防」を目的とする「地域予防活動」を市町村が小さな地域単位で実践し、「早期発見と脳のリハビリの指導」を調剤薬局やコンビニが実践する社会を実現することが超高齢化社会を支える重要な施策となると考え、その実現に向けて微力ながら尽力していきたいと考えているのです。「前頭葉」を含む脳の機能レベルを精緻に判定するには、「二段階方式」のような神経心理機能テストの活用が不可欠となるのですが、神経心理機能テストの使用は「保険点数」が極めて低くて必要な規模の売り上げ確保に貢献できないので、医療機関が使用したがらないのです。医療機関は、「前頭葉」の機能レベルの精緻な判定には役に立たなくても、保険点数が極めて高くて売り上げの確保に大きな貢献ができるCTとかMRIとか、果てはPETとかまでを使用したがるのです。その上、回復させるうえで必要不可欠である「脳のリハビリ」を指導しないで、(治すことは出来ないが、症状の進行を遅らせる効果を期待できるかもしれないとかいう)効能が疑われる「薬」を何種類か処方するだけなのです。医療機関/医師の社会的責任/或いは社会的使命というプライドは、何処かに置き忘れられてしまったとでもいうのでしょうか。あー、哀しいかな。

  注)本著作物(このブログB-34に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

 エイジングライフ研究所のHP左の部分を「クリック」してください)

  脳機能から見た認知症(具体例をベースとしたもう一つのブログです)


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アルツハイマー型認知症の症状が進行(悪化)する原因とその特徴 (B-05)

2014-03-01 | アルツハイマー型認知症の進行とその特徴

    

  日も月も 季節も知らぬ わが妹は

    明日は我が身と じっと手を見る(5)  

                                                                     By  kinukototadao

 ○アルツハイマー型認知症の症状の悪化と脳が衰えていく順序

「アルツハイマー型認知症」の場合は、昨日まで正常で、趣味や遊びや人付き合いを楽しめていたお年寄りが、一夜明けたら「服を自分で着られなかったり」、「自分の家が分からなかったり」、「家族の顔が分からなかったり」は、しないのです。ここに取り上げたような「症状」は、「アルツハイマー型認知症」の(回復が困難な)末期の段階のみに見られる症状(私たちの区分で言う「重度認知症」の段階の症状)であって、ここまで症状が進んでくる(悪化してくる)もっと前の軽い段階があるのにそれが見逃されているのです(回復が容易な「小ボケ」の段階及び回復が未だ可能な「中ボケ」の段階を認知症の専門家とされる人達が見落としているだけ)。

 認知症の大多数90%以上を占めていて、専門家達から、「原因も分からないし、治らない」とされている「アルツハイマー型認知症」(「老年性アルツハイマー病」とも言う)というタイプの認知症は、「何年もかけて、症状が徐々に、段階的に進行していく」(「段階的症状」を示す)のが特徴なのです。特定の遺伝子に生まれつき異常がある人だけが発病する「狭義のアルツハイマー病」とは、進行度合いが全く違うし、発病のメカニズム自体も全く異なるものなのです。

精神科医が「アルツハイマー型認知症」の「初期の症状」と言っているものは、私たちの区分で言う「重度認知症」(大ボケ)の段階の中での初期の症状(MMSの換算値で14~10点のレベル)のことなのです。本当の意味での初期の段階(「小ボケ」と「中ボケ」)ではなくて、「大ボケ」の段階の中での初期のことを言っているに過ぎないので、そこまで「前頭葉」を含む脳の機能レベルが衰えてきていると、「せっかく見つけても、治らない(脳の機能を正常なレベルに回復させることができない)」ことになるのです。治らない段階で見つけて何の意味があるのかと言いたくなるのです。回復させることが可能なもっと軽い段階の「小ボケ」や「中ボケ」の段階の症状(本当の意味での「初期症状」)については、「認知症のレベルと回復の可能性」に関する脳の機能レベルとリンクしたデータの開示も含めて、これまでのこのブログで既に、詳細な説明をしています。

    

「前頭葉を含む脳全体の働き具合」(脳の機能レベル)とリンクした「認知症の症状」(段階的症状)についての極めて多数に上るデータの解析結果から、「アルツハイマー型認知症」は、加齢による脳の老化(60歳を超える年齢の「高齢者」であること=正常老化による「前頭葉」の機能低下)を「第一の要件」とし、「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)を含む脳を使う機会が極端に減少するナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続による廃用性の機能低下「第二の要件」として、両者の「相乗効果」により、「脳機能の加速度的な機能低下」が惹起され、「前頭葉」を含む脳の機能が異常なレベルに低下していくこと(機能の低下と退化)が直接の原因で認知症の症状が発現し、或いは重症化していく病気だと私たちは考えているのです。

言い換えると、「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症は、60歳を超えた年齢の「高齢者」だけを対象として発症する「廃用症候群に属する単なる生活習慣病」であると私たちは考えているのです。なお、ここで私たちが言う「生活習慣」とは、脳の健康という視点、「脳の使い方」という視点と意味での「生活習慣」を言うことに注意してください。従来型の、運動や食事という視点で言う身体の健康を維持するための生活習慣とは全く異なる視点と意味で使っている、皆さんに新たな視点を提供し、問題を提起する意味で使っているのです。

           

私たちが区分する「軽度認知症」(小ボケ)の段階(私たちの基準で言うところの「かなひろい」テストが不合格で、MMSの換算値が24点~30点)では、左脳、右脳及び運動の脳の働き具合は未だ正常なレベルにあるのですが、脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」の働き具合だけが、もはや正常なレベルにはなくて「異常なレベル」に衰えてきているのが特徴なのです。「アルツハイマー型認知症」の場合は、このように、「前頭葉」の働きだけが衰えていくことから認知症の初期の症状が発現してくるのが特徴なのです。

米国精神医学会の診断基準である「DSM-4」の規定のように、「失語」、「失行」、「失認」という末期の「重度認知症」の段階の更に終盤の段階にならないと発現することがない極めて「重度の症状」及びそれとリンクした極めて重度の「記憶の障害」(ex.直前に食事をとったことさえも忘れている、覚えていられないような症状がよく挙げられます)を診断の要件としていたのでは、このような「本当の意味での初期の段階」の症状を見逃してしまうことになるのです。

  

なお、この「軽度認知症」(小ボケ)の段階では、脳の器質的な変化は未だ起きてきていなくて、「機能レベルの異常な低下」(機能の低下)が起きてきているに過ぎないのです。理由は、この初期の段階で発見できれば、「脳のリハビリ」(脳の活性化を目的とした、脳の使い方としての「生活習慣」の改善)によって、脳の機能は「正常な機能レベル」に比較的容易に回復させることが出来るからです。

更に、「中等度認知症」(中ボケ)の段階(私たちの基準で言うところの「かなひろい」テストが不合格で、MMSの換算値が15点~23点)では、左脳と右脳の働き具合も異常なレベルに衰えてくる上に、司令塔の「前頭葉」の働き具合は、「軽度認知症」(小ボケ)のときに比べて更に異常なレベルに衰えてきていることに注意が必要です。なお、このレベルでも、MMSの換算値が20点以上を確保できている「中等度認知症」(中ボケ)の前期までの段階であれば、脳の器質的変化は未だ起きてきていなくて、機能レベルの異常な低下(機能の低下)が起きてきているに過ぎないのです。理由は、この段階で発見できれば、個別の周密なものではなくて集団生活レベルでの「脳のリハビリ」によってでも、「前頭葉」を含む脳の機能を正常なレベルに回復させることが未だ可能だからです。

ところが、MMSの換算値が15点から19点までの「中等度認知症」の後期レベルにまで脳の機能が衰えてくると、個別での頻度と密度の濃い「脳リハビリ」を取り入れることにより、回復させることが未だ可能ではあるのですが、家族を含めた支援態勢と相当な条件下での脳リハビリの実施という困難が伴うことになるのです。

  

そして末期の段階である、「重度認知症」(大ボケ)の段階(私たちの基準で言うところの「かなひろい」テストが不合格でMMSの換算値が14点以下)では、左脳、右脳と運動の脳の働き具合が「中等度認知症」のときに比べて更に異常なレベルに衰えてきている上に、司令塔の「前頭葉」の働き具合は、「中等度認知症」のときに比べて更に加速度的に機能が衰えてきていて、殆ど機能しなくなっているのです。従って、MMSの換算値が14点から10点へと低下してくるにつれて、徐々に器質的変化が現れて来ると考えられるのです。特に、失語や失行や失認などの症状が発現するようになる段階、MMSの換算値が9点以下のレベルでは、顕著な器質的変化が起きてきていると考えられるのです。その理由は、この末期の「重度認知症」の段階では、脳のリハビリによる機能の回復の効果が殆ど期待できなくなってしまうからです。  

「アルツハイマー型認知症」の専門家といわれる学者や研究者や医師たちは、前述した「DSM-4」の規定に依拠して判定(診断)を行う為に、回復させることが困難なこの末期段階の「重度認知症」(大ボケ)の段階だけを捉えて「アルツハイマー型認知症」であると判定(診断)しているのです。そのため、本来は機能レベルの異常な低下(~退化)が本質なのに、器質的変化を起こしていることが「アルツハイマー型認知症」の本質であると本質を見誤っているのです。

  

〇 「アルツハイマー型認知症」の発病原因に関する種々の学説(「仮説」)

「アルツハイマー型認知症」は、「前頭葉を含む脳全体の働き具合」の直接のアウトプットが認知症の「症状」の程度・態様として発現してくるだけなのです。学説が主張しているような、失語や失行や失認などの極めて重度の症状が発現するまでに「前頭葉」を含む脳全体の機能が衰えてしまい、且つそうした期間が何年間も続いた人の死後の脳の解剖所見に挙げられる3つの特徴である「老人斑」の生成と関わりがあるアミロイド・ベータが原因でもないし(アミロイド・ベータ仮説)、「神経原線維変化」と関わりがあるタウ蛋白が原因でもないし(タウ蛋白仮説)、「脳の委縮」が原因でもない(脳の委縮仮説)のです。

私たちが3つに区分する「前頭葉を含む脳全体の機能レベル」(「小ボケ」、「中ボケ」及び「大ボケ」の段階)を発症の直接の原因として、そのレベルに対応して、3つの段階に区分されるその機能レベルに特有な症状としての「段階的な症状」(「小ボケ」の段階の症状、「中ボケ」の段階の症状及び「大ボケ」の段階の症状)が発現してくるだけなのです。

「脳の機能レベル」が「症状」の程度態様と直接リンクしている訳なので、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルの異常な低下(機能の低下/退化)がもっと軽い段階から、症状の進行を段階的継続的に変化移行していくものとして理解し捉えて、データを集積し分析することが、的確な判定や診断に必要不可欠となるのです。この世界では世界で最高の権威があるとは言え、定義の内容自体に重大な誤りがある「DSM-4」の「診断基準」を金科玉条としていたのでは、いつまで経っても、「アルツハイマー型認知症」の原因を解明することも、的確な診断を行うことも、回復させることが可能な本当の意味での初期の症状を見つけることもできないというのが専門家達に対する私達からの問題提起なのです。

   

〇 アルツハイマー型認知症の本当の意味での「初期症状」とは

  「アルツハイマー型認知症」の初期(最初)の段階であり、私達の区分で言う「軽度認知症」(小ボケ)は、左脳と右脳と運動の脳のいづれもが未だ正常な機能レベルにあるのですが、脳全体の司令塔である「前頭葉」の働きだけが異常なレベルに衰えてきているのです。その場合、「前頭葉」の機能のうち最も重要で基礎的な機能である「三本柱」の機能としての「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の機能が的確に発揮されなくなるのです。この「三本柱」の機能の衰え具合の相乗効果としての「前頭葉」の各種機能の働き具合い、具体的には、自発性、観察、分析、考察、洞察、推理、理解、興味、関心、発想、企画、計画、創意、工夫、予見、シミュレーション、修正、整理、機転、抑制、忍耐、感動及び判断など、「前頭葉」の高度な各種の認知機能が発揮される対象となる情報の処理や思考の際の「認知度」及び「発揮度」が、「三本柱」の機能の衰え具合に左右されているのです(「前頭葉」の各種の機能が発揮される上での「二重構造」の問題)。その結果、「小ボケ」の段階では、この「三本柱」の機能が異常なレベルに衰えてきていることの機能障害を示す症状が「小ボケの症状」として特徴的に現れてくるのです。私たちの意識的な世界での思考や行為や言動や行動はすべて、脳全体の司令塔である「前頭葉」が、左脳、右脳及び運動の脳を支配しコントロールしつつ、常にそれらと協働して実行されているので、左脳、右脳及び運動の脳のいづれもが未だ正常な機能レベルにあろうとも、司令塔の「前頭葉」の機能が異常なレベルに衰えている限り、そのアウトプットは異常なレベルのものになってしまうのです。言い換えると、「小ボケ」の段階で発現してくる症状は、老化現象ではなくて、認知症の症状なのです。

 「アルツハイマー型認知症」としての「認知症の症状」が現れてくる最初の段階である「軽度認知症」(小ボケ)の段階で認められるそれらの症状は、「DSM-4」が言うようなレベルの重度の「記憶障害」の症状とは全く関係が無いのです。「意欲や注意の集中力や注意の分配力」など、「前頭葉」の機能の根幹(基礎)をなしていて、「前頭葉」の各種の高度な機能の「認知度及び発揮度」を左右している「三本柱の機能」が異常なレベルに衰えていることが、「アルツハイマー型認知症」の初期症状として直接現れてくるだけなのです。つまり、私たちの区分で言う「軽度認知症」(小ボケ)の段階では、「前頭葉の「三本柱」の機能ともいうべき「意欲、注意の集中力及び注意の分配力」の機能障害の症状が「認知症の症状」として現れてくるだけということなのです。勿論、「左脳も右脳も運動の脳」も未だ正常な機能レベルにあるこの段階では、「DSM-4」が第二の要件として規定している「失語や失行や失認」などの極めて重い症状は、そのカケラさえも認められないのです。

 「三本柱」の機能が異常なレベルに衰えた影響が、発想や企画や計画や洞察や推理やシミュレーションや判断や機転や感動や抑制といった「前頭葉」の各種機能の「認知度」及び「発揮度」に影響するために、対象となる情報や思考の認知及び記憶(記銘やその保持や想起)並びにそれらの処理の面でも、関係する各種機能の発揮が不的確で不十分なものとなるのです。その結果、的確な状況の判断、発想、計画、創意、工夫、機転といった機能、或いは的確な見通しや意思決定などが要求される、「社会生活」の面で、程度や態様を含む種々の支障が出てくるようになるのです。その結果、「小ボケ」の段階では、「社会生活」面での種々のトラブルが生じてくるようになるのです。

勿論、この段階では、「家庭生活」の面にも「セルフケア」の面にも何の支障も起きてはきません。それぞれの段階で必要とされる「前頭葉を含む脳の機能のレベル」が異なるからなのです。                                                                                                                                             

  

〇 「軽度認知症」(小ボケ)の中核的な症状とその特徴

「小ボケ」レベルでの「中核的な症状」の特徴を挙げると、次の5つの要素を中核とする種々の症状が、「社会生活」のいろいろな面で現れてくるのです。

● 自分の置かれている状況を的確に判断できなくなります。

● 発想が湧いてこなくて、見通しも立たないので、この一日或いは一週間、何をどうするのかという「テーマの発想と計画」が出来なくなります。

● 何かをしようとする「意欲」が出てこなくなり、毎日をボンヤリと過ごして、居眠りばかりするようになります。

● 何事をするにつけても人を頼るようになり、指示してもらわないと動けない「指示待ち人」になります。

● その人らしい「生活態度」が消えていき、「こんな人ではなかったのに」と周りから言われるようになります。

  

〇 「軽度認知症」(小ボケ)の期間

「アルツハイマー型認知症」の最初の段階である「軽度認知症(小ボケ)の段階を「不活発病」などと誤解して、「前頭葉」機能の活性化による機能の回復を図るための対策としての「脳のリハビリ」を何等実行することもなく、ナイナイ尽くしの「単調な生活」がそのまま継続されて居ると、「前頭葉」を含む脳全体の機能が廃用性の更なる加速度的で異常な機能低下を進行させていく結果として、次の段階である「中等度認知症」(中ボケ)の段階に入っていくことになります。この場合、脳の使い方としての「生活習慣」やその生活状況が人それぞれ異なるので、個々人で言えばそれなりの差異は有るのですが、極めて多数の症例による集計を基礎とした通常のケースで言えば、「軽度認知症」(小ボケ)の期間は大体3年間続くのです。脳の使い方としての生活習慣を改善するための対策が取られないままに、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続されているその先に待っているのが、「中等度認知症」(中ボケ)の段階なのです。「アルツハイマー型認知症」の重要な特徴として、「軽度認知症」(小ボケ)の段階から「中等度認知症」(中ボケ)の段階を飛び越して、いきなり「重度認知症」(大ボケ)の段階に進むことは絶対に無いのです。「アルツハイマー型認知症」は、何年もかけて徐々に、段階的に、症状が進んでいく(重症化していく)のが、特徴なのです。

   

〇「中等度認知症」(中ボケ)の中核的な症状とその特徴

「中等度認知症」(中ボケ)は、脳の司令塔である「前頭葉」の働きが「軽度認知症」のときより更に異常なレベルに加速度的に衰えてきている上に、「軽度認知症」のときは未だ正常だった「左脳」と「右脳」と「運動の脳」の働きも異常なレベルに衰えてきて、「脳全体」の働き具合が異常なレベルになっているのです。三頭建ての馬車の御者だけでなく、3頭の馬さえもが異常なレベルに衰えてきている、それが「中ボケ」の段階なのです。「前頭葉」を含む脳全体の働き具合が異常なレベルに入ってきた「中等度認知症」(中ボケ)のお年寄りの脳の働き具合は、「4~6歳児」相当のレベルと考えると、実態によく合致します。

  自分が置かれている状況の理解や判断も、状況判断に基づく「テーマ」の発想や企画も、「テーマ」を構成する内容の組立或いはそのやり方の工夫も、実行するに際して事前に行われる洞察や推理やシミュレーションも、最終的な実行の決断も、「4~6歳児」相当のレベルの脳が行っているのです。「中等度認知症」(中ボケ)のイメージは、家庭内の簡単な用事程度のことさえもちゃんとできないのに、口先だけは一人前、「言い訳の上手い幼稚園児」が特徴です。家族、特に同居していない家族は、口先にごまかされないよう、中身をしっかりと見極めていただきたいのです。

「中等度認知症」(中ボケ)の段階になると、情報の認知度を左右する三本柱の機能である「意欲、注意集中力と注意分配力」の働き具合が、「軽度認知症」(小ボケ)のレベルよりも更に不十分にしか働かなくなります。その結果、認知それ自体とその記憶(記銘、保持及び想起)の機能の発揮が更に不十分なものとなってしまうのです。「左脳」がらみの論理的思考や計算や言葉に対する理解、或いは「右脳」がらみの色や形や時間や空間などに対する認知、更には「前頭葉」がらみの自分が置かれている状況の理解や判断等にもそうした影響が出てくるので、「家庭生活」を送る上での種々のトラブルが起きてくるようになるのです。

状況の理解や判断、物ごとの理解や見通し等の判断が「幼稚園児」の程度となる結果、「家庭生活」面に支障やトラブルが起きてくるようになります。但し、「中等度認知症」の段階では、「家庭生活」面に支障が出てくるとは言え、衣服の着脱、食事、大小便、入浴など身の回りのこと(所謂、「セルフケア」)は自分で一応できるので、家族に迷惑をかけることは余りないのです。そのため家族も、「アルツハイマー型認知症」を発病しているとは考えもせず、「年のせい」くらいにしか考えないで、悠長に構えているのが普通なのです。

 

「中等度認知症」(中ボケ)の段階になると、食器の片付けや、洗濯物の取り込み、庭の草むしりといった、「家庭内の簡単な用事」程度のこともちゃんとできなくなります(「4~6歳の幼児」がやる程度にしかできないのです)。せっかく洗ってくれたお茶碗はもう一度洗いなおさないといけないし、庭の草取りをしてもらうと花の苗まで抜いてしまいます。この程度にまで脳の機能が衰えてきていても、「DSM-4」が「第二の要件」に掲げている失語や失行や失認等の極めて「重度の症状」及び第一の要件に掲げている「重度の記憶障害」の症状は発現してこないので、家族がせっかく病院に連れて行っても、「アルツハイマー型認知症」とは診断されないのです。

 「前頭葉」の機能が異常なレベルに衰えてきているとはいえ、「軽度認知症」(小ボケ)の段階では、未だ自覚が持てます。「意欲もわかないし、根気が続かないし、てきぱき出来ないし、発想も湧かないし、物事に感動することもないし、どうかしたのだろうか・・・」と自身が感じていて、「以前の自分と比較して、自分のどこかがおかしい」という自覚を明確に持っていて、自分の状態に「不安」を感じてもいるのです。ところが、「中等度認知症」(中ボケ)の段階になってくると小ボケの段階より、「前頭葉」の機能が更にが衰えてきているので、そうした自覚を持つこと自体が出来なくなってくるのです。

自分の状態(軽いとはいえ、れっきとした「認知症」の症状なのですが、、、)に対する自覚がもてないので、不安も全くと言っていい程に感じていないのです(脳の機能レベルの更なる低下が原因で、感じることがもうできないのです)。逆に、家族が、「こんなところが、こんなふうにおかしい」と指摘しても、「そんなことはない。私は、ボケてなんかいない」と感情的になって言い張るのです。その上、自分のおかしな言動についての、一端の言い訳(ヘリクツの類)ばかりを並べ立てるのが「中ボケ」の特徴なのです。

   

〇「中等度認知症」(中ボケ)の期間

上述したように脳の使い方としての「生活習慣」やその生活状況が人それぞれ異なるので、個々人で言えばそれなりの差異は有るのですが、極めて多数の症例による集計を基礎とした通常のケースで言えば、「中等度認知症」(中ボケ)の期間は大体2~3年間続きます。その先に待っているのが、「重度認知症」(大ボケ)の段階なのです。「中等度認知症」(中ボケ)の段階になっても手をこまねいていて(そもそも、本人には自覚が持てないので自覚がない訳なのですが、家族を含む周りの人達にも状況が理解されていなくて)、相変わらずナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続されたままでいると、「前頭葉」を含む脳全体の廃用性の機能低下が更に加速度的に進んでいき、回復が困難な末期の段階である「重度認知症」(大ボケ)の段階に入っていくことになるのです。

このブログの〈No-33〉で例示し説明したような「生活状況」の発生が「キッカケ」となりナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まって、早い人では半年も経つと「アルツハイマー型認知症」を発病するのです。発病してから通常は3年間が(軽度認知症)「小ボケ」の期間、(中等度認知症)「中ボケ」の期間が2~3年の間続き、発病から5~6年経つと(重度認知症)「大ボケ」の段階になる」というのが大原則であり、「二段階方式」による判定の標準的な指標となります。なお、「アルツハイマー型認知症」が原因で死亡することにはならないので、「大ボケ」の期間は、症状が「大ボケ」のレベルに進んできてから何らかの他の病気が原因で死亡するまでの期間ということになります。従って、その期間は個人ごとに異なり、一定の期間というものはありません。世の中の認知症の専門家といわれる人達は、「大ボケ」のレベルの症状が出てきて初めて認知症であるとの診断をしているので、「大ボケ」の期間だけを取り上げて「認知症の期間」と言っているのですが、正確に言うと、「小ボケ」、「中ボケ」、「大ボケ」の各期間を合計した期間が「アルツハイマー型認知症の期間」なので、ケースによっては相当な長期にわたることになるのです。「脳がもたないのに、身体がもつ」、それが「アルツハイマー型認知症」の特徴なのです。

   

○  アルツハイマー型認知症の症状が進行(悪化)していく原因

「小ボケ」(回復容易)や「中ボケ」(回復可能)のレベルの間であれば、「脳のリハビリ」(脳の活性化を目的とした「生活習慣」の改善指導)により、言い換えると、(前頭葉の「三本柱」である意欲、注意の集中力、注意の分配力の出番が増える生活を極力増やす生活「テーマ」の取り込みを工夫すること)によって、脳の機能レベルの顕著な「改善」が期待できるのです。「アルツハイマー型認知症」の場合は、廃用性の機能低下が起きてきたことの(使われる機会が極端に少ない生活の継続により、脳の機能が異常なレベルに衰えてくること)直接の結果として、低下した脳の機能レベルに見合った症状が発現してきているだけなので(言い換えると、世の中の専門家と呼ばれる人達が言っているような、アミロイド・ベータやタウ蛋白の影響によって神経細胞が脱落してきている直接の結果として「アルツハイマー型認知症」の症状が発現してきている訳ではないので)、「前頭葉」を中心とした脳を使う機会が増えてくる生活が継続される(脳の使い方としての生活習慣の改善)中で、脳の機能が回復してくるのです。

ただし、「アルツハイマー型認知症」の末期の段階である「大ボケ」のレベル(この段階のみをとらえて、世の中の専門家達は、「アルツハイマー型認知症」と診断しています)になると、「正常」レベルへの回復のみならず、「小ボケ」レベルへの回復を期待することも、基本的に困難となります。その「大ボケ」(回復困難)のレベルの中で、運動の脳や右脳を刺激する「生活改善」の継続により、症状レベルでの僅かな改善が見られたり、症状の更なる悪化が抑制され、或いはその進行のスピードが緩やかになる程度の改善がみられることはあるのですが、「中ボケ」レベルへの脳機能の改善(回復)の見込みさえも極めて困難なものになってしまうのです。「大ボケ」のレベルにまで「前頭葉」を含む脳の機能が衰えてしまうと、その脳の機能を回復させることは極めて困難であることを施設を運営している人達さえもが知らないのです。

  

 個々人の実際の生活の場面では、それなりに「プラス要因」となる生活(脳の働きを活性化させ、機能を改善させる生活)が入り込んできたり、逆に「マイナス要因」となる生活(脳の働きを不活発にさせ、機能を悪化させる生活)が入り込んできたりするものなのです。上述した各段階(「小ボケ」、「中ボケ」)の期間の基準に適合しないケースでは、上の図に例示する「プラスの要因」或いは「マイナスの要因」と考えられる種々の要因が入り混じり、或いは重なって起きてくることの日々の現実の生活場面での「生活習慣」の質と量とが脳に働いて、「アルツハイマー型認知症」の症状の更なる「進行」や「回復」に影響を与えているだけなのです。

 エイジングライフ研究所の「二段階方式」を実践活用するときは、「前頭葉」の働き具合及び「左脳と右脳」の働き具合を神経心理機能テストで定期的に測定し、「生活実態」の聞き取りから確認される生活の自立度を判定し(「脳の機能レベル」のアウトプットとしての「症状」の確認)、更に、「生活歴」の聞き取りから、その対象期間中の脳の使い方としての「生活習慣」を具体的にチェックします。その上で、「神経心理機能テスト」により、脳の働き具合の総合的な判定結果を、「改善」、「維持」、「悪化」の三段階に区分して評価し、対象期間中の「生活習慣」を脳の機能レベルの判定結果と照らし合わせるのです。

 「改善」、「維持」、「悪化」の各々のケースについて、その人の脳を活性化させるような「生活習慣」としての生活実態がどうであったのか、「プラス要因」や「マイナス要因」がどのように入り混じっていたのか、或いは、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続したままだったのか等を詳細にチェックする訳です。そうした評価によると、脳の機能レベルの推移(改善、維持、悪化)と対象期間中の脳の働き具合を支える「生活習慣」としての生活実態とは、必ず合致していることが分かるのです。

  

  〇 脳機能の老化のスピード差をもたらす要因

 そうした極めて多数の事例の分析とデータの積み重ねから、上記「老化のスピード差」の期間が導き出されているので、この「小ボケ」、「中ボケ」の期間が「標準的な指標」として、大多数のケースに合致するのです。この指標となる期間と実際の個別のケースの期間との間に差異があるときは、「プラス要因」と「マイナス要因」とが複合して脳の機能レベルの変化に影響を与えているので、その実態を丁寧に確認する作業がとても重要なのです。

この場合、どのような「生活習慣」が脳の活性化と脳の機能レベルの改善に効果的なのかについては、上述の例示のように標準的なものを類型化して導き出すことはできるのですが、絶対的なものはなくて、あくまで相対的なものだということが留意すべき重要なポイントです。その「生活習慣」を個々の本人の「前頭葉」がどのように評価したのかが、前頭葉の「三本柱」の意欲、注意の集中力と注意の分配力の働き具合に直接影響しているからです。

ところが、「東日本大震災」を被災した地域のお年寄りの場合は、上述したケースとは状況が根本的に異なることに注意が必要だと考えています。未曾有の大災害がもたらした「生活状況」と復興に向けての国や自治体の一向に進まない対応振りという問題とが重なっているからです。今回の被災では、前頭葉の「三本柱」の中核をなす「意欲」自体を大きく阻害してしまう「種々の喪失体験」並びに「マイナス要因」としての生活状況が極めて大きく且つ数も多い上に、脳を活性化させる「プラス要因」となる状況が極めて想定しにくい環境にあるからです。このような環境下では、上述した「進行の標準的な期間」の基準よりも速く「症状」が次の段階に進んで行ってしまう(「小ボケ」が「中ボケ」に、「中ボケ」が「大ボケ」に進む期間が短くなってしまう)のではないかと危惧せざるを得ないのです。

  

 注)本著作物(このブログB-05に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

エイジングライフ研究所のHPを「クリック」してください)

脳機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません

  http://blog.goo.ne.jp/quantum_pianist

 http://blog.goo.ne.jp/kuru0214/e/d4801838dd9872301e0d491cd8900f1a

 

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アルツハイマー型認知症の発病及び進行と前駆的症状との関係(A-89)

2013-07-01 | アルツハイマー型認知症の進行とその特徴

○ 厚生労働省が発表した認知症患者の予測値等に関する問題点

私がフェースブック(及びもうひとつのブログである「脳機能から見た認知症」)に載せてあるように、5月末から6月の中旬までドイツに行ってきたのです。ドイツ南部のミュンヘンからピィディングを経てオーストリアのザルツブルク周辺を中心にして、高校の時の同級生を含む同期生達男女計7人で、大型のボックスワゴンを借りて周遊してきたのです。たまたま、「百年に一度」と言われる大洪水に遭遇はしたのですが、レンタカーでプライベートの旅だったおかげで、カーナビを頼りにルート検索して行程を様々に変更し、たまたま行き会ったレストランで旬で絶品のシュパーゲル(白アスパラガス)を食する等、それほどの支障もなく旅行を楽しめ、「前頭葉」が燃えたぎるほど活性化する濃密な時間を過ごすことができたのです。文章の合間に載せてある写真はその時に撮ったものの一部ですので、ブログを読んでくださっている皆さんも、雰囲気なりともお楽しみください。

私たちが旅行を楽しんでいる間に、厚生労働省が発表した2つの「テーマ」(「認知症患者」の総数とその「予備軍」とされる人達の「判定基準」)の問題点について、ここで少し問題を指摘しておきたいと思うのです。権威ある研究機関が調査したものを厚生労働省が発表した数値や基準なのですから、誰もがその数値や基準(「軽度認知障害」の概念とその定義)をそのまま信じるだろうと思うからです。特に、認知症専門の医師達がその基準を鵜呑みにして診断に使用する可能性が高いと考えられるので、問題提起しておきたいと考えるのです。どちらの見解を信じるかは皆さんの選択なのですが、私達は名もなく、権威には乏しくても、内容については格別の自信と確信を持って、このブログを公開していることを蛇足ながら一言付け加えておきたいと思います。

最初に取り上げるのは、厚生労働省が発表した「認知症」の人達の総数に関わる問題です。昨年の8月に発表された時の数字が300万人でした(それまでは、200万人としていた数値を一気に100万人増やして300万人に修正したのです)。今年の6月に発表された数字は2012年基準で460万人でした(65歳以上の高齢者の15%に相当する人数)。この増え方の単位の大きさから考えるに、実態として毎年それだけの人数が増えているというのではなくて、推計値の出し方或いはその根拠となる算式又は考え方自体に欠陥があると私達は考えるのです(余りにも大雑把過ぎて信頼度が低い)。その根拠と問題点を、今回のブログで提起しておきたいと考え、予定していたテーマを急遽変更して、この問題を取り上げることにしたのです。私たちは、「アルツハイマー型認知症」に特化して、その研究や市町村の「地域予防活動」の指導をしていますので、ここでも「アルツハイマー型認知症」に関わる問題という視点からの指摘ということになります。

いろいろな種類が数多くある認知症の大多数、90%以上を占めるのが「アルツハイマー型認知症」ですので、認知症の患者の総数が460万人いるということから計算すると、「アルツハイマー型認知症」の患者数は約410万人ということになります。但し、認知症の専門の医師達は、米国精神医学会が定める「アルツハイマー型認知症」の診断規定である「DSM-4」を基準として、「アルツハイマー型認知症」の診断をしているのが通常なので、その第二の要件に規定されている「失語や失行や失認」等の極めて重度の症状が確認されないと、「アルツハイマー型認知症」とは診断しないのです。従って410万人という人数は、「失語や失行や失認」という極めて重度の「認知症の症状」を呈しているとされる人達、言い換えると「アルツハイマー型認知症」の末期段階の人達(私たちの区分で言う「重度認知症」の段階の人達)だけの数ということになるのです。ところが、私たちが開発した「二段階方式」を活用して、脳の機能レベルとその直接のアウトプットとしての症状を精緻に調査し判定した実態としては、それよりも症状の程度が軽い「アルツハイマー型認知症の症状」を発現している極めて多人数の高齢者が存在しているのです。その人達は、上記の数字には、算入されていないということが重大な問題なのです。

このブログで何度も指摘し説明しているように、「アルツハイマー型認知症」だとは考えないで、何らの脳リハビリ対策も施さないままに2~3年の間放置していると、「小ボケ」は「中ボケ」の段階に進み、「中ボケ」は「大ボケ」の段階に進むのです。「小ボケ」は回復させることが容易、「中ボケ」は回復させることが未だ可能、「大ボケ」になってしまうと回復させることは困難というのが、極めて多数例での体験に基づく、私たちの「経験法則」なのです。私たちの区分で言う「軽度認知症」(小ボケ)の段階の人達と「中等度認知症」(中ボケ)の段階の人達は、「二段階方式」などの神経心理機能テストで脳全体の司令塔である「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)を含む脳の機能レベルを確認すれば、認知症の症状を発現していることが容易に確認できるにも拘わらず、上記の人数に算入されていないことが大問題なのです(「小ボケ」及び「中ボケ」段階の人達の認知症の症状については、ここを「クリック」してください)。

なお、医療機関で脳の機能レベルを判定する場合に神経心理機能テストであるMMS等を使用しているところがたまにありますが、MMSでは肝心の「前頭葉」の機能レベルを測定することはできないのです。脳全体の機能のメカニズムからして、「前頭葉」の機能レベルを測定することなしには、「小ボケ」や「中ボケ」の的確な判定は困難であり、症状に偏った、いい加減な判定になってしまうのです。その上、上記の人数に算入されていない、「小ボケ」と「中ボケ」の数を合算した人数は、「重度認知症」(大ボケ)の段階の人達の人数の4にもなるというのが私たちの推計です。これが、厚生労働省が発表した数字の1つの問題なのです。

(コーヒー・ブレイク)「重度認知症」(大ボケ)の段階にまで脳の機能が衰えてくると、回復させることは困難となり、対応策としては「介護」しか残されていないのです。その上、回復させることが困難なだけでなくて、「アルツハイマー型認知症」の特徴として身体がもつかぎりその間ずっと症状は重症化していくので(脳の機能の衰えに対応して、発現してくる症状が更に重いものになっていく)、介護する側の家族の精神的、肉体的および経済的な負担がとても大きくなっていくことが問題なのです。「重度認知症」のお年寄りを抱え支える人達の人生をどのように考えるのかという問題をここで提起しておきたいのです。「アルツハイマー型認知症」は、廃用症候群に属する単なる生活習慣病であり、早期診断により(「小ボケ」及び「中ボケ」の段階で見つけること)回復させることもできるし、更には発病を予防することもできる認知症だからなのです。「予防」と早期診断による「回復」というテーマをシステム化し、社会の中に構築し、そこで浮いてくる資金を使うことによって、家族介護に頼るのではなくて「施設で介護する」という政策が可能となるのです(ここを「クリック」してください)。

本題に帰って、認知症が専門の精神科医は、米国精神医学会が定める「DSMー4」の規定に依拠した基準で「アルツハイマー型認知症」の有無の診断を行うために、その第二の要件に規定されている「失語や失行や失認」といった「重度認知症」(大ボケ)でも末期にならないと発現することがない「極めて重度の症状」を確認できないと、認知症とは診断しないのです。世界中の認知症専門の医師たちが診断の基準に採用するくらいだから、権威は世界一なのでしょうが、回復させることが困難な末期の段階で見つけているだけなのです。まさしくそのことが原因で、「アルツハイマー型認知症」は、「回復させることが出来ないし、予防することもできない」原因不明の病気にされてしまっているのです(そもそもこの見解自体が重大な誤りであって、見つけるのが遅すぎるだけなのです)。失語や失行や失認という極めて重度の症状だけを取り上げて、且つその症状に限定して、「アルツハイマー型認知症」診断の第二の要件としているDSMー4」の規定のせいで、早期の段階で見つけると回復させることができる病気なのに、「原因不明で治らない病気」にされてしまっているのです。

DSMー4」の規定が幅を利かせている結果として、失語や失行や失認などの重い症状が発現してきていないもっと軽い段階、私達の区分で言う「軽度認知症」や「中等度認知症」の段階で発現してきている症状は、認知症の症状ではなくて、不活発病や単なる老化現象だと考えられ、見過ごされているのです。もっと軽い段階を見つけることが出来る基準に変更すべきなのですが、それも、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」の働きの仕組みや「正常老化」の性質或いは、「意欲と注意の集中力と注意の分配力」という「前頭葉」の三本柱の機能等に対する理解がない現状では、どんなに高名な学者をどれだけ動員したところで無理なことと言わざるを得ないのです(ここを「クリック」してください)。あと2~3年が経過すれば、東日本大震災の被災地の極めて多数の高齢者達の間に、日本の他のどの地域にも見られない極めて高い割合で起きてくる、「アルツハイマー型認知症」の発病と重症化の現象が、このブログで公開している「アルツハイマー型認知症」発病の原因とそのメカニズムについての私達の主張が正しいことを、疫学的に証明してくれることになるのです。

ところで、「若年性のアルツハイマー型認知症」などという言葉が認知症の専門家達から提起され、「働き盛りの50歳代でアルツハイマー型認知症を発病する人達が増えてきている」などとして、テレビなどでも取り上げられているのですが、50歳代で「アルツハイマー型認知症」を発病する人は、極めてまれなケースにすぎないことを指摘しておきたいのです。このブログの中で何度も言及してきたように(「症例を自らの手で多数診断している人なら分かるように)、「アルツハイマー型認知症」の発病は、加齢(60歳を超える年齢)」という要件が、発病の第一要件になるからです。「若年性認知症」とは、本来遺伝子の異常が原因で若年者を対象として発病するのが特徴である「若年性アルツハイマー病」のことであって、その数は、認知症全体の1%程度を占めているにすぎないのです。一部のマスコミ(学者)が騒いで取り上げていて、働き盛りの50歳代で発症するとされる所謂「若年発症のアルツハイマー型認知症」とは、(側頭葉性健忘症などの認知症ではないが、認知症と紛らわしい病気)をよく知らないがために、誤診し或いは誤解している医師や学者の見解の受け売りにすぎないのです(ここを「クリック」してください)。反響が大きいだけに極めて問題だと思うのです。

そもそも、「アルツハイマー型認知症」(老年性アルツハイマー病とも呼称される)であれ、「アルツハイマー病」(若年性アルツハイマー病とも呼称される)であれ、認知症を発病している限りは「前頭葉」の働き具合(機能レベル)が異常なレベルにあることが一番の特徴であり、真っ先に確認されるべき要件なのです。ところが、上述の「側頭葉性健忘症」は、重度の記銘障害(新しい情報が記憶できない)を特徴としながらも、「前頭葉」の働き具合が正常なのが特徴なのです。誤診や誤解をしている人達は、「前頭葉」のことを失念しているか、知らないか、機能レベルを確認する手技を持ち合わせていないかの、いづれかなのです。

最後に、厚生労働省が発表した内容についてのもう1つの問題について、問題を指摘しておきたいと思います。それは、「アルツハイマー型認知症」の「前駆的な段階」の判定(診断)基準として提唱されている、「軽度認知障害」(MCI )という概念が抱えている問題です。権威ある人達は、「軽度認知障害」(MCI)なる概念を持ち出して、認知症になる可能性がある「軽度認知障害」の高齢者も約400万人いると推計されています。65歳以上の4人に1人が認知症の“予備軍”ということのようです。しかも、認知症の予備軍とされる人達、「軽度認知障害」と判定される人達のうち最終的に認知症を発病するとされる人たちは、その僅か10~15%程度だと予測されてもいるのです。

そもそも、「MCI」(mild cognitive impairment)の概念は、「軽度認知障害」、或いは「軽度認知機能障害」と訳されていて、種々の認知症(特に、「アルツハイマー型認知症」)に進行する可能性がある、認知症の前駆状態に関わる概念とされているのですが、これにも大きな問題があることを指摘せざるを得ないのです。MCIは、日常生活は送れるが、1日前の出来事を忘れることがあるなど「認知機能」が低下した状態を言い、「認知症ではないが、アルツハイマー型認知症に進行する場合が相当程度考えられる」とされていて、正常加齢と認知症との間に位置する知的グレイゾーンとしてクローズ・アップされてきた概念なのです。

このMCIという概念もそれなりに権威があるとされているのだろうとは思いますが、脳の機能を取り上げながら、そもそも脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」を含む脳の機能レベルが取り上げられないで、且つそのアウト・プットである症状(然も、「記憶の障害」を中心とした極めて対象範囲が広くて、且つその程度及び態様が曖昧な症状)だけを選択的に取り上げて、「アルツハイマー型認知症」の前駆的な状態を判定する基準としていること自体が、判定基準としては、適切な機能を発揮し得ないと考えるのです(取り扱う医師の考え方次第で、「アルツハイマー型認知症」の前駆的なものでもないのに「前駆的症状」と診断してみたり、或いは「アルツハイマー型認知症」の症状そのものであるのに「前駆的な症状」と診断されるというようなことが、しばしば起こりうると考えられるからです)。DSMの規定のように、末期の段階にならないと発現してくることがない極めて重い症状を「診断の要件」としているがために、せっかく見つけても手遅れ(治せる可能性がない)となっているのに対して、MCIの場合は、もっと軽い段階をみつけようとする姿勢或いは考え方自体は素晴らしいと思うのですが、「記憶を中心」とする症状に目が向きすぎていたり、相変わらず程度や態様についての客観的な基準がない(私たちが採用しているような「前頭葉」を含む脳の機能レベルというような客観的な基準がない)ところに重大な問題があると言わざるを得ないのです。

 「前頭葉」の働きが異常なレベルになってくると、左脳も右脳も運動の脳も正常な機能レベルにあろうとも、その条件下での脳全体としてのアウトプットは、異常なものとなり、認知症の症状を示すのです。この段階が、私たちの区分で言う「軽度認知症」(小ボケ)の段階であり、「社会生活面」に明確な支障が出てくるのです。この段階を放置しておくと、「前頭葉」の機能低下がさらに加速度的に進行していく中で同時に、「軽度認知症」の段階では未だ正常な機能レベルにあった左脳、右脳及び運動の脳も異常なレベルに機能が低下していくのです。この段階を私たちは、「中等度認知症」(中ボケ)と定義しているのですが、この段階での脳の機能レベルのアウトプットは、「家庭生活面」に明確な支障が出てくるのです

世間では、上述したように、DSMの規定に依拠した「アルツハイマー型認知症」の診断を行うために、失語や失行や失認といった私たちの区分で言うところの「重度認知症」(大ボケ)の段階でも後半にならないと発現してこない極めて重い症状が確認されないと「アルツハイマー型認知症」とは診断されないのです。そのため、私たちが開発した「二段階方式」のような神経心理機能テストを活用して判定すれば、「前頭葉」を含む脳の異常な機能レベルとその直接のアウトプットである認知症の症状が確認されるにも拘わらず、「アルツハイマー型認知症」そのものであり、回復させることが可能な早期の段階である「軽度認知症」(小ボケ)も「中等度認知症」(中ボケ)も、認知症とはされないで見落とされているのです。その問題を解決することを目的として考案されたのかどうかは知りませんが、「軽度認知障害」(MCI)などという極めて曖昧な基準に頼っていたのでは、これまた見落とされてしまうことになるのではと危惧しているのです。

「認知機能」という表現を使用しながらも、認知機能の根幹をなす「前頭葉」の機能レベル及びその三本柱の機能である「意欲、注意の集中力及び注意の分配力」の機能レベルを客観的に計測し判定することもしないで(その客観的な手技さえ持たないで)、更には、「DSM-4」の改訂版である最新の診断基準「DSM-5」では捨て去られた、「記憶の障害」という極めて曖昧な概念(「記憶の障害」の程度を規定する基準さえも持たない)を未だに判定の重要な要素とするMCI(軽度認知障害)という概念/基準は、個別ケースでの医師による判定結果がそれぞれに異なる危険を内包していることを指摘し問題提起しておきたいのです。

 注)本著作物(このブログA-89に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

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 脳機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)

 

 

 

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アルツハイマー型認知症の進行とその過程及び特徴 (A-88)

2013-06-15 | アルツハイマー型認知症の進行とその特徴

○  「アルツハイマー型認知症」は、脳の異常な機能レベル自体がそのまま認知症の症状となって現れるのです。

思考であれ、行為であれ、言動であれ、私達人間が意識的に何かの「テーマ」を実行しようとする場合(左脳がらみのテーマ、右脳がらみのテーマ、運動の脳がらみのテーマ、或いは、それらのうちの二つ以上の脳の働きが連動するテーマ)、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)は、左脳、右脳、運動の脳(或いは、それらのうちの二つ以上の脳)と必ず連動して且つそれらをコントロールしながら働いていることが、「アルツハイマー型認知症」の原因を解明する上で、或いは症状を理解する上で、不可欠のことなのに、そのことが見過ごされているのです。

例えば、貴女が夫と二人で摂る今日の夕食の支度をしようとしている場面を考えてみてください。貴女の夫は、魚が大好きだったとしましょう。スーパーで魚を選ぶとき、タイにするのか、メジナにするのか、ムツにするのか、イカにするのか、或いは、刺身用を買って刺身と煮つけにするのか、煮つけ用を買って煮つけだけにするのか、魚の付け合わせに何を作るのか、或いはどのようなお皿にどのように盛り付けるのか、それらを考えるだけでも、色々とケースワークが必要となり、様々なシミュレーションをする必要があるのです。そうした思考を脳の中で実行し、且つそれを的確に実行するには、「前頭葉」が左脳、右脳、運動の脳(或いは、それらのうちの二つ以上の脳)と必ず連動して且つそれらをコントロールしながらきちんと働らく(正常なレベルのもとで機能する)ことが不可欠になるのです。

私たちの意識的な思考や身体の動静としての行為や言動或いは表情や感情の表出は、脳の働きのアウトプットなのです。そうしたアウトプットが病気の「症状」とならないものであるためには(正常なものであるためには)、「前頭葉」の機能が正常なレベルにあることが、大前提となるのです。この根本的な視点が、認知症の専門家とされる人たちの問題意識にないことが、単なる生活習慣病でしかない「アルツハイマー型認知症」を、原因不明で治らない不可解な病気にさせてしまっているのです。様々な程度態様で生活している生きた人間の実際の生活実体を、「前頭葉」を含む脳の働き具合(「脳の機能レベル」)とそのアウトプットとしての生活実態(社会生活面や家庭生活面やセルフケアの面に区分した「生活の自立度」)を、私たちが開発した「二段階方式」に代表されるような神経心理機能テストを活用して、精緻で多数の脳機能データを集積し解析してみれば、「アルツハイマー型認知症」の正体、「発病のメカニズム」を知ることは、それほど難しいことではないのです。脳の機能のメカニズムが人間とは異次元のラットの行動を追っていたり、脳の働き具合とは関係のない脳の委縮の画像を追っていたり、死亡した人間の解剖所見を追っていたりしていたのでは、何時まで経っても、「アルツハイマー型認知症」の正体に迫ることはできないことを認知症の専門家とされる人たちに警告し、警鐘を鳴らしておきたいのです。

色々な状況の下で、様々な「テーマ」を発想し、企画し、計画し、シミュレーションし、修正し、決断しているのが前頭葉なのです。こうしたメカニズムのもとで働いている、脳の意識的な働きの具合(機能レベル)のアウトプットが、すなわち私たち人間の意識的な行動(言動、身体の動静、或いは思考)なのです。思考や判断、行為や言動、或いは感情や表情の表出としてのアウトプットが正常なものでなくなったとき、私たちはそれを症状と呼ぶのです。そうしたアウトプットが異常なものであるとき(病気レベルとしての症状を示す時)、「アルツハイマー型認知症」の場合は、その震源である「前頭葉を含む脳の機能レベル」が必ず異常なレベルにあることを、「二段階方式」の活用により私たちがこれまで集積してきた極めて多数の脳機能データが明らかにしているのです。認知症の専門家とされる人達から、原因不明の病気と言われている「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症は、「前頭葉」を含む脳の異常な機能レベル下でのアウトプットそれ自体が認知症の症状を示すところに一番の特徴があるのです。

だからこそ、「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズム(発病の原因)を知るにも、治療の方法を知る(開発する)にも、予防の方法を知る(開発する)にも、脳全体の司令塔(コントロールタワー)の働きをしている「前頭葉」の働きや働き方、特に「加齢とともに進行する老化による機能の衰え方」についての理解が不可欠になるのです。ところが世間で認知症の専門家とされている人達は、こうした点、特に「前頭葉」の老化による機能の衰えというテーマに無関心なこと(或いは、理解していないこと)が、早期診断による回復も予防も可能である廃用症候群に属する単なる生活習慣病でしかない「アルツハイマー型認知症」を原因不明で治らないと専門家たちが主張する摩訶不思議な病気の世界に追いやっている最大の原因なのです。

「アルツハイマー型認知症」の最初の段階であり私たちの区分で言う「軽度認知症」(小ボケ)の段階では、左脳も右脳も運動の脳も全て未だ正常な機能レベルにあるのに対し、脳全体のコントロールタワーである肝心の「前頭葉」の機能自体が異常なレベルに衰えていることが重要なのです。コントロールタワーの「前頭葉」の機能レベルが異常なレベルにある限りは、左脳、右脳及び運動の脳が正常な機能レベルに在ろうとも、脳全体としてのその働き具合のアウトプットは、異常な症状、つまり「認知症の症状」となって発現してくることになるのです。学説も、「DSM-4」も(「DSM-5」も?)このことに気付いていないか、或いはそのメカニズム自体を知らないのではと疑わざるを得ないのです。

「二段階方式」の神経心理機能テストを活用し、生きた人間の脳の働きとその働き具合を対象として、私達が長年にわたって根気強く精緻なレベルで実施し集積してきた極めて多数の脳機能データの解析から、「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症は、早期診断により回復させることも予防することも可能な廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」であることが解明されたのです。

以前のこのブログで関連する「脳機能データ」のグラフを開示しましたが、そもそも私達人間の脳には、脳をどのように使っていようとも(「生活習慣」の如何に拘わらず)加齢とともに機能が衰えていくという性質(「正常老化」の性質)が備わっているのです。「前頭葉」の基礎的な機能をなす、意欲、注意の集中力及び注意の分配力の「3本柱の機能」にその性質(「正常老化」の性質)が備わっていることを、「二段階方式」と呼称する神経心理機能テストの活用による2万例に上る精緻な「脳機能データ」の解析で私達は発見しているのです。

私達の脳には「正常老化の性質」が備わっているために、高齢者と呼ばれる年齢の人達、60歳を超えた年齢のお年寄りが、脳の司令塔の「前頭葉」を含む脳全体の機能が使われる機会が極端に少ない単調な生活の継続、生き甲斐なく趣味なく交友なく運動もせず目標もないというナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続する日々を過ごしていると、そうした「生活習慣」の下では、脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」を含めた脳の機能が加速度的に衰えてくることになるのです(正常な老化に加え、廃用性の機能低下が加わることで、加速度的な脳機能の低下が進むことになるのです)。そして、廃用性の加速度的な脳機能の低下が進んでいくその先に、異常な症状の発現、「アルツハイマー型認知症」の発病が待っているということなのです(ここを「クリック」してください)。

左脳も右脳も運動の脳も未だ正常なレベルにあるのに「前頭葉」の機能だけが異常なレベルに衰えてきている段階、それが「アルツハイマー型認知症」の最初の段階であり、私達の区分で言う「軽度認知症」(小ボケ)の段階なのです。脳の機能の衰え方に目が向いていない、或いはそのメカニズムを知らない認知症の専門家とされる人達は、症状だけを大雑把に観察して、「不活発病」の呼称をつけるとか「軽度認知障害」などの概念を提起してきているのですが、これは「認知症の症状」そのものなのです。最初の段階であるこの「軽度認知症」(小ボケ)の段階では、脳の機能レベルとそのアウトプットに関する脳機能データを解析すると明確に把握されるように、「セルフケア」や「家庭生活」の面では何らの支障も起きてこないのですが、「社会生活」の面で種々の支障が起きてくるようになるのです(ここを「クリック」してください)。

生き甲斐となることも、これといった目標となるものもなく、その上、趣味や遊びや人付きあいを楽しむ機会もなく、運動もしない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を送っていると言うことは、脳の機能面から言うと、「前頭葉」の機能の中でも最も基本的で不可欠な機能であり、「認知度」或いは「記銘度」又は「意識度」を左右する働きをしている意欲、注意の集中力及び注意の分配力という「前頭葉」の「三本柱」の機能の出番が極端に少ない生活を送っているということになるのです。

ナイナイ尽くしの「単調な生活」を日々送っている中で、もともと加齢により機能が衰えていくという「正常老化」の性質を持っている「三本柱」の働き(その反映としての「前頭葉」全体の働き)が、膝の筋肉と同じように、廃用性の機能低下を起こしてくることで、両者の相乗効果により加速度的に働きが衰えていくのです。加速度的な脳機能の低下(「異常老化」)という視点が、認知症の専門家とされる人達にも、最近流行の脳科学者と称する人達にも、残念ながら全くないことが問題なのです。

「三本柱」の働きが、加齢に伴う「正常老化」という要因とナイナイ尽くしの単調な生活の継続による「異常な老化」という要因の「二つの要因」が重なり合うことによる相乗効果による加速度的な機能低下を起こしていく時、自発性、観察、分析、考察、洞察、推理、理解、興味、関心、発想、企画、計画、創意、工夫、予見、シミュレーション、修正、整理、機転、抑制、忍耐、感動及び判断といった「前頭葉」全体の機能の構成要素である各種の高度な機能も同時に、その発揮度が加速度的に低下していくことになるのです(「二重構造」の問題)。「前頭葉」の構成要素としての各種の機能が異常なレベルに低下した下でのアウトプットそれ自体が、「アルツハイマー型認知症」の症状として、並びに脳の機能レベルの低下の進行具合により、日常生活面(社会生活面、家庭生活面及びセルフケア面)での認知症の程度態様として、発現してくることになるのです。

この「三本柱」の機能が異常なレベルに機能低下してきたことにより発現してくる認知症の症状(より詳細に説明すると、「三本柱」の機能が異常なレベルに衰えてくることに起因して、「前頭葉」の構成要素としての各種機能の発揮度も衰えてくることが原因で発現してくる症状)、言い換えると「前頭葉」の機能障害としての認知症の症状について、具体的な多数の症例をベースとして類型化し整理した認知症の症状(私達の区分で言う「軽度認知症」の症状)として例示してあるものの中から、いくつか代表的なものを取り上げて、以下に概要を説明してみることにしましょう。

□ 複数のことに注意を分配できなくなるので、3つの用事が同時にさばけない(「注意分配力」の機能の機能障害としての症状です)

□ 機転がきかなくなるので、状況に応じた変更や修正ができない(「機転」の機能の機能障害としての症状です)

□ 発想が乏しくて、画一的な行動が目立つ(「発想及び創意工夫」の機能の機能障害としての症状です)

□ 何事をするにも億劫で面倒がるようになり、何かをやってみようという意欲が見られない(「意欲」の機能の機能障害としての症状です)

□ 一日や一週間の計画を自分で立てられなくなり、なにかをする「テーマ」を思いつかない様子(「企画及び計画」の機能の機能障害としての症状です)

□ これまでなら感動していたようなことに対しても一向に感動しなくなる(「感動」の機能の機能障害としての症状です)

□ ぼんやりしていることが多くなり、自分からは何もしようとしないが、指示されるとできる(「自発性」の機能の機能障害としての症状です)

□ 根気が続かず中途半端なことばかりを繰り返して、やりかけの家事が目立つようになる(「注意集中力」の機能の機能障害としての症状です)

「軽度認知症」(小ボケ)の段階が過ぎると、次いで、「左脳と右脳と運動の脳」も異常なレベルに入ってきて脳全体の機能が異常なレベルに低下してくる「中等度認知症」(中ボケ)の段階が始まります。この段階になると、「中ボケ」の脳の機能レベルを反映した「中ボケ」の認知症の症状が出てくるようになります。食事をしたり、服を着たり脱いだり、トイレの後始末をしたりといった「セルフケア」の面には未だ支障が出てこないのですが、「家庭生活」の面にも支障が起きてくるようになるのです。

そして「中等度認知症」(中ボケ)の段階が過ぎると、最後は、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」が殆ど機能しなくなり、左脳や右脳や運動の脳までもが極めて低いレベルでしか機能できなくなってくる末期段階の「重度認知症」(大ボケ)の段階になります。「大ボケ」の段階になると、「セルフケア」の面にも支障が起きてきて、日常生活に「介助」が要るようになるのです。このように脳の機能レベル(社会生活の面、家庭生活の面、セルフケアの面に対応する3つの段階の脳の機能レベル)に応じて、認知症の症状(小ボケ、中ボケ、大ボケに区分し規定される3つの段階の重症度)が発現してくるのが、「アルツハイマー型認知症」の特徴なのです(ここを「クリック」してください)。

「アルツハイマー型認知症」は、このように、「前頭葉を含む脳全体の機能レベル」の異常な低下に対応して、段階的に次第に重い「認知症の症状」が出てくるようになるのが特徴なのです。認知症の専門家とされる人達は、社会生活や家庭生活やセルフケアに支障が出てくるのが認知症であるとしながら、「アルツハイマー型認知症」の症状については十把一からげで、症状の段階的区分さえも考えないのです。私達は、脳の機能レベルが認知症の症状として発現するのが「アルツハイマー型認知症」の特徴であると考えているので、3つの段階に区分される脳の機能レベルに対応する3つの段階に区分される認知症の症状を考え、「30項目問診票」という形で指標化しているのです。

アルツハイマー型認知症の進行というとき、相互のレベルが各々対応しつつ、1つには脳の機能レベルの低下が3つの段階に区分される形で進行していき、1つには症状の重症度が3つの段階に区分される形で進行していくのです。私達が脳の機能レベルとそれに対応する症状とを各々3つの段階に区分していることには、病気を治すという視点からの極めて重要な意味があるのです。「軽度認知症」(小ボケ)の段階であれば脳リハビリにより回復させることが容易であり、「中等度認知症」(中ボケ)の段階であれば脳リハビリにより回復させることが未だ可能であるのに対し、「重度認知症」(大ボケ)の段階になってしまうと回復させることは困難になってしまうからです。 

(コーヒー・ブレイク)

「アルツハイマー型認知症」の最初の段階、脳の司令塔の「前頭葉」の働きだけが異常なレベルに衰えてきて、「左脳も右脳も運動の脳」もその働きが未だ正常なレベルにある段階で発現してくる「症状」は、不活発病と世間で一部の学者から揶揄されているような代物ではなくて、或いは「軽度認知障害」の症状と言うような概念で問題提起されている「認知症ではないが、認知症の前駆的な症状」と言うようなものでもなくて、「アルツハイマー型認知症」の症状そのものなのです。回復が困難な「末期の段階」ばかりに焦点が当てられていて、「脳リハビリ」による回復が可能な「早期の段階」である「軽度認知症」(小ボケ)或いは「中等度認知症」(中ボケ)の段階は、専門家とされる人達の間では、「不活発病」とか、「老化現象」とか、「軽度認知障害」等の名前で呼ばれて、何等の注意の喚起も対策も施されないままに放置されているのが現状なのです。治療して「治す」とか、発病を「予防」するとかいう視点は、専門家とされる人達の心の一体どこに置き忘れられてしまったのでしょうか。

○   「アルツハイマー型認知症」の症状が進行する条件とその期間

異常なレベルに機能が衰えた「前頭葉」を正常な働きをするレベルに引き戻すのに必要不可欠の対策である脳リハビリ(脳を活性化させるための生活習慣の改善)を行うこともなく、漫然とそれまでのナイナイ尽くしの単調な生活が継続されるままに放置された状態で「軽度認知症」(小ボケ)の段階が3年も続くと(多数事例による平均的な期間)、次の段階、私達の区分で言う「中等度認知症」(中ボケ)の段階に進んでしまうのです。生き甲斐なく、趣味なく、交友なく、運動もせず、目標もない生活、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が日々継続している下で、脳全体の加速度的な機能低下が更に進行していくことが原因なのです。

「アルツハイマー型認知症」の脳の機能レベルに対応する症状を3つの段階に区分して観察していれば容易に理解されるように、この「中等度認知症」(中ボケ)の段階では、「DSM-4」が第二の要件で取り上げているような、「失語や失行や失認」などの重い症状は未だ現れてこないのです。一方で、「軽度認知症」(小ボケ)の段階なら回復させることが比較的容易なのに、「中等度認知症」(中ボケ)の段階に進んでしまうと、回復は未だ可能なのですが、周りの家族を巻き込んでの「脳リハビリ」の為の質及び頻度の面からの大変な対応が要求されることになるのです。「中等度認知症」(中ボケ)の段階に進んでしまうと、「軽度認知症」(小ボケ)の段階の時には未だ機能が正常なレベルにあった左脳や右脳や運動の脳の機能までもが異常なレベルに低下してきているからです。

「中等度認知症」(中ボケ)の段階さえも「老化現象」等と見誤って放置し、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が更に2~3年間(多数事例による平均的な期間)継続していくと、「中等度認知症」(中ボケ)レベルに回復させることさえもが困難になる末期段階の「重度認知症」(大ボケ)の段階に入ってしまうことになるのです。「重度認知症」(大ボケ)の段階に入ってしまうと、回復させることは期待できなくなるので(脳リハビリの効果が期待できなくなるというだけではなくて、「アルツハイマー型認知症」の治療薬の開発自体がそもそも不可能なので)、その期間は、老衰か何か別の病気が原因で死を迎えることになるまで続くことになるのです。身体がもつその期間中ずっと脳の機能の低下が進んでいき、そのことに対応して、症状が更に重症化していくだけということになるのです。

「重度認知症」(大ボケ)の段階に入ってしまうと、介護する家族自身も精神的及び経済的に大変な負担を強いられることになります。「重度認知症」(大ボケ)の段階にまで脳の機能が衰えてしまうと、上述したように脳の機能を回復させることは基本的に困難となってきます。そのうえ、(脳がもたないのに、身体だけはもつ)のが、「アルツハイマー型認知症」と言う病気の特徴なのです。どんなに心を尽くして家族が介護しても、脳の機能が更に衰えていく一方なので、何か別の病気を発病して死を迎えるときがくるまで、発現してくる認知症の症状が重くなっていく一方なのです。状況を判断したり、言葉や感情や表情をコントロールしている「前頭葉」の機能が更に加速度的に衰えていく上に、左脳も右脳も運動の脳も加速度的に衰えていってしまうので、言葉だけでなく感情や表情を介した意思の疎通さえもが次第に困難になっていきつつ、更には身体を動かすこと自体にも支障が出てくるようになるのです。

但し、上記に例示した「小ボケ」及び「中ボケ」の期間は、指標としての標準的な期間の数字なのです。実際の生活の中では、ナイナイ尽くしの「単調な生活」のままに日々が唯過ぎていくという訳ではなくて、或る時は本人の脳を活性化させる効果がある出来事が入り込んできたり、或る時は逆に本人の脳を更に不活性化させるような出来事が起きてきたり、入り混じった生活が行われるものなのです。「脳の老化のスピード差」の詳細な説明については、(ここを「クリック」してください)。(N-67:2012.11,11)

(再度、コーヒー・ブレイク)

「重度の記憶障害」の症状が出ていて、且つ「失語」とか「失行」とか「失認」とかの末期段階の「重度認知症」でも後半にならないと出て来ない症状を基準にして、「アルツハイマー型認知症」と診断していたのでは(それが、「DSMー4」の診断基準なのですが)、見つけるのが「遅すぎる」のです。この段階で見つけていたのでは、せっかく見つけても手遅れ、「アルツハイマー型認知症は、原因も分からないし、治すことができないし、予防することもできない」病気にされてしまうのです。

ラットなどの行動の研究をするのでなくて、生きている人間の「前頭葉」の働き方に焦点を当てない限り、未来永劫解決策は浮かんでこないのです。開発されることなどありえない「アルツハイマー型認知症」の治療薬の開発研究に大事な生涯を費やしてしまうことになりかねないのです。 「DSM-4」の規定の改定版である「DSM-5」を公開するに当たって、「DSM-4」で第一の要件とされてきた「記憶の障害」の要件を削除する程度の改訂内容では、いつまでたっても「アルツハイマー型認知症」の本質を理解することも、発病原因を解明することも、発病の予防法を見つけることも期待できないと言わざるを得ないのです。

注)本著作物(このブログA-88に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

エイジングライフ研究所のHPここを「クリック」してください)

脳機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)

http://blog.goo.ne.jp/kuru0214/e/95c2a476097fda6da8f4056b0d03e5ad 

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アルツハイマー型認知症の発病原因と症状の進行の特徴(A-87)

2013-06-01 | アルツハイマー型認知症の進行とその特徴

○ 「アルツハイマー型認知症」の症状を発現させている真犯人は誰なのか 

インターネットで「アルツハイマー型認知症」と入力し、検索してみてください。いろいろなサイトがあって、様々なレベルでの説明がなされています。私達は、脳の司令塔の「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)を含む脳全体の働きのメカニズムとその働き方(機能レベル)について判定できる「二段階方式」と呼称する手技を開発し、脳機能データ(脳の機能レベルとその機能レベルに対応する症状に関する極めて多数のデータ)を集積し、解析してきました。「二段階方式」を活用した神経心理機能テストにより、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルを精緻に測定し、同時にその脳の機能レベルで発症している認知症の症状の有無及び症状の重症度について、各々3段階に区分し総合的に判定してきたのです。

その極めて多数に上る脳機能データの解析結果に基づいて、対象を「アルツハイマー型認知症」に特化し、その発病のメカニズムを追及し、早期診断の方法を開発し、1995年以来市町村での「地域予防活動」を実践指導してきたのです。そうした知見及び体験から、ただ鵜呑みにするしかない皆さん方とは違って私達は、様々なブログの内容の程度の判定もできるのです。その結論から言うと、それら様々なブログの内容は、「どれもこれも、いい加減なものばかり」と言う他ないのです。自分の体験や考えに基づかないで、世間で権威があるとされる他人の説の受け売りか或いはその引用でしかないのです。

その代表的なものをまとめて説明すると、概要次のような内容になります。それらの解説では、「アルツハイマー型認知症」は、脳の神経細胞の減少、脳の委縮、老人班及び神経原線維変化の出現を特徴としていること。脳の中に、アミロイドベータと呼ばれる蛋白質が沈着すること(老人斑の生成)が原因で(「アミロイドベータ仮説」)或いは、タウタンパクと呼ばれる蛋白質の蓄積による神経原線維変化が出現すること(タウタンパク仮説)が原因で、神経細胞を変性させ或いは脱落させることにより、脳の機能が障害され、認知症の症状が発現してくると説明しています。

ところで、(「A」という原因が存在しなかったならば、「B」という結果は発生しなかったことが証明できた)時に限り、「A」が原因で[B]が発生したこと、つまり「A」という原因と「B」という結果との間に「因果関係」が認められることになるのです。ところが、上記2つの仮説はいづれもその「因果関係」を証明できていないのです。つまりは、単なる「仮説」にすぎないのです。要求される因果関係の証明が無い限り、大手を振ってまかり通るような代物ではないと言わざるを得ないのです。

この2つの仮説は、解剖所見を基礎とした「仮説」にすぎないのです。然もその仮説の基礎とされる解剖所見なるものは、「アルツハイマー型認知症」を発病して、何年間もの長きに亘って重度の症状が確認されていた人達(具体的には、失語や失行や失認という末期段階の「重度認知症」の段階の更にはその後半にならないと発現してくることがない極めて重い症状を何年間も発現させていた人達)の死後にその脳を解剖して得られた「解剖所見」にすぎないのです。その解剖所見を基礎として、それらの「仮説」が打ち立てられているだけなのです。同様の問題を抱えるものとして、「DSM-4」の規定があります。「アルツハイマー型認知症」の診断基準として世界で最も権威があるとされている米国精神医学会の診断基準である「DSM-4」の規定が、失語、失行、或いは失認を第二の要件として掲げていることの重大な誤り(及び問題点)については、このブログの中で、これまでに何度も指摘し、問題提起してきたとおりです。

これも以前このブログで説明に使用したことがあるのですが、上記の問題点を分かり易くするために、再度ここで取り上げて説明します。それは、「空気ポンプ」を例にした話です。自転車のチューブに空気を入れる「空気ポンプ」という機器があります。「アルツハイマー型認知症」は、空気をチューブに運ぶ紐状のゴム管の部分(脳で言えば、情報を伝達する神経細胞)がアミロイドベータやタウタンパクに侵されたことにより神経細胞が変性或いは脱落を起こし、脳機能に支障が起きてくることが認知症の症状を発現させている原因だというのが、アミロイドベータ説やタウ蛋白説の考え方です。この考えに立脚しているのが、ゴム管の部分を繕って空気が漏れる量を少しでも抑える効果を期待できることを目的に開発され、現在販売されている4種類の薬ということになります(これらの薬は、治療の効果は期待できないので、「症状」の進行を遅らせる効果を狙うものとされている)。

私達は(廃用性の脳機能低下説)、ゴム管の部分に支障があるからではなくて、ポンプを押して空気を押し出してやる部分(脳で言えば、情報を処理・発信してやる「前頭葉」を含む脳全体の機能)に支障が起きてきて(「廃用性の異常な脳機能レベルの低下」)、脳が正常に働かなくなったことが「認知症の症状」を発現させている原因だと考えているのです(私達が集積してきた多数のデータは、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルのアウトプットが症状だということを示している)。いくらゴム管を繕っても(編成或いは脱落したと主張される神経細胞の修復)、そもそもポンプを押す作業をしない限り(脳の機能がちゃんと働かないのでは)、空気は流れない(情報の処理も発信もない)のです。

組織や細胞が変形、変性あるいは破壊され、元の形に戻らなくなるように変化することを器質的変化といいます。「アルツハイマー型認知症」は、アミロイドベータの作用によりもたらされる「老人斑の生成」やタウ蛋白の作用によりもたらされる「神経原繊維変化」という器質的変化が本質の疾患とするのが専門家達の多数説ですが、私達は、廃用性の異常な機能低下(機能の退化)が本質の疾患だと考えているのです。

極めて多数に上る「脳の働き具合」(「前頭葉」を含む脳全体の機能レベル)とリンクした「症状」(段階的症状)のデータの解析結果から、「アルツハイマー型認知症」は、加齢による脳の老化を「第一の要件」とし、「前頭葉」を使う機会が極端に減少するナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続による廃用性の機能低下を「第二の要件」として、両者の相乗効果により、「脳機能の加速度的な機能低下」が惹起され、脳の機能が異常なレベルに低下していく(機能の退化)ことが原因で認知症を発病する病気、廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」だと私達は考えているのです。

私達が集積してきた極めて多数の脳機能データの解析によれば、「アルツハイマー型認知症」の場合は、「前頭葉」を含む脳の機能の衰え方の程度にリンクして、脳の異常な機能レベルが「認知症の症状」として発現してくることが分かるのです。アミロイドベータ説やタウ蛋白説を唱える人達が言うように、神経細胞の変性或いは脱落による脳内での「情報の連絡」の不具合が、認知症の症状となって発現してきているわけではないのです。(「アルツハイマー型認知症」の場合は、「前頭葉」を含む脳の機能の衰え方に規則性がある)ことを証している私達の脳機能データについて、アミロイドベータ説もタウタンパク説も共に説明できない(整合性がとれない)と思うのですが。

○  「アルツハイマー型認知症」の脳機能の衰え方の特徴を権威ある人達

が知らないことの不幸

「アルツハイマー型認知症」の場合は、脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」から先に衰えていくのが「第一の特徴」なのです。次いで、「前頭葉」のコントロールの下に「前頭葉」と相互に情報のやり取りをしている「左脳」と「右脳」が衰えていきます。その「脳の機能」の衰え方の程度に応じて、症状が段階的に発現してきて、「小ボケ」、「中ボケ」、「大ボケ」へと「認知症の症状」の程度が進んで重くなっていく、重症化していくのです。このとき、何年もかけて徐々に衰えていくとは言え、「前頭葉」を含む脳の機能の衰え方は、直線的ではなくて加速度的なカーブを描きつつ衰えていくのが特徴なのです。

「軽度認知症」(小ボケ)のレベル(かなひろいテストが不合格で、MMSの換算値が24点~30点)では、左脳、右脳と運動の脳の働き具合は未だ正常レベルにあるのですが、脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」の働き具合だけが、もはや正常レベルにはなくて異常なレベルに衰えてきているのです(「アルツハイマー型認知症」の場合は、このように、「前頭葉」の働きだけが衰えていくことから始まるのが特徴なのです。米国精神医学会の診断基準である「DSM-4」の規定のように、「失語」、「失行」、「失認」という末期の段階にならないと発現することがない「重度の症状」とリンクした「記憶の障害」を診断の要件としていたのでは、このような「初期の段階」を見逃してしまうことになるのです)。但し、この「軽度認知症」(小ボケ)のレベルでは、器質的変化は未だ起きていなくて、「機能レベルの異常な低下」(機能の退化)が起きてきているに過ぎません。理由は、この初期の段階で発見できれば、脳のリハビリによって、脳の機能は「正常レベル」に比較的容易に回復させることが出来るからです。

「中等度認知症」(中ボケ)のレベル(かなひろいテストが不合格で、MMSの換算値が15点~23点)では、左脳と右脳の働き具合も異常なレベルに衰えてくる上に、司令塔の「前頭葉」の働き具合は、「軽度認知症」(小ボケ)のときに比べて更に異常なレベルに衰えてきているのです。但し、このレベルでも、MMSの換算値が20点以上を確保できている「中等度認知症」(中ボケ)の前期までの段階であれば、器質的変化は未だ起きてきていなくて、機能レベルの異常な低下(機能の退化)が起きてきているに過ぎないのです。理由は、この段階で発見できれば、集団生活レベルでの「脳のリハビリ」でも、脳の機能を正常レベルに回復させることが未だ可能だからです。更に、MMSの換算値が15点から19点までの「中等度認知症」の後期レベルに衰えてくると、個別での頻度と密度の濃い「脳リハビリ」を取り入れることにより、回復させることが未だ可能なのですが、家族を含めた支援態勢と相当な条件下での脳リハビリの実施という困難が伴うことになります。

そして、「重度認知症」(大ボケ)のレベル(かなひろいテストが不合格で、MMSの換算値が14点以下)では、左脳、右脳と運動の脳の働き具合が「中等度認知症」のときに比べて更に異常なレベルに衰えてくる上に、司令塔の「前頭葉」の働き具合が、「中等度認知症」のときに比べ更に加速度的に機能が衰えていくので、殆ど機能しなくなってきているのです。その上、MMSの換算値が14点から11点へと低下してくるにつれ、徐々に器質的変化が現れてきて、10点以下のレベルでは、顕著な器質的変化が起きてきていると考えられるのです。理由は、この末期段階の「重度認知症」の段階では、脳のリハビリによる機能の回復の効果が期待できなくなるからです。「アルツハイマー型認知症」の専門家といわれる研究者や医師たちは、前述した「DSM-4」の規定に依拠して診断を行う為に、この末期段階の私達の区分で言う「重度認知症」(大ボケ)の段階だけを捉えて「アルツハイマー型認知症」であると診断しているのです。そのため、本来は廃用性の機能退化が本質なのに、器質的変化を起こしていることが「アルツハイマー型認知症」の本質であると本質を見誤っているのです。

「アルツハイマー型認知症」は、「脳の働き具合」のアウトプットが「症状」の程度・態様として発現してくるだけなのです。脳の機能レベル(小ボケ、中ボケ及び大ボケ)に対応して、機能レベルに特有の「段階的な症状」(小ボケの症状、中ボケの症状及び大ボケの症状)が発現してくるだけなのです。「脳の機能レベル」が「症状」の程度態様とリンクしているわけですから、脳の機能レベルの異常な低下(機能の退化)がもっと軽い段階から、且つ症状の進行を段階的継続的に変化移行していくものとして理解し捉えていき、データを集積し分析することが、的確な判定や診断に必要不可欠となるのです。

米国精神医学会を含めて世の中で権威があるとされる機関や人たちが、本質を見誤らなければ、私達の区分で言う「軽度認知症」(小ボケ)や「中等度認知症」(中ボケ)の段階の症状にも目が向くこととなり、「アルツハイマー型認知症」を発病しても、回復させることが可能になるのです。ところが、(器質的な変化が本質の病気)だとする本質を見誤った考えが世の中を支配していて、末期段階の「重度認知症」(大ボケ)でも後半になって初めて発現してくる極めて重い症状である失語や失行や失認等の症状にしか目が向かないでいるがために、回復させることができなくなってしまうのです。その結果、(「アルツハイマー型認知症」は、発病の原因もわからないし、治すこともできないし、予防することもできない病気)にされてしまっているのです。

権威づけられているために、専門家とされる医師達を含め世の中の誰もが信じて疑うこともなく、この誤った見解が世の中の隅々にまで行き渡ってしまっているのです。失語や失行や失認等の末期段階にならないと発現してこない極めて重度の症状を診断の基準(「DSM-4」が定める第二の要件)にして、回復が容易な「軽度認知症」の段階だけでなくて回復が未だ可能な「中等度認知症」の段階さえも見逃して、回復させることが困難な「重度認知症」の段階になって初めて「アルツハイマー型認知症」だと診断する(見つける)ことに何の意味があるのか、その見識が不思議でならないのです。

(コーヒー・ブレイク)

世界最高の権威とされる米国精神医学会が定める「アルツハイマー型認知症」の診断基準である「DSM-4」が近々改訂され、『DSM-5』として公開されると聞いています。但し、『DSM-4』の規定で第一の要件とされていた「記憶の障害」の要件を取り払うだけでは、正しい(的確な)診断基準とは言えないのです。「前頭葉の働きのメカニズムとその機能レベルに対応する症状」という視点を持つようにならない限り、権威だけがあって内容が伴わない現状を変えることには繋がらないのです。

 注)本著作物(このブログA-87に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

 エイジングライフ研究所のHPここを「クリック」してください。

機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)

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