認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

# 認知症  物忘れは、惚けの始まりと言う格言は、誤りなのです (F-14)

2021-11-01 | アルツハイマー型認知症発病のメカニズム

     昔から言い慣わされてきた格言、「物忘れは、惚けの始まり」と言うのは、誤りなのです。

 意識(ここを「クリック」して下さい)の機能構造について殆ど何も分かっていなくて、前頭葉の機能とか注意の分配力の機能の廃用性の機能低下の進行と言う視点が無かった時代の権威者達が、外観からの観察方法だけで、推測し憶測した類のものに過ぎないのです。ハーバード大学を筆頭にして、我が国では東大や京大や理化学研究所等の権威ある機関が、「アルツハイマー型認知症は、発病の原因が不明で、治すことも発病を予防することも出来ないタイプの認知症である」と主張し、我が国での発病者数が600~700万人との予測数値が厚労省から発表され、「徘徊対策」がメインの対応策とされている現状を見て、惚けたらどうしようと心配していることと思うのです。

権威が有るとはいえ、彼らは、発病の結果としての『認知機能の障害』が「記憶障害」が原因で惹き起こされてくると誤解し、今日の主題である『注意の分配力』の機能も、「前頭葉」の機能も備わっていない「マウス」が檻の中で餌を探して徘徊する行動を研究対象にして、推測憶測ばかりしているのです。分かってみれば、コロンブスの卵程度のものなのに、彼らは、仮説しか提示できていないのです。

権威の力と言うのは恐ろしいもので、間違っていても、世の中に浸透していくのです。特に、主題である『アルツハイマー型認知症』については、権威の主張内容は、間違いだらけなのに、世界中に拡散していて、我が国の権威もその内容(誤り)をそのまま信望し、受け継いでいて、『間違いだらけの内容が、医学界にも、医療機関にも、行政機関にも、更には、小さな島々の隅まで含めた我が国全体に浸透している』のです。

  私たち「二段階方式」の主張内容は、個別の有償契約に基づいた452の市町村での実践展開により、正しいことが疫学的に実証されていて、有効性と有益性を実証する脳機能データも提示され、十分な説明も行われたのです。厚労省認知症施策推進室との協議の結果は、「我が国や世界中の権威が主張する内容と真反対の内容」 と言うだけの理由で、棚上げにされているのではと推測するのです。

様々な種類が数有る認知症の内の大多数、90%以上を占めているアルツハイマー型認知症は、意識が関わるタイプの認知症なのであり、その本態は、廃用性症候群に属する老化・廃用型生活習慣病なのです。仕事とは無縁となる「第二の人生」を送る上で日々繰り返される単調な「生活習慣」、追及すべき特別のテーマもなく、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものも無い、ナイナイ尽くしの単調な『脳の使い方としての生活習慣』が、発病を惹き起こす生活習慣病に過ぎないのです。食生活も、糖尿病の発病も無関係なのです。

 アルツハイマー型認知症は、「第二の人生」を送る60歳を超える年齢の高齢者だけを対象に発病するもの、「老年発症」が特徴なのです。「アルツハイマー型認知症の発病」は、左脳の出番が極めて多い『仕事と言うテーマ』とは無縁となる『第二の人生』が、20年も、更に人によっては30年も続くことになる「超高齢社会」に特有な社会現象であり、発病することになるか/ならないかは、日々の脳の使い方としての生き方が、問われることになるタイプの認知症なのです。本態が、廃用症候群に属する「生活習慣病」に過ぎないので、早期診断と脳のリハビリの実践により治せるし、様々な種類の「実行機能」を使う場面が多い「テーマ」の遂行という日々の暮らし方が「注意の分配力」の機能の出番を増やすことにより『前頭葉』を活性化させることで、発病自体を予防することが出来るのです。発病の原因要因である「廃用性の機能低下」の進行に際しては、『注意の分配力』の機能が真っ先に衰えを開始していくことに、権威達が未だに気づいていないのです。

ボケーッとした暮らし方を続けていると、身体が持つのに脳が持たない結果として、発病することになるのです。私は、喜寿を迎えた年齢なのですが、私が子供だった頃は、「アルツハイマー型認知症」を発病するお年寄りの数は、極めて少なく、社会問題にはならなかったのです。アミロイドベータとかタウタンパクとかが脳内に蓄積することで発病すると主張している権威とされる人達の主張内容が誤りであることは、このことだけでも説明がつくのです。

( プロローグ )

自殺による死亡よりも遥かに死亡者数が少なくて、欧米の先進国と比較し、実際には大成功であった我が国の新型コロナ対策に対し、殆どのマスコミが、こぞって社会不安を掻き立てて、野党の支援に回った衆議院選挙が終わってみれば、自民党が、大勝利した前回よりは議席数を或る程度減らすことになったとはいえ、「敵の出方」論による「暴力革命」の方針を堅持している(by警察庁)共産党と組んだ立憲民主党が、当初目論んだ議席数の大幅な増加どころか、大幅に議席数を減らす結果となりました。共産党の独裁国家である中国の動向を見て、国民の総意は、共産党との共闘にくみしなかったのです。そのことは、政権を担うべき政党の選択をする比例票の出方を見れば、明らかなのです。上流に向かって進もうとしている舟に、下流へ向かうことを主張する船頭を乗せる。そんな船に、国政が任せられる訳が無いのです。共産主義政権がどのような国を作るのか、隣国を見れば明らかなのですから。 

今回の結果は、誰もが予測できなかった結果となりました。自民党が大敗すると予測し、立憲民主党が躍進するとの予測がほとんどだったからです。政権担当能力は勿論のこと、政策立案能力も、国会での審議能力さえもない立憲民主党が、あろうことか共産党と組んだ政権を望んだ政権選択選挙の結果が国民の支持を得なかったとはいえ、政権与党、特に自民党は、真摯に猛省しなければならないのです。新型コロナ後の「経済活動の再生」が最大の重要項目となるのは当然のことながら、「正規労働者雇用」の達成に因る「非正規雇用労働者」の出来るだけ大幅な削減が必達となるのです。社会の不安定化要因の大きな一部を占める程の割合に増えてきた「派遣労働者」は、例外的な状況となる早期の実現が不可欠となるのです。経済的にも心理的にも不満を持つ不安定な層が社会の底辺に増えてきて、一定の規模を構成してしまうと、テロさえも起きかねないのは、欧米の社会を見れば明らかなのです。経済原理だけにゆだねるのでなくて、新しい資本主義を標榜するのであれば、この問題にこそ真っ先に手を付けるべきなのです。その上で、将来的には中間層の割合が拡大する政策を実現すべきなのです。今回の選挙結果を大いに反省して、「非正規雇用」の大幅な減少について、確たる方針と戦略と具体的な政策を打ち出すべきなのです。現状では、衆議院選挙を乗り切っても、社会不安がついて回ることになるのです。

最初に手を付けるべきは、米国が要求する中国とのデカップリングの方向性を明確に持つ政策の確立と実行なのです。これを好機ととらえて、他の国で対応できない技術的に高度な分野について、技術力が高い中小企業群を活用し、活性化した状態を復興させて、我が国がかつてのように、受け皿となるべきなのです。見方を変えれば、チャンスでもあるのです。そのことに加えて、「少子化に歯止めを掛ける」確固たる政策が不可欠なのです。このままでは、日本は沈没してしまうのです。地方の疲弊も、もう一つの大きな問題です。掲げるべき旗は、自民党に考えてもらうとして、射るべき3本の矢を、示しておきましょう。第一の矢は、脱中国異存、デカップリングをチャンスに変えること。第二の矢は、アルツハイマー型認知症の発病の予防の国策化。第三の矢は、少子化の歯止め対策。必用な額の原資は全て、第二の矢が稼ぎ出してくれることになることを注記しておきます。

さて、今日の本題は、『アルツハイマー型認知症の発病自体の予防』の国策化による制度化のことなのです。「末期の段階で発病を見つけて居るだけ」の診断と症状を治したり、症状の進行を遅らせる効能、治療の効能が無くて、単なる「対症療法薬」(症状の発現の仕方を昂進させたり、抑制する効能しか有していない薬)でしかない薬の処方だけの「医療費」が、一般会計と特別会計を合わせた総額で、どの程度の規模なのかを国民が、もっと関心を抱いて、監視すべきなのです。こうした内容、診断とは名ばかりの診断費用の総額並びに発病の予防や早期診断による回復には目もくれないで、発病が起きるままに放置されて居て、症状の進行が進むままに放置されて居て(現在処方されている4種の薬は、単なる対症療法薬に過ぎなくて、治療効果はない)、症状が『末期の段階』にまで進行してきて、「介護」が不可欠となる「お年寄り」の数が、増加の一途を辿っていて、介護の費用の総額もまた、天文学的な規模になってきているのです。医療費の総額と介護の費用の総額とを併せた総額が(一般会計と特別会計の総額)、どれ程の規模のものとなっているのか、国民はもっと関心を持つべきと思うのです。

  1万円札の新札の束で積んだ時、1cmの高さが100万円で、1mの高さが1億円で、1kmの高さが1000億円で、10kmの高さが1兆円で、100kmの高さが10兆円。ここまでの数値を挙げた意味が分かるでしょうか。医療費と介護費用の両者を合算した高さ(金額)は、上空何百キロにも達するのです。これらは全て、単年度ベースでの金額なので念の為。『放置しておいて良い』ものでしょうか。政権の選択が終わったところで、この問題に目を向けて頂きたいのです。

発病自体を予防して(発病者を大幅に減らして)、出来るだけ早期の段階で発病を見つけて、脳のリハビリの実践指導により治せるものは治して(「介護」が不可欠となる末期の段階にまで症状が進行するお年寄りの数を減らして)、少なくとも症状の進行を遅らせることにより、介護の予防に貢献することが出来る政策を、国策として実行すべきと考えるのです。それでも猶、末期の段階にまで症状が進行してしまって「介護が不可欠」の「高齢者」(「アルツハイマー型認知症」は、『老年発症が特徴』なのであり、発病する人はお年寄りだけなのです)については、その全員について、「介護保険」で対応できる状況を作り出して、現状社会問題となっている「認認介護」や、「介護離職」等を一掃すべきと考えるのです(介護離職した人の数は、累計で100万人を超えてきているのです)。「高齢者」の発病の割合及び総数から見て、持続可能な『超高齢社会』の実現と維持には、「アルツハイマー型認知症の発病の予防の国策に依る実施の制度化」が不可欠なのです。

  私たち「二段階方式」の主張は、世界中の権威とされる機関や人達の主張内容とは、真反対の内容ではあるものの、北海道から九州に跨る全国452の市町村での実践展開により、極めて有効(発病の予防効果)で、有益な(費用対効果)具体的な対策が実践されて、主張内容が正しいことが疫学的な方法により実証されてもいるのです。カロリンスカ研究所やランセット委員会に「論文を提出していない」ので、知られていないだけなのです。国策化を阻んでいるものが、何なのか分からないのですが、民意が、国民の総意が、国策化を要求して欲しいのです。私たち「二段階方式」には、未だ権威が無いのが弱点なのです【但し、二段階方式の主張内容や手技の内容、各種マニュアルに記載の内容、更に、このブログに公開している内容及び図式や脳機能データの分析結果については、著作権が成立しているのです。そのことを認識して、取り扱いには注意して頂きたいのです。著作権法が認める引用の手続きに因らないで、二段階方式の実務研修会を受講して、配布されたマニュアルの記載内容の一部を勝手に自分の著作物で書いている医師や学者がいる、不心得者が居るのです)。新型コロナの感染も全国的に落ち着きを見せてきているし、衆議院選挙が終わったので、政権が落ち着いたら、国策化を再度提言しようと考えて、あれこれ準備しているところなのです。

2012年の3月から、このブログ上に公開し続けていて、毎月最低一回、各回3万字の字数制限枠の中で目一杯、書き続けてきていて、累積総字数が500万字を超えようとしていても、何も変化が起きてこないのです。このブログの存在について、SNSでもっと情報交換して頂けたらと思うのです。kinukototadaoと入力して検索すれば、このブログが出ます。

 

&1 『DSM-Ⅳ』の規定内容の重大な誤りと問題点

1.米国精神医学会が策定した「アルツハイマー型認知症」の診断規程は、現在改訂されて、「DSM-Ⅴ」が最新版なのですが、要件が極めて曖昧な内容となり、一般化されてしまって、基準となりにくく、「DSM-Ⅳ」の規定内容が、医学会、医療機関及び行政機関に対する影響力を、未だに、保ち続けている状況に在ります。

2.「DSM-Ⅳ」の第一要件と第二要件の規定内容の問題点

DSM-Ⅳ」は、「アルツハイマー型認知症」の発病であると診断するに際しては、認知機能障害cognitive deficits)を確認する条件として、「記憶の障害」(memory impairment)の進行(第一要件)の確認及び「失語、失認、失行、又は実行機能の障害を含む機能障害(cognitive disturbance)の進行(第二要件)の確認を要求しています。

(1)ところが、『この規定の内容自体に大きな混乱があり、重大な誤りが有る』ことが、見過ごされているのです。「記憶の障害」が発病を惹き起こす要因であるとする「第一要件」の規定内容も、失語や失認や失行の症状が発病を確認する基準となる症状(発病の初期症状)であると規定する「第二要件」の規定内容も、両者共に重大な誤りなのです。

第二要件」に関しての問題を指摘すると、失語や失認や失行の症状は、「注意の分配力」の機能及び「実行機能」の機能障害、言い換えると、「前頭葉」の機能障害(左脳、右脳及び運動の脳と言う三頭の馬が牽引する三頭立ての馬車の御者が眠り込んでしまっている状態) に起因して発現してくる末期段階の『極めて重度の症状』の例示なのであり、4者が並列的に規定されていること自体が、重大な誤りでもあるのです。「実行機能の障害」(disturbance in executive functioning)には、軽い物から重いものまで、様々な程度がある一方で、失語や失認や失行の症状は、極めて重度の症状(末期の段階である大ボケの段階の、更に後期の段階で、初めて発現が確認される症状)であること並びに失語や失認や失行の症状は、実行機能の機能障害に起因して発現してくる症状なので、論理的な誤りが存する規定でもあるのです。

これらのことに加えて、第一の要件と第二の要件とは同時に確認されることが要求されているのです(cognitive deficits manifested by both )。その結果、第一要件は、単なる記憶障害(例えば物忘れ)の症状ではなくて、「極めて重度の記憶障害」の症状であることが、要求されているのです。その結果、専門の医師達も、極めて重度の記憶障害の症状を確認して初めて発病と診断しているという訳なのです。

(2) 私たち人間だけに特有な世界である『意識的な世界』では、「記憶に無いこと」について、思考することも、行為することも、行動することも出来るのです。例えば、新機軸のテーマの発想、或いは、作曲についての創意、工夫の例のように、『意識的な世界』における思考、発言、行為や行動は、「体験や知識」の記憶がなくても、実行することが可能なのです。『記憶』と言う機能は、重要ではあるが、意識的な世界にとって不可欠の機能ではないのです。『意識』が関わる世界、『意識的な世界』(且つ、目的的な世界)では、注意の分配力の機能こそが、最も重要で、不可欠で、核心的な機能なのです。『注意の分配力』の機能は、『異なる3つ以上の意識及びテーマを同時に並行して処理』する上で不可欠の機能であり、『あの人は、頭の回転がとても速い』と言う言葉に代表されるように、とっさの判断及び処理に不可欠の機能でもあるのです。注意の分配力の機能の基礎に「注意の集中力」の機能があり、注意の集中力の基礎に「意欲」の機能があるのです。私たち「二段階方式」が、前頭葉の三本柱の機能と名付ける意欲、注意集中力及び注意分配力の機能が、最も核心的な機能であることに、権威とされる人達が未だに気づいていないことが問題なのです。

意識が覚醒している状態下では、基本的に異なる複数の意識覚醒の度合いがそれぞれに異なる複数の意識が併存しているのであり、それらの意識の構築、統合、分離、統括は、『注意の分配力』の機能が担っているのであり、分析、発想、比較、選択、企画、計画、検索、シミュレーション、推理、洞察、抑制、決定、決断、感動等の個別認知機能群の総称である『実行機能』の働き具合(機能レベル)を支配し、下支えている要の機能が、『注意の分配力』の機能なのです。記憶は、記銘し、保持して、想起するという行程を辿ります。その際、記銘度が高いほどよく想起されるのですが、記銘度の高さは、注意の分配力の機能の関与の在り方に左右されるのです。「注意の分配力」の機能について、廃用性の加速度的で異常な機能低下が進行して行ったとき、末期の段階である「大ボケ」の世界では、記銘度は極めて低いものでしか有り得なくなるのです。

『直接の因果関係』の有無と言う視点から厳密に言うと、『注意の分配力』の機能がほとんど働かなくなってきていることに起因した「直接」のアウトプットが、失語や失認や失行の症状として発現してくるものなのです。記憶の障害に直接起因して発現してくる訳ではないことに、注意して頂きたいのです。このことに気付くことが『アルツハイマー型認知症』の発病のメカニズムの解明に不可欠となるのです(「アミロイドベータ仮説」が主張の組み立ての根拠にしている「マウス」には、『注意の分配力』の機能が備わっていないのです)。

(3)『アルツハイマー型認知症』の発病は、前頭葉の三本柱の機能の「廃用性の機能低下」の進行が出発点となるものなのです。『注意の分配力』の機能について、廃用性の加速度的で異常な機能低下が進行してきている末期の段階、失語や失認や失行の症状が発現してくる段階(極めて重度の症状)では、「実行機能」(Executive Function)の機能の発揮が出来ないのです(機能発揮上の二重構造の存在)。「実行機能」が機能を発揮する度合い自体については、「注意の分配力」の機能が、左右し、支配し、下支えている機能構造をしているからです。

前頭葉の三本柱の機能が、廃用性の加速度的で異常な機能低下が進行してきた結果、機能構造関係の反映の結果、「実行機能」が働かないのでは、『前頭葉』(前頭前野に局在する前頭葉の三本柱の機能、実行機能、評価の物差しの機能、記憶の倉庫の機能等を含む脳機能総合体)の機能は、顕現化して来る場面が出てこないのです。この機能構造の連鎖を理解することが、『アルツハイマー型認知症』が、「廃用症候群」に属する老化・廃用型の『生活習慣病』【ただし、食生活とか糖尿病の発病とは、無関係であり、『第二の人生』を送る上で日々展開される「脳の使い方としての生活習慣」、追及すべき特定の「テーマ」が無く、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものも無い、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」であることに留意する)であることを解明する上で、不可欠となるのです。その意味で、「注意の分配力」の機能も、「実行機能」も、「前頭葉」の機能も備わっていない「マウス」を追いかけまわしていたのでは、どんなに深く掘ろうと、掘る手段を変えようと、発病の原因を解明することは出来ないのです。

(4)そもそも、「アルツハイマー型認知症」の症状の発現は、記憶障害が原因ではなくて、前頭葉の三本柱の機能(意欲、注意の集中力、注意の分配力を総称して言う)の機能障害に起因した『実行機能』の機能障害に起因して発現して来るものなのです。「DSM-Ⅳ」が第一の要因として掲げている「記憶の障害」自体も、注意の分配力を核とした前頭葉の三本柱の機能の機能障害に起因して発現して来るアウト・プット、その一つの形態に過ぎないのです。記憶の障害は(自体が)、認知機能の障害に起因して起きてきているのだから、記憶の障害を引き起こす原因要因について追及すべきものであるのに、なぜか放棄されたままなのです。私たち「二段階方式」は、&4で詳細を説明するように、「注意の分配力」を核心とする前頭葉の三本柱の機能の廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行が、実行機能の、最終的には、前頭葉を含む脳全体の機能についての、廃用性の加速度的で異常な機能低下を惹き起こすことが唯一直接の原因で、認知機能の障害が惹き起こされてくることに因り、「アルツハイマー型認知症」を発病することになると主張しているのです。

(5) 失語や失認や失行は、前頭葉の三本柱の機能障害に起因した「実行機能」の機能障害に起因して発現して来るものなのであって、「記憶の障害」に起因して、失語や失認や失行の症状が発現して来るわけでもないのです。様々な要因間の 因果関係の存在(連鎖)についての考察がずさんな規定というしかないのです。

(6) 意識が関わる世界、意識的な世界(目的的な世界)における各種認知機能の発揮の連鎖及び機能障害の連鎖という視点が欠けていて、推測だけに基づいて定義が為されていることが、「重大な誤りの規定内容」を導き出しているのです。

(7) 「DSM-Ⅳ」の規定内容は、規定内容に重大な誤りが存するものでありながら、未だに、世界的に大きな影響力を有する規定内容なのです(権威が絶大)。          

この規定の内容が正しいものとして、その前提に立脚した学説である「4つの学説」が、未だに、世界中の医学会を席巻していて、我が国だけでなく、世界中の医療機関で、失語や失認や失行の症状を確認して初めて、『アルツハイマー型認知症』の発病との診断が行われているのです(「末期の段階」で発病を見つけて、「発病のレッテル貼り」をしているだけの診断)。

(8) その結果として、失語や失認や失行の症状よりも軽い症状が見落とされているのです。そうした軽い症状は、「アルツハイマー型認知症」の発病としての症状ではなくて、『MCI(軽度認知障害)』であるとされ、「アルツハイマー型認知症」の発病の前駆的段階であるとされているのです。然も、『MCIの基準』が判定の手法としているのは、「物忘れの症状」の外観からの観察だけなのです。彼等権威は、上掲した格言が正しいと信じて居るのでしょうか。世界中の権威とされる人達は、「注意の分配力」の機能及び「前頭葉」の機能についての理解が浅く、「注意の分配力」の機能レベルや「前頭葉」の機能レベルを精緻に判定できる「手技」を持たないのです。その結果、外観からの観察だけに頼るものであり、客観性が全く担保されていない上に、根拠となる脳機能データの提示もなく、『MCI』が、判定基準として通用すると誤解しているようなのです。

(9)彼等は、「権威はあるものの、実力が無く」て、様々な程度及び態様により発現してくる『アルツハイマー型認知症』の症状が、『前頭葉」を含む脳全体の機能レベルに厳密にリンクした、「三段階」に区分される症状が発現してくることさえ知らないのです。

(10) 我が国では、重度の物忘れの症状の主観的な判定に因る『MCIの基準』が判定基準とされていて、「介護」が不可欠となる症状、実は極めて重度の症状が発現してくる時期を僅かでも遅らせることだけに的を絞った「介護の予防」が、当面市町村が担う重要課題として、展開されているのです。 早期診断による回復も、発病自体の予防も、研究課題の地位にあるのです。

 従来から懸念されている「2025年問題」に加えて、新型コロナ感染回避策としての「3密の回避」に徹した生活習慣、極めて単調な脳の使い方としての生活習慣が、1年10ヶ月間も徹底して継続されてきたことの直接の結果として(アミロイドベータタンパクが蓄積したわけではないので念のため)、「アルツハイマー型認知症」の新規発病者(権威とされる機関や人達が見落としている、ごく初期の段階、二段階方式の区分で言う「小ボケ」のお年寄り)の数が、激増してきていることが見落とされているのです。加えて、発病者の症状の重症化が進行してきてもいるのです【小ボケ⇒中ボケ⇒大ボケ】。権威達が気づいていないだけ。

 

&2  発病原因に関する「仮説の問題点」

(1) アミロイドベータ仮説(我が国では、東大、京大、理化学研究所が牙城)が、世界的に通説の地位に在って、記憶の障害を惹き起こす要因として、アミロイドベータの蓄積に因る老人斑の生成(アミロイドベータ仮説)、タウタンパクの蓄積に因る神経原線維変化タウタンパク仮説)、アセチルコリンの不足(アセチルコリン仮説)及び脳の萎縮(萎縮仮説)という「4つの仮説」が存在。仮説という意味は、発病の原因(記憶障害を惹き起こす原因)として主張されている各内容とアルツハイマー型認知症の発病との間の因果関係の存在を未だに立証できていないという意味なのです。仮説である限り、単なる推測、憶測の域を出ていないというしかないのです。

(2) 「アミロイドベータ仮説」の主張者や支持者たちは、前頭葉という脳機能も、注意の分配力という脳機能も備わっていない、「マウス」を研究対象にしているのです。間違った場所を、間違った方法で、深く掘り下げているだけなのです。

(3) アルツハイマー型認知症が、意識が関わること、意識的な世界(目的的な世界)が関わるタイプの認知症であることに気づいていなくて、『前頭葉』の機能レベルや『注意の分配力』の機能レベルという視点を殆ど持たないし、脳の機能レベル(働き具合)を精緻に判定し、評価出来る「手技」さえ持っていないのです(彼等が持っているのは、傘としての権威だけ)。

&3  新たなターゲットを追求する医学会の現在の状況と結果の混乱

(1)『アルツハイマー型認知症』の発病原因について世界中の医学会の状況は、アミロイドベータ説、タウタンパク説、アセチルコリン説及び脳の萎縮説という『4つの仮説』が提示され、未だに主張されているのです。中でも、アミロイドベータ説(アミロイドベータという蛋白質が何等かの機序により、情報を伝達する役割を担っている神経細胞に沈着して発現する老人斑なるものの持つ毒性が、沈着した神経細胞の大量死を惹き起こし、「記憶の障害」が惹き起こされることが原因で、『アルツハイマー型認知症』を発病するとの仮説)が通説の地位を占めているのです。我が国の状況で言うと、東大、京大、理化学研究所が『アミロイドベータ説』の牙城なのです。とはいえ、「仮説」であるということは、『「発病の原因」として主張されている内容と「アルツハイマー型認知症」の発病との間に存在するはずの肝心の「因果関係の存在」を未だに立証できていない』ということなのです。言い換えると、それらの主張内容は、単なる推測、憶測の類ということなのです。私たちは、『MMSE下位項目の項目困難度』が示す「衰えて行く順番」の指標、早期の段階(小ボケ及び中ボケ)の「滞留期間」の指標から、或いは、「脳の老化のスピード差をもたらす生活習慣要因」等の「脳機能データ」が示す「事象事実」から、『アルツハイマー型認知症』の本態は、廃用症候群に属する老化・廃用型の『生活習慣病』に過ぎないのであり、「アミロイドベータ」の蓄積による老人斑は、「アルツハイマー-型認知症」の発病原因ではなくて、「末期の段階」にまで症状の重症化が進行した副産物ではないのかと考えているのです。

(2) アリセプトを含む「4種の薬」

ドネペジル(アリセプト)やガランタミン、リバスチグミンは、開発した製薬会社が主張するような、症状の進行を抑制する効果(治療効果)を有してはいないのです。前頭葉を含む脳全体の機能レベルという視点も無ければ、その機能レベルの変化を精緻に判定する手技も持たないために、効果の有無の評価を誤っているだけなのです。上記4種の薬には、何等の治療効果は存在していないのです。単なる対症療法薬(症状の発現の仕方を昂進させ、又は、抑制する、効果があるだけのもの)に過ぎないのです。「二段階方式」が集積し、解析した脳機能データ『脳の老化のスピード差をもたらす生活習慣の要因』が、証拠となるのです。

(3)世界的に巨大な規模の製薬会社が、「アミロイドベータ説」の考え方に立脚して、「アルツハイマー型認知症」の治療薬の開発に挑戦し、その全てが失敗に終わっているのです。発病後では、いかなるタイプの薬を投与しても効かないので、「発病の予防」が唯一残された途だとして、脳内に「アミロイドベータ」が僅かでも検出された段階で、アミロイドベータを除去する方法新たなターゲットとなってきているようなのです(エーザイの「アデュカヌマブ」、或いは、東大の「光認知症療法」)。発病との間の直接の因果関係自体が存在してもいないものは、どのようにターゲットを変更しようと、無駄骨に終わるのです。治療や予防の効能を有することには、ならないのです。

※1アデュカヌマブ

エーザイが、治療薬としての効能を申請し、現在認定の検討段階に在る「アデュカヌマブ」は、基礎理論が、アミロイドベータ仮説であり、発病を予防する効能も、症状の進行を抑制する(遅らせる)効能も有してはいないのです。

開発した製薬会社の効能に関する評価の仕方がずさんな為に、効能があるかのような誤った評価が為されているだけなのです。「二段階方式」が極めて多数の発病者の脳機能データの集積と解析の結果として有する【脳の老化のスピード差をもたらす生活習慣の要因】と照らし合わせて評価が行われるべきなのです。

※2光認知症療法

最近東大が発表した「光認知症療法」も、開発の基礎理論がアミロイド・ベータ仮説なのです。アミロイドベータが蓄積して、『アルツハイマー型認知症』を発病してしまうと、「治療の効能」を有する薬の開発は困難との考え方に立脚したもの、言い換えると、アミロイドベータが僅かでも蓄積したなら、出来るだけ早期に蓄積したアミロイドベータを除去する方法が、発病の予防或いは、症状の進行の抑制に効能を発揮するのではとの推測に基づいた薬の開発に過ぎないのです。アミロイドベータとアルツハイマー型認知症の発病との間には、直接の因果関係が存在していないので、この方法に因る薬の開発にも、何等の効能は期待できないのです。私たち「二段階方式」が、14689例にも及ぶ「アルツハイマー型認知症」発病患者の「脳機能データ」の解析結果として確認している【MMSE下位項目の項目困難度】の厳密な規則性の存在だけでも、アミロイドベータ仮説の主張内容は、破綻しているのです。

(4)   アルツハイマー型認知症は、人間だけに特有な世界、「意識的な世界」(且つ、目的的な世界)が関わるタイプの認知症なのであり、注意の分配力の機能が真っ先に異常なレベルに機能低下して行くことを特徴としつつ、前頭葉の三本柱の機能、実行機能、それらの機能総合体である『前頭葉の機能』が、廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させていき、順次、異常なレベルに機能が低下して行くことが真の原因で発病する認知症、廃用性症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病が『本態』なのであり、発病を予防したり、症状を治したり、症状の進行を抑制する効能を有する『薬』が開発されることは、「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズムに照らしてみて、未来永劫、有り得ない事なのです。

 

&4  『アルツハイマー型認知症』の本態と発病のメカニズム(By 「二段階方式」)

         ⇒

前頭葉』(改訂版かなひろいテスト)と「左脳及び右脳」(MMSE)の機能レベルを判定すると、「上図右端」の図のような分布図となるのです。

(1)様々な種類が数ある認知症の内の大多数、「90%以上の割合」を占めていて(その割合についても、権威達は、二段階方式が提示する小ボケ及び中ボケの段階に気づいていないために、我が国での発病者数を600~700万人と予測している厚労省の予測数値よりはるかに多数の発病者が存在していることに注意)、世界中の権威とされる機関や人達から現在もなお、『発病の原因が不明で、治すことが出来ないし、発病自体を予防することも出来ないタイプの認知症である』との誤った情報が発信され続けていて、発病の原因については、単なる憶測レベルのものに過ぎない「4つの仮説」が提示されている状況に在る『アルツハイマー型認知症』は、正しくは、『小ボケ及び中ボケの段階で発病を見つけること、即ち、早期診断と脳のリハビリの実践、即ち、早期治療とにより、治すことが出来るのであり、更には、前頭葉が活性化する生活習慣の構築と継続的な実践とにより、発病自体を予防することが出来るのです』。

(2)発病の「第一の要件」は、60歳を超えた年齢の高齢者であることなのです。発病の「第二の要件」は、「第二の人生」を送る上で日々繰り替えされる「脳の使い方」としての単調な『生活習慣』の継続、追及する「テーマ」が無く、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものも無い、言い換えると、ナイナイ尽くしの単調な『生活習慣』の継続です(猶、ここで言う「生活習慣」とは、「意識的な世界=意識が関わる世界」における脳の使い方としての生活習慣のことであり、食生活とは無関係のものであることに注意)。

(3)第一の要件第二の要件という異なる二つの要因同時に存在し充足されることに因る「相乗効果」に因って、意識的な世界を構築し、統合し、分割し、管理し、コントロールしている機能である前頭葉の三本柱の機能(意欲、注意の集中力及び注意の分配力を総称して、二段階方式が呼称)が廃用性加速度的異常機能低下が進行して、異常な機能レベルに衰えて行くことの連鎖、機能構造面からの連鎖により、意識的な世界(且つ、目的的な世界)の要の機能である「実行機能」(分析、理解、判断、発想、計画、企画、検索、洞察、推理、憶測、シミュレーション、比較、選択、抑制、決定、決断、感動etc.の個別認知機能群の総称=Executive Function)の廃用性加速度的で異常な機能低下の進行、最終的には、『前頭前野に局在』する機能総合体としての『前頭葉』の機能について、廃用性加速度的異常機能低下が進行していくその先に、『アルツハイマー型認知症』の発病及び症状の重症化の進行が待っているのです(今日現在では未だ、世界中を見ても、私たち「二段階方式」独自の見解)。

※1)「実行機能」の機能の発揮度は、「前頭葉の三本柱」の機能、就中、注意の分配力の機能により下支えられ、支配され、コントロールされているという機能関係、「実行機能の機能発揮上の二重構造の関係」が存在しているのです。

更には、意欲、注意の集中力、注意の分配力という多層で多重の機能構造と機能関係の面から、廃用性の機能低下の進行に際しては、注意の分配力、注意の集中力、意欲の順番に衰えて行くことになるのです。

※2) 『意識的な世界』は、「三頭立ての馬車」が運行する世界と考えれば、理解し易いと思います。左脳、右脳及び運動の脳という三頭の馬が牽引する馬車の御者が『前頭葉』なのです。即ち、意識的な世界における脳全体の司令塔の役割を担っているのが『前頭葉』と総称される脳機能総合体のことなのです。アルツハイマー型認知症は、器質的な原因病変ではなくて(存在していなくて)、廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行が発病及び症状の重症化の進行を惹き起こしている真犯人なのです。

※3) アルツハイマー型認知症の発病者である場合は、前頭葉、左脳、右脳、運動の脳の順番に、廃用性の機能低下が進行して行くのが特徴なのです。その意味で、二段階方式が「小ボケ」と称する段階では、馬車を牽引する役割に過ぎない左脳、右脳および運動の脳は、全てが未だ正常な機能レベルに在るのです。馬車の運行を支配しコントロールしている御者である前頭葉の機能だけが既に異常な機能レベルに在るのです。三頭の馬が正常な機能レベルに在ろうとも、御者が居眠りしている状態にある状況下では、馬車の正常な運行は期待出来ないのです。意識が覚醒している状況下での、全ての認知、思索、思考、発言、行為、行動、言動は、前頭葉の機能レベルを厳密に反映(リンク)したものとなるのです。

意識的な世界』における脳全体の「司令塔の役割」を担っている『前頭葉』の機能が異常な機能レベルに衰えてきている「小ボケ」の段階は、左脳、右脳および運動の脳の全てが正常な機能レベルに在っても、前頭葉を含む脳全体の機能レベルのアウト・プットは、異常なものとなるのです。言い換えると、「小ボケ」の段階は、言うまでも無く「中ボケ」の段階も、『アルツハイマー型認知症』の発病の本当の意味での早期の段階であるということなのです。世界中の権威とされる機関や人達は、『DSM-Ⅳ』の第二要件が、「失語、失認、失行」が発病の初期症状であると規定しているその重大な誤りに未だに気づいていなくて、失語、失認、又は、失行の症状(或いは、それ等よりも、更に重い症状)が確認されるお年寄りだけを発病者とする重大な誤りを犯しているのです。『失語、失認、又は、失行の症状』は、左脳と右脳の機能レベルを判定する手技であるMMSEを実施してみると、「11の下位項目」から構成されていて、30点が満点である『MMSEの総得点』が一桁の得点、9点以下のレベルの「発病者」だけに確認される症状、『極めて重度の症状』であることが分かるのです。

注)このブログの(F-11)に挙げてある小ボケ、中ボケ及び大ボケの段階で確認される類型的な症状を見てください。末期の段階である大ボケになってくると、「記憶障害」がらみの症状が目に付くようになってくる(But、記憶障害が原因で発現して来てはいないことに注意)のですが、初期の段階の小ボケや中ボケの症状は、記憶障害の症状が極めて少ないだけでなくて、意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能が異常なレベルであることに起因した症状が特徴的なのです。末期の段階の症状しか知らない権威達(医師を含む)は、こうしたことさえ知らない儘なのです。表情や感情を表出するには、「評価の物差し」が働くことが基盤となり、且つ、「注意の分配力」の機能が正常な機能レベルに在ることが不可欠なのです。大ボケの段階になると、表情がなくなり、無感動になるのは、廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行により、「注意の分配力」の機能が、殆ど働かなくなってきていることが原因なのです。

(4)上述のメカニズムが、『アルツハイマー型認知症』発病のメカニズム(原因)なのであり、二段階方式が世界で初めて解明し、北海道から九州に跨る452の市町村での実践展開の指導により、主張内容が正しいことを、疫学的方法により実証してきたものなのです。その詳細な内容については、厚労省の認知症施策推進室との協議の際に説明し、顕著な成果の脳機能データを提出済みのものなのです。世界中の権威とされる機関や人達の主張内容と真反対のものであるために、『介護の予防』というテーマ(介護が不可欠となる状態にまで、アルツハイマー型認知症の症状が進行して行く時期を少しでも先延ばしする為の諸施策の実行)が、市町村での当面の実行課題とされている『政府大綱』の第一条の規定に在るように、将来の研究課題の地位に留まって居るのです。

「発病自体の予防」というテーマに手が付けられないでいて、早期診断による回復にも手が付けられないでいるのです。CT、MRI、PETまでも動員しながら、失語や失認や失行の症状の確認を待って発病と診断するという、「末期の段階」で発病を見つけて居るだけの診断及び効きもしない対症療法薬の処方の為の医療費等の総額並びに介護に要している総額、一般会計と特別会計の合計総額は、天文学的な規模に在るのです。発病自体の予防と言う二段階方式による極めて有効な減額対策が示されているのだから、喫緊の課題である国家財政の均衡に役立ち、国策化実施により得られる減少額を原資に、我が国の浮沈がかかっている『少子化回避対策及び地方の活性化対策』に投入することも出来るのです。

(5)介護の予防とは言っても、「物忘れの症状」の主観的な観察が主要件であるに過ぎない「MCI」(「軽度認知障害」)の基準に因る判定に頼っているだけでは、実効性は期待できないのです。感染の拡大が五波にも及んで、新型コロナ感染の回避策として有効な「3密の回避」に徹した『生活習慣』(脳の使い方としての単調な「生活習慣」そのもの)が、1年10ヶ月にも亘って継続されてきている状況下で、アルツハイマー型認知症の新規発病者(小ボケ)が、激増してきている社会現象に、専門家で権威とされている機関や人達が、未だに気づいてはいないのです。加えて、症状の重症化の更なる進行が起きてもいるのです。

これまで騒がれてきた2025年問題に加えて、感染の拡大が五波に及んだ新型コロナ問題が発病者の増加に拍車をかけているのです。発病の予防というテーマに手を付けないで、介護の予防しかテーマにしていないと、早晩、介護保険制度が財政面から破綻する状況が起きてくるのです。年金原資の消費税化を発言しただけで、圧倒的に有利とされていた総裁候補が惨敗するような状況下で、介護保険料の更なる値上げなど到底無理なのです。新型コロナ問題が落ち着いた暁には、総選挙後のテーマ、『財政の均衡』という命題が、マスコミをにぎわすことになるのです。経済の回復による税収増は、当面は困難な状況で、「出を制する」政策が最優先課題として、求められることになるはずと考えるのです。

(6)その最も効果的で有益な施策が、様々な種類が数ある認知症の内の90%以上を占めている『アルツハイマー型認知症』の『発病自体の予防』というテーマの国策化による実施なのです。介護費用の総額の減少や発病のレッテル張りをしているだけの診断費用の総額の減少だけでなくて、高齢化率が高い地方や地域の活性化にもつながるからです。「アルツハイマー型認知症」を発病した場合に備えて「節約と貯蓄に励む」高齢者の生活が、発病の予防となる方法の追求、前頭葉が活性化する生活行動や習慣を求めて活動が活発化することによって、高齢者の人流の増加に因る経済の活性化効果が期待できることになるのです。65歳以上の年齢の「高齢者」の総数が3600万人にも達しているのですから。

本著作物「F-14」に掲載され、記載され、表現された内容に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。このブログ中の内容の一部を引用する際は、必ず、著作権法の規定に則って引用してくださるようお願いします(特に、医学会に身を置く人達に、お願いします)。 エイジングライフ研究所のHP左の部分をクリック)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

脳の機能面から診るアルツハイマー型認知症の正体(B-90)

2017-09-15 | アルツハイマー型認知症発病のメカニズム

今日は、「第二の人生」を送っておられる高齢者である皆さんが最も興味があるテーマについてのお話です。権威ある人達が主張している内容は全て「仮説」です(主張している内容と「アルツハイマー型認知症」の発病との間の因果関係が未だに立証されていないということなのです)が、私たちの主張の内容は、仮説ではありません。 学説としては通説の地位にある「仮説」であり後述するアミロイドベータ説の場合、我が国だけでなくて、欧米の巨大な規模の何社もの製薬会社が当該仮説の考えに立脚して治療薬の開発に挑戦してきていて、且つその全てが失敗に終わっているという厳然たる事実が存在しているのです。それに対し、私たちが主張している説(廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」であるとの主張)の場合は、北海道から九州に及ぶ広域にわたる452の市町村での住民参加型の「地域予防活動によりその主張内容が正しいこと及び実践の成果としての実績を確認してきているという「活動の実績」が存在することを書き留め、皆さんの注意を喚起しておきたいと考えるのです。

我が国でも、東京大学や京都大学や理化学研究所と言えば、極めて高いレベルでの研究実績を誇っていて、世間での評価も高く、レスペクトも高く、その様々な研究分野で極めて高い実績と権威を誇っていることを疑う人はいないと思うのです。『ところが、こと「アルツハイマー型認知症」の研究方法及び研究結果についてだけは、全く異なる状況というか、研究レベルが低いと言わざるを得ない』のです。

我が国だけでなくて、世界中の認知症の専門家達の間で、『「アルツハイマー型認知症」は、発病の原因が分からないし、症状を治す方法が見当たらないし、発病を予防する方法も分からない』とされてきているのです。それでいて発病との間の因果関係の立証が未だに為されないままである様々な仮説」の類が主張され続けているのです。アセチルコリン説、アミロイドベータ説、タウ蛋白説、脳の萎縮説と言ったそれらの「仮説」は、まるで澱みに浮かぶ泡沫のように、いつの間にか出てきて、しばらく医学会という波の間に浮かんでいたかと思うと、いつの間にか消えて行ってしまうのです。その結果、彼等の間で取り上げられる「アルツハイマー型認知症」の症状の類型についても、外観から推測した「記憶障害」に起因したらしき症状が挙げられている程度のものに過ぎないのです。その上、「記憶障害」自体も「器質的な病変」が原因で起きてきているとの大前提に立っての仮説としての主張(憶測に基づいた単なる推論)に過ぎないのです。

後述するように、「アルツハイマー型認知症」の症状の発現には(発病、発症)、「器質的な病変」の存在が全くのこと確認されないこと並びに「記憶障害」に起因して発病することも確認されないのです。「アルツハイマー型認知症」の発病と(症状の発現と)器質的な病変の存在(アミロイドベータの蓄積、タウ蛋白の蓄積、或いは、脳の萎縮)との間に並びに「記憶障害」との間には、肝心の因果関係自体が存在していないということなのです。アミロイドベータ説もタウ蛋白説も脳の萎縮説もそれら全ての主張は、『因果関係が存在しているのではないか』との推測や憶測に基づいただけの単なる「仮説の類」に過ぎないことに、主張している側も聞いている側も注意していただきたいのです(『僅かな量でのアミロイドベータの蓄積や、或いは、タウ蛋白の蓄積を検知する方法を開発したからと言って、そのことが、「アルツハイマー型認知症」の早期発見に結び付く訳のものではない』ということを指摘しておきたいのです)。もう少し厳しい言い方をすれば、因果関係の立証が未だに為されない儘での主張であり、疫学的なレベルでの立証さえもなく、医学的な根拠も無く、科学的な根拠も無く、論理的な帰結としての主張の内容でもない、推測に基づいただけの単なる憶測である仮説を何時まで主張し続けるのかと問いたいのです。社会的な影響力がある、発信力が有るということは裏を返せば、社会的な責任があるということでもあるはずなのです。その自覚を持っていただきたいと願うのです。社会的な影響力と社会的な責任と言えば、マスコミも同じことなのです。主張内容をチェックすることも無しに、単に受け売りするだけで、彼らが主張する時々の言い訳じみた主張内容の変更を、重要な内容の発表でもあるかのように、流さないでいただきたいのです。

私たちが独自に開発した極めて精緻な神経心理機能テストである「二段階方式」の手技を活用して集積した、生きた人間の前頭葉」を含む脳全体の機能レベルに厳密にリンクした症状としての14689例にも及ぶ多数の「アルツハイマー型認知症」の症状を解析して得られたもの、『「アルツハイマー型認知症」の場合には、MMSEで判定される脳の後半領域、左脳と右脳の機能の衰え方にも厳密な順番が認められる』こと、『MMSE下位項目の項目困難度』と言う明確で、客観的な指標が存在することからも、これまで主張されてきた全ての「仮説」、アセチルコリン説、アミロイドベータ説、タウ蛋白説、脳の萎縮説等は、それら各々の主張の根拠を失うことになることを強調しておきたいのです。

前頭葉」(「前頭前野」を言うものとする。以下、同じ。)を含む「脳全体の機能レベル」を反映した認知症の症状の発現、言い換えると、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」の廃用性の機能低下が最初に単独で開始され、且つそのことを基礎(中核)としつつ、次いで左脳、右脳及び運動の脳という順番で、高度で複雑な機能から順番に衰えてくるという性質が確認される『廃用性の機能低下』の進行という、或る意味で極めて厳格な規則性を保ちつつ、三頭立ての馬車の「御者」の役割を担っている「前頭葉」を含む脳全体としての機能レベルに厳密にリンクした形での症状の発現、すなわち、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルを直接、且つ厳密に反映したものとしての認知症の症状、それが、『「アルツハイマー型認知症」の症状として発現してくるもの』なのだということさえも、「アセチルコリン説」を含む上述の仮説の類を主張している専門家達は、未だに気づいてはいないのです。結論から先に言うと、『脳の使い方としての「生活習慣」に起因した、廃用性の加速度的で異常な機能低下が直接の原因となって、様々な程度及び態様での認知症の症状が発現してくる』、『それが、「アルツハイマー型認知症」の症状が発現して来るメカニズム」であり、且つ様々な種類が数有る認知症の内でも、「アルツハイマー型認知症」だけに特有な性質でもある』のです。

&1 「アルツハイマー型認知症」の発病原因に関わる様々な「仮説」

私は、我が国で販売されている「アルツハイマー型認知症」を主題とした書物の全てを、精読してきました。そこに書かれている内容は、推測や憶測に基づいた自己主張であるか、或いは、他人の説の単なる受け売り程度の内容の物ばかりというしかないのです。認知症の、「アルツハイマー型認知症」の専門家とされる人達が著作した書籍を通じて皆さんが知るに至った「アルツハイマー型認知症」の症状についても、実は或る意味で、いい加減なものなのです。その理由はと言うと、「アルツハイマー型認知症」の発病の原因(機序)が何であるのかが分かっていない上に、米国精神医学会が策定し、世界的な権威が有るとされている「アルツハイマー型認知症」の診断基準である「DSM-4」の規定に依拠して観察し、判定し、考察した自己主張の類か、他人の説の単なる受け売りの内容の物ばかりという実態だからなのです。特段の客観的な基準もなしに単に並べ立てているだけだからなのです。

 それらは、「DSM-4」の「第一の要件」で確認が要求されている「記憶障害」の症状と考えられている(記憶障害に起因した症状らしきもの)症状を中核としていて(実は、後述する「小ボケ」の症状の類型に見るとおり、「小ボケ」の段階では、「記憶障害の症状」、或いは「記憶障害に起因した症状」は、その欠片さえも確認されないのです)、その他に、客観的な根拠基準もなしに、見当識障害や判断力の低下等が挙げられていて、更には、「DSM-4」の「第二の要件」で確認が要求されている失語や失認や失行の症状(又は「実行機能」の障害としての症状と規定されている)等が挙げられているのが通常のことだからなのです{失語や失認や失行の症状自体が、廃用性の加速度的で異常な機能低下に直接起因したものとしての「実行機能」の障害を中核とした左脳又は右脳又は運動の脳との総体としての機能レベルを直接、且つ厳密に反映した症状であることさえも知らないで、それらを同一のものとして並列して規定しているのです}。権威と主張内容のレベルとが一致していないもの、はっきり言うと、「支離滅裂」の主張内容なのです。

「DSM-4」が規定する「アルツハイマー型認知症」の診断基準としての第一の要件及び第二の要件に掲げている規定内容自体が重大な誤りであり、『諸悪の根源である』ことは、このブログで具体的で詳細な根拠を示して指摘してきている通りなのです。重大な誤り、基本的な誤解と誤った推測(憶測の類に過ぎない)に基づいた規定内容でありながら、その権威が大きすぎるが為に、世界中の脳科学者や認知症の専門家達の誰もがその規定内容を疑うことをしないで居て、徒に追従しているだけなのです。恥ずべき世界なのです。

規定内容の重大な誤りに気づかないで居て、さも専門家であるかのごとくに、中核症状とか随伴症状とかに区分していたりするのです。中核症状として区分けている症状が発現してくるメカニズム自体について無知なので、随伴症状として区分している症状が発現してくるメカニズムについても無知なのです。自己満足に基づいた区分と言うか、主観的な基準に基づいて区分している以上の意味を有していないのです。そこには、専門家としてのプライドさえないのです。あの誤りだらけの規定である「DSM-4」の規定の「第二の要件」が確認を要求している失語、失認、失行(又は実行機能の障害)と言う規定を鵜呑みにしていて、そのまま並べているという程度のものに過ぎないのです(実行機能とは「前頭葉」機能のこと)。

それでいて実は、脳科学者も、認知症の専門家達も、更には「アルツハイマー型認知症」の専門家達も、世界中の専門家と言われる人達の誰もが、私たち人間の「意識」について未だに無知であり(『「意識」が生じてくるメカニズムを正しく、的確に定義出来たら、それだけで、「ノーベル賞」もの』と言われているのです。)、私たち人間だけに特有な世界である『意識的な世界』を構築し、統括し、支配し、コントロールしている「前頭葉」と言う脳機能についても無知なのです(「意識」についての私たちの理解するところの詳細について興味のある方は、このブログの「B-09~B12」を参照してください)。「前頭葉」と言う脳機能は、私たちの意識的な世界を構築し、統括し、支配し、コントロールしていて、左脳、右脳及び運動の脳から構成される三頭立ての馬車の「御者」の約割を担っている、言い換えると、脳全体の司令塔としての役割を担っているのです。脳全体での認知の世界を「前頭葉」が構築し、統括し、支配し、コントロールしている世界、それが私たち人間だけに特有な世界である「意識的な世界」なのです(本能に基づいたものではなくて、「選択」と言う機能要素を有する意識的に何かの「テーマ」を発想し、実行に移す世界のこと)。

このことを言い換えると、「前頭葉」の機能レベル次第で(正常な機能レベルに在るのか、正常下限の機能レベルに在るのか、異常で初期の機能レベルに在るのか、異常で中期の機能レベルに在るのか、異常で末期の機能レベルに在るのか)、私たち人間だけに特有な世界である「意識的な世界」での、脳全体としての機能のアウトプットである症状の構成内容並びに発現の程度及び態様が変わってくることになるのです。その結果、彼等が単に並べているだけの記憶障害、見当識障害や判断力の低下、更には、失語や失認や失行の症状等は全て「前頭葉」を含む脳全体としての機能レベルを直接、且つ厳密に反映したものになるということにさえ気づいてはいないのです。私たち人間だけに特有な世界である「意識的な世界」では、様々な種類と程度と態様とにより発現してくる幾つもの「テーマ」が同時に存在していて、「注意の分配力」の機能の管理の下で、選択という「前頭葉」の個別認知機能による働きにより、同時に並行して、取捨選択されていて、浮かんでは消え、時には消えては浮かんできているのです(BGMでマライア・キャリーの歌声を楽しみながら、移り行く景色も楽しみながら、行き交う車や人の流れに、或いは道路状況や信号にも注意を分配しながら、北朝鮮問題について助手席に乗せている友人と激論を交わしながら、車を運転している私の前頭葉の働き、就中「注意の分配力」の働きぶりを想像してみてください。最近流行りの、「Dual Task」なんて程度のものではないのですけど)。そうした意識の世界を構築し、統括し、支配し、コントロールしている「前頭葉」と言う脳機能、脳全体の司令塔としての役割を担っている「前頭葉」という脳機能に忍び寄ってくる二つの要因、一つは、「加齢」に起因した機能低下という要因と、もう一つは、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」の継続に起因した廃用性の機能低下と言う要因、その二つの要因(条件)が「同時に充足される」状況の下で、廃用性の加速度的で異常な機能低下が進行していく、その先に、「アルツハイマー型認知症」の発病及び症状の重症化の進行が待っているというだけのことなのです。分かってしまえば、コロンブスの卵程度のことに過ぎないのに、何時まで、マウスのお尻を追い掛け回してばかりで居て、迷路をさ迷い歩いているのですか。

二段階方式」の手技を活用して集積した私たちの「脳機能データ」によると、様々な程度及び態様により発現してくる「アルツハイマー型認知症」の症状は、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルに厳密にリンクしたものなのであり(後述する定義を参照してください)、アミロイドベータの蓄積とかタウ蛋白の蓄積とか脳の萎縮とかと言った「器質的な病変」とは無関係のものであり、加えて、「記憶の障害」に起因して発現してくるものでもないことが分かるのです。症状が次第に重いものになっていく世界は、記憶障害が次第に重くなっていくこととは無関係なのであり、アミロイドベータやタウ蛋白の蓄積量が次第に増えていくこととは無関係の世界なのです。

『アミロイドベータの蓄積により生成された老人斑の持つ毒性により、情報を伝達する役割を担っている神経細胞の大量の細胞死が惹き起こされることに起因した「記憶障害」が原因で「アルツハイマー型認知症」の症状が発現してくる』とするアミロイドベータ説と言う学説は、発病との間の因果関係を未だに立証できてもいない単なる「仮説」と言うか、科学的及び医学的な根拠も無い、憶測に基づいた推測に過ぎないのです。ところが、我が国で言うと、上述の理化学研究所や東京大学や京都大学がその牙城であり並びに米国では、あのハーバード大学がその牙城なのです。

専門家とは口先だけのもので、誰か他の権威の取り上げた内容を無批判に受け売りしているだけのものなのです。米国や我が国を含む世界中の発病者数が5000万人を超えていて、この先さらにその数が増大していくと予測されている超大型の、且つ「超高齢化社会」に特有の病気である「アルツハイマー型認知症」についての世界中の専門家達の理解のレベルがその程度に過ぎないのです。重度の症状を示していた人達の死後の脳の「解剖所見」の内容が類似したものであろうとも、『生まれつき特定の遺伝子に異常が確認される人達だけを対象として発病し、30歳代から50歳代の若い年齢で発病し急速に症状が進んで行き、治すことも予防することも出来ないあの若年性の「アルツハイマー病」と「第二の人生」を送っている60歳を超える年齢の「高齢者」だけを対象として発病し、症状が何年間もかけて緩やかにしか進行していかないで、治すことも予防することも可能であるタイプの認知症、廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」(但し、食生活ではなくて、脳の使い方としての生活習慣であることに留意する)に過ぎない老年性の「アルツハイマー型認知症」とを混同していて』、おまけに、両者をまとめて「アルツハイマー病」と呼んでひとくくりにしている人達が何故か我が国では多いのですが、何をもって『専門家』と称しているのか聞いてみたいのです。「権威がある人達が言っている」からと言って、『そのまま信じては、いけない』その典型ともいえるものなのです。

&2 「アルツハイマー型認知症」の三段階に区分される「段階的な症状」の類型 

そこで私たちの基準、私たちが「アルツハイマー型認知症」の発病や症状の重症化の原因を解明する為に独自に開発した精緻な神経心理機能テストである「二段階方式」の手技を活用して集積した14689例にも及ぶ「アルツハイマー型認知症」の症状(その症状は、「小ボケ」の段階の症状であれ、「中ボケ」の段階の症状であれ、更には「大ボケ」の段階の症状であれ、全てが生きた人間の「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルに厳密にリンクしたものなのです)並びに廃用性の機能低下を惹起する基礎に在る脳の使い方としての「生活習慣」に関わる「生活歴」(生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもないナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」の継続)の判定と鑑別と聞き取りの結果に基づいて類型化した、これぞ「アルツハイマー型認知症」の症状の典型と考える症状を「三段階」に区分して以下に8種ずつ例示します。「三段階」に区分する理由と根拠は、専門の医師達や学者達から「治すことが出来ない」とされている「アルツハイマー型認知症」は、「脳のリハビリ」(「前頭葉」の活性化を必須として、「前頭葉」を含む脳全体の機能が活性化し、機能レベルが回復してくるような脳の使い方としての「生活習慣」の改善、工夫及び継続的な実践)と言う方法により治すことが出来るものなのであり、その可能性の有無及び程度から、私たちは、以下のように「三段階」に区分しているのです。

〇「小ボケ」(軽度認知症)の段階の典型的な症状の類型

(1)   脳の機能面からの定義

「アルツハイマー型認知症」の初期の段階である「軽度認知症」(小ボケ)は、左脳と右脳と運動の脳は機能レベルが未だ正常レベルなのですが、『脳全体の司令塔である「前頭葉」の働きだけが、廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行により異常な機能レベルに衰えてきている』のです(「二段階方式」の手技による判定と鑑別)。

 その為、「前頭葉」の機能の中で最も基礎的で且つ重要な働きであり、意識の構成要素に対する「認知度」及び機能の発揮度を下支えし/左右している「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の機能(「前頭葉」の三本柱の機能)が的確、且つ十分には働かなくなってきていることが直接の原因なのです。その結果、行為の目的であるテーマ自体とテーマの中身を構築している構成要素に対して、「前頭葉」の個別認知機能が正常な機能レベルで働かないのです。更には、認知している対象である「記憶」の各構成要素の内容についても、「記銘」、「保持」及び「想起」の機能の発揮が不十分なものとなっているのです。簡単に言うと、日常の「社会生活」面で発生してくる種々のテーマを実行するのに必要となるレベルでの「前頭葉」の認知機能が、潜在的な機能レベルの低下により、十分には発揮出来ない機能状態に在るのです。こうした条件下/状態下で行われる為、状況の理解と判断、実行テーマの発想及びテーマに沿った実行内容の計画並びに実行手順の構成、更には、状況の変化に対応する機転や状況の変化の見通しに基づく修正及び実行の決断等が的確には出来なくなってきているのです。こうした事態は、「空気ポンプ」に例をとって説明すれば、空気をチューブに送る役割のゴム管部分に支障があるからではなくて(アミロイドベータ説やタウ蛋白説の考え方:情報を伝達する役割を担っている神経細胞の大量の細胞死が主因だとする考え方)、そもそも、チューブに空気を送り込む働きをする役割のポンプの部分自体の機能がちゃんと働いていないせいなのです(脳全体の司令塔としての役割を担っている「前頭葉」の廃用性の加速度的で異常な機能低下に起因した機能発揮レベルの低下が主たる要因で関連する情報の伝達及び情報の処理が的確に行われなくなっているに過ぎないのです)。「小ボケ」のイメージは、何かにつけて人を頼ろうとする『指示待ち人』が特徴なのです。

(2) 「軽度認知症」(小ボケ)に特有で、代表的な症状の8項目

□ 発想が乏しくなって、画一的な行動が目立つようになる

□ 何事にも億劫で面倒がり、やろうとする意欲が見られない

□ 一日や一週間の計画が立てられず、なにも思いつかない様子

□ 問いかけに対する反応が遅く、生き生きした笑顔が見られない

□ 根気が続かず中途半端なことを繰り返し、やりかけが目立つ

□ 目の光がどんよりとしていて、普段の顔つきが無表情となる

□ 歩くとき前屈みの姿勢で、小股でトボトボと歩く

□ 自分に自信がなくなり、何かにつけて人を頼ろうとする

注)「アルツハイマー型認知症」の発病としての症状、言い換えると、「小ボケ」の段階の症状が発現してきているお年寄り達の脳の何処にも、「器質的な病変」はその欠片も見当たらないのです。加えて、「記憶障害」に起因したと考えられそうな症状は全くのこと確認できなくて、それらの全てが、「前頭葉」の機能低下に起因したものと考えられる症状ばかりなのです。

〇「中ボケ」(中等度認知症)の段階の典型的な症状の類型

(1)   脳の機能面からの定義

「中ボケ」のイメージは、家庭内の簡単な用事程度のこともちゃんとできないのに、口先だけは一人前、「言い訳のうまい幼稚園児」が特徴です。「前頭葉」の機能が異常なレベルに衰えてきているとはいえ、「小ボケ」には、自覚があります。「意欲も湧かないし、根気が続かないし、てきぱき出来ないし、発想も湧かないし、物事に感動することもないし・・・」と感じていて、『以前の自分と比較して、自分のどこかがおかしい』という自覚を明確に持っていて、自分の状態に「不安」を感じているのです。ところが「中ボケ」の段階になると、「前頭葉」の機能レベルが更に異常なレベルに低下してきている上に、左脳及び右脳の機能も異常なレベルに低下してきている為に、そうした自覚を持つこと自体が出来なくなります。自分の状態に対する自覚がないので、不安も全く感じていないのです。逆に、家族が『こんなところが、おかしいと』指摘しても、『そんなことはない。私は、ボケてなんかいない』と言い張り、自分のおかしな行動についての、一端の言い訳(ヘリクツの類)ばかりを並べ立てるのが特徴なのです。ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」の継続に起因した廃用性の加速度的で異常な機能低下が進行しているが為に、「前頭葉」を含む脳全体の機能が異常なレベルに機能低下してきていて、状況の理解も不十分で、反省することも出来なくて、何をどうしたら良いのかを組み立てることも出来なくて、判断力も低下していて、『それなりの反応が出来るのは、口先だけ』ということになるのです。

(2) 「中等度認知症」(中ボケ)に特有で、代表的な症状の8項目

□ 簡単な計算さえもしなくなり、お札ばかりで買い物をして、やたらと小銭がたまる

□ 家庭内の簡単な用事程度のこともきちんとできない(部屋や洗濯物の整理、食後の片付け、簡単な庭仕事さえもきちんとできない)

□ 自分が飲む2~3種類の服薬管理ができない

□ 服の着方に無頓着で、重ね着が目立つ(セーターの上からシャツを着る。裏表や前後ろに着る)。

□ 入浴時の温度管理が出来ず、体を洗わないとか石鹸がついたまま

□ 料理の味付けが変になる(塩加減が極端に変になる。塩辛すぎて、周りが食べられないようなものを作り、本人だけが平気で食べる)

□ 行き慣れている所に行くのに、スムーズに行けない(行き先の違う乗り物に乗ったり、行き道を間違えたりする)

□ 季節が分からなくなる(夏にセーターなど、季節違いの服を平気で着る)

〇「大ボケ」(重度認知症)の段階の典型的な症状の類型

(1)   脳の機能面からの定義

「中等度認知症」(中ボケ)の段階になっても「老化現象」と勘違いして気づかないまま手をこまねいて居て、相変わらずナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」が継続されていると、「前頭葉」を含む脳全体の廃用性の機能低下が更に加速度的に進んでいきます。「アルツハイマー型認知症」の末期の段階である「重度認知症」(大ボケ)は、「前頭葉」を含む脳全体の働きが「中等度認知症」の段階よりも更に異常なレベルに衰えてきているのです。左脳と右脳の働きも、幼稚なレベルの機能が僅かに残っている程度である上に、脳の司令塔の役割を担っている「前頭葉」は殆ど機能しなくなっています。

「大ボケ」のイメージは、「脳が寝たきり」状態にあるのが特徴なのです。その為、「意識的な世界」における「前頭葉」の個別認知機能の認知度及び機能の発揮度を左右する「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の機能が殆ど働かなくなってきている状態なのです。「重度認知症」(大ボケ)の脳の働きは、3歳児以下(下は、0歳児まで)のレベルと考えて下さい。「前頭葉」、左脳、右脳の機能の衰えが進行していく中で、30点が満点で14点以下から大ボケの段階に入っていくMMSEの得点が一桁の点数になってくるあたりから、運動の脳も異常なレベルに衰えてきて、「DSM-4」の規定の第二の要件が確認を要求している失語や失認や失行などの症状が発現して来ることになるのです。とは言え、「大ボケ」の初期段階であれば(医療現場では、このことを誤って、「アルツハイマー型認知症」の初期という表現を使用しているのですが、回復させることが可能な本当の意味での初期とは、私たちの区分でいう「小ボケ」及び「中ボケ」の段階までのことなのです。「大ボケ」の段階の症状が発現してくるまでに「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルが低下してくると、もはや治すことは出来なくなるのです)脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」が殆ど寝たきりの状態になっている為、これまでの人生で何度となく体験して身体に浸み込んでいるような「言葉」や「テーマ」、或いは「状況」に対しては或る程度の対応が出来るのですが、折々に直面する新しい状況や身体に浸みこむほどの経験が無いテーマに対しては、理解することも対応することも出来ないのです。精神科医が「アルツハイマー型認知症」であると診断する第一の要件である「重度の記憶障害」の症状は、「認知」能力それ自体の低下の進行と「記銘」、「保持」及び「想起」の機能が極めて不十分にしか働かない為に起きてくるものなのです。脳の司令塔の「前頭葉」が、殆ど働かなくなっている(寝たきり状態に在る)上に、左脳や右脳や運動の脳も極めて不十分にしか働かない「大ボケ」の段階では、自分の身の回りのことをするセルフケア」にも支障が出てきます。食事をしたり、服を着たり脱いだり、お風呂に入ったり、トイレの後始末をしたりといった、身の回りのことも自分で出来なくなり、日常生活面での介護」が不可欠の状態となるのです

(2) 「重度認知症」(大ボケ)に特有で代表的な症状の8項目

□ 着ている服を脱ぎたがらず、便で汚れた下着をそのまま平気で着ている

□ 風呂に入るのを嫌がり、怖がるようになる

□ 服を正しく着られず、ズボンを頭からかぶったり、上着に足を通したりする

□ 家族の名前を間違えたり、子供を配偶者と間違えたりする

□ 自宅に居ても落ちつかず、外に出て行きたがる

□ 大小便を失敗しても、後の処置や始末ができない

□ 今は昼なのか夜なのかがわからなくて、夜中に騒ぐ

□ 痛んだものを平気で食べ、食べ物でないものを口にする

注)これらの症状が「記憶障害」に起因したものだと主張する、その科学的及び医学的な根拠は何なのか。私たちは、意識的な世界を構築し、統括し、支配し、コントロールしていて、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」と言う脳機能が、廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させてきたその直接の結果として、殆ど機能しえないまでに衰えてきた脳の機能レベルを直接反映しているに過ぎないと主張しているのです。それは、推測や憶測ではなくて、14689例もの生きた人間の「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルに厳密にリンクした症状である「アルツハイマー型認知症」の症状の解析結果に基づいた主張なのです。

私達が服を着るとき、ズオンであるか、上着であるかを判断し、上着であれば裏表がどちらか、ボタンをかけるタイプかどうか、どのような手順で着ればいいか等を的確に見極めた上で、必要な動作を、適切な手順で的確に行っているのです。上掲の『 服を正しく着られず、ズボンを頭からかぶったり、上着に足を通したりする』と言った症状、「アルツハイマー型認知症」としての症状は、「記憶の障害」が原因で服を正しく着ることが出来ない訳ではないのです。上着とはどういうものであり、どのようにして、どのような手順で着るものなのかを忘れたが為に着ることが出来ない訳ではないのです。「前頭葉」の三本柱の機能の中でも最も高度な機能であり最も早く衰えて行く機能である「注意の分配力の機能」(異なった「テーマ」を同時に並行して処理する為の機能)が殆ど機能しないまでに機能低下してきていることが直接及び中核の原因で、加えて、左脳、右脳及び運動の脳までもが廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させてきたことが直接の原因で、『服を正しく着ることが出来ない』だけなのです。『家族の名前を間違えたり、子供を配偶者と間違えたりする』という症状も同じことなのです。「子供を配偶者と間違える」のは、記憶障害に起因している症状ではなくて、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルを反映しただけのもの、就中、『注意の分配力の機能が、殆ど働かないレベルにまで、廃用性の機能低下の進行により機能が低下してきている』為なのです。

「DSM-4」の規定が「第二の要件」で確認を要求している失語、失認又は失行の症状(「大ボケ」の段階の更に後半の段階、MMSEの得点が一桁になるまでに「前頭葉」を含む脳全体の機能の機能レベルが衰えてきて初めてこれらの症状の発現が確認される極めて「重度の症状」なのです)も『服を正しく着ることが出来ない』症状の事例で説明したのとまったく同じメカニズムの下で発現してくるものなのであって、『「記憶障害」に起因して、それらの症状が発現してきている』との考え自体が、重大な誤り、誤解に基づく単なる憶測なのです。

「アルツハイマー型認知症」としての症状は、「記憶障害」に起因した症状だとする考えは(典型例で言うと「DSM-4」の規定が、第一の要件としてその確認を要求している訳なのですが)、科学的、医学的及び論理的な根拠があるものなのではなくて、死後の脳の解剖所見に見られる老人斑(アミロイドベータ説神経原線維変化(タウ蛋白説、或いは脳の萎縮(脳の萎縮説を犯人と決めつけていて、加えて、外観から観測し、推測し、憶測しただけの症状らしきものを根拠としているだけの仮説、肩書に物を言わせただけの主張に過ぎないのです。「器質的な病変」とか、「記憶障害に起因」したものとか言うトラウマに凝り固まっていて、肝心要の要件である、『「前頭葉」を含む脳全体の機能低下』と言う視点及び『廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行』と言う要因を見落としてしまっているのです。

&3 三段階に区分される「アルツハイマー型認知症」の症状の特徴

(1)   標語的な表現による全体としての特徴

ⅰ)「小ボケ」の段階の特徴

上掲の症状の類型にも観察されるように、「小ボケ」の段階の特徴を一言、簡潔な表現で語れば、「指示待ち人」なのです。

ⅱ)「中ボケ」の段階の特徴(6~4歳児のレベル)

上掲の症状の類型にも観察されるように、「中ボケ」の段階の特徴を一言、簡潔な表現で語れば、「言い訳のうまい幼稚園児」なのです。

ⅲ)「大ボケ」の段階の特徴(3~0歳児のレベル)

上掲の症状の類型にも観察されるように、「大ボケ」の段階の特徴を一言、簡潔な表現で語れば、セルフケアも出来なくて、日常生活面での介護が不可欠となる状態、「脳が寝たきり」の状態にあるのです。

(2) 症状の回復(症状が治せる)とその可能性

世の中では、「アルツハイマー型認知症」の症状を発病したお年寄りの為の薬として、それらの代表的なものである「アリセプト」を含む4種類の薬が医療現場では処方されています。但し、それらの薬のいずれもの薬が、症状を治す(改善させる)効能は有していなくて、言い換えると、治療薬ではなくて、対症療法薬(すべての患者に効能が期待できるのではなくて、ケースによっては、症状の進行を半年から1年、遅らせることが期待できるものとするのが、製薬会社自体の謳い文句)として製造されているのです。私たちは、&2で取り上げ、説明する「生活要因」の存在から、それらの治療薬は主張する効能との間に要求される因果関係自体が存在しないと考えているのです。それらの治験の評価段階で、私たちが独自に発見した要因である「症状の継続期間と脳の老化のスピード差をもたらす生活要因」の存在について無知であるが為に、「因果関係の不存在」という真実の実態を見落としているだけのことなのです(誤った評価をしている)。

私達が独自に発見し、住民参加型の「地域予防活動」の活動の柱(根拠)として実践してきた「アルツハイマー型認知症」の症状を治す方法である「脳のリハビリ」(「前頭葉」を含む脳全体の機能を活性化する「生活習慣」の改善、工夫及びその実践)による回復(「アルツハイマー型認知症」の症状を治すことを言う)の可能性と言う視点から、「アルツハイマー型認知症」の症状を三段階に区分しているのです。

「小ボケ」の段階 「脳のリハビリ」により治すこと(「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルを正常なレベルに回復させることを言う。以下、同じ)が容易

「中ボケ」の段階 「脳のリハビリ」により治すことが未だ可能

「大ボケ」の段階 「脳のリハビリ」により治すことが最早困難

&4 症状の継続期間と脳の老化のスピード差をもたらす要因

下記注)に例示するような「生活状況」の発生が「キッカケ」となり、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まり、半年から1年の経過により(ナイナイ尽くしの単調な生活習慣の内容とその程度及び本人の受け止め方に起因した意欲の喪失の程度並びに周囲の家族の関わり方の程度等の要因により、発病までの期間の差が出てきます)、「アルツハイマー型認知症」を発病することになります。発病してから3年間「小ボケ」の期間、「中ボケ」の期間が23年間続き、発病してから56年経つと「大ボケ」になる」というのが大原則であり、判定の標準的な指標となります。

「大ボケ」のレベルになると、正常レベルへの回復を期待することはもはや困難となります。その「大ボケ」のレベルの中で、運動の脳や右脳を刺激する「生活改善」により或る程度の改善がみられることはありますが、「中ボケ」レベルへの改善の見込みさえも極めて低いものになってしまいます。ここまで「前頭葉」を含む脳全体の機能についての廃用性の機能低下が進行してしまうと、右脳や運動の脳は、「大ボケ」の枠の中での或る程度の改善が未だ期待できるのですが、左脳と肝心の「前頭葉」の機能の機能レベルが改善できなくなってしまうのです。 とはいえ、「大ボケ」レベルで、右脳や運動の脳を刺激する「生活改善」を試みることさえもなく、介護しているだけの状況下では、症状は更に重いものになっていきます。身体が持つ限り認知症の症状が進行していき、最後は寝たきりの植物人間状態にまで脳の機能が衰えて行くことになるのです。同じ「大ボケ」のレベルといっても、大河の幅のようにその幅は極めて広いものなのです。但し、「大ボケ」レベルでも(MMSEの得点が二けたの段階までであれば)、右脳や運動の脳を刺激する「生活改善」を実践していれば、症状の進行はそれだけ緩やかなものになることが期待できるのです。

「小ボケ」や「中ボケ」のレベルの間であれば、脳の使い方としての「生活習慣」の具体的な影響により「前頭葉」の「三本柱」の出番が増えたり減ったりする中で、脳の機能レベルの顕著な「改善」や「低下」が見られるのです。言葉によるコミュニケーションが可能なので、「脳のリハビリ」(脳の使い方としての「生活習慣」の改善、工夫と実践)の意味を本人が理解できるので、家族の支えと後押しがあれば、「脳のリハビリ」を続けることができるからです。また、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続されているように見えてはいても、実際の生活場面や実態を詳細に聞き取ってみると、それなりに「プラス要因」の生活が入り込んでいたり、逆に「マイナス要因」の生活が入り込んでいたりするものなのです。上述の基準に適合しないケースは、下図に例示する「プラス要因」と「マイナス要因」の「生活習慣」の質と量とが「前頭葉」機能に働いて、「アルツハイマー型認知症」の症状の更なる進行や回復に影響を与えているのです。

私たちが独自に開発した「二段階方式」の手技を活用するときは、定期的に「前頭葉」の機能レベルを「かなひろいテスト」により及び「左脳と右脳」の働き具合をMMSEという神経心理機能テストで測定し、脳全体としての機能レベルを判定した上で、「30項目問診票」により認知症の症状を聞き取ることにより「生活の自立度」を判定し、更には、「キッカケ」の発生を契機として始まったナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」としての「生活実態」の聞き取り(「生活歴」の聞き取り)から、その期間中の脳の使い方としての「生活習慣」を具体的にチェックします。「二段階方式」では、神経心理機能テストによる定期的な脳の働き具合(「前頭葉」を含む脳全体としての機能レベル)の総合的な判定結果を、「改善」、「維持」、「低下」の三段階に区分し判定します。そして、対象期間中の「生活習慣」を脳の機能レベルの判定結果と照らし合わせるのです。「改善」、「維持」、「低下」の各々のケースについて、その人の脳を活性化させるような「生活習慣」としての生活実態があったのか、プラス要因やマイナス要因がどのように入り混じっていたのか、或いは、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続したままだったのか等を詳細にチェックするのです。そうした判定によると、脳の機能レベルの推移(改善、維持、低下)と対象期間中の脳の働き具合を支える「生活習慣」としての生活実態とは、必ず合致していることが分かるのです。それは、「アルツハイマー型認知症」の本態が廃用症候群に属する「生活習慣病」であるからこそ成立することであり、アミロイドベータやタウ蛋白の蓄積とは無縁のものであることの証拠でもあるのです。

そうした極めて多数の事例の分析とデータの積み重ねから、上記「老化のスピード差」の期間が導き出されているので、この「小ボケ」、「中ボケ」の期間は標準的な指標となるのです。ところで、「大ボケ」の期間というものは存在しません。「大ボケ」の段階にまで症状が進行してくると(「前頭葉」を含む脳全体の機能についての廃用性の加速度的で異常な機能低下がそこまで進行してしまうと)、身体がもつ限り(老衰により及び他の何らかの病気が原因で、死を迎えることになるまで)、『「大ボケ」の枠の中で、症状が更に進行していくことになる』だけなのです。その意味で、末期の段階である「大ボケ」の段階の症状が確認されるお年寄りを家族が介護する、所謂「家族介護」は、絶対に制度化すべきではないのです。家族に計り知れない負担(精神的負担、肉体的負担、経済的負担及び自分の人生を脇において介護するだけの人生と言う負担)を強いることとなり、「老々介護」や「認認介護」や「介護離職」と言った「有ってはならない社会現象」を生み出すことになるからなのです。

上述の指標となる標準的な期間と実際の個別ケースの期間との間に差異があるときは、「プラス要因」と「マイナス要因」とが複合して「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルの変化に影響を与えているのです。その実態を丁寧に確認する作業がとても重要なのです。こうした多数のデータの積み重ねから、専門家達から原因も分からないし治らない病気とされている「アルツハイマー型認知症」を発病する原因は、「加齢」(「第二の人生」を送っている、60歳を超える年齢の「高齢者」であること)が第一の要因であり、その年齢条件の下での脳の使い方としての「生活習慣」(生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもない、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」)の継続が第二の要因であることが分かってきたのです。

この場合、どのような「キッカケ」が「前頭葉」を含む脳全体の機能の廃用性の機能低下をもたらす要因としてのナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」を惹起させることになるのかについては、標準的なものを類型化して導き出すことはできるのですが、絶対的なものはなくて、あくまで相対的なものだということが留意すべき重要なポイントです。「キッカケ」となりそうな出来事の発生や生活状況の変化を個々の本人の「前頭葉」がどのように評価したのかが、「前頭葉」の「三本柱」の意欲、注意の集中力及び注意の分配力の働き具合に直接影響するからなのです。「キッカケ」の発生を契機として意欲を喪失してしまい、ナイナイ尽くしの「単調な日々」としての生活習慣が始まり継続することが、「アルツハイマー型認知症」の発病に直結していくことになるのです。

 更に、「小ボケ」と「中ボケ」のレベルであれば、日々の「生活習慣」の改善により、正常レベルへの脳機能の回復が可能であることが分かったのです。但し、「大ボケ」のレベルにまで脳の機能が衰えてしまった人達は、「中ボケ」レベルへの機能の回復さえも期待できないことも分かったのです。「大ボケ」のレベルに在るお年寄りは、「前頭葉」を含む脳全体の機能が極めて異常なレベルに低下したレベルに在ることに加えて、「前頭葉」及び「左脳」の異常なレベルへの機能低下によりコミュニケーション自体が殆ど機能しないので、本人が「脳リハビリ」の意味も目的も理解できなくて、「脳のリハビリ」自体が実行できないからなのです。従って、「アルツハイマー型認知症」の場合は、早期発見(「小ボケ」及び「中ボケ」の段階での発見)と早期治療(「脳のリハビリ」)が極めて重要だということなのです。猶、ここで言う「治療」とは、「前頭葉」の出番が増えて、脳全体の機能が活性化するような脳の使い方としての「生活習慣」の改善、工夫及びその実践のことを言います。飲む(貼る)だけで「前頭葉」を含む脳全体の働き具合を回復させる効果が期待できるような/症状の進行を抑制し又は防止する効果が期待できるような薬は、この世の中には存在するはずがないし、開発されることも未来永劫有り得ない事なので注意してください。

現在、殆どの医療機関で行われているような、「重度の記憶障害」の症状並びに「失語、失認又は失行」の症状を基準にして診断する方法では、回復困難な「大ボケ」の段階でしか「アルツハイマー型認知症」の発病を見つけることは出来ないのです。回復可能な本当の意味での早期の段階(私たちの区分で言う「小ボケ」と「中ボケ」の段階)を見逃してしまうと、回復の見込みはなくなり、「介護するだけ」の対応しか残されていないのです。

 単調な生活が始まる「キッカケ」となる生活状況の類型

既に説明したように、「出来事の発生、或いは、生活状況の変化」に対する受け止め方が人によって違うので、一概には言えないのです。新たなテーマを見つけて、それ迄と変わらず、それなりに生き甲斐や目標がある楽しい生活を続ける人もいれば、立ち上がる「意欲」を喪失してしまい、生き甲斐や目標もない、趣味や遊びや人づきあいも楽しまない、言い換えると「前頭葉」の出番が極端に少ない生活に変わってしまう人も少なからずいるのです。私たちが「脳機能データ」として集積した多数の症例から言えば、「キッカケ」の類型としてまとめたものは、「ナイナイ尽くしの単調な生活」が始まるキッカケ」となる可能性が比較的高いと言えるということなのです(「キッカケ」については、ここを「クリック」して下さい。

但し、こうした具体例のような「生活状況」がそのまま「キッカケ」になるかどうかは人それぞれなので、一概には言えないのです。私たちがまとめてみた「キッカケ」の類型は、ほんの一部であり、これと言った限定されるような性質のものではないのです。そうした「生活状況及び環境の大きな変化」や「生活上の重大な出来事の発生」が、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が開始される「キッカケ」となるかどうかは、そうした変化に遭遇した本人の受け止め方」次第ということなのです。本人にとっての生活に占める重要度と痛手を感じる深さ次第で、影響が変わってくることに注意してください。ある程度重要なものに見えても、本人の痛手が小さければ「キッカケ」にならないし、周りからみてそれ程重要そうでなくても、本人の痛手が大きければ「キッカケ」になるのです。そのことが、「アルツハイマー型認知症」を発病する「お年寄り」の年代別の発症率が高い理由なのであり、高齢になるにしたがって発症する割合が高くなっていく理由でもあると考えられるのです。

&5 アルツハイマー型認知症の正体(発病のメカニズム)

誌面の許されたページ数の都合で、「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズムについての概略を記すにとどめます。

様々な種類が数有る認知症の内の90%以上の割合を占めているのが「アルツハイマー型認知症」なのです。従って、認知症を発症しているお年寄り達の場合、その大半は、「アルツハイマー型認知症」を発病しているお年寄りと言うことになる訳なのです。ところが、その肝心の「アルツハイマー型認知症」については、『発病のメカニズムが分からないし、発病自体を予防したり、或いは、症状の進行を抑制したり、更には、症状を治すことについて、その方法が全くのこと不明』とされてきているのです。これが、世界中の認知症の専門家とされる人達(学者、研究者、医師達)や権威があるとされる世界中の研究機関や世界的な大手の製薬会社の一致した見解でもあるのです。その見解の内容は、誤ったものであるにもかかわらず、権威があるというだけの理由で、世界中に浸透しているということなのです。それがために、『真実を言うと、「アルツハイマー型認知症」と言うタイプの認知症こそが、発病を予防することが出来るし、治すことが出来る認知症の典型であるにもかかわらず、発病を予防することが出来ないし、治すことが出来ない』とされてきているのです。

そうした状況の中で唯一、私たちだけが、『「アルツハイマー型認知症」と言うタイプの認知症は、廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」であって、食生活ではなくて、脳の使い方としての「生活習慣」に起因した病気であり、発病自体を予防することが出来るし、早期の段階で見つければ治すことが出来る』と主張しているのです。但し、権威があるとされる人達や機関の主張が「因果関係」の立証が為されないままでの、単に「観念的」で「概念的」な主張(仮説)であるのに対して、私たちの主張は、私たちが独自に開発した神経心理機能テストである「二段階方式」という「手技」を活用して集積してきた14689例にも上る極めて精緻な「脳機能データ」の解析結果(発病のメカニズムの裏付けとなるデータ)と北海道から九州に至るまでの全国452を数える市町村での住民参加型の「地域予防活動」と言う、対象を「アルツハイマー型認知症」に特化した『発病自体の予防と早期診断による回復とを明確な目的とした実践型の活動』の成果に基づいた、「実証が伴った主張」でもあるのです。

そして、認知症について権威があるとされる世界中の認知症の専門家達から発病の原因(メカニズム)が分からないとされてきている「アルツハイマー型認知症」について、私たちが定義する発病の第一の要件とは、『「第二の人生」を生きている60歳を超える年齢の「高齢者」』であり、発病の「第二の要件」とは、『脳全体の司令塔の役割を担っていて、私たちの意識的な世界を構築し、統括し、支配し、コントロールしている「前頭葉」という機能の廃用性の機能低下(日々の生活面で、使われる機会が極端に少ない状況の下で本来の機能が衰えていくことを言います)の進行、言い換えると、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもない「単調な生活」、ナイナイ尽くしの「単調な生活習慣」の継続という、脳の使い方としての視点で言う「生活習慣」に起因した廃用性の機能低下』という生活要因なのです。ここに定義した「第一の要件」と「第二の要件」とが同時に充足されることにより、その「相乗効果」による結果として、「前頭葉」を含む脳全体の機能が廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させていくこととなり、その先に待っているのが、「アルツハイマー型認知症」の発病及び症状の重症化の進行ということなのです。そこには、認知症の専門家とされる人達が唱える仮説としての主張に基づくアミロイドベータの蓄積やタウ蛋白の蓄積や脳の萎縮とは無関係の世界が厳然と存在しているのです。

「アルツハイマー型認知症」発病の原因は、アミロイド・ベータの蓄積でもなく、タウ蛋白の蓄積でもなくて、脳の使い方としての「生活習慣」、「前頭葉」の出番が極端に少ない、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」の継続ということなのです。「第一の要件」を満たしていても「第二の要件」を満たしていなければ、発病の要件が同時に充足されてはいないので、発病することは無いのです。すなわち、60歳を超える年齢のお年寄りであれば誰でも「アルツハイマー型認知症」を発病する訳ではないということなのです。逆に、「第二の要件」を満たしていても「第一の要件」を満たしていなければ、発病の要件が同時に充足されてはいないので、発病することは無いのです。すなわち、30歳代~50歳代の若い年齢の人達が、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」を日々継続させていても、「アルツハイマー型認知症」を発病することは無いということなのです。

 その最初の段階が、私たちの区分で言う「軽度認知症」(小ボケ)の段階であり、次いで、「中等度認知症」(中ボケ)の段階があって、最後に、末期の段階である「重度認知症」(大ボケ)の段階が待っているということなのです。私たちが、「アルツハイマー型認知症」の症状を上述の「三つの段階」に区分するのは、その区分自体に極めて重要な意味があるからなのです。此処で再度問題を提起しておきたいのですが、「小ボケ」の段階で見つければ、「脳のリハビリ」(脳の使い方としての「生活習慣」の改善と実践の方法であって、「前頭葉」を含む脳全体の働きが活性化する「生活習慣」への改善とその継続的な実施のことを言います。以下、同じ)により、正常な機能レベルに改善させる(認知症の症状自体を「治す」)ことが容易であり、「中ボケ」の段階で見つければ、「脳のリハビリ」にり治すことが未だ可能であり、「大ボケ」の段階で見つけて居たのでは、見つけてももはや遅すぎる、治すことが最早困難なのです。 

末期の段階である「大ボケ」の段階で見つけるということは、厳しく糾弾して言えば、医療機関が不条理で高額な売り上げを稼げるという意味以外に何の意味もないのです。私たちの「二段階方式」のような、保険点数が極めて低い(少額の売り上げしか稼ぐことが出来ない)ものの、極めて精緻な判定ができる「手技」を活用して、本当の意味での早期の段階、私たちの区分で言う「小ボケ」及び「中ボケ」までの段階で見つけて、「脳のリハビリ」を施せば治すことが出来ることには何の興味も関心も示さないで居て(無関心で居て)、高額の保険点数により高額の売上高を稼げはしても、本当の意味での早期の段階では見つけることが出来ない方法であり、使用自体に意味がないCTやMRIやf-MRIや、果てはPET等の機器を使用して、おまけに、もはや治すことを期待できない(不可能)末期の段階である「大ボケ」の段階で見つけているのが医療現場の実態なのです。更なる問題点を指摘しておくと、「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズム及び症状が重症化していくそのメカニズムから言って効くはずもない「」を何種類か処方して、『ケースによっては、症状の進行が緩やかになるかもしれない』とか言って、そもそも効くという根拠自体が極めて疑わしいのに、そのことの根拠を疑うこともしないで、平然と薬を処方してもいるのです。効能についての「因果関係」の確認に関する具体的な問題点を指摘すれば、「アルツハイマー型認知症」の症状が進行するメカニズムについて、「薬」を開発した製薬会社自体が知らない別の要因、私たちが主張する「生活要因」が存在するのです。

ボケる人とボケない人とを区分ける条件とは何なのか。それが、私たちが発病の「第二の要件」として定義しているもの、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」の継続に起因した廃用性の機能低下と言う要因の存在なのです。私たちが定義する「第一の要件」と「第二の要件」とが同時に充足される条件下で、廃用性の加速度的で異常な機能低下が進行していくこととなり、その先に、「アルツハイマー型認知症」の発病及び症状の重症化の進行が待ち受けているだけのことなのです。発病の原因としての「器質的な病変」は存在していないし、様々な程度及び態様により発現してくる症状は、「記憶障害」に起因したものでもないのです。加えて幸いなことに、発病自体を予防することが出来るし、治すことも出来るタイプの認知症である、それが、「アルツハイマー型認知症」なのです。

症状を治すには、薬は全く関係が無くて、私たちの区分で言う「小ボケ」及び「中ボケ」の段階で見つけて、「脳のリハビリ」を実行することが唯一の処方箋になる』のです。『発病自体を予防するには、薬は全く関係が無くて(アミロイドベータを脳内から除去したり、脳内で解消させることとは無関係であり)、脳の使い方としての「生活習慣」の改善及び工夫とその実践を目的とした住民参加型の「地域予防活動」の展開が唯一の処方箋になる』のです。我が国の全ての市町村で、且つ、出来るだけ小さな地域単位ごとに、出来るだけ密な形と内容での住民参加型の「地域予防活動」を展開することにより、「アルツハイマー型認知症」の発病自体の予防を徹底し、更には、私たちの区分で言う「小ボケ」及び「中ボケ」の段階で見つけて、「脳のリハビリ」の実行により治すことが出来るようになれば、何等かの理由により早期の段階で見つけられなくて、末期の段階である「大ボケ」の段階にまで症状が進んでしまったお年寄りを「介護保険」の適用で手厚く介護することが出来るようになるのです。そうすれば、「老々介護」と言う状況も「認認介護」と言う状況も、更には、「介護離職」と言う状況も、我が国の社会状況からは消えていくことになるのです。様々な種類が数有る認知症の内の90%以上の割合を占めている『「アルツハイマー型認知症」こそが、発病を予防することが出来るし、早期の段階で見つければ治すことが出来るものである』にも拘わらず、『発病の原因が分からないし、治すことが出来ないし、発病の予防も出来ない』とかのお題目を唱えつつ、CTやらMRIやらSPECTやら、果てはPETまでも持ち出して、極めて高額な診療費を要求するだけで、治すことが困難である末期の段階、私たちの区分で言う「大ボケ」の段階で見つけて居るのです。その上、因果関係の確認がずさんなだけで、効きもしないのに、『治すこと自体は出来ないが、ケースによっては、半年から1年程度、症状の進行を遅らせる効果が期待できる』とかのお題目で効きもしない薬を処方しているのが医療現場での実態なのです。加えて再度指摘し問題提起しておくと、廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」が本態である「アルツハイマー型認知症」の場合は、発病自体を予防したり、或いは、症状を治したり/症状の進行を抑制したりする効能がある「薬」の開発は、予防薬であれ、治療薬であれワクチン療法であれ、未来永劫有り得ない事なのです。

注)本著作物「Bー90」に記載され表現された内容に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

 エイジングライフ研究所のHP左の部分をクリックしてください)

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アルツハイマー型認知症の発病のメカニズムと学説の検証(B-89)

2017-09-01 | アルツハイマー型認知症発病のメカニズム

  成人するまでが20年、成人してから「第一の人生」が終わるまでが約40年

 定年退職してからお迎えが来るまでの「第二の人生」が20~30年!!

 これが世界でも稀な「超高齢化社会」を実現した我が国日本における 私たちの一般的な一生の工程表なのです。その第二の人生を謳歌することもなく、早々と「アルツハイマー型認知症」を発病する人達が数多くいるのです。

 様々な種類が数有る認知症の内の90%以上の割合を占めている認知症であり、皆さんが普段よく目にしている認知症であり、「高齢化率」が30%~40%を超えると言った市町村では、毎朝、毎晩のように、家を出たまま行き先が分からなくなったお年寄り(いわゆる、徘徊老人)を探す役場のスピーカーが近隣に呼びかけているのが常態化しているのです。発病の年代別比率はと言うと、60歳代のお年寄りの12%、70歳代のお年寄りの30%、80歳代のお年寄りの50%、90歳代のお年寄りの75%、加齢の極まりである100歳代では97%にもなるのです(但し、この数値は、厚労省が発表している末期の段階の「大ボケ」の段階のお年寄りだけの数値ではなくて、「小ボケ」、「中ボケ」及び「大ボケ」の全ての段階のお年寄り達の人数の総計であることに注意してください)。このように、「アルツハイマー型認知症」と言うタイプの認知症は、「超高齢化社会」だけに特有の現象、超高齢化社会特有の「落とし子」と言えるものなのです。ところがその肝心の「アルツハイマー型認知症」については、認知症の専門家と称する研究者も学者も医師も、誰もが皆無知なのです。中に一体何が隠されているのか、或いは何が有るのかも知らなくて、外側から(外観から)、あれこれと類推して、推測や憶測に基づいただけの内容を、如何にも意味ありげに、権威だけを振りかざして、『「アルツハイマー型認知症」は、発病の原因が分からないし、症状を治す方法が分からないし、発病自体を予防する方法もわからないタイプの認知症である』としつつも、その一方では、主張している内容と発病との間の「因果関係」の立証と言う最も重要であるはずのテーマはどこかに置き忘れていて、声高に、様々な「仮説」を主張しているだけなのです。今日は、その化けの皮を一つ一つ、剥がしてみようと思い立ったのです。これは、単なる批判なのではなくて、極めて重要な問題提起なのです。私達には発信力もないし、権威も無いのですが、『主張している内容や根拠は、私たちこそが正しいし、実績もある』のです。

(プロローグ)様々な種類が数有る認知症の内の90%以上の割合を占めていて、世界中の認知症の専門家達(学者、研究者、医師)から、『発病の原因が分からないし、症状を治すことが出来ないし、発病自体を予防する方法が見つからない』とされている「アルツハイマー型認知症」と言うタイプの認知症の発病者数が、最近の報道記事によると、世界全体では5000万人近くに上っており、米国では1000万人を超えていて、我が国だけでも600万人近くいるということなのです。

この数字を目にされた皆さんは全員がその数の多さに驚かれると思うのですが、そんなことで腰を抜かさないでいただきたいのです。実はこの数は、「アルツハイマー型認知症」の末期の段階、私たちの区分で言う「重度認知症」(大ボケ)の段階の症状が発症しているお年寄り達の推定値に基づく数なのです。「アルツハイマー型認知症」には、「脳のリハビリ」と言う方法により治せるかどうかと言う区分で言うと、治すことが比較的容易な段階である「小ボケ」(軽度認知症)、治すことが未だ可能な段階である「中ボケ」(中等度認知症)及び治すことが最早困難となる段階である「大ボケ」(重度認知症)と言う「三つの段階」があるのですが、世界中の認知症の専門家と言われる人達(学者、研究者、医師)がそのことに気が付いていない(見落としている)だけなのです。「アルツハイマー型認知症」の専門家とは名ばかりで、生きた人間ではなくてマウスのおしりを追い掛け回していたり、外観からの症状、重度の「記憶障害」に起因したものらしき症状(或いは最近では、Mild Cognitive Impairment「MCI」とか言う概念を持ち出して、軽度の「記憶障害」に起因したらしき症状)ばかりを見つけては、分かってもいないのに肩書に任せてまとめただけのものを発表していたりするのです。ついでのことに言及するのですが、この「MCI」という概念と言うか基準は、「加齢」に起因して発現してくる症状、言い換えると「脳の老化現象」との区分けさえ十分に出来ていないような代物に過ぎないのです。私たちが発病の「第一の要件」として定義しているように、「加齢」という要素は「アルツハイマー型認知症」発病の重要な要素の一つではあるのですが、『年を取れば誰もが「アルツハイマー型認知症」を発病する訳のものではない』ことは、実態面からも世の中の常識という面からも極めて明白な事実なのです。私たちが発病の「第二の要件」として定義している要素、『ナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続』に起因した「前頭葉」を含む脳全体の加速度的で異常な機能低下という、脳の使い方としての「生活習慣」に起因した廃用性の機能低下という要件と第一の要件との同時存在(二つの要件を同時に充足すること)が発病には不可欠の要件となるのですから。ところが、「MCI」の基準(規定)には、加齢以外の要素としての発病の要件を規定した客観的な要件/条件が記述されてはいないのです。何処の誰がこのような規定(基準)を言い出したのかは知らないのですが、極めて粗雑な規定内容であるとしか言いようがないのです(腹が立ち、苛立ちを覚えるのですが、この程度にしておきます!)。

ところで本題に戻るとして。驚かないでください!生きた人間の意識的な世界に着目して、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」(「前頭前野」を言うものとする。以下、同じ)を含む脳全体の機能レベルとその機能レベルに厳密にリンクした症状並びに症状が発現してくる源である過去数年間の「生活歴」(脳の使い方としての「生活習慣」)と言う視点から、私たちが独自に開発した神経心理機能テストである「二段階方式」の手技を活用して14689例にも及ぶ精緻な「脳機能データ」を集積し、解析し、理論化し、体系化した私たちの推計では、「脳のリハビリ」により、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルを正常なレベルに回復させることが出来る(認知症の症状を治すことが出来る)という意味で言う所の、言い換えると、本当の意味での早期の段階」である「小ボケ」及び「中ボケ」の数を併せると、その数は、「脳のリハビリ」により最早治すことが期待できない、言い換えると、末期の段階である「大ボケ」の数の2倍にもなるのです。専門家と称してはいても、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルと言う「視点」も無ければ、それを精緻なレベルで判定し、鑑別する「手技」を持っていない為に、「小ボケ」の段階に特有な症状及び「中ボケ」の段階に特有な症状が「アルツハイマー型認知症」の症状であることを知らないで(気づかないで、見落としていて)、それぞれを「不活発病」と名付けて満足していたり、「老化現象」と間違え/勘違いしているのです。「脳のリハビリ」により回復させることが可能な「アルツハイマー型認知症」の本当の意味での早期の段階であることに気づかないで居て、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続された儘で放置されていると、「小ボケ」は「中ボケ」に、「中ボケ」は「大ボケ」へと症状が進んで行ってしまうのです。「大ボケ」は、「脳のリハビリ」による回復はもはや困難な段階であり、日常生活面での「介護」が不可欠となるのです。その意味で、「小ボケ」及び「中ボケ」の段階のお年寄りは、「要介護の予備軍」でもあるのです。発病自体を予防することもなく並びに小ボケ及び中ボケの段階で見つければ治せるのに、放置された儘で居るが為に、600万人近くの大ボケの段階の日常生活面での「介護」が不可欠の状態に在る「お年寄り達」が我が国には居るということなのです。

ところで、「アルツハイマー型認知症」については、米国精神医学会が策定した「DSM-4」の規定が世界で最も権威が有る(実は、権威が有るだけで、内容的には間違い)とされていて、我が国だけでなく世界中の認知症の専門家達はその規定の内容を基にして、発病の原因(機序)を考え、或いは、発病の有無を考え、症状の程度を考え、治療や予防薬の開発の方法を考えようとしているのです。この規定の内容が正しいものなのであれば、それらは正しい対応と言えるのですが、実は、この規定こそが“諸悪の根源”なのです。この規定の第一の要件も第二の要件も共に重大な内容の誤りを規定したものだからなのです。第二の要件は、「アルツハイマー型認知症」の発病者であるとの診断を行うに際しては、失語、失認又は失行(規定上は、「又は、実行機能の障害」とある)の内のいずれかの症状が確認されることを要求しているのです。失語、失認、失行の症状は、実は、「末期の段階」であり、私たちの区分で言う「重度認知症」(大ボケ)の段階の中でも更に後半にならないと発現が確認できない症状(30点が満点であり、14点以下になると「大ボケ」の段階と判定されるMMSEの得点が、一桁にならないと発現が確認されない症状)、言い換えると、極めて重度の症状なのです。上述した「アルツハイマー型認知症」の発病者数とは、そうした段階の症状(極めて重度の症状)が確認される人達だけのことを指しているのです。認知症の専門家達とはいっても、「DSM-4」の規定に金縛りにあっていて、その規定の内容を微塵も疑ってはみない人達なのです。この重大な誤りを内包する規定内容の信望者達なのです

私たちは、「アルツハイマー型認知症」と言うタイプの認知症の特徴である、『脳が壊れてもいない』のに、言い換えると、『何等の「器質的な病変」が存在してもいない』のに及び『「記憶障害」に起因している訳でもない』のに、私たちが意識的に何かの「テーマ」を実行しようとする際に様々な程度及び態様での支障が出てきて、自分が置かれている状況の理解と判断、実行内容の計画、実行手順の組み立て、実行結果のシミュレーションとシミュレーションに基づく必要適切な修正、最終的な実行内容及び方法の選択、実行の決定と決断、或いは、手足となって協働する脳の各部(左脳、右脳及び運動の脳)に対する実行の指令等の実行機能の発揮(Executive function)に関わる「前頭葉」を含む脳全体としての認知機能の発揮度に重大な支障が伴うこと(認知症の症状が発現してくること)に着目してきたのです。こうした視点と研究態度は、世界広しと雖も、私達がOnly oneなのです。

 認知症の専門家達とは言っても、我が国を代表する研究機関である理化学研究所、我が国を代表する大学である東京大学や京都大学に所属する研究者や学者達とは言っても、皆さん、マウス(アミロイドベータを注入した「アルツハイマー・マウス」を含む)が餌を探して檻の中を歩き回る行動に関わるマウスの行動の記憶とか、その障害となる物質とかを日夜研究していて、そのデータに基づく推論(憶測)に基づいた「仮説」を組み立て、発病との間の因果関係が未だに実証されてもいないその仮説、推測、推論、或いは憶測に基づいた主張を発信し続けている程度でしかないのです。但し、我が国での権威が極めて高い組織に属する人達でもあるので、その発信力が私たちの組織のそれとは比較にならない程だということなのです。内容的にはそれらを圧倒しているのですが、発信力では、私たちは、負けているのです。内容さえ正しければ良いということにならないところが、こうした医学の世界、病気の解明と言う世界でも存在していることに驚くのです。因果関係を無視したそれらの主張が、世間では、権威を持って罷り通っているのです。それが、現実の社会なのだとは言え。

逆に言うと、それだけの権威が有り、発信力がある訳なのだから、その社会的な責任についてもっと自覚を持っていただきたいのです。何時まで、誤りだらけの情報を発信し続けるのかと言いたいのです。そこで、今日のこのブログでは、権威がある、社会的な発信力が有るとされる人達、「アルツハイマー型認知症」研究の最高権威の人達の主張が、どれだけの根拠も無く声高に主張されただけの空想物語に過ぎないものであるかを、逐一検証して、彼等だけでなくて皆さんに対しても、「問題提起」したいと考えるのです。権威とは名ばかりで、内容のレベルはと言えば、根拠のない推論、空想、憶測の吹き溜まりに過ぎない、その代表格、それが世界的な規模で、且つ、天文学的な規模の人数での発病が危惧されている『アルツハイマー型認知症』の発病原因の究明及び未来永劫達成されることは有り得ない治療薬/予防薬の開発並びに「脳のリハビリ」により回復させることが可能な本当の意味での早期の段階の症状(私たちの区分で言う「小ボケ」及び「中ボケ」の段階の症状)ではなくて、CTやMRIやSPECTや果てはPET迄持ち出して極めて高額の診察費を稼ぎ出していながら、末期の段階であり回復させることが困難な「大ボケ」の段階の「前半の段階の症状」を見つけることを「早期診断」と称しているのが、医学界の現状であり/製薬業界の現状であり/医療現場の実態なのです。

&1「アルツハイマー型認知症」を発病する対象は、高齢者だけなのです

(1)  働き盛りの若い年齢で「アルツハイマー型認知症」を発病する

昨年の年末の特番を含め過去数年間にNHKが何度も特番を組んで高視聴率を上げてきたテーマである『働き盛りの若い年齢の人達の間で、「アルツハイマー型認知症」を発病する人達が増えてきている』との主張/報道内容が誤りであることの検証です。

(2) 検証

テレビの画面に登場してきたその人達の発言の内容、発言の論理、発言の仕方や態度、表情の変化や感情の発露等には、実は、際立った特徴があります。私たち人間だけに備わっている機能であり、「前頭葉」の機能の内でも最も高度な機能である「注意の分配力の機能」が正常な機能レベルで、且つ高度に発揮されていると言う特徴なのです。言い換えると、『「アルツハイマー型認知症」を発病していて、且つ外観面からだけの評価であるとはいえ、重度の「記憶障害」の症状が確認されるまでに「前頭葉」を含む脳全体の機能が衰えてきている人達のそれとは、次元が異なる』と言える程の大きな相違があるからなのです。

突然取り挙げられた何等かの「テーマ」に対して、僅かな時間の内に、極めて理路整然と自分が語る内容を構成することが出来るのです。例えば、周りの人達からの支援が欲しいことは何かとか、逆に支援を望まない事とは何かなどのテーマに対して、『自分が日々どのような日常の生活状況に置かれているか、どのようなテーマや状況に対してどのような支援や支援の在り方を期待するか、どのような分野、或いは内容の対応を期待しないのか』等について、テレビを見ているお年寄り達が驚く程の内容を、自分なりの語り口で、時には感情を発露させて涙しながら、的確に、且つ簡潔に説明することが出来るのです。このことを脳の機能面から説明すると、左脳、右脳及び運動の脳と言う三頭立ての馬車の「御者」、脳全体の司令塔の役割を担っていて、私達の意識的な世界を構築し、統括し、支配し、コントロールしている「前頭葉」と言う脳機能の働き具合が、正常な機能レベルに在ることの証拠に他ならないのです。廃用症候群に属する「生活習慣病」を本態とする「アルツハイマー型認知症」の場合には、「前頭葉」の機能が最初に異常な機能レベルに衰えて行くのです。その中でも、「前頭葉」の三本柱の機能である意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能の中で最も高度な機能である注意の分配力の機能から衰えて行くことが特徴なのです。その上、世界的に最も権威が有るとされていて、世界中の認知症の専門家達(学者、研究者、医師)が判定や診断の際に必ず依拠することになっている判定/診断基準であり、米国精神医学会が策定した「アルツハイマー型認知症」の診断基準である「DSM-4」の規定の「第二の要件」が、失語、失認又は失行の症状の確認を要求しているので、テレビに登場してきた人達(テレビに登場してきた『全員が、「アルツハイマー型認知症」を発病していると診断されている』との紹介が、為されています)は、「重度の記憶障害」の症状が確認されていて、加えて、失語か、失認か、或いは失行の症状が確認されている人達と言うことになる訳なのです。「アルツハイマー型認知症」を発病した人達で、重度の記憶障害の症状が確認されていて、なおかつ、失語か、失認か、失行の症状が確認される人達と言うことになれば、私たちが独自に開発した極めて精緻な神経心理機能テストである「二段階方式」の判定基準で言うと、「前頭葉」の機能レベルが異常な機能レベルに在って(言い換えると、「かなひろいテスト」が不合格であるだけでなくて、「注意の分配力」の機能が殆ど機能しないレベルにまで衰えてきている)、且つ左脳、右脳、又は運動の脳の機能も極めて異常な機能レベルに衰えてきている(30点が満点であり、換算値が14点以下になると末期の段階である「大ボケ」の段階と判定されるMMSEの得点が一桁にしかならないレベル)人達と言うことになるのです。

前頭葉」を含む脳全体の機能が廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させてきたことにより、上述した機能レベルに在る人達、言い換えると、「アルツハイマー型認知症」を発病していて、且つ末期の段階である「大ボケ」の段階にある人達が、テレビに登場してきて、突然提起されたテーマに対して、上掲のような対応が出来るということは絶対に起こり得ない、有り得ない事なのです。肝心の「前頭葉」の機能、就中、「注意の分配力」の機能が殆ど機能し得ないレベルに在るからなのです(その人達に、「かなひろいテスト」を実施すればすぐにそのことが分かるのです)。そこに登場してきて、「アルツハイマー型認知症」を発病していると診断されていた人達は、実は誤診されていた人達、全く別の病気である「側頭葉性健忘症」(新しく経験した出来事の記憶が全くできないという症状を呈するのが特徴)を発症している人達だったということなのです。

外観上から捉えられる両者の共通点は、極めて重度の「記憶障害」の症状(アルツハイマー型認知症の場合は、外観的な「記憶障害」らしき症状)を呈することなのです。実は、この「記憶障害」と言う点についても、専門家と言われる人達が無知であり、誤解しているのです。「アルツハイマー型認知症」の症状が発現する要因として「記憶障害」と言う要素が必要不可欠とするのが上掲した『DSM-4』の第一の要件なのですが、この要件自体が重大な誤りなのです(後述する、「小ボケ」、「中ボケ」及び「大ボケ」の典型的な症状の類型を「前頭葉」の機能レベルとリンクさせて判定し、鑑別してみれば、容易に分かることなのです)。「DSM-4」の規定の策定者達自身が、『「前頭葉の機能障害」に起因した』と規定すべきものを『「記憶障害」に起因した』ものと誤解して規定しているのです。「アルツハイマー型認知症」の様々な症状には、外観的に単純にとらえてしまうと「記憶障害」に起因したらしき症状がたくさんあるのですが、その内容を脳の機能と言う側面から厳密に判定し精緻に鑑別してみると、「前頭葉」の機能障害に起因した症状が中核をなしていることが分かるのです(発病の最初の段階である「小ボケ」の段階から「中ボケ」の段階を経て、末期の段階である「大ボケ」の段階へと症状が進行していく過程での「前頭葉」の機能レベルの変化を厳密に判定してみれば、「小ボケ「の段階で既に異常な機能レベルに在る「前頭葉」の機能が加速度的に衰えて行き、末期の段階である「大ボケ」の段階になると、「前頭葉」の「個別認知機能」の機能の発揮度及び認知度を左右し/下支えしている「前頭葉」の三本柱の機能である「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の機能、就中、最も高度な機能である「注意の分配力」の機能が殆ど働かないまでに機能低下してきていることが分かるのです)

他方で、「側頭葉性健忘症」の患者の場合には、重度の記憶障害の症状(脳の変性に起因したものであり、新しく経験した出来事の記憶が全く入って行かないという特徴を有する症状)を呈するものの、『肝心の「前頭葉」の機能が正常な機能レベルに在る』ことが特徴なのです。自分が置かれている状況を的確に理解し、判断することが出来、与えられたテーマ(質問)に対する適切かつ的確な回答を、論理的に組み立て、自分なりの表現で、言葉や態度や感情の発露で、的確に表現できる為には、「前頭葉」の個別認知機能の発揮度及び認知度を左右し/下支えしている機能である「前頭葉」の三本柱の機能、就中、「注意の分配力」の機能が、正常な機能レベルに在って機能していることが不可欠の条件となるのです。

注1)「正常老化の性質」の存在と発病の対象となる年齢とは

廃用症候群に属する「生活習慣病」(但し、脳の使い方としての「生活習慣」に起因する病気であることに留意する)である「アルツハイマー型認知症」の発病の要件は、「第二の人生」を送っている60歳を超える年齢の「高齢者」であることが発病の「第一の要件」であり、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもないナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」の継続が、発病の「第二の要件」であり、「第一の要件」と「第二の要件」とが同時に充足されることによる相乗効果」により、「前頭葉」を含む脳全体の機能が、廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させていくこととなり、その先に「アルツハイマー型認知症」の発病及び症状の重症化の進行が待っているということなのです。私たち人間の「前頭葉」の機能には、「生活習慣」の如何にかかわらず、正常な機能レベルを保ちつつも、「加齢」と共に機能が緩やかに衰えて行くという性質、私たちが「正常老化の性質」と呼称する性質が生まれつき内在されているので、「アルツハイマー型認知症」を発病する対象者は、加齢と共に機能が緩やかに衰えて行くという「正常老化のカーブ」(65歳くらいになると、最盛期である20歳代前半の頃に比べて、機能レベルが半分くらいにまで衰えてきている)と言う問題の存在と加齢にともなうその機能レベルと言う条件から、「第二の人生」を送っている60歳を超える年齢の「高齢者」に限られることになるのです(50歳代での発病は、皆無と言えるほど極めて稀な事なのです)。他方で、「側頭葉性健忘症」の発病者の年齢は逆に、30歳代から50歳代までと言う若い年齢が発病の対象となるのが基本なのです(但し、60歳代を超えて以降も、それ以前の若い年代に比べて僅かな割合とはなるものの、発病者は依然として出現してくるのが特徴です)。

注2) 専門医と言うのは「肩書」だけなのですか?

上掲したような誤診をしている医師は、「アルツハイマー型認知症」についても「側頭葉性健忘症」についても無知なのです。閣僚に任命する人達に対する事前の身上検査でもないのですが、テレビで放映することの社会的な影響の大きさに鑑み、番組を担当しているディレクターは、採用する医師の専門分野だけでなくて、その人の真の実力の程についても、事前のチェックをしておいていただきたいのです。

 &2「アルツハイマー型認知症」の発病者(「大ボケ」の段階の人)に羞恥心及び自尊心は語れないのです

(1)  アルツハイマー型認知症を発病しても羞恥心も自尊心もある

「アルツハイマー型認知症」は、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルに厳密にリンクして様々な程度及び態様での症状、私たちの区分で言う三段階の症状が発現してくるものなのです。その症状は、記憶障害に起因して発現してくるものではなくて(「DSM-4」の規定が「第一の要件」に掲げているものなのですが、これは、未だに因果関係が立証されてもいない単なる「仮説」)、私たちが発病の「第二の要件」として規定する要因、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」の継続に起因して、言い換えると、「前頭葉」を含む脳全体の廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行に起因して発現してくるものなのです。その中核を形成しているものが、「前頭葉」の廃用性の機能低下と言う要因なのです。私たち人間だけに特有な脳機能であり、マウスは愚かチンパンジーやゴリラにさえも備わってはいない脳機能である「前頭葉」には、「評価の物差し」(自分なりの捉え方、観方、感じ方、考え方の基盤となる脳機能を言います。これを別の言葉で言い換えると、「自我:das Ich」。)と言う機能が備わっていて、知覚表象、記憶表象及び想像表象の全てに関わる機能であり、事象及び現象に関わる自分独自の表象並びにそれらを基とした自分独自の表出の源となる機能であって、自分なりの(自分独自の「評価基準」に基づいて)状況の理解と判断、実行すべきテーマの発想或いは何をどのようにすべきなのかを、選択し、決定しているのです。羞恥心や自尊心は、自我を構成している基礎としての機能、評価の物差しの機能発揮による結果として生じてくるものなのです。従って、「評価の物差し」が働いている根底にある「前頭葉」を含む脳全体の機能レベル、就中、「前頭葉」の三本柱の中核の機能である「注意の分配力」の機能の機能レベルと厳密にリンクして発揮される、言い換えると生じてくる感情なのです。その意味では、『日常の様々な生活状況の場面でのその人らしさが失われていくのが特徴』である「小ボケ」の段階で、既にその発揮のレベルは異常なレベルに在って揺らいでいるのであり、誤りだらけの規定である「DSM-4」の規定を疑うこともなく闇雲に信望している認知症の専門家達が「アルツハイマー型認知症」の発病と認めるレベルである失語や失認や失行の症状が確認されないまでも、医師が「アルツハイマー型認知症」の発病と診断するレベルの人達、私たちの区分で言う「大ボケ」の段階の症状が確認されるお年寄りの場合は、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベル、就中、「注意の分配力」の機能の機能レベルに照らしてみれば、羞恥心とか自尊心とかは、もはや無縁のものと言うしかないのです。「アルツハイマー型認知症」の発病者である場合、羞恥心や自尊心が機能しているのは、認知症の専門家達からは見落とされている「小ボケ」及び「中ボケ」の段階(但し、「中ボケ」の場合は、その前半のレベルまでの人達)のお年寄りまでなのです。これは、認知症とは全く別の病気である「側頭葉性健忘症」を発病しているにも拘わらず、「アルツハイマー型認知症」(或いは、「アルツハイマー病」)と誤診されている人達との混同が起きている結果としての社会現象なのです。

(2) 検証1(すべては、「誤診」に端を発しただけのものなのです)

もっとも有名な事例と言うか、この誤った社会現象、言い換えると、誤診に基づいた社会現象を世界中に巻き散らかしてきた人なのですが、オーストラリア人の有名なクリスティーンブライデンさんの例があります。彼女は元が政府高官というプロフェッショナルな女性でしたが46歳の若さで「アルツハイマー病」と誤診されただけのことなのです。そもそも、若年発症を特徴とし、生まれつき特定の遺伝子に異常が確認される人だけしか発病することが無い極めてまれなケースである「アルツハイマー病」と老年発症を特徴とし、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」の継続に基づく廃用性の加速度的で異常な機能低下に起因して発病する極ありふれたタイプの「アルツハイマー型認知症」とは、発病のメカニズムも、症状の進行のスピードも、発病する対象年齢も、症状を治すことが出来る/発病を予防することが出来る可能性の面からしても、両者は全く異なるものなのです。

ところが、そのことについても無知な権威だけの医師が、「アルツハイマー病」と誤診しただけのものなのです(正しい診断が行われていたならば、彼女は、「側頭葉性健忘症」と診断されたはずなのです)。更には、「側頭葉性健忘症」と「アルツハイマー型認知症」との区別を知らないだけでなくて、「アルツハイマー病」と「アルツハイマー型認知症」とを混同して居ることにも気づかない、無知でいる医療現場の「誤った診断」が世界中でまかり通ってきているという実情、加えて、彼女の言動や行動や態度や表情のすばらしさが誤解を更に大きく増幅させてしまったということなのです。「アルツハイマー病」と「アルツハイマー型認知症」とが同じタイプの認知症として誤解されているが為に、更には「側頭葉性健忘症」を「アルツハイマー病」(又は、「アルツハイマー型認知症」)であると誤診しているがが為に、「アルツハイマー病」(又は、「アルツハイマー型認知症」)患者の羞恥心とか自尊心とか言うテーマが、現状のように、大きくクローズアップされてきてしまったのです。その後「私は誰になっていくの―アルツハイマー病者から見た世界」を上梓し、この本が『「アルツハイマー型認知症」(「アルツハイマー病」とは本質的に全くの別物であることに注意)を発病している人達の言葉を聞こう、羞恥心や自尊心と言う問題に関心を深めて対応に気を付けよう』という「誤診」に端を発した、誤った社界的な/世界的な流れと活動とを生み出すことになって行ってしまったのです。
彼女は、世界中で、「アルツハイマー病」(「アルツハイマー型認知症」)の発病者からの発言ということで感動的な講演をし続けてきました。ごく最近の様子ははっきりしませんが、発病後も20年間近く上述の「社会活動」を続けたのです。「アルツハイマー型認知症」の発病により、言い換えると、「DSM-4」が規定する「第二の要件」の症状が確認されている人達、「前頭葉」の機能自体が異常な機能レベルに衰えてきていて、就中、「注意の分配力」の機能が異常なレベルに衰えてきて殆ど機能しえないレベルに脳全体の機能レベルがある人達の発言、態度、言動、或いは行動としては、全くのこと有り得ない事なのだということになる訳なのですが(もちろんのこと、生まれつき特定の遺伝子に異常が存在する人だけを対象として発病する「アルツハイマー病」の場合には、「前頭葉」を含む脳全体の機能、言い換えると、認知機能が極めて急速に衰えて行き、数年のうちに寝たきりになるはずのものなので、発病後もずっと「前頭葉」が、就中、「注意の分配力」の機能が正常な機能レベルを維持していて、上述の書籍を著作したり、或いは、講演活動を世界中で行うことが出来た彼女は、「アルツハイマー病」を発症していた訳でもないのです)、肝心の医学会自体がそのことにさえ気づいていないという状況なのです。私たちが独自に開発した精緻な神経心理機能テストである「二段階方式」の手技を活用して集積した、14689例にも上る「アルツハイマー型認知症」の症状の類型の中から、典型的な症状として取り上げている症状を以下に列記しておきますので、参考にしてよく考えてみてください。

(3) 検証2

一口に「アルツハイマー型認知症」の発病者とはいっても、極めて症状の幅が広く、一律に論じること自体がナンセンス(無知と誤解に基づいた発言が専門家とされる人達に多すぎるのが現状なのです)と言うしかないのです。分かり易くするために、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベル並びに「脳のリハビリ」による回復の可能性の有無とその程度とにより私たちが三段階に区分する「アルツハイマー型認知症」の症状の各段階に特有な類型(8種類づつ)を以下に示します。

ⅰ)「軽度認知症」(小ボケ)に特有で、代表的な症状の8項目

□ 発想が乏しくなって、画一的な行動が目立つようになる

□ 何事にも億劫で面倒がり、やろうとする意欲が見られない

□ 一日や一週間の計画が立てられず、なにも思いつかない様子

□ 問いかけに対する反応が遅く、生き生きした笑顔が見られない

□ 根気が続かず中途半端なことを繰り返し、やりかけが目立つ

□ 目の光がどんよりとしていて、普段の顔つきが無表情となる

□ 歩くとき前屈みの姿勢で、小股でトボトボと歩く

□ 自分に自信がなくなり、何かにつけて人を頼ろうとする

ⅱ)「中等度認知症」(中ボケ)に特有で、代表的な症状の8項目

□ 簡単な計算さえもしなくなり、お札ばかりで買い物をするので、やたらと小銭がたまる

□ 家庭内の簡単な用事程度のこともきちんとできない(部屋や洗濯物の整理、食後の片付け、簡単な庭仕事さえもきちんとできない)

□ 自分が飲む2~3種類の服薬管理ができない

□ 服の着方に無頓着で、重ね着が目立つ(セーターの上からシャツを着る。裏表や前後ろに着る)。

□ 入浴時の温度管理が出来ず、体を洗わないとか石鹸がついたまま

□ 料理の味付けが変になる(塩加減が極端に変になる。塩辛すぎて、周りが食べられないようなものを作り、本人だけが平気で食べる)

□ 行き慣れている所に行くのに、スムーズに行けない(行き先の違う乗り物に乗ったり、行き道を間違えたりする)

□ 季節が分からなくなる(夏にセーターなど、季節違いの服を平気で着る)

ⅲ)「重度認知症」(大ボケ)に特有で、代表的な症状の8項目

□ 着ている服を脱ぎたがらず、便で汚れた下着をそのまま平気で着ている

□ 風呂に入るのを嫌がり、怖がるようになる

□ 服を正しく着られず、ズボンを頭からかぶったり、上着に足を通したりする

□ 家族の名前を間違えたり、子供を配偶者と間違えたりする

□ 自宅に居ても落ちつかず、外に出て行きたがる

□ 大小便を失敗しても、後の処置や始末ができない

□ 今は昼なのか夜なのかがわからなくて、夜中に騒ぐ

□ 痛んだものを平気で食べ、食べ物でないものを口にする

「アルツハイマー病」、「アルツハイマー型認知症」及び「側頭葉性健忘症」についての医療現場での診断について、或いは、それらの病気についての発病のメカニズムや症状の内容についての理解についての医学界(医師の理解)のレベルはと言うと、この程度のものに過ぎないのです。この程度の診断が未だに医療現場では罷り通っているのです。不可侵の権威に対する無抵抗の信頼の恐ろしいところなのです。医療現場に携わる医師は、その社会的使命を自覚すべきなのです。

&3「アルツハイマー型認知症」と発病の予防及び症状回復の可能性の有無

(1)  「アルツハイマー型認知症」は、治すことも予防することも出来ない

「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズムについては、アセチルコリン説、アミロイドベータ説、タウ蛋白説、脳の萎縮説等様々な説が提唱されてきてはいるのですが、そのいずれもが「仮説」(主張の内容と発病との間の肝心の因果関係を立証できないでいる)に過ぎないのです。Aなのかもしれないという学者もいれば(学派もあれば)、B なのかもしれないという学者もいれば(学派もあれば)、C  なのかもしれないという学者もいる(学派もある)と言う状態なのです。この20年間の間に、丁度あの澱みに浮かぶ泡沫のように、出て来てはいつの間にか消えていくのです。長らくの間通説の地位にあったあのアミロイドベータ説も、アミロイドベータ説の主張に立脚した治療薬の開発に挑戦した、欧米や我が国の全ての大手製薬メーカーがことごとく治験の段階で失敗を認め、開発をあきらめたと言う状況に在るがために、これまでは少数説の地位にしかなかったタウ蛋白説にその地位がとってかわられようとさえしているのです。

(2) 検証

「アルツハイマー型認知症」と言うタイプの認知症の本態は、廃用症候群に属する単なる生活習慣病(但し、食生活ではなくて、脳の使い方としての「生活習慣」であることに留意する)に過ぎないのです。廃用症候群に属する生活習慣病を本態とするものであるが故に、それらの機能には『より高度で複雑な機能から先に、且つより早い段階で、廃用性の機能低下が進行していく』という客観的な基準としての規則性が確認されるのです。「前頭葉」、「左脳」、「右脳」、「運動の脳」という順番での加速度的で異常な機能低下の進行が開始され、加えて、MMSEで判定される左脳と右脳の機能の衰え方についても、「MMSE下位項目の項目困難度」という極めて重要で有益な指標が確認されるのです。私たちが問題提起し、鑑別に活用しているこの指標は、「アルツハイマー型認知症」と他の認知症との鑑別並びに認知症と紛らわしい病気との鑑別を行う上で、極めて有意で、有益で、有効で、重要な指標となっているのです。この「指標」が存在する事実からも、「アルツハイマー型認知症」の症状の発現並びに症状の重症化の進行の直接の原因とアミロイドベータの蓄積とかタウ蛋白の蓄積とか脳の萎縮の進行とかは無関係の関係にあることが分かるのです。『言ってしまえば、それらは、原因ではなくて結果に過ぎない』ということなのです(アミロイドベータの蓄積やタウ蛋白の蓄積や脳の萎縮が原因で、「アルツハイマー型認知症」の様々な症状が発現してくるのではなくて、私たちが主張している発病の第一の要件と発病の第二の要件とが同時に充足される状況下で、「アルツハイマー型認知症」を発病した「お年寄り」が、脳は持たないのに身体が持つがために、末期の段階である大ボケの段階にまで症状が進行していき、その上に猶数年間も生きた(「前頭葉」を含む脳全体の加速度的で異常な機能低下が進行していった)結果として、「老人斑」とか、「神経原線維変化」とか、或いは、「脳の顕著な萎縮」とかが発現し、進行してきただけのものに過ぎないと考えるのです。「小ボケ」及び「中ボケ」までの段階で見つけて、「脳のリハビリ」を実践すれば、「アルツハイマー型認知症」としての症状が改善され、或いは治せる訳なのですから。

私たちは、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルに厳密にリンクした症状について、「脳のリハビリ」(「前頭葉」が活性化する脳の使い方としての「生活習慣」の改善、工夫及び日々の実践)により正常な機能レベルに「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルを回復させることが出来る(「アルツハイマー型認知症」の症状を治すことが出来る)可能性の有無及び程度から、「小ボケ」、「中ボケ」及び「大ボケ」の三段階に症状を区分しているのです。

小ボケ」の段階:「脳のリハビリ」により、治すことが容易

中ボケ」の段階:「脳のリハビリ」により、治すことが未だ可能

大ボケ」の段階:「脳のリハビリ」により、治すことは最早困難

アミロイドベータ説(やタウ蛋白仮説)が言うように、『アミロイドベータの蓄積により生じた老人斑(タウタンパクの蓄積により生じた神経原線維変化)の持つ毒性が、情報を伝達する役割を担っている神経細胞の大量の細胞死を惹き起こし、そのことに起因して「記憶障害」が惹起される結果として「アルツハイマー型認知症」の症状が発現してくる』ものだとしたら、上述のような本当の意味での「早期の段階」と私たちが区分し位置付ける「小ボケ」及び「中ボケ」の段階であれば、『「脳のリハビリ」により治すことが出来る』と言う極めて多数例に上る実証例の存在をどのように説明できるというのでしょうか。

アミロイドベータの蓄積により(タウ蛋白の蓄積により)形成された老人斑により(神経原線維変化により)細胞死を惹き起こされた神経細胞が、「脳のリハビリ」により生き返ってくることになるという重大な矛盾を惹き起こしてしまうことになるのです。言い換えると,『私たちの区分で言う「中ボケ」の段階の症状が発現してくるまでに、異常な機能レベルにまで機能が低下してきていた「前頭葉」を含む脳全体の機能が、「脳のリハビリ」により、正常な機能レベルにまで機能が回復してくる』と言うことになるのです。「脳のリハビリ」による回復と言う極めて多数の症例の存在という事実により、アミロイドベータ仮説は(タウタンパ仮説は)完全に破綻しているのです。更には、「アルツハイマー型認知症」の発病自体の予防については、北海道から九州に至る広域の452の市町村で、住民参加型の「地域予防活動」として顕著な成果を挙げてきた実績が私たちには有るのです。

&4「アルツハイマー型認知症」の治療薬/予防薬の開発は、未来永劫不可能な事

(1)  「アルツハイマー型認知症」の治療薬/予防薬の開発は可能

テレビや新聞報道により、『「アルツハイマー型認知症」の治療薬/予防薬の開発は可能』との報道が流されるたびに、出来るだけ早期に、国策として我が国の全国の市町村の津々浦々にまで浸透していくまでに実施すべきものである「アルツハイマー型認知症」の早期診断による回復と発病の予防を明確な目的とした住民参加型の「地域予防活動」の制度化の時期が遠のいていくことになってしまうのです。

病気自体の負担の重大さ(本人の人生、介護が不可欠となるまでに症状が進行した親を抱える家族の精神的、肉体的及び経済的な負担並びに診察、投薬及び介護に関わる天文学的規模となってしまっている介護関連費用の税金による負担の重大さ)及び発病者数自体がこれまた天文学的な人数と言う実態に鑑み、『発病の原因が分からないし、症状を治すことが出来ないし、発病自体を予防する方法が分からない』としつつも、様々な「仮説」を打ち立てていくばかりで何等の貢献をしていない学者達や「脳のリハビリ」による回復の可能性が全くなくなってしまっている末期の段階の更に後半にならないと発現が確認できない極めて重度の症状である失語や失認や失行の症状を判定基準にして「アルツハイマー型認知症」の発病と診断している上に、極めて高額な診察費がかかるCTやMRIやPET迄も総動員しながら、「脳のリハビリ」による回復が期待できる本当の意味での早期の段階(私たちの区分で言う「小ボケ」及び「中ボケ」の段階)を見落としていて、売上高を稼ぐことだけに邁進している医療現場並びに『「アルツハイマー型認知症」と言うタイプの認知症の本態が廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」である』ことに気づかないで居て、『「器質的な病変」が発病を惹き起こす原因だとか、「記憶障害」に起因して症状が発現してくるとかの重大な誤解』に基づいた前提を維持したままで居るアミロイドベータ説とかタウ蛋白説とかの因果関係の立証が未だに為されない「仮説」を相も変わらず信じた儘で居て、それらの「仮説」に立脚した前提条件の下での「治療薬」や「予防薬」を目指した薬の開発に奔走する製薬業界、そうした製薬業界が発する「株価操作」とも疑われかねないような開発の可能性の高さに関わる紛らわしい発言や言及を受けて、業界が発信するがままの『「アルツハイマー型認知症」の治療薬/予防薬の開発は近いと』言う見出しによる報道等、様々な分野での不条理な行動や言動が、最近特に目立つのです。

(2) 検証

このブログで何度も指摘してきているように、「アルツハイマー型認知症」と言うタイプの認知症を発病するメカニズムそれは、「廃用性の機能低下」と言う要素に起因して発症するということなのです。「アルツハイマー型認知症」は器質的な病変が発病の原因でもなければ、様々な程度及び態様での発現が見られる認知症の症状は、「記憶障害」に起因した物でもないのです。それだからこそ、アミロイドベータ説やタウ蛋白説の主張内容に立脚した下での治療薬/予防薬の開発が悉く失敗してきているのです。それらの仮説が立脚している『器質的な病変が原因である』とか、『「アルツハイマー型認知症」の症状は、「記憶障害」に起因して発現してくるものだ』とする大前提自体が根拠のない「仮説」の類に過ぎない代物だからなのです。

「アルツハイマー型認知症」の発病の第一の要件は、「第二の人生」を送っている60歳を超える年齢の「高齢者」であり、発病の第二の要件は、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもないナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」が継続することなのです。『第一の要件と第二の要件とが同時に充足されることにより、「前頭葉」を含む脳全体の機能が、廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させていく、その先に、「アルツハイマー型認知症」の発病及び症状の重症化が待っている』ということなのです。様々な種類が数有る認知症の内の大多数、90%以上の割合を占めていて、皆さんが普段見かける認知症である「アルツハイマー型認知症」は、廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」に過ぎないものなのです。

それであるからこそ、脳の使い方としての「生活習慣」の改善、工夫及び実践により、発病自体を予防することが出来るし、本当の意味での早期の段階(「小ボケ」及び「中ボケ」)で見つければ、「脳のリハビリ」により治すことが出来るのです。発病及び重症化のメカニズムからして、どのような方法によるものであろうとも、「アルツハイマー型認知症」の発病を予防することが出来たり、或いは、症状の進行を抑制/防止することが出来たり、更には、症状を治すことが出来る薬(治療薬/予防薬)が開発されることは、未来永劫有り得ない事だと断言することが出来るのです。その根拠が、私たちが独自に開発した精緻な神経心理機能テストである「二段階方式」の手技を活用して、集積し、解析し、理論的な体系化を成し遂げた基礎である14689例にも上る「脳機能データ」であり、北海道から九州までの広域に亘る452の市町村で展開し、実践してきた住民参加型の「地域予防活動」の顕著な成果の積み重ねと言う実績の存在なのです。それらの全てが、世界中に比類のないものなのです。私たちが集積した「脳機能データ」は、生きた人間の「前頭葉」を含む脳全体の総体としての機能の機能レベルとそれに厳密にリンクした症状(脳全体の機能レベルの反映としての症状)のデータなのです。その上、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルの低下に呼応したものとして、「小ボケ」、「中ボケ」及び「大ボケ」の三段階に区分しているだけでなくて、それぞれの段階の中もさらに細分化されていて、全体が切れ目なく繋がってもいるのです。

&5「アルツハイマー型認知症」は、廃用性の「生活習慣病」に過ぎないのです

(1) 『アミロイドベータを早期に脳内から解消させる方法(EX.ワクチン療法等)により、「アルツハイマー型認知症」の発病を予防することが出来る』

(2)   検証

これこそが最も最近唱えられるようになった仮説」であり(主張の内容と発病との間の因果関係が立証されていない「仮説」なのです)、その拠点となっているのが米国ハーバード大学であり、我が国では東京大学なのです。相も変わらず、アミロイドベータ説に立脚したものなのですが、その発想自体が極め付きと言ってもいい位の重大な誤りであり、単なる思い付き、発想の転換に過ぎないのです。科学的及び医学的な根拠があるものではないのです。従来のアミロイドベータ説の考え方では、『脳内で造られている(何等かの有用で有益な機能を脳内で発揮する為に脳内で造られているはずのものである)アミロイド・ベータというタンパク質が何等かの機序により脳内に蓄積してきて、その蓄積の程度が大量になってくると「老人斑」が生成されることとなり、その「老人斑」の持つ毒性が脳内での様々な情報を伝達する役割を担っている「神経細胞」の大量の細胞死を惹き起こすこととなる結果、「記憶障害」がらみの支障を惹起させる為に、「記憶障害」に起因したものとしての「認知症の症状」が発現してくることになる、言い換えるとそれが、「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズムであるという「仮説」が依然として維持されているのです。

欧米更には我が国の製薬会社により従来挑戦されてきた開発行為の試みその意味は、『認知症の症状の発現が確認された後の時期を対象としての「アルツハイマー型認知症」の治療薬としての様々な薬の開発であり、それら全ての開発PRJが失敗に終わってしまった』ものに過ぎず、『失敗の原因は、アミロイドベータ説に立脚していたが為なのではなくて、投薬の対象時期が遅すぎた点にある』とするだけの考えと言うか、発想の転換なのです。従って、新たに唱えられている「仮説」の新機軸とするところは、発病する前の段階、言い換えると認知機能が未だ正常な段階(時期)を対象として、出来るだけ早い段階でアミロイドベータを脳内から除去する(或いは、ワクチン療法により脳内で解消させてしまう)ことが「アルツハイマー型認知症」の発病の予防方法となるとするものなのです。『予防薬開発に成功するその日は近い』とする報道は、『重大な誤りの内容を単に受け売りで報道しているだけのもの』としか言いようがないのです。この新しい考え方は、SF小説まがいの「空想物語」でしか有り得ない事なのです。「アルツハイマー型認知症」の本態が廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」(生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものも無いナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」の継続に起因して発病するだけのもの、脳の使い方としての「生活習慣」に起因して発病し、重症化が進行していくだけの病気)であることに気づかないで居て、憶測に基づいて、想像力を逞しくして発想した程度のものに過ぎないことに早く気づいて欲しいのです。

この新しい考えもまた、『アミロイドベータの蓄積が、「アルツハイマー型認知症」を発現させている直接の真犯人だ』との大前提に立っている訳なのです。実は、アミロイドベータの蓄積が発病の原因なのではなくて(アミロイドベータの蓄積と「アルツハイマー型認知症」の発病との間には肝心の因果関係自体が存在していなくて)、『「アルツハイマー型認知症」の発病の結果として(発病し、末期の段階である「大ボケ」の段階の症状が発現してきて、更には、失語や失認や失行の症状が確認されるようになるまでに「前頭葉」を含む脳全体の機能が廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行により殆どの機能が失われていくまで放置されてきた言い換えると、何年間もの間、症状が更に重症化していく儘に放置されたその結果として)、アミロイドベータが蓄積してきたに過ぎない』、私たちの言葉で言い換えると、『発病の原因ではなくて、発病の結果に過ぎないものを、「順序を誤解している」だけのもの』なのです。この程度と言うか、このとんでもない発想、奇想天外な発想を何をもって新機軸と言うのでしょうか。

こんなとんでもない馬鹿げた空想、夢物語が、世界的にも権威あるとされている機関により提起され、そのことが意味があるかのように大々的に報道されることにより、「アルツハイマー型認知症」の早期診断による回復及び発病自体の予防を明確な目的とした住民参加型の「地域予防活動」が、我が国の全国の市町村の小さな地域単位で密に展開されるという画期的な施策が国策として実施される日が、またしても遠のいていくことになってしまうのです。

 (エピローグ)『和を以て貴しとなす』。古代大和朝廷の時代から我が国の、言い換えると、我が日本民族の基本理念として連綿と受け継がれてきたこの価値観が、日本の社会を、能力主義の導入をかたくなに拒む『肩書社会』を作り上げてきたのです。発病者数の規模やコストの巨額さゆえに、更にはこの先もそれらが増大し続けていくものと予測されているがゆえに、今や、「アルツハイマー型認知症」と言うタイプの認知症は、超高齢化社会を健全な形で維持していく上で我が国が抱える、我が日本民族の前に立ちはだかる最も危険なモンスター、病気と言えるでしょう。それなのに、我が国の最も権威が有るとされる組織の主張の内容とその程度ときたら、上述したようなレベルに過ぎないのです。そうした権威が、この「アルツハイマー型認知症」の真実の実態を暗闇の中に閉じ込めてしまっているのです。『「廃用症候群」に属する単なる「生活習慣病」であるにすぎない「アルツハイマー型認知症」は、「前頭葉」が活性化する「生活習慣の構築」により発病自体を予防することが出来るし、早期の段階で見つければ、「脳のリハビリ」により治すことが出来る』のです。

その権威に属する人達はと言えば、『「アルツハイマー型認知症」は、原因不明で治せないとか予防することが出来ないとか言っている』一方で、『治療薬とか予防薬とかの「薬の開発」が可能であるかのような世迷い事を世間に垂れ流し続けている』のです。あ~!何たる、不条理!!

注)本著作物「Bー89」に記載され表現された内容に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

 エイジングライフ研究所のHP左の部分をクリックしてください)

 脳機能から見た認知症(具体例をベースとしたもう一つのブログです)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アルツハイマー型認知症の発病原因と生き方(日本人の価値観その1)(N-78)

2013-03-01 | アルツハイマー型認知症発病のメカニズム

(プロローグ) 「人生60年」と言われていた一昔前と違い、世界に先駆けて「超高齢社会」を実現し、誰でもが80歳90歳まで生きる我が国では、「第二の人生」が20年も30年もあるので、人生を完走する上で、「第二の人生をどう生きるか」が、極めて重要なものとなるのです。人生の終焉を迎えるその時まで、自分の来し方を振り返り感謝の気持ちを込めて、「生きてきて、よかった」と感じることができる『前頭葉』(前頭前野に局在する、前頭葉の三本柱の機能、評価の物差しの機能及び実行機能から構成されている複合機能体を言うものとする。以下、同じ)の働きを維持していてほしいのです。その為、どのような脳の使い方、「生き方」をすれば良いのかについて、皆さんに、「脳の機能データ」の解析に基づき、「問題提起」したいと思うのです。

&1   『アルツハイマー型認知症』は、『意識』が関わるタイプの認知症

(1) 私達が意識的に何等かの「テーマ」を実行しようとするに際して、その実行内容が複雑で高度なものであればあるほど、そうした場面で要求される「前頭葉」のさまざまな個別認知機能(総称して、「実行機能」=Executive Function と言います)の「発揮度」(様々な程度態様からなる情報の認知とその処理にかかわる「前頭葉」の各種個別認知機能の発揮にかかわる「認知度」と密接不可分の関係)を左右する前頭葉の三本柱』の機能、「意欲、注意の集中力及び注意の分配力」からなる機能に、「正常老化の性質」が本来的に内在していることが、私たち「二段階方式」独自の手技である『改訂版かなひろいテスト』の実施データの解析により判明したのです。

(2)『意識的な世界』(目的的な世界)で、意識が覚醒した状態下では、状況に応じた「テーマ」を発想し、テーマを実行する実行内容を計画し、実行結果をシミュレーションし、比較した上で、選択し、最終的な実行内容と実行の仕方を決定し、その実行を決断して、左脳や右脳や運動の脳に対して実行の指令を出す過程では、情報の「認知度」と情報の処理に関わる「前頭葉」の各種個別認知機能の「発揮度」及び「認知度」が高いレベルで要求されることになります。

(3) 複合機能体である『前頭葉』の構成要素である各種個別認知機能(総称が「実行機能」)、例えば、自発性、発想、計画、考察、洞察、推理、検索、忖度、憶測、機転、修正、感動、抑制、忍耐、決断などの個々の認知機能の認知度発揮度も、「前頭葉の三本柱それ自身の機能レベル及び機能の発揮度が、異常なレベルに機能低下してきたときは、その先にある「評価の物差し」の機能及び「実行機能」の発揮度も同様の機能の発揮度状態に置かれる機能構造(機能発揮上の二重構造及び廃用性の機能低下の進行が連鎖していく連鎖構造)、私たち「二段階方式」独自の言葉で言う『機能発揮上の二重構造』が存在していると考えるのです(「前頭葉の三本柱」の機能が、廃用性の加速度的で異常な機能低下が進行していくのに連動する形で、同じ過程を辿って、「前頭葉」の各種構成要素としての各種機能も機能の発揮度が異常なレベルに低下してくると考えられるのです。

&2 『機能発揮上の二重構造』とその要である『注意の分配力』の機能

(1)上述した私たち「二段階方式独自の理解であり、見解である『二重構造の仕組み』についての分かり易い補足説明をします。例えば、信号が青になって通りを横断しているとしましょう。道の反対側の「信号が青になっている」のを確認した時(そのことが、認知されあなたの『意識』に上ってきたとき)、その背景としての建物や樹木や車や歩行者等の映像が、あなたの意識に上っている信号の映像と同時に、物理的にあなたの目には映し出されているはずなのです。但し、選択されて「意識」の対象となるべき特定の映像に対し注がれているあなたの「注意集中力」(或いは、「注意分配力」の一部)が一定レベル以上になっていないと(言い換えると、その特定の映像に対する『認知度』が一定レベル以上のものになっていないと)、あなたの「意識」には上ってこないということなのです。

(2) つまり、意識自体にも『意識の覚醒の度合い』(意識度)というものがあり、注意の集中力(或いは、注意の分配力の一部)が一定レベル以上になっていないと対象が(或いは、対象となるべき意識の内容が)特定されないので、「対象」に対する意識の覚醒の度合が薄く(或いは、低いと表現してもいいのですが)、意識下でありながら、あなたに認識されないだけのことなのです。カメラの焦点がきちんと合わないと、対象となる画像がピンボケになってしまうのに似ているといえば理解しやすいでしょうか。でありながら、

(3)この「認知度」が低い為に「意識度」が低くて、意識下でありながら、『意識的』には認識されていないレベルの「認知された状況」(或いは、内容)について、「無意識」の世界と勘違い(或いは、混同)している学者が少なからずいるのです。こうした考えが、若い「脳科学者」達の間で、流行の気配さえ最近はあるのです。『人間の行動や行為や思考の全ては、無意識起因するものであって、意識に起因する行動や行為や思考というものは存在しない』などと、声高に意味不明のことを言い募る学者達が少なからずいるのには、本当に驚かされるのです。

このことに関わる『リベットの実験』に於いて、リベット自身が、『注意の分配力』の機能による先行的メタ認知(実際の実体験認知の実行に僅かに先行して、起きている認知)について無知であった為に、実験の結果の解釈を誤り、無意識が全ての意識に先行しているものと誤解しただけなのです。『注意の分配力』の機能は、異なる3つ以上の複数の意識」を構築し、統括し、管理する機能であり並びに複数の異なる「テーマ」同時に並行して処理する上で不可欠の機能であり及び咄嗟の判断と処理に不可欠の機能なのです。『意識』を解明するには、『注意の分配力』の働きの深い理解が不可欠となるのです(『注意の分配力』の機能は、マウスは愚か、チンパンジーにも備わっていない機能なのです)。

注意の分配力』の機能の働きによって、同時に並行して行われる認知機能の発揮により、⓵秒針が3時の真上に来た瞬間にボタンを押すという「テーマを保持している」機能の発揮状態下で、②秒針の動きを常に目が追っていきながら、秒針が3時の真上に来る直前に、「秒針が真上に来たらボタンを押す」という「テーマ」を強く意識(認知)し(強い血流変化)、④秒針が3時の真上に来たことを認識した瞬間に、⑤ボタンを押す指示が(脳内で)行われて(強い血流変化)、その結果、ボタンを押す動作」が実行されているだけのことなのです(先行するメタ認知である③と④認知機能の発揮は、無意識ではなくて、意識下のものであり、後行する実体験認知である⑤と⑥の認知機能の発揮も、同じく、意識下のものなのです)。

&3  『アルツハイマー型認知症』発病の『第一要件』

(1)「アルツハイマー型認知症」と言うタイプの認知症は、発病の対象者を実態面から見るとき、「第二の人生」を送っていて、60歳を超える年齢の「高齢者だけが、発病の対象となっているという特徴があります。

高齢者だけが発病の対象となるには、「脳の機能面」から見た時、次のような理由があることがその根拠となるのです。私達が開発した「二段階方式」と呼ばれる神経心理機能テストを活用して、『前頭葉』の機能レベル年齢別の推移を調べたのです。そのデータの解析によって、「意識的な世界」(目的的な世界)に於ける脳全体の司令塔の役割を担っている『前頭葉』基盤的機能である意欲、注意の集中力及び注意の分配力(二段階方式が、「前頭葉の三本柱」の機能と総称)には、「脳の使い方」としての意味で言う『生活習慣』の如何に拘わらず、「加齢」の進行と共に老化していくという性質(「正常老化」の性質二段階方式が命名)があることが判明したのです。

(2) 自分なりに追求する特定のテーマとそれを達成するための目標が有り、趣味や遊びや人付き合いや運動を楽しんでい居て、喜びや生き甲斐を覚える機会がある「脳の使い方」としての生活習慣』の下で日々を過ごしていようとも、20歳代の半ばにピークを打ったその先は、年を重ねていくにつれて「前頭葉の三本柱」の機能レベルが正常な機能レベルを保ちつつも、100歳に向かって緩やかに低下していくという性質が本来的な性質として内在しているのです。

(3) 私達がこれまでに集積してきた極めて多数の症例に基づく脳機能「データ」によると、「正常な老化」の場合でも、「高齢者」と呼ばれる年代の65歳頃になると誰でも、その働き具合がピーク時である20歳代の半ば頃に比べて「半分程度」にまで衰えてきているのです。このことが、加齢による前頭葉の「正常老化」の性質の重要な点でもあるのです。つまり、この「60歳を超えた年齢の高齢者である」という条件こそが、「アルツハイマー型認知症」を発病する「第一の要件」なのです。そして、加齢による前頭葉の「正常老化」のカーブは、その先70歳代、80歳代、90歳代、100歳代と年をとるにつれて、「直線的」ではあるが緩やかなカーブを描きながら、更なる「低空飛行」の状態に入っていくのです。それ故に、実態面を見るとき、「アルツハイマー型認知症」を発病する対象は60歳を超える年齢の「高齢者」だけということになるのです。更に言えば、60歳代よりも70歳代、70歳代よりも80歳代、80歳代よりも90歳代、90歳代よりも100歳代と、年齢が増せば増すほど「アルツハイマー型認知症」を発病する人達の「同年代での発病率」が大きくなっていくのです(年をとればとるほど、「アルツハイマー型認知症」を発病するお年寄りの割合を示す数値が大きくなる)。北海道から九州まで、日本全国どこでも、この特徴的な「実態」が確認されているのです。

&4  『アルツハイマー型認知症』発病の『第二要件』

(1)  脳の使い方としての「生活習慣」が発病の引き金に(「第二の要件」)

「正常老化」のカーブを辿りつつ年をとっていく過程にあるとはいえ、「前頭葉」の機能が「低空飛行」の状態に入ってきている「60歳を超えた高齢者と呼ばれる年齢のお年寄り」が(上述した、発病の「第一の要件」)、脳を積極的に使おうとはしない「単調な生活」、キャッチ・コピー的な表現を借りて言えば、「自分なりの追求する特定のテーマがない暮らし方、生き甲斐なく、趣味なく、交友なく、運動もせず、目標もない単調な生活」というナイナイ尽くしの「単調な生活習慣」を日々続けていると(発病の「第二の要件」)、出番が極端に少ないために使われる機会が極端に減った『前頭葉』が廃用性の異常な機能低下を進行させていくことになるのです。

(2) 私たち「二段階方式」が定義する発病の第一の要件」と「第二の要件」とが重なり合う(二つの要件が「同時に充足される」)ことの「相剰効果」によって、「前頭葉」の廃用性加速度的異常機能低下進んでいくことになるのです。「前頭葉」の働きが加速度的に衰えていくことにより、脳の働き具合(機能レベル)が異常なレベルに衰えてくるその先に、「アルツハイマー型認知症」(晩発型、或いは老年性「アルツハイマー病」と呼称されることもあります)の発病が待っているのです(発病の最初の段階が、私たち「二段階方式」の区分でいう「軽度認知症」=「小ボケ」の段階です)。

&5 『アルツハイマー型認知症』の発病の『三段階区分」の意味

(1) その機能構造の結果、最も高い機能レベルが要求される「社会生活面」において、廃用性の加速度的で異常な機能低下が進行して異常な機能レベルに衰えた『前頭葉』の機能レベルの「直接のアウトプット」として、『アルツハイマー型認知症』の発病としての症状が発現れてくると考えられるのです(最初の段階である、「軽度認知症」=「小ボケ」の段階)。但し、「小ボケ」の段階では、「前頭葉」のコントロールの下で「前頭葉」と協働して働いている『左脳』も『右脳』も『運動の脳』も、それら全ての機能レベルが未だ正常なレベルにあることが重要なのです(『前頭葉』だけが異常なレベル)。

(2)『前頭葉』の機能レベルが更に衰えていくのに同時に並行して、これらの「左脳や右脳や運動の脳」の機能までもが「異常なレベルに衰えが進行してきたときから、「次の段階」(「中等度認知症」=「中ボケ」=前頭葉を含む脳全体の機能が異常なレベルに在る)に進んでいき、「家庭生活面」にも支障が出てくるようになるのです。

(3)更に、「前頭葉」並びに「左脳、右脳及び運動の脳」が、同時進行的に更に廃用性の加速度的で異常な機能低下が進行していくことにより、最後は、「末期の段階」である「重度認知症」=「大ボケ」の症状が、発現して来て、「セルフケア」にも支障が出てくるようになり、日常の生活面での「介護」が必要となるのです。

この「末期の段階」である『大ボケ』の症状が発現してくるようになって初めて、『アルツハイマー型認知症』の発病であると診断する旨を、米国精神医学会が策定した診断規定である『DSM - Ⅳ』の第二要件は、規定しているのです。この「末期の段階」だけを取り上げて「アルツハイマー型認知症」と診断しているが為に、「アルツハイマー型認知症」は、(発病の原因も分からないし、治すことも出来ないし、予防することも出来ない病気)にされてしまったのです。(発病の原因が分からないのも、治すことが出来ないのも)見つけるのが遅すぎるせいなのです

&6 『アルツハイマー型認知症』発病の『初期段階』(「小ボケ」)とは
(1)「軽度認知症」(小ボケ)の段階は、左脳、右脳及び運動の脳の機能は、まだ正常なレベルにあって、司令塔の「前頭葉」の働き具合だけが異常なレベルに衰えてきたことの反映としての症状、『前頭葉の三本柱の機能、評価の物差しの機能及び実行機能』の働きだけが異常なレベルに衰えてきていることを反映した症状だけが発現してくるのです。そのことを分かりやすく説明するために、「小ボケ」が運転すると、どのようなことが起きるかを例示してみましょう。「脳の機能レベル」という視点からすると、「高齢者」が免許証の更新を申請した際は、視力や運動能力だけでなくて、(「前頭葉の機能レベル」が正常なレベルにあるか否かを調べるシステム)の導入を図る必要があると思うのです。

〇運転中のスピードが遅すぎて、同乗していると怖い(周りの車の流れとは無関係に、30キロ程度で、平気でノロノロ運転するようになる)

〇自損事故を起こすことが増えてきて、小さな接触事故を多発するようになる(車の両サイドに、小さな接触傷がやたらと増えてくる)

〇方向指示器、ブレーキの操作が遅くなる(動作をする反応が遅いのではなくて、「注意の分配力」の衰えにより、咄嗟の判断が出来にくくなるし、複数の判断と処理が咄嗟に出来なくて、慌てる)。

〇 本人が既知の場所でも、規制に反してしまうような事が起きてくる(本人が既知の場所で、進入禁止とか右折禁止の違反をしてしまう)

〇車を運転して行くとき、よく知っている行き先への道を間違えるようになる(以前よく行っていた娘の家に行くのに、道順を間違えて手間取るようになる)

 &7 『アルツハイマー型認知症』に特有な『脳機能データ』の意味

 「第一の要件」と「第二の要件」との相剰効果により「廃用性の加速度的で異常な機能低下」が進む時は、下図の右図(熊地区での全数調査)が示すカーブに見られるように、放物線を描いて「加速度的」に(but、緩やかに)脳の機能が衰えていくことを、私たちが集積してきた多数の症例の「データ」が示しているのです(左図は、立体的に表示したもの=14689例)。

    

(1)「第一の要件」と「第二の要件」とが同時に充足されることの「相剰的な効果」により、「廃用性の異常な機能低下」が加速度的に進行していくとき、「前頭葉」を含む脳全体の機能に「衰えていく順番がある」ことが、「アルツハイマー型認知症」の特徴なのです。

⓵「三頭立ての馬車」の御者の役割をしている「前頭葉」が最初に異常なレベルに衰えていき、次いで、馬の役割をしている「左脳」と「右脳」と「運動の脳」が、その順番に異常なレベルに衰えていくのです。

②更に、「アルツハイマー型認知症」の場合は、且つ、その場合に限り、国際的に認知され使用されている神経心理機能テストのMMSEで判定される「左脳」及び「右脳」の衰え方自体にも「厳密な規則性」がある(衰えていく厳蜜な「順番」がある)ことがとても重要な特徴なのです。衰えていく順番は、速い順に次の通り。

 想起、注意と計算、時の見当識、所の見当識、三段階口頭命令、五角形相関図の模写、文を書く、記銘、書字命令、復唱、命名

(2) 少しばかり専門的になりすぎたので、ここで本題に戻ることにしましょう。脳全体の司令塔で、置かれている状況を判断したり、何かを思いついたり、計画を立てたり、工夫したり、洞察や推理をしたり、機転を利かせたり、各種の高度な働きを担当しているのが 、意識的な世界(目的的な世界)に於ける脳全体の司令塔の役割を担っていて、複合機能体である『前頭葉』の機能なのです。

 その働きが、あまりにも高度で、複雑で、且つ働き方や働き具合が様々な程度と態様を示すので、計測したり判定したりする方法の開発が難しい為に、研究自体が遅れてきたのです。その為に、研究者達から、脳の中の「空白地帯」とさえ言われてきたのです。

(3) 私たち「二段階方式」は、『アルツハイマー型認知症』の脳の機能の衰え方の臨床データを解析していて、MMSEで判定される「下位項目の衰え方に規則性がある』ことに気付いたのです(廃用性の異常な機能低下が進行していくときは、「下位項目」の衰えて行く順番に、「厳密な規則性がある」のです)。

「二段階方式」の手技を活用し、「前頭葉」を含む脳の全体の機能レベルを調べ、「下位項目」の衰え方が規則通りであるか否かを判定することにより、「アルツハイマー型認知症」であるかどうかを鑑別できるのです。

(4) 認知症の専門家達から、「原因もわからないし、治すことも出来ないし、予防することも出来ない」病気と言われている「アルツハイマー型認知症」の診断につき、世界的に権威があるとされている米国精神医学会の診断基準である『DSM-Ⅳ』への挑戦が、そこから始まったのです。

『DSM-Ⅳ』の規定には、重大な誤りがあり、それがために、症状の回復も、進行の抑制も困難な末期の段階(私たちの区分でいう、「重度認知症」=「大ボケ」の段階)で、初めて発病を見つけることしか出来なくて、症状の回復及び進行の抑制が可能な、本当の意味での早期の段階(私たち「二段階方式」の区分でいう、『小ボケ」及び「中ボケ」の段階が存在していること)を見逃しているだけだということが分かってきたのです。

&8   『注意の分配力』の働きに着目した『脳の機能面からの分析』

  

(1)意識的(目的的)に何等かの「テーマ」を実行する場面では(例えば、あなたが、仲の良いお友達を家に招待して、手料理でもてなすというテーマを考えてみてください)、自発性、観察、分析、考察、洞察、推理、理解、興味、発想、企画、計画、創意、工夫、予見、シミュレーション、修正、整理、機転、抑制、忍耐、感動及び判断等、「前頭葉」を構成している各種の「個別認知機能群」(実行機能)を発揮する上で、不可欠の働きである『注意の分配力』の機能が、「評価の物差し」の機能による評価、関心、注意、選択に基づいて実行機能行使する為には、一定レベル以上での機能の「発揮度」に下支えられた「認知度」が確保されていることが必要となるのです。「実行機能」の機能の「発揮度」及び「認知度」が低いときは、「前頭葉」の各種機能自体が必要なレベルで発揮されなくなるからです。その機能の「発揮度」及び「認知度」の高さ/或いは低さを左右し、下支えているのが、『意欲、注意の集中力及び注意の分配力』という「前頭葉の三本柱」の機能なのです(機能の「発揮度」と「認知度」とが共に、「前頭葉の三本柱」の機能の機能レベル、就中、『注意の分配力』の機能の機能レベルと「リンク」しているのです=機能発揮上の二重構造)。

(2) 自分なりに追求する特定のテーマがなく、生き甲斐となるものも、目標となるものもなく、その上、趣味や遊びや人付きあいを楽しむ機会もなく、運動もしない、ナイナイ尽くしの「単調な生活習慣」を日々送っていると言うことは、脳の機能面から言うと、「前頭葉」の機能の中でも最も基本的で不可欠な機能であり、「認知度」を左右する働きをしている意欲、注意の集中力と注意の分配力という「前頭葉の三本柱」の機能の出番が極端に少ない生活を送っていることになるのです。ナイナイ尽くしの「単調な生活習慣」を日々送っている中で、もともと加齢により機能が衰えていく性質を持っている「前頭葉の三本柱」の働き(複合機能体である「前頭葉」の働きの基盤機能)が、膝の筋肉と同じように、廃用性の異常な機能低下を起こしてきて、更には加速度的に働きの衰えが進行していくのです。

(3)「前頭葉の三本柱」の働きが、就中、「注意の分配力」の働きが廃用性の加速度的で異常な機能低下を起こし、さらに進行して行く時、同時に、自発性、観察、分析、考察、洞察、推理、理解、興味、発想、企画、計画、創意、工夫、予見、シミュレーション、修正、整理、機転、抑制、忍耐、感動及び判断という「実行機能」機能及び機能の「発揮度」同時に加速度的に低下していくということなのです(上述した『二重構造」とその連鎖の仕組み』の問題)。そうした各種の機能が異常なレベルに低下した下での、『前頭葉』を含む脳全体の機能レベルのアウトプット自体が、前頭葉』を含む脳全体の機能レベル厳密にリンクした、三段階に区分される「類型的な症状」、即ち、『アルツハイマー型認知症発病の症状として発現してくるのです(世界初で、唯一で、且つ、正しいことが、対象を、『アルツハイマー型認知症』の発病の予防に特化した活動であり、452の市町村での住民参加型の『地域予防活動』の実践展開指導で、疫学的方法により実証されていて、顕著な成果を挙げてもいたのです。政府が、『ボケても安心な社会づくり』を標榜して、『介護の予防』という川下に目を向けた活動を市町村での全国展開を制度化していく中で、私たち「二段階方式」が標榜する『持続可能な超高齢社会』を構築し、維持していく上で不可欠であり、川上に目を向けた活動が、市町村から消えていくこととなったのです(現在では、G00ブログ上での情報発信しかしていないのですが、いつの日か、天の命を受けて、市町村による予防活動の国策化実施を実現したいと考えているのです(臥薪嘗胆)。


&9  「 小ボケ」と「中ボケ」の段階を見落としている問題点

(1) この「前頭葉の三本柱」の機能が異常なレベルに機能低下してきたことにより発現してくる症状(より詳細に説明すると、「前頭葉の三本柱」の機能が異常なレベルに衰えてくることに連動し連鎖して、「前頭葉」の構成要素としての各種機能の機能発揮度も異常なレベルに衰えてくることが原因で発現してくる症状)、複合機能体としての『前頭葉』の機能障害としての『アルツハイマー型認知症』の症状について、発病の最初の段階である「軽度認知症」(小ボケ)の症状として例示してあるものの中から、いくつか取り上げて、症状を具体的に説明しましょう。

〇 複数のことに注意が分配できなくて、3つの用事が同時にさばけない(「注意分配力」の機能障害)

〇機転がきかなくて、状況に応じた創意工夫ができない(「実行機能」の機能障害)

〇 発想が乏しくて、画一的な行動が目立つ(「実行機能」の機能障害)

〇何事をするにも億劫で面倒がり、何かをやってみようという意欲が見られない(「意欲」の機能障害)

〇一日や一週間の計画が自分で立てられず、なにも思いつかない様子(「実行機能」の機能障害)

〇これまでなら感動していたことに対して感動しない(「実行機能」の機能障害)

〇ぼんやりしていることが多く、自分から何もしないが指示されるとできる(「評価の物差し」の機能障害)

〇 根気が続かず中途半端なことを繰り返し、やりかけの家事が目立つ(「注意集中力」の機能障害)

(2) 『前頭葉だけが(個別の構成要素を挙げると、意欲、注意の集中力及び注意の分配力からなる「前頭葉の三本柱」の機能、「評価の物差し」=意識の首座=自我の機能及び「実行機能」)異常レベルであって、「左脳も右脳も運動の脳も」機能が、未だ正常レベルである「軽度認知症」(小ボケ)の段階で発現してくる症状は、この複合機能体である『前頭葉』の各構成要素が異常な機能レベルに在ることの『アウトプットそのまま』であることが重要なのです。とはいえ、『意識的な世界』に於ける脳全体の「司令塔」の役割(三頭立ての馬車の御者)を担っている『前頭葉』の機能が、廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行に因り、異常なレベルに衰えてきたその時(その段階=小ボケ)から、『アルツハイマー型認知症』は、『もう始まっている』と考えるべきなのです。

(3)『アルツハイマー型認知症』は、性質それ自体として「治すことが出来ない」タイプの認知症ではないのです。治すことが出来ないのは、本当の意味での早期の段階であり、治すことが出来る小ボケ」及び「中ボケ」の段階を見落として、最早治すことが出来なくなる「末期の段階」、「大ボケ」の段階で、発病を見つけている医師達に責任があるのです(「発病のレッテル貼り」をしているだけ)。

(4)その大本は、「DSM-Ⅳ」の第二要件の規定内容の誤りにあり及び「DSM-Ⅳ」の第一要件の誤りに気付かず、妄信していて、憶測と想定による仮説内容である『アミロイドβ仮説』の誤りにあるのです。

& 10「アルツハイマー型認知症」発病の引き金となる要因

(1) 世界中の認知症の専門家達から発病の原因が不明と言われている「アルツハイマー型認知症」は、上述したように、「加齢の進行とともに脳の老化が進む=正常老化の性質」という発病の「第一の要件」)と「ナイナイ尽くしの単調な生活習慣の継続」という発病の「第二の要件」)二つの条件が同時に充足されることによる『相剰効果』によって、廃用性の加速度的で異常な機能低下が惹き起こされることにより、『前頭葉』(前頭葉の三本柱の機能、評価の物差しの機能及び実行機能から構成されている複合機能体であることに注意)の機能が、異常なレベルに衰えが進行してくることが原因で、発病するのです(二段階方式独自の見解)

(2) 私たち「二段階方式」が定義し、提示する『アルツハイマー型認知症』を発病するメカニズム(原因と機序)のもとでは、「第一の要件」は誰しも共通であり、「第二の要件」こそが「アルツハイマー型認知症」を発病するかしないかを決定づける条件となるのです。認知症の大多数90%以上を占める「アルツハイマー型認知症」は、ナイナイ尽くしの「単調な生活習慣」(自分なりに追求する特定のテーマがなく、生き甲斐無く、趣味なく、交友なく、運動もせず、目標となるものもない単調な日々の暮らし方)の継続という第二の人生での「生活習慣」が発病の引き金となる病気なのです。

(3)「原因も分からないし治せない病気」と言われて放置されたままになっている「アルツハイマー型認知症」という病気は、廃用症候群に属する老化・廃用型の「生活習慣病」であるというのが私達(kinukototadao)の見解です。私達の見解は、関係する「前頭葉」の働きを含む脳機能データにより根拠づけられていて、更には、452の市町村で展開した住民参加型の地位予防活動の実践の成果によって、疫学的方法により、実証されてもいるのです。

(4) 高齢になればなるほど、「アルツハイマー型認知症」を発病する人の割合が増えていきます。実態がそうであるとはいえ、どんな年齢の高齢者であろうと、年をとっているだけ(「第一の要件」の充足だけ)では、「アルツハイマー型認知症」を発病することはないのです。他方で、「アルツハイマー型認知症」を発病する人たちは高齢者に限られていて、30歳代や40歳代といった年齢の若い人達が、どんなに長い期間ナイナイ尽くしの「単調な生活」を送っていても(「第二の要件」の充足だけ)、発病することにはならないのです。「第一の要件」と「第二の要件」とを同時に充足することの「相剰効果」として、(「前頭葉」を含む脳全体の機能が、放物線を描くように「加速度的に機能低下していく」)こと、そしてその先に、(「アルツハイマー型認知症」の発病が待っている)ことを専門家と言われる認知症の研究者や認知症専門の精神科医は、早く知って欲しいのです。

&11 「若年性アルツハイマー型認知症」は架空の病気

(1) 働き盛りの30歳代から50歳代の若い年齢で、「若年性アルツハイマー型認知症」を発病する人が増えてきている)などとテレビで放映されたりすることがあります(これまでに、NHKが、繰り返して放送しているもの)。

(2) 老年性の「アルツハイマー型認知症」(全体の90%以上を占める)と若年性の「アルツハイマー病」(全体に占める割合は、1,.1%程度)とをまとめて、「アルツハイマー病」と呼称する人達がいます。その人達は、両者の「解剖所見」が似ているというだけの理由で、同じ病名をつけて呼んでいるのです(彼らは、「アルツハイマー型認知症」については無知な人たちであり、両者共に遺伝子が発病を惹き起こす原因と誤解しているだけ。その遺伝子も、「アルツハイマー病」は早発型で、「アルツハイマー型認知症」は晩発型なのではないかと、空想している)。

(3) 「若年性アルツハイマー型認知症」と診断され、呼称されている認知症の殆どは、発病の原因自体が「アルツハイマー型認知症」とは、全く異なる別の病気なのです。但し、認知症ではなくて「認知症と紛らわしい病気」である「側頭葉性健忘症」(このケースが、一番多い誤診のケース)や「感覚性失語症」や「緩徐進行性失行」のことをよく知らないで、それらを「若年性アルツハイマー型認知症」とまちがえているので、注意が必要です。

(4) 生まれつき特定の遺伝子に異常がある人だけが発病する「アルツハイマー病」(若年発症が特徴 )、「早発型アルツハイマー病」は、「アルツハイマー型認知症」発病の第一の要件とも第二の要件とも全く無関係の病気なのです。

(5) 米国精神医学会が定める「アルツハイマー型認知症」の診断規定である「DSM-Ⅳ」に、第一の要件として「記憶の障害」が、第二の要件として「失語、失認又は失行」が挙げられている為に、「前頭葉」を含む脳の機能レベルを調べることもなく、原因と結果との間の「因果関係」を確認することもなく、重度の記憶障害の症状(或いは、あたかも記憶障害の症状のように見かけられる症状)と第二の要件に挙げられている失語や失認や失行(紛い)の症状のうちのどれか一つの症状が見られると、「アルツハイマー型認知症」であると誤診しているのです(その人達は、『誤診』をしていることにも気づいていないのです)。  

(6)「働き盛りの若い50歳代の人たちの間に、「アルツハイマー型認知症」を発病する人達が増えてきているというのは、タイトルとしては衝撃的でニュース性があり視聴率を稼ぐことと思いますが、内容的には「全くの誤り」なのです。「アルツハイマー型認知症」を発病する「対象」は、60歳を超える年齢の「高齢者だけ」となるのです。

(7)「側頭葉性健忘症」の特徴である重度の「記憶障害の症状」(重度の記銘力障害が原因での重度の記憶障害の症状であることに注意)があっても、或いは「認知症の症状」と誤診されやすい「感覚性失語」による症状、又は「緩徐進行性失行」の症状があっても、(「前頭葉」の機能レベルが正常な場合は、そもそも「認知症」ではない)のです。

 

& 12    『アルツハイマー型認知症』の正体に対するコンセンサスの獲得   

(1) 世界中の認知症の専門家達(医師や研究者や学者達)から、「原因がわからないし、治すことができないし、予防することもできない」と言われている「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症は、(廃用症候群に属する老化・廃用型の単なる「生活習慣病」である)とする私達「二段階方式」独自の見解は、権威には乏しくても、「回復と予防」を目的とした他に例のない規模での市町村での「地域予防活動」による実績と大量の脳機能「データ」に裏打ちされています。

& 13    『 アルツハイマー型認知症』は予防出来ることのコンセンサスの獲得

(1)「アルツハイマー型認知症」は、廃用症候群に属する老化・廃用型の「生活習慣病」であって、早期の段階で見つけると治せるし、『前頭葉』を活性化させる「生活習慣」の構築により予防することも出来る病気であるとの私たち「二段階方式」の主張が、検証PRJ(50~100 程度の市町での住民参加型の地域予防活動による検証と実証)により、疫学的に証明されることによって、『「アルツハイマー型認知症」は、原因もわからないし、治すことができないし、予防することも出来ない病気である』と主張してきた「認知症の権威者達の考え」が初めて変わり、「アルツハイマー型認知症」という病気に対する考えに「コペルニクス的な転回」が訪れることになると思うのです(いつの日か、検証PRJを政府に提案してみたいと考えているのです)。

(2) そこで初めて、「アルツハイマー型認知症」の予防という課題に対する「国民的なコンセンサス」が形成されることになると考えているのです。何かの機会に私達のこのブログを読んでくださった方達は、出来るだけ周りの方達にもこのブログの存在を教えてあげていただきたいのです。私たちのこの想いを、どうしたら、できるだけ多くの方達にお知らせできるのか、それが一番の悩みなのです。

注)本著作物(このブログA-78に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

 

 




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アルツハイマー型認知症発病の原因を知る鍵は、脳の働き方のメカニズム(A-77)

2013-02-21 | アルツハイマー型認知症発病のメカニズム

○   意識的な行為の世界における脳の働き方のメカニズム

私たちが、「意識的」に何かの「テーマ」を実行しようとするとき、その行動や行為や思考は、すべて「脳の働きの仕組み」とその「働き具合」の結果なのですが、脳の働きについて、皆さんはどんなイメージをお持ちなのでしょうか。「二段階方式」により私たちが計測した脳の働き具合(脳の機能レベル)についての詳細な説明に入る前に、「意識的な行為」の世界における「脳の働き方」のメカニズムについて、ここで概観しておきたいと思います。

「人間の脳の働きの仕組み」を知るには、医学会でよく使われている「ラット」などの行動ではなくて、脳が壊れた人に発現してくる「症状」を調べると、そのメカニズムの概要を知ることができます。頭のてっぺんの所には、身体を動かす指令を出す「運動の脳」があります。脳卒中で、半身麻痺になる人がいます。運動の脳の左の部分が壊れると、右半身麻痺が起きます。右の部分が壊れると、左半身麻痺が起きます。「運動の脳」の左の部分が右半身を動かしていて、右の部分が左半身を動かしているのです。

 脳の後ろの左側部分には、勉強や仕事などをする上で不可欠の「左脳」があります。左脳が壊れると、言葉や計算や論理や場合分け等に支障が起きてきます。「左脳」は、言葉や計算や論理や場合分けなど「デジタルな情報」を処理しているのです。 脳の後ろの右側部分には、趣味や遊びや人付きあいなどを楽しむ為の「右脳」があります。右脳が壊れると、色や形や空間の認知や感情の処理に支障が起きてきます。「右脳」は、色や形や空間や感情など「アナログな情報」を処理しているのです。

  額のところには、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)があります。私達が意識的に何かの「テーマ」を実行しようとするとき、どのようなテーマをどのように実行するか、「運動の脳」をどのような目的のためにどのように働かせるか」(身体を動かすテーマ)、「左脳」をどのような目的のためにどのように働かせるか」(言葉や計算や論理や場合分けなどデジタル情報を処理するテーマ)、「右脳」をどのような目的のためにどのように働かせるか」(色や形や空間の認知や感情や感覚などアナログ情報を処理するテーマ)、全ては司令塔の「前頭葉」が「左脳」「右脳」及び「運動の脳」と協働しつつ、周りの状況を判断し、実行結果をシミュレーションし、最終的な実行内容と実行の仕方などを決定し、「左脳」、「右脳」及び「運動の脳」に実行の指令を出しているのです。

ところが、肝心の「前頭葉」の働きの仕組みの理解や働き具合(機能レベル)の計測や判定については、世界的に研究が遅れているのです。その働き具合を調べる方法を開発するのが難しいからです。人間の脳の働きは、人間に最も近いとされる類人猿のそれと比較しても、比較にならないほど複雑で高度で多様な働きをしています。そのため、通常よく使われる方法である、「ラット」や「猿」などの行動を調べるくらいでは、人間のそれを理解する根拠資料としては不十分で役には立たないのです。

「アルツハイマー型認知症」発病の原因について、アセチルコリンとする説やアミロイドベータとする説やタウタンパク質とする説や脳の委縮とする説等が唱えられては消えてきました。それらの学説は、「アルツハイマー型認知症」の末期の段階(私達の区分で言う「重度認知症」の段階)にあって何年間も生きた人達の脳を死後に解剖した「解剖所見」を基礎とした「推測」に基づいたものばかりなのです。それらの学説は、発病の「原因」も主張する原因と結果である認知症の症状との間の「因果関係」も、未だに説明できないままでいるのです。因果関係の説明ができないのでは、単なる「推測」の域を出ない主張というほかないのです。

生きている人間(特に、60歳以上の「高齢のお年寄り」)の「脳の働き具合」(脳の機能レベル)とそれにリンクした「症状」を分析して、その多数の分析データと全国的規模で展開された「440を超える多数の市町村での地域予防活動」の実践の成果に基づいて、「発病のメカニズム」及び早期診断による「回復の方法」並びに生活習慣の改善による「予防の方法」をシステム化しているのが、私達の「二段階方式」なのです。その「二段階方式」の考え方の概要を、このブログで公開しているのです。

公開する理由は、我が国の「高齢化」が予想をはるかに上回るスピードで進行していることにあります。我が国の高齢化の進捗状況は、高齢化率(65歳以上の年齢のお年寄りの総数が、人口全体の数に占める割合を言います)が40%を超える町や村がいくつも出てきているうえに、国全体の高齢化率までもが25%に迫るところまで来ているのです。早期診断による「回復」と生活習慣の改善による「予防」をできるだけ早急にシステム化し制度化しないと、取り返しのつかない状況に追い込まれてしまうことを私たちは恐れるのです。その前提条件として、(そのことを少なくとも実践の対象となる「地域住民」全体の共通認識にしておく必要がある)というのが実践体験に基づく私たちの考えなのです。地域住民自体が積極的に参加しないのでは、『笛吹けど踊らず』になってしまうからです。私たちが、「地域予防活動」の実践開始に先駆けて、地域住民を対象とした「講演会」を実施するのを必須としているのは、地域住民の理解と要求のもとで実践するのでなければ、深く浸透することもないし、長続きもしないからなのです。

この写真は、陸前高田で撮影したものです。

「アルツハイマー型認知症」は、脳の使い方としての視点から言うところの、廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」に過ぎないのです。言い換えると、「生活習慣」を改善し脳を活性化することができれば、治すこともできるし(脳の機能レベルを正常ベルに改善させることができる)、発病を予防することもできる病気なのです。「原因も分からないし、治すこともできないし、予防することもできない」病気とされているのは、米国精神医学会の診断基準である『DSM-4』の規定自体に重大な誤りがあるために、その基準に依拠して診断すると「見つけるのが遅すぎる」のがその理由なのです(回復可能な早期の段階を見逃していて、回復が困難な末期の段階でしか見つけられないでいるだけなのです)。『DSM-4』の規定に依拠して、「アルツハイマー型認知症」の診断を行っている専門の医師達も、このことに早く気付いて欲しいと切に願うのです。

それでは、本題に戻りましょう。脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」には、自ら様々なことに取り組むための「自発性」、色々なテーマを思いつくための「発想」、実行しようとする内容を組み立てる上で必要な「理解」や「計画」や「工夫」、実行内容をシミュレーションする上で必要な「考察」や「分析」や「予見」、実行した場合の結果の推測に必要な「推理」や「想像」や「洞察」、予期しない状況に対応するための「機転」や「修正」、状況や実行内容の「判断」、感情の高ぶりを抑えるための「抑制」、実施を指令するための「指示」、その他、「創造」、「感動」といった機能等、私たち人間だけに備わる様々な働きが詰まっています。こうした高度な脳機能は、チンパンジーやゴリラにさえも備わっていないのです。ましてや、「ラット」などに備わっているはずもないのです。ラットの行動を分析して、人間の「記憶」にかかわるメカニズム等を研究している人達がいますが、「本能」に基づくラットの行動の記憶に比べ、「前頭葉」の指令に基づく人間の行動の記憶は、異次元のものなのだとだけ言っておきましょう。

更に「前頭葉」には、自分の置かれている状況を判断し、種々ケースワークした上で、実行テーマの内容や実行の仕方を最終的に選択し決定するために必要な「評価の物差し」という大事な働きも備わっています。これも、私たち人間だけに備わった、特有な機能なのです。こうした「前頭葉」の機能が備わっているからこそ、私たち人間だけが、道具を深化させ、ここまで文明を発展させてくることが出来たのです。

 私が今住んでいる伊豆高原の別荘地も(伊豆半島の東海岸にあって、熱海と下田の中間あたりに位置し、国立公園の中にあります)、このところ天気がぐずつく日々が続いていて、久しぶりに晴れ間を見ることができました。温度はやや低いものの、小雪がちらつきそうにもありません。久方ぶりに味わう日和の良い今日のこの日に、「何処か」へ出かけて楽しんで何かを体験するための「テーマ」を考えつけるのも、その楽しみを一緒に味わえる友達を選べるのも、テーマと季節に合った服装を選択できるのも、全ては、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」が左脳や右脳や運動の脳と協働して、「周りの状況を判断し、テーマを企画し、何をどのようにするかをケースワークした上で決定し、且つそれらに必要な指令を出して、実行させている」からなのです。

 これが、「意識的な行為」における「脳の働き方」のメカニズムの概観なのです。言い換えれば、運動の脳、左脳、右脳という「三頭建ての馬車」をあやつりつつ、「テーマ」とされたその目的に沿った内容の実行を目指す「御者」の役割をしているのが「前頭葉」なのです。 三頭の馬を十分に働かせられるのも、不十分にしか働かせられないのも、「前頭葉」の働き方次第ということになるのです。ところで、「御者」が「馬」をあやつれなくなったら、どうなりますか?たちどころに、馬はどこへ行ったらいいのかが分からなくなってしまうでしょう。

脳全体の司令塔である「前頭葉」の働き具合(機能レベル)が異常なレベルに衰えてきたとき、その直接の結果として、「アルツハイマー型認知症」の症状が発現してくるのです。認知症の専門家達が「アルツハイマー型認知症」の診断基準として、金科玉条のように信望している米国精神医学会の診断規定である『DSM-4』の規定の「第一の要件」に規定されている記憶障害、言い換えると、ほんの少し前に食事をしたばかりなのに、そのことさえ思い出せないような「重度の記憶障害」が出てくるようになるはるか以前の段階で、「アルツハイマー型認知症」はもう始まっているのです。その始まりの時期とは、脳の司令塔の「前頭葉」がちゃんと働かなくなった時点ということなのです。「二段階方式」の手技を活用して計測し判定すると、この時点では、左脳も右脳も未だ正常なレベルであって、「前頭葉」の機能レベルだけが異常なレベルにあることが分かるのです。

私の家の庭の景色です。

60歳という節目の年齢を超えて第二の人生を生きている高齢の「お年寄り」が、何かの出来事を「キッカケ」にして、生き甲斐なく、趣味なく、交友なく、運動もせず、目標もない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を日々継続するようになると、「前頭葉」を含む脳の働きが異常なレベルに衰えてきて(「廃用性の機能低下」)、そのために「社会生活」面や、「家庭生活」面や「セルフ・ケア」の面に支障が起きてくる、それが「アルツハイマー型認知症」という病気なのです。

そして、「アルツハイマー型認知症」の症状を発現させている犯人(原因)は、一部の学者が主張しているような「アセチルコリン」でも、「アミロイドベータ」でも、「タウ蛋白」でも、「脳の委縮」でもないのです。「アルツハイマー型認知症」は、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が日々継続される下で、異常なレベルに衰えてきた「前頭葉」を含む脳の機能レベルの直接のアウトプットが、そのまま「症状」として発現してくるタイプの認知症なのです。1995年以来、北海道から九州まで、440を超える市町村で私たちが実践指導してきた保健師さんとの共同による「地域予防活動」の実践に伴う多数のデータ(「脳の機能レベル」と直接リンクした「認知症の症状」のデータ)が、そのことを明快に語ってくれているのです(ここを「クリック」してください)。

○   「前頭葉を含む脳の働き具合」(脳の機能レベル)を測る「物差し」が必要不可欠

 「アルツハイマー型認知症」発病の原因を見つけるにも、回復可能な「早期の段階」(小ボケや中ボケの段階)で見つけて「治す」にも、適切な介護をするにも、更には発病を「予防」するにも、「脳の働きという物差し」が不可欠になるのです。使用による「保険点数」が極めて高い「CTやMRI」等の高額な精密機器で調べてみると、脳の形(脳の委縮の度合い)を精密に計測することはできるのですが、肝心の「脳の働き具合」(脳の機能レベル)を計測し判定することはできないのです。このブログでこれまでに詳しく説明してきたように、様々な程度と態様で発現してくる「アルツハイマー型認知症」の「症状」について、評価の基準があいまいなままに「記憶の障害」にかかわる症状をメインにして並べてみたり、或いは、様々な程度と態様の「脳の萎縮」の度合いをCTやMRIなどの機器を使用して計測するだけの方法では、「アルツハイマー型認知症」発病の原因(メカニズム)を解明することも、更には、「回復」させることが可能な早期の段階(「小ボケ」や「中ボケ」)を見つけることも、ましてや発病することを「予防」する方法を見つけることも出来ないことに、認知症を専門とする医師たちが早く気付いて欲しいのです。

どんな程度と態様のものであれ、「アルツハイマー型認知症」の症状は、司令塔の「前頭葉」を含む脳全体の働き具合である「機能レベル」のアウトプットに過ぎないのだから、「脳の機能レベル」と「症状」とを直接「リンク」させて計測し判定することが、発病の原因を解明するためにも、早期の段階を見つけて治すためにも、更には、発病自体を予防するためにも不可欠になるのです。そのためには、脳を死後に解剖してみるのではなくて、生きて使われている脳の「働き具合(機能レベル)」を計る物差し」の開発が必要不可欠となるのです。

私たちが開発し、市町村の「地域予防活動」での実践に活用している「二段階方式」と呼ばれる「神経心理機能テスト」は、御者である「前頭葉」と前頭葉と協働して働いている「左脳及び右脳」との働き具合(機能レベル)を客観的に計測し判定できる優れた手技なのです。簡便ではあるが、脳の働き具合をとてもセンシティブに測ることが出来る優れものなのです。

 ○ 認知症の専門家達は、司令塔である「前頭葉」の働きを無視している

ところで、所謂「物忘れ」を経験されている年齢の皆さんならご存知のように、「記憶の障害」と言っても様々な程度と態様とがあるものなのです。ところが、世間で認知症の専門家と言われる人達は、世界的に権威がある米国精神医学会の診断規定である「DSM-4」の定義の影響を強く受けているので、「重度の記憶障害」の症状を「アルツハイマー型認知症」診断の「第一の要件」と考えているのです。言い換えると、私達の区分で言う末期段階の「重度認知症」(大ボケ)の段階で出てくる「重度の記憶障害」の症状が現れるようにならないと、「アルツハイマー型認知症」とは診断しないのです。

そもそも、「第二の要件」として『DSM-4』に規定されている、失語や、失行や、失認という症状は、末期の段階である重度の症状(私達の区分で言う「重度認知症」の症状)の中でも後半にならないと発現してこない症状なのです。ところが、「DSM-4」の規定は、或る特定の人が「アルツハイマー型認知症」であるかどうかを診断するための規定なので、第一の要件(「記憶の障害」)も第二の要件も同じ人の同じ時に計測し判定された症状でないといけない訳です。従って、その人の症状が第一の要件と第二の要件を「同時に充足する」ということは、第一の要件として規定されている「記憶の障害」という要件は、第二の要件を充足する症状を発現している人の記憶の障害でなくてはならないことになる、このことが理解できたでしょうか。つまり、認知症の専門の医師が「アルツハイマー型認知症」と診断する人の「記憶の障害」は、ほんの数時間前に摂ったばかりの「食事」のことさえも覚えていないような(「記銘」も「保持」もできていない、「想起」することもできない)程度態様の「重度の記憶障害」のことを意味するということになってしまうのです。

世間では、私たちが「アルツハイマー型認知症」の始まりの段階と考えている「軽度認知症」(小ボケ)の段階を単なる「不活発病」として、「中等度認知症」(中ボケ)の段階を「老化現象」としてしか捉えていなくて、「アルツハイマー型認知症」とは考えもせずそのまま放置し、見逃してしまっているのです。脳の働き具合(機能レベル)という視点から言うと、「軽度認知症」(小ボケ)の段階では、馬の役割しかしていない「左脳も右脳も」働きが未だ正常なレベルにあるのに対して、三頭立ての馬車の御者の役割をしている(脳全体の司令塔の役割を担っている)「前頭葉」の機能だけが既に異常なレベルに衰えてきていることを知ることが、極めて重要な視点になるのです。アミロイドベータ説やタウタンパク説や脳の委縮説等の主張内容が正しいのであれば、セルフケアや家庭生活面には何の支障も起きてきていなくて「社会生活」面にだけ支障が起きてきているこの「軽度認知症」(小ボケ)の段階で、(老人斑が前頭葉の部位だけに生成)されていたり、(神経原繊維変化が前頭葉の部位だけに起きて)きていたり、(脳の顕著な萎縮が前頭葉の部位だけに認められる)はずということになるのです。それぞれの学説にかかわる人達は、この私の問題提起に対する「説得力ある回答」を出していただきたいと思うのです。

「脳の機能レベル」と「症状」との関係について、私たちが開発した「二段階方式」のような「神経心理機能テスト」を活用して、多数の症例を対象にして、詳細且つ厳格に計測し分析してみると、「脳の働き具合」(機能レベル)のアウトプット自体が直接「症状」となって現れてくることが分かるはずなのです。「二段階方式」の手技に代表される「神経心理機能テス」の活用により集積された「前頭葉」を含む脳の機能「データ」を更に解析してみれば、「左脳や右脳」の働きが未だ正常なレベルにあっても、それらをコントロールしている脳の司令塔の「前頭葉」が正常に機能しなくなった段階で、その働き具合のアウトプットである症状も同時に異常なレベルのものになってしまう、言い換えると、認知症の「症状」として発現してくることが分かるはずなのです。

生活面(生活の自立度)という視点から説明すると、私達の区分であるこの「軽度認知症」(小ボケ)の段階で既に「社会生活」面に支障が出ているのです。つまりは、脳の司令塔の「前頭葉」が正常に機能しなくなった段階で、「アルツハイマー型認知症」はもう始まっていると考えるべきだということになるのです。そして、「脳の働き具合」(機能レベル)を正常なレベルに回復させることが可能な「小ボケ」や「中ボケ」の早期の段階で「アルツハイマー型認知症」を見つけるには、「前頭葉」の働き具合を計測する手技を活用することが不可欠になるということを私達がこれまでに集積した「データ」が証明しているのです。医療の現場で行われている主流の方法である、CTやMRIで計測し判定する方法では、脳の形(萎縮の度合い)を計測することはできても、肝心な脳の働き具合(「前頭葉」を含む脳の機能レベル)を計測する(判定する)ことはできないということなのです。ところが、このことに関連して、「神経心理機能テスト」の活用に適用される「保険点数」が極めて低く、医療機関が「アルツハイマー型認知症」診断の手技として採用することには、「事業採算的に極めて困難」という問題が存在していることを政府関係者は認識しておいていただきたいのです。

(コーヒー・ブレイク) 「二段階方式」では、「前頭葉」のコントロールのもとで「前頭葉」と協働して働いている「左脳や右脳」の働き具合を計測するために「MMS」の活用をしています(「租点」のままでは、判定がややルーズになるので、「二段階方式」では「換算点」を使用しています)。MMSテストで30点の満点を取る人たちの中にも、「前頭葉」の機能テスト(私たちは、「かなひろい」テストを使います)で調べてみると、異常なレベルに衰えている人達が相当数いるのです。加えて、この人達の「生活の自立度」を調べてみると、「社会生活」面に支障が出てきているのです。従って、「左脳や右脳」の機能レベルが正常レベルでありながら、司令塔の「前頭葉」の働きだけが異常なレベルに衰えてきている段階があることに、認知症の専門家達が早く気づく必要があるのです(私達の区分で言う「軽度認知症」の段階)。「神経心理機能テスト」を活用して、「前頭葉」の機能レベルと「左脳及び右脳」の機能レベルを同時に計測しその組み合わせ結果を判定すると、回復させることが容易な「小ボケ」の段階と回復させることが未だ可能な「中ボケ」の段階と回復させることが困難な「大ボケ」の段階の3つの段階に区分されることが分かるのです。 

 

○   前頭葉の三本柱(意欲、注意集中力と注意分配力)の加齢による老化のカーブ   

脳全体の「司令塔の役割」を担っていて、自分の置かれている状況を「判断」したり、実行する「テーマ」を思いついたり、実行する「計画」を立てたり、実行の内容や仕方を「工夫」したり、実行結果の「シミュレーション」をしたり、状況の変化に対応して「機転」を利かせたり、各種の高度な働きを内包している「前頭葉」の機能、中でも、その認知機能を正常に発揮する上でとりわけ重要な「認知度」を左右する本柱の、「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の働きには、「生活習慣」の如何にかかわらず「加齢と共に老化し衰えていく」という重要なしかし専門家からは見過ごされている性質があるということを、ここで問題提起しておきたいと思います(「正常老化」の性質)。

この「三本柱」の機能の「働き具合」(機能レベル)は、18歳から20歳代半ばまでがピークで、20歳代半ばを過ぎるころから100歳に向かって、緩やかではあるけれど、一直線に衰えていくのです。 「アルツハイマー型認知症」を発病する人の割合が急に多くなってくる60歳代後半にもなると、前頭葉の働き具合は、ピーク時の18歳から20歳代半ばの頃に比べて、「働き」が半分以下に衰えてきているのです。70歳代、80歳代、90歳代、100歳代と、年をとればとるほど、前頭葉の働きがさらに衰えていって、正常なレベルを保ちつつもどんどん低空飛行になっていくのです。

認知症の大多数90%以上を占めていて、皆さんが普段よく目にしていて、専門家からは「原因も分からないし治らないし予防することもできない」と言われている「アルツハイマー型認知症」の正体は、「加齢による脳の老化」という問題が基本にあるのです。「加齢による脳の老化」という問題が基本にあるから、「アルツハイマー型認知症」は、若者には関係なくて、「60歳代以降のお年寄りだけが対象になる」のです(ここを「クリック」してください)。

「アルツハイマー型認知症」発病の原因の(第一の要件)は、この「加齢による脳の老化」を充足することなのです。つまりは、アルツハイマー型認知症を発病する対象は、60歳代以降の「高齢者」であることなのです。その第一の要件を充足する年齢の「高齢者」が、(第二の要件)である、ナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続(生き甲斐なく、趣味なく、交友なく、運動もせず、目標もない「単調な生活」のことを言います)という要件を充足するとき、「アルツハイマー型認知症」を発病することになるのです。30代や40代の若い人たちが、どんなにぐうたらな生活、ナイナイ尽くしの単調な生活を日々送っていたところで、「アルツハイマー型認知症」を発病することは絶対に起きてこないのです。第一の要件と第二の要件を充足すること、つまりその「相乗効果」によって、「アルツハイマー型認知症」が惹き起こされてくるのです。「アルツハイマー型認知症」の専門家とされる人達(医師や研究者や学者)は、このことに早く気付いて欲しいと願うのです。

だからこそ私たちは、「東日本大震災の被災地の高齢者たち」のことをとても心配しているのです。その人たちの多くが、第一の要件と第二の要件を共に充足する生活を日々送っているとすれば、その人たちは必ず「アルツハイマー型認知症」を発病することになるからです。被災から起算して半年から3年の期間は「軽度認知症」(小ボケ)の段階が続きます。その後の、1~2年の期間は「中等度認知症」(中ボケ)の期間で、その後の期間が「重度認知症」(大ボケ)の期間となります。「小ボケ」と「中ボケ」の段階までは、脳を活性化させる「生活習慣」の改善による脳のリハビリにより回復させること(「前頭葉」を含む脳の機能を正常レベルに引き戻すこと)が未だ可能なのですが、「大ボケ」の段階にまで脳の機能が衰えてしまうと、回復させることは困難となり、身体が持つ限り脳の機能は衰え続ける(症状がひたすら重くなっていく)のです。 

       

回復が困難で「介護の対象」でしかない「大ボケ」レベルの人達は、2012年8月時点での厚生労働省による発表数字で300万人超とされています。 私たちが蓄積してきたデータによると、「小ボケ」と「中ボケ」とを合わせた人数(大ボケの予備軍)は、「大ボケ」の人数の4倍にもなります。回復困難な大ボケの人数に、「回復」可能な早期レベルの認知症の人たち、小ボケと中ボケとを加えると、日本ではすでに1300万人を超える数の「お年寄り」達が、「アルツハイマー型認知症」を発病していることになるのです。

そして、「アルツハイマー型認知症は、原因不明で治らないし予防することもできない病気」として手をこまねいたままでいると、「小ボケ」の人は中ボケに、「中ボケ」の人は「大ボケ」に進んでしまうのです。「大ボケ」に進んでしまうと、もはや回復は困難となり、「介護」だけがテーマとなるのです。その上、「アルツハイマー型認知症」と言う病気は、脳の機能がどんどん衰えていくのに比して、身体はよく持つのが特徴でもあるのです。巨額な「介護費用」(介護保険による負担と自費負担の費用)の問題に加えて、「家族介護」の負担の問題とがあるのです。「アルツハイマー型認知症」の早期診断による回復と予防のシステムを制度化するという「テーマ」が国民的な喫緊の課題となってきていることを認識していただけたでしょうか。

○   「アルツハイマー型認知症」の年齢別発症頻度とその意味

 私たちがこれまでに「アルツハイマー型認知症」の早期発見と回復及び予防の為の「地域予防活動」を展開してきた市町村(高齢化率が30%を超える市町村)において畜積したデータによると、「アルツハイマー型認知症」を発病している「小ボケ」以下の人達(「小ボケ」、「中ボケ」及び「大ボケ」レベルの全て)の年代ごとの割合は、定年退職などで「第二の人生」が始まったばかりの60歳代で12%もの高い割合を示していて、70歳代で30%、80歳代で50%、90歳代で75%、加齢の極まりの100歳代で97%というように、年をとるにつれて、どんどん増加していくのが特徴なのです。

「高齢化率」が30%を超える市町村のどこかの地域で、70歳代のお年寄りがアトランダムに100人集まると、30人はもう「アルツハイマー型認知症」を発病しているのです。「小ボケ」(「社会生活」に支障がある)か、「中ボケ」(「家庭生活」に支障がある)か、「大ボケ」(「セルフケア」にも支障がある)か、どれかのレベルになっているのです。認知症の専門家たちは、私達の区分で言う「重度認知症」(大ボケ)の段階の症状を発現していないと、認知症とは診断しないので、「小ボケ」と「中ボケ」とは見逃されていて、放置されたままになっているのです。

       

私たちが「二段階方式」の手技を活用して集積してきた多数のデータは、以下のことを示しています。

○  「アルツハイマー型認知症」の対象は、50歳代以下の人は殆どいなくて、高齢者と呼ばれる60歳以上の年齢のお年寄りに限られている;

○  年をとるほど「アルツハイマー型認知症」の人の割合が増えていき、身体も限界の100歳代では、殆どの人が(97%の人が)「アルツハイマー型認知症」になっている;

○  「アルツハイマー型認知症」になっているお年寄りの年代ごとの割合が、北海道、東北、関東、東海、中部、北陸、近畿、中国、四国、九州のどの地域をとってみても、どこも殆ど同じで、地域差が認められない。

 こうした「データ」から、「アルツハイマー型認知症」を発病する要因は、食べ物でも金属の摂取でもなくて、「加齢による脳の老化」という問題が基本的な条件(「第一の要件」)として考えられるのです。上述のように、「アルツハイマー型認知症」を発病する対象者は基本的に60歳以降の高齢者だけなのです。「脳の老化」と言う問題が基本にあるから、「アルツハイマー型認知症」は若者には関係なくて、「60歳以降のお年寄りだけが対象になる」と考えられるのです。但し、年をとれば誰でも「アルツハイマー型認知症」を発病するわけではありません。70歳代の人たちの70%の人達は、「前頭葉」の機能が正常レベルを保っていて、年相応のレベルでの「社会生活」を送っているのです。「アルツハイマー型認知症」を発病する30%の人達と発病しない70%の人達とを区分けしている鍵となる「第二の要因」とは一体何なのか。その第二の要因は、実は、第二の人生での脳の使い方(「生活習慣」)にあるのです。「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズムについては、第二の要因の「類型パターン」を含めて、今後のブログの記事の中で詳しく説明する予定です。

 注)本著作物(このブログA-77に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

エイジングライフ研究所のHPここを「クリック」してください)

 

脳機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

あの頃チャンネル(2012年04月13日~2013年02月11日)

2013-02-16 | アルツハイマー型認知症発病のメカニズム

あの頃チャンネル(2012年04月13日~2013年02月11日)

テレビで認知症の番組を見ていて、うちのおばあちゃん(おじいちゃん)大丈夫かなと、心配になることがありませんか?色々な種類がある認知症の中でも、その大多数90%以上を占めているのが、アルツハイマー型認知症というタイプの認知症です。ところが、アルツハイマー型認知症は、「原因もわからないし、治せないし、予防もできない」とされて、放置されたままなのです。全国440を超える市町村での地域予防活動の成果に基づいて、アルツハイマー型認知症発病のメカニズム、回復及び予防の方法等について、根拠となるデータを含め、分かりやすく説明するブログが、「アルツハイマー型認知症の早期診断、介護並びに回復と予防のシステム」(「kinukototadao』と入力して、検索すると、このブログが開きます。毎月、1日、11日、21日に更新しています)。文章だけでは、読みづらいので、或る段落ごとに「写真」を挿入しています。そうした写真を集めたものが、この写真集です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アルツハイマー型認知症を発症する脳の機能レベルと症状との関係(A-76)

2013-02-11 | アルツハイマー型認知症発病のメカニズム

認知症の大多数90%以上を占めている「アルツハイマー型認知症」については、1995年に私達が市町村での「地域予防活動」を開始してから今日にいたるまでの間だけでも、発病させる原因を「アセチルコリン」と推測する説、「アミロイドベータ」と推測する説、「タウ蛋白」と推測する説、「脳の委縮」によると推測する説等の種々の学説が入れ替わり立ち代り唱えられてきました。それらの学説は、「発病のメカニズム」及び主張している「原因と結果との間の因果関係」を説明できないまま、うたかたのように出ては消えるのを繰り返してきているだけなのです。その結果、「アルツハイマー型認知症」は、認知症の専門家達の間では、「原因も分からないし、治すことも出来ないし、予防することも出来ない病気」とされ、なす術もなく放置されているのが現状なのです。

認知症を専門とする医師達が、診察の現場で行っていることと言えば、失語や失行や失認という「重度認知症」の段階でも更に末期にならないと発現してこない極めて重い症状だけを診断の要件(「第二の要件」)に規定している米国精神医学会が定める「DSM-4」の基準に依拠して診察を行い、「重度認知症」の段階でしか「アルツハイマー型認知症」を見つけられないでいるのです(前回N-75の「重度認知症」の症状を参照してください)。回復させることを放棄し、予防を提案することもなく、回復が困難である末期段階の「重度認知症」の段階の人達だけを見つけて、その人達を「介護施設」に送り込んでいるだけ、それが医療機関の役割になっているのです。認知症の専門家と言いながら、「DSM-4』の規定の問題点(重大な誤り)に気づくこともなく、規定を鵜呑みにし、金科玉条として受け入れているだけなのです(ここを「クリック」してください)。

医療現場のそうした状況の中で憂慮すべきなのは、「重度認知症」(大ボケ)の段階のお年寄りを「家庭」で家族が介護することを提案する人達が少なからずいることなのです。軽度認知症(小ボケ)及び中等度認知症(中ボケ)の段階までなら回復させることが可能なのですが、「重度認知症」の段階にまで脳の機能レベルが衰えてしまうと、回復させることは困難になるのです。「重度認知症」の人たちの問題点は、「回復させることが困難」なだけでは済まないのです。

「脳の機能レベル」が更に加速度的に衰えていく一方で、つまりは、「症状が更に重症化」していく(前回列挙した「重度認知症」の症状の上の方に列記してある症状から下の方に列記してある症状に向かって症状が進んでいく)一方で、「身体だけは、しっかりもつ」のが特徴なのです。「重度認知症」が始まった時点ではMMSの換算値で14点あるので、「脳の機能レベル」は4歳児レベルなのですが、(「アルツハイマー型認知症」という病名の死亡診断書は存在しないので)、身体がもっている間に他の病気を併発しない限り、ひたすらMMSのテストも全くできないレベルにまで脳の機能が衰え続けるのです。

言い換えると、「重度認知症」のお年寄りを抱えた家族は、自分の「社会生活」(自分らしい生き方の社会生活)をする機会も時間も気力も失くしていってしまうことになるのです。ただひたすら介護に追われることになり、趣味や遊びや交友や運動を楽しむ機会をなくしてしまうのです。現役であれば、働く機会を失うことさえ必要になるのです。これは、「価値観」の問題なので、それでも「家族介護に追われる人生」を選ぶかどうかは、最終的には本人が決めればいいことなのですが、その選択を社会的な風潮にすべきではないと思うのです。ましてや、国がそれを政策的に求めるとか制度化すべきものではないのです。介護保険制度の破綻(介護費用)の問題や家族介護の困難さなどの問題に目が向くのであれば、それこそ、「アルツハイマー型認知症」の早期発見による「回復と予防」を制度化すべきなのです。蛇口を閉める方法があるのだから、開きっぱなしにしている蛇口を閉める方策や政策に目を向けるべきだと思うのです(ここを「クリック」してください)。

脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉の機能レベル」を調べることが忘れ去られている医療の現場では、(「神経心理機能テスト」を活用して「前頭葉」を含む脳全体の総合的な「機能レベル」を調べることをしないで)、CTやMRIなどの機器を使って(「脳の形:脳の委縮の度合い」)を中心に調べているのです。それに付け加えるのが『記憶の障害』の症状なのですが、これにも問題があるのです。「前頭葉」を含む脳全体の総合的な「機能レベル」を調べないので、その結果として発現している『段階的症状』という考えもなく、「DSM-4」に規定されている「重度の記憶障害」(しばしば取り上げられる症状が、『つい先ほど食事を摂ったばかりなのに、すぐにそのことさえも忘れる』という症状)と失語や失行や失認という「末期の段階」にしか発現してこない極めて「重度の症状」だけが認知症の症状であると誤解しているのです。回復が容易な「軽度認知症」の段階も、回復が未だ可能な「中等度認知症」の段階も見過ごされてしまっているのです(「アルツハイマー型認知症」の症状を、軽度認知症、中等度認知症及び重度認知症の3つの段階に区分するのは、「二段階方式」の区分方法)。これら早期の段階では、発現してきている症状が、「重度認知症」の段階の症状に比べて相対的に軽いものばかりで、失語や失行や失認といった重い症状は未だ発現していないので、認知症とは診断されないのです

その結果、「アルツハイマー型認知症」は、早期の段階(「小ボケ」や「中ボケ」の段階)で見つけると正常なレベルに脳の機能を回復させることができる(治せる)し、更には予防することもできる性質のものであって、廃用症候群に属する「生活習慣病」の一種に過ぎないのに、「原因も分からないし、治すこともできないし、予防することもできない病気」にされてしまっているのです。認知症専門の精神科医達が皆そのように言うので、権威を重んじる我が国の国民もまた、医師の言葉をそのままに信じるのです。「アルツハイマー型認知症」は、原因もわからないし、治すことも出来ないし、予防することも出来ない病気だとする考えが、北海道から沖縄まで、全国通津裏裏、離島を含めた我が国の隅々にいたるまで深く深く浸透してしまっているのです。

他方で、脳をどのように使うのかと言う視点からの日々の生活の仕方が発病や回復を左右する「廃用症候群に属する生活習慣病である」とする私達の説を「疫学的に裏付ける」実態が出現してきてもいるのです。被災から約2年弱という僅かな期間しか経過していないにもかかわらず、東日本大震災の被災地に於いては『不活発病』のレッテルを貼られる高齢のお年寄り達が異常な規模で出現してきていて、今もなおその状況が進行しているという実態です。実は、この人達は「アルツハイマー型認知症」の最初の段階である「軽度認知症」(小ボケ)の段階の人達なのです(前回のブログで表記した、「小ボケ」の段階の症状を読み返して、比較してみてください)。

このお年寄りたちの「前頭葉」を含む脳の機能レベルを、「二段階方式」に代表される「神経心理機能テスト」を活用して判定してみれば、左脳も右脳も正常レベルにあって、司令塔の「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)の機能レベルだけが異常なレベルに衰えてきていることが分かるのです(「軽度認知症」の段階)。特に、三本柱の「意欲、注意集中力及び注意分配力」の機能が異常なレベルに衰えてきているので、その直接のアウトプットとしての「症状」(「不活発病」のレッテルを貼られるような症状)が発現しているのです(実は、それこそが、「軽度認知症」の段階に発現してくる症状なのですが)。「アルツハイマー型認知症」の特徴である、段階的な症状の発現についての知識を持たない人達が、誤って「不活発病」のレッテルを貼り付けているだけということなのです。

「不活発病」のレッテルを張られるだけで放置されたままのこのお年寄り達は、この先2~3年も経つと、次の段階である「中等度認知症」(中ボケ)の症状を示すようになり、その段階を経て、(被災から4~5年が経過した後)速いケースだと「重度認知症」(大ボケ)の段階の症状を示すようになるのです。「重度認知症」の段階の症状が出てくるようになれば、『DSM-4』の規定を金科玉条と考えている認知症専門の医師達が大騒ぎする事態になることを予告しておきます。

「アルツハイマー型認知症」は、第二の人生を送っている「高齢者」が、日々の生活を送る中での脳の使い方としての「生活習慣」(「前頭葉」を含む脳の出番が極端に少ない「生活習慣」)のために、「廃用性の機能の異常な低下」が起きてくることが原因の病気に過ぎないのです。換言すれば、生き甲斐なく、趣味なく、交友なく、運動もせず、目標もない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」の下では、「前頭葉」を含めた脳の使われる機会が少なすぎるということなのです。一部の学者が唱えているような、「老人斑の生成」とか「神経原線維変化」等の器質の変化が起きてくることが原因で発病する病気ではないというのが、「脳の機能データ」を根拠とした私達の考えなのです(ここを「クリック」してください)。

こうした時の経過(被災から、4~5年)を経て、東日本大震災の被災地の「高齢者」たちが、他のどの地域の高齢者とも異なる「はるかに高い割合」で、「アルツハイマー型認知症」の症状を示すようになれば(被災から4~5年が経過したその時点では、速い人の場合は「重度認知」症の症状を示すようになります)、私達の主張内容に専門家達の注目が集まることになり、「アルツハイマー型認知症」の発病原因に対する専門家達の考えにも、コペルニクス的な転換の時期が訪れることになると思うのです。

(コーヒー・ブレイク) 「アルツハイマー型認知症」の各段階(私達の区分でいう、「小ボケ」、「中ボケ」及び「大ボケ」の段階)で発現してくる個別の「症状」(前回のブログで概説を説明した、「3段階」に区分される症状)は、使われる機会が極端に少なくなった為に急速に異常なレベルにまで衰えてきた「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルの単なる「アウト・プット」に過ぎないと私達は考えているのです(「廃用性」の加速度的な脳機能の低下が進行していくにつれて、各段階における「脳の働き具合」が、そのまま各段階の「症状」として発現するだけなのです)。 「老人班」や「神経原線維変化」或いは「脳の極度の委縮」は、「アルツハイマー型認知症」の末期の段階である「重度認知症」(大ボケ)のレベルを何年間も患ったままでいた為に生じてきた結果(副産物)であって、「アルツハイマー型認知症」を発病させる「原因」ではないのです。認知症の専門家達(研究者や精神科医)は、早くこのことに気づいて欲しいと願うのです。

○  脳の働き方とその機能の発揮レベル

今日は、「アルツハイマー型認知症」の症状を発現させている「原因」である、「脳の働き方とその機能の発揮レベル」について、分かり易く概説してみたいと思います。

「脳の働き方とその機能の発揮レベル」という視点から言えば、「アルツハイマー型認知症」の最初の段階である「軽度認知症」(小ボケ)の段階は、「左脳と右脳」は未だ正常レベルにあるのですが、脳全体の司令塔である「前頭葉」の働き具合だけが「異常なレベル」に衰えてきている状態なのです。 そのため、「前頭葉」の機能の中で最も基礎的で且つ重要な働きであり、意識の各構成要素に対する「認知度」を左右している「三本柱」の機能である「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」が、様々な場面で、的確且つ十分には働くことができなくなっているが故の「症状」を発現してくるのです。

このことを脳の機能面からもう少し詳しく説明すると、「軽度認知症」(小ボケ)の段階では、「意識的な行動、行為及び思考」の目的である「テーマ」自体と「テーマ」の中身を構築している構成要素に対する「認知機能」が、正常且つ必要なレベルで働いていないのです。その上、意識的な行動、行為及び思考の過程で機能すべき「前頭葉」の各構成要素としての機能(自発性、発想、理解、計画、工夫、考察、分析、予見、洞察、推理、想像、機転、修正、創造、感動、判断、抑制、忍耐、指示等の機能)の認知内容について、「記銘」し、「保持」し及び「想起」する機能の発揮度も同時に不十分なものとなっているのです。

私達が開発した「二段階方式」による神経心理機能テストを活用して、この「三本柱」の機能を調べてみると、高齢者と呼ばれる年代の入り口の60歳代にもなると大幅に衰えてきて、70歳代ではピーク時の20歳代に比べて半分程度にまで衰えてきているのです。80歳代、90歳代と年をとるにつれて、脳の機能レベルは更に低空飛行になっていきます。「前頭葉」の各構成機能が働く際の「認知度」を左右している「意欲、注意集中力及び注意分配力」という「三本柱」の機能には、「生活習慣」の如何に関わらず、20歳代の半ばをピークとして、「加齢とともに、働きが緩やかなカーブを描きつつ、衰えていく」という性質があるのです(機能の「正常老化」)。実は、「三本柱」のこの機能は、「記憶」の工程である「記銘」、「保持」及び「想起」の機能発揮度にも深く関わっていて、影響しているのです(30歳代の後半から、いわゆる「物忘れ」の症状が発現してきて、加齢に伴いその程度態様が進行していくのは、このメカニズムの故なのです)。

ここで、「軽度認知症」(小ボケ)の脳の働き具合を簡単に言うと、日常の「社会生活」面で発生してくる種々の「テーマ」を実行するのに必要となるレベルでの「三本柱に下支えられた認知機能」が十分機能していない状態にあるのです。こうした条件下で行為が発想・企画・実行されるため、自発性、状況の判断、実行「テーマ」の計画と内容の工夫、機転や見通し及び決断等が的確にはできなくなるのです。 こうした事態は、自転車のチューブに空気を入れる「空気ポンプ」という機器に例をとって説明すれば、理解しやすいのではないかと思います。「アルツハイマー型認知症」は、空気をチューブに送る役割の紐状のゴム管の部分(脳で言えば、情報を伝達する神経線維)に支障があることが原因(アセチルコリンやアミロイドベータやタウ蛋白が発病を引き起こす原因と主張する学説の考え方)なのではなくて、ポンプを押して空気を押し出してやる部分(脳で言えば、情報を処理し発信してやる「前頭葉」等の脳の機能)に支障が起きてきたこと、つまり、(「廃用性の機能低下」により、働きが異常なレベルに衰えてしまい、正常に機能しなくなったこと)が原因で発病する(「認知症」の症状がでてくる)病気なのです(私達の考え方)。

「自分が置かれている状況を判断して、何をどのようにするかを企画し、あれこれの視点から結果をシミュレーションした上で、最終的な実行内容を選択し、脳の各部に指令を出して、それを実行する」それが、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」の機能だと言いました。そして、あれこれの視点から結果をシミュレーションした上で、最終的な実行内容を「選択」できるのは、「前頭葉」に内在する「評価の物差し」の機能が確立されていて(これが、所謂「自我」の確立)、且つそれがきちんと働いている故でもあるのです。

こうした意思決定のさまざまな過程で必要となる「前頭葉」の機能の働き具合が揺らいできている(異常なレベルに衰えてきている)最初の段階が、「軽度認知症」(小ボケ)の段階なのです。意識的な行動、行為及び思考の世界で、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」が、壊れてもいないのに異常なレベルに機能が衰えてきたとき(私達は、極めて多数の脳機能データの解析から、使われる機会が極端に少ない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続する中で、廃用性の機能低下が進んで、「前頭葉」の機能が異常なレベルに衰えてきていると考えているのです)、薬さえ飲めば元の「正常な機能レベル」に回復できるなど、理解することができないのです(「脳の構造と機能」という視点から考えて、そんなことは、「ありえない」と考えるのです)。

 「アルツハイマー型認知症」の症状を発現する最初の段階であり、「脳のリハビリ」(換言すると、「生活習慣」の改善による脳の活性化)により回復させることが容易な「軽度認知症」(小ボケ)の段階では、「社会生活」に支障やトラブルが出てくるようになるのです。

「軽度認知症」(小ボケ)の段階になると、発想が湧いてこないし、見通しも立たないし、何をどうするのかという「テーマの構想と計画や工夫」が的確に出来なくなるのです。意欲が出てこなくなって、毎日ボンヤリと過ごし、居眠りばかりするようにもなります。何かの「テーマ」に取り掛かっても、注意集中力が続かなくて、「あれも遣り掛け、これも遣り掛け」という風に、中途半端になってしまうのです。頭の回転が鈍くなってしまって、かってのようにテキパキと処理することができないのです。その人らしい生活態度が消えていき、「こんな人ではなかったのに」と周りから言われるようになるのです。「人柄の本質」自体が変わっていくような症状(前述した、「前頭葉の評価の物差しとしての機能レベルのゆらぎに起因)を示してくるのです。「軽度認知症」(小ボケ)のイメージは、何事も人を頼るようになって、一日や一週間の計画も立てられず、指示してもらわないと動けない「指示待ち人」が特徴です。

「アルツハイマー型認知症」は、発病後の症状の進行が緩やかで、何年もかけて徐々にしか進んでいかないのが特徴です。発病後急激に症状が進行していき、僅か2~3年で寝たきり状態になってしまう「狭義のアルツハイマー病」とは、発病原因(発病のメカニズム)だけでなく、症状の進行度合いも全く異なるのです。「アルツハイマー型認知症」は、脳の機能レベル」のアウトプットが「症状」となので、同時に脳の働き具合もリンクさせて調べると、症状は前回のブログで例示したように「3つの段階」に区分されることが分かるのです。「軽度認知症」(小ボケ)と「重度認知症」(大ボケ)の中間が「中等度認知症」(中ボケ)です。「アルツハイマー型認知症」を発病して、相変わらずナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続していると、脳全体の廃用性の機能低下が更に進んでいき、「中等度認知症」(中ボケ)の段階に入っていきます。「軽度認知症」の段階の次に、「脳のリハビリ」により回復させることが未だ可能な、「中等度認知症」の段階があるのです。

「中等度認知症」(中ボケ)は、脳の司令塔である「前頭葉」の働きが「軽度認知症」のときより更に異常なレベルに加速度的に衰えてきている上に、「軽度認知症」のときは未だ正常だった高次機能の「左脳」と「右脳」と「運動の脳」の働きも異常なレベルに衰えてきていて、脳全体の働き具合が異常なレベルになってきています。「中等度認知症」のお年寄りの脳の働き具合は、「4~6歳児」のレベル相当と考えて下さい。

「中等度認知症」(中ボケ)の段階になると、意識の認知度を左右する「意欲、注意集中力と注意分配力」が「軽度認知症」のレベルよりも更に不十分にしか働かなくなります。その結果、認知それ自体とその記銘、保持及び想起の機能の発揮が更に不十分なものとなるのです。左脳がらみの論理的思考や計算、或いは言葉に対する理解や判断力、更には右脳がらみの色や形や時間や空間などに対する認知能力にも支障が出てきます。状況の判断、物ごとの理解や見通し等の判断が「幼稚園児」の程度となる結果、「家庭生活」面に支障やトラブルが起きてくるようになります。但し、「中等度認知症」の段階では、「家庭生活                                                                                                 面」で支障が出てくるとは言え、食事、大小便、入浴など身の回りのこと(セルフケア)は自分で一応できるので、家族に迷惑をかけることはあまりないのです。そのため家族も、「アルツハイマー型認知症」を発病しているとは考えもせず、「年のせい」と考えて悠長に構えているのです。

「中等度認知症」(中ボケ)の段階になると、食器の片付けや、洗濯物の取り込み、庭の草むしりといった、家庭内の簡単な用事程度のこともちゃんとできなくなります。「     4~6歳の幼児」がやる程度にしかできないのです。せっかく洗ってくれたお茶碗はもう一度洗いなおさないといけないし、庭の草取りをしてもらうと花の苗まで抜いてしまいます。この程度にまで脳の機能が衰えてきていても、失語や失行や失認等の「DSM-4」が「第二の要件」に掲げている「重度の症状」及び第一の要件に掲げている「重度の記憶障害」の症状が発現してきていないと、せっかく家族が病院に連れて行っても、「アルツハイマー型認知症」とは診断されないのです。

「中等度認知症」(「中ボケ」のイメージは、(家庭内の簡単な用事程度のこともちゃんとできない)のに、口だけは一人前、「言い訳の上手い幼稚園児」が特徴です。「前頭葉」の機能が異常なレベルに衰えてきているとはいえ、「軽度認知症」(小ボケ)には、未だ自覚があります。「意欲もわかないし、根気が続かないし、てきぱき出来ないし、発想も湧かないし、物事に感動することもないし・・・」と自身が感じていて、「以前の自分と比較して、自分のどこかがおかしい」という自覚を明確に持っていて、自分の状態に「不安」を感じているのです。ところが「中等度認知症」(中ボケ)の段階になってくると、そうした自覚を持つこと自体が出来なくなってくるのです。自分の状態に対する自覚がもてないので、不安も全くと言っていい程に感じていないのです。逆に、「こんなところが、おかしい」と家族が指摘しても、「そんなことはない。私は、ボケてなんかいない」と言い張るのです。自分のおかしな言動についての、一端の言い訳(ヘリクツの類)ばかりを並べ立てるのです。

「中等度認知症」(中ボケ)の段階になっても手をこまねいていて(そもそも、本人には自覚がないのですが、家族を含む周りの人達にも状況が理解されていなくて)、相変わらずナイナイ尽くしの「単調な生活」を本人が継続していると、「前頭葉」を含む脳全体の廃用性の機能低下が更に加速度的に進んでいき、「重度認知症」(大ボケ)の段階に入っていきます。

「アルツハイマー型認知症」の末期の段階であり、回復させることが困難な「重度認知症」(大ボケ)の段階は、「前頭葉」を含む脳全体の働きが「中等度認知症」の段階よりも更に異常なレベルに衰えてきているのです。左脳と右脳と運動の脳の働きも、幼稚なレベルの機能が残っている程度である上に、脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」は殆ど機能しなくなっているのです。そのため、意識の認知度を左右する「意欲」、「注意集中力」と「注意分配力」がほとんど働いていない状態なのです。「重度認知症」(大ボケ)段階のお年寄りの脳の働き具合は、「4歳児以下」のレベル相当と考えて下さい。 

 

脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」がほとんど寝たきりの状態になっている「重度認知症」(大ボケ)の段階になると、これまでの人生で何度となく体験して体に浸み込んでいるような「言葉」や「テーマ」或いは「状況」に対しては或る程度の対応ができるのですが、折々に直面する新しい状況や身体に浸みこむほどの経験がないテーマに対しては殆ど対応できないのです。

脳の司令塔の「前頭葉」は、殆ど働かなくなっている上に、左脳や右脳や運動の脳も極めて不十分にしか働かない「重度認知症」(大ボケ)は、脳の機能を回復させることは困難となり、症状がさらに進んでいくので、自分の身の回りのことをする「セルフ・ケア」の面にも支障が出てきます。食事をしたり、服を着たり脱いだり、お風呂に入ったり、トイレの後始末をしたりといった、身の回りのことも自分でできなくなり、日常生活に「介助」が要るようになるのです。

(コーヒー・ブレイク) ところで、米国精神医学会の規定である「DSM-4」では、「記憶の障害」を「アルツハイマー型認知症」診断の「第一の要件」と定めているのですが、「アルツハイマー型認知症」のお年寄りの「記憶の障害」の問題について、少し説明しておきましょう(まず、ここを「クリック」してください)。

精神科医が「アルツハイマー型認知症」であると診断する第一の要件である「重度の記憶障害」の症状は、「前頭葉」を含む脳全体の働き具合が異常なレベルに衰えてしまっているので、「認知」それ自体と「記銘」、「保持」及び「想起」の機能が極めて不十分にしか働かない(症状の進行に連れて、どんどん機能しなくなっていく)ために起きてくるものなのです。

そもそも、記憶は、「記銘」して、「保持」して、「想起」してくるという経路をたどるものなのです。「重度認知症」(大ボケ)の段階になると、直前の事さえ忘れてしまうような重度の記憶障害の症状(ほんの少し前に食事をしたことさえ覚えていないような症状)が例示としてしばしば取り上げられています。「重度認知症」の段階にまで脳の機能が衰えてくると、脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」の機能、その中でも特に、意欲、注意の集中力及び注意の分配力という「三本柱」の機能がほとんど働かなくなってきている状態なので、「保持」及び「想起」に必要な程度での「記銘」自体ができなくなってくるのです。いろいろな「テーマ」の内容を記銘する記銘度自体が極めて低いので、保持も想起もできなくなっているのです。その結果として、直前の出来事さえも覚えていないということになるのです。

次いで、「重度認知症」の直前の段階である「中等度認知症」(中ボケ)の段階では、「昔のこと」は(認知症の重い症状が出ている人とは、とても思えない程の)かなりなレベルで、はっきりと思い出すことが出来るのです。その一方で、「最近起きた新しいこと」についての記憶が困難になるのです。その理由は、「意欲」、「注意集中力」と「注意分配力」の機能が不十分にしか働かなくなっているため、「記銘」するときの「記銘度が低くなってしまっている」ことが第一の原因なのです。昔の記憶は、年が若くて(三本柱の機能が正常なレベルにあったので)、「記銘度」が高かったころの記憶ということになり(記銘度が高いと、長期に保持されるので)、今でも思い出す(想起する)ことが出来るのです。

そして、「アルツハイマー型認知症」の最初の段階である「軽度認知症」(小ボケ)の段階では、日常生活面で、いわゆる「物忘れ」の症状が頻繁に起きてくるようになるのが「記憶の障害」にかかわる特徴なのです。この場合、「前頭葉」の機能が異常なレベルにまで衰えてきているので、「前頭葉」の「三本柱」の機能である意欲、注意の集中力及び注意の分配力がきちんと働かなくなっているのです。そのため、「正常な人達」(「前頭葉」の機能レベルが正常な人達)にも起きてくる「物忘れの症状」(「老化の物忘れ」の症状)に比べて、何事をするにも意欲が湧いてこず、注意が集中できず、注意の分配力が的確には働かないので、物忘れが起きてくる「頻度」が高く、且つ物忘れの「程度」が激しいのが特徴なのです。

注)本著作物(このブログA-76に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

エイジングライフ研究所のHPここを「クリック」してください)

脳機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)

  http://blog.goo.ne.jp/quantum_pianist

 http://blog.goo.ne.jp/kuru0214/e/d4801838dd9872301e0d491cd8900f1a


 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする