認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

脳が活性化されたハワイ旅行の楽しい日々の想い出写真(A-96)

2013-10-15 | 楽しくて意欲が湧いてくる生活と脳の活性化

○ 意識的な世界を支配する脳の司令塔の「前頭葉」の機能

 私達の意識的な思考や行為や言動の世界で、何かの「テーマ」を意識的且つ適切に行おうとするに際しては、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」が正常なレベルに在って機能することが必要な条件となります。私達の意識的な世界でその「前頭葉」は、左脳、右脳及び運動の脳という3頭の馬を操る御者の役割をしているのです(「3頭建ての馬車」の御者の役割)。

私達が意識的に何かの「テーマ」を実行しようとするとき、どのような「テーマ」をどのように実行するか、「運動の脳」をどのような目的のためにどのように働かせるか」(身体を意識的に動かす「テーマ」)、「左脳」をどのような目的のためにどのように働かせるか」(言葉や計算や論理や場合分けなどデジタル情報を意識的に処理する「テーマ」)、「右脳」をどのような目的のためにどのように働かせるか」(色や形や空間認知や感情などアナログ情報を意識的に処理する「テーマ」)は、「前頭葉」が決めているのです。言い換えると、「左脳、右脳及び運動の脳」という3頭建ての馬車の御者である司令塔の「前頭葉」が3頭の馬と協同しつつ周りの状況を判断して、「テーマ」とその内容の組立及び実行の仕方を決定し、且つそれらに対し必要な指令を出して実行しているのです。これが、意識的な行為や言動或いは思考の実行における脳の働き方の全体像なのです。手足となる「三頭の馬」を十分に働かせられるのも、不十分にしか働かせられないのも、全ては「前頭葉」の働き次第ということになるのです。 

ここをoneクリックしてください。写真が拡大されます。

(コーヒーブレイク) 或る時期私は浜松医療センターの脳外科で、患者の治療前と治療後の脳の働き具合を調べる仕事をしていました。その関係で、様々な「神経心理機能テスト」を開発する仕事に挑戦しました。頭のてっぺんの所には、身体を動かす指令を出す「運動の脳」があります。脳卒中で、半身麻痺になる人がいます。運動の脳の左の部分が壊れると、右半身麻痺が起きます。右の部分が壊れると、左半身麻痺が起きます。運動の脳の左の部分が右半身を動かしていて、右の部分が左半身を動かしていることが分かるのです。脳の後ろの左側部分には、勉強や仕事などをする為の「左脳」があります。左脳は、言葉や計算や論理や場合分けなど「デジタルな情報」を処理しているのです。脳の後ろの右側部分には、趣味や遊びや人付きあいなどを楽しむ為の「右脳」があります。右脳は、色や形や空間や感情など「アナログな情報」を処理しているのです。

 額のところには、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」があります。その「前頭葉」には、発想したり、計画したり、工夫したり、推理やら洞察をしたり、機転を効かせたりするための様々な働きが詰まっています。更には、自分の置かれている状況を判断し、種々ケースワークしたうえで、実行テーマの内容や実行の仕方を選別して、最終的に決定するために必要な「評価の物差し」という大事な働きがあります。私たちが遭遇する様々な状況に対して、自分なりの適切な選択が行えるのは、この評価の物差しがあるからなのです。

 

 ○ 意欲、注意集中力及び注意分配力の加齢に伴う衰え方

 脳全体の司令塔で、置かれている状況を判断したり、何かを思いついたり、計画を立てたり、工夫したり、洞察や推理をしたり、機転を利かせたり、感動したり、抑制を働かせたり、各種の高度な働きを担当している「前頭葉」の機能、中でも、その認知機能を発揮する上でとりわけ重要な各種情報及び状況の「認知度」並びに発想、洞察、工夫、機転、評価及び決断など「前頭葉」の高度な各種認知機能の「発揮度」を左右する機能である「前頭葉」の三本柱の機能、具体的には「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の働きには、「加齢と共に老化し衰えていく」という重要な性質があるのです(「正常老化の性質」)。

 「前頭葉」の各種認知機能の発揮度を左右しているこの「三本柱」の機能には、18歳から20歳代の半ばまでがピークで、20歳代の半ばを過ぎるころから100歳に向かって緩やかではあるが、一直線に衰えていくという「内在的な性質」があるのです。 「アルツハイマー型認知症」を発病する人の割合が急に多くなってくる60歳代後半にもなると、脳の使い方としての生活習慣の如何に関わらず、そうした性質を持つ「前頭葉」の三本柱の働き具合は、ピーク時の18歳から20歳代の半ば頃に比べて、半分以下のレベルにまで衰えてきているのです。 認知症の大多数90%以上を占めていて、専門家達からは原因も分からないし治らないし、予防することもできないと言われている「アルツハイマー型認知症」の正体は、加齢による脳の老化という性質(正常老化の性質)が基本に存在するのです。この「加齢による脳の老化」という問題が基本にあるからこそ、「アルツハイマー型認知症」は、若者には関係なくて、「60歳代以降のお年寄りだけが発病の対象になる」のです。

   

 ○ 廃用性の機能低下により脳の機能が衰えていく順序

脳全体の司令塔の役割を担っていて、自分の置かれている状況を判断したり、何かを思いついたり、計画を立てたり、工夫したり、洞察や推理をしたり、機転を利かせたり、各種の高度な働きを担当しているのが「前頭葉」なのです。中でも、意識的に何かの「テーマ」を実行する場面で、「前頭葉」の各種の「認知機能」を正常に発揮するには、一定レベル以上の「認知度」が確保されていることが必要となります。その「認知度」を左右する機能の三本柱が、「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の働きなのです(「前頭葉」の各種認知機能の発揮度に関わる「二重構造」の問題)

然もこの三本柱の機能には、上述したとおり、「加齢と共に老化し衰えていく」という重要な内在的な性質があるのです。生き甲斐や目標もなく、趣味や遊びや人付きあいもなく、運動もせず、何らかの社会活動に参加する機会もない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を送っていると言うことは、脳の機能面から言うと、「前頭葉」の機能の中でも最も基本的で不可欠な機能であり、「認知度」を左右する働きをしている「三本柱」の機能の出番が極端に少ない生活を送っているということになるのです。言い換えると、内在する「正常老化」の性質によって、もともと加齢により機能が衰えていく性質を持つ「前頭葉」の三本柱の働きが、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を送っている中で、膝の筋肉と同じように、廃用性の加速度的な機能低下を起こしてくることになるのです。この加齢により機能低下していく衰え方(衰えるカーブの角度)が予想以上に大きいので、それを下支えしてやる日々の生活、具体的には、自分なりに日々の生活を楽しむ「生活習慣」の構築が不可欠となるのです。「意欲」が湧いてきて、「注意の集中力」や「注意の分配力」を発揮する場面が多い具体的な「テーマ」を、できる限りたくさん且つ蜜に実践することが第二の人生では強く求められることになるのです。

(またまた、コーヒーブレイク) 意識的に何かの「テーマ」を実行する場面で、自発性、観察、分析、考察、洞察、推理、理解、興味、発想、企画、計画、創意、工夫、予見、シミュレーション、修正、整理、機転、抑制、忍耐、感動及び判断等、「前頭葉」を構成している各種の高度な認知機能を正常に発揮するには、一定レベル以上での「認知度」が確保されていることが不可欠となるのです。認知度が一定レベル以下だと、「前頭葉」の各種認知機能自体が必要なレベルで発揮されなくなるのです。そうした「認知度」の高さ或いは低さを左右しているのが、意欲、注意の集中力及び注意の分配力という「三本柱」の機能なのです(「認知度」と「発揮度」とがともに、「三本柱」の機能レベルと「リンク」している)。ところが、この「三本柱」の機能自体に、「加齢と共に老化し衰えていく」という重要な性質が内在していることは、前述したとおりなのです。脳の司令塔は「前頭葉」であり、その「前頭葉」の三本柱の機能に加齢と共に働きが衰えていくという性質、「正常老化の性質」が内在していることが「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズムを理解するうえで不可欠の重要な指標となるのです。

 アルツハイマー型認知症は、脳の使い方という視点からの「生活習慣病」なのです。 

正常な老化の過程とはいえ、加齢による老化により「前頭葉」の機能が低空飛行状態に入ってきている60歳を超えた高齢者と呼ばれる年齢の「お年寄り」(年齢が「第一の要件」)が、脳を積極的には使わない生活、言い換えると生き甲斐や目標もなく、趣味や遊びや人付きあいもなく、運動もせず、何らかの社会活動に参加する機会もない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を日々続けていると(「単調な生活」の継続が「第二の要件」)、出番が少ないために使われる機会が極端に減った「前頭葉」が廃用性の機能低下を起こしてきて、第一の要件と第二の要件とが重なり合うことの相乗効果によって、「前頭葉」を含む脳の老化が加速されていくことになるのです。

廃用性の機能低下により「前頭葉」の働きが加速度的に衰えていくその先に、「アルツハイマー型認知症」(「晩発型アルツハイマー病」とも言います)の発病が待っているのです。(注)第一の要件と第二の要件との相乗効果により廃用性の機能低下が進むときは、直線的ではなくて放物線を描いて加速度的に脳の機能が衰えていくのが特徴です。その場合、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」が最初に異常なレベルに衰えていき、次いで、左脳や右脳が異常なレベルに衰えていくのです。更には、「アルツハイマー型認知症」の場合は、MMSテストで判定される下位項目(「左脳及び右脳」の機能に関する項目)の衰え方にも、明確な規則性があることが重要な特徴なのです(衰えていく明確な順番とそのパターンがあるのです)。「前頭葉」と「左脳及び右脳」のそれぞれの衰え方が、他の種類の認知症或いは認知症と紛らわしい病気(側頭葉性健忘症、感覚性失語症、一過性全健忘、老年期うつ病、緩徐進行性失行など)との鑑別の上で、極めて重要且つ客観的な指標としての役割を果たしてくれるのです。この指標は、「二段階方式」による「アルツハイマー型認知症」判定上の重要な一つの柱となっています。

世界中の認知症の専門家達から原因不明と言われている「アルツハイマー型認知症」は、上述したように、「加齢とともに脳の老化が進む」という(「第一の要件」)と「ナイナイ尽くしの単調な生活の継続」という(「第二の要件」)の二つの条件の「相乗効果」によって、廃用性の機能低下というメカニズムにより、脳の老化が更に「加速」されることにより発病するというのが脳機能データと実践の成果に裏付けられた私達の結論なのです。

 このメカニズムのもとでは、「第一の要件」は誰しも共通であって、「第二の要件」こそが「アルツハイマー型認知症」を発病するかしないかを決定づける条件ということになります。言い換えると、認知症の大多数90%以上を占める「アルツハイマー型認知症」は、ナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続という、第二の人生での「生活習慣」と密接不可分の関係がある病気なのです。「原因も分からないし治せないし、発病を予防することもできない」病気と言われ放置されたままになっている「アルツハイマー型認知症」という病気は、廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」に過ぎないというのが私達の見解(主張)です。私たちは、市町村での地域予防活動による成果の裏付けの下に、「アルツハイマー型認知症は、早期に発見すれば治せるし、発病を予防することもできる」病気であると確信し、認知症の専門家達や世間の人々に対して主張し問題提起しているのです。

 

 ○ 「アルツハイマー型認知症」の発病を予防するには、日々の生活を楽しむ生活習慣の構築が不可欠

先月の17日から今月の1日までの半月間、日頃密なお付き合いをしているお友達3家族5人で、常夏のハワイに行ってきました。ハワイ島7日間及びオアフ島7日間の行程です。宿泊は、ヒルトンホテルが運営しているリゾートのヒルトン・グランド・バケーションズ・クラブ(HGVC)です。ハワイ島では、ヒルトンのリゾートであるワイコロア・ビレッジのキングスランドにあるビラの部屋(3LDKで130ヘーベーの広さ)に泊まりました。オアフ島では、ハワイアン・ビレッジのラグーン・タワーの部屋(2LKDプレミアのオーシャンフロント)に泊まりました。食材はスーパーで何でも手に入ります。果物は、ファーマーズ・マーケットで朝採れの完熟物(主にパパイヤ等)を買ってくるのです。朝食は、ラナイで季節の果物と軽食を食べ、100%コナ・コーヒーを飲みながら、ハワイの風を満喫して過ごしました。女性陣とTad が食事を作り、Nickが皿洗いという役割分担です。ハワイ島では、ゆったりとしたリゾート・ライフを原則としつつも、レンタカー(6人乗りのSUV)で、ボルケーノやアカカの滝、ワイピオ渓谷等それなりに各地の観光スポットにも出かけました。ハワイ島の一周も敢行しました。オアフ島では、ダイアモンドヘッド登山にも挑戦し、更には友人のご好意により、オアフ島も車で一周しました。そうそう、ご存知のようにハワイに行くと私たち日本人女性は、小柄でスリムで若く見られるので、リゾートの巨大なプールやあの有名なワイキキ・ビーチでも、その姿に自信を持って泳ぎました。肖像権の関係上、その姿をお見せできないのがとても残念です。但し、その時撮影した景色は、今後このブログの中で逐次紹介していく予定です。

ハワイ島のキングスランドのビラとそのラナイでの一風景(Tad撮影)。

 周りは、自前のゴルフ場(これは、キングスコースの方)。

○ ハワイ島の一景色より

左2枚は、ハプナ・ビーチ

○ オアフ島ハワイアンビレッジのラグーンタワーの部屋から見た景色

  

 フロントの景色

  ラグーン・タワー(21Fのオーシャン・フロントの部屋に宿泊)

注)本著作物(このブログA-96に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

 エイジングライフ研究所のHPここを「クリック」してください。

機能からみた認知症の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)

 

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家族介護の負担を劇的に軽減させる「地域予防活動」の創成(A-95)

2013-10-01 | アルツハイマー型認知症の予防と脳の活性化

 ボケて後 病はとわに 進みゆく

      家族の介護 報われぬまま By kinukototadao

   アルツハイマー型認知症は、世界中の認知症の専門家達の間では、未だに発病の原因も(メカニズムも)分からないし、治すことも出来ないタイプの認知症だとされているのです。当然のことながら、このブログを読んでおられる皆さんもそう信じていると思うのです。

アルツハイマー型認知症と言うタイプの認知症は、発病自体を予防することも出来るし、治すことも出来る病気、廃用症候群に属する単なる生活習慣病に過ぎないのです。すなわち、脳の使い方としての「生活習慣」に起因する病気なのです。末期の段階、私たちの区分で言う「重度認知症」(大ボケ)の段階で見つけているがために、発病の原因もわからないし、治すことも出来ない病気にしているだけなのです。本当の意味での早期の段階、私たちの区分で言う「軽度認知症」(小ボケ)及び「中等度認知症」(中ボケ)の段階で見つければ、脳のリハビリ(脳の使い方としての生活習慣の改善と工夫)によって治すことが出来るのです。「前頭葉」を含む脳全体を活性化させ、脳全体を正常なレベルのままに維持させる生活習慣、趣味や遊びや人付き合いや運動を日々の生活に取り込み、自分なりに第二の人生を楽しむ生き方、自分なりの目標や喜びがあり、自分なりに生き甲斐が得られる生き方が出来てさえいれば、アルツハイマー型認知症を発病することは無い、発病自体を予防することが出来るのです。

○「アルツハイマー型認知症」とされる人達の総数とその重症度の実態

第二の人生に入っている60歳以上の年齢の「お年寄り達」を対象にして、私達が開発した「二段階方式」の手技に基づく「神経心理機能テスト」で、脳の神経心理機能をチェックしてみると、左脳も右脳も運動の脳も正常な機能レベルに在るのに、脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)の働きだけが異常なレベルに加速度的に衰えてきている人達がたくさんいることが分かります。「前頭葉」の本来的な性質であり、内在する性質として、お年寄りであれば誰でもが抱えている「正常な老化」のカーブを大きく逸脱し、「異常な老化」のカーブを描きつつ加速度的に衰えてきて、「前頭葉」の機能が「異常なレベル」になっているお年寄り達が居るのです。

北海道から九州まで「二段階方式」を導入して「地域予防活動」を先進的に実践してきた440を超える市町村のいたるところで、60歳を超える年齢の「お年寄り達」の間で、驚くほど高い割合による「アルツハイマー型認知症」の発病の指標が確認されるのです。従って、このことを敷衍すれば、日本中どこにでも驚くほどたくさんの、「前頭葉」の機能レベルが「異常なレベル」に衰えている「お年寄り達」が居ることになるはずなのです。

認知症の専門家達からは、未だ認知症ではない(「アルツハイマー型認知症」を未だ発病していない)とされているその人達の「前頭葉」の機能だけでなくて、脳の後半領域の機能である「左脳」と「右脳」とを「二段階方式」の神経心理機能テストで調べてみると、それらの機能が「未だ正常なレベル」に在る人達と「既に異常なレベル」に在る人達とが居ることが分かるのです。前者が、私達の区分で言うところの「軽度認知症」(小ボケ)の段階の人達であり、後者が「中等度認知症」(中ボケ)の段階の人達なのです。認知症の専門家達が「アルツハイマー型認知症」の発病と初めて認める末期段階の「重度認知症」(大ボケ)の段階の人達は当然のことなのですが、「小ボケ」の段階の人達も「中ボケ」の段階の人達も、実は、「アルツハイマー型認知症」を発病している人達なのです。この早期の段階の人達が認知症の専門家とされる人達(医師や学者や研究者達)から見落とされていることが大問題なのです。

何故大問題なのかと言うと、認知症の専門家とされる人達は、私達の区分で言う「重度認知症」(大ボケ)の段階も後半にならないと発現してこない極めて重度の症状である「失語や失行や失認」の症状(米国精神医学会が定める「アルツハイマー型認知症」の診断規定である「DSM-4」の第二要件に規定されている症状)が確認されないと「アルツハイマー型認知症」を発病しているとは考えないからなのです。その結果として、私達の区分で言う「軽度認知症」は「不活発病」などの意味不明の名前が冠されたり、「中等度認知症」は「老化現象」などと勘違いされたりして、何等の問題提起も対策も講じられないままに、放置されたままになっているのです。然も、放置されたままでいると、「アルツハイマー型認知症」は、身体が持つのに脳が持たないのが特徴なので、「小ボケ」は「中ボケ」に、「中ボケ」は「大ボケ」に症状の重症化が進んでいくことになるのです(なお、「小ボケ」と「中ボケ」のそれぞれの期間については、「脳の老化のスピード差」というテーマに関するデータについて記述した、ここを「クリック」してみてください)。

私達のデータによると、「大ボケ」の予備軍である「小ボケ」レベルの人達と「中ボケ」レベルの人達とを併せた人数は、「大ボケ」の人達の4倍もいる筈なのです。皆さんご存知のように、厚生労働省が今年の6月に発表した「認知症」を発病しているとされた人達(私達の区分で言う「大ボケ」レベルの人達のこと)の数だけでも天文学的な規模の人数(460万人)なのです。そのうちの90%以上を占めているのが「アルツハイマー型認知症」の人達なのです(460万人×90%≒400万人が「アルツハイマー型認知症」の人達の人数となります)。その数(≒400万人)の4倍も居る「小ボケ」と「中ボケ」レベルの人達を「大ボケ」レベルに落とさないだけでも、天文学的な「介護費用」を削減できることになるのです。

なにしろ、「大ボケ」レベルの人を介護施設で介護するとその費用は、1人当たり月額で30万円にもなるのです(然も、この額は介護保険による負担額のみであって、本人負担分は含まない額なのです)。我が国の今年度の「一般会計」の収入の規模と比較してみてください。背筋が凍るほどの規模の税金により負担されている「介護費用」がかかっていて、その規模はこの先さらに大幅に拡大し続けるという見通しなのです。良いのですか、このまま放っておいて。

  ○   「DSM-4」の規定通りの診断だと、見つける段階が遅すぎるのです

米国精神医学会の診断基準である「DSM-4」が規定する第二の要件である「失語や失行や失認」の症状と言うのは、「アルツハイマー型認知症」の末期の段階、私達の区分で言うと、回復させることが困難な「重度認知症」(大ボケ)の段階にあって、且つMMSの得点が一桁の点数になるまでに「前頭葉」を含む脳の機能レベルが衰えてしまっている人達だけにしか発現してこない極めて重度の症状が確認されている人達ということになるのです。

ここまで「前頭葉」を含む「脳の機能レベル」が衰えてきてしまっていると、「今が、昼なのか夜なのかの区別もつかない」し、「同居している家族の名前も顔もわからない」し、「自分が今居る場所がどこかわからなくて、落ち着かず、外に出ていこうとする」し、「下着や服を自分で着ることもできない」し、「痛んだものを平気で食べる」し、「相手の言葉を理解することもできないし、「それなりに筋がある内容を」言葉を使って考えることも話すこともできないのです。「食事を自分で摂ることもできない」のです。脳の機能がさらに衰えてくると、「手で箸を使って食べることができなくて、口をつけて直接食べようとする」のです。

このような「失語や失行や失認」と言った末期の段階、私達の区分で言う「重度認知症」も更に後半にならないと発現してこない極めて重度の症状を確認できないと「アルツハイマー型認知症」を見つけることができないのは、何故なのでしょうか。それは、「DSM-4」の規定がいくつか確認される典型的な重い症状だけを基準にして「診断の要件」を決めていることに原因があるのです。私達のように、「前頭葉」を含む脳の機能レベルとその直接のアウト・プットである症状とをリンクさせた診断基準にしてやれば、本当の意味での「早期診断」が可能になるのです。そうすれば、回復させることが可能な早期の段階、「軽度認知症」(小ボケ)や「中等度認知症」(中ボケ)の段階で「アルツハイマー型認知症」を見つけることが可能になるのです。この本当の意味での「早期の段階」で見つけることができれば、私達が市町村で実践してきた「地域予防活動」での成果に見られるように、「前頭葉」を含む脳の機能レベルを「正常なレベル」に回復させることができるのです(脳の機能が正常なレベルに回復されることが原因で、それまで発現していた認知症の症状が消えてしまう)。

 ○   認知症に起因する「失語や失行や失認」の症状が意味するもの

そもそも「アルツハイマー型認知症」の人達は、「身体がもつのに対して脳がもたない」ことがその「重要な特徴」なのです。私達が思考や行為や行動や言動を意識的に行おうとするときは、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」が、状況を判断して、状況に即した「テーマ」を考え付き、その「テーマ」を実行する内容と手順を考えて組み立て、実行した結果を洞察したり推理したりする等必要なシミュレーションを行い、状況の判断に基づく必要な修正を加え、或いは感情の吐露の程度や態様を抑制する等、総合的に判断した上で最終的な内容を決定し、左脳や右脳や運動の脳に指令を出して実行しているのです。「失語や失行や失認の症状」が確認される人達の「前頭葉」の機能は、もはや殆ど働いていない状態(機能レベル)に在るのです。逆に言うと、だからこそ、「失語や失行や失認」といった極めて重い認知症の症状が発現してきているのです。

 認知症で言う「失語」では、単なる日常生活の会話レベルのものであれ、自分の言葉で話すことも、相手の言葉を理解することもできない、言葉を介した意思疎通ができない状態の認知症の症状が起きてきます(「二段階方式」を活用して多数の症例を詳しく調べてみると、実は、「前頭葉」を含む脳の機能レベルの直接のアウト・プットとしての症状だということが分かるのです)。具体的な物の名前が出てこない、或いは言えないのです。了解の障害と言って、他人の話についていけなくなるのです。相手が話す話の筋や言葉の意味を理解できない、或いは自分が話すのに単語は言えるが筋のある話にならない等いろいろな程度や態様の症状を示します。

認知症で言う「失行」では、手や足を動かす運動機能自体に障害がある訳ではないのに、意味のある目的に合った動作や行為ができないと言ったことが起きてきます。使い慣れた道具が使えなくなるのです。箸を使って食べ物を口に運べなくなり、食べ物を直接口で食べたりするのです。シャツを前後ろに着たり、着ることさえできなくなります。形の認知と構成に障害が出てくるので、字を書くことや簡単な図形を描くことも難しくなります。

認知症で言う「失認」では、視覚失認や色彩失認、或いは視空間失認等の症状が出てくるようになります。視力や聴力に支障がないにもかかわらず、目で見たり、耳で聞いたりした内容が理解できなくなるのです。日常生活の道具なども、その形から判断できるはずの用具の意味も使用の仕方も分からないので、使えなくなります。人の顔が区別できなくなるので、声を聴いて自分の母親だとは分かるのですが、顔を見ても母親だとは分からないのです。空間情報の認知に支障が出てくるので、知っているはずの場所や道が分からなくなり、自分の家に帰ることができなくて徘徊することにもなります。

○ 医療の現場で行われている「早期診断」の手法とその実態

「アルツハイマー型認知症の早期診断」と打ち込んで、インターネットで検索してみてください。驚くほどたくさんの医療機関が「早期診断」のタイトルのもとに客寄せ風のブログを公開しているのに出会うことができます。ところが、正常レベルへの回復の可能性がない「重度認知症」(大ボケ)の段階で「アルツハイマー型認知症」を見つけているのが、「早期診断」という名の下で行われている医療現場の実態なのです。回復の可能性がないまでに脳の機能が衰えてしまっている段階で見つけることに何の意味があるというのでしょうか。回復の可能性がある「アルツハイマー型認知症」の本当の意味での早期の段階、「軽度認知症」(小ボケ)と「中等度認知症」(中ボケ)の段階で見つけてこそ、早期診断と言える、或いはそれこそが医療機関が果たすべき社会的な役割なのではないでしょうか。

「DSM-4」と言う権威は有るものの内容が誤った診断基準に基づいて「アルツハイマー型認知症」の有無を診断している医療の現場では、「重度認知症」もその後半の段階になって(司令塔の「前頭葉」は殆ど機能していなくて、「左脳や右脳や運動の脳」さえもが異常なレベルに衰えてきていて、僅かに働くだけの脳の機能レベルになって)しか発現しない「失語や失行や失認」の症状の発現を確認して初めて、「アルツハイマー型認知症」の発病と診断し、そのレッテルを貼っているだけなのです。回復させることが困難な「末期の段階」の症状を確認して初めて発病したと診断し、それよりも前の回復させることが可能な軽い段階は見落としてしまっているのです。医師としての良心、或いはその社会的使命に照らして、「これでは見つける意味がない、見つけるのが遅すぎるのでは?」とは思わないのでしょうか。

「早期診断」と銘打つのであれば、見つけた意味や価値が認められる段階(回復させることが可能な本当の意味での早期の段階)での発見であるべきなのではないでしょうか。名ばかりの「早期診断」という現状について介護している家族の側から見た時、末期の段階であって回復させることが期待できない「重度認知症」の段階で且つその後半の段階で見つけてもらうことに、どんな意味があると言えるのでしょうか。その上、CTやMRI等の機器を使う診断は、診断料がとても高いのです(健康保険による負担を含む)。

私達がこのような言い方をするのは、それなりの深い意味があるからです。どんな種類のものであれ、病気の「早期診断」というのであれば、「治すことができる」段階を見つけるべきではないのでしょうか。少なくとも、「病気の進行を明確に遅らせることが期待できる」ものでなければならないと私達は考えるのです。どのブログであれ、医療機関のそれの内容は、(「アルツハイマー型認知症」については、学説は種々あるが発病の原因が未だに解明されていないこと及び早期診断によって「アルツハイマー型認知症」を発病していることが判明しても、それを「治すことは困難」である)と説明されているだけなのです。

その上で、何種類かの薬を服用することによって、「ケースによっては、症状の進行を1年ほど(?!)遅らせる効果が期待できる」と説明されたりしているのです。医療の現場では、服用させた効果が(1年後に?!)期待通りに出なかった場合は、(服用する薬の量を増やしたり、或いは似たような効能書きの薬の種類を増やしたりする)だけの対応が行われていたりするようなのです。何が原因で期待する効果が出なかったのかを説明することさえできていないのです。

私達は、「それらの種類の薬は、そもそも症状の進行を遅らせる効果を期待できないはず」と考えているのです。何故かというと、「アルツハイマー型認知症」と診断された人自体が、色々なレベルの人達だということなのです。「DSM-4]の規定に依拠して診断している限り、「失語や失行や失認の症状」が確認されているはずなので、私達の区分で言う「重度認知症」(大ボケ)のレベルにある人達ということになるはずなのですが、医療現場では、私達の区分で言う「中等度認知症」の後期の段階に在る人たちも認知症と診断されることもあるのです。なにしろ、診断基準自体があいまいな規定なのですから。

そうした人達に上述した薬を何種類か飲ませる一方で、認知症と診断されたその人の生活の場面では、その脳の機能レベルなりに「脳の活性化効果」が出てくる「生活状況」が生まれてきているはずなのです。「二段階方式」の手技を活用して、「アルツハイマー型認知症」の具体的な症例の「生活歴の聞き取り」と症状を発現させている源である「前頭葉」を含む脳の機能レベルとを私達が調べた極めて多数に上る「症例データ」を分析し解析した結果をまとめた「脳の老化のスピード差をもたらす要因」のことなのです(このブログの頭で引用してある箇所をクリックして再度その内容を確認してみてください)。

家族や仲間との散歩や運動)、(家族の優しい言葉かけや励まし、家族との団らん)、(外出、買い物、ドライブ、小旅行、ゲーム、カラオケ等の家族とのイベント)、(離れて住む子や孫からの定期的な電話や手紙による励まし)、(趣味の教室やボランティア活動への参加)、(家事にカムバック等家族や周りから必要とされることで、喜びにつながる仕事への復帰)、(趣味の教室、ゲートボール、カラオケ、お茶飲み会等への参加を通じた友人や仲間とのふれあい)といった機会が得られることによって、「前頭葉」を含む脳が活性化してきて、その程度に応じて脳の機能レベルが改善したり、或いは機能が低下していくスピードが緩やかになったりするのです。

こうした脳が活性化される効果が認められる「生活状況」を完全に排除した上で服用の効果を判定しない限り、「症状の進行スピードが緩やかになった」(言い換えると、「脳機能低下のスピードが緩やかになった」)ことが「服用」による効果だとは断言できないのです。「服用」と「症状の進行スピードが緩やかになった」こととの間の因果関係を証明できたことにはならないからです。そもそも、薬を開発した製薬会社自身が、私達が問題としている「薬を服用しなくても、症状の進行スピードが緩やかになる生活状況が存在する」という問題自体を認識しているとは思えないのです。

 こうしたデータを多数集積している研究所なり、病院なり、製薬会社なりが私達以外に存在するとは考えられないのです。そのような「研究論文」など見たことがないのですから。私達は、脳の機能が正常なレベルのお年寄りから、「軽度認知症」(小ボケ)、「中等度認知症」(中ボケ)及び「重度認知症」(大ボケ)の各段階ごとのデータを多数集積し、分析し、解析した結果に基づき、判定基準として開発しているのです。

 極めて多数の「脳機能データ」に基づくこうした客観的な判定基準があるからこそ、東日本大震災の被災地の高齢者達の間に現在進行中の問題(「軽度認知症」レベルの新規多発、「中等度認知症」レベルへの症状の進行及び今から2~3年先に多発してきて認知症の専門家達の間で大騒ぎになるであろう「重度認知症」レベルに症状が進行した人達の極めて多人数で急激な発現)について、世の中や市町村の保健師さん達や医師を含む認知症の専門家達に警鐘を鳴らし続けているのです。

(コーヒー・ブレイク)「アルツハイマー型認知症を発病」して、米国精神医学会の診断基準である「DSM-4」が第一の要件に規定する重度の「記憶障害」や第二の要件に規定する「失語や失行や失認」の症状が出てくるようになる末期の段階、私達の区分で言う回復させることが困難な「重度認知症」(大ボケ)の段階の更に後半の段階の期間が数年間もあった人達の死後の脳の解剖所見に確認される3つの特徴である、「老人班の生成」、「神経原線維変化」及び「脳の委縮」に焦点を当てる学説が順に、「アミロイドベータ説」、「タウタンパク説」及び「脳の委縮説」なのです。これらの学説は、殺人があった家に居合わせたというだけの理由で居合わせた3人を殺人犯と主張しているようなものなのです。殺人犯と主張する上で必要不可欠である「因果関係を立証できていない」からです。

「アルツハイマー型認知症」の発病者数は、世界中で天文学的な人数になります。一方で、上述の「3つの学説」が学説としては未だに生き残っているとは言え、「アルツハイマー型認知症」は、原因もわからないし、治すこともできないし、予防することもできないとされたままなのです。そのため、現在世界中の製薬会社が、膨大な人とお金と時間とをかけて、「アルツハイマー型認知症」の治療薬の開発にしのぎを削っているのです。

そうした状況の中でつい最近、世界の製薬大手ビッグ3が相次いで、「アルツハイマー型認知症」の治療薬の開発に治験段階で失敗したと発表し、世界中に衝撃が走ったのです(服用による治療効果を確認できなかったと発表)。それらはいずれも、学説の主流である「アミロイドベータ説」に依拠したものだったのです。他の製薬会社が未だにこの学説に依拠した開発を継続中であるとは言え、これによって、「アミロイドベータ説」は破綻したも同然でしょう。学説的には少数説である「タウタンパク説」も、アミロイドベータ説と同じ運命をたどることになるのは時間の問題でしょう。最後に残るのは、「脳の委縮説」と言うことになる訳ですが、世間で所謂「カクシャク」と評価されているお年寄り達をアトランダムに100人も集めて、その人達の「脳の委縮」の状況を調べてみればいいのです。その人達にも、それなりの「脳の委縮」が確認されることを知ることになるはずなのです。最近では、脳内におけるアミロイドベータの蓄積量と脳の委縮の度合いとを組み合わせて、「アルツハイマー型認知症」の早期の段階の発見と症状の進行の状況とを調べる試みも出てきています。私達に言わせれば、「原因ではなくて、結果に過ぎない」ものをどのように組み合わせてみたところで、所詮、「無から有は生まれない」のです。時間の無駄、費用の無駄と言うべきでしょう。

 

○   「小ボケ」及び「中ボケ」の段階で見つけることこそが真の「早期診断」

廃用症候群に属する「生活習慣病」が本質である「アルツハイマー型認知症」は、「前頭葉」を含む脳の機能レベルに応じて「段階的」に認知症の症状が発現し進行していくのが特徴なのです。世の中で「アルツハイマー型認知症」の専門家と言われる人達は、何故か「前頭葉を含む脳の機能レベル」という問題意識も「認知症の段階的症状」という問題意識もないのです。

失語や失行や失認という極めて重度の症状(前述のように、これらの症状は、末期段階の「重度認知症」のレベルでも、MMSの得点が一桁にならないと発現してこない程の重い症状なのです)が確認されないと「アルツハイマー型認知症」とは考えないので、問題意識も認識もないままに単純に、「アルツハイマー型認知症」は治せないものと思い込んでいるので、症状の段階的区分という問題意識もないのでしょう。

私達は、「前頭葉」を含む脳の機能レベルとそれに直接リンクした「認知症の症状」という視点から、その最初の段階(「アルツハイマー型認知症」の入り口の段階)を私達の区分で言う「軽度認知症」(小ボケ)の段階、次いで「中等度認知症」(中ボケ)の段階、最後に末期段階の「重度認知症」(大ボケ)の段階の三つの段階に区分しているのです。「三段階」に症状を区分するのは、「脳の機能が正常なレベル」への回復の可能性という視点と市町村での「地域予防活動」の実践の経験とその成果があるからです。

「軽度認知症」(小ボケ)レベル    : 正常レベルへの回復が容易

「中等度認知症」(中ボケ)レベル  : 正常レベルへの回復が未だ可能

「重度認知症」(大ボケ)レベル    : 回復させることは困難

○   「要介護認定」の現行基準は、客観的な判定を担保できているか

インターネットで検索するとすぐ出てくるので、「要介護認定」の基準を一度読んでみてください。特に、要介護状態区分の身体の状態(例)と認知症の程度(例)の解説内容を熟読してみてください。身体の状態の説明自体も、一部とか、部分的とか、前半とか全体とかあいまいな規定が多いのですが、それでもそれなりに理解することはできるのです。問題は、認知症の程度の説明内容です。認知症の大多数、90%以上を占める「アルツハイマー型認知症」は、記憶の障害がメインの症状ではないのです。記憶の障害があるから、状況に応じた適切な判断や行動や言動ができないわけではないのです。

そうした「記憶の障害」に基づく症状は、「アルツハイマー型認知症」の「重度認知症」(大ボケ)レベルの人達の症状を眺めていた時に、「単に目につきやすい」という程度のものにすぎないのです。「失語や失行や失認の症状」が発現してきているその源である「前頭葉」の機能レベルに在る、もっと言えば、「前頭葉」が殆ど機能していない脳の機能レベルに在ることこそが一番の問題なのです。

要介護度の認定作業にかかわっている保健師さん達、実務を体験していて、且つ私達の区分で言う「重度認知症」のレベルの人達の自立のレベルと生活実態例をたくさん知っていて(然も、MMSの得点が一桁の点数になるレベルの人達の日常生活上の実態及び介護している家族の困難さの実態や訳も分からない言動や行為に振り回されている家族の大変さも知っている)、家族による在宅介護の問題点を介護者の側から十分理解できている保健師さん達に、上記の問題点を理解し認識していただきたいのです。

「要介護度」の基準の規定で、認定基準に例示されているこのような区分と説明で、認知症を発病している人の「要介護度」を認定するということは、極めて恣意的な判定(言い換えると、「客観的」な判定ではなくて、「主観的」な判定)が行われる危険度が高いということを言いたいのです。「記憶の障害」だけでなくて、様々な内容(項目)と様々な程度と態様とで発現してくる「アルツハイマー型認知症」の症状の要介護度の判定が、「判定する人」の主観に左右される危険度が極めて高い基準内用(或いは、例示的な説明内容)だと言わざるを得ないのです。

この基準の作成に際しては、「アルツハイマー型認知症」の「前頭葉」を含む脳の機能レベルのこと及びそのレベルに脳の機能が衰えてきたとき発現してくる認知症の症状と生活の自立度並びに介護する側からの介護の困難さ等の問題点をどの程度分っている人達が集まって、この認定基準を作成したのか、疑問を抱かざるを得ないのです。その理由は、介護する上で、「アルツハイマー型認知症」の人(「重度認知症」のレベルに在るので、「前頭葉」が殆ど働かないレベルなのに、身体だけはとても丈夫)よりも、身体に不自由がある人(身体を動かすのがとても不自由なのに、「前頭葉」を含む脳の機能は正常なレベル)の要介護度の方が重い認定を受けられるような説明基準になっていると、私達としては言わざるを得ないからです。

「前頭葉」を含む脳の機能さえ正常な機能レベルに在れば、身体が極めて不自由でも、介護する側にとっては左程のことではないのです。介護者が説明する内容を十分理解できるし、自分なりの工夫をすることも、受けている介護に対して何がどの程度足りないのかを自分なりに説明することもできるのです。してはいけないと注意されたことは守れるし、適切な言葉での応答もできるし、感情的な反応を抑制することもできるし、介護する人たちに感謝の気持ちを伝えることもできるのです。

他方で、「前頭葉」を含む脳の機能が異常なレベルだと(特に、「失語や失行や失認」の症状が確認されるレベル、言い換えると、「大ボケ」のレベルで且つMMSの得点が一桁の点数になるレベルだと)、身体が丈夫なことが反って、介護する側にとって、介護の困難さと負担が増大することになるのです。失語や失行や失認の症状についての上述した説明を読み返してみてください。このレベルの認知症のお年寄りの介護がどれほどに大変なのかが想像できるはずです。要介護度の判定者が誰であるかに拘わらず、できるだけ「客観的」な判定結果が得られるような認定基準を作成するには、「アルツハイマー型認知症」の症状のレベルとそれに直結した(その源である)「前頭葉」を含む脳の「機能レベル」についての深い理解が必要不可欠になると言いたいのです。

「アルツハイマー型認知症」の症状は、「前頭葉」を含む脳の機能レベルそれ自体が種々の項目及び様々な態度或いは態様を有する「認知症の症状」となって、且つ「段階的な症状」として現れてくるものなのです。学説であれば当然のこととして要求される「原因と結果との間の説明」に必要となる「因果関係の証明」さえも出来ていないレベルのもので、まるで「うたかた」のように出ては消えするだけの様々な学説、具体的には「アセチルコリン説、アミロイド・ベータ説、タウ・タンパク説、脳の委縮説」等の学説が唱えているような、「脳の神経線維」が侵されて脳内での「情報の連絡」が不十分なものとなるが為に、そのことに起因した程度及び態様からなる「記憶の障害」(「DSM-4」が規定する第一の要件)を筆頭とした種々の「アルツハイマー型認知症」の症状が発現してくるというものではないことを「注意喚起」しておきたいのです。

 ○   施設介護から在宅介護に施策の中心を転換するだけでは解決策とはならない

現在医療現場で行われている「早期診断」とは、認知症の専門家と言いながら末期の段階であることも知らないで、私達の区分で言う「重度認知症」(大ボケ)の段階で見つけているだけなのです。その上、症状の進行を緩やかにする効果があるかどうかも定かでない薬を製薬会社の言うがまま服用させているだけなのです。こうした状況の中で、施設介護から「在宅介護」へと施策の大転換が実行されようとしているのです。「重度認知症」のレベルのお年寄りを抱えて、「在宅中心」で「家族」が介護の主体となるという施策への変更なのです。

回復の可能性はなく、服用を進められる薬の効果にも疑問符付きの状況で、介護の主役を担えと言われる家族はどう対処したら良いというのでしょうか。脳はもたないのに対し、身体だけはもつのが「アルツハイマー型認知症」の特徴なのです。「重度認知症」(大ボケ)の段階にあるということは、そこまで衰えてきた脳の働きを回復させることは困難なので、症状が更に重いものに進行していくだけということなのです。何かの病気を発病して病死するまでの間、症状が更に進行していく(「重度認知症」の症状の区分の中で更に重い症状に進行していく)ということなのです。

日本全体の高齢化が急速に進行していて、全日本ベースでさえ高齢化率が25%に達しようかという現在の状況、「老老介護」とか「認認介護」とかの言葉が生まれてくるほどの状況の中で、「在宅ベースで、家族による介護を推進」していこうという施策は、「理解しがたい」と言わざるを得ないのです。このままでは、介護保険制度自体が財政面から破綻してしまいそうだという危機意識が出発点に在るのなら、「早期診断」の対象を根本的に変える措置或いは施策を採るべきだと私達は思うのです。

「早期診断」と言う看板を掲げていながら、回復する可能性が期待できない「重度認知症」(大ボケ)の段階で「アルツハイマー型認知症」を見つけている医療の現場にメスを入れて(その実態は、まるで「羊頭狗肉」の世界というべきもの)、回復の可能性が未だ見込める「中等度認知症」の段階と回復させることが容易な「軽度認知症」の段階で「アルツハイマー型認知症」を見つけるよう、施策も方針も指導も見直すべきだと思うのです。

但し、回復が可能なこの二つの段階で「アルツハイマー型認知症」を見つけるに際しては、「前頭葉」を含む脳の機能レベルを的確に判定することが不可欠となります。医療現場で現在行われているような「CTやMRI」といった機器の活用による画像診断では、「前頭葉」を含む脳の機能レベルを正確に判定することはできないのです。その機器の機能からして無理だということを再度「問題提起」しておきたいと思うのです。

 介護保険制度が財政面から危機的な状況にあることに対する何らかの施策が必要だという問題意識は十分理解できるのですが、さりとて、私達の区分で言う「重度認知症」(大ボケ)レベルにまで脳の機能が衰えてきている人を「在宅介護」の名のもとに家族に介護の面倒を見させるという考えは、「能の機能レベル」が低下していくにつれてそれに相応する形で「症状がどんどん重症化していく」という「アルツハイマー型認知症」の特徴に鑑みる時、再考を要する問題だと思うのです。

認知症の専門家とされる人達は、米国精神医学会が規定する「アルツハイマー型認知症」の診断基準である「DSM-4」の規定に従って認知症の有無を診断するので、「DSM-4」の第二の要件に規定されている「失語や失行や失認の症状」が確認されないと、「アルツハイマー型認知症」を発病しているとは考えないのです。このことを脳の機能面から言うと、「失語や失行や失認」の症状が確認されるということは、その原因である脳の機能レベル自体が(ここでは、「前頭葉」を含む脳の機能レベルを言います)極めて異常なレベルに衰えてきていることを意味してもいるのです。

 もう少し詳しく言うと、脳の司令塔の役割を担う「前頭葉」が殆ど機能していないだけでなくて、「左脳や右脳や運動の脳」までもが極めて異常なレベルに機能低下してきていることを意味してもいるのです。この脳の機能レベルでは、セルフケア自体にも重大な支障が出てくるので、日常生活にも全面的な介助が必要となるのです。「失語や失行や失認」の症状が発現しているレベルの「重度認知症」も後半のレベルの「お年寄り」を抱えて、在宅で介護する家族は、四六時中気にかけていないといけない状態なので、買い物に行く時さえ気がかりなのです。

ましてや、趣味や遊びや人付き合いなどの「社会生活」を自分らしく楽しむ機会など全くと言っていい程期待できない日常生活に追われることになるのです。老老介護とか認認介護とかの言葉がもてはやされている現実がある中で、「重度認知症」のお年寄りを抱えた家族、それが60歳を超える年齢の家族である場合は、その人までもが、その在宅介護に追われるだけの日常生活というナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続する状況の下で、「アルツハイマー型認知症」を発病する、「軽度認知症」の段階に入っていくことにもなるのです。

これは、社会全体に対する問題提起と言うより警告です。他人事ではない、明日は我が身に降りかかる問題なのです。どのような政策を採るべきなのか、社会全体でしっかり、きちんと考えて欲しいのです。国の自衛権の問題に絡む憲法の改正と言うテーマも重要ですが、これこそが喫緊の国民的な議論を要する重大課題なのです。

 

○市町村と地域とが協働して展開する「地域予防活動」が起死回生の秘策

本当の意味での「早期の段階」、回復させることが未だ可能な「中等度認知症」(中ボケ)や「軽度認知症」(小ボケ)の段階で「アルツハイマー型認知症」を見つけようというのであれば、「二段階方式」に代表されるような神経心理機能テストの活用が不可欠となるのですが、この場合は、別の重要な問題があるのです。保険点数が高い「CTやMRI」などの機器の活用が制限された上に保険点数が極めて低い「神経心理機能」テストの活用だけと言うのでは、一定規模での「事業利益」を上げることが要求される医療の現場では、神経心理機能テストを活用した「早期診断」が経済面から困難になるということなのです。

回復可能な段階を見つけるための「アルツハイマー型認知症」の早期診断に「混合診療」という途を考えることが可能であれば、医療の現場での神経心理機能テストの活用が期待できると思うのですが、そうでなければ、「神経心理機能テスト」を使いこなすことができる専門の保健師さんを育成する必要があるという問題はあるにしても、市町村による「地域予防」という方策が残された唯一の道だと、これまでの経験に照らして、私達は思うのです。

 更には、一定規模での「事業利益」を上げるという問題を考えなくて済む市町村の場合には、早期診断による「回復」だけでなくて、「アルツハイマー型認知症」の発病を「予防」すること自体もその「地域予防活動」を展開する「テーマ」に加えることができるという大きなメリットがあるのです。市町村と地域とが協働して展開する「地域予防活動」を全国レベルで展開していき、本当の意味での「早期診断」を目的とする定期的な検査によって「発病を予防」し及び「軽度認知症」や「中等度認知症からの正常レベルへ回復させ並びに「中等度認知症」及び「重度認知症」への進行を抑制し或いは防止させることができれば、「重度認知症」のレベルにまで症状が進行した(「前頭葉」を含む脳の機能が衰えた)お年寄りを家族が主体となって在宅で介護するケースは、大幅に軽減されることになるはずなのです。

そして、「在宅介護」の対象は、脳を活性化させる「生活習慣」の構築(脳の使い方としての生活の改善)により回復させることが容易な「軽度認知症」及び回復させることが未だ可能な「中等度認知症」だけに限定する施策が望ましいと私たちは考えるのです。在宅介護の「テーマ」を180度転換することができるからです。どんなに心を尽くしてもその甲斐がなくて、何らかの他の病気で死を迎えるまで無期限に続き、然もひたすら脳の機能が衰え症状が重くなっていくだけの状況が続く「重度認知症」のレベルのお年寄りの介護ではなくて、正常なレベルに回復させることが可能な「軽度認知症」及び「中等度認知症」のレベルのお年寄りの介護を家族が家庭でやるのです。介護に心を尽くすきわめて大きな見返りが期待できるので、家族にやり甲斐や達成感が得られることになるのです。

現状のままに手をこまねいている場合と比較すれば、制度が実質的に動き出した数年後には、「新規に在宅介護の対象となる人数の激減」、具体的には、「軽度認知症」の発症人数や「中等度認知症」への移行人数や「重度認知症」への移行人数を劇的に削減できるという結果を期待できるはずなのです。その原資を元手にして、「地域予防活動」の更なる拡大と「重度認知症」のお年寄りの「施設介護」を維持していく施策が、本人及び家族の側からも介護保険制度の維持存続を願う市町村や国の財政面からも望まれるはずなのです。

 注)本著作物(このブログA-95に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

 エイジングライフ研究所のHPここを「クリック」してください)

  脳機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません

   http://blog.goo.ne.jp/quantum_pianist

 http://blog.goo.ne.jp/kuru0214/e/d4801838dd9872301e0d491cd8900f1a

 

 

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