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認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

発病原因である廃用性の機能低下の根拠を示す脳機能データ(B-05)

2016-11-01 | 器質的な病態でなく廃...

                             ①  ④       ⑤ ⑥   

 & 1   廃用性の機能低下が原因であるからこそ、脳の機能の衰えに厳密な順番がある

自分なりに追及する特定の「テーマ」が無く、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもないナイナイ尽くしの「単調な生活習慣」が日々継続されている生活状況の下で、「前頭葉」機能を含む/脳全体の機能が、廃用性の加速度的で異常な機能低下を起こして、進行して行くとき、私たちの意識的/目的的な世界を構築し、支配し、コントロールしていて脳全体の司令塔の役割を担っている『前頭葉』(「前頭前野」の穹窿部局在する/①「前頭葉の三本柱(意欲/注意の集中力/注意の分配力)」の機能、②「評価の物差し(=意識の首座=自我=脳の中のホムンクルス)」の機能及び③「実行機能(Executive Function)」により構成されている複合機能体を言うものとする。以下、同じ)機能最初に(から、真っ先に)異常なレベルに機能低下が進行して行くことが、『アルツハイマー型認知症(以下、「AD型認知症」と略記する)』の特徴なのです(※最も高度な脳機能から順番に/衰えていく。「三頭立ての馬車」の例で言うと、前頭葉、左脳、右脳、運動の脳の厳密な順番に、機能低下が進行して行く(機能が衰えて行く)のです。「前頭葉の三本柱」の機能の例でいうと、注意の分配力、注意の集中力、意欲の順番に、衰えて行くのです。

更に言うと、MMSEで判定する「左脳と右脳」の機能低下についても、私たち「二段階方式」が、「MMSE下位項目の項目困難度」と名付けていて、「AD型認知症」の発病であるか/否かの判定及び鑑別についても、極めて精緻な結果が得られる「脳機能データ」が存在するのです。後述のように衰えていく厳密な順番があるのです。この一事をとってみても、【3つの仮説】が主張する「アミロイドβの蓄積」や、「タウ蛋白の沈着」や、「アセチルコリンの不足」は、発病の原因ではない/憶測がベースの出鱈目な要因だと分かるのです。ちなみに(私たち「二段階方式」の「脳機能データ」の解析によると)、皆さんが日常的に体験し気にかかっている例の「物忘れ」の症状の発現は、「注意の分配力」の機能の「加齢による衰え」と密接不可分の関係にあることが、分かるのです。認知症の専門医だとか名医だとか言いながら、「前頭葉」機能のことにも、「注意の分配力」の機能のことにも、無知で居て、「物忘れの症状」が増えて来ていると、「MCI(軽度認知障害)」だとか/訳の分からない(極めて曖昧な基準)を持ち出して来て、「AD型認知症」の発病の危険が高い/「前駆的な状態」とか言う、意味不明な基準を持ち出して来るのです。物忘れはボケの始まりというのは誤解に基づく単なる仮説にすぎないのです。「AD型認知症」の中核的な症状であり、最初に発現が確認されるのは記憶の障害に起因した症状ではなくて、「前頭葉」機能の機能障害に起因した症状だけなのですから。

 認知症全体の90%以上の割合を占めていて、世界中の認知症の専門家とされる人達から、発病の原因も、重症化する原因も分からないし、治す方法が分からないし、予防することが出来ないと言われ続けて来ている「AD型認知症」を発病させるその仕組みは、一部の機関が主張しているような、アミロイドβの蓄積とも、タウ蛋白の沈着とも、脳の顕著な萎縮と言った「器質的な病変」とは無関係の世界なのです。器質的な病変が発病の原因となっているのではなくて、①仕事と言う「テーマ」とは無縁の日々を送る『第二の人生』での、②『60歳を超えた年齢の高齢者の』、③日々の生活面での使い方が足りないことが原因である「単なる廃用性の異常な機能低下の進行脳の使い方としての「ナイナイ尽くしの単調な生活習慣」の繰り返し、継続に起因した、①廃用性の/②加速度的で/③異常な/機能低下の進行が、発病の真の犯人、「AD型認知症」の発病/症状の重症化の進行を惹き起こしている/本当の原因なのです。

(「老年発症」が特徴である)「AD型認知症」を発症した『高齢者』は、前頭葉』機能を含む/脳全体の機能レベルに厳密にリンクした(小ボケ/中ボケ/大ボケ)の三段階に区分される段階的症状が発現して来るのが特徴なのです。「その最初の段階であって、「家庭」の外に出て行き/人と交わりながら、何等かの共通の「テーマ」をこなすことが要求される「社会生活」面での重大な支障が出てくる段階が、私たち「二段階方式」の区分で言う「軽度認知症(小ボケ)」の段階であり、小ボケの段階では、左脳も右脳も運動の脳も未だ正常な機能レベルにあるのです。従って、「小ボケ」の段階の症状の特徴として、「前頭葉」の機能だけが異常なレベルにあり、且つそのことに直接に起因した症状としての「前頭葉」機能の機能障害の症状だけを示すのが、特徴。  

軽度認知症(小ボケ」の段階では、脳全体の機能が異常なレベルに衰えて来ている訳ではないのです!(「前頭葉」機能だけが/異常なレベルに衰えて来ていて)、左脳、右脳及び運動の脳の機能は、未だ正常なレベルに在る事に注意)!!

私たちの「二段階方式」の手技のように、「前頭葉」機能を含む/脳全体の機能レベルとそれに厳密にリンクした症状、すなわち「小ボケ」の段階の症状、次いで、「中ボケ」の段階の症状及び末期の段階である「大ボケ」の段階の症状という形で、連続した脳の機能レベルとそれに厳密にリンクした症状としての「脳機能データ」を集積し、解析することにより初めて、「記憶障害」が、「AD型認知症」の発病を惹き起こしている原因要因ではないことが、分かるのです。世界中の医師達が世界最高の権威あるものとして崇め、診断時に依拠している規定、米国精神医学会が策定した「AD型認知症」の診断基準である「DSM-Ⅳ」の規定の「第二の要件」として定められ、診断に際して症状の確認が要求されている「失語、又は失認、若しくは失行」(紛い)の症状は、「第一の要件」で確認が要求されている「記憶の障害」とは、無関係なのです。それらの症状が発現する仕組みは、記憶の障害に起因して発現して来ているのではなくて、ナイナイ尽くしの「単調な生活習慣」が日々継続されている状況下で、私たちが意識的/目的的に、何等かの「テーマ」を実行しようとする際に不可欠の機能である前頭葉機能を含む/脳全体の機能が、廃用性の/加速度的で/異常な/機能低下を進行させて来て/殆ど機能しないレベルにまで衰えて来ていることが、そうした症状が発現する真の原因なのです

服を着ようとして袖に頭を通そうとするのは、服の着方を忘れている為の症状ではないのです。服を着るという目的、行為の内容自体を/理解出来なくなっているせいなのです。意識的/目的的に服を着ようとしているのに、廃用性の/加速度的で/異常な/機能低下の進行により、「前頭葉」機能を含む/脳全体の機能が、「重度認知症(大ボケ)」の後期の段階にまで衰えて来ていること(30点が満点のMMSEの得点が一桁しか取れないまでに、「前頭葉」機能を含む/脳全体の機能が衰えてきている段階)が真の原因で発現してきている(極めて重度の症状)なのです。実行すべき「テーマ」(ここでは、服を着ること)についての理解が出来なくて、(何を、どうしたら良いのかについての組み立てが出来ない)だけなのです。状況や実行すべき行為について必要なレベルでの理解や判断が出来なくて、支離滅裂の動作をやっているだけ。その結果として、「服を着る」という行為の実行の仕方を組み立てることが出来ないのです。何をどうしたら良いのかが理解できないし、判断できないので、ただ闇雲に、袖に頭を突っ込んでみたというだけの行為でしかないのです。(器質的な原因)で起きてきている「失語や/失認や/失行」の場合は、『前頭葉』機能が正常なレベルに在ることが確認されるのであって、「DSM-Ⅳ」の第二要件が確認を要求している、「失語、失認、失行」(紛い!!!)の症状とは、本質的に異なるのです!!!        

&2 「AD型認知症」を発病した場合に確認される脳機能の衰えの特徴

「二段階方式」の手技を活用して、生きた人間の「前頭葉」機能を含む/脳全体の機能レベルとそれに厳密にリンクした症状並びに症状の発現及び重症化の基礎となる「生活歴」(脳の使い方としての生活習慣の具体的な過去歴の把握に基づく評価)について、私たち「二段階方式」が集積してきた14689例にも及ぶ精緻な「脳機能データ」の解析によると、認知症全体の90%以上の割合を占めていて、発病の原因(メカ)が未だに不明とされている「AD型認知症」というタイプの認知症の場合は、廃用性の加速度的で異常な機能低下により脳の機能が衰えていくとき、その「衰え方」に、以下に示す『4つの特徴が有る』のです。

1.脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」の機能だけ、廃用性の加速度的で異常な機能低下を最初に起こしてきて異常なレベルに衰えていった結果、「社会生活面での重大な支障が起きて来ることになるのです。「社会生活」面に重大な支障が出て来る段階を、私たち「二段階方式」は、「軽度認知症(小ボケ」の段階と定義しているのですが、この段階では、左脳、右脳及び運動の脳の全てが、未だ正常な機能レベルに在るのです;このことを言い換えると、「小ボケ」の段階の症状というのは、前頭葉の機能障害に起因した症状だけが発現して来るということなのです。

2.「軽度認知症(小ボケ」の段階の症状が発現して来ても/相変わらずナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」が継続されていると脳全体の司令塔の「前頭葉」機能が、廃用性の/加速度的で/異常な機能低下の進行を継続しつつ、同時に並行して、「左脳」、「右脳」及び「運動の脳」が、その順番に、廃用性の/加速度的で/異常な機能低下を進行させて行くことになります。その結果として、「家庭生活」面でも/重大な支障が起きて来るのです。「家庭生活」面にも、重大な支障が出て来るようになった段階を、私たちは、「中等度認知症(中ボケ」の段階と定義しています。

3.そして、「中ボケ」の段階の症状が確認されるようになってもなお、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」が継続されていると、「前頭葉」機能並びに左脳、右脳及び運動の脳が、同時に並行して、更なる廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させていく結果、 最後は、「セルフ・ケア」にも重大な支障をきたす段階、末期の段階であり、私たち「二段階方式」の区分で言う「重度認知症(大ボケ)の段階の症状が発現して来ることになるのです。猶、「DSM-Ⅳ」の第二要件の規定や、「アミロイドβ仮説」は、此処に言う、末期の段階で発現して来る症状を、「AD型認知症」の初期症状だと、無知に因り、誤解しているだけなのです。

4.並びに、MMSEによる判定の対象となる「11の下位項目」の機能について、出来なくなっていく順番(脳の機能が衰えていく順番)に/「厳密な規則性」が認められるのです(「11の種類の下位項目」について、「各項目が出来なくなっていく厳密な順番」が存在するのです:(上掲⑥のデータ):「規則性の存在」=事象の事実!!)。

5.「前頭葉」機能を含む/脳全体の機能について起きてくる、廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行が原因で発病し、症状が重症化していく特徴を有する「AD型認知症」の場合には、「前頭葉」の機能レベルを精緻に判定し評価出来る「改訂版かなひろいテスト」並びに左脳と右脳の機能レベルを判定し評価する「MMSEテスト」という二種類の「神経心理機能」テスト、更には、上記「4つの特徴」を客観的な指標として活用することにより、「AD型認知症」の判定に際しては、他の種類の認知症との鑑別並びに認知症と紛らわしい病気との的確な鑑別が、極めて精緻に行えるのです。

ⅰ)  上掲の(③のグラフ)は、「改訂版かなひろい」テスト(前頭葉の機能テスト)とMMSE(左脳と右脳の機能テスト)を/同時に施行した、(14,689人分)の被験者の成績分布を示しています。

ⅱ)上出のグラフでは、右に行くほど「改訂版かなひろい」テストの成績が良くなり、上に行くほどMMSEの成績が良くなることを示しています。

グラフの分布から、「改訂版かなひろい」テストの成績良好群(「前頭葉」の機能が正常なレベル)には、MMSEテストの成績が悪い(不合格)ケースは存在しないことが分かります。「改訂版かなひろい」テストに合格する人達は、MMSEテストの成績も合格となるのです。

一方、「改訂版かなひろい」テストの成績が悪くなっていくと(合各の基準点を下回るようになると)、MMSEテストの成績には満点から0点まで大きな幅が見られます。このグラフから直接には見え難いのですが、MMSEテストが30点満点でも、「改訂版かなひろい」テストが0点のケースが相当数みられるのです。

このことは、とても重要なことなのです。何故なら、医療現場で通常使われているMMSE(或いは、長谷川式)のようなテストだけでは、「前頭葉」の機能の衰えは発見出来ないことを意味しているからなのです。「前頭葉」の機能テストを実施しないと、脳機能の老化が加速されて/「社会生活」面に重大な支障が出て来ている「AD型認知症」の最初の段階(「脳のリハビリ」により回復させることが可能な軽度認知症(小ボケ」の段階をキャッチすることが出来ないのです(見落としてしまうことになるのです!!)。

&3 「前頭葉」機能の/「加齢」による衰えの基盤となるものとは

○ 「改訂版かなひろい」テストのテスト目的

(1)「改訂版かなひろいテスト」は、全部ひらがなで書かれた「おとぎ話」を2分間という時間の制約のもとで、①テストの課題を保持しつつ、②文を読んでいきながら、③あらすじを理解していき、その内容をイメージ化して覚えていく作業と④「あ、い、う、え、お」が出てくる度にそれに○を付けていくと言う/異なる複数の作業を/同時に並行して行うことが要求されているテストなのです。

(2)このテストの意図は、同時並行して進行する「異なった複数の仕事に注意を分配させ乍ら、その(複数の異なった課題)を実行する作業を忘れないよう記憶を保持しつつ、複数の異なった課題を一定の時間内に、同時に並行して、いかにテキパキとさばけるか(「注意の分配機能」の発揮度)、「注意の集中力」の発揮の度合い及び課題の遂行継続の意欲(「意欲」の継続的な発揮度)を個々に判定した上で、三者の総合的な機能の発揮度(機能レベル)を評価することにあります。理解、判断、企画、計画、推理、観察、洞察、ケース・シミュレーション、比較、修正、選択、抑制、決定や感動や決断等、私たちが、意識的/目的的に何等かの「テーマ」を発想し、実行していく世界、意識的/目的的な世界の構築と目標の実行の為に不可欠の機能である「前頭葉」機能の『個別認知機能』の発揮及び発揮度を左右している「前頭葉の三本柱」の機能の発揮度を評価し、判定することにより、左脳、右脳及び運動の脳という各馬を操る、三頭立ての馬車の「御者」の役割を担っている「前頭葉」という脳機能の(機能レベル)を/精緻に評価し判定出来るのです。複合機能体としての『前頭葉』機能の構成要素である(個別認知機能)の「評価の物差し」の機能及び「実行機能」と「前頭葉の三本柱」の機能との間に介在する機能発揮上の二重構造の関係(=By Tadの思考実験の成果)」に着目した評価方法としてのテストなのです。物忘れの回数が減ったとか、程度が良くなったとか言った程度のことで、『前頭葉』の機能が向上したとか/回復したとか言って騒いでいる人達とは、レベルが異次元なのです。その人達は、「前頭葉」という脳機能について無知であり、「意識」を構築する脳機能の構造についても/無知と言うしかないのです。

前頭葉」機能は、脳の使い方としての「生活習慣自体が改善されないと、『その機能レベルは向上しない』ということさえ知らない人達なのです。歩きながら足し算や引き算をしたり、シリトリをしたりすると、「物忘れの症状」の頻度が減るとか言って騒いでいる学者達がいますが、それをもって、『前頭葉』機能のレベルが改善されたというのは/言い過ぎ/無知に過ぎるのです。「木を見て森を見ず」の類に過ぎないのです。「前頭葉」機能の機能レベルが改善されたと言える為には、大本の機能である、『注意の分配力』の機能の機能レベルの改善が、大前提となるのです!!!

○ 「改訂版かなひろいテスト」のテスト結果が示すものばかりの

改訂版かなひろいテスト」のテスト結果は、「加齢」による脳機能の老化を示す「正常老化の曲線」の存在を示しているのです。私たちが意識的に何かの「テーマ」を実行していく上で/不可欠の機能であり、左脳、右脳及び運動の脳という三頭立ての馬車の「御者」、私たちの意識的/目的的な世界を支配し、コントロールしている脳全体の司令塔の役割を担っている『前頭葉』と言う機能の個別の認知機能の発揮度を左右している/「前頭葉の三本柱」の機能には、日々の「脳の使い方」としての『生活習慣』のいかんに拘わらず、「加齢」の進行と共に徐々に緩やかに衰えていくという性質、私たち「二段階方式」が/「正常老化の性質」と名付けている性質が、生来的に内在していることが示されているのです。そのカーブはというと、20歳代の前半が機能の最高値を示していて、第二の人生が始まったばかりの60歳を少し過ぎた年齢になると、最高値の半分くらいに衰えて来ていて、その後は、70歳代、80歳代、90歳代と年を取っていくにつれて/緩やかなカーブを描き乍ら、100歳に向かって、徐々に/直線的に衰えていくのが特徴なのです。その正常値の推移を示す曲線が、上出の「前頭葉」機能の「正常老化の曲線」のデータなのです(上掲①のグラフを参照!!)。

&4 「前頭葉」の個別認知機能の発揮度を支える「機能発揮上の二重構造」の問題

 ○「意欲、注意集中力と注意分配力」の加齢による老化のカーブ

 私たちの意識的な世界を構築し、支配し、コントロールしていて、脳全体の司令塔の役割を担っている脳機能、自分が置かれている状況を理解し、判断したり、何かのテーマを思いついたり、実行のための計画を立てたり、工夫したり、洞察や推理をしたり、機転を利かせたり、最終的な実行の内容、程度及びその態様を選択して、決定したり、各種の高度な働きを担当している「前頭葉」の機能、中でも、その個別の認知機能を正常に発揮する上でとりわけ重要な「認知度」を左右する三本柱の機能としての「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の機能には、上出した「意欲、注意集中力と注意分配力 」のグラフにみられるように、脳の使い方としての「生活習慣」の内容の良し悪しとは無関係に、「加齢と共に老化し衰えていく」という重要な、然し脳科学者や認知症の専門家達から見過ごされている性質があるということを、ここで問題提起しておきたいと思うのです。

20歳代の半ばまでがピークで、20歳代の半ばを過ぎるころから100歳に向かって、緩やかではあるけれど、直線的に衰えていくという性質のことなのです。「AD型認知症」を発病する人の割合が急に多くなってくる60代後半にもなると、「前頭葉」の働き具合は、ピーク時の20歳代の半ば頃に比べて、「働き」具合が半分以下に衰えてきているのです。70歳代、80歳代、90歳代、100歳代と、年をとればとるほど、「前頭葉の三本柱」の働きが更に衰えていき、正常な機能レベルを保ちつつも、どんどん「低空飛行」の状態になっていくのが特徴なのです。

認知症の大多数90%以上を占めていて、皆さんが普段よく目にしていて、専門家達からは原因も分からないし治らないと言われている「AD型認知症」の正体は、加齢による脳の老化という問題が基本にあるのです。私たちが「正常老化の性質」と名付けている性質、誰にでも生来的に「前頭葉」の三本柱の機能に内在する性質、すなわち、「加齢による/脳の正常老化の進行」という問題が基盤にあるが為に、「AD型認知症」は、若者には関係なくて、60歳代以降のお年寄りだけが発病の対象になる(老年発症が、特徴!)」のです。

コーヒー・ブレイク)数日前のことなのですが、或る新聞に「AD型認知症」の特集記事が載っていました。6人のパネラーによる討論会の記事で、2面全体を使うほどの大々的な記事でした。内容を読んでみて失望したのは、6人全員が「AD型認知症」について無知であることでした。「若年性アルツハイマー病」と診断された人が一人パネラーに加わっていたのですが、紙面で読んで知り得たその人の症状とその人の発言の内容とから判断して、その人は若年性の「アルツハイマー病」ではなくて、ましてや老年性の「AD型認知症」でもなくて、極めて高い確度で「側頭葉性健忘症」だと思われるのです。重度の「記憶障害」の症状さえ確認されるとすぐに/若年性「アルツハイマー病」とか「AD型認知症」と診断してしまう、診断の杜撰さにはあきれるばかりなのです。とにかく、これだけの人数のパネラーがいながら、誰もが、「アルツハイマー病」についても、「AD型認知症」についても、「側頭葉性健忘症」についても、無知と言うしかないのです。私たちの意識的/目的的な世界を構築し、支配し、コントロールしていて、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」機能が、複合機能体であることも知らないのです。「前頭葉」の機能が正常なレベルにあって認知症の症状を発現してくるような「アルツハイマー病」とか、「AD型認知症」というものは存在しないのです。この新聞記事を読んだ読者は、この内容を信じてしまうのではないかと恐れるのです。重度の記憶障害の症状を示しながら、それでいて「前頭葉」の機能が正常なレベルにあるのは、「側頭葉性健忘症」なのです

 

&5「前頭葉」機能の個別認知機能の発揮度と二重構造の仕組みの問題

「AD型認知症」と言うタイプの認知症は、実態面から見るとき、60歳を超える年齢の「高齢者だけが発病の対象となっているという特徴があります。「高齢者」だけが対象となる為には、脳の機能面から見たとき、次のような理由が存在することがその根拠なのです。

私達が開発した「二段階方式」と呼ばれる神経心理機能テストを活用して、「前頭葉」の機能レベルの年齢別の推移を調べたのです。その脳機能データの解析によって、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」基礎的機能(私たちは、『前頭葉の三本柱」の機能と呼んでいます)である意欲注意の集中力及び注意の分配力という「前頭葉の三本柱」の機能には、脳の使い方としての良し悪しに関わらず(脳の使い方としての「生活習慣」の如何に関わらず)「加齢の進行と共に働きが老化していく」という性質があることが判明したのです。自分なりの「生き甲斐」や「目的」や「目標」がある生活、趣味や遊びや人付き合いや運動等を楽しんでいる「生活習慣」の下で日々を過ごしていようとも、20歳代の半ばにピークを打ったその先は、年を重ねていくにつれて「前頭葉の三本柱」の機能レベルが/正常な機能レベルを保ちつつも、100歳に向かって緩やかに直線的に低下していくという性質が生来的な性質として「前頭葉の三本柱」の機能に内在しているのです(「正常老化」の性質!/上掲①のカーブの図)。

私達が意識的/目的的に、何等かの「テーマ」を実行しようとするに際して、その実行内容が複雑で高度なものであればあるほど、そうした場面で要求される「前頭葉」機能の個別の認知機能の「発揮度」を左右する「前頭葉の三本柱」の機能である、「意欲、注意の集中力と注意の分配力」からなる機能に、「正常老化の性質」が生来的に内在していることが、「前頭葉」機能全体の機能の正常老化の性質及び廃用性の機能低下が進んでいく下での、機能の「発揮度(機能レベル)の低下」の問題(廃用性の異常な機能低下の連鎖)に直接的に繋がっていると考えているのです(『機能発揮上の二重構造』の仕組み!)。

 状況の理解と判断に対応する内容の「テーマ」を発想し、発想した「テーマ」の実行内容を計画し、実行結果をシミュレーションした上で修正を加えた上で最終的な実行内容と実行の仕方及び態様を選択して、決定し、左脳や右脳や運動の脳に対して実行の指令を出す過程では、情報の「認知度」と情報の処理にかかわる「前頭葉」の各種個別認知機能の「発揮度」が高いレベル、正常なレベルで要求されることになる訳なのです。複合機能体である「前頭葉」機能の構成要素としての『実行機能』の個別認知機能、発想、計画、理解、判断、考察、洞察、推理、機転、修正、比較、選択、感動、抑制、決断などの個別の認知機能の認知度も発揮度も、「前頭葉の三本柱」の機能のレベルが異常なレベルに機能低下してきたときには、「機能発揮上の二重構造」に因る連鎖に因り、共に揺らいでしまうと考えられるのです。人生での様々な「体験」、「学習の積み重ね」及びそれらの組み合わせにより、それら個別の「認知機能」自体は機能範囲を拡大していくのですが、それら個別の認知機能の発揮度を下支えしている関係にある「前頭葉の三本柱」の機能が廃用性の機能低下により、その働き具合が異常なレベルに低下したとき、「前頭葉」機能の構成要素としての「評価の物差し」の機能も、同時に機能の発揮度が低下してくると考えるのです。これが、14689例にも及ぶ精緻な「脳機能データ」の解析により、私たち「二段階方式」がその存在を確認した/複合機能体である「前頭葉」機能を構成する構成要素としての「評価の物差し」の機能及び「実行機能」についての/機能発揮面における『機能発揮上の二重構造の仕組み及びその廃用性の異常な機能低下の進行の連鎖』という問題なのです

 & 6 「AD型認知症」発病の仕組み

○「高齢者」だけが「AD型認知症」を発病する理由

私達がこれまでに集積してきた極めて多数の症例に基づく脳機能「データ」によると、「正常な老化」の場合でも、「高齢者」と呼ばれる年代の65歳頃になると誰でも、その働き具合がピーク時である20歳代の半ば頃に比べて「半分程度」にまで衰えてきているのです。このことが、加齢による前頭葉の「正常老化」の性質の重要な点でもあるのです。つまり、この「60歳を超えた年齢の高齢者である」という条件こそが、「AD型認知症」を発病する「第一の要件」なのです。そして、加齢による前頭葉の「正常老化」のカーブは、その先70歳代、80歳代、90歳代、100歳代と年をとるにつれて、「直線的」ではあるが緩やかなカーブを描きながら、更なる「低空飛行」の状態に入っていくのです。それ故に、実態面を見るとき、「AD型認知症」を発病する対象は60歳を超える年齢の「高齢者」だけということになるのです。更に言えば、60歳代よりも70歳代、70歳代よりも80歳代、80歳代よりも90歳代、90歳代よりも100歳代と、年齢が増せば増すほど、「AD型認知症」を発病する人達の「同年代での発病率」が大きくなっていくのです(年をとればとるほど、「AD型認知症」を発病するお年寄りの割合を示す数値が大きくなる)。北海道から九州まで、日本全国どこでも、この特徴的な「実態」が確認されているのです。

○ 脳の使い方としての「生活習慣」が発病の引き金に

「正常な老化」のカーブを辿りつつ年をとっていく過程にあるとはいえ、「前頭葉」の機能が「低空飛行」の状態に入ってきている「60歳を超えた高齢者と呼ばれる年齢のお年寄り」が(上述した、発病の「第一の要件」)、脳を積極的に使おうとはしない「単調な生活」、キャッチ・コピー的な表現を借りて言えば、「生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもない」というナイナイ尽くしの「単調な生活習慣」を日々続けていると私たちが定義する発病の「第二の要件」、出番が極端に少ないために使われる機会が極端に減った「前頭葉」機能が、廃用性の加速度的で異常な機能低下を起こしてくるのです。

つまり、「第一の要件」と「第二の要件」とが重なり合うことの効果異なる二つの要因が、同時に並存していることの相剰効果)により、『前頭葉』機能についての/廃用性の異常な機能低下が、加速度的に進行して行くことになるのです老化の加速度的な進行)。「前頭葉」機能の働きが加速度的に衰えていくことにより、「意識」が覚醒した/目的的な世界に於ける「脳全体の司令塔の役割」を担っている『前頭葉』機能の働き具合(機能レベル)が異常なレベルに衰えてくるその先に、「AD型認知症」の発病が待っているのです(その最初の段階が、「軽度認知症(小ボケ)」の段階なのです/上掲の図()が示すカーブを参照!!。 

&7  『MMSE下位項目の項目困難度」が示す指標

「第一の要件」と「第二の要件」とが同時に並存することの「相剰効果」により、「廃用性の異常な機能低下」が加速度的に進行していくとき、「前頭葉」機能を含む脳全体の機能に「衰えていく厳密な順番がある」ことが、「AD型認知症」の特徴なのです。「三頭立ての馬車」の御者の役割をしている「前頭葉」機能が最初に異常なレベルに衰えていき、次いで、馬の役割をしている「左脳」/「右脳」/「運動の脳」の機能が、その順番に異常なレベルに衰えて行くのです。更に、「AD型認知症」の発病である場合には、MMSEで測定される「左脳」及び「右脳」の衰え方自体にも「厳密な規則性」がある(衰えていく厳蜜な「順番」がある)ことがとても重要な特徴なのです。

(1) 上掲(⑥のグラフ)は、「MMSE 各下位項目の項目困難度」を示す指標である/完全正答率50%(各下位項目について、満点をとる人が50%になる時のMMSEの総得点)のグラフを示します。

50%の横軸とクロスする点が、右に行くほどその項目は難しく、左に行くほどその項目は易しいことになります。上記のデータは、14689例の「脳機能データ」を解析したものなのです。

機能低下の進行が速い順番で示すと、『 想起、注意と計算、時の見当識、所の見当識、三段階口頭命令、五角形相貫図の模写、文を書く、記銘、書字命令、復唱、命名 』の順番です。

 (2) 上に示したMMSE下位項目の「項目困難度」のグラフを整理し表示方法を変えたのが、右の表です。上述の「 MMSE下位項目の項目困難度」の順番は、上の表のようになります。その意味するところは、「AD型認知症」の場合は、脳の機能がこの項目の順番に衰えていく(項目が、この順番に出来なくなっていく)という「厳密な規則性」を示すということなのです。アミロイドβ仮説、タウ蛋白仮説及びアセチルコリン仮説のいづれの仮説も、「MMSE下位項目の項目困難度」という/事象の事実の存在を、説明することが出来ないのです(即ち、この一事をもってしても、「3つの仮説」が提示する内容は、完全な誤りだと言えるのです!!)。

 (3)私たちが開発した「二段階方式」の手技では、「前頭葉」の機能レベルを、「改訂版かなひろいテスト」により、左脳及び右脳の機能レベルを「MMSE」によって判定します。「MMSE」で判定するとき、左脳と右脳の機能については、MMSEで判定される項目(「下位項目」)について、衰えていく厳密な順番があるのです!

 廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行を本質とする「AD型認知症」の場合には、必ず高度な機能から順番に衰えて行くのが、特徴なのです。従って、この順番に衰えていかないときは、「AD型認知症」の発病ではないのです。その場合は、「AD型認知症」以外の「認知症」であるか、或は、認知症と紛らわしい「病気」ということになるのです。

(4)それ程この順番、「前頭葉」機能だけが最初に衰えていき、次いで、「左脳、右脳、運動の脳」の順番に衰えていくことが極めて重要な判定指標となるのです。更には、MMSEで判定される「下位項目」の衰え方にも、「想起、注意と計算、時の見当識、所の見当識、三段階口頭命令、、、命名」の順番に衰えて行くという「衰え方の規則性」があるのです(「MMSE下位項目の項目困難度」に関する資料は、私たちだけが有する極めて重要な資料なのです)。

(5)「衰え方の規則性」というこの指標は、廃用症候群に属する老化・廃用型の「生活習慣病」が本態である「AD型認知症」の場合、極めて厳密であり、上述のように、他の種類の「認知症」との鑑別及び認知症と紛らわしい「他の病気」との鑑別(例えば、重度の記憶障害の症状を示していても、「AD型認知症」ではなくて、「側頭葉性健忘症」であることの鑑別、或いは、「緩徐進行性失語」であることの鑑別等)に極めて有効な指標となるのです。

     注)本著作物(Bー05に記載され表現された内容)に係る著作権は、 (有)エイジングライフ研究所に帰属しています。   

  

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