認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

アルツハイマー型認知症の早期診断による回復と発病の予防(B-01)

2014-01-01 | アルツハイマー型認知症の予防活動

    初心を 忘るべからず 座右銘   

                  ボケの進行  脳の居眠り (1)

                               By kinukototadao

○ アルツハイマー型認知症は、「脳の使い方」が原因の生活習慣病なのです

私達の意識的な思考や行為、言動或いは行動は、脳の司令塔の「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)が「左脳」や「右脳」や「運動の脳」と協働しつつ、且つそれらを主導して実行されています。

朝目覚めて寝床から起き上がるにも、尿意を催してトイレに行くにも、顔を洗って自分好みにお化粧するにも、今日の行動予定に見合った服に着替えるにも、ニュースを知ろうと新聞受けに新聞を取りに行くにも、朝食の用意のため電気釜にスイッチを入れるにも、こうした「意識的な世界」はすべて脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」の働きなしには実行することが出来ないのです。もっと正確な言い方をすると、「前頭葉」がちゃんと働いていないと、こうした行動を必要とされるレベルできちんと実行することは出来ないのです。「前頭葉」が正常なレベルで機能していて初めて、目的となる行動を、意図したレベルできちんと実行することができるのです。「社会生活」の面であれ、「家庭生活」の面であれ、「セルフケア」の面であれ、「前頭葉」が正常なレベルで機能していない限り、それらの生活面では支障が出てくることになるのです。

  

その司令塔の「前頭葉」が正常な機能レベルで働くことが出来なくなったときから、「アルツハイマー型認知症」はもう始まっているのです。左脳、右脳及び運動の脳の全てが正常な機能レベルで働くことが出来ていても、肝心の「前頭葉」が正常なレベルで機能出来なくなったときから(異常なレベルに衰えてきたときから)、「アルツハイマー型認知症」はもう始まっていることを、認知症の専門家とされる人達が見逃している(気づいていない)ことが、早期に見つければ回復させることが出来るし、発病を予防することもできる病気、脳の使い方と言う視点から見た単なる廃用性の「生活習慣病」に過ぎない「アルツハイマー型認知症」を発病の原因も分からない、治すこともできない、予防することもできない病気、モンスターに仕立ててしまっているのです。

何らかの原因で脳の機能が全般的に機能低下したことにより、私達が意識的に何かを実行しようとするとき、生活面に支障が出てくる病気のことを「アルツハイマー型認知症」と言います。どんな生活面で支障が出ているのかは、高度なレベルから順に「社会生活」、「家庭生活」、「セルフケア」の3つに区分されます。どんな内容、レベルのものであれ、「社会生活」を行うのに要求される脳の機能レベルは「家庭生活」に要求される脳の機能レベルよりも高いものが要求されるし、「家庭生活」を行うのに要求される脳の機能レベルは「セルフケア」に要求される脳の機能レベルよりも高いものが要求されることについては、誰も異論はないと思います。また、「脳の機能が異常なレベルに低下」していることが原因で生活面に「支障」があると言うことは、支障が「症状」として認められると言うことです。

  

私たちは、こうした視点から、この3つの生活区分に対応した「脳の機能レベルにリンクした症状」について、データを蓄積してきたのです。蓄積されたデータを分析し、「アルツハイマー型認知症」の脳の機能の衰え方とそれに対応した症状、つまり「3段階に区分」され、且つ、それぞれに「グループ分け」された「段階的症状」をパターン化しているのです。

脳全体の司令塔の 「前頭葉」の働きが異常なレベルに衰えてきている人達、言い換えると認知症の症状を示している人達は、脳の働き具合とそれに対応した症状のレベル及び正常なレベルへの回復の可能性と言う視点から区分すると、軽いほうから回復させることが容易な「軽度認知症」(「小ボケ」:社会生活面に支障)、回復させることが未だ可能な「中等度認知症」(「中ボケ」:家庭生活面に支障)、及び回復させることが困難な「重度認知症」(「大ボケ」:セルフケア面に支障)の「三つの段階」に区分されるのです。

   

ところが「アルツハイマー型認知症」の専門家とされる人達(治療薬の開発研究者、学者及び医師)の間では、「アルツハイマー型認知症」の症状の段階を区分しないのです。「十把一絡げ 」にしていて、色々なレベルの症状を順不同に単に並べてみているだけなのです。

その人達は、「アルツハイマー型認知症」の段階的な症状が「前頭葉」を含む脳の機能レベルにリンクしていることを知らないからなのです。更に言うと、アメリカ精神医学会が定めている「アルツハイマー型認知症」の診断基準としての「DSM-4」が規定する二つの要件に束縛されていて、末期の段階になって初めて発現してくる症状、私達の区分で言うところの「重度認知症」(大ボケ)の段階の症状だけが「アルツハイマー型認知症」の症状であると誤解しているところにその理由と原因とがあるのです。

 15000例の症例による解析図   

左の図は、協働しながら働く脳全体の司令塔の役割を担う「前頭葉」とデジタルな情報を処理する機能である「左脳」及びアナログな情報を処理する機能である「右脳」の働きとが、同時進行且つ加速度的に衰えていくその衰え方を、私達が開発した「二段階方式」のテスト(「かなひろい」テストと「MMS」テストの二種類の「神経心理機能テスト」を使用する)を使って調べた結果を示しています。

 社会生活が支障なくできていた脳の働きが、何かを「キッカケ」としてナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続することにより、老化が加速され、廃用性の機能の異常な低下が進行していくとき、「衰え方の順序がある」ことが分かってきたのです。

脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」が先に衰えていきます。次いで、前頭葉と相互に情報のやり取りをしている「左脳」と「右脳」が衰えていくということです。このとき、全ての脳の衰え方は、何年もかけて徐々に衰えていくとは言え、直線的ではなくて加速度的に衰えるのが特徴です。更に、専門的になるのですが、左脳と右脳の衰え方にも「規則性がある」のが特徴なのです。

神経心理機能テストにより確認されるこうした「衰え方の規則性」は、「アルツハイマー型認知症」に特有のものなので、認知症或いは認知症と紛らわしい病気の症状を発現している人が、「アルツハイマー型認知症」であるかどうかを判定・鑑別する上で極めて強力な武器ともなるのです。

認知症にも、たくさんの種類があります。とはいえ、アルツハイマー型認知症と脳血管性認知症とで95%ほどを占めてしまうのです。「回復」させることも、発病自体を「予防」することも可能な「アルツハイマー型認知症」だけで90%以上を占めているのです(ここを「クリック」して)下さい。      

      

「アルツハイマー型認知症」について専門家は、原因も分からないし、治すこともできないと言っています。このブログの中でこれまでに何度も言及してきたように、それは、「失語」や「失行」や「失認」と言った症状の確認を要件とする誤った考え(「DSM-4」の基準)を金科玉条としている結果、言い換えると「見つける段階が遅すぎる」(末期段階の「重度認知症」の段階で見つけている)結果であって、「アルツハイマー型認知症」自体はその本来の性質からすれば、廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」に過ぎないのです。早期の段階(私たちの区分で言う「軽度認知症」及び「中等度認知症」の段階)で見つけると脳のリハビリにより正常なレベルに「回復」させることが出来るし(治すことが出来る)、脳を活性化させる「生活習慣」の構築とその実践により発病自体を「予防」することも出来る病気なのです。

本当の意味での早期の段階、私たちの区分で言う「軽度認知症」(小ボケ)及び「中等度認知症」(中ボケ)の段階を認知症の専門家とされる人達が見落としていることが重大な問題なのです。何らの対策を打つこともなくこのまま放置していると(具体的に問題点を挙げて指摘すれば、蛇口を開きっぱなしにしたままでいて、回復させることや発病を予防することを棚上げにして、回復させることが困難な末期の段階になって初めて見つけて、何種類もの効きもしない薬を処方し大量に投与するだけの状態のままにしていると)、介護保険制度自体が費用負担規模の果てしのない拡大に追い込まれていき、早晩行き詰ってしまうことになりかねないと私達は危惧しているのです。

「小ボケ」の段階で見つければ正常なレベルに回復させることが容易であり、「中ボケ」の段階で見つければ回復させることが未だ可能なのです。医師を含め、認知症の専門家とされる人達が回復させることが期待できない末期の段階、私たちの区分で言う「重度認知症」(大ボケ)の段階になって初めて見つけている現状は、専門家としての社会的な使命を忘れている、放棄しているのではないかと苦言を呈したくなるのです。末期の段階の「重度認知症」(大ボケ)の段階で見つけることに、何の、どのような意味が有り、社会的使命を果たしていると言えるのでしょうか。「重度認知症」(大ボケ)の段階になると、回復させることはもはや困難になり、身体が持つ限り症状がさらに重症化していくだけ、言い換えると何らかの他の病気が原因で死を迎えることになる時まで、症状が「重度認知症」の段階の中でさらに重症化していくだけなのですから(ここを「クリック」してください)。

「アルツハイマー型認知症は、原因不明で治らない病気」というフレーズには虚構が潜んでいるのです。早期の段階を放置しているから、「早期診断」と銘打ちながら「重度認知症」の段階で見つけているから、治らない(治せない)だけなのです。

今年度春からは消費税の税率が現行の5%から8%に変更され、増税となります。ところがこれだけ大騒ぎをして税率を上げるにも拘わらず、増税による増収額は5兆円程度に過ぎないのです。世界に先駆けて超高齢化社会に突入した我が国では、誰でもが80歳、90歳まで生きることができます。この先更なる高齢化が進行する中で、「アルツハイマー型認知症」を発病する人達の数も増加の一途をたどると予測されています。介護保険の適用による費用の負担が皆さんの想像をはるかに超える巨額の規模となっている現状にかんがみるとき、「アルツハイマー型認知症」の早期発見による「回復」と発病の「予防」を制度化して全国の市町村で、市町村の小学校区域単位の各地域で実践することになれば、消費税の増収額をはるかに超える規模の巨額の介護保険費用をセーブすることができるはずなのです。

  

私たちが440を超える市町村でこの20年間にわたって実践してきた「地域予防活動」の経験とその成果からすると、認知症の大多数、90%以上を占める「アルツハイマー型認知症」は、脳を活性化する「生活習慣」を構築することで発病を「予防」することが出来るし、早期の段階で見つけて「生活習慣」を改善させる為の脳リハビリを実行するだけで「回復」させることが可能なのです。現状における医療機関による診断の最大の問題は、「発見するのが遅すぎる」ことにあるのです。末期の段階である「重度認知症」(大ボケ)のレベルで見つけていたのでは、遅すぎるのです。見つける段階が遅すぎるから、「原因も分からないし、治らない」と誤解されているのです。

「原因も分からないし、治らない病気」と専門家が言い、その上、狭義の「アルツハイマー病」(これは、特定の「遺伝子」に生まれつき異常がある人だけが発病の対象となる極めて特殊な認知症であり、認知症全体に占める割合は、1%程度に過ぎない)と「アルツハイマー型認知症」(これは、廃用性の単なる「生活習慣病」であり、認知症全体に占める割合は、90%を超える極めてありふれたもの)とをまとめて「アルツハイマー病」と呼ぶ過ちを主要な地位にあるマスコミ機関自体が犯しているために、回復可能な軽い段階(「軽度認知症」や「中等度認知症」の症状が出てきている程度)では、(世間体を気にして)周りに隠す気持ちのほうが先立ち、病院に連れて行かないのです。「重度の記憶障害」の症状が日常的に出てくるようになって、どうにも手に負えなくならないと、家族が病院に連れて行かないという悪循環を生む結果にもなっているのです。

  

このことについて国民的な確認が必要です。もっと軽い段階で見つけてもらって、回復のための治療の指導をやってもらい(脳の使い方と言う視点からの「生活習慣」の改善指導:「アルツハイマー型認知症」の回復に効果がある薬は現状では存在しないし、今後も開発される可能性はないと言いきっておきます)、「脳の機能」が正常なレベルに回復してくるという体験をすることが重要です。その体験をする人が日本全国で増えてくれば、世の中の誤解も解けるのです。それによって、個人も家族も救われ、自治体や国の財政も救われることになるのです。このまま、「原因も分からないし、治らない病気」として放置していると、国の財政さえおかしくなってしまうほどの巨額のコストが介護の費用に振り向けられているのです。「介護」に対する介護保険制度での対応は不可欠のものですが、「蛇口を開きっぱなし」にしていたのでは、介護保険制度自体が崩壊してしまいます。

早期診断による早期治療と「回復」及び発病の「予防」という蛇口を閉める方法があるのだから、そのことを「国民的な課題」にすべきなのです。

その努力を、個人や家族のレベルで尽くして、自治体が地域予防の活動を小さな単位ごとに定着させる施策を展開して、それでもなお「アルツハイマー型認知症」を発病し、回復困難な「重度認知症」(大ボケ)の段階に迄症状が進んでしまう人が出てくることは避けられないので、その人に対する手厚い介護を介護保険制度で対応するのです。「重度認知症」(大ボケ)の段階にまで脳の機能が衰えてしまったお年寄りを、家族が介護するのは、精神的にも経済的にも極めて重大な負担を介護にかかわる家族に強いることになるのです。介護保険制度の費用負担面からの崩壊を危惧するのであれば、家族介護を制度化するのではなくて、早期診断による回復と発病の予防を自治体の業務として制度化するほうが、費用を軽減する上でもはるかに効率的だと私たちは考えるのです。

  

第一に考えるべきテーマは、「早期発見と早期治療」です。その実施の方法は、本来なら医療機関による「早期診断」と「生活習慣の改善指導による回復」を図ることが最も効果的なはずなのです。年に2回の定期検診を行い、「軽度認知症」(小ボケ)や「中等度認知症」(中ボケ)のレベルに衰えていないかどうかを調べるのです。

但し、回復可能な早期の段階(「小ボケ」及び「中ボケ」の段階)を見つけるには、「二段階方式」に代表される精緻な「神経心理機能テスト」で「前頭葉」を含めた脳の働き具合を的確に調べ判定する診断方法が不可欠となります。早期の段階であるか否かの「診断」は、現在行われていて主流のCTやMRIによる「画像」診断ではなくて、「神経心理機能テスト」による「前頭葉」の働き具合を含む脳全体の働き具合を調べる診断が不可欠となるからです。「アルツハイマー型認知症」は、最初に脳全体の司令塔である「前頭葉」のみが異常なレベルに衰えていき(「小ボケ」)、次いで、「左脳」と「右脳」とが異常なレベルに衰えていく(「中ボケ」)という衰え方の規則性があるからです。

  

「画像」による診断は、脳の形(「萎縮」の度合い)は測れても、脳の働き具合を測ることはできません。脳血管性認知症の診断はできても、「アルツハイマー型認知症」の的確な診断はできないのです。

萎縮の度合いと脳の働き具合との間には直接の「因果関係」(脳の「萎縮」の度合いと認知症の段階的な「症状」の発現との間の相当因果関係)が確認できないからです。私たちは、脳の萎縮の度合いが認知症の症状と直接の因果関係があると言う考えには賛成できませんが、仮にその主張どおりに確認できるとしても、「重度認知症」よりも「中等度認知症」、更に「軽度認知症」と症状が軽い段階になるほど因果関係の確認は困難になるはずです。言い換えれば、回復困難な「重度認知症」の段階になれば発見が可能であっても(万一の仮定の話)、回復可能な、「中等度認知症」や「軽度認知症」の段階では発見が困難なはずなのです。

この方法によって診断している限り、「アルツハイマー型認知症」は、「原因も分からないし、治らない病気」のままで、介護対象者が増大の一歩をたどっていき、介護保険制度はやがて財政面から崩壊してしまうことになるでしょう。

    

猶、現行制度では、(画像による診断をやめて、「神経心理機能テスト」を実施)するのでは医療機関がペイしないので(事業の継続実施に必要な事業収益を確保できない)、どの医療機関もその方法を採用しないでしょう。

それを解決する方法は、「神経心理機能テスト」の評価ポイント(保険点数)を大幅に引き上げる方法か、それとも、(診療費が自己負担となる)混合診療で行う方法、或いは自治体による早期診断を制度化した「地域予防活動」の展開等の新規の政策が必要です。「神経心理機能テスト」により「前頭葉」を含む脳全体の働き具合を的確に調べることによって、回復可能な「小ボケ」と「中ボケ」の段階を見つけることが出来るので、脳のリハビリ(生活習慣の改善指導)により正常レベルに回復させることが出来るのです。更には、自治体と地域住民とが協働して実践する「地域予防活動」の全国的な展開により、「アルツハイマー型認知症」の発病の「予防」が図れることにもなるのです。これらが制度化されることによって、介護保険の財政状況は、劇的に改善されることになるはずなのです。

認知症の90%以上を「アルツハイマー型認知症」が占めていて、然も「小ボケ」や「中ボケ」の段階で見つけることが出来れば、正常レベルに回復させることが出来るからです。悪くても「中等度認知症」(中ボケ)(家庭生活に支障)でとどめさえすれば、「重度認知症」(大ボケ)にさえしなければ、介護費用は大してかからないのです。「小ボケ」や「中ボケ」の段階のお年寄りであれば、正常なレベルに回復させることが可能なので、回復させることが困難な「大ボケ」の段階にあるお年寄りの介護とは異なり、家族による介護にも希望が出てきて、精神的な励みや喜びにもつながるのです。

  

○ 地域予防活動の中核になれるのは、市町村の保健士さん達

「アルツハイマー型認知症」は、脳の使い方という視点からするところの「生活習慣病」なのだということについて、全国民的な啓蒙活動を展開する必要があります。個人及び家族単位での「生活習慣」の改善の実践と地域単位での予防活動の展開が必要なのです。小学校区単位で、廃校や公民館などの公的施設を活用して、「脳を活性化」させるテーマを参加者が楽しむ「体験の時間」を、一週間に半日設ければいいのです。その体験を元にして、自分なりに楽しめる「趣味」や「遊び」や「人づきあい」や「運動」を日常生活に取り入れ「生活習慣」化するだけで良いのです。そうしたテーマの日常的遂行が脳を活性化させるメカニズムと根拠となるデータについては、(N-54:ここを「クリック」してください)で詳しく説明してあります。

ところで、地域単位での「予防活動」の展開は、事業としてはペイしないものなので、医療機関だけでなくて、民間による活動もあまり期待できません。その意味で、市町村の健康福祉課などや在宅介護支援センターや地域包括支援センターなどの公的機関による活動やNPOなどによる活動が不可欠になると思います。

「アルツハイマー型認知症」は脳の機能面から言うところの「生活習慣病」なのですから、市町村の保健師さんは、かつて先輩達が「身体の健康」指導に多大の貢献をされてきたことを思い起こし(世界に先駆けて、誰でもが80歳や90歳まで生きられる超高齢化社会が実現された)、これからは「脳の健康」の指導に社会的な役割と使命とを見出し、「アルツハイマー型認知症」の発病予防の活動に貢献していただきたいと切に願うのです。

 注)本著作物(このブログB-01に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

エイジングライフ研究所のHPを「クリック」してください)

 脳機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません

   http://blog.goo.ne.jp/quantum_pianist

 http://blog.goo.ne.jp/kuru0214/e/d4801838dd9872301e0d491cd8900f1a

   

 

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家族介護から市町村と地域とが協同展開する地域予防活動へ(A-94)

2013-09-15 | アルツハイマー型認知症の予防活動

○   「アルツハイマー型認知症」の脳の機能レベルと段階的症状

日本だけでなく世界中の認知症の専門家(学者、研究者、医師)と言われる人達から、「発病の原因もわからないし、治すすべも見つからないし、予防する方法もわからない」と言われている「アルツハイマー型認知症」は、廃用症候群に属する「生活習慣病」なのです。生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標もない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が日々継続する「生活習慣」が原因で発病する「アルツハイマー型認知症」は、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続する「生活習慣」の下で加速度的に衰えてきた「前頭葉」を含む脳の機能レベルの直接のアウト・プットそれ自体が「認知症の症状」として「段階的に発現」してくるのが特徴なのです

「前頭葉」を含む「脳の機能レベル」に対応して、正常な機能レベルへの「回復の可能性」という視点に着目して私達が区分しているところの「三つの段階」、回復させることが容易な「軽度認知症」(小ボケ)、回復させることが未だ可能な「中等度認知症」(中ボケ)及び回復させることが困難な「重度認知症」(大ボケ)に区分される「認知症の症状」が発現してくるのです。

「アルツハイマー型認知症」の最初の段階で私達の区分で言う「軽度認知症」(小ボケ)の段階は、左脳、右脳及び運動の脳は未だ正常な機能レベルに在るのですが、司令塔の「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)の機能だけが異常なレベルに衰えてきているのです。この「軽度認知症」(小ボケ)の段階では、「社会生活」に支障が出てくるようになります。但し、この「小ボケ」の段階で見つけると、脳を活性化させる「生活習慣」への生活改善によって、「正常なレベル」に容易に回復させることができるのです(ここを「クリック」してください)。

次いで、私達の区分で言う「中等度認知症」(中ボケ)の段階があります。「中ボケ」の段階になると、「前頭葉」が「小ボケ」の段階よりも更に異常なレベルに機能が衰えてきている上に、「小ボケ」の段階では未だ正常なレベルにあった「左脳と右脳と運動の脳」の機能が異常なレベルに衰えてきているのです。この「中等度認知症」(中ボケ)の段階では、社会生活だけでなくて、「家庭生活」にも支障が出てくるようになります。但し、この「中ボケ」の段階で見つけると、脳を活性化させる「生活習慣」への生活改善によって、「正常なレベル」に回復させることが未だ可能なのです(ここを「クリック」してください)。

その先に、「末期の段階」であって、私達の区分で言う「重度認知症」(大ボケ)の段階があります。「大ボケ」の段階になると、「前頭葉」が「中ボケ」の段階よりも更に異常なレベルに機能が衰えてきて殆ど機能しないレベルに衰えている上に、「左脳と右脳と運動の脳」の機能も「中ボケ」の段階よりも更に異常なレベルに衰えてきているのです。この「重度認知症」(大ボケ)の段階では、「セルフケア」にも支障が出てくるようになります。但し、この「大ボケ」の段階で見つけていたのでは、「正常なレベル」はおろか「小ボケ」のレベルにも、「中ボケ」のレベルにも脳の機能を回復させること自体が困難になるのです。分かり易く言えば、見つけるのが遅すぎるということなのです(ここを「クリック」してください)。

注)「早期診断」と銘打って行われている医療の現場では、この「大ボケ」の段階になって初めて「アルツハイマー型認知症」を見つけているのです。その結果として、「アルツハイマー型認知症は、発病の原因もわからないし、治すことができないし、予防することもできないタイプの認知症である」としているのです。自分達が信望し、「診断の基準」にしている米国精神医学会が定める「DSM-4」の規定の誤りに気づいていないし、それを疑おうともしないのです。

「前頭葉」を含む脳の機能の出番が極端に少ない日々の生活、生きがいなく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標もない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続する中で、「前頭葉」を含む脳の機能が廃用性の加速度的な機能低下を起こしてくるのが「アルツハイマー型認知症」なので、「小ボケ」と「中ボケ」の各期間を想定できる一定の基本となる期間が存在するのです。但し、末期の段階であり回復させることが困難である「大ボケ」の期間は、「大ボケ」のレベルに「前頭葉」を含む脳の働きが衰えて「大ボケ」の症状が発現してくるようになってから何らかの他の病気が原因で「死を迎える時が来るまで」がその期間となります。

世間で認知症の専門家と言われている人達は、「小ボケ」と「中ボケ」の期間があることを知らないので、「アルツハイマー型認知症」というと、「大ボケ」の期間だけを問題にして論じているのですが、「小ボケ」及び「中ボケ」の期間と「大ボケ」の期間とを併せた「アルツハイマー型認知症」全体の病気の期間はそれ相当に長い期間に亘るのです。然も、「大ボケ」の段階にまで症状が進んできてしまうと、回復させることは困難なので、「アルツハイマー型認知症」を患っている状態のもとで、「別の何らかの病気」が原因で死亡することになるまで「大ボケ」の期間が続くことになるのです。「アルツハイマー型認知症」自体が死亡の原因にはならないからです。

(コーヒー・ブレイク) 世の中で、「アルツハイマー型認知症」の期間(発病してから死を迎えるまでの期間)についての専門家の数字が取り上げられることがあります。認知症の専門家と言われる人達は、米国精神医学会の診断規定である「DSM-4」の第二の要件である失語や失行や失認等の極めて重度の症状、私達の区分で言う「重度認知症」(大ボケ)の段階でもその後半にならないと発現してくることがない症状を診断の要件にしているので、彼らの言う期間とは、失語や失行や失認の症状を発現してから以降の期間を言っていることに注意が必要です。

そもそも「アルツハイマー型認知症」の期間とは、正しくは、「軽度認知症」の期間、「中等度認知症」の期間及び「重度認知症」の期間の総計を言うべきなのです。それを合算した期間はとても長い期間となるのです。従って、政策の変更により、専門家による「施設介護」から家族による「在宅介護」が主流となっていく中では、在宅介護による家族の精神的な負担は、期間の問題だけから考えても、とても長期間にわたり重いものになるのです。

ところで、「アルツハイマー型認知症」の症状が段階を追って進行する各期間に関する「原則=指標」は、エイジングライフ研究所が多数の症例の実態を聞き取り、データを集めて分析し、解析して得られたものなのです(ここを「クリック」してください。

上述の段階を追って進行する各期間は、「アルツハイマー型認知症」の最初の段階である「軽度認知症」(「小ボケ」)になってから以降も、それまでの生活習慣の見直しがなされないままに、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が基本的に変化しないで継続されていく場合は、この原則(指標)に従って「認知症の症状が段階的に進行していくその期間を述べたものなのです。        

もちろん実際の生活場面では、「前頭葉」の出番が増え、活性化するような楽しい「生活状況」の発生(家族や仲間と共に散歩や運動を楽しむ生活;家族とのイベントを楽しむ生活;趣味の教室へ通う楽しい生活;友人や仲間とのふれあいがある生活など)という状況が継続していると、その楽しい生活の質と量と期間とにリンクして「前頭葉」の三本柱(「意欲、注意集中及び注意の分配力」)の出番が増え「脳の機能レベル」が或る程度回復してくるので、「アルツハイマー型認知症」の進行が遅くなり、症状の悪化が止まり、或いは、症状が回復の方向に向かうことになるのです。

逆に、「前頭葉」の出番が減り、不活性化するような辛く苦しい「生活状況」の発生(友人や趣味の仲間との別離; 趣味や遊びの会の中止;腰痛など身体の苦痛の進行; 自分自身の病気の発生;家族の病気や介護に自分の時間をとられてしまうような生活;大きな心配事の発生とその継続;家族内に大きな問題を抱えていること;重大な災害に遭遇することなど)という状況が継続していると、その辛く苦しい生活の質と量と期間とにリンクして「前頭葉」の三本柱(「意欲、注意集中及び注意の分配力」)の出番が減り、働きが更に衰えてきて、症状が悪化の方向に向かうことになるのです(重症化の更なる進行)。

エイジングライフ研究所では、脳の使い方としての「生活習慣」の改善の体験を目的とする「アルツハイマー型認知症」の「予防教室」の開催を、市町村(在宅介護支援センター、地域包括支援センターを含む)と地域住民とが協働して実行しつつ、「二段階方式」を活用して市町村の保健師さんが定期的に予防教室への参加者を対象にして「前頭葉」を含む脳の機能レベルを判定し、個人別の必要な「生活習慣」の改善指導を行うやり方の「地域予防活動」を1995年から指導してきています。

また、「脳の機能レベル」の定期的な判定(原則として年二回)及び脳機能に対する改善効果の評価(改善、維持、悪化に区分する三段階の評価)のデータは、「二段階方式」の管理ソフトである(「エイジング」)により、個人別、グループ別、地域別及び男女別に評価及び管理できるようになっています。下記の図は、そのデータの一部です。

ところで、インターネットで検索してみると、医療機関による「早期診断」(但し、「アルツハイマー型認知症」と診断されるお年寄り達の多くは、「重度認知症」の段階の被験者のみであることに注意してください)のブログが多く掲載されていますが、医療機関による「早期診断」とは、CTやMRIという機器を使用した「画像診断」が主流なのです。画像診断では、「前頭葉」を含む脳の機能レベルを正確に判定することができないのです。この場合は、早期診断という名前が使われているのですが、回復が可能な意味での早期診断ではないことに注意が必要です。

回復が困難な「重度認知症」の段階で「アルツハイマー型認知症」を見つけることが「早期診断」という名前で行われているにすぎないのです。「二段階方式」のような神経心理機能テストの活用が不可欠である一方で、回復させることが可能な本当の意味での早期診断では、「神経心理機能テスト」の保険点数が低すぎて事業としてペイしないことが、神経心理機能テストの活用でなくてCTやMRI等の機器の使用による画像診断という状況を生んでいるとしか考えられないのです。

「アルツハイマー型認知症は原因不明で治らないし、予防することもできないタイプの認知症である」と誤解し、思い込んで、手をこまねいたまま何も対策を打たないで放置していると、更なる高齢化が進んでいく中で、「アルツハイマー型認知症」を発病する人の数は増加の一途をたどるだけとなるのです。更に問題なのは、「アルツハイマー型認知症」は、脳がもたないのに身体がもつので、症状が「重症化」してもいくのです。他の何らかの病気が原因で死を迎える時が来るまで、「軽度認知症」は「中等度認知症」へ、「中等度認知症」は「重度認知症」へと症状の重症化が進行していくことになるのです。

症状の重症化がゆっくりと進行していくのが「アルツハイマー型認知症」の特徴なのですが、一方で、進行が留まることがないのです。進行を止めたり、更には回復させるには、現在は見逃されてしまっている早期の段階、私たちの区分で言う「小ボケ」及び「中ボケ」の段階で見つけることが不可欠なのです。然も、「アルツハイマー型認知症」に効く薬は存在しないのです(発病のメカニズムからして、未来永劫開発できない性質のものなのです)

唯一の方法と言えば、「前頭葉」を含む脳を活性化させてやる方法、言い換えると「前頭葉」の根幹をなしていて基礎的な機能である「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の機能の出番ができるだけ多い生活に変えて且つその「生活習慣」を維持してやるしか他に方法がないのです。発病の原因がわからないとされている「アルツハイマー型認知症」は、その本質が、脳の使い方という視点からの「生活習慣病」だからなのです。

現在は、施設による介護から家族による在宅での介護へと施策の軸が変更され動いていこうとしています。「軽度認知症」(小ボケ)や「中等度認知症」(中ボケ)の段階であれば、それまでの脳の使い方としての「生活習慣」である「生活歴」を詳細にチェックし、それまでのナイナイ尽くしの「生活習慣」を改善させ、脳を活性化させる効果が期待できる新たな「生活習慣」を構築し実践させれば、脳の機能レベルの回復により正常なレベルに回復させることが可能なのです。「軽度認知症」や「中等度認知症」の段階のお年寄り達のように、回復させることさえ可能であれば(回復の可能性が高い)、家族による「在宅介護」にも希望があって、家族の精神的な負担も軽減されることになるのです。

ところが、「重度認知症」(大ボケ)の段階にまで「前頭葉」を含む脳の機能が衰えてしまった場合は(「大ボケ」の段階になって見つけていたのでは)、どれほど気持ちを込めて家族が介護に従事しようとも、症状は更に重い症状へと進行していくだけで(私たちの区分で言う「重度認知症」の範囲の症状の中で、軽いものから次第に重いものへと「重症化」が進行していく)、「中ボケ」レベルに回復させることさえも困難になるのです(回復の可能性が極めて低い)。どんなに心を尽くして介護しようとも一向に改善してこないばかりか、尽くしても尽くしても症状が更に重いものへと進んでいくのです。そしてその介護の期間は、認知症以外の何らかの病気で死を迎える時が来るまで続くことになるのです。このことこそが、「重度認知症」の段階のお年寄りを抱えた家族による「在宅介護」の最大の問題点なのです。

医療機関による診断が、早期診断とは名ばかりで、多くの場合が「重度認知症」(大ボケ)の段階で見つけているだけという現状では、「大ボケ」のレベルのお年寄りを抱えた家族による「在宅介護」の経済的及び精神的負担が過大で耐え難いものになっていくはずなのです。この先高齢化が更に進行していき、高齢者の数自体も更に増加していく見通しの中で、対策や政策を打たないままでいると、「アルツハイマー型認知症」を発病する人達の数が更に増加していき、然もその人達は基本的に「脳は持たないが身体が持つ」ので、「アルツハイマー型認知症」を発病した後の「重症化」が継続的に進行していき、末期段階の「重度認知症」の人達の数が際限なく増加していく中で、「施設介護」から「在宅介護」に施策を転換していこうとも、家族による「在宅介護」の精神的な負担が重くなる一方で、「介護保険の費用」も際限なく増加していくことになるのです。

回復させることが困難な「重度認知症」の段階に在る「アルツハイマー型認知症」の人達を見つけているだけの、「名前だけの早期診断」ではなくて、回復させることが未だ可能な「中等度認知症」及び「軽度認知症」の段階で「アルツハイマー型認知症」を発病している人達を見つける「本当の意味での早期診断」を国や市町村の政策に取り込み実行させること及び開きっぱなしのままになっている「蛇口を閉める」政策、具体的には市町村が主体となり地域住民と共同して実践する「地域予防活動」というシステムによる「アルツハイマー型認知症」発病の予防活動を出来るだけ早期に実現させることこそが喫緊の政策課題だと思うのです。

ところで、私達が主張しているように「アルツハイマー型認知症」の正体が廃用性の「生活習慣病」であるということには、下記に問題提起するような、「二つの重要な側面」があります。

1つは、「アルツハイマー型認知症」を、回復可能な「軽度認知症」(小ボケ)及び「中等度認知症」(中ボケ)という(名前だけでなく本当の意味での)「早期の段階」で見つけるには、「二段階方式」に代表されるような「前頭葉」を含む脳の機能レベルを正確に判定することができる「神経心理機能」テストの使用が不可欠になるのです。然も、「神経心理機能」テストによる「前頭葉」を含む脳の機能レベルの正確な判定と「生活歴」の聞き取りに基づく脳を活性化させるための「生活習慣」の改善指導が判定(早期診断)と回復(脳の活性化による脳の機能レベルの回復)と予防(脳を活性化させる生活習慣の構築による発病の予防)の最も重要な且つ必須の方法(対策)となるのです。その結果、投薬や手術や治療といった「医行為」が必要とならないのです。

もう 1つは、「早期診断(判定)の方法」が、保険点数が高いCTやMRIによる画像診断は不必要なので(正確に言うと、脳の委縮と「アルツハイマー型認知症」とは無関係の関係なので)、逆に保険点数が極端に低い「神経心理機能」テストの使用が不可欠となるので、医療機関にとっては一定の事業利益を上げることが期待できない事業となる(言い換えると、継続的な事業としてペイしない)ということが重要なポイントなのです。その上、その本質が廃用症候群に属する「生活習慣病」である「アルツハイマー型認知症」は回復(治療)や予防に効く薬はなく、「投薬」の問題もないのです。

(コーヒー・ブレイク) 「アルツハイマー型認知症」からの回復は、本人にとっては勿論のこと、家族にとっても、市町村や国にとっても大きな意味があります。ところが、回復可能な早期の段階(「小ボケ」及び「中ボケ」)を見つけるには、「前頭葉」を含む脳の機能レベルの正確な判定が不可欠となるので、「二段階方式」に代表されるような「神経心理機能」テストの使用が不可欠となるのです。

CTやMRIによる「画像診断」では、「前頭葉」を含む脳の機能レベルの正確な判定ができないので、回復させることが未だ可能な「早期の段階」である「軽度認知症」や「中等度認知症」の段階を見つけることができないのです。但し、早期の段階で見つけられないで放置されたままでいると重症化が進み、脳はもたなくても身体がもつので、最終的には末期段階の「重度認知症」(大ボケ)になってしまうのです。使用にかかる保険点数が高いCTやMRIなどの機器を使っても、「重度認知症」の段階でしか見つけられないでいたのでは、せっかく見つけても手遅れ、回復させることは困難なのです。

医療現場で行われているように「重度認知症」の段階で見つけていたのでは、介護保険による介護費用だけでなく診断費用や在宅介護を維持する上で家族の負担となる費用などの経済的な負担や介護の精神的な負担も大きくなり、その負担の規模が、家族にとっても自治体や国にとっても極めて重大な問題になってくるのです。本当の意味での「早期診断」を要求することもせず、発病の「予防」活動自体を追求することもせず、名ばかりの「早期診断」を容認したままでいると、「重度認知症」(大ボケ)の段階にあるお年寄りを抱えた家族による「在宅介護」の施策は、制度が定着しない近い将来に、大きな「社会問題」になることを予告しておきたいと思います。

テレビがいろいろな種類のものを取り上げるので認知症にも種類がたくさんあることは皆さんご存じだと思います。その種類がいろいろある認知症の中で、「アルツハイマー型認知症」が認知症全体の90%以上を占めているのです。認知症全体に「アルツハイマー型認知症」が占める数字についても、認知症の専門家とされる人達が挙げている数字は雑なのです。私達の数字は、1995年の活動開始以来一貫して変わっていませんが、専門家達の数字は当時40%と言っていたのが現在は60~70%が主流となっています。

ところが、これでもまだ雑な数字なのです。それは、「アルツハイマー型認知症」に次いで割合が高い「脳血管性認知症」の診断自体が雑なことが原因なのです。「脳血管性認知症」と誤診されている物の内に相当数の割合を占める「アルツハイマー型認知症」が含まれているからです(この「誤診による%の誤り」の問題については、ここを「クリック」してください)。

この先、高齢化の更なる進行が予測される中で、「アルツハイマー型認知症」を発病するお年寄り達の数も増え続けることが予測されているのです。その「アルツハイマー型認知症」こそ、保健師さんにとって、「保健及び予防活動」の最も重要な対象となる「テーマ」なのではないでしょうか。

私達が蓄積してきた「アルツハイマー型認知症」を発病した人達の多数の「脳機能データ」を解析すると、「小ボケ」から「中ボケ」へ、「中ボケ」から「大ボケ」へと症状が進んでいくにつれて、「前頭葉」の働きが加速度的に衰えていくことが分かります。「大ボケ」のレベルになると、脳の司令塔の役割を担っている「前頭葉」は殆ど機能していないことが分かります。状況を判断し、実行すべきテーマを企画し、その内容を組み立て、内包する判断基準に基づいて最終の実行内容を決定する働きをしている、脳の司令塔の「前頭葉」の働きが、「薬を飲む(貼る)」ことで機能回復することなどありえないのです。

「前頭葉」は、左脳、右脳、運動の脳の三頭立ての馬車の御者なのです。「脳全体の機能」を回復させるには、「前頭葉」の機能を回復させることが必須の条件、不可欠になるのです。「前頭葉」の機能を回復させるには、「前頭葉」の三本柱の機能である「意欲や注意の集中力や注意の分配力」の機能の出番が多くなるような「テーマ」を日々の生活の中に取り込み、脳をしっかりと使う「生活習慣」を構築するしか他に方法はないのです。そもそも「アルツハイマー型認知症」は、発病のメカニズムからして、薬が効く(服用により発病を予防できる)ような代物ではないのです。

(コーヒー・ブレイク)私達のように、生きて活動している生身の人間の「前頭葉」を含む脳の機能レベルとそれにリンクした症状(単なる機能障害に過ぎない「正常な症状」及び異常な機能レベルに起因して発現してくる認知症の症状)を継時的に追跡し及び脳の機能レベルの変化と症状の重症化を同時に追跡する考えに基づいて、「前頭葉」を含む脳の機能レベルを正確に判定できる「神経心理機能テスト」を活用する手技を開発して、北海道から九州まで日本全国で展開してきた地域予防活動の実践データを集積し、そのデータを分析し、解析してみれば、「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズムを知ることはそれほど難しいことではないのです。

「アルツハイマー型認知症」の発病原因に関する種々の学説のように、「アルツハイマー型認知症」を患っていて、その上、失語や失認や失行といった、末期の段階である「重度認知症」の段階の更に後半(MMSが10点を切るレベル)にならないと発現してくることがない極めて重度の症状を呈するようになった状態でなお且つその状態が数年間も続いた人の死後の脳を解剖してえられる「解剖所見」に見られる3つの特徴、「老人班の生成」、「神経原線維変化」及び「脳の委縮」が原因と誤解して、アミロイド・ベータやタウ・タンパクや脳の委縮を追い続けている限り、何時まで経っても「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズムを解明することはできないのです。

時間の無駄であり、経費の無駄なのです。若い多くの有為な人材達が、発病のメカニズム及び「前頭葉」を含む脳の機能の構造から考えて、未来永劫実現されることがない「治療薬」の開発に従事し続けている現状を私たちは憂へるのです。

とわ言え、発病の原因だとそれぞれが主張している犯人と「アルツハイマー型認知症」発病との間の「因果関係させ証明できていない」レベルの学説であっても、学説は学説なりに影響力があるのです。こうした「学説」が幅を利かせている間は、そうした学説の内容が間違っていても世の中一般に対する権威という影響があるので、「アルツハイマー型認知症」の「早期診断」(回復させることが可能な段階を見つける本当の意味での早期診断)も発病自体を「予防」する「地域予防活動」も展開しにくい状況を生んでいる、それなりに障害となっているのです。

学者は、自分の信望する学説に基づいて研究活動を生涯をかけて一生懸命行っているので、「単なる生活習慣病だ」と言われると、自分の一生を否定されているように感じるのかもしれません。アミロイド・ベータが犯人だとか、タウ・タンパクが犯人だとか、脳の委縮が原因だとか言っていると、自分が信望している学説の研究に安心して打ち込めるのでしょうか。老人班の生成や神経原線維変化や脳の委縮は、「アルツハイマー型認知症」を患って「重度認知症」の段階にまで症状が進んで、その「重度認知症」の期間が何年も続いた場合に生じてくる「副産物」、「原因なのではなくて結果」なのでは、そのような「発想の転換」は、この人達には思いもつかないことなのでしょうか。

○早期の段階を見つけることも発病を予防することも利益につながらないという問題があるのです。

「早期段階の判定及び早期段階からの回復」や「発病の予防」のために不可欠である「神経心理機能テスト」の活用及び脳を活性化するための「生活習慣」の改善のための指導は、医療機関の側からすれば、事業として必要となる収益をあげることが期待できないという重大な問題があるのです。医療機関といえども事業体ですので、必要な規模の事業収益が確保できない事業を継続的に実施していくことはできないのです。従って、「収益はあげられなくても、費用が減るメリットがある」ことで事業として継続して展開できる自治体や国でしか、対応が期待できないということになるのです。

日本は世界に先駆けて超高齢化社会に突入しています。この先、高齢化が更に進んでいく中で、医療機関も国も市町村も、なにもしないでこのまま手をこまねいて放置していると、高齢者の大半は、「身体が持ちながら、脳が持たない」結果として、行き着くところは「重度認知症」のレベルにまで脳の機能が衰えてしまった「アルツハイマー型認知症のお年寄り」の更なる増加という悲惨な将来像が、はっきりと見えてくるのです。

厚生労働省が発表している「アルツハイマー型認知症」のお年寄りの数400万人(460万人×90%≒400万人)というのは、末期段階の「重度認知症」(大ボケ)のお年寄りだけの数なのです。失語や失行や失認という「末期の段階」にならないと発現してこない「重度の症状」の確認が必須の要件とされている診断指針(「DSM-4」)の為に見逃されている、回復可能な「小ボケ」と「中ボケ」とを合わせた数は、「大ボケ」の2倍にもなるのです。

               

然も、「DSM-4」という誤った「診断基準」に基づく診断が原因で、見逃され放置されたままになっている「小ボケ」と「中ボケ」の段階の人達は、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を見直して、脳を活性化する「生活習慣」を日常生活に取り込むことにより、正常レベルに回復させることが出来るのです。市町村を主体として、「アルツハイマー型認知症」の「予防」並びに早期段階の発見と「回復」を実践し、「重度認知症」に重症化していく人達の数を劇的に減らす「政策」を出来るだけ早期に且つ継続的に実行するのです。その活動の成果となる財政状態の改善を達成した上で、「重度認知症」の段階の人達に対する「介護保険」の適用を手厚くする政策が重要だと思うのです。

このブログで詳細に説明してきたように、「アルツハイマー型認知症は、原因も分からないし治らない病気」という考えは、誤りなのです。失語や失認や失行という「末期の段階」にならないと発現してこない「重度の症状」の確認が必須の要件とされている誤った診断基準に基づいて、末期段階の「重度認知症」(大ボケ)のお年寄りばかりを見つけ出してきた精神科医の誤解が現状を引き起こしているのです。

蛇口を閉めない限り、問題を解決する道は絶対に開かれてこないのです。地域予防活動により発病を予防し、早期診断により回復可能な「小ボケ」と「中ボケ」の段階で見つけて、趣味や遊びや人付き合いや運動などを楽しむ生活をして、自分なりの目標や生き甲斐がある「生活習慣」を構築することによって、脳が活性化することによって正常なレベルに回復させる活動を保健師さんが主役となって地域や家族と協働して実践するのです。

「アルツハイマー型認知症」は廃用性の「生活習慣病」なのです。早期の段階(「小ボケ」及び「中ボケ」)で見つけて、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を見直し、脳を活性化する「生活習慣」を日常生活に取り込むことにより、正常レベルに「回復」させることが出来るし、更には「発病を予防」することもできるのです。高齢者を抱える個々の市町村が実施の主体となり、行政活動の中の主要なテーマとして、「アルツハイマー型認知症」の早期診断による回復と発病の予防活動を位置づけ、「継続性」を持って取り組むことが重要だと思うのです。

「アルツハイマー型認知症」の早期診断および予防活動に取り組む十分な数の専門の保健師さんを配置して、地域のいろいろな組織やボランティアを取り込み、継続的な自主活動として、「地域単位」で早期診断と予防に取り組むしか問題を解決する方法はないのです。「アルツハイマー型認知症」を予防するための「生活習慣」の確立を目的とした生活改善の指導は、脳を生き生きと使う「生活習慣」を個々人が日常生活に取り込み、確立することが核になります。それは、趣味なく交遊なく、運動もせず目標もない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」と裏返しの「生活習慣」を構築することが「目標」になります。

「前頭葉」に十分な情報が上がっていき、「前頭葉」の機能がフルに働くような「生活習慣」、特に趣味や遊びや人付き合いの働きを司る「右脳を中心とした生き方」を中核として指導することが重要となります。これまでは、「身体の健康」というテーマについて大きな役割を果たしてきた保健師さん達は、これからは、「脳の健康」という大きなテーマについて重要な役割を果たすことが期待されているのです。「身体介護サービス」を核とした住民サービスの為の施策提供の担い手ではなくて、「生き甲斐創造の手助け」となる新しいタイプの住民サービス、脳の使い方としての「生活習慣」改善の施策を提供する担い手になっていただきたいと願うのです。

日本中どこの市町村でも、一部の大都市を除いて、高齢化率が30%を超えるような高齢化の状況がどんどん進んでいく中で、独居老人や老夫婦のみの世帯が加速度的に増加してきている現状を考えるとき、「お年寄りが、いつまでも元気なままでいられる」、「身体が持つ限り、脳もちゃんと持たせる」、或いは、「年齢相応の社会生活が送られるレベルに脳の機能を保つ」ための施策が、すべての市町村で切実に求められているのです。

もちろん、お年寄り本人自身が、「アルツハイマー型認知症」にならない為の最大限の努力を日々行う(「脳が生き生きと働くような」自分なりの「生活習慣」を構築し、維持するよう努力する)ことが大前提なのですが、家族がそれを側面から支える体制を築き、更には「行政」が主導して、地域全体で支える「地域予防活動」を展開するための啓蒙活動や支援システムの構築や文化の創成やボランティアの組織化を行うことが超高齢化社会では求められるのです。

 第二の人生を歩んでいるお年寄りが、家に閉じこもる時間をできるだけ少なくさせ、できるだけ家の外に出ていく時間を多くさせ、できるだけ多くの人と交わり、コミュニケーションや交歓の場を楽しみしながら、何らかの共通の目的に添った「趣味や遊びや運動のテーマ」或いは「社会活動」を実践すること、換言すれば、「そうしたテーマの実践を楽しむ時間や機会」を「人の輪」の中での交わりを通じて共有する生活を送ることが、「アルツハイマー型認知症」の予防に不可欠の条件となるのです。

「前頭葉」は、家の外に出ていき、人と交わり、一定のテーマに沿った行動や活動を送る場である「社会生活」を送る上で不可欠な脳なのです。第二の人生を送っている高齢者にとって、その「前頭葉」を支えるもっとも頼りになる柱は、「右脳」なのです。「右脳」の出番は、趣味や遊びや人付き合いを楽しむ場が中心となるのです。

保健師さんを中心とした「アルツハイマー型認知症」予防のための新しい地域活動は、「脳の働きという物差し」により定期的に脳の働き具合を検査する機会を持ち(「早期診断」)、且つ「左脳ではなくて右脳」を活性化させる集団活動の場の創造を柱とするものでなければならないことを肝に銘じておいて頂きたいのです。

注)本著作物(このブログA-94に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

 エイジングライフ研究所のHPここを「クリック」してください。

機能からみた認知症の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)

   http://blog.goo.ne.jp/quantum_pianist

 http://blog.goo.ne.jp/kuru0214/e/d4801838dd9872301e0d491cd8900f1a

 
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保健師さんが核になるアルツハイマー型認知症の地域予防活動(その2)(A-71)

2012-12-21 | アルツハイマー型認知症の予防活動

○ 脳の働きからみた「生活習慣」の改善を目指す、新しい「地域活動」の創成  

第二の人生に入っている60歳以上の年齢の「お年寄り」達を対象にして、「二段階方式」の手技に基づく「神経心理機能テスト」で、脳の神経心理機能をチェックしてみると;脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」の働きだけが異常なレベルに加速度的に衰えてきている人達がたくさんいることが分かります。「前頭葉」の本来的な性質であり、内在的な性質の発現として、お年寄りであれば誰でもが抱えている「正常な老化」のカーブを大きく逸脱して、「異常な老化」のカーブを描きつつ、前頭葉の機能レベルが加速度的に衰えていっている人達が、日本中どこにでもたくさんいるのです。「アルツハイマー型認知症」の症状の発現の仕方というのは、「脳血管性認知症」の場合と違って、ある日突然認知症の症状が発現するのではないのです。(ここを「クリック」してください)。

ここで、(コーヒー・ブレイク) 「アルツハイマー型認知症」の専門家達は、認知症を発現しているかいないかを判定するに際して、米国精神医学会の診断規定である「DSM-4」に依拠して診断するために、回復が困難な末期段階の「重度認知症」(大ボケ)の段階でしか見つけられないでいるだけなのです。私たちが開発した「二段階方式」のように、脳の司令塔の「前頭葉」の働き具合(機能レベル)に着目して、神経心理機能テストを活用して診断すれば、見過ごされている早期の段階(回復が容易な「小ボケ」及び回復が未だ可能な「中ボケ」)を見つけることができるのです。その結果、「アルツハイマー型認知症」は、突然「重度認知症」(大ボケ)の段階の症状が発現するのではなくて、「小ボケ」、「中ボケ」、「大ボケ」という三つの段階に区分されること及び発現してくる「症状」は原因である「脳の機能レベル」に応じて次第に「重症化」していくことも分かるのです。(ここを「クリック」してください)。

脳の司令塔の「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)が異常な老化のカーブを描いて衰えていっているお年寄り達に共通しているのは、毎日の脳の使い方、第二の人生での「生活習慣」なのです。これといった生き甲斐もなく、熱中している趣味や遊びもなく、親しく付き合う仲間もなく、散歩やスポーツで体を動かす機会もなく、意欲が湧いて「集中力や注意の分配力」を発揮する「目的」となるような「テーマ」もなく、ただぼんやりと日々暮らしているだけの「生活習慣」が浮かび上がってくるのです。言い換えると、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標もないという、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続されている「お年寄り」達だけを対象として、脳の司令塔の「前頭葉」の働きだけが、加速度的に老化していっていることが分かるのです。(ここを「クリック」してください)。

ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続している生活状況の下で、脳が加速度的な衰え方のカーブに入って行き、「前頭葉」の働きが「正常に機能」している領域を超えて「異常な機能レベル」に入った領域(「小ボケ」の始まり)の中で更に衰えていき、社会生活に支障がでてきている下限の境界点(ここまでが、「小ボケ」の段階)に達したとき以降になって初めて、「前頭葉」と協働する脳の後半領域の機能(左脳及び右脳)の働きが加速度的な衰えを示し始めるのです(ここからが、「中ボケ」以降の段階)。このことを逆説的な表現を借りて言えば、「前頭葉」がちゃんと働いている(正常な機能のレベルにある)限りは、脳の後半領域の機能もちゃんと働いている、「脳全体」がちゃんと働いている(つまり、認知症の現行の定義から見れば、「認知症を発病していない」)ということになるのです。

そもそも 「認知症」という病気は、脳全体がちゃんと働かなくなって、社会生活や家庭生活や身の回りの処置に支障がでてくる病気のことを言うと定義されているので、「前頭葉」の機能が正常なレベルにある限り(言い換えると、「脳全体」がちゃんと機能している限り)、「物忘れ」などの症状(記憶の障害)が認められていても、「アルツハイマー型認知症」は発病していないということになるのです。しかしながら、「アルツハイマー型認知症」を回復可能な早期の段階で見つける上で、最も重要且つ適切な指標は、「記憶の障害」ではなくて「前頭葉の機能レベル」なのだということに認知症の専門家達が早く気付いてほしいのです。世界的に権威があるとされ指針として活用されている米国精神医学会の診断基準である「DSM-4」は、「記憶の障害」を第一の要件とし、且つ、失語、失行、失認等の「大ボケ」の後期にならないと発現することがない「重度の症状」を第二の要件と定めているという重大な欠陥を有するため、回復可能な早期の段階(回復が容易な「小ボケ」及び回復が未だ可能な「中ボケ」)を見つけることができなくて、回復が困難な段階(「大ボケ」)しか見つけることが出来ないのです。この基準に依拠して診断する限り、「アルツハイマー型認知症」というタイプのボケは、せっかく見つけても「治せないし、原因も分からない」ということになってしまうのです。

再度、(コーヒー・ブレイク) 軽度認知症(「小ボケ」)の段階は、脳の後半領域の左脳も右脳も未だ正常な機能レベルにあって、司令塔の「前頭葉」の機能だけが異常なレベルに衰えていると私たちは定義しています。認知症の現行の定義からすると、私たちが言う「軽度認知症」(「小ボケ」)の段階は脳全体が異常なレベルにあることにならないので、認知症を発病していることにならないのではないかと考えた人は、なかなか鋭い人と先ずは褒めておきましょう。ところが、脳の機能面から考えると、脳の後半領域の機能である、左脳も右脳も運動の脳も、意識的な行為の世界では必ず司令塔の「前頭葉」のコントロールのもとに働いているのです。したがって、その機能レベル(状態)のアウトプットは、「前頭葉」の機能障害を伴ったアウトプットになってしまうのです(御者である「前頭葉」の機能が異常なレベルにあって、左脳、右脳、運動の脳という「三頭の馬」を制御しているので、アウトプットとしての行為や行動は、「前頭葉」の機能障害が反映されたものになってしまうのです)。

したがって、「前頭葉」の機能だけが異常なレベルにあって「左脳、右脳及び運動の脳」は未だ正常な機能レベルにあるこの段階で、脳全体の機能レベルのアウトプットとしての「社会生活に支障が出てきている症状」を必ず確認することができるのです。つまり、「脳全体の機能」が異常なレベルにあることとする定義自体に誤りがあるのであって、「前頭葉の機能」が異常なレベルにあるとする定義が正しいのです。定義自体を変えてやらないと、早期の段階、回復が容易な「軽度認知症」(小ボケ)の段階及び回復が未だ可能な「中等度認知症」(中ボケ)の段階を見落としてしまうことになるのです。近年、「軽度認知障害」という概念が提案されていますが、相変わらず「記憶」を中心とした「症状」からのアプローチとなっていて、「前頭葉」の機能障害という視点を欠いているために、対象領域があいまいすぎて使い物にならないのです。

 「前頭葉」は、意欲、注意の集中力、注意の分配力、自発性、発想、計画性、工夫、機転、洞察力、推理、創造力、好奇心、感動、抑制力、忍耐力といった、私達が「社会生活」を送る上でなくてはならない極めて高度な機能を集積しています(上述した「軽度認知症」小ボケは、この「前頭葉」の機能が異常なレベルにあるために、列記したような高度な機能の障害が小ボケの「症状」として現れてくるというメカニズムなのです。認知症の専門家や医師達は、このことに気づく必要があるのです)。その「前頭葉」には、「20歳を過ぎると年をとるにつれて100歳に向かって緩やかに一直線に衰えていく特徴を有する」老化曲線(「正常な老化の曲線」)があります。(ここを「クリック」してください)。

 この「前頭葉」の老化の曲線は、脳の後半領域の働きである左脳、右脳及び運動の脳からいろいろな情報(但し、質と量が十分なものであることが必要)が送られてくることで、緩やかなカーブを描き続けます。十分な量と質の情報が「前頭葉」に送られてくるような「生活習慣」が継続されているとき、老化の曲線は緩やかなものとなり(「正常な老化の曲線」)、「身体が持つ限り脳も保てる」、言い換えると、認知症の大多数90%以上を占める「アルツハイマー型認知症」とは無縁の第二の人生への道が開けてくることになるのです。

他方で、量も極めて少なく質も劣る情報しか「前頭葉」に送られてこないような「生活習慣」、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続するとき、脳の老化の曲線は急速に低空飛行化してゆき、「老化を加速させる」ことになるのです(「異常な老化の曲線」)。然もその先には、「アルツハイマー型認知症」の発病(最初の段階である「小ボケ」)への道が待っていることになるのです。

 「前頭葉」の老化曲線の問題と第二の人生では左脳の出番(仕事や勉強がテーマ)が極端に少なくなるという問題とが重なっている状況下で、何かを「キッカケ」として、右脳も運動の脳も出番が極端に少ない生活が始まると、司令塔の「前頭葉」が働く機会が極端に少ない「生活習慣」の下で、老化を加速させていき、居眠りが始まるのです。司令塔の「前頭葉」が居眠りしている生活が継続していると、「アルツハイマー型認知症」発病への坂道を転がっていく危険が顕在化してくるのです。(ここを「クリック」してください)。

 

日本中で「高齢化」がどんどん進んでいく中で、独居老人や老夫婦のみの世帯が加速度的に増加してきている我が国の現状をふまえるとき、「お年寄りが、いつまでも元気なままでいられる」、「身体が持つ限り、脳もちゃんともたせる」、或いは、「年齢相応の社会生活が送られる」レベルに脳の機能レベルを保つための施策、「地域予防活動」の展開による「予防」と早期診断による「回復」とをシステム化して実践する施策が、全ての市町村で切実に求められているのです。

勿論、お年寄り本人自身がボケない為の最大限の努力、「前頭葉」を含む脳全体が生き生きと働くような「生活習慣」の構築と実践とを日々継続することが大前提となります。家族がそれを側面から支える体制を築き、さらに行政が「地域全体」で支えるための啓蒙活動やシステムの構築や文化の創成やボランティアの組織化を行うことが「超高齢化社会」では不可欠となるのです。

こうした社会的要求にこたえられる効果的な施策として、エイジングライフ研究所が提案し、既に440を超える市町村で実践されている「二段階方式」に基づくボケ予防教室の展開を柱とした「地域予防活動」の創成が「先駆的なモデル」になると考えているのです。

 

○ 「右脳」の活性化で、「アルツハイマー型認知症」のない地域を 

「アルツハイマー型認知症」は、認知症全体の90%以上を占めています。(ここを「クリック」してください)。然も、脳の使い方と言う視点からの「生活習慣」が発病の原因であり、脳を活性化させる生活習慣を構築することで「予防」することが出来るのです。

私たちが開発した「二段階方式」の手技を活用して、北海道から九州まで、440を超える市町村での「地域予防活動」の実践に基づくデータを分析してみると、20歳の半ばを過ぎると、「前頭葉」の働きが加齢とともに衰えて行く性質があることが分かります(「前頭葉」機能の加齢に伴う「正常な老化」の性質)。特に、60代の半ばになると全盛期の二十代半ば頃の半分くらいに働きが衰えてきているのです。その先は、70歳、80歳90歳と、年を重ねるごとに「前頭葉」の働きが衰えて行くのです。従って、第二の人生を「身体がもつ限り、脳ももたせる」、言い換えると、「アルツハイマー型認知症」を発病しないためには、「前頭葉」の正常な老化のカーブが急激な低下のカーブをとることがないように、下支えしてやる「生活習慣」を構築し維持することが不可欠となるのです。

その下支えしてやる方法とは、「前頭葉」を含む脳全体をしっかり使って活性化させてやる生活を構築して、それを実践することなのです。「前頭葉」を生き生きと働かせるためには、「左脳」、「右脳」、「運動の脳」という、「前頭葉」の働きを支える「三頭の馬」を十分に使う生活が最も重要なのです。「三頭の馬」が意識的な「テーマ」を実行するために動き出す状況下では、置かれている状況を判断し、何をどのようにするのかを決定し指示する役割をしている御者である「前頭葉」の出番が必ず出てくるからです。

ところが、第二の人生を送っているお年寄りには、様々な制約があることを考慮する必要があります。脳を使うと言うと、皆さんは直ぐに、「仕事や勉強」をすることを考えるのではないでしょうか。そもそも「第二の人生」を送っているということは、一部の例外的な場合を除き、「仕事」はしていないのが普通でしょう。「仕事や勉強」は、「左脳」が担うものです。第二の人生を送っているということは、「左脳の出番」が極端に少ない生活を送っているということになるのです。第二の人生を送っている高齢者にとっては、「左脳は、前頭葉を支える重要な役割をもはや担うことはできない」ということなのです。

だからと言って、そもそも老齢のため足腰が弱ってきているので、「運動の脳」も、主役にはなれません。「毎日、5000歩の散歩」を欠かさないことが習慣化できれば、それだけで合格点といえるでしょう。「5000歩の散歩」といっても、ただ一人で黙々と歩くだけでは能がありません。老夫婦で仲良く一緒に歩いたり、仲のよい友達と歩いたり、時には景色のいいところに出かけていって散歩したりと、工夫してみることも大事です。会話が弾んだり、景色に感動したりする機会があると、運動の脳だけでなく、左脳も右脳も活性化され、「前頭葉」に送られる情報の質と量も増えるので、「前頭葉」が働く機会が増えて活性化することになるのです。

○ 第二の人生でもっとも頼りになるのは、右脳を使う生活なのです。

 保健師さんが主役となって展開する「脳の健康を目的」とした新しい活動である「地域予防活動」は、「脳の働き」という物差しをもち、「右脳」を活性化させる「集団活動」の場を創成するもの」でなければなりません。

 お年寄りが、できるだけ家の外に出ていって、出来るだけ多くの人達と交わり、コミュニケーションしながら、趣味や遊びや人付き合いといった共通の「テーマ」に添った活動を行うこと、換言すれば、「社会生活」を送ることがボケ防止(「アルツハイマー型認知症」の予防)に不可欠の条件となるのです。「前頭葉」は、社会生活を送るための脳なのですから。「左脳」が主体となる仕事や勉強とは基本的に縁がなくなる(薄くなる)第二の人生では、「前頭葉」を支えるもっとも頼りになる柱は、「右脳」なのです。「右脳」の出番は、趣味や遊びや人付き合いの場なのです。時間が経つのが速くて、喜びや感動を経験するのも、右脳の出番のときなのです。

 「アルツハイマー型認知症」は、生活習慣が原因の病気なのです。「ボケるかボケないか、言い換えると(早々とボケるか、身体が持つ限り脳も最後まで正常な機能のレベルを保てるか)」、それは、あなたの毎日の脳の使い方(「生活習慣」)が、その明暗を分けるのです。

すべての「意識的な行為」(目的々な行為)は、「前頭葉」がコントロールしているのです。左脳も右脳も運動の脳も、御者である「前頭葉」が制御し動かしているのです。「アルツハイマー型認知症」というタイプのボケは、社会生活を送るのになくてはならない働きをしていて、脳全体の司令塔の役割を持っている「前頭葉」が居眠りし始めることから始まるのです。

ボケない(アルツハイマー型認知症を発病しない)ためには、「前頭葉」が司令塔の役割を放棄して居眠りし始めないよう注意しなければなりません。そのためには、「前頭葉」が働く機械を失って居眠りし始めないように、脳の後半部の左脳、右脳及び運動の脳から常にたくさんの量と質の情報を「前頭葉」に送り続けてやる「生活習慣」を構築し実践することが必要不可欠となるのです。繰り返しになりますが、このとき最も頼りになるのが「右脳」なのです。保健師さんを中心とした新しいボケ予防(「アルツハイマー型認知症」の発病の予防)のための「地域予防活動」は、「脳の働きという物差し」を持ち、「右脳」を活性化させる「集団活動」の場を創生することであることを深く胸に刻んでおいて欲しいのです。(ここを「クリック」してください)。

 注)本著作物(このブログA-71に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

 エイジングライフ研究所のHPここを「クリック」してください)

  脳機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)

  http://blog.goo.ne.jp/quantum_pianist

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保健師さんが核になるアルツハイマー型認知症の地域予防活動(その1)(A-70)

2012-12-11 | アルツハイマー型認知症の予防活動

○  20年も30年もある「第二の人生」をどう生きるか 

人生60年といわれていた一昔前の時代と違って、世界に先駆けて「超高齢化社会」に突入した現在の日本では、誰でも80歳~90歳まで生きるのが当たり前となっています。

 会社や役所勤めの人のように定年がある場合がもっとも典型的なのですが、60~65歳前後の年齢で、「第二の人生」に入るのが通常のケースでしょう。その場合、「第二の人生」が20年も30年もある訳ですから、第一の人生がどうだったかだけでなくて、「第二の人生」がどうなるかがとても重要な意味を持ってくることになります。第一の人生がどんなに立派でも、第二の人生ではやばやとボケてしまったのでは、自分らしい人生を全うしたことにはならないでしょう。

その上、「アルツハイマー型認知症」という病気は、「脳がもたないのに、身体がもつ」のが特徴なのです。軽度認知症(小ボケ)に始まり、中等度認知症(中ボケ)の段階を経て末期段階の重度認知症(大ボケ)の期間が何年も続くのです。第二の人生がとても長い超高齢社会を考えれば、身体がもつ限り脳もちゃんともたせて、ボケないで第二の人生を完走することが、個人のレベルではもちろん、家庭のレベルでも、市町村のレベルでも、国のレベルでも強く求められてくるのです。

 

○ 「アルツハイマー型認知症」の予防活動は、保健師さんが中核 

認知症の大多数90%以上を占めるのは、「アルツハイマー型認知症」と呼ばれるタイプの認知症です。その正体は、「毎日の生活習慣である脳の使い方」が原因の病気、ナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続が発病を惹き起す廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」なのです。

 これまで、認知症の専門家たちから、「原因もわからないし、治す方法もない」と言われてきた、「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症は、毎日の脳の使い方・生活習慣の改善で、「予防」する (脳の機能が異常なレベルに衰えるのを予防する) こともできるし、「治す」ことも(脳の機能を正常なレベルに回復させる)できるのです。

 とはいえ、食事をしたり、風呂に入ったり、服を着たり脱いだりといった、「セルフケア」にも支障がでてくるまでに脳の働きを衰えさせてしまった、大ボケの段階(回復が困難な末期段階)になって見つけていたのでは、もう手遅れ。治すことは期待できないのです。「アルツハイマー型認知症」を治すには、小ボケ(回復が容易)、中ボケ(回復が可能)までの「早期の段階」で見つけることが不可欠の条件となるのです。

 

 ところで、「アルツハイマー型認知症の正体が生活習慣病である」ということには、二つの重要な側面があります。

 1つは、「予防したり治したりする方法は、投薬や手術や治療などの医行為を必要としない」ということです。換言すれば、「アルツハイマー型認知症」こそ、「予防活動」の最も重要な対象となるテーマなのです。医師ではなくて保健師さんが、その担い手となるのです。もう1つ、「投薬や手術や治療といった医行為ではなく、生活改善指導だけが、予防と治療の対策となる」ということなのです。

 生活習慣病である「アルツハイマー型認知症」の発病を「予防」したり、回復が可能な早期の段階(「小ボケ」及び「中ボケ」)を診断するには、「前頭葉」を含む脳の機能レベルを判定することが不可欠となるのです。「前頭葉」を含む脳の機能レベルは、私たちが開発した「二段階方式」に代表される神経心理機能テスト(診療報酬が極めて安価)で容易に且つ的確に判定することができるのですが、CTやMRI(診療報酬が極めて高額)では判定することができないのです。そのため、CTやMRIを使用せずに、神経心理機能テストだけで早期診断することを医療機関に期待することは困難なのです。「CTもMRIも活用できないうえに、投薬の必要もないのでは」、正確に言うと、「神経心理機能テストの活用と生活改善の指導だけでは」、必要な額の収益をあげることが期待できないため、医療機関にその中核的な役割を期待することはできないということなのです。収益はあげられなくても、費用が減るメリットがある、市町村でしか対応できないのです。

 日本は世界に先駆けて「超高齢化社会」に突入していますが、この先、高齢化が更に進んでいく中で、なにもしないでこのまま手をこまねいていると、高齢者の大半は、「身体がもちながら、脳がもたない結果として、行き着くところはボケ老人」という悲惨な将来像が、はっきりと見えてくるのです。(ここを「クリック」してください)。世間では、末期段階の重度認知症(大ボケ)の段階にならないと「アルツハイマー型認知症」の発病とは認めないのですが、実体としては、「軽度認知症」(小ボケ)に始まり、「中等度認知症」(中ボケ)の段階を経て、最後に「重度認知症」(大ボケ)の段階があるのです。しかも、私たちが集積してきたデータによれば、「大ボケ」の予備軍である「小ボケ」の段階の人数と「中ボケ」の段階の人数とを合わせた数は、「大ボケ」の数の4倍にもなるのです。

 高齢者を多数抱える個々の市町村が実施の主体となり、行政活動の中の主要なテーマとして「アルツハイマー型認知症」の予防活動を位置づけ、取り組むことが必要なのです。国と地方の財政負担及び家族の精神的経済的な負担を考えると必要不可欠のことなのです。「アルツハイマー型認知症」の予防活動に取り組む専門の保健師さんを配置して、地域のいろいろな組織やボランティアを取り込み、継続的な「自主活動」として、「地域単位」で取り組むしか問題を解決する方法がないのです。

 

「アルツハイマー型認知症」を予防するための生活改善の指導は、脳を生き生きと使う生活習慣、「前頭葉」に十分で種々様々な情報が送られていって、「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)の機能がフルに働くような生活習慣、特に、第二の人生を送っている「高齢者」にとっては、「趣味や遊びや人付き合い」を楽しむ上で必要な「右脳を中心とした生活」の構築を指導することが重要となるのです。歩くことやスポーツなどの運動を楽しむのに必要な「運動の脳を使った生活」の構築も有効です。

 介護保険で期待されている、従来型の「身体介護サービス」提供の担い手ではなくて、「生き甲斐創造の手助け」となる新しいタイプのサービスを提供する担い手になっていただきたいのです。その場合、「脳の働き具合の定期的な検診」が不可欠となることを忘れないでください。(ここを「クリック」してください)

    

 注)本著作物(このブログA-70に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

エイジングライフ研究所のHPここを「クリック」してください)

脳機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)

   http://blog.goo.ne.jp/junsky                    http://blog.goo.ne.jp/kuru0214

http://blog.goo.ne.jp/isehakusandou


 

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認知症の地域予防活動と展開上の基本的な骨格ーその3 QA Room(A-57)

2012-08-30 | アルツハイマー型認知症の予防活動

Q:市町村の保健師が地域住民と協働して実施する「アルツハイマー型認知症」の「地域予防」活動を展開する上での基本的なイメージと言うか、「骨格」となる内容及び展開上の留意点について、できるだけ具体的に説明して欲しいのですが。

        

A:エイジングライフ研究所は、「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)を含む脳の機能を「神経心理機能テスト」を使って調べ総合的に判定する「二段階方式」という手技を開発して「マニュアル」化しています。「脳の機能レベル」(A)とそのアウトプットである「症状」(B)と現在の機能レベルをもたらした脳の使い方としての「生活歴」(C)等を詳細に調べ聞き取り、規定された「判断基準」に従って総合的に判定するのです。1995年の活動開始以来、市町村の保健師さん達による行政活動としての「アルツハイマー型認知症」の「地域予防活動」を提唱すると共に「認知症予防講演会」及び「二段階方式」の「実務研修会」を実施して、「地域予防活動」を展開拡大するための指導を450を超える市町村で行ってきました。(その詳しい内容については、ブログの末尾にある「エイジングライフ研究所」をクリックしてください)。

       

市町村の「保健師」さん達(地域包括支援センター、在宅介護支援センターを含む)が主体となり、地域と共同して実施する「アルツハイマー型認知症」の「地域予防活動」の骨格と展開上の留意点の概要は、次のようになります。

●  精神科医は、DSM-4の基準に依拠して診断を行う為に、回復が困難な「アルツハイマー型認知症」の末期の段階である「重度認知症」(大ボケ)の段階でしか見つけることができません。その結果、「アルツハイマー型認知症」は、「原因不明で治らない病気」とされてしまい、その「誤った情報」が全国津々浦々、地域の隅々にまで行き渡り、住民の頭と心に浸み込んでしまっているのです。誤ったその固定概念を変えさせ、「地域予防活動」を展開していくに際して、地域住民を対象とした(認知症は防げる治せる)と題する「アルツハイマー型認知症予防講演会」による啓蒙が不可欠となります;

● 更に、市町村が「早期診断の窓口」を常設して、回復可能な早期の段階(回復が容易な「小ボケ」及び回復が期待できる「中ボケ」)を見つけて、正常レベルに「回復」させて見せることが重要なのです。「右脳」の活用を柱とした自分なりの「目標」(メニュー)の達成による「前頭葉」の活性化により、脳の使い方としての「生活習慣」の改善を指導して、「正常」レベルに回復させてみせることが、住民全体の考えと意識とを替えることができる極めて有効で有益な施策となるのです;(ここを「クリック」してください

       

● 「地域予防教室」の対象となるタイプの認知症は、生活習慣病である「アルツハイマー型認知症」のみとし、それ以外のタイプの認知症は専門の医師の手に委ねることを対外的にも対内的にも明確にしておきます;「地域予防教室」は、「アルツハイマー型認知症」の予防を目的とする活動であることを明確に活動目的として掲げ、参加者が自分なりに「脳の活性化」を体験できる場とするのです(ここをクリックしてください);

● 展開の順番は、地域のカクシャク老人やボランティアの組織が、手を挙げて、「地域予防活動」を自分たちの地域でやりたいとの「意志と情熱」を示す所から優先して実施することが重要です(手が積極的に上がらない地域は、後回しにすることが大切なのです;ここで、「公平」を優先していたのでは、何時まで経っても動き出さないのです);

● 公民館或いは集会所が存在するくらいの「小単位」の各地域毎に、30~40人を単位とした「小集団」ベースによる「アルツハイマー型認知症」の予防を目的とした「脳イキイキ教室」を運営していきます。

       

●  「地域予防教室」は、「前頭葉」を柱とする脳の機能をいつまでも正常レベルに保つことを主目的とする全く新しいタイプの活動であり、既存の活動組織を「地域予防教室」にそのまま組み替えることはしません(既存組織のいろいろな制約が活動の障害になることが多いのです)。

●  第二の人生での出番が最も多い「右脳」の活用による「前頭葉」の活性化を図り、「右脳」を中心としたメニューの実行(目的の達成)により、集団の中での「趣味」や「遊び」や「人付き合い」や「運動」を楽しむ体験をさせ、「右脳を重視」した「生活習慣」の構築とその達成の重要性に目覚めさせるのです。右脳の活用を中心とした自分なりの「目的」(メニュー)を達成する生活により、達成感や喜びや生き甲斐が得られる「生活習慣」が、「前頭葉」を活性化させ脳全体の若さを保つのに極めて有効であるることを「地域予防教室」で実体験させるのです。「前頭葉」の働きを活性化させ「正常」レベルに保ち続けるには、右脳の活用」を中心とした「目的」(メニュー)がある「生活習慣」を維持することが重要で不可欠であることを「地域予防教室」での体験を通して理解させるのです(ここをクリック);

       

● 「地域予防教室」の運営に係る保健師さん達は、「二段階方式」に基づく「脳の機能」レベルの判定及びその経時変化による(改善、維持又は悪化)の評価並びに評価結果に基づく「生活改善」の指導をする役割を担うのです;

● 「地域予防教室」の運営は、最初の半年間(状況により1年間)のみ保健師さんがメニューの作成を含む運営全般に関与するが、それ以降は「地域ボランティア」による「自主運営」を基本とします。自主活動の体制下では、、保健師さんは脳の機能のレベルの判定評価と生活改善指導だけを担うことになります。(保健師さんが全てを取り仕切っていたのでは、人的な制約から、対象地域を「全域」に拡大していくのが難しくなるからです);

       

次に重要なのは、「地域予防教室」に参加するメンバー構成は、「脳の機能レベル」を唯一の判定基準として決めることが不可欠だと言うことです。 「地域予防教室」に参加するお年寄りは、脳の機能レベルが正常レベルの人を対象とすることを「基本」とすることが重要です(但し、「軽度認知症」までは、一定の人数割合以下に抑えるもとで、可とします)

○  「社会生活」をそれなりにこなせている、正常レベルの普通のお年寄り達が、大多数を占めることになります;

○  次いで、趣味や遊びや人付き合いを生き生きと楽しんでいる、かくしゃく老人が占めます;

○  最後に、社会生活に支障が出てきた「軽度認知症」(小ボケ)レベルの人が少人数ながら一角を占めます(重要なことは、「小ボケ」レベルの人たちの全体に占める割合が、25~30%以下に抑えることです。この割合より大きくなると、自主運営が難しくなるのです);

       

○ 「中等度認知症」(中ボケ)レベルの人も「重度認知症」(大ボケ)レベルの人も、「予防教室」に入れてはいけないのです;

○ 「軽度認知症」(小ボケ)は、「地域予防教室」に継続的に参加して日常生活での「生活習慣」を自分なりに改善していく中で、脳の機能が正常レベルに回復していきますが、「地域予防教室」の主たる目的は治すことではなくて予防」することにあることを忘れないでください。現実的には僅かな人数の体制下で、「アルツハイマー型認知症」の「地域予防教室」を展開していくことが求められるのです。認知症を予防」することが活動の主たる目的となる点に十分配慮することが必要なのです。最初の立ち上がりは小さな一地区からであっても、最終的には全ての地区で「地域予防教室」が展開されることが重要だからです;

● 「中等度認知症」(中ボケ)のレベルになると、集団の中での活動についていくこと自体に困難が生じてきます(「中等度認知症」のレベルになると、その機能レベルに見合った「特別の個別のメニュー」を(家族の協力の下に)実行しないと、脳の活性化の効果が出てくるのが難しくなってきて、脳の機能が向上してこなくなるのです。その上、脳の機能レベルが低い分、係わるスタッフの人数も余分の人数が必要になるのです);

● 「重度認知症」(大ボケ)のレベルになると、脳の機能レベルの改善は困難となり、「大ボケ」レベルの中で更に症状が進行していくことになります。「大ボケ」レベルのなかでの更なる症状の進行(悪化)をくい止め或いは、少しでも遅らせるることを目的とした、「個別のメニュー」が必要となり、日常生活面でのセルフケアの介助を基礎とした対応が殆どとなるので、この段階にまで脳の機能が衰えてくると、「施設」での対応が不可欠となります;

       

「かくしゃく」老人は、かくしゃくなレベルのままに、「正常」老人は正常なレベルのままに脳の機能レベルを保ち、「軽度認知症」(小ボケ)は正常レベルに脳(前頭葉)の機能レベルを向上させることが、「認知症予防教室」運営の第一の目標になることを忘れないでください(「中ボケ」以降になると、高次機能である「左脳」と「右脳」とが異常なレベルに衰えているのですが、「小ボケ」では高次機能は正常レベルにあって「前頭葉」の機能だけが異常なレベルに衰えているので、「前頭葉」を正常レベルに引き戻してやるだけで良いのです)。繰り返して注意を喚起しておきますが、「予防」こそが、第一義的に重要なテーマであることを肝に銘じておいていただきたいのです;

○ 「地域予防教室」の対象者に「中等度認知症」(中ボケ)レベルのお年寄りと「重度認知症」(大ボケ)レベルのお年寄りが含まれないということは、運営の手間(人手と時間とコスト)が少なくてすむことを意味します。「中ボケ」レベルのお年寄りは家族が主体となり、「大ボケ」(レベルのお年寄りは、施設が中心となって、「回復よりは、更なる症状の進行を抑制することを主たる目的とする」のが現実的といえるのです;

       

(コーヒー・ブレイク ーその1)認知症のお年寄りを抱えた家族の困難で悲惨な状態を日ごろ目にしている保健師さんは、どうしても「中ボケ」や「大ボケ」の介護に目がいき勝ちなのです。「中ボケ」及び「大ボケ」レベルのお年寄りの介助或いは介護自体は、「地域予防教室」ではなくて、家族或いは、施設が主体となって行われるしかないということを理解し納得しておくことが重要です。「予防」に徹底して対策を構築し実行する(蛇口を閉める)のでない限り(介護対策ばかりに目が行っていたのでは)、認知症問題(「アルツハイマー型」認知症が90%以上を占めています)の解決策はないということを理解し、覚悟を決めて、「予防対策」に取り組んでいただきたいのです。

        

(コーヒー・ブレイクーその2) 「重度認知症」(大ボケ)のレベルのお年よりは、脳の機能レベルの改善の可能性(改善の可能性はなく、更なる症状の進行を緩やかにすることしか期待できない)という視点から見ても、介護内容の充実度の質的及び量的な要求性(家族による介護を期待することは、家族自身の生活の崩壊を招くことにつながる)の視点から見ても、これこそが「介護保険制度」で手厚く対応していくより方法はないと、市町村におけるこれまでの体験に照らして、私たちは考えています(ここをクリックしてください)。

 注)本著作物(このブログA-57に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

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 脳機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)

  

 

 

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認知症の地域予防と脳を活性化する生活習慣の指導-その2 Q/A Room(A-56)

2012-08-23 | アルツハイマー型認知症の予防活動

 Q:「アルツハイマー型認知症」の早期発見と回復及び予防の為の「生活習慣の改善」を目的とする「地域予防活動」を展開する上での保健師の役割については、基本的な理解はできているつもりです。脳を活性化する為の「生活習慣の改善」指導が回復と予防の要となると言うことも分かりました。ナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続による廃用性の「加速度的な機能低下」とイキイキとした生活による「脳機能の改善」について、「脳の機能」の構造的な測面から、もう少し詳しく説明して欲しいのですが。

           

 A: 生き甲斐なく、趣味なく、交友なく、運動もせず、目標もない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」、「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)の出番が極端に少ない生活の継続により、脳が廃用性の加速度的な老化(機能の低下)を速めていく過程について、脳の神経心理機能の測定による脳の機能レベル(正常、小ボケ、中ボケ、大ボケ)と定期的な検査によるその変化(改善、維持、悪化)を調べる「二段階方式」の手技で詳細にチェックしてみると;最初に、脳全体の司令塔の役割をしていて最高次機能である「前頭葉」の働きだけが加速度的に衰え始めることが分かります(この間は、高次機能である「左脳」と「右脳」の機能は正常なレベルのままなのです)。

           

 「アルツハイマー型認知症」の場合は、高齢者と呼ばれる年代のお年寄りだけが対象となるのです。第二の人生を送っている「高齢者」が、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続する日々を送っていると、最初に「前頭葉」の働きだけが加速度的に衰えて異常なレベルに入り込み「社会生活」に支障がでてきます(ここからが「小ボケ」の段階)。その後も「単調な生活」が継続したままでいると、「前頭葉」の機能の加速度的な衰えが更に進行していきます。「社会生活」に支障が出てくる域と「家庭生活」に支障が出始める域との境界点に達したときになって初めて、「前頭葉」を支えて協働する働きをしている高次機能である「脳の後半領域」の「左脳」と「右脳」の働きも、その順番で加速度的な衰えを示し始めるのです(ここから、家庭生活に支障が出てくる「中ボケ」の段階に入ります)。

前頭葉と高次機能の加速度的な「機能の衰え」の進行に連動して、その機能障害の相乗効果が症状(態様及び程度)となって現れてくるのです。「中ボケ」レベルになっても何も対策が取られないで(或いは、「年のせい」などと誤解されて放置され)「単調な生活」がそのまま継続されていると、脳全体の機能が更に加速度的に衰えていき、「セルフ・ケア」に支障が出てくるようになったところが回復困難な末期段階の「重度認知症」(大ボケ)なのです。「大ボケ」の領域は、「前頭葉」以外の機能は或る程度残っているレベルから「脳全体」がほとんど機能しなくなる植物人間状態までとても幅が広いのです。(ここをクリックしてください)。

       

上述した「二段階方式」の解析データから言えることは、「前頭葉」の機能が正常なレベルにあるということは、「左脳」も「右脳」も「運動の脳」もちゃんと働いているということなのです。すなわち、「前頭葉」がちゃんと働いていれば「脳全体」が正常なレベルで働いていて、たとえ物忘れなどの「記憶障害」の症状を示していても、「アルツハイマー型認知症」を発病してはいないと言うことなのです。加齢の中で「正常な老化」のカーブを描きながらも、「前頭葉」の出番が十分に確保された(しっかりと使う)「生活習慣」の維持の下で、「前頭葉」の機能が正常なレベルを保っていれば、「アルツハイマー型認知症」を発病することはないのです。「前頭葉」の機能を正常なレベルに保つ「生活習慣」の維持こそが、「アルツハイマー型認知症」の「予防」に直結するのです。「物忘れ」は、ここをクリックしてください)。

      

「アルツハイマー型式認知症」は、脳の機能レベルの加速度的な衰えに連動しつつ、「小ボケ」、「中ボケ」、「大ボケ」と何年もかかって緩やかに「段階的」に症状が進んでいくのが特徴です。「軽度認知症」(小ボケ)は回復が容易で、「中等度認知症」は回復可能で、「重度認知症」(大ボケ)のレベルになると、せっかく見つけても手遅れ回復は困難となるのです。(ここをクリック)。

回復可能な早期の段階を見つけるには、「脳の委縮」の度合いとか「記憶」のレベルとかに焦点を当てるのではなくて、「前頭葉」の働きのレベルに焦点を当てることが必要不可欠の条件になるのです。「記憶」の障害を第一の要件とし、「失語」「失行」「失認」を第二の要件に規定している「DSM-4」の診断基準は、その意味で重大な誤りを犯していると言わざるを得ないのです。「DSM-4」の基準に依拠して診断する限り、回復可能な早期の段階(「小ボケ」及び「中ボケ」)を見つけることはできず、回復困難な末期の段階(「大ボケ」)でしか見つけることが出来ないのです。「失語」「失行」「失認」の症状は、「重度認知症」(大ボケ)レベルの中でも後半になって出てくるとても重い症状であり、(MMSの換算値が一桁のレベル)にまで脳の機能が衰えてこないと出てこない症状だからです。

「アルツハイマー型認知症」の原因を研究している人達は、長年「重度認知症」(大ボケ)のレベルにあったお年寄りの死亡後の脳の「解剖所見」を基礎とした推測に基づいて、アミロイドベータ或いは、タウ蛋白が情報を伝達する神経細胞を侵し、そのことによって、「記憶の障害」が起きてくることが、「アルツハイマー型認知症」発病の原因だと理解しているのですが、これも重大な「誤解」なのです。

     

脳全体の「司令塔」の役割という極めて重要な機能でありながら、複雑で高度なその働きを調べる「手技」の開発が難しいが為に、これまで脳の専門家達から余り注目されず世界的にも研究が遅れて、脳の中の「空白域」と称されてきた「前頭葉」には、意欲、注意集中力、注意分配力、自発性、発想、計画性、洞察力、工夫、創造力、機転、推理、好奇心、感動、抑制力及び忍耐力並びにテーマや、その内容や、実行の方法や程度などを選択する為に不可欠の「評価の物差し」といった、私達が「意識的」に何かの「テーマ」を思いつき実行しようとする上でなくてはならない高度な機能が集積されています。

「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズム、早期診断と回復及び予防等のテーマについて深く理解するには、この極めて高度な働きをしている「前頭葉」の機能(機能レベルとそのアウトプット)に焦点を当てることが不可欠になるのです。この「前頭葉」の機能は、人間だけに特有のものなのです。この複雑で極めて高度な機能は、人間に最も近いとされるオランウータンやゴリラやチンパンジー等の類人猿にさえ原始的なレベルのものしか備わっていないのです。ましてや、認知症の治療薬の開発段階で記憶に絡むデータが良く使用される「ラット」などにはそのカケラさえも備わっていない、極めて高度な機能なのです。

       

専門家が注意を向けなければならないのは、「前頭葉の機能」機能レベルとそのアウトプットなのであって、いろいろな認知レベルで必要ではあるがその単なる手段としての機能でしかない、「記憶」ではないのです。ましてや、「前頭葉」とのリンクも考えずに単に「症状」だけを基礎とした「記憶」を追っていたのでは、何時まで経っても、「アルツハイマー型認知症」の本質を理解することはできないのです。その「記憶」のレベル(症状の程度及び態様)自体も、「記憶」の構成要素である記銘、保持、想起について「二段階方式」の手技を活用して詳しく調べてみると、「記銘」と「想起」の両面で「前頭葉」の三本柱である意欲、注意の集中力及び注意の分配力の働き具合に大きく左右されていることが分かるのです。

自分が置かれている状況下で、何を(テーマ)どのように(程度及び態様)実行するのか、それをシミュレーションした上で選択することが出来る脳の正常な働き具合、言い換えれば「前頭葉」の正常な機能レベルが失われた時、「アルツハイマー型認知症」は、もう始まっているのです。とわいえ、「前頭葉」の機能だけが異常なレベルに衰えている「軽度認知症」(小ボケ)の段階では、高次機能である「左脳」も「右脳」も「運動の脳」も、機能が全て正常なレベルにあるので、DSM-4が第二の要件として規定している「失語」(左脳の機能障害)も「失行」(運動の脳の機能障害)も「失認」(右脳の機能障害)も全く起きてきていないのです。

       

(コーヒー・ブレイクーその1)認知症の研究者や治療薬を開発している人や医師達は、このことに早く気づいて欲しいと切に願うのです。大事な一生をかけて研究に打ち込んでいるはずなのに、「前頭葉」の機能が備わっていない、本能だけで行動している「ラット」の記憶行動などを追いかけていたのでは、何時まで経っても本質は見えてこないのです。(ここをクリックしてください

(コーヒー・ブレイクーその2)更に、働き盛りの50歳代で「アルツハイマー型」認知症になる人が増えているなどとテレビで放映されることがあります。それらケースの殆どは、「アルツハイマー型認知症」ではなくて「アルツハイマー型認知症」と紛らわしい病気である「側頭葉性健忘症」や「感覚性失語症」や「緩徐進行性失行」とまちがえている場合が殆どなのです。それらのケースは、若年性の認知症と誤診されるケースが多いのです。重度の「記憶障害」の症状や記憶障害と誤診されやすい「感覚性失語」による症状、或いは「緩徐進行性失行」の症状があっても、前頭葉」の機能レベルが正常な場合は、認知症ではないのです。なお、「前頭葉」の機能レベルは、神経心理機能テストで容易に確認できます。CTやMRIでは、確認することはできません。念のため注意を喚起しておきます。

             

そして、原因が分からないとされている「アルツハイマー型認知症」を発病するメカニズムを解明する上で重要なのは、肝心要のこの「前頭葉」には、「20歳を過ぎると、年をとるにつれて100歳に向かって、緩やかではあるが徐々に働きが衰えていく」という特徴を有する老化曲線、言い換えると「正常老化曲線」があること(第一の要件)なのです。それなりに前頭葉の出番がある「生活習慣」を維持していても、加齢とともに機能が緩やかに衰えて行くのです(高齢者の入口である65歳では、三本柱の機能レベルが最も高い20歳ごろのほぼ半分くらいに衰えてきていることが注目すべき要素なのです:「アルツハイマー型認知症」は、60歳以降の高齢者が発病の対象となり、70歳、80歳、90歳と高齢になればなるほど発病する人の割合が、どんどん増えて行くのです)。

私たちが意識的に何かのテーマを思いつき実行しようとするときに、必要とされる各種の認知機能を発揮する上で、必要不可欠の機能である「前頭葉の三本柱」とも言うべき、「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」には、この「正常老化曲線」の性質があるのです。そのカーブは、下図に示すとおりです。

               

この「前頭葉」の老化の曲線のカーブの行く先は、60歳を過ぎた高齢者と言われる年齢になると、脳の使い方という視点からの「生活習慣」に大きく左右されるようになります。脳の後半領域の働きである左脳、右脳及び運動の脳から送られてくる情報の質と量次第で、前頭葉の老化の曲線は、「緩やかなカーブ」(正常な老化)を描き、或いは、「加速度的に低下するカーブ」(異常な老化)を描くのです。 

たくさんの量と質のよい情報が送られてくるような「生活習慣」が継続されているお年寄りは、老化の曲線は緩やかなものとなり、身体が持つ限り脳も保てる、「かくしゃく老人」への道が開けてきます。生き甲斐なく、趣味なく、交友なく、運動もせず、目標もない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続されていて、量も少なく質も劣る情報しか送られてこない「生活習慣」が継続されている(「第二の要件」)お年寄りは、老化の曲線が加速度的な低下の曲線を描いて、急速に低空飛行していくことになります。その先には、「アルツハイマー型式認知症」の発病が待っていることになるのです。(発病のメカニズムについては、ここをクリック)。

            

上述のように、「アルツハイマー型認知症」は、脳の使い方という視点で言うところの「生活習慣病」なのです。本来的な性質として内包している「前頭葉」の「正常老化の曲線」の問題(「第一の要件」)と第二の人生に入って、何かを「キッカケ」にして、「右脳」も「運動の脳」も極端に使う機会が少なくなるような生活、「生き甲斐なく、趣味なく、交友なく、運動も楽しまない」ナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まり、そうした生活が継続していく(「第二の要件」)と、出番が極端に少なくなった「前頭葉」が「第一の要件」と「第二の要件」との「相乗効果」により廃用性の機能低下を起こしてきて老化を加速させていき、「アルツハイマー型認知症」発病への道を歩みだすことになるのです。(「キッカケ」については、ここをクリックしてください)。

高齢になったお年寄りが、何かをキッカケとして、歩行する機会が極端に少なくなると、膝の筋肉が廃用性の機能低下を起こして来て歩けなくなります。「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズムは、高齢者の膝の筋肉が廃用性の加速度的な機能低下を起こしていくのと同じメカニズムと考えられるのです。つまり、「アルツハイマー型認知症」の発病を予防するには、脳をしっかり使う自分なりの「生活習慣」の構築と維持が不可欠だと言うことになるのです。

       

(コーヒーブレイクーその3)前頭葉と左脳及び右脳の働き具合を同時に測定し、その「機能レベル」を総合的に判定すると共に、脳の機能レベルにリンクした「症状」を段階別に定型化し、且つ脳の機能を加速度的に衰えさせる原因となった「キッカケ」後のナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続という「生活歴」の確認により、「アルツハイマー型認知症」の早期診断を可能にした「二段階方式」の手技は、他に例のない独自のものです。その手技の詳細は、「マニュアル」化されています。「二段階方式」の手技は、簡便でありながら、極めて的確に、「アルツハイマー型認知症」の判定、認知症の重症度の判定並びに「アルツハイマー型認知症」以外のタイプの認知症との鑑別及び認知症と紛らわしい病気との鑑別が出来るように工夫され、様式化されています。

        

日本中どこの市町村でも、一部の大都市を除いて、近い将来に高齢化率が30%を超えるような高齢化がどんどん進んでいく中で、独居老人や老夫婦のみの世帯が加速度的に増加してきている現状を考えるとき、「お年寄りが、いつまでも元気なままでいられる」、「身体が持つ限り、脳もちゃんと持たせる」、或いは、「年齢相応の社会生活が送られる」レベルに脳の機能を保つための施策が、すべての市町村で切実に求められているのです。

もちろん、お年寄り本人自身が、「アルツハイマー型認知症」にならない為の最大限の努力を日々行う(「脳が生き生きと働くような」自分なりの生活習慣を構築し、維持するよう努力する)ことが大前提なのですが、家族がそれを側面から支える体制を築き、さらに行政が地域全体で支える「地域予防活動」を展開するための啓蒙活動や支援システムの構築や文化の創成やボランティアの組織化を行うことが超高齢化社会では求められるのです。こうした社会的要求にこたえられる効果的な施策が、エイジングライフ研究所が提案し、450を超える市町村で先駆的に実践されてきた、「二段階方式」に基づく「認知症予防教室」の展開を柱とした「地域予防活動」なのです。

       

そして、脳を活性化する「生活習慣」の構築により、イキイキとした第二の人生を送る上での自分なりの「生き甲斐を創造」する新しいコンセプトに基づく「地域予防活動」を展開する中で、市町村の保健師さん達に期待されているのは、「脳の健康」の必要性と重要性とを地域住民に啓蒙する活動を立ち上げて、全域に拡大していくことなのです。

第二の人生を歩んでいるお年寄りが、家に閉じこもる時間をできるだけ避けて、できるだけ家の外に出ていく時間を多くして、できるだけ多くの人と交わり、コミュニケーションや交歓の場を楽しみしながら、何らかの共通の目的に添った「テーマ」や「活動」を集団で協働して行うこと、換言すれば、「社会生活」を楽しむ時間を集団の中での交わりを通じて共有する生活を送ることが、「アルツハイマー型認知症」の予防に不可欠の条件となるのです。(ここをクリック)

         

(コーヒー・ブレイクーその4)「前頭葉」は、「社会生活」を送る上で不可欠な脳なのです。第二の人生を送っている高齢者にとって、その「前頭葉」を支えるもっとも頼りになる柱は、「右脳」なのです。「右脳」の出番は、趣味や遊びや人付き合いを楽しむ場が中心となるのです。保健師さんを中心とした「アルツハイマー型認知症」予防のための新しい地域活動は、「脳の働きという物差し」により定期的に脳の働き具合を検査する機会を持ち、且つ「右脳を活性化させる集団活動の場」の創造を柱とするものであることを肝に銘じておいて頂きたいのです。

注)本著作物(このブログA-56に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

        エイジングライフ研究所のHPここをクリックしてください)

    

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地域予防活動と保健師さんに期待される役割-その1 Q/A Room(A-55)

2012-08-16 | アルツハイマー型認知症の予防活動

Q:私は、高齢化率が30%を超える小さな町の保健師です。町には、認知症のお年寄りがたくさん居ます。認知症のお年寄りを抱えた家族による介護の状況や精神的にも経済的にも大きな負担を伴う実態を見るにつけ、どうしても「アルツハイマー型認知症」の「予防活動」に取り組みたいと思うのですが、「どのような視点をもち、どのような役割を果たす」ことが保健師に期待されるのでしょうか。

            

A:人生60年といわれていた一昔前の時代と違って、世界に先駆けて超高齢化社会に突入した現在の日本では、誰でも80歳や90歳まで生きるのが当たり前となっています。会社や役所勤めの人のように定年がある場合が典型的ですが、農林業や漁業や自営業の場合でも、60歳から65歳くらいの年齢を起点にして、第二の人生に入るのが通常でしょう。

 この場合第二の人生が20年も30年もある訳ですから、第一の人生がどうだったかだけでなくて、「第二の人生」がどうなるかがとても重要な意味を持ってくることになります。第一の人生がどんなに立派でも、「第二の人生」で早々と認知症になってしまったのでは、自分らしい人生を全うしたことにはならないでしょう。その上、家族による認知症のお年寄りの「介護の負担」を考えるとなおさらのことではないでしょうか。

 第二の人生がとても長い「超高齢化社会」を皆が生きていくのが当たり前と言う現実を考えれば、更には、認知症になった場合の家族による「介護の負担」、或いは、甚大な規模の額となっている市町村や国の「財政的負担」の重さなどを考えれば、身体が持つ限り「脳」もちゃんともたせて、認知症にならずに第二の人生を完走することが、個人のレベルではもちろん、家族のレベルでも、市町村のレベルでも、国のレベルでも強く求められてくるのです。

            

このブログで詳説してあるように、認知症の大多数90%以上を占めるのは、「アルツハイマー型認知症」(老年性アルツハイマー病とも言います)と呼ばれるタイプの認知症です(脳卒中等の病後に、何年かかかって徐々に認知症の症状が出てくるものが、全て「脳血管性認知症」と診断されカウントされています。脳卒中等の既往さえあれば、「因果関係」を確認することもなく、「脳血管性認知症」とするこの診断のやり方は、実は誤りなのです。そもそもこれは「アルツハイマー型認知症」であり、「アルツハイマー型認知症」にカウントされるべきものなのです。)。その正体は、東日本大震災の被災地に居住する極めて多くの高齢者が「アルツハイマー型認知症」を発病(新規の発病及び症状の急激な重症化の進行)してきているという実態からも疫学的に証明されてきているように、「毎日の生活習慣である脳の使い方」が原因の病気、「生活習慣病」なのです。(ここをクリック) 

認知症の大多数を占めていながら、「原因もわからないし、治す方法もない」と言われ放置されてきた「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症は、毎日の脳の使い方という視点からの「生活習慣の改善」により、予防することもできるし、早期の段階(「小ボケ」及び「中ボケ」の段階)で見つければ治すこともできるのです。DSM-4という誤った基準に依拠して診断している精神科医は、回復が困難な末期の段階(「大ボケ」)で見つけるので、原因も分からないし治らないだけなのです。認知症の90%以上を占める「アルツハイマー型認知症」の早期発見による回復と予防と言う「テーマ」が、全国の市町村の重要な施策として、予防活動に専従できる「保健師」さんを育成して実施することが出来るようになれば、個人の心配も、介護に伴う家族の負担も大幅に減少し、市町村や国の財政的な負担も大きく改善されることになるのです。(ここをクリック

      

(コーヒー・ブレイク)「アルツハイマー型認知症」についての医療機関による「診断の実態」をみると、回復困難な「重度認知症」(大ボケ)の段階で見つけて、原因も分からないし、治らないとされて放置されているのです。医療機関としての社会的な役割を放棄していると言っても過言ではないでしょう。医療機関が「大ボケ」の段階でしか見つけられないでいるのは、DSM-4(世界で最高の権威とされる、米国精神医学会の「アルツハイマー型認知症」についての診断基準)という権威はあるが内容が誤っている基準に依拠して診断するためであることは、このブログで詳細に説明したとおりです。(ここをクリックしてください

             

 ところで、「アルツハイマー型認知症」の正体は、生活習慣病であるということには、二つの重要な側面があります。

 1つは、「予防したり治したりするには、投薬や手術や治療などの医行為を必要としない」ということなのです。言い換えると、脳の使い方という視点からの「生活習慣」の改善指導こそが、予防及び回復の為の唯一つの方法となるのです。認知症の大多数を占める「アルツハイマー型認知症」こそ、保健及び予防活動の最も重要な対象となるテーマなのです。そこでは、医師ではなくて「保健師」さんが、その担い手となるのです。

 もう1つ、回復可能な早期の段階である「軽度認知症」(小ボケ)と「中等度認知症」(中ボケ)の段階の診断(早期発見)とその回復及び予防には、投薬や手術や治療といった「医行為」ではなく、「生活改善指導」だけが必要且つ有効な対策となるということは、高額なCTやMRIの使用は不必要であり、「二段階方式」に代表される(保険点数が極めて低い) 「神経心理機能テスト」の活用だけで十分ということになるのです。 

              

(コーヒー・ブレイク)CTやMRIの活用が不必要とされ、(保険点数が極めて低い) 「神経心理機能テスト」の活用だけで十分だとされると、「アルツハイマー型認知症」の早期発見と回復及び予防という「テーマ」は、事業としてペイするだけの収益をあげることが期待できなくなるのです。事業としてペイするだけの収益が期待できないことが明白な早期発見による回復や予防という「テーマ」について、医療機関に大きな役割を果たすことを期待することは無理なことだと思うのです。

厚生労働省の政策レポート(認知症を理解する)を読みましたが、「認知症ケアパスの」体系を構築する上で、この点をどう考えるのかが極めて重要なテーマになると思うのです。

      

結論を言うと、収益はあげられなくても、費用が減るメリットがある、自治体や国でしか「アルツハイマー型認知症」の早期発見による回復やその予防という「テーマ」には対応できないということなのです。こうした視点に立脚すれば、「アルツハイマー型認知症」の早期診断と回復及びその予防活動(A)と「アルツハイマー型認知症」以外のタイプの認知症及び認知症と紛らわしい病気の診断とその対応(B)とは対応の在り方を根本的に従来とは異なる視点から考える必要があると思うのです。即ち、前者(A)は市町村(地域包括支援センター及び在宅介護支援センターを含む)やNPOが主として担当し、後者(B)は医療機関が専権事項として担当するという、両者の「棲み分け」の議論が必要になってくるのではないかと私達は考えています。

          

 日本は世界に先駆けて超高齢社会に突入していますが、この先、高齢化が更に進んでいく中で、なにもしないでこのまま手をこまねいていると、高齢者の大半は、「体が持ちながら、脳が持たない結果として、行き着くところは認知症老人」という悲惨な将来像が、はっきりと見えてきているのです。(ここを「クリック」してください

これからの市町村の保健師さん達は、「脳の健康」という視点から、超高齢化社会を支える重要な役割を担うことになるのです。対象を「アルツハイマー型認知症」に特化した専門家集団として、1つは「早期診断」の窓口活動により、回復可能な「早期段階」の発見と回復を担い、もう1つは「脳を活性化する生活習慣」の啓蒙活動により、発病を予防する為の「地域予防活動」を担うのです。「アルツハイマー型認知症」の早期診断による回復及び地域予防活動による予防が定着していけば、認知症にかかわる種々の問題は大きく改善されていくのです。認知症の大多数、90%以上を「アルツハイマー型認知症」が占めているからです。

              

認知症のお年寄りを抱えた家族の介護の精神的及び経済的負担の重さ、介護保険制度の財政的破綻の可能性などを考えると、高齢者を抱える高齢化率が高い個々の市町村が実施の主体となり、行政活動の中の「重要なテーマ」として「アルツハイマー型認知症」の予防活動を位置づけ、専門家集団を育成して取り組むことが、この先とても重要になると思うのです。

 地域単位で実施する「アルツハイマー型認知症」の「予防教室」での体験を基礎として、個々の住民自体が、脳が活性化する生き方、趣味や遊びや人付き合いを通じた自分なりの「脳活性化策」を日々の生活に取り込み、「生活習慣」として構築していくための「脳の健康」を指導する役割を担うことが保健師さんに求められてくるのです。介護保険で期待されている、従来型の「身体介護サービス」提供の担い手ではなくて、「お年寄りの生き甲斐創造」の手助けとなる新しいタイプのサービスを提供する担い手になっていただきたいと願うのです。   

 注)本著作物(このブログA-55に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

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市町村による地域予防活動の展開 (A-43)

2012-05-31 | アルツハイマー型認知症の予防活動

「アルツハイマー型認知症」の正体が廃用性の「生活習慣病」であるということには、二つの重要な側面があります。

1つは、「アルツハイマー型認知症」を、回復可能な「軽度認知症」(小ボケ)及び「中等度認知症」(中ボケ)の早期の段階で見つけるには、「神経心理機能」テストの使用が不可欠です。然も、「神経心理機能」テストによる脳の機能レベルの判定と生活歴の聞き取りに基づく脳を活性化させるための「生活習慣」の改善指導が判定(診断)と回復(治療)と予防の方法になるので、投薬や手術や治療といった「医行為」が必要とならないのです。

もう 1つは、「診断(判定)の方法」が、CTやMRIが必要でなくて、逆に保険点数が極端に低い「神経心理機能」テストの使用が不可欠となるので、医療機関にとっては事業としてペイしないということが重要なポイントなのです。その上、回復(治療)や予防に効く薬はなく、「投薬」の問題もないのです。

       

(コーヒー・ブレイク) 「アルツハイマー型認知症」からの回復は、本人にとっては勿論のこと、家族にとっても大きな意味があります。ところが、回復可能な早期の段階(「小ボケ」及び「中ボケ」)を見つけるには、「神経心理機能」テストの使用が不可欠なのです。CTやMRIでは、形しか計測できないので、早期の段階を見つけることはできません。見つけられないで放置されたままでいると重症化が進み、末期段階の「重度認知症」(大ボケ)になります。CTやMRIを使っても、「重度認知症」の段階で見つけていたのでは、せっかく見つけても手遅れ、回復は困難なのです。「重度認知症」の段階で見つけていたのでは、診断費用や介護の負担だけでなく介護費用も大変となり、自治体や国にとっても大きな問題です。

         

テレビがいろいろな種類のものを取り上げるので認知症にも種類がたくさんあることはご存じだと思います。その種類がいろいろある認知症の中で、「アルツハイマー型認知症」が認知症全体の90%以上を占めているのです。高齢化の更なる進行が予測される中で、「アルツハイマー型認知症」を発病するお年寄り達の数も増え続けることが予測されているのです。その「アルツハイマー型認知症」こそ、保健師さんにとって、「保健及び予防活動」の最も重要な対象となる「テーマ」だということではないでしょうか。

「アルツハイマー型認知症」は、回復可能な早期段階(「小ボケ」及び「中ボケ」)の発見(判定)にはCTもMRIも不必要です。早期の段階で見つけることが出来れば、正常レベルへの回復が可能である上に、その為の治療にも薬は不必要なのです。回復させることが出来る薬は未だに開発されていませんし、今後ともあり得ないのです。診断している医療機関も、薬を開発している製薬会社も、「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)の働きについての認識と理解が浅すぎるのです。

          

私達が蓄積してきた「アルツハイマー型認知症」の人達の多数のデータを解析すると、「小ボケ」から「中ボケ」へ、「中ボケ」から「大ボケ」へと症状が進んでいくにつれて、「前頭葉」の働きが加速度的に衰えていくことが分かります。「大ボケ」のレベルになると、「前頭葉」は殆ど機能していないことが分かります。状況を判断し、実行すべきテーマを企画し、その内容を組み立て、内包する判断基準に基づいて最終の実行内容を決定する働きをしている、脳の司令塔の「前頭葉」の働きが、「薬を飲む」ことで機能回復することなどありえないのです。「前頭葉」は、左脳、右脳、運動の脳の三頭立ての馬車の御者なのです。「脳の機能」を回復させるには、「前頭葉」の機能を回復させることが不可欠になるのです。「前頭葉」の機能を回復させるには、しっかり「使う」ことしか方法はないのです。薬が効くような代物ではないのです。(ここをクリックしてください

「早期段階の判定及び早期段階からの回復や発病の予防」のために不可欠である「神経心理機能テスト」の使用及び脳を活性化するための「生活習慣」の改善のための指導は、事業として必要となる収益をあげることが期待できないのです。医療機関といえども事業体ですので、収益が上がらない事業を継続的に実施していくことはできないのです。従って、「収益はあげられなくても、費用が減るメリットがある」ことで事業として継続して展開できる自治体や国でしか、対応が期待できないということになるのです。

         

日本は世界に先駆けて超高齢社会に突入しています。この先、高齢化が更に進んでいく中で、医療機関も国も市町村も、なにもしないでこのまま手をこまねいて放置していると、高齢者の大半は、「体が持ちながら、脳が持たない」結果として、行き着くところは「アルツハイマー型認知症のお年寄り」の更なる増加という悲惨な将来像が、はっきりと見えてきているのです。厚生労働省が発表している認知症のお年寄りの数200万人というのは、末期段階の「重度認知症」(大ボケ)のお年寄りだけの数なのです。「重度の記憶障害」という誤った医療指針の為に見逃されている回復可能な「小ボケ」と「中ボケ」とを合わせた数は、「大ボケ」の4倍にもなるのです。然も、「大ボケ」の4倍の数にもなる「小ボケ」と「中ボケ」の段階の人達は、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を見直して、脳を活性化する生活習慣を日常生活に取り込むことにより、正常レベルに回復させることが出来るのです。市町村を主体として、「アルツハイマー型認知症」の予防並びに早期段階の発見と回復を実践し、「重度認知症」に重症化していく人達の数を減らす「政策」を継続的に実行するのです。そのうえで、「重度認知症」の人達に対する介護保険の適用を手厚くすることが重要だと思うのです。

 

         

このブログで詳細に説明してきたように、「アルツハイマー型認知症は、原因も分からないし治らない病気」という考えは、誤りなのです。「重度の記憶障害」という誤った医療指針に基づいて、末期段階の「重度認知症」(大ボケ)のお年寄りばかりを見つけて診断してきた精神科医の誤解が原因なのです。

これまでのブログで詳細にメカニズムを説明し、開示した根拠となるデータからも分かるように、「アルツハイマー型認知症」は廃用性の「生活習慣病」なのです。早期段階(「小ボケ」及び「中ボケ」)で見つけて、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を見直し、脳を活性化する「生活習慣」を日常生活に取り込むことにより、正常レベルに「回復」させることが出来るし、「予防」することもできるのです。

高齢者を抱える個々の市町村が実施の主体となり、行政活動の中の主要なテーマとして「アルツハイマー型認知症」の予防活動を位置づけ、「継続性」を持って取り組むことが重要です。

「アルツハイマー型認知症」の予防活動に取り組む専門の保健婦さんを配置して、地域のいろいろな組織やボランティアを取り込み、継続的な自主活動として、「地域単位」で予防に取り組むしか問題を解決する方法はないのです。

          

「アルツハイマー型認知症」を予防するための「生活習慣」の確立を目的とした生活改善の指導は、脳を生き生きと使う「生活習慣」を個々人が日常生活に取り組み、確立するむことが核になります。それは、趣味なく交遊なく、運動もせず目標もない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」と裏返しの生活が「指標」になります。

前頭葉に十分な情報が上がっていき、前頭葉の機能がフルに働くような生活習慣、特に趣味や遊びや人付き合いの働きを司る「右脳を中心とした生き方」を指標として指導することが重要となります。これまでは、「身体の健康」というテーマについて大きな役割を果たしてきた保健師さんたちは、これからは、「脳の健康」という大きなテーマについて重要な役割を果たすことが期待されているのです。

介護保険で期待されている、従来型の「身体介護サービス」提供の担い手ではなくて、「生き甲斐創造の手助け」となる新しいタイプのサービスを提供する担い手になっていただきたいと願うのです。

注)本著作物(このブログA-43に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

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「二段階方式」の活用とアルツハイマー型認知症の予防活動(A-42)

2012-05-24 | アルツハイマー型認知症の予防活動

1. 「二段階方式」導入の意味

「二段階方式」を「アルツハイマー型認知症」の早期判定と回復(治療)、介護予防及び地域予防活動のツールとして市町村が導入する場合、以下の目的が考えられます。

(1)「アルツハイマー型認知症」の早期段階の相談窓口の開設(早期発見と回復及び介護の予防)

(2)早期段階の「アルツハイマー型認知症」からの回復を目的とする個別の生活改善指導に用いる

(3)事業の対費用効果を考慮し、「アルツハイマー型認知症」の重症度に応じた施策(介護対象者の更なる重症化の抑制)へ繋げる

(4)共同参画事業の推進による、地域での自主活動(「アルツハイマー型認知症」の予防及び脳の活性化を目的とする生きがい創造活動)の推進とその拡大を図る

(5)「二段階方式」の管理ソフトの活用による個別及び集団別の時系列の管理及び評価を行う  

(6)幅広い年代の住民に対する「脳の健康教育」としての「生活習慣」の改善を目的とする啓蒙活動を行う

         

2. 個別テストと個別生活改善指導

「アルツハイマー型認知症」の地域予防活動というと「予防教室」(脳イキイキ教室、いきいきサロン等)がクローズアップされがちです。「予防教室」とはいえ、どこででも行われているデイサービスとはちょっと違うということをアピールするために、集団で「かなひろい」テストをやってお茶を濁すようでは、「二段階方式」を正しく導入したことにはなりません。

 「二段階方式」を導入するとき最も重要なことは、「二段階方式」による脳の機能テストを個別の「生活改善」指導に活用することなのです。「二段階方式」を個別で活用できるようになると、おのずから集団での使用方法にも変化が生まれます。二種類の「神経心理機能」テストの目的や使い方がはっきりするので、適切な使い方ができるようになり、住民と保健師さんの双方が納得したうえで、脳機能テストに臨むことになるからです。

           

「アルツハイマー型認知症」の「予防教室」の参加者に対する個別の「脳機能」テストの実施とその結果に基づく個別の「生活改善」指導が行われて初めて、地域住民の「アルツハイマー型認知症」に対する理解と関心が深まります。「予防教室」に参加するお年寄りの脳が元気になる理由が参加者に理解され納得されることによって、日常生活での脳の使い方に関心と変化が出てきて、脳を活性化させる自分なりの「生活習慣」の確立を志向するようになります。

脳の使い方という視点からの「生活習慣」の改善を目的とする個別の「生活改善」指導と言うバック・グラウンドがあることが、地域住民の参加による自主的な「地域予防活動」の展開にもつながっていくことになるのです。

        

(コーヒー・ブレイク) CTやMRIによる計測は、保険点数が高いので医療機関が良くこれを活用します。ところが、CTやMRIは「脳の形」を計測することはできても「脳の働き具合」を計測することはできないのです。

「アルツハイマー型認知症」の回復可能な早期の段階(「小ボケ」や「中ボケ」)は、「脳の働き具合」を計測することが不可欠になるので、CTやMRIでは見つけることが出来ないのです。

「アルツハイマー型認知症」の早期の段階を見つけるには、「二段階方式」に代表されるような「神経心理機能」テストを活用することが不可欠なのです。

「神経心理機能」テストに対する保険点数が極端に低い現行制度のもとでは、事業としてペイしないので、医療機関がCTやMRIに代えて「神経心理機能テスト」を積極的に活用することは期待できないのです。

「アルツハイマー型認知症」の早期段階を見つける上で不可欠な「神経心理機能テスト」の活用が期待できるのは、事業としてはペイしなくても、「重度認知症」(大ボケ)のお年寄りの増加を食い止め或いは減少させることでペイする行政機関(在宅介護支援センター、地域包括支援センターを含む)だけなのです。

       

3. 行政と在宅介護・地域包括支援センター(以下、「行政等」)の共同と役割分担

施設での介護から在宅での介護に介護の軸足が移されてきています。在宅での介護ということは、家族が直接介護に係わることを意味します。家族が直接介護に係わることによって、早期段階の場合であれば正常レベルへ回復させること、或いは少なくとも重症化を抑止する効果を期待できるようにする必要があります。 そうした目的での「在宅介護」を可能にするためには、脳の機能が衰えてきつつある人たち(正常下限)から早期段階の「アルツハイマー型認知症」の人達(「軽度認知症」から「中等度認知症」のレベルの人達)に対する脳の機能レベルの判定結果に基づく対応の仕方や介護の仕方、或いは脳を活性化するための生活改善等のテーマについて、「行政等」による適切な助言と指導が不可欠になります。そのためには、客観的な物差しが必要不可欠であり、この場合、「二段階方式」の手技は共通のツールとして極めて有効だと思うのです。

 注)本著作物(このブログA-42に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

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個別・集団別のデータとその時系列管理(A-41)

2012-05-21 | アルツハイマー型認知症の予防活動

認知症全体の90%以上を占めていて、専門家たちから原因も分からないし治らない病気と言われてきた「アルツハイマー型認知症」は、1995年以来私達が全国的規模で展開してきた市町村における「地域予防活動」(個別の早期発見と回復及び地域単位での予防活動)により、廃用症候群に属する「生活習慣病」であることが実証されてきました。東日本大震災の被災地の高齢者を追跡調査していけば、このことが今後数年のうちに疫学的にも証明されることになるでしょう。「アルツハイマー型認知症」の症状は、脳の機能レベルとリンクさせて判定することにより、回復可能な早期段階の「軽度認知症」(小ボケ)及び「中等度認知症」(中ボケ)並びに回復困難な「重度認知症」(大ボケ)の三段階に判定区分することが出来るのです。

             

「アルツハイマー型認知症」の早期段階(「小ボケ」及び「中ボケ」)と判定された人達は、脳を活性化させることを目的とした個別の「生活改善」(生活習慣の改善)の指導により、正常レベルに回復させることが出来ます。「重度認知症」と判定された人達は、脳を活性化させることを目的とした個別の「生活習慣」の改善指導により、更なる症状の進行を食い止め、或いは「重度認知症」の範囲内ではあるが症状の改善が期待できるのです。但し、自分の生活自立状態に対する自覚が持てなくなっている「中ボケ」からの回復及びセルフケアにも介助がいる状態の「大ボケ」の症状の進行抑制には、家族ぐるみでの協力が不可欠となります。その意味で、地域予防活動を展開するには、地域単位及び家族ぐるみでの「アルツハイマー型認知症」に対する正しい知識と十分な理解が欠かせません。市町村における「地域予防」活動の展開に際しては、「講演」を通じての啓蒙活動が重要な役割を担うことになります。「アルツハイマー型認知症」は原因不明で治らない病気と言う誤った知識が地域住民の間に浸みこんでいます。「講演」によって、「アルツハイマー型認知症」は生活習慣病であり、脳を活性化させる生活習慣によって「治す」ことも「予防」することもできる病気なのだという「知識」を地域住民の間に浸透させることが、活動の開始と広がりを獲得する上で不可欠なのです。

       

「地域予防」活動を効果的に展開するには、継続性が不可欠です。従って、「地域予防」活動を展開する上で活動データの時系列管理が必要となります。個々の被検査者の神経心理機能テスト結果、脳の機能レベルの判定結果、生活の自立度の判定結果及び脳機能レベルについての評価結果(改善、維持、悪化)などの個人別の脳機能データ並びに判定及び評価結果等についての時系列管理が必要となってくるのです。

私達が開発した「二段階方式」管理ソフト(「エイジング」)は、こうしたデータの管理を、個人別及び集団単位(グル-プ別、地域別、男女別)で時系列管理することが出来るようになっています。このソフトの活用により、「アルツハイマー型認知症」に対する発病を予防するための正常レベルにある人達への「生活改善」の啓蒙、早期段階にあると判定された人達の「正常レベルへの回復」のための「生活改善」の指導、「重度認知症」レベルへの進行の抑制を目的とする「介護予防」のための支援及び指導等の諸施策の効果を個人単位で及び集団(地域)単位で、時系列評価ができます。

        

下記に「エイジング使用の手引き」の一部を表示します。

  各ボタンの機能一覧(主な機能を赤字で表示)

この管理ソフト「エイジング」を活用することによって、定期的な健診(判定)システムが完成することになります。

      

「アルツハイマー型認知症」は、認知症全体の90%以上を占めているのです。

「アルツハイマー型認知症」は、廃用性症候群に属する「生活習慣病」なのです。

「アルツハイマー型認知症」は、早期発見により「小ボケ」や「中ボケ」の段階を見つけることが出来れば正常レベルに「回復」させる(治す)ことが出来るのです。

「アルツハイマー型認知症」は、脳を活性化する生活習慣を日常生活に取り入れることにより「予防」することもできるのです。

       

「重度の記憶障害」という誤った指針により末期段階の「重度認知症」(大ボケ)しか見つけてこなかった精神科医の誤解が原因で、「アルツハイマー型認知症」は原因不明で治らない病気だという誤解が、日本全国津々浦々にまで浸透してしまったのです。

誤解が幅を利かせている現状が放置されて、何らの対応も対策もとられていないのです。現状のまま放置して手をこまねいていると、高齢化の進展に符合して、今後増え続けることが予想されている認知症の人達に対する「介護保険」の適用は、費用面から制度破綻の危機に直面してしまうのです。

 注)本著作物(このブログA-41に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

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アルツハイマー型認知症を予防する為の「五カ条」(A-37)

2012-05-07 | アルツハイマー型認知症の予防活動

私達が社会生活や家庭生活を営んでいく上で不可欠の働きをしている「前頭葉」の働きが、正常な老化のカーブを逸脱して、老化を加速させることから「アルツハイマー型認知症」が始まることがお分かりいただけたでしょうか。

 高齢者の仲間入りをした年代のお年寄りが、趣味もない、友達づきあいもない、運動もしない、目標や生き甲斐もない生活、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を、半年から1年間も継続していると、左脳、右脳、運動の脳のどこからも十分な情報がこなくなった脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)が、働く機会が極端に少ないために居眠りし始め、そのうち「寝たきり状態」になって、間違いなくボケの花が咲くことになります(アルツハイマー型認知症の「小ボケ」の段階)

        

最初の段階の「軽度認知症」(小ボケ)では、社会生活面で支障が出てきているとはいっても、 家庭生活面にもセルフケア面にも特別の支障は起きてこないので、「意欲が少し衰えてきたのかな」ぐらいに軽く考えて、そのままナイナイ尽くしの「単調な生活」を続けていくことになります。

その状態が2~4年も続くと、左脳や右脳も老化を加速し始めるので、今度は花が少し大きくなって「中等度認知症」(中ボケ)の花になります。「中ボケ」のレベルになると、「家庭生活」面でも支障が出てくるようになります。

 それでも、セルフケアには特別支障がないし、言い訳をする時の口先だけは未だ達者なので、「年のせいか」ぐらいに考えて、そのままの生活を続けていると、脳全体の老化が更に加速されるので、最後は末期の段階である「重度認知症」(大ボケ)の花になります。「大ボケ」の段階になってくると、さすがに家族の方も大変なので、認知症を専門とする精神科医のところへ駆け込むことになります。すると、「アルツハイマー型認知症は、原因も分からないし、治すこともできない病気なのです」といって、特別の治療や指導を受けることもなく帰されることになります。或いは、「治すことはできないけれど、症状の進行が遅くなる効果があるかもしれないから」と言って、薬を出してくれる時もあります。これが、現時点で医療機関が「アルツハイマー型認知症」に対してとっている対応の実態です。

この先の対応は、「家族による介護」が期待されていて、それがいよいよ無理となったところで「施設での介護」と言うことになります。

       

「アルツハイマー型認知症」のお年寄りを抱えた「家族による介護」の現実はどうなのでしょうか。家族による介護が、書籍やテレビの報道などで美化されていることが多いのです(その理由はよくわからないのですが)このブログで何度となく指摘してきたように、医師がアルツハイマー型認知症であると診断したお年寄りは回復困難な末期段階の「大ボケ」のレベルなのです。処方される薬と言っても、そもそも「治す効果はないが、ケースによっては症状の進行が少し遅れることがある」として、医師から渡されているのです。家族が介護して「アルツハイマー型認知症」の病気が治るのであれば、どんなに大変な苦労を伴おうとも、介護に従事した家族には苦労にも増して喜びがあると思いませんか。私達は、「中ボケ」の後半から「大ボケ」のレベルの人達を家族が介護する様子を、日本全国でたくさん見てきました。現職を辞めて、自分の人生を捨てて、年老いた「アルツハイマー型認知症」の親を長期にわたって介護する娘さんや息子さん達。年老いた「アルツハイマー型認知症」の夫(妻)を介護する妻(夫)。「原因が分からないし、治る可能性もない」と医師から宣告された「アルツハイマー型認知症」のお年寄りの家族による介護。そうした介護に来る日も来る日も従事する家族の苦労は、筆舌に尽くしがたいとしか言いようがないのです。

       

専門家とされる人達(医師や研究者)は未だに、「アルツハイマー型認知症は、原因も分からないし、治らない病気」と考えています。そのため、「アルツハイマー型認知症」と診断しても、何らの説明も指導もアドバイスもしないのです。私達は、「アルツハイマー型認知症」は、廃用性症候群に属する「生活習慣病」であり、早期段階(「小ボケ」及び「中ボケ」)で見つけて「生活習慣」の改善により脳を活性化することができれば、治すことが出来る(脳の機能を正常レベルに回復させることが出来る)と考えています。更には、「アルツハイマー型認知症」は、脳を活性化する「生活習慣」を心がけることにより「予防」することもできると考えています。

第二の人生を、ボケとは無縁で自分らしくいきいきと生きるために不可欠な「生活習慣」を打ち立てるための「大原則」。ここからが、今日のテーマです。

「アルツハイマー型認知症」と言うタイプの認知症は、その本質が廃用性の異常な機能低下であるが故に、最も高度な機能である「前頭葉」の機能が異常なレベルに低下してくることが発病の最初の段階となるのです。言い換えると、脳全体の司令塔の役割を担っていて、私たちの意識的な世界を支配しコントロールしている「前頭葉」の働き具合が正常なレベルに在る限りは、「アルツハイマー型認知症」を発病することは絶対に起きてこないということなのです。従って、「アルツハイマー型認知症」の発病を予防する方法とは、「前頭葉」を活性化させる生活習慣の維持と継続と言うことになるのです。「前頭葉」を活性化させるには、「前頭葉」の三本柱の機能である、意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能の出番が多い「テーマ」を実践することなのです。特に、「注意の分配力」の機能の出番が多いテーマの実行が重要となるのです。

「左脳」中心、仕事偏重だった第一の人生とは生き方を変えて、第二の人生では、「右脳」重視の生き方への転換を図り、周囲の目を気にせず、自分らしさが前面に出るような生き方をして、自分がイキイキしていると感じられる脳の使い方(「生活習慣」)を毎日の生活の中に打ち立てることが「必要不可欠の条件」となるのです。「左脳」を中心に据えて、「周りの人達に負けまいと頑張って生きてきた」第一の人生での「生き方」に大きく舵を切って、「右脳」を中心に据えて、「他人は他人として、自分なりの生活の楽しみ方」を追求すること、「自分の置かれた状況を肯定して、自分なりに人生を楽しむ生き方」が、第二の人生では要求されるのです。「この生き方」こそが、「アルツハイマー型認知症」を予防する唯一無二の「特効薬」なのです。「キッカケ」となる状況が起きたときに、とくにこの考え方、生き方が必要となるのです。(その「キッカケ」となる状況の例示については、ここを[クリック]してください)。

      

「意欲」が自然と湧いて来るような自分なりのテーマ、「注意を集中」したり「注意を分配」したりする(複数の異なったテーマを同時並行して実行する前頭葉の機能 )ことができるだけ多い「テーマ」に取り組む中で、自分らしい「生き方」、自分らしい「生活の楽しみ方」を追及し、そうした暮らし方(「生活の仕方」)が「生活習慣化」するよう努力して欲しいのです。

一、熱中し、夢中になれる趣味や遊びをできるだけたくさん持つ

二、たくさんの友達とできるだけ親しく交わる

三、自分なりの生き甲斐や喜び、目標となるものを見つける

四、精神的な張りと適度に緊張感のある毎日を過ごす

五、散歩程度でも良いから、運動する機会を出来るだけ多く持つ

       

「アルツハイマー型認知症」は、脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」が異常なレベルに衰えてくることが発病の最初の段階(「小ボケ」)です。逆に言えば、前頭葉が正常に働いている(正常レベルにある)限り、「アルツハイマー型認知症」を発病することにはならないのです。

その「前頭葉」が生き生きと働いている状態を保つには、人生を自分なりに楽しむ「生活習慣」を組み立てて、「前頭葉」の出番が多い生活を心がけることが大切です。

趣味や遊びや人づきあいといった「右脳」重視の生活が、「前頭葉」の働きを活性化させ、或いは前頭葉の元気を取り戻させるのに最も効果的なのです。

趣味も遊びも人づきあいも苦手と言う人には、「運動の脳」からの刺激が意外と効果的です。一日一時間の速足での散歩が目標(5000歩が目安)となります。(ここをクリックしてください)

       

注1)日々の生活では、いつ何が起きるかわかりません。 「キッカケ」に例示してあるような「生活状況」が発生した時は、注意が必要です。ナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まらないよう、生活状況に負けない対策と工夫がとても大切になります。

注2)前頭葉の機能を正常なレベルに保っている限り、アルツハイマー型認知症の発病とは、無縁です。そのために不可欠なのは、前頭葉の3本柱の機能である意欲、注意集中力と注意の分配力が良く働くような「テーマ」を「生活習慣」として打ち立てることなのです。

注3)創意や工夫ができるなど前頭葉が正常レベルなのに、認知症が疑われるような重度の記憶障害の症状がある場合は、側頭葉性健忘症が疑われます。病院で前頭葉の働きのレベルも同時に検査してもらうことが必要です。

注)本著作物(このブログA-37に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。


 エイジングライフ研究所のHP(ここをクリックしてください)

                           

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「東日本大震災」の被災地における「地域予防」活動が重要(A-35)

2012-05-02 | アルツハイマー型認知症の予防活動

前回に説明した「アルツハイマー型認知症」が進行する期間に関する「原則」は、エイジングライフ研究所が多数の症例(アルツハイマー型認知症を発病するメカニズムを知らないため、ナイナイ尽くしの「単調な生活」がそのまま継続されていたケース)の実態を聞き取り、データを集めて分析して得られたものなのです。

「アルツハイマー型認知症」の最初の段階である軽度認知症(「小ボケ」)になってから以降の生活が基本的に変化しないでそのまま継続されていく場合(生活改善が行われないで、従来どおりの「単調な生活」が継続されていく場合)には、この原則に従って認知症の症状が進行していくその期間を述べたものです。この期間の原則は、多数例の分析結果によるため、とてもよく当てはまります。

      

もちろん実際の生活場面では、「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)の出番が増え、活性化するような楽しい「生活状況」の継続(家族や仲間と共に散歩や運動を楽しむ生活;家族とのイベントを楽しむ生活;趣味の教室へ通う楽しい生活;友人や仲間とのふれあいがある生活など)という要因があると、その楽しい生活の質と量とにリンクして「前頭葉」の三本柱(「意欲、注意集中及び注意の分配力」)の出番が増え働きが回復してくるので、「アルツハイマー型認知症」の進行が遅くなり、症状の悪化が止まり、或いは、症状が回復の方向に向かうのです。

逆に、「前頭葉」の出番が減り、不活性化するような辛く苦しい「生活状況」の継続(友人や趣味の仲間との別離; 趣味や遊びの会の中止;腰痛など身体の苦痛の進行; 自分自身の病気の発生;家族の病気や介護に自分の時間をとられてしまうような生活;大きな心配事の発生;家族内の大きなな問題;重大な災害に会うことなど)という要因があると、その辛く苦しい生活の質と量とにリンクして「前頭葉」の三本柱(「意欲、注意集中及び注意の分配力」)の出番が減り、働きが更に衰えてくるので、症状が悪化の方向に向かうのです。

      

エイジングライフ研究所では、脳の使い方としての「生活習慣」の改善の体験を目的とする「認知症の予防教室」の開催を市町村と地域とが共同して実行しつつ、「二段階方式」を活用して市町村(在宅介護支援センター、地域包括支援センターを含む)の保健師さんが定期的に予防教室参加者の脳の機能レベルを判定し、「生活習慣」の改善指導をするやり方の「地域予防活動」の実践1995年から指導しています。また、脳の機能レベルの定期的な判定及び三段階の評価結果(改善、維持、悪化)のデータは、「二段階方式」の管理ソフトにより、個人別及び地域別に管理されるようになっています。医療機関による「二段階方式」を活用した早期診断と回復は、「神経心理機能テスト」の保険点数が低すぎて事業としてペイしません。そうした状況の下では、市町村による自主的な活動に期待するしかありません。手をこまねいたまま何も対策を打たないで放置していると、更なる高齢化が進んでいく中で、「アルツハイマー型認知症」を発病する人の数は増加の一途をたどるだけとなります。

      

この場で問題提起したいのは、「東日本大震災」を被災した地域の60歳を超える「高齢者」に対する相応の対策が必要だということです。その人達は、前回の報告で提示した「生活状況」に直面したままで居るからです。そうした「生活状況」に直面しているお年寄りたちの中の多くは、それが「キッカケ」となって、生き甲斐や目標もなく、趣味や遊びや人づきあいも楽しめず、運動もしない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続している状況にあると思うのです。何も手を打たないでこの状態が継続したままでいると、「前頭葉」の三本柱(「意欲、注意集中及び注意の分配力」)の出番が極端に少ないので、「アルツハイマー型認知症」を発病することになるのです。大震災から1年が経過した現在では、「アルツハイマー型認知症」を発病した「小ボケ」レベルのお年寄りが相当数いるはずなのです。このまま手をこまねいていると、「小ボケ」レベルの人は「中ボケ」になり、身体がもつので最後は「大ボケ」になります。認知症の専門家とされる人達は、「重度の記憶障害」の症状を診断の重要な目安としているので、回復可能な早期の段階を見つけることはできません。(ここをクリックしてください)。「中ボケ」の後半から「大ボケ」のレベルになって初めて専門家たちが注目するようになるのですが、そのとき「余りの数の多さ」に驚くことになるでしょう。

     

「東日本大震災」を被災した高齢者達に注目してデータを集積していけば、今後数年が経過する中で、他の地域の高齢者たちとは明確に異なる、極めて高率での「アルツハイマー型認知症」の発病(新規の発病と症状の重症化の進行)と言う結果になると私達は考えているのです。そうしたデータが出てくれば、認知症の大多数を占める「アルツハイマー型認知症」は、廃用性症候群に属する「生活習慣病」であるという私達の主張が「疫学的に証明される」こととなるので、専門家たちもこれを認めることになると思うのです。その結果、「アルツハイマー型認知症は、原因不明で治らない病気」と考えていた専門家達の見方も変わることになり、市町村の保健師さんたちが雑音に惑わされることもなく、自信を持って「地域予防」活動をやれるようになるので、日本全体でみれば、大きな意味があると言えるでしょう。

しかし、それを待っていては遅すぎるのです。「東日本大震災」の被災と言う筆舌に尽くしがたい困難な状況にあるお年寄りたちに、その上に、「アルツハイマー型認知症」の発病と言う重荷を背負わせることになってしまうからです。私達の警鐘に出来るだけ多くの人達が気づいて、早く対応してほしいと願うばかりです。

注)本著作物(このブログA-35に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

   エイジングライフ研究所のHP(ここをクリックしてください)

 

   http://blog.goo.ne.jp/quantum_pianist

 

 http://blog.goo.ne.jp/kuru0214/e/d4801838dd9872301e0d491cd8900f1a

 

 


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アルツハイマー型認知症の回復と予防を国民的なテーマに(A-22)

2012-04-02 | アルツハイマー型認知症の予防活動

以前の報告にもあるとおり、厚生労働省の発表によると、認知症のお年寄りの数は2012年2月末現在200万人超と言われています。200万人もの認知症のお年寄りとは、自分が住んでいる家がわからなかったり、同居の家族の名前や顔もわからなかったり、ズボンを頭から被ったり、トイレの後始末も自分でできない、「セルフケア」にも介助が要る認知症の末期段階の人達、私たちの区分で言う「重度認知症」(大ボケ)の人達だけの数なのです

回復可能な早期段階として私たちが問題にしている、社会生活だけに支障が出てくる「軽度認知症」(小ボケ)とセルフケアには未だ支障がないが「家庭生活」面では支障が出てくる「中等度認知症」(中ボケ)とは、その数の対象に入っていないのです。医療機関では、「アルツハイマー型認知症」については、私たちの区分で言う「重度認知症」(大ボケ)のレベルの症状が出てきていないと認知症とは診断されません。「軽度認知症」や「中等度認知症」のレベルの症状が出てきていても、「不活発病」とか「老化現象」だとされ、見過ごされているのです。そのまま放置していると(身体は持つのに、脳は持たない)ので、「軽度認知症」は「中等度認知症」に「中等度認知症」は「重度認知症」に症状が進みます。驚くなかれ、私たちのデータからすると、(小ボケ)と(中ボケ)とを合わせた数は、(大ボケ)の2倍にもなるのです。

この先、「アルツハイマー型認知症」からの回復の方法について詳細な報告をする予定ですが、次の点を肝に銘じておいてください。ここ(N-05)をクリックして読み返してみてください。

      「軽度認知症」(小ボケ)レベル   回復容易

      「中等度認知症」(中ボケ)レベル  回復可能

      「重度認知症」(大ボケ)レベル     回復困難

認知症の大多数、90%以上を占める「アルツハイマー型認知症」は、「予防」することも早期の段階で見つけると「回復」させることも可能なのです。現状の問題は、発見するのが遅すぎることにあるのです。「重度認知症」(大ボケ)のレベルで見つけていたのでは、遅すぎるのです。見つける段階が遅すぎるから「原因も分からないし治らない」と誤解されているのです。

「原因も分からないし、治らない病気」と専門家が言い、その上、狭義の「アルツハイマー病」(これこそ、「遺伝子」の異常が原因の病気)とアルツハイマー型認知症(これは、単なる「生活習慣病」)とをまとめて「アルツハイマー病」と呼ぶ過ちを犯しているために、回復可能な軽い段階(「軽度認知症」や「中等度認知症」の症状が出てきている程度)では、(世間体を気にして)周りに隠す気持ちのほうが先立ち、病院に連れて行かないのです。「重度の記憶障害」の症状が日常的に出てくるようになって、どうにも手に負えなくならないと、家族が病院に連れて行かないという悪循環をする結果にもなっているのです。

このことについて国民的な確認が必要です。もっと軽い段階で見つけてもらって、回復のための治療の指導(脳の使い方と言う視点からの生活習慣の改善指導:認知症の回復に効果がある薬はありません)をやってもらい、「脳の機能」が正常なレベルに回復してくるという体験をすることが重要です。その体験をする人が日本全国で増えてくれば、世の中の誤解も解けるのです。それによって、個人も家族も救われ、自治体や国の財政も救われることになるのです。このまま、「原因も分からないし、治らない病気」として放置していると、国の財政さえおかしくなってしまうほどの巨額のコストが介護に振り向けられているのです。「介護」に対する介護保険制度での対応は不可欠ですが、「蛇口を開きっぱなし」にしていたのでは、介護保険制度自体が崩壊してしまいます。

早期診断による早期治療と回復及び予防という蛇口を閉める方法があるのだから、そのことを「国民的な課題」とすべきなのです。

その努力を、個人や家族のレベルで尽くして、自治体が地域予防の活動を小さな単位ごとに定着させる施策を展開して、それでもなおアルツハイマー型認知症を発病し、回復困難な「重度認知症」(大ボケ)の段階に進んでしまう人が出てくることは避けられないので、その人に対する手厚い介護を介護保険制度で対応するのです。

第一に考えるべきテーマは、「早期発見と早期治療」です。その実施の方法は、医療機関による「早期診断」と「生活習慣の改善指導による回復」を図ることが最も効果的です。年に2回の定期検診を行い、「軽度認知症」(小ボケ)や「中等度認知症」(中ボケ)のレベルに衰えていないかどうかを調べるのです。

但し、「診断」は、従来行われているようなCTやMRIの「画像」による診断ではなくて、「神経心理機能テスト」による脳の働き具合を調べる診断が不可欠です。アルツハイマー型認知症は、最初に前頭葉のみが異常なレベルに衰え(小ボケ)、次いで、左脳と右脳が異常なレベルに衰えていく(中ボケ)という衰え方の規則性があります。回復可能な軽度の段階を見つけるには、「神経心理機能テスト」で「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)を含めた脳の働き具合を調べる診断が不可欠なのです。

「画像」による診断は、脳の形(「萎縮」の度合い)は測れても、脳の働き具合を測ることはできません。脳血管性認知症の診断はできても、「アルツハイマー型認知症」の的確な診断はできないのです。萎縮の度合いと脳の働き具合との間には直接の「因果関係」(脳の「萎縮」の度合いと認知症の「症状」の発現との間の相当因果関係)が確認できないからです。私たちは、脳の萎縮の度合いが認知症の症状と直接の因果関係があると言う考えには賛成できませんが、仮にその主張どおりに確認できるとしても、「重度認知症」よりも「中等度認知症」、更に「軽度認知症」と症状が軽い段階になるほど因果関係の確認は困難になるはずです。言い換えれば、回復困難な「重度認知症」の段階になれば発見が可能であっても(万一の仮定の話)、回復可能な、「中等度認知症」や「軽度認知症」の段階では発見が困難なはずなのです。この方法によって診断している限り、「アルツハイマー型認知症」は、「原因も分からないし、治らない病気」のままで、介護対象者が増大の一歩をたどっていき、介護保険制度はやがて財政面から崩壊してしまうことになるでしょう。

但し、現行制度では、(画像による診断をやめて、「神経心理機能テスト」を実施)するのでは医療機関がペイしないので、どの医療機関もその方法を採用しないでしょう。それを解決する方法は、「神経心理機能テスト」の評価ポイント(保険点数)を大幅に引き上げる方法か、それとも、(診療費が自己負担となる)自由診療で行う方法等の新規の対策が必要です。「神経心理機能テスト」により脳の働き具合を調べることによって、回復可能な小ボケと中ボケの段階を見つけることが出来るので、脳のリハビリ(生活習慣の改善指導)により正常レベルに回復させることが出来るのです。これが制度化されることによって、介護保険の財政状況は、劇的に改善されることになるはずです。認知症の90%以上を「アルツハイマー型認知症」が占めていて、然も小ボケや中ボケの段階で見つけることが出来れば、正常レベルに回復させることが出来るからです。悪くても「中等度認知症」(中ボケ)(家庭生活に支障)でとどめさえすれば、「重度認知症」(大ボケ)にさえしなければ、介護費用は大してかからないのです。

第二に考えるべきテーマは、「予防」です。

「アルツハイマー型認知症」は、脳の使い方という視点からすれば、「生活習慣病」なのだということについて、全国民的な啓蒙活動を展開する必要があります。個人及び家族単位での生活改善の実行と地域単位での予防活動の展開が必要なのです。小学校区単位で、廃校や公民館などの公的施設を活用して、「脳を活性化」させるテーマを参加者が楽しむ「体験の時間」を、一週間に半日設ければいいのです。その体験を元にして、自分なりに楽しめる「趣味」や「遊び」や「人づきあい」や「運動」を日常生活に取り入れ「生活習慣」化するだけでいいのです。そうしたテーマの日常的遂行が脳を活性化させるメカニズムと根拠となるデータについては、(N-54)で詳しく報告します。

地域単位での予防活動の展開は、事業としてはペイしないので、民間による活動はあまり期待できません。市町村の健康福祉課などや在宅介護支援センターや地域包括支援センターなどの公的機関による活動やNPOなどによる活動が不可欠になると思います。

 注)本著作物(このブログA-22に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

  エイジングライフ研究所のHP(ここをクリックしてください)

 

  http://blog.goo.ne.jp/quantum_pianist

 

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認知症の重症度別の人数の実態(A-14)

2012-03-21 | アルツハイマー型認知症の予防活動

認知症は、いったん完成した脳機能が、何らかの原因で全般的に(左右両側性に)機能低下し、社会生活や家庭生活やセルフケアに支障が起きてくる病気をいうものと定義されています。もともとは、脳の機能が正常で「社会生活」を営めていた人に起きてくるものである以上、現在脳の機能が全般的に衰えてきていて、「セルフケア」もおぼつかなくなっている人であっても、過去に遡れば正常であった時期があるのです。

その人が、何らかの契機で、「アルツハイマー型認知症」を発病した後、仮に医療機関で受診していたとしても、専門家の医師は、重度の記憶障害が認知症診断の第一の要件と考えている(実は、これは米国の「DSM-4」が犯している重大な間違いなのですが)ため、重度の記憶障害の症状が出てくる段階、「重度認知症」(大ボケ)のレベルでないと、認知症とは診断しないのです。

そのため、回復可能な「軽度認知症」(小ボケ)と「中等度認知症」(中ボケ)の段階が見過ごされてしまうことになるのです。その結果、認知症を発病後に家族がどこかおかしいと感じて、せっかく病院に連れて行っても「回復」の方法と「機会」が得られなくて、放置されているのです。手をこまねいて放置された結果、症状が徐々に重症化していき、現在の重度の症状を発現しているのです。ところが、「重度認知症」の段階になると、もはや回復の見込みはなく、家族の負担が大きい介護の対象でしかないのです。これが、「介護保険」財政の悪化にも大きく影響しているのです。

蛇口を開きっぱなしにしていて、受ける桶が小さいことだけを大騒ぎしていたのでは、早晩あふれかえってしまうのは目に見えています。 あふれかえってしまう前に「対策」を打たないと、「介護保険制度」自体が破綻してしまう危険があります。早期診断による「回復」と個別及び地域単位での「予防」を国民的なテーマとする啓蒙活動の展開が必要なのです。その大前提として、専門家が「アルツハイマー型認知症」の診断基準の間違いに、早く気づくことが不可欠なのです。

         

2012年2月末現在、厚生労働省が発表している認知症患者の数は、200万人とされ、今後更に高齢化が進行する見通しの中で、認知症の患者の数も増加していくと考えられています。ところが、この200万人と言う数は、「重度認知症」(大ボケ)のレベルの人たちの数なのです。「重度認知症」(大ボケ)の直前の段階が、世間では老化現象と間違えられている「中等度認知症」(中ボケ)で、その前の段階が世間で不活発病と呼ばれて見逃されている「軽度認知症」(小ボケ)なのです。「軽度認知症」と「中等度認知症」の数の合計は、「重度認知症」の数の4倍にもなると私達が蓄積してきたデータは示しています。

注)本著作物(このブログA-14に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

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脳を活性化させる魔法の散歩(A-07)

2012-03-13 | アルツハイマー型認知症の予防活動

「一日5000歩」を目安に、速足の散歩習慣化しましょう!!

3月11日。どのテレビ局も、東日本大震災の被災報道をメインに番組を組み立てていました。一方で、画面から流れる映像は、進まない復興の現実ばかり。多大な被害を受けた市町村はどこも、未だに、瓦礫の処理は終わっておらず、1年もたったというのに復興の足音は、どの画面からも聞こえてきませんでした。

 住み慣れた地域も、景色や町並みも、家も土地も、家族も友達も、職場も、それらにまつわる想い出も、全てを失くしてしまった人達。復興の中心となるはずの若い人達でさえ、1年経った今も職を失ったまま仮設住宅に住んでいて、この先が見えないまま毎日を過ごしている姿ばかりを映像は映すだけでした。テレビを見ている側の私までも、心がとても痛み気力がなえていくような一日でした。

 今日、私が上のテーマを取り上げるのには、特別な意味があるのです。

私達が意識的に何かを実行しようとする世界、私たちの意識的な世界における脳の働きは、全て最高次機能である脳全体の司令塔の「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)がコントロールしています。前頭葉左脳、右脳、運動の脳と協働しながら且つそれらを主導し、統括し、コントロールして、状況を判断し、テーマを発想し、テーマの詳細な実行の内容を組み立て、どのように実行すべきかをケースワークした上で、最終的な実行内容の決定及び実行の決断を行い、脳の各部に実行の指令を出しているのです。前頭葉が、左脳、右脳及び運動の脳が牽く三頭立ての馬車の「御者」と考えると、その役割が分かり易いでしょう。「御者」が居眠りしていると、馬はどうしていいのか分からなくなり、目的地には辿り着けなくなるのです。馬である左脳、右脳及び運動の脳の全てが正常な機能レベルに在ろうとも、御者である「前頭葉」の機能が異常なレベルに衰えてくると、そのアウトプットはすでに異常な内容のもの、「アルツハイマー型認知症」の症状(私たちの区分で言う、「小ボケ」の段階の症状)が発現してきているのです。

実は、その司令塔の前頭葉には、加齢と共に老化していくという性質(私たちが、発見し、「正常老化の性質」と名付けているもの)が有り、その上、不十分にしか使わないことにより出番が極端に少なくなると、高齢者の場合は、どんどん機能が異常なレベルに低下していくのです。ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続することが加重される要件として働くことにより、「前頭葉」を含む脳全体機能が加速度的に低下していくその先に、「アルツハイマー型認知症」の発病という事態が待っているのです。

  私たちが確認している機能だけでも70以上もある頭葉個別認知機能の高度な働きの中で、状況を理解し、判断し、状況の判断に沿ったテーマを発想し、その実行の内容を企画し、計画し、実行の内容を組み立て、ケースワ-クする上で必要な「様々な認知」機能を発揮する上で不可欠な働きをしているのが、意欲、注意の集中力と注意の分配力(10を超える種類の異なった「テーマ」を、同時に平行して処理する脳機能)という「前頭葉の」三本柱の機能なのです。「前頭葉」の各種の個別認知機能を発揮する上で、その働き具合を支配し、下支えしているのがこの三本柱の機能なのです。三本柱の働き次第で、全体としての及び/又は個々の対象となっているテーマに対する「認知度」が左右されるのです。三本柱の機能の働きが通常レベルであれば(正常なレベル)、いろんなテーマを組み立てたり、シミュレーションしたり、判断したり、十分に、的確に実行できるのに対し、三本柱の働きが極端に低くなれば(「アルツハイマー型認知症」を発病のレベル)、不十分に、不的確に、或いは異常にしか、、それらを実行できなくなるのです。

私たちが三段階に区分する「アルツハイマー型認知症」の症状の段階、「軽度認知症」のレベル(小ボケ)、「中等度認知症」のレベル(中ボケ)、「重度認知症」のレベル(大ボケ)と認知症の症状が進んでいくにつれて(前頭葉の機能レベルが加速度的に低下して来ていることが症状発現の基盤となっているので)、何がどのように出来るのか、或いはどの程度にしか出来ないのかという認知症の症状」も、次第に重いものになっていくということなのです。

これと言った生き甲斐や目標もなく、趣味や遊びや人付き合いを楽しむ生活習慣もなく、運動もしない毎日。こんなナイナイ尽くしの「単調な日々」の生活を繰り返していると意欲、注意の集中力及び注意の分配力と言う「前頭葉」の「三本柱」の機能の出番が極端に減少してしまう為に、高齢者(第二の人生を送っている60歳を超える年齢の高齢者)の場合は、「前頭葉」の加速度的な機能低下(不十分にしか使われないことによる「廃用性」の機能低下)を)惹き起こしてしまうのです。

 東日本大震災の被災(何かをしてみよう、考えてみようとする意欲自体を喪失してしまうことになる人が多いのです)を経験された高齢者が置かれている現在の状況からすれば、生き甲斐や喜びが得られるようなが「テーマ」を見つけること自体が困難だと思うのです。むしろ、日々の「目標」となるものさえ見つけ出せないという状況だと思うのです。

  そこで、とりあえず、「1日5000歩」の速足での散歩をして欲しいのです。歩く速さは、「会話が楽しめるが、軽く息がはずむ程度の速さ」(有酸素運動)です。安全な場所を選んで、歩きやすいところで、仮設住宅で知り合ったお友達を誘って、一緒に、「おしゃべりを楽しみ」ながら、歩いて欲しいのです。

速歩で歩くことは、「意欲」と「注意の集中力」という「前頭葉」の三本柱の機能の潜在的な機能レベルを高めるのにとても効果があるのです。「時間が経つのも忘れてしまう」ようなテーマについて、同行している仲間とのおしゃべりを楽しみながら歩くと、「注意の分配力」の機能も活発に働きます。もちろん、天気が良くなかったり、足腰に痛みがあるなど身体の調子が良くないときは、無理をしてはいけません。そんなときは、仮設住宅で、仲間とおしゃべりでも楽しみながら休んでいてください。

 一週間、二週間、一ヶ月、半年と、歩く日が続く中で、自分でもはっきりと意欲が湧いてきたなと実感することが出来るようになるはずです(副産物として、日頃気になっている「物忘れ」の回数も減ってくることになるすはずです)。

意欲が出てくるようになったら、脳の司令塔の前頭葉の働きが良くなってきた証拠ですから、そこで、周りの人たちにも相談しながらはず、じっくりこれからの対処策や目標あるいは生き甲斐について、考えてみてください。

 注)本著作物(このブログA-07に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

エイジングライフ研究所のHP(ここをクリックしてください)

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