Q:市町村の保健師さんが、地域住民と協働して実施する活動である、『アルツハイマー型認知症(以下、「AD型認知症」と略記する)』に対象を特化した「住民参加型の地域予防活動」を展開する上での基本的なイメージと言うか、「骨格」となる内容及び展開上の留意点について、出来るだけ具体的に説明して欲しいのですが。
A:(Kinuko toTadの二人が主宰する)エイジングライフ研究所は、『前頭葉』機能(「前頭前野」の穹窿部に局在する①「前頭葉の三本柱(意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能の総称)」の機能/②「評価の物差し(=意識の首座=自我=脳の中のホムンクルス)」の機能及び③「実行機能(=Executive Function) 」により構成されている複合機能体を言うものとする)」を含む/脳全体の機能レベルを、「二段階方式」と名付けている「神経心理機能テスト」を使用して、総合的に判定する手技を(独自に開発)開発して、実務に使用できるよう、「マニュアル」化しています。
「脳の機能レベル」(A)とそのアウトプットである「症状」(B)と現在の機能レベルをもたらした脳の使い方としての「生活歴」(C)等を詳細に調べ/聞き取りを実施し、規定された「評価/判定基準」に従い、総合的に判定するのです。1995年の活動開始以来、市町村の保健師さん達による行政活動としての「AD型認知症」の「地域予防活動」を提唱すると共に、「認知症予防講演会」及び「二段階方式」の「実務研修会」を実施して、『住民参加型の地域予防活動』を拡大展開し、北海道から九州に跨る全国的規模、452の先駆的な市町村との、(有償で/有期)の「二段階方式ソフ」トの使用許諾契約の締結の下で、実践展開の指導を行って来て、(或る時期)、厚生省に呼ばれて、『二段階方式の全国展開を要望される程に/極めて隆盛だった』のですが、厚生省の後身の厚労省が、(アミロイドβ仮説を理論的な根拠とした川下対策、『介護の予防措置』を制度化した)為に、市町村での活動は、極めて例外的に、「請負契約に変更して実施」している市町村だけとなってしまいました。
市町村の「保健師」さん達(地域包括支援センター、在宅介護支援センターを含む)が主体となり、地域と共同して実施する「AD型認知症」に対象を特化した「住民参加型の地域予防活動」の骨格と展開上の留意点の概要は、次のようになります。ないのです。
● 精神科医は、米国精神医学会が策定した「AD型認知症」の診断基準である「DSM-Ⅳ」の基準に依拠して、「AD型認知症」の発病の有無を診断する為に(当該基準の「①第一要件」では、(極めて重度の物忘れの症状の確認を要求)していて及び『②第二要件では、失語(紛い)/失認(紛い)/又は、失行(紛い)の症状の確認、極めて重度の症状の確認を要求している為に、「AD型認知症」の診断が専門の精神科医による診断では、(為す術が何も残されていなくて)セルフケアにも重大な支障が有る「AD型認知症」の末期の段階であり、私たち『二段階方式』の区分で言『重度認知症(大ボケ)』の前期又は後期の段階でしか、発病を見つけることが出来ないのです。
その結果、「AD型認知症」は、「原因不明で、治らないタイプの認知症」とされてしまい、その「誤った情報」が、全国津々浦々、地域の隅々にまで行き渡り、(住民の頭と心に浸み込んでしまっている)のです。誤ったその固定概念を変えさせ、「住民参加型の地域予防活動」を展開していくに際しては、地域住民を対象とした/(認知症は防げる治せる)と題する「認知症予防講演会」による啓蒙が、不可欠となります;
● 更に、市町村が「早期診断の窓口」を常設して、本当の意味での早期の段階(回復が可能な「小ボケ」及び症状の重症化の進行の抑制が未だ可能である(期待できる)「中ボケ」)の段階で発病を見つけて、正常レベルに「回復」させて見せること及び/又は、症状の重症化の進行を抑制してみせることが、『AD型認知症こそが、発病自体の予防が出来る認知症の典型であることの啓蒙にとって、極めて重要で/有効なのです。「右脳」の活用を柱とした自分なりの「目標」(メニュー)の達成による「前頭葉」機能の活性化により、「脳の使い方」としての「生活習慣」の改善と継続的な自助努力の実践を指導して、『「小ボケ」から、「正常」レベルへと回復させてみせることが、(原因不明で治らない恐ろしい認知症と言う迷信が浸透していた)住民全体の考えと意識とを替えることが出来る/極めて有効で有益な施策となるのです!!!
● 「住民参加型の地域予防活動」の対象となるタイプの認知症は、真の正体が『生活習慣病』である「AD型認知症」のみであり、それ以外のタイプの認知症に関しては、それぞれの専門の医師の手に委ねることを、対外的にも/対内的にも、明確にしておくことが重要なのです;「住民参加型の地域予防活動」は、「AD型認知症」の予防を目的/且つ対象とする活動であることを、明確に活動目的として掲げて、参加者が自分なりに「前頭葉機能の活性化」を体験できる場とするのです;
● 『脳イキイキ教室』展開の「実施地区」を選別する順番は、①地域のカクシャク老人やボランティアの組織が、手を挙げて、「住民参加型の地域予防活動」を/自分たちの地域で/是非ともやりたいとの「強い意志と熱い情熱」を示す地域から優先して実施することが、「予防活動を成功に導く」上で、極めて重要なのです(①手が積極的に上がらない地域は、後回しにすることが大切なのです;ここで、②「公平」を優先していたのでは、何時まで経っても動き出さないのです);
● 公民館/或いは集会所が存在するくらいの「小単位」の各地域毎に、「脳イキイキ教室への参加者」の人数は、30~40人を単位とした「小集団」ベースによる、「AD型認知症」の発病の予防を明確な目的とした「脳イキイキ教室」として、行きます。
● 「住民参加型の地域予防活動」は、「意識」が覚醒した/目的的な世界に於ける(脳全体の司令塔の役割を担っている脳機能である)『前頭葉』機能を柱とする脳全体の機能が活性化する『生活習慣』の構築と継続的な自助努力により、「前頭葉」機能を(正常レベルに保ち続けること)を主目的/核心とした及び『第二の人生』での日々の生き方が関わる「全く新しいタイプの活動」なのであり、既存の活動組織を「住民参加型の地域予防活動」展開の為の組織に/そのまま組み替えることは、『絶対に避けるべき問題』なのです(既存組織の/いろいろな制約が、活動の障害になることが多いのです!!)。
● 『第二の人生』を生きて行く上で、日々の出番が最も多い「右脳」の活用による「前頭葉」機能の活性化を図り、「右脳」を中心としたメニューの実行(目的の達成)により、(集団の中での)「趣味」や/「遊び」や/「人付き合い」や/「地域活動」や/「運動」を『楽しみながら体験』する体験をさせて、自分なりの喜びや、時には生き甲斐を覚える機会が、獲得できる場とするのです。
●「左脳」を使うのは、基本的には、「右脳」を使う場を盛り上げる為の手段となる(使い方が、主となり)、その意味で、「右脳を重視」した「生活習慣」の構築とその継続的な自助努力に因る『前頭葉機能の活性化』の達成の「重要性に目覚めさせる」ことが、極めて重要なのです!!!右脳の活用を中心とした自分なりの「目的」(メニュー)を達成する生活により、達成感や喜びや生き甲斐が得られる「生活習慣」が、「前頭葉機能」を活性化させ/脳全体の若さを保つの上で、極めて有効であるることを、「脳イキイキ教室」への参加で、実体験させるのです。「前頭葉」の働きを活性化させ/「前頭葉」機能を「正常レベル」に保ち続けさせる為には、「右脳の活用」を中心とした「目的」/(メニュー)が有る「生活習慣」を構築し、維持することが、重要で不可欠であることを、「脳イキイキ教室」への参加/三角体験を通して、理解させるのです;
● 私たち「二段階方式」が世界に誇る「脳機能データ」の解析結果により、『本態(真の正体)が、①廃用症候群に属する/②老化・廃用型の/③「生活習慣病」であるに過ぎない「AD型認知症」の極めて重要な特徴/特性として、『「AD型認知症の発病高齢者」には、廃用性の加速度的で異常な機能低下が進行して行き、脳の機能が極めて異常なレベルに迄衰えて行く際の/極めて厳密で/明確な低下順が存在している』のです。そして、その順番は、『① 「前頭葉機能」⇒ 「左脳」⇒ 「右脳 ⇒「運動の脳」の順番』となるのです!! ⇔ このことを言い換えると、『「前頭葉」機能が、正常なレベルに保たれている限り、「AD型認知症」の発病は、絶対に起きては来ない』と言う性質が確認されているのです!!!
● 「脳イキイキ教室」の運営に係る保健師さん達は、「二段階方式」の考え方に基づき/「二段階方式」の手技の活用に因る「前頭葉機能を含む/脳全体の機能」レベルの精緻な判定及びその経時変化による(改善、維持又は悪化)の評価並びに、評価結果に基づく「生活習慣の改善」の指導をする役割りを担うのです;
● 「脳イキイキ教室」の運営は、最初の半年間(状況により1年間)のみ/保健師さんが「メニューの作成」を含む/運営全般に関与するが、それ以降は「地域ボランティア」による「自主運営」を基本とします。自主活動の体制下では、保健師さんは、「脳の機能のレベル」の判定評価と生活改善指導だけを担うことになります(保健師さんが、全てを取り仕切っていたのでは、人的な制約から、対象地域を「全域」に拡大していくのが難しくなるからです!!);
次に重要なのは、「脳イキイキ教室」に参加するメンバー構成は、「脳の機能レベル」を唯一の判定基準として決めることが不可欠だと言うことです。 「脳イキイキ教室」に参加するお年寄りは、『前頭葉』機能を含む脳全体の機能レベルが正常なレベルの人を対象とすることを「基本の条件」とすることが重要です(但し、「軽度認知症(小ボケ)」は、一定の人数割合以下に抑える条件のもとで、可とします)
○ 「社会生活」をそれなりにこなせている、『正常レベル』の/普通のお年寄り達が、基本的に、大多数を占めることになります;
○ 次いで、趣味や遊びや人付き合いを生き生きと楽しんでいる、かくしゃく老人が占めます;
○ 最後に、家庭生活面には支障が無いが、『社会生活』面に重大な支障が出て来ている「軽度認知症(小ボケ)」の段階の発病者が少人数ながら一角を占めます(重要なことは、「小ボケ」レベルのお年寄り達の全体に占める割合は、必ず25%以下に抑えること。この割合より大きくなると、自主運営が難しくなるのです);
○ 「中等度認知症(中ボケ)」レベルのお年寄りも/「重度認知症(大ボケ)」レベルのお年寄りも、「脳イキイキ教室」に入れては、いけないのです(絶対に禁止!);
○ 「軽度認知症(小ボケ)」は、「脳イキイキ教室」に継続的に参加して、日々の「生活習慣」を自分なりに改善して行く中で、脳の機能が正常レベルに回復して行きますが、「脳イキイキ教室」の主たる目的は、治すことではなくて、「発病を予防」することにあることを、絶対に忘れないで頂きたいのです!!。現実的には僅かな人数の体制下で、「AD型認知症」の発病を予防することを明確な目的とした「脳イキイキ教室」を展開して行くことが求められるのです。「AD型認知症の発病を予防」することが、活動の基本的な目的となる点に、十分配慮することが必要なのです。最初の立ち上がりは/小さな一地区からであっても、最終的には、①全ての地区で、②活発に活動が為されている、③「脳イキイキ教室」が、展開されていることが、極めて重要だからなのです;
● 「中等度認知症(中ボケ)」のレベルになると、集団の中での活動についていくこと自体に、困難が生じてきます(「中等度認知症(中ボケ)」のレベルになると、その機能レベルに見合った「特別の/個別の/メニュー」を(家族の協力の下に)継続して実践しないと、『脳の活性化の効果』が出てくる事自体が難しくなってきて、『脳の機能が向上して来なくなる』のです。その上、「脳の機能レベルが低い分、係わるスタッフの人数も余分の人数が必要になる」のです);
● 「重度認知症(大ボケ)」のレベルになると、①脳の機能レベルの改善だけでなくて、②脳の機能レベルの維持さえもが困難となり、「大ボケ」レベルの枠の中で更に症状が進行して行くことになります。「重度認知症(大ボケ)」レベルに「前頭葉」機能を含む脳全体の機能レベルが、『極めて異常なレベルにまで低下』して来ている高齢者には、『為す術が、何も残されていなくて』、日常生活面での「セルフ・ケア」の面にも/重大な支障が出てきている為に、「介助/介護」を基礎とした対応が殆どとなるのであり、この段階にまで/脳の機能が衰えてくると、「施設」での対応が不可欠となります;
「かくしゃく老人」はかくしゃくなレベルの儘(現状維持)に、「正常老人」は正常なレベルの儘(現状維持)に、『前頭葉』機能を含む/脳全体の機能レベルを保ち、極少人数での参加が認められている「軽度認知症(小ボケ)」は、正常レベルに(『前頭葉』の機能レベルを)改善/向上させることが、「脳イキイキ教室」に参加を認められた理由であり、運営の目標になることを、忘れないで頂きたいのです(「中等度認知症(中ボケ)」になると、①最高次機能である『前頭葉』機能だけでなくて、②高次機能である「左脳」と「右脳」までもが、「異常なレベルに衰えて来ている」のですが、(But,「軽度認知症(小ボケ)」では、①高次機能である「左脳」及び「右脳」は、未だ正常な機能レベルに在って/②「前頭葉」機能だけが、異常なレベルに衰えて来ているので、③「前頭葉」機能を正常レベルに引き戻してやるだけで良いのです)。繰り返して、注意を喚起しておきますが、『発病の予防』こそが、「第一義的に重要なテーマである」ことを、肝に銘じておいて、頂きたいのです;
○ 「脳イキイキ教室」の対象者に「中等度認知症(中ボケ)」レベルのお年寄りと「重度認知症(大ボケ)」レベルのお年寄りが含まれない(皆無の状態を確保/維持)ということは、一面では、『運営の手間(人手と時間とコスト)が、少なくて済む』ことを意味します。更なる問題点として、「中等度認知症(中ボケ)」レベルのお年寄りは、『現状では、家族が主体』となり、日常の『家庭生活』面での介助が行われているのですが、本来は、『通所型の施設』が中心となって、「回復よりは、更なる症状の進行を抑制すること(末期の段階である「大ボケ」にはしないことを/主たる目的とする」対応の在り方が、現実的と考えるのです;
(コーヒー・ブレイク ーその1)「AD型認知症」を発病して、末期の段階である『重度認知症(大ボケ)』のお年寄りを抱えた/家族の/困難で悲惨な状態を、日ごろ目にしている保健師さんは、どうしても「中ボケ」や「大ボケ」の介護に目が行き勝ちなのです。「中ボケ」及び「大ボケ」レベルのお年寄りに対する「介助/或いは介護」自体は、「脳イキイキ教室」ではなくて、家族/或いは、施設が主体となって行われるしかないということを理解し,納得しておくことが重要です。
「発病の予防対策」に徹底して、対策を構築し/実行する(蛇口を、きちんと閉める)のでない限り(介護対策ばかりに、目が行っていたのでは!)、認知症問題(「AD型認知症」が、認知症全体の90%以上を占めていることに注意!!)の解決策は、無いということを理解し、覚悟を決めて、「発病の予防対策」に取り組んで頂きたいのです。
(コーヒー・ブレイクーその2) 「重度認知症(大ボケ)」の段階に在る高齢者は、症状が発現して来る大本である『「前頭葉」機能を含む/脳全体の機能レベル』の/改善の可能性が皆無(①改善の可能性は無くて、②更なる症状の進行を緩やかにすることさえも、期待できない)という」である視点から見ても、「介護内容の充実度の質的及び量的な要求性(家族による介護を期待することは、家族自身の生活の崩壊/介護離職を招くことにつながる)」の視点から見ても、更には、市町村におけるこれまでの活動体験に照らしてみても、「介護保険制度」で/手厚く対応していくより他に方法は無いと、私たち「二段階方式」は、考えているのです。
「介護保険制度」で/手厚く対応していく為には、保険料の徴収額を拡大させる方法ではなくて、(様々な種類が数ある認知症全体の90%以上の割合を占めている【小ボケ/中ボケ/大ボケの全てを含めた数値であることに注意】)認知症、『AD型認知症』に対策を特化した川上対策、(発病の予防自体を明確な目的とした)『住民参加型の地域予防活動』を、我が国の小さな島々の片隅にまで徹底した「国策化に因る全国展開」を、市町村の『保健師さん』と「地域のボランティア(個人/組織を問わない/両建て)」とが協働して展開する時代が、一刻も早く(KInukoとTadにお迎えが来ない内に!!)やってくることを、切に希望しているのです。
注)本著作物(このブログ A-36に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。