認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

アルツハイマー型認知症の本質と認知機能低下のメカニズム(B-55)

2016-03-01 | アルツハイマー型認知症の原因

 的外れ 矢を射るべきは 別の森

  樹ばかり見ては 森は見えない By kinukototadao

     

(プロローグ)

様々なタイプのものがある認知症のうちの大多数、90%以上の割合を占めているのが、「アルツハイマー型認知症」と言うタイプの認知症なのです。その「アルツハイマー型認知症」については、発病の原因もメカニズムもわからないし、治すことが出来ないし、発病を予防する方法もわからないとされているのです。

発病の原因については、アセチルコリン説、アミロイドベータ説、タウ蛋白説、脳の萎縮説等の学説(発病の原因として主張されているものと肝心の発病との間の因果関係が立証されていない、単なる仮説としての主張)が、まるで、よどみに浮かぶうたかたのように、浮かんでは、しばらくの間留まるだけで、やがて消えていくだけのものなのです。

医療の現場での診断はと言うと、記憶障害の症状を主とした認知症の症状らしき病状を呈している患者に対して、診断の基準が明確に存在する他のタイプの認知症、或いは認知症と紛らわしい認知症ではない病気を先に消去していき、最後まで残ったものを「アルツハイマー型認知症」と名付けているだけなのです。皆さんは驚かれると思うのですが、消去法による診断なのです。

 私たちの場合は、「アルツハイマー型認知症」は、廃用症候群に属する生活習慣病、脳の使い方としての「生活習慣病」であると考えているのです。私たちが開発した独自の診断方式、「二段階方式」と呼称する神経心理機能テストを活用した、「アルツハイマー型認知症」の発病原因に直接的に迫る診断方式なのです。その場合、「アルツハイマー型認知症」を他の種類の認知症、或いは認知症と紛らわしい認知症ではない病気と鑑別する直接的な診断基準となるのは、「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)を含む脳全体の機能レベルの判定、その機能レベルのアウトプットである症状、言い換えると、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルに厳密にリンクした症状、並びに、廃用性の異常で加速度的な脳の機能低下をもたらせた原因である脳の使い方としての「生活習慣」及びその「生活歴」と言う要素なのです。そしてその診断の基礎となっているのは、14689例にも及ぶ「アルツハイマー型認知症」の精緻な症状群なのです。「二段階方式」の手技の中で、鑑別の際に適用する基準(極めて重要なノウハウなので、此処には詳細を記述できないのですが、「アルツハイマー型認知症」の場合には、脳の機能に衰えていく厳格な順番があるという「脳機能データ」の解析結果から得られた基準があるのです)は、「アルツハイマー型認知症」の本質が廃用性の機能低下であることを示唆しているのです。

     

従来の全ての学説(アセチルコリン説、アミロイドベータ説、タウ蛋白説及び脳の萎縮説)は、「アルツハイマー型認知症」を発病して、且つ末期の段階、私たちの区分で言う「重度認知症」(大ボケ)の段階の更に後半になって発現してくる症状が確認されたお年寄り達の死後の脳の解剖所見に立脚した脳の器質的な変化に着目した「仮説」であるのに対して、私たちの主張は、廃用性の異常で加速度的な脳機能の低下説なのです。従って、私たちの主張の根拠は、脳の解剖所見とは関係なく、逆に、生きた人間の「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルとその機能レベルに厳格にリンクした症状、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルの直接のアウトプットとしての症状に着目した主張なのです。「二段階方式」の手技を活用して、生きた人間の「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルについて、使われる機会が極端に少ない「生活習慣」の下で廃用性の機能低下を起こしてきたその結果としての症状の変化の特徴について、話を進めていきたいと考えるのです。学説がマウスの行動の観察結果に基づく推測に依拠しているのに対して、私たちの「二段階方式」の主張は、生きた人間の「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルにリンクした症状を何万例も集積し、解析した結果に基づく主張なのです。憶測や推測ではなくて、事実の解析結果なのです。

     

「アルツハイマー型認知症」と言うタイプの認知症の本質は、「前頭葉」を含む脳の器質的な変化が原因で起きてくるものではなくて、機能的な低下が原因で起きてくるものなのです。言い換えると、脳が壊れてもいないのに、意識的に何かのテーマを実行しようとしても支障が起きてくる世界こそが追及すべき世界なのです。そのことに注意を向けないで、アミロイドベータの蓄積であるとか、タウ蛋白の蓄積であるとか、脳の顕著な萎縮であるとかの誤った視点に拘泥したままで居たのでは、何時まで経っても、「アルツハイマー型認知症」の発病の原因(メカニズム)を解明することは出来ない相談なのだということを指摘しておきたいのです。

私たちが意識的に何かのテーマを発想し、発想したテーマの実行内容を企画して組み立て、実行結果をシミュレーションした上で選択した最終的な内容の実行を左脳や右脳や運動の脳と言った脳の各部に指示する世界、脳全体の司令塔の役割を担っていて、三頭立ての馬車の御者の役割を担っている「前頭葉」と言う脳機能の、器質的ではなくて機能的な衰えのメカニズムに注意を向けることこそが、「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズムを解明し、回復や発病の予防のための方法を発見する上で必要不可欠の条件となるのです。今日のテーマである「アルツハイマー型認知症の発病及び症状の進行原因と認知機能の低下」と言う視点は、脳科学者や認知症の専門家達に対し、そのことを教示する目的で書いたものなのです。目を醒ましていただきたいと切に願うのです。

   

世の中の学者も研究者も医師も、「アルツハイマー型認知症」の本質を見誤っているのです。世界最高の権威とされながら、重大な誤りがあるあの米国精神医学会の診断規定、「アルツハイマー型認知症」の診断基準である「DSM-4」の第一要件及び第二要件の規定内容に惑わされているだけなのです。第二の要件が確認を要求している、「失語」や「失認」や「失行」の症状は、末期の段階である「重度認知症」(大ボケ)の更に後半にならないと発現することが無い症状、「前頭葉」の機能が殆ど失われていて、左脳も右脳も運動の脳も、MMSEで判定される機能レベルが30点満点で一桁の得点になるまでに衰えてきた段階でしか発現してこない症状に着目していることにこそ重大な誤りがあることに気づいていないのです。「DSM-4」の規定こそ、「アルツハイマー型認知症」の本質を見誤った見解、廃用性の機能低下が本質であることを見誤り、器質的な変化が原因で症状が発現してくる病気だと勘違いしているのです。更に、「アルツハイマー型認知症」の症状の中核をなすのは、「DSM-4」が第一の要件に規定している「記憶の障害」ではなくて、「前頭葉」の機能の廃用性の機能低下を反映したものであることが、小ボケから中ボケを経て大ボケに至る症状の段階的な変化を詳しく分析してみれば容易にわかることなのです(ここを「クリック」してください)。客観的な根拠データに依拠することなく、外観的な症状の観察に基づく誤解がこのような規定、診断基準の重大な誤りを生む原因となっているのです。診断基準の第一の要件も第二の要件も重大な誤りに基づく規定内容であり、その世界的な影響力に鑑み、早期に破棄されるべき内容(診断基準)だと私たちは考えているのです。

     

& 私たち人間の意識的な世界と脳の働き方のメカニズム

○  脳全体の司令塔の役割を担う「前頭葉」と言う脳機能

 私たちが意識的に何かを実行しようとする場合に、脳が壊れてもいないのに支障が出てきて思うように実行することが出来ない世界、それが、「アルツハイマー型認知症」と言うタイプの認知症が関わる世界なのです。私たち人間の意識的な世界での脳の働き方のメカニズム、言い換えると、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」の働き方のメカニズム及び脳機能の衰え方のメカニズムを知ることなしに、「前頭葉」と言う脳機能を構造的に持たないマウスの極めて幼稚な行動の世界、餌を求めて迷路をさまようマウスの記憶に関わる行動を基礎に、「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズムが解明できるとする考え方自体に重大な誤りがあることを指摘したいのです。

脳全体の司令塔の役割を担い、左脳、右脳及び運動の脳と言う三頭の馬を制御する役割、三頭立ての馬車の御者の役割を担っていて、私たちが意識的に何かを実行しようとする世界を支配し、コントロールしている「前頭葉」と言う機能には、以下に列挙するような何十種類もの極めて高度で、且つ複雑な機能が備わっているのです。ある種の機能は、単体で、又ある種の機能は様々な機能の集合による複合体としての重層的な機能を、更には、複数の単体の機能が重合したものとしての機能をも発揮しているのです。左脳がらみのデジタルな情報を処理している世界、右脳がらみのアナログな情報を処理している世界、運動の脳がらみのアナログな情報を処理している世界、更にはそれらを統合処理している世界が、一つ一つの意識を構成しているのです。脳と言う機能部位は、一方では個別に機能分化されつつ、他方では統合されて機能しているという特殊性を有しているのです。それであるが故に、あの「iPS細胞」をもってしても、「アルツハイマー型認知症」の発病の原因、或いは発病のメカニズムに迫ることは出来ないし、ましてや治療方法の解明にも役には立たないことを指摘しておきたいのです。

     

○  「前頭葉」の三本柱の機能と脳機能発揮上の「二重構造」

意識的に何かの「テーマ」を実行する場面では、意欲、注意集中、注意分配、自発性、観察、分析、考察、洞察、想像、推理、表象、批判、理解、了解、把握、判定、興味、関心、着眼、発想、連想、空想、妄想、意図、企図、企画、計画、創意、工夫、創造、具象化、抽象化、シミュレー・ション、予見、予測、修正、比較、選択、確認、整理、統合、判断、決定、決断、監視、機転、拘泥、執着、憤怒、抑制、忍耐、及び感動等、「前頭葉」の個別機能を構成している各種の高度な認知機能を正常に発揮する上で、一定レベル以上での「認知度」が確保されていることが不可欠となるのです。認知度が一定レベル以下だと、例示した「前頭葉」の各種個別の認知機能自体が必要なレベルで発揮されなくなるのです。そうした個別の認知機能によるその「認知度」の高さ、或いは低さを左右しているのが、意欲、注意の集中力及び注意の分配力という「前頭葉の三本柱」の機能なのです(私たちが「二重構造」と名付ける構造、個別機能の「認知度」と「発揮度」とが共に、「三本柱」の機能レベルと「リンク」しているという構造が存在するのです)。分かり易く説明すれば、「前頭葉」の個別認知機能自体は、潜在的な機能ボリュームが備わっているが、「前頭葉」の三本柱の機能の機能レベルにリンクして機能ボリュームが顕在化してくるという構造、私たちの言葉で言う機能発揮上での「二重構造」のメカニズムが存在しているのです。

 「前頭葉」を中核の機能として、その支配とコントロール下で、有機的な連携のもとに「左脳」や「右脳」や「運動の脳」も参加して、我が身が置かれている状況の判断に基づき、何をどのように実行するのかを組み立てるには(実行すべきテーマをいくつか発想し、その中から1つを選択し、その実行内容を組み立てるには)、先立って且つ常に、必要な機能レベルでの「意欲」の継続的な発揮が不可欠になるのです。自分が現在置かれている状況と環境の判断をベースとして、様々な状況の変化を予測して考慮し、いく通りかのケース・シミュレーションを経た上で最終的な内容を決定し、実行に移すには、「注意の集中力」と「注意の分配力」の機能の継続的な発揮も必要になるのです。意識的な世界を支配しコントロールしている「前頭葉」と言う脳機能は、幾種類もの及び幾層ものネットワークが有機的に結合された複合/集合/統合機能体なのです。その個別の及び/全体的な機能の発揮度及び認知度を左右している大本は、注意の分配機能を筆頭とした「前頭葉」の三本柱の機能なのです。

更にもう一つ付加すべき重要なことは、「左脳」、「右脳」及び「運動の脳」についても、同様のメカニズムが存在しているということなのです。すなわち、「左脳」、「右脳」及び「運動の脳」の機能自体は、潜在的な機能ボリュームが備わっているが、「前頭葉」の三本柱の機能の機能レベルにリンクして機能ボリュームが顕在化してくるという構造(同様の「二重構造」のメカニズム)が「左脳」、「右脳」及び「運動の脳」の機能にも存在しているということも、意識的な世界を理解する上では重要なことなのです。「前頭葉」を含む脳全体としての脳機能の器質的な変化が原因ではなくて、機能的な変化、廃用性の機能の低下と言う視点を持つことが、「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズム(原因)及び症状の重症化、或いは発病の予防及び早期診断による回復と言うテーマを考える上で不可欠の視点となることを注意喚起しておきたいのです。

    

& 加齢による脳機能の衰え(低下)のメカニズム

○  第一の人生を送っていて、物忘れの症状が発現する年代

第二の人生を日々営まれていて、「アルツハイマー型認知症」の発病を恐れておられる60歳を超えた年齢の「高齢者」だけでなくて、未だ年若い人、30歳代の半ばの年齢から60歳までの年齢の働き盛りの人達を含めて、頻度や程度を除外して言えば、「物忘れ」の症状を自覚されていると思うのです。左脳が主役となる「仕事」と言う大きなテーマがあって、達成すべき目標があり、生き甲斐や喜びを覚える機会も多い、第一の人生を送っている年代の人達でありながら、気になる症状、「物忘れ」と言う症状を自覚されていると思うのです。

例外的な人は存在していなくて、全ての人達がこの症状を自覚しているはずなのです。それでいて、この物忘れの症状、言い換えると「記憶障害の症状」の発現の原因は、上述した4つの学説が根拠として主張しているメカニズムにより発現している訳ではないのです。アミロイドベータが蓄積し始めていることが「物忘れ」の症状の原因でもなくて、タウ蛋白が蓄積し始めていることが「物忘れ」の症状の原因でもなくて、脳の萎縮が始まっていることが「物忘れ」の症状の原因でもないのです。「アルツハイマー型認知症」の早期診断、言い換えると「記憶障害」の症状の発生原因であると考えて、アミロイドベータの蓄積が開始される早期の段階を見つけることが「アルツハイマー型認知症」の早期診断につながると主張している研究機関の人達に対し、注意を喚起しておきたいと考え、今日のテーマを選択したのです。

上述したように、30歳代の半ばを過ぎると「物忘れ」の症状(記憶障害の症状)が発現し始めるのです。そして、「物忘れ」の症状は、40歳代、50歳代、60歳代、70歳代、80歳代、90歳代と、年を取るにつれて、頻度が増していき、発現する症状の程度や態様が大きく、複雑化していくのです。この現象には、例外が無いのです。そうだからと言って、「物忘れは、ボケの始まり」という訳のものではないのです。「物忘れ」の症状は、皆さん誰でもが例外なく体験するものなのですが、「物忘れ」の症状が出てくる人達全員がボケる訳ではないからです。

○ 「物忘れ」の症状と「前頭葉」の三本柱の機能との関係

私たちだけが気付いていることなのですが、私たち人間の脳機能、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」の機能及びその手足となって共同して働く役割を担っている「左脳」、「右脳」及び「運動の脳」には、私たちが「正常老化の性質」と名付ける性質が生来的なものとして内在しているのです。その性質自体が、「物忘れ」の症状を発現させる原因、真犯人なのです。そのメカニズムについての私たちの考えを、私たちが集積してきた極めて多数で、且つ精緻な脳機能データ、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベル及びその機能レベルに厳格にリンクした症状に関する「脳機能データ」を根拠に、説明しておきましょう。

     

&「前頭葉」の三本柱の機能に内在する「正常老化」の性質

 脳全体の司令塔で、置かれている状況を判断したり、何かを思いついたり、計画を立てたり、工夫したり、洞察や推理をしたり、機転を利かせたり、各種の高度な働きを担当している「前頭葉」の機能、中でも、その個別の認知機能を正常に発揮する上でとりわけ重要であって、「前頭葉」の個別認知機能の「発揮度」や「認知度」の高さ、或は低さを直接左右している「前頭葉」の三本柱の機能である、「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の機能には、以下に説明するように、趣味や遊びや交遊や運動を仲間と自分なりに楽しむ生活があり、自分なりの目標や生き甲斐がある生活(それなりに「前頭葉」の出番がある生活)を送っていても、「加齢とともに、機能が老化し、衰えていく」という重要な性質があるのです(私たちは、これを「正常老化の性質」と呼んでいます)。

○ 「脳機能データ」が意味するもの

私たちが集積してきた年齢別の「脳機能データ」を基にして簡潔に説明すると、「三本柱」の機能には、18歳から20代の半ばまでがピークで、20代の半ばを過ぎる頃から100歳に向かって、緩やかではあるけれど、一直線に衰えていくという性質があるのです。60代後半にもなると、「三本柱」の働き具合は、ピーク時の18歳から20代の半ばの頃に比べ、働きが半分以下になっているのです。70代、80代、90代、100歳代と、年をとればとる程、「三本柱」の働きが更に衰えていって、どんどん低空飛行になっていくという性質なのです。

 認知症の大多数90%以上を占めていて、高齢化率が高い市町村や高齢化率が高い地域等で、皆さんが普段よく目にし、或は耳にしている「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症は、その発病のメカニズムを考えるとき、「前頭葉」の三本柱の機能に「正常老化」という問題が内在しているという理解が重要になるのです。「脳の正常老化」という問題が基本にあるから、「アルツハイマー型認知症」は、若者には関係なくて、「60歳代以降のお年寄りだけが対象になる」のです。脳の司令塔は「前頭葉」であり、その「前頭葉」の三本柱の機能に加齢と共に働きが衰えていくという性質、「正常老化の性質」が内在していることが「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズムを解明する上で不可欠の重要な要素となるのです。

     

& 「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズム

○  「正常老化」の性質と発病の「第一の要件」との関係

 世界中の認知症の専門家とされる人達から、発病の原因さえも分からないとされている「アルツハイマー型認知症」について、発病のメカニズム自体を解明し並びに発病の予防の方法及び早期診断による回復の方法を手技及び理論面から体系化したのは、私たちが世界で初めてなのです。その発病のメカニズムを解明する上で極めて重要な要素、それは、「前頭葉」の三本柱の機能には、「20歳を過ぎると、年をとるにつれて100歳に向かって、緩やかではあるが徐々に働きが衰えていく」という特徴を有する老化曲線、言い換えると「正常老化の性質」が存在することなのです。「前頭葉」の出番がそれなりにある「生活習慣」を日々維持していても、「加齢とともに、機能が緩やかにではあるが直線的に衰えて行く」という性質があるのです。「高齢者」の入口である65歳頃には、「前頭葉」の「三本柱」の機能レベルが最も高い20歳頃のほぼ半分くらいにまで衰えてきていることが注目すべき要因なのです。「二段階方式」の活用により、「前頭葉」を含む脳の機能の加齢による老化という要素を発見し、且つこの要因に着目して、60歳を超える年齢の「高齢者」であることと言う要件を「アルツハイマー型認知症」の発病の「第一の要件」として私たちは規定しているのです。私たちが規定する発病の「第一の要件」は、誰にでも共通する要因なのですが、私たちが規定する発病の「第二の要件」は、廃用性の機能低下と言う要因なのです。何かを「キッカケ」として始まるナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続と言う「生活習慣」に起因して始まる、異常で過速度的な脳機能の廃用性の機能低下と言う要因のことなのです。

○ 専門家達は、誤った「的」に対し、無駄な矢を射かけているだけ

私たちが主張し、440を超える多数の市町村での「地域予防活動」で実践して成果を出し、「改善、維持、低下」の三段階に区分され判定された「前頭葉」の機能レベルに厳格にリンクした症状群を含むそれらの「脳機能データ」で裏付けられているように、脳の使い方という視点から言えば廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」でしかない「アルツハイマー型認知症」は、世界中の認知症の学者や研究者や医師達から、「治すことも、発病を予防することもできない、原因不明の病気」、モンスターにされてしまっているのです。生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続するだけの日々の暮らしの中で、「アルツハイマー型認知症」を発病し、更にはその症状が進行していき(私たちの区分で言う小ボケ及び中ボケを経由して)、末期の段階である「重度認知症」(大ボケ)の症状が発現してきた上に、その期間が何年も続いた人の死後の脳を解剖して得られる「解剖所見」にみられる3つの特徴である「老人斑」とか、「神経原線維変化」とか、「脳の萎縮」とかが原因で記憶障害の症状が発現してくると誤解していたのでは、或いは「前頭葉」はおろか左脳さえもない下等な動物である「マウス」とやらを追い掛け回していたのでは何時までたっても、「アルツハイマー型認知症」の発病の原因(メカニズム)を解明することはできないのです。

    

○  私たちが主張し、規定する「アルツハイマー型認知症」発病の二つの要件

60歳を超えた年齢の「高齢者」と呼ばれるお年寄りであろうとも、自分なりに楽しめる「テーマ」を自分流のやり方で追及することにより、「前頭葉」の機能レベルが正常なレベルを保っている限りは(「前頭葉」の三本柱の機能である「意欲、注意の集中力及び注意の分配力」の機能の出番が十分にある生活習慣を実践してさえいれば)、「アルツハイマー型認知症」の発病とは無縁で、「第二の人生」を完走することが出来ることになるのです。

 60歳を超えた年齢の「高齢者」と呼ばれるお年寄りが(私たちが規定する発病の「第一の要件」)、左脳の出番である「仕事」とは無縁の「第二の人生」を日々生きていく中で、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が日々繰り返されるだけの「生活習慣」のもとでは(私たちが規定する発病の「第二の要件」)、「前頭葉」を含む脳全体の機能が廃用性の加速度的で異常な機能低下を起こしてきて(「第一の要件」と「第二の要件」とが同時に充足される「相乗効果」により、緩やかに下降するカーブであるそれまでの「正常老化の曲線」から逸脱して、加速度的に下降する異常な「放物線の曲線」をたどることとなる)、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まって、半年から1年が経過すると、「アルツハイマー型認知症」を発病することになるのです。その段階が、私たちが回復の可能性と言う視点から三段階に区分する最初の段階である「軽度認知症」(小ボケ)の段階であり、次いで、「中等度認知症」(中ボケ)の段階があり、最後に末期の段階である「重度認知症」(大ボケ)の段階となるのです。

失語や失認や失行などと言う極めて重い症状の確認を要求している「DSMー4」の規定に依拠して診断が行われるがために、回復させることが可能な早期の段階、小ボケの段階も中ボケの段階も見逃されていて、回復させることが困難な末期の段階、「大ボケ」の段階になって初めて「アルツハイマー型認知症」を発病していると診断されているのです。末期の段階である「大ボケ」の段階になるまで、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルが衰えてしまった状態が何年間も継続した、そのことの「副産物」としてもたらされるものが、アミロイド・ベータ説が注目する「老人斑」であり、タウ蛋白説が注目する「神経原線維変化」であり、脳の萎縮説が注目する「脳の顕著な萎縮」だと私たちは考えているのです。回復の可能性と言う視点から三段階に区分される「アルツハイマー型認知症」の症状の本質は、加速度的で異常な廃用性の機能低下に起因するものなのであり、器質的な変化に起因するものではないのです。「小ボケ」及び「中ボケ」の段階で見つけて、「脳のリハビリ』(「前頭葉」を含む脳全体の使い方としての「生活習慣」の改善)を実行すれば、正常なレベルに回復させることが出来るのです。器質的な変化が生じてきていないからこそ、「小ボケ」(回復させることが容易)及び「中ボケ」(回復させることが未だ可能)までの早期の段階で見つければ、「前頭葉」を含む脳の機能が回復してくる(「アルツハイマー型認知症」が治せる)のです。「大ボケ」の段階で(回復させることは困難な段階)見つけているから、治せないだけなのです。

アミロイドベータの蓄積による老人斑の発生も、タウタンパクの蓄積による神経原繊維変化の発生も、脳の顕著な委縮も、それらすべての器質的な変化は、「アルツハイマー型認知症」の発病原因なのではなくて、「アルツハイマー型認知症」を発病し、末期の段階にまで症状が進行し、且つその期間が何年も継続したことの結果として生じてきているだけのものなのです。次いでのことに付言しておくと、アミロイドベータの蓄積もタウ蛋白の蓄積も「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズムとは無関係の関係なので(発病の原因ではない)、「免疫療法」による治療法の開発と言う発想も、的外れの発想に過ぎないのです。

  注)本著作物(Bー55に記載され表現された内容)に係る著作権は、

 (有)エイジングライフ研究所に帰属しています。   

     エイジングライフ研究所のHP左の部分を「クリック」してください)

      脳機能から見た認知症(具体例をベースとしたもう一つのブログです)

 

 

 

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症状の継続期間と脳の老化のスピード差をもたらす要因(A-34)

2012-04-30 | アルツハイマー型認知症の原因

(1) 前回の報告で例示し説明した「我が身に起きて来た或る生活状況」(仕事とは日々無縁の「第二の人生」を生きる上で、自分なりに追求出来て来ていて、自分なりに納得がいく「生活習慣」を送れていて、自分なりの楽しさや喜びや、時には生き甲斐が得られる元となっていた「生活習慣」の継続を阻害する要因であり、その発生と継続が「キッカケ」となり、心が折れてしまい、何事に対しても意欲を喪失し、注意の集中力が続かなくなり、『注意の分配力』の機能が「評価の物差し」(意識の首座=自我)に因る評価/関心/注意に従い、「実行機能」を駆使して目標を達成していく場面が極端に減ってしまうナイナイ尽くしの単調な『生活習慣(生き甲斐無く、趣味なく、交友の機会無く、運動をする機会も無い単調な生活習慣)が、始まり継続することで、(意識が覚醒した状態下での「脳全体の司令塔」の役割を担っている『前頭葉』の機能が、廃用性加速度的異常機能低下を進行させて行くこととなるのです。

(2) その進行過程で真っ先に異常な機能低下を進行させていくこととなる『前頭葉』の機能が異常なレベルにまで衰えが進行してきたその時が、『アルツハイマー型認知症』の発病の時なのです(最初の段階の「小ボケ」であり、この時は、左脳、右脳及び運動の脳は未だ正常な機能レベルに在ることに注意する)。

(3) 発病してから3年間が「小ボケ」の期間、「中ボケ」の期間が2~3年間続き、発病から5~6年経つと「大ボケ」(=末期の段階の前期であり、専門の精神科医が初めて発病と考えている段階なのです)になる」というのが大原則であり、判定の標準的な指標となります。

(4) 「大ボケ」の段階(前期と後期とに区分けるのが、私たち二段階方式の特徴)になると、正常レベルへの回復は愚か、中ボケへの回復を期待することも最早困難となります。その「大ボケ」のレベルの枠の中で、運動の脳や右脳を刺激する「生活改善」により「右脳が絡む感情面での」或る程度の改善/維持がみられることはありますが、「中ボケ」レベルへの改善の見込みさえも無くなってしまいます。

(5) そこまで廃用性の機能低下が進行してしまうと、右脳や運動の脳は、大ボケの枠の中での或る程度の改善・維持が未だ期待できるのですが、「左脳」及び肝心の『前頭葉』(前頭前野の穹窿部に局在する「複合機能体」)の機能レベルの維持がさえも困難となってしまうのです。「大ボケ」の枠の中で、身体が保つ限り、更に症状が重くなっていくだけなのです。同じ「大ボケ」のレベルといっても、大河の幅のようにその幅は極めて広いものなのです。

最初が次いで最後に

(6)「小ボケ」や「中ボケ」のレベル迄の段階であれば、『前頭葉が活性化する』「生活習慣」への改善の努力(「脳の機能レベル」に見合った内容での、『脳のリハビリ』の実践)により、「前頭葉」の「三本柱」の機能の働きに因り、{注意の分配力の機能が、実実行機能を駆使して目標を達成していく場面=出番}が増える中で、脳の機能レベルの顕著な「改善」や「症状の進行の抑制」という効果が期待できるのです。

(7) 「小ボケ」の段階では勿論のこと、「中ボケ」までの段階であれば、「左脳」の働きを通しての「言葉によるコミュニケーション」が可能なので、「脳リハビリ」(脳の使い方としての「生活習慣」の改善)の意味を本人が理解できるので、家族の支えと後押しとがあれば、「脳リハビリ」を続けることができるからです(「大ボケ」の段階になると、「左脳」がきちんと働くことは出来ない為に、その前期でさえも、最早困難となるのです。

(8) 此処で注意すべきは、ナイナイ尽くしの「単調な生活習慣」が継続されているように見えてはいても、実際の「生活実態」を詳細に聞き取ってみると、それなりに「プラス要因」(「注意の分配力」の機能が「実行機能」を行使して、目標を達成していく場面が出てくることに因り、『前頭葉』が活性化する生活習慣が入り込んでいたり、逆にマイナス要因(「注意の分配力」の機能が「実行機能」を行使して、目標を達成していく場面が更に減ることに因り、『前頭葉廃用性の異常な機能低下の進行の加速要因となる生活習慣の存在)生活が入り込んでいたりするものなのです。

(9)上述の「小ボケ」及「中ボケ」の段階に確認される『標準的な滞留期間』の基準に適合しないケースは、下図に例示する「プラス要因」と「マイナス要因」の「生活習慣」の質と量とが脳に働いて、「アルツハイマー型認知症」の症状の回復、症状の進行の抑制、或いは、更なる進行に影響を与えているのです(『脳の老化のスピード差』をもたらす『生活習慣』要因の混在の実態の確認が、極めて重要な作業となるのです。

(10) 私たち二段階方式(著作権の権利の帰属と使用許諾の契約面では、エイジングライフ研究所)の「手技」を活用するときは、定期的に、最高次機能の「前頭葉」及び高次機能の「左脳と右脳」の働き具合を神経心理機能テストで測定し、「生活実態」の聞き取りから生活の自立度を判定し、更に、「生活歴」(「脳の使い方」としての単調な「生活習慣」の内容とその継続)の聞き取りから、その期間中の「生活習慣」としての「脳の使い方」を具体的にチェックします。

(11)「二段階方式」では、神経心理機能テストによる定期的な脳の働き具合(前頭葉を含む脳全体の機能レベルの変化の有無及び程度)の総合的な判定結果を、「改善」、「維持」、「低下」の三段階に区分し判定します(極めて客観的な判定内容であることに注意して下さい)。そして、対象期間中の「脳の使い方としての生活習慣」を、「脳の機能レベルの判定結果」と照らし合わせるのです。

(12)「改善」、「維持」、「低下」の各々のケースについて、その人の『前頭葉』を含む脳全体の機能を活性化させるような「生活習慣」としての生活実態があったのか、プラス要因マイナス要因がどのように入り混じっていたのか、或いは、ナイナイ尽くしの「単調な生活習慣」が継続したままだったのか等を詳細にチェックするのです。そうした判定によると、『前頭葉』を含む脳全体の機能レベルの推移(改善、維持、低下)と対象期間中の『脳の働き具合による生活習慣の実態』(「注意の分配力」の機能が、「評価の物差し」による評価/関心/注意に従い、「実行機能」を行使して目標を達成していく場面が、どの程度あったのか/なかったのかが、脳全体の機能レベルに反映されている筈)とは、(必ず、合致している)ことが分かるのです。

        

(13) そうした極めて多数の事例の分析とデータの積み重ねから、上記「脳の老化のスピード差」をもたらす生活習慣要因の確認に基づいての、『標準的な滞留期間』の存在の期間が導き出されているので、この「小ボケ」、「中ボケ」の「標準的な滞留期間」の指標は、極めて精緻な指標となるのです。ところで、「大ボケの期間」というものは存在しません。「大ボケ」の段階にまで廃用性の加速度的で異常な機能低下が進行してくると、身体がもつ限り(老衰により及び他の何らかの病気が原因で、死を迎えることになるまで)、「大ボケ」の枠の中で症状がさらに進行してくることになるだけなのです(身体が保つケースでは、植物人間状態にまで、脳の機能低下が進行して行く)。

(12) この「標準的な滞留期間」の指標となる期間と実際の個別ケースの期間との間に差異があるときは、「プラス要因」と「マイナス要因」とが複合して、前頭葉を含む脳全体の機能レベルの変化に影響を与えているのです。その実態を丁寧に確認する作業がとても重要なのです。こうした多数のデータの積み重ねから、専門家達から、(原因も分からないし、治らない病気)とされている「アルツハイマー型認知症」を発病する原因は、「加齢」(60歳を超える年齢)が第一の要因であり、その年齢の下での脳の使い方としての生活習慣」(ナイナイ尽くしの単調な生活習慣の継続)が、第二の要因であることが分かったのです。

(13) この場合、どのような「生活習慣」脳の不活性化(廃用性の異常な機能低下の進行)を惹き起こすのかについては、標準的なものを(キッカケの発生とその継続に因り、心が折れてしまい、意欲を喪失することになる「生活上の出来事」)類型化して導き出すことはできるのですが、絶対的なものはなくて、あくまで相対的なものだということが留意すべき重要なポイントです。

(14) 「キッカケ」の発生と継続する『生活状況』を、個々の本人の前頭葉(評価の物差し=意識の首座=自我)」がどのように評価したのかが、「前頭葉」の「三本柱」の意欲、注意の集中力と注意の分配力の働き具合に直接影響するからです。「キッカケ」の発生を契機として意欲を喪失し、ナイナイ尽くしの単調な日々が始まり継続することが、「アルツハイマー型認知症」の発病に直結していくことになるからです

(15) 更に、「小ボケ」(軽度認知症=前頭葉を含む脳全体の機能レベルの区分の為の厳密な定義をしているんが、私たち二段階方式の特徴なのです。以下、同じ)と「中ボケ」(中等度認知症)の段階であれば、日々の「生活習慣」の改善により(但し、『前頭葉』を含む脳全体の機能レベルに見合った内容での「脳のリハビリ」の実践であることが必要不可欠の条件となることに注意)、正常レベルへの脳機能の回復及び/又は、症状の進行の抑制が可能であることが分かったのです。

(16) 但し、「大ボケ」(重度認知症)のレベルにまで、『前頭葉』を含む脳全体の脳の機能が衰えてしまった人達は、「中ボケ」レベルへの機能の回復さえも期待できないことも分かったのです

※「前頭葉」を含む脳全体の極めて異常なレベルに低下した機能レベルの問題並びに「前頭葉」及び「左脳」の異常なレベルへの機能低下によりコミュニケーション自体が機能しないので、本人が「脳リハビリ」の意味も目的も理解できなくて、「脳リハビリ」自体が実行できないからなのです。

※ 従って、「アルツハイマー型認知症」の場合は、早期発見(小ボケ及び中ボケ迄の段階での発病の発見)と早期治療(脳の機能レベルに見合った「脳のリハビリ」の改善指導と継続的な実践)が極めて重要だということなのです。猶、ここで言う「治療」とは、「前頭葉」の出番が増えて活性化するような脳の使い方としての「生活習慣」の改善のことを言います。飲む(貼る)だけで「前頭葉」を含む脳全体の働き具合を回復させる効果があるような薬は、この世の中には存在する筈がないので注意してください。

(17) 現在、殆どの医療機関で行われているような、「重度の記憶障害(物忘れの症状)」の確認並びに「失語、失認又は失行」(紛い!)の症状を基準にして診断する方法では、回復困難な「大ボケ」しか見つけることが出来ないのです。回復可能な「小ボケ」と「中ボケ」の早期段階を見逃してしまうと、回復の見込みはなくなり、介護だけの対応となってしまうのです。

注)本著作物(このブログA-34に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。
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単調な生活が始まる「キッカケ」となる生活状況の事例(A-33)

2012-04-27 | アルツハイマー型認知症の原因

前回の報告で説明したように、人によって「生活状況」の発生に対する受け止め方が違うので、一概には言えません。それ迄と変わらず、それなりに生き甲斐や目標がある楽しい生活を続ける人もいれば、意欲をなくしてしまい、生き甲斐や目標もない、趣味や遊びや人づきあいも楽しまない、言い換えると「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)の出番が極端に少ない生活に変わってしまう人もいます。集積した多数のデータから言えば、以下のような「生活状況」が起きてくれば、「ナイナイ尽くしの単調な生活」が始まるキッカケ」となる可能性が高いと言えるのです。

ナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まる「キッカケ」としては、以下のような具体的なものを例示できます。但し、こうした具体例のような「生活状況」がそのまま「キッカケ」になるかどうかは人それぞれなので、一概には言えないのです。その「生活状況」に遭遇した本人の「受け止め方」次第なのです。本人にとっての生活に占める重要度と痛手を感じる深さ次第で、影響が変わってくることに留意してください。ある程度重要なものでも、本人の痛手が小さければ「キッカケ」にならないし、周りからみてそれ程重要でなくても、本人の痛手が大きければ「キッカケ」になるのです。

□ 仕事の第一線を退くこと

 (定年退職、家業の廃止、家業を息子に譲る、嫁に家事を譲る)

□ 世話役を降りること(子供や孫の手離れ、地域の世話役を退く)

□ 配偶者の死亡(特に、妻が死亡したときの夫)

□ 趣味や遊びやお茶飲み会などの「集いの会」の中止

□ 重大な病気や怪我、腰痛その他の身体上の不具合、配偶者の看病生活

(自身の病気や怪我による入院や療養生活、病気や怪我、膝や腰の痛みなど身体の痛み或いは難聴など身体機能の不具合が継続する生活、認知症その他の重い病気を抱える配偶者の看病生活)

□ 家庭内のトラブルや心配事

  (息子のリストラやサラ金問題、息子や娘の離婚、孫の不登校、家庭内の不和

□ 重大な災害の被災により財産や家族や友人や思い出をうしなうこと

□ ペットの死亡

□ 友人や自分自身の転居(転居により旧来の友達を失い、新しい友達が出来ない)

□   兄弟姉妹の死(特に、相手が自分より年少の場合は痛手が大きい)

□   周囲との接触もない孤独な一人暮らし(趣味や遊びや交遊を楽しんでいるような暮らし振りの一人暮らしなら、ボケとは無縁です)

□ さびしい生活

 (二世代同居といいながら、家庭の隅に追いやられて家族との会話もないさびしい生活)

「左脳」(仕事)中心の生活だけを生き甲斐に第一の人生を送ってきた人は、定年退職や家業の廃止や家業を息子に譲って仕事がない毎日が始まり、「左脳」を使う機会が極端に少なくなっても、趣味や遊びや人づきあいや運動など、「右脳」や「運動の脳」を使う目標への切り替えが出来ないのです。そのため、「時間だけはたっぷりあるのにすることがない」毎日、「前頭葉」の出番が極端に少ないナイナイ尽くしの「単調な生活」で毎日を過ごすことになるのです。

他方、趣味や遊びや人づきあいや運動などを自分なりに楽しむ毎日を過ごし、生き甲斐や目標があり脳全体をしっかり使う「生活習慣」がある人たちも、安心するのは未だ早いのです。「ボケ」とは無縁の毎日を過ごしているのに、そうした「生活習慣」とは関係なく、ある日突然降ってわいたように上述した「生活状況」に遭遇することになるのです。それに大きな痛手を感じて、意欲をなくしてしまって、趣味や遊びや人づきあいや運動を楽しむ生活、生き甲斐や目標がある生活ができなくなり、「前頭葉」の出番が極端に少ないナイナイ尽くしの「単調な生活」で毎日を過ごすようになると、同じことが起きてくるのです。

              

第二の人生を送っている「高齢者」である以上、正常であるとはいえ緩やかな傾きの直線の下で、脳が「老化のカーブ」を描いてきているのです。「左脳を使う場面はない、さりとて右脳や運動の脳を使う場面も極端に少ない毎日」では、三頭建ての馬車の御者の役割をする「前頭葉」の出番が少なすぎるのです。「キッカケ」を契機に、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まり、そうこうしているうちに、出番をなくした「前頭葉」が居眠りし始め、廃用性の機能低下との相乗効果により、放物線を描きながら「老化を加速」させていき、「アルツハイマー型認知症」を発病することになるのです。その最初の段階が社会生活に支障が出てくる「軽度認知症」(小ボケ)で、次が、家庭生活に支障が出てくる「中等度認知症」(中ボケ)で、最後が末期の段階の「重度認知症」(大ボケ)なのです。

それでも、「小ボケ」や「中ボケ」の早期の段階で見つければ、脳を活性化させるような生活を組み立てること(「生活改善」)により、脳の機能を正常レベルへ回復させることが可能なのです。「生活状況」が発生した前後数年間の「生活歴」を具体的に聞き取り、「生活状況」を本人がどのように受け止めたのか、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まり且つそれがどの程度の期間継続していたのかを確認して、脳の老化が加速された現在の状態を本人や家族に対し明確にさせることが、「生活改善」指導の前段階となるのです。但し、せっかく「小ボケ」や「中ボケ」の段階で見つけても、「認知症の進行を抑える効果があるとかいう薬」を飲ませるだけで、脳を活性化させる「生活改善」を求めないままに、それまでの「単調な生活」を継続していくときは、廃用性の機能低下により脳は老化を加速させていくので、症状は進行していくことになります。

 「前頭葉」の出番がどのように少ない「生活習慣」となっていたのかについて、その人の生活を具体的に振り返り、本人および家族に確認させることが大切です。

1. 何を「キッカケ」にして、

2. 「キッカケ」をどのように「受け止めた」結果、

3. いつから「生活習慣」(生活ぶり)が変わってしまい、

4. 「前頭葉」の出番が極端に少ない「ナイナイ尽くしの単調な生活」が始まったのか

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ナイナイ尽くしの単調な生活が始まる「キッカケ」(A-32)

2012-04-25 | アルツハイマー型認知症の原因

第一の人生を自分なりに頑張って生きてきて、第二の人生に入っていきます。何事も起きてこなければ、脳は「正常な老化のカーブ」を描きながら、それなりに目標がある生活を送る中で、生きがいや喜びが得られる日が時々はあり、静かに毎日が過ぎて行くはずなのです。そうした平穏で安定した日々を過ごしているお年寄りが、知らず知らずのうちに脳の老化を加速させていき、「アルツハイマー型認知症」を発病する訳ではないのです。この点がとても重要なのです。

「加齢による脳の老化」という「アルツハイマー型認知症」発病の(第一の要件)は第二の人生を送っているお年寄り全員に共通のものなのですが、ナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続という(第二の要件)は「アルツハイマー型認知症」を発病するお年寄りだけに特有なものなのです。

      

私たちの「二段階方式」を活用するときは、「アルツハイマー型認知症」を発病した「小ボケ」及び「中ボケ」レベルのお年寄りたちの全員を対象として、発病の前後の期間の数年間についてどのような脳の使い方をしてきたのか、言い換えるとどのような「生活習慣」のもとで毎日を過ごしてきたのかという「生活歴」を、本人とその家族から必ず聞き取ることが様式化されています。なお、「アルツハイマー型認知症」を発病する「キッカケ」となった「生活状況」の発生時期と単調な生活が継続した期間については、本人の現在の脳の機能レベル及びMMSの下位項目のデータ並びに「脳の老化のスピード差」(N-34)の指標から明確に特定されるので、それを基礎として聞き取りを行います。この場合、脳の機能レベルが「中ボケ」だと、現在の自分の状況(「中ボケ」レベルの生活の自立度)に対する認識さえないので、家族からの聞き取りが不可欠となります。

脳は正常な老化のカーブを描きながら、それなりに目標がある生活を送る中で、生きがいや喜びが得られる日が時々はあり、静かに毎日が過ぎて行く。そんな第二の人生を過ごしているお年寄りが、脳の老化を速める原因となるナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まる「キッカケ」となる「生活状況」の発生に遭遇することになるのです。「アルツハイマー型認知症」を発病した極めて多数のお年寄りを対象とする「生活歴」の聞き取りの結果、脳の老化を加速させる原因となるナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まるには、発病した全員について、「キッカケ」となる「生活状況」の発生が必ず存在することが確認されたのです。但し、或る「生活状況」の発生が「単調な生活」が始まる「キッカケ」となるかどうかは、遭遇した「生活状況」に対する「本人の受け止め方次第」だということに注意が必要です。

     

脳の老化を速めるナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まる「キッカケ」となる「生活状況」の発生とは、どんなことを言うのか。要約すると、次の2点に集約されます。分かりやすくするために、ここでは典型的な事例をとりあえず3例ずつ挙げておきます。

1.  生きる意欲を支えてきた「核となる生活」が継続できなくなってしまうこと

○ 趣味も遊びも交友もなく、仕事一筋の人生を送ってきた人の「定年退職」

○ 趣味だけが生き甲斐の人が、その「趣味を中止」せざるを得なくなること

○ 親や兄弟、子や孫、友人、ペットなど大事な人や動物との「別離」

2.  生きる意欲をなくしてしまうような「問題や状況」が発生し継続されること

○ 自身の重い病気や大きなけがなど肉体的精神的に「困難な状況」

○ 子供の失業や借金問題、孫の不登校など家庭内の「重大な問題」

○ 夫(妻)が重度の認知症や重い病気を患い、「介護に追われるだけ」の毎日

         

同じような「生活状況」が発生しても、状況の発生に対する個人ひとりひとりの受け止め方が異なるので、「生活状況」発生後の「生活習慣」(日々の脳の使い方)は、それぞれに違うのです。或る人は、「生活状況」の発生が「キッカケ」となって、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まるのに対し、或る人は「生活状況」の発生があっても「キッカケ」とはならないで、日々の生活をそれなりに楽しんでいくことができるのです。このことは、以下の例示のように、具体的に考えると理解しやすいと思います。

「定年退職」で仕事を取り上げられてすることもなくなり、3年もたつと見る影もなく衰えボケてしまう人もいれば(この段階では、未だ「小ボケ」)、「定年退職」で自由な時間がいっぱいできたのをきっかけに、自分なりに趣味や遊びや人づきあいを楽しんで、生き生きと生活していく人もいます。或いは、世間でよく言われるように、「夫を亡くしたおばあさん」は半年もたつと楽しげに生活をエンジョイするようになることが多いのに対し、同じように「妻を亡くしたおじいさん」の多くは次第に元気をなくしていきます。

上述の「生活状況」が発生しても従来どおり生活をそれなりに楽しめて元気を失わない人と、「生活状況」の発生を契機に生活を楽しめなくなり元気をなくしていく人との違いを生じさせる「理由」を理解するためには、「生活状況」が発生した前後数年間のその人の「生活習慣」(脳の使い方)を、その人の目線に沿って、具体的にチェックしてみる必要があります。前者と後者とを分けるキーポイントは、発生した「生活状況」を当の本人がどのように「受け止めたのか」にあるからです。どのような「受け止め方」が、それなりに「生き甲斐や目標」があって楽しめる生活から、ナイナイ尽くしの「単調な生活」へと「生活習慣」を変化させることになるのかを理解することが、指導する「生活改善」の内容を組み立てる上で大切なのです。

       

「アルツハイマー型認知症」を発病することになるかならないか、それは「生活状況」の発生に対する「本人の受け止め方」次第ということになるのです。

人生の大きな出来ごとの発生や生活環境の大きな変化という「生活状況」の発生に対して;

1. 「大きな障害」と受け止めて負けてしまい、そのため意欲をなくしてしまって、「目標」となるものがなくなり、「前頭葉」を使う場面が極端に減った生活に変わってしまった(「キッカケ」になった人);又は

2. 「大きな障害」と受け止めず負けないで、そのため意欲を失わず、「目標」となるものがあるので、「前頭葉」を使う場面がそれなりにある生活が従来通り継続している(「キッカケ」にはならなかった人)のです。

これまでの説明で理解していただけていると思いますが、「アルツハイマー型認知症」の発病を回避するには、ナイナイ尽くしの「単調な生活の継続」という第二の要件の充足を回避しなければならないのです。

第二の要件の充足を回避するには、上述した事例に見るような「生活状況」が発生した時、その「生活状況」に本人が負けないことが必要不可欠となるのです。「アルツハイマー型認知症」の発病を左右する直接の原因は、脳の委縮でも、アミロイドベータでもタウタンパクでもないのです。その時遭遇した「生活状況」を「キッカケ」として、ナイナイ尽くしの「単調な生活」に入っていったことが原因となるのです。

第二の人生を送っているお年寄りは、このことを深く心に留めておいて欲しいのです。「生活状況」の発生に遭遇した時は、その状況に対して自分が取るべき脳の使い方(「生活習慣」)に十分注意して欲しいのです。ナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まる「キッカケ」とならないよう、是非とも頑張って欲しいのです。本人の頑張り、踏ん張りが第一なのですが、家族からの支えも必要なことは言うまでもありません。

注)本著作物(このブログA-32に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

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アルツハイマー型認知症の早期診断と回復並びに予防(A-31)

2012-04-23 | アルツハイマー型認知症の原因

前回の報告で説明したように、「アルツハイマー型認知症」は毎日の脳の使い方という視点からの生活習慣が、発病あるいは進行と回復並びに予防を左右する最も重要な要因となる廃用症候群に属する「生活習慣病」であると私たちは考えています。

「加齢による脳の老化」(第一の要件)と「ナイナイ尽くしの単調な生活の継続」(第二の要件)という二つの要因が重なることにより、その相乗効果として、前頭葉を柱とする脳の機能が加速度的に衰えて行く結果発病する「アルツハイマー型認知症」という病気は、脳の機能の「衰え方」にも重要な特徴(老化の順番とその「パターン」)があるのです。

その特徴は、

○ 最初に、最高次機能で司令塔の働きをする「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)の働きが衰えていくこと

○ 次いで、高次機能である「左脳」と「右脳」と「運動の脳」の働きが衰えていくこと

○ 「加齢による脳の老化」とナイナイ尽くしの「単調な生活の継続」とによる相乗効果により機能が衰えていくので、衰え方は加速度的であり、そのことが重度化していくにつれて症状に現れてくること

○ 更に、「MMS」で測定される高次機能には「衰えていく下位項目の順番と特異なパターン」があること

エイジングライフ研究所が提唱する「二段階方式」の手技は、御者の役割を担う前頭葉の働き具合を「かなひろい」テストで測定し、馬の役割を担う左脳と右脳の働き具合を「MMS」で測定します。そして、脳の機能がどこまで衰えているのか及びその脳の機能レベルでは、どんな症状を特徴的に示すのかをリンクさせ、客観的な指標と総合的な判定により、「アルツハイマー型認知症」の重症度を三段階に分けて判定(軽度認知症「小ボケ」、中等度認知症「中ボケ」、重度認知症「大ボケ」に区分)します。

また、テスト結果について、集積された多数のデータの分析に基づいて確立された指標により、衰えていく脳の機能の順番とそのパターンを判定すること及び「キッカケ」を契機とする「単調な生活」の継続期間を確認することができるので、「アルツハイマー型認知症」以外のタイプの認知症との鑑別及び認知症と紛らわしい病気との鑑別が客観的な指標に基づいて行えるのです。

更には、脳の機能レベルとリンクさせた症状の指標に基づいて、回復が困難で介護するだけのレベルである重度認知症「大ボケ」と回復可能な早期段階の軽度認知症「小ボケ」と中等度認知症「中ボケ」とを区別して判定することができます。これにより、脳の機能レベル毎に策定実施される「生活改善」の指導により適切な脳の活性化が図られ、正常レベルへの脳機能の回復と更なる重症化の防止を目的とする対策がとれるように工夫されているのです。

   又は  又は  

世間では、症状の重症度区分はなく、「アルツハイマー型認知症」であるかどうかだけの判定しか行いません。然も、「重度の記憶障害」の症状だけを指標とする診断であるため、末期段階の重度認知症「大ボケ」しか見つけることが出来ないのです。そのため、「アルツハイマー型認知症」であると診断された場合の対策は「介護」の道しかなく、「回復」の道や方法は全く考えられていないのです。

この「二段階方式」の手法を活用することによって、認知症の専門家達から「原因不明で治らない病気」と言われている「アルツハイマー型認知症」の早期診断と回復が可能となり、更なる重症化の防止や予防が可能となるのです。

一般住民は、医師を尊敬し専門家として信頼しているので、事業(ビジネス)としてペイしさえすれば、医療機関が「二段階方式」を活用して早期診断を実施することが、回復と更なる進行の防止の実績を上げるには、一番効果的なのです。そうなれば、「アルツハイマー型認知症」は生活習慣病であるとの認識が一般住民の間に幅広く且つ急速に浸透していくことが期待でき、「予防」が現実のテーマとなるはずなのです。現状では、医療機関が事業(ビジネス)として実践するには、「神経心理機能テスト」の保険点数が低すぎ、「二段階方式」を採用しても事業としてペイしないことが最大のネックとなっています。

従って、現状では自治体の職員(保健福祉課などや在宅介護支援センターや地域包括支援センターの職員)による自主的な予防活動に期待するしかないのです。その場合は、高齢化率が30%を超えてきて、地域で認知症のお年寄りの姿(末期段階の「大ボケ」レベルの人たち)がよく見かけられるようにならないと「予防活動」は市町村のテーマとはなり難いため、平成の大合併により高齢化率が下がった影響もあり、「地域予防活動」の展開が拡大して行き難い状況になっています。

(コーヒー・ブレイク) CTやMRIは、脳の萎縮の度合いを形から判定するだけで、脳の機能レベルを判定することはできません。従って、「アルツハイマー型認知症」の診断にCTやMRIによる画像はまったく役立たないはずなのですが、実際の診断場面では、相当使用されているのです。CTやMRIによる画像診断と「物忘れ」などの記憶の障害による症状の判定とにより、「アルツハイマー型認知症」の診断が医療機関では行われているのです。

更に、「アルツハイマー型認知症」であると診断されると、「原因不明で治らない病気」なので、「治す効果はないが、ケースによっては症状の進行を抑える効果がある」とされている薬が何種類か処方されるだけなのです。その結果、認知症の90%以上を占める「アルツハイマー型認知症」は回復の可能性はなくなり、症状が進行していくだけで、介護費用が膨大なものとなるのです。そのため、介護保険が財政面から破綻していくリスクを抱えることになってしまっているのです。個人の問題としてはもちろん重要ですが、自治体や国の財政面からも、「予防対策」を考えることが不可欠なのです。理由は、「アルツハイマー型認知症」は早期に見つければ治せるし予防することもできる病気、廃用性症候群に属する「生活習慣病」だからです。 

   ○  「二段階方式」による三段階の重症度区分

                    

 「アルツハイマー型認知症」の場合は、前頭葉、左脳、右脳、運動の脳の順に衰え始めていき、並びに小ボケ以降は同時進行的に且つ加速度的に衰えが進行していきます。従って、衰えた脳の機能を回復させる場合はこの逆の順に回復させていくことが大切であり、この視点から脳を活性化させるテーマを選択することが必要です。但し、大ボケのレベルにまで脳の機能が衰えてしまっている場合は、中ボケや小ボケのレベルにまで回復させることさえ困難となります。  

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「アルツハイマー型認知症」になるお年寄りの特徴(A-29)

2012-04-18 | アルツハイマー型認知症の原因

「第二の人生」に入っていったお年寄りは、60歳代以降の高齢者と呼ばれる年代になってから、「アルツハイマー型認知症」(晩発型アルツハイマー病)を発病する人の割合が、年齢が上がるにつれて、どんどん増加していきます。発病する人の割合を示す数値は、定年退職などで「第二の人生」が始まったばかりの60歳代に12%(厚生労働省が200万人と言っているのは、末期段階の大ボケだけの人数です。ここに示す%の数値は、小ボケ、中ボケ及び大ボケの数の総計です。以下、同じ。)もの高い割合を示していて、70歳代に30%、80歳代に50%、90歳代に75%、加齢の極まりの100歳代には97%というように、年をとるにつれて、どんどん増加していくのが特徴です。ここ(N-26)をクリックして読み返してみてください。

そもそも「第二の人生」に入っているということは、普通は高齢者と呼ばれる年齢になっているということなので、「加齢による前頭葉の老化の問題」(第一の要件)を誰でも抱えているのです(N-26)。

それでは、高齢者は誰でも「アルツハイマー型認知症」を発病するのかと言うとそうではありません。70歳代のお年寄りの30%が「アルツハイマー型認知症」になるのに対して、80歳代になっても50%のお年寄りは「アルツハイマー型認知症」にならないで、それなりに「社会生活」を送っているのです。「アルツハイマー型認知症」になるかならないか、その差はどこからくるのか、毎回このブログを読んでいる方はもうお分かりでしょう。

           

「アルツハイマー型認知症」を発病するお年寄りは、前回説明した「カクシャク老人」と呼ばれる人達の生活振りとは対照的な生活振りを送っているのが特徴なのです。その特徴的な生活振り「生活習慣」とは、「時間はたっぷり有るのに、することがない毎日」を送っていることなのです。ただボンヤリと暮らすだけの毎日、言い換えると、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標もない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を毎日送っているのです。

第二の人生に入っていったお年寄りの中で、とりわけ「アルツハイマー型認知症」を発病するお年よりは、日々の脳の使い方という視点から見た「生活習慣」に問題があるのです(第二の要件)。脳の使い方に問題があるということは、言い換えれば、脳の司令塔の「前頭葉」(三頭建ての馬車の御者)の使い方に問題があるということなのです。「アルツハイマー型認知症」になるか、ならないか、その差は、毎日の「前頭葉の使い方の差」、毎日の生活の中で「前頭葉の出番がどの程度あるのか、ないのか」にあるのだということを、第二の人生を送っているお年寄りは、深く心に刻んで欲しいのです。

           

意識的に何かをしようとする時、自分の置かれている状況を判断して、テーマとその内容を企画し、その実施結果をシミュレーションした上で、どのような内容の行為をどのように実行するのかを最終的に選択し、実行の意思決定をするのが「前頭葉」の働きです。ナイナイ尽くしの「単調な毎日」では、前頭葉の出番が少なすぎて、働く場面が足りないということなのです。働く場面が足りない(使われる場面が余りにも少な過ぎる)ので、「前頭葉」が廃用性の機能低下(退化)を起こしてしまうのです。明日からと言わず今日のうちに、この点に焦点を当てて、日々の過ごし方をチェックしてみて欲しいのです。「前頭葉」が不十分にしか使われないことで起きてくる「廃用性の機能低下」は、下図に示すように、小ボケ、中ボケ、大ボケと症状が進むにつれて、直線的ではなくて、放物線を描く衰え方を示していて、加速度的に衰えてくるのです。

    

注)「廃用性の機能低下」とは、或る器官を不十分にしか使わないことが一定期間継続すると、そのことが原因で当該器官の機能が障害されることを言います。廃用症候群による機能障害は、膝の筋肉のような肉体的なものだけではなくて、精神的なものにも起きるのです。これまでのブログの説明でお分かりのように、「アルツハイマー型認知症」は、廃用症候群に属する「生活習慣病」であるというのが私たちの主張です。専門家たちが主張しているような、脳の委縮や、アミロイドベータやタウタンパクの作用が原因で起きてくる病気ではないのです。

 注)本著作物(このブログA-29に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

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「かくしゃく老人」と生活の楽しみ方(A-28)

2012-04-16 | アルツハイマー型認知症の原因

脳の司令塔の前頭葉は、60歳より70歳、70歳より80歳と、年をとればとるほど誰でも老化が進んで、働きが次第に悪くなっていきます。それなら、お年よりは誰でも「アルツハイマー型認知症」になるのかと言うと、そうではありません。「加齢による脳の老化」(第一の要因)についての前回(N-27)の説明に続いて、しばらくは、第二の要因であるナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続という「生活習慣」について説明します。

第二の人生が始まったばかりの60代で早々と「アルツハイマー型認知症」になるお年寄りもいれば、どこでも見かけられる普通のお年寄りもいれば、80代になっても脳がいきいきとしていて「かくしゃく」としているお年寄りもいるのです。

早々と「アルツハイマー型認知症」を発病するお年寄りと生涯かくしゃくとして生きるお年寄りとの違いは、どこにあるのでしょうか?

その差は、脳の老化のスピードの差にあるのです。「脳の老化のスピード差」は、脳の使い方としての日々の「生活習慣の差」から生じるのです。この点に関する詳細なデータは、(N-34)で報告する予定です。

「生涯かくしゃく」と言われているお年寄りは、「前頭葉」の老化の進み方が、年をとるスピードよりもずっと緩やかなのです。年齢相当の老化よりも、脳の老化がずっと遅いのです。

「早々とアルツハイマー型認知症」を発病するお年寄りは、前頭葉の老化の進み方が、年をとるスピードよりもずっと速いのです。年齢相当の老化よりも、脳の老化がずっと速いのです。

かくしゃく老人は、脳を生き生きと使う「生活習慣」をもって日々暮らしているのです:毎日の暮らしの中で、何をどのようにするのかを決める「前頭葉」の出番が多い生活を楽しんで暮らしているのです。

「運動の脳」を使ってスポーツや散歩を楽しむ生活、「右脳」を使って趣味や遊びや人付き合いを楽しむ生活、「左脳」を使って会話を楽しむ生活、更にはボランティア活動や地域の世話役等をやって、地域に役立つ生活をして暮らしているのです。

自分なりの目標や喜びや生き甲斐を持てる生活を送っていて、前頭葉の出番が多いので、前頭葉がイキイキと働き、活性化していて、認知症とは無縁なのです。

「認知症になるか、ならないか」「早々と認知症になるか、身体が持つ限り脳もイキイキと保てるか」:それは、毎日の脳の使い方という「生活習慣」が決め手になるのです。

注)本著作物(このブログA-28に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

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年齢別の発生頻度の高さと日本人の価値観(A-27)

2012-04-13 | アルツハイマー型認知症の原因

「加齢による脳の老化」が「アルツハイマー型認知症」を発病する第一の要因だと言いました(A-26)。それでは、年をとると誰でも「アルツハイマー型認知症」を発病するのかと言えば、そうでないことは皆さんご承知の通りです。回転が速い人はお気づきのように、「加齢による脳の老化」以外の要因があるはずということになりますね。「アルツハイマー型認知症」を発病する第二の要因」は、実は、日々の脳の使い方としての「生活習慣」と密接な関係があるのです。

「前頭葉」は、自分の置かれている状況を判断して、テーマの内容を企画し、その実施結果をシミュレーションした上で、どのような内容の行為をどのように実行するのかを選択し、最終的な実行内容を決定する「評価の物差し」の働きも持っています。「アルツハイマー型認知症」になるお年寄りの年代ごとの割合に、地域差が認められないということは、「何が重要かを判断する評価、価値尺度にも、地域差がない」ことを意味しています。

仕事に対する評価と趣味や遊びや人付き合いを楽しむことに対する評価、言い換えれば、どのような脳の使い方(「生活習慣」)を重視するのかということに関しても、私たち日本人の考え方は、日本全国ほとんど同じで地域差がないのです。価値観、生き方、日常生活での脳の使い方(生活習慣)が、皆ほとんど同じなのです。「アルツハイマー型認知症」の高率での発病と密接な関係がある「生活習慣」とは、どんなものなのか、ここで想像してみてください。第二の人生が始まって、早々とアルツハイマー型認知症を発病するお年寄りの姿を見ていると、気づくことがあるでしょう。

            

「左脳」は仕事や勉強をするための脳、「右脳」は趣味や遊びや人づきあいを楽しむための脳、「運動」の脳は身体を動かすための脳だと言いました。(N-24)を読み返してみてください。最近の若者の考え方は、相当変化してきているのではないかと思いますが、戦後の復興期からほんの最近まで、いわゆる「お年寄り」世代は、その人達が第一の人生を送るとき、脳の使い方が「左脳偏重」の人が多かったのです。つまり、「仕事偏重」の生き方をする人が多かったのです。

「企業戦士」とか「滅私奉公」とかの言葉がマスコミでもてはやされ、仕事に命をかける、家庭を忘れて仕事に全ての時間を費やす、会社に生涯を捧げることをよしとする考え、そうした風潮が日本人の社会的な「評価の物差し」となっていたのです。それが、敗戦後の日本の復興を支えてきた人達が作り上げた「社会規範」だったと言ってもいいでしょう。その社会規範の中で企業戦士として働き続けてきた夫たち(働く夫を支えてきた妻たち)が、夫の定年退職その他を契機にして、第一の人生で築きあげた評価の物差しのままで、第二の人生に入っていったのです。これは、企業に勤めた人を例として分かり易く説明しただけです。働いた先が、企業であれ、学校であれ、病院であれ、自治体や国であれ、農業や林業や漁業や商業に従事したのであれ、現在第二の人生を送っているお年寄りたち皆に共通して言えることなのです。「第一の人生」ではそれが必要だったのですが、「第二の人生」ではそれが逆効果となって現れてくるのです。

      

「仕事一筋」の生き方、「左脳偏重」の生活習慣を疑うこともなく、社会的な規範として抵抗もなく受け入れて第一の人生を送ってきた人達は、第二の人生に入っていくと、仕事以外のことには価値を見出し難いのです。第一の人生での体験が少ないことも一因なのですが、趣味とか遊びとか運動とかに価値がおけなくて、熱中することが出来ないのです。年をとった自分がそうしたことに熱中することに評価がおけないし、恥ずかしいことと考える人達も少なくないのです。若い者が働いているのに、年寄りが遊んでなんかいられないと公言するのです。その上、日本人は、相互に家に呼びあうような「密な人づきあい」は余りしません。こうした価値観を変えることが出来ない人達は、第二の人生が始まり、生きていく上での「生きがい」や「喜び」や「目標」を与えてくれていた「仕事」がなくなったとき、「仕事以外のテーマ」をどのように持って、どのように毎日を過ごしだらいいのか分からないのです。生きがいや喜びを与えてくれるもの、目標となるものもなく、時間をもてあますのです。生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標もない、ナイナイ尽くしの「単調な毎日」を過ごすことになるのです。北海道から九州まで、そうしたお年寄りの姿をたくさん、私たちは見てきました。

このような生き方、脳の使い方としての「生活習慣」が、「アルツハイマー型認知症」の発病と密接な関わりがあることについては、(N-30)で詳しく説明する予定です。

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認知症の年齢別発症頻度とその意味(A-26)

2012-04-11 | アルツハイマー型認知症の原因

 私たちがこれまでに「アルツハイマー型認知症」の早期発見と回復及び予防の為の地域予防活動を展開してきた市町村(高齢化率が30%を超える市町村)において畜積したデータによると、下記(認知症の人の年齢別発生頻度)のグラフに示す通り、「アルツハイマー型認知症」を発病している小ボケ以下の人たち(「小ボケ」、「中ボケ」及び「大ボケ」レベルの全て)の年代ごとの割合は、定年退職などで「第二の人生」が始まったばかりの60代に12%もの高い割合を示していて、70代に30%、80代に50%、90代に75%、加齢の極まりの100歳代に97%というように、年をとるにつれて、どんどん増加していくのが特徴です。 高齢化率が30%を超える市町村のどこかの地域で、70代のお年寄りがアトランダムに100人集まると、30人はもう「アルツハイマー型認知症」を発病しているのです。「小ボケ」(社会生活に支障がある)か、「中ボケ」(家庭生活に支障がある)か、「大ボケ」(セルフケアにも支障がある)か、どれかのレベルになっているのです。

       

 更に上記の「データ」は、私たち日本人の日常生活面での「脳の使い方」、言い換えれば、「生活習慣」についても重要なことを示唆してくれていることに注意を向けることが必要です。このことについては、次回(N-27)の報告で問題を提起したいと思います。

上記の「データ」は、直接には、以下のことを示しています。

○  「アルツハイマー型認知症」の対象は、60歳以下の人は殆どいなくて、高齢者と呼ばれる60歳以上の年齢のお年寄りに限られている;

○  年をとるほど「アルツハイマー型認知症」の人の割合が増えていき、身体も限界の100歳代では、殆どの人が(97%の人が)「アルツハイマー型認知症」になっている;

○  「アルツハイマー型認知症」になっているお年寄りの年代ごとの割合が、北海道、東北、関東、東海、中部、北陸、近畿、中国、四国、九州のどの地域をとってみても、どこも殆ど同じで、地域差が認められない。

こうした「データ」から、「アルツハイマー型認知症」を発病する要因は、食べ物でも金属の摂取でもなくて、「加齢による脳の老化」という問題が基本的な条件(第一の要件)として考えられるのです。

上述のように、「アルツハイマー型認知症」を発病する対象者は基本的に60歳以降の高齢者だけです。「脳の老化」と言う問題が基本にあるから、「アルツハイマー型認知症」は若者には関係なくて、「60歳以降のお年寄りだけが対象になる」と考えられるのです。

アミロイドベータやタウタンパクが原因とされる老人斑の生成や神経原繊維変化は、脳機能の廃用性の機能低下による副産物(「結果」)であって、「アルツハイマー型認知症」発症の直接の「原因」ではないと私たちは考えています。

但し、年をとれば誰でも「アルツハイマー型認知症」を発病するわけではありません。70歳代の人たちの70%の人達は、「前頭葉」の機能が正常レベルを保っていて、年相応のレベルでの「社会生活」を送っているのです。「アルツハイマー型認知症」を発病する30%の人達と発病しない70%の人達とを区分けしている鍵となる「第二の要因」とは一体何なのか。その第二の要因は、実は、第二の人生での脳の使い方(「生活習慣」)にあるのです。「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズムについては、第二の要因の「類型パターン」を含めて、(N-30)で詳しく説明します。

注)本著作物(このブログA-26に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

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認知症の専門家は、「前頭葉」の働きを無視している(A-25)

2012-04-09 | アルツハイマー型認知症の原因

世間で認知症の専門家と言われる人達は、世界的に権威がある米国精神医学会の診断規定であるDSM-4」の規定の影響を強く受けているので、「重度の記憶障害」の症状を認知症診断の「第一の要件」と考えています。(記憶障害については、軽度の記憶障害即ち軽度の「物忘れ」の症状は、30代後半から正常な人の場合でも現れ始めるので、重度の記憶障害に焦点を当てているのです)。言い換えると、私たちの区分である「重度認知症」(大ボケ)の段階になって初めて出てくる「重度の記憶障害」の症状が現れるようにならないと、「アルツハイマー型認知症」とは診断しないのです。世間では、私たちが「アルツハイマー型認知症」の始まりの段階と考えている「軽度認知症」(「小ボケ)は、単なる「不活発病」として、「中等度認知症」(「中ボケ)は「老化現象」としてしかとらえていなくて、見逃してしまっているのです。脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)の機能だけが異常なレベルに衰えてきている「小ボケ」の段階では、左脳も右脳も未だ正常レベルなのです。そもそも、「脳の働き具合」のアウトプット自体が、「症状」となって現れるのが「アルツハイマー型認知症」の特徴なのです。左脳や右脳や運動の脳と協働しつつ、それらをコントロールしている脳の司令塔の「前頭葉」が正常に機能しなくなった段階で、その働き具合のアウトプットも同時に異常なレベルのものになってしまうのです。つまり、認知症の「症状」として発現するのです。この「小ボケ」の段階で、「社会生活」に支障が出てきているのです。言い換えると、脳の司令塔の「前頭葉」が正常に機能しなくなった段階で、「アルツハイマー型認知症」はもう始まっていると考えるべきなのです。

回復可能な「小ボケ」や「中ボケ」の早期の段階で「アルツハイマー型認知症」を見つけるには、「前頭葉」の働き具合を計測する手技を活用することが不可欠なのです。MMSテストで30点の満点を取る人たちの中にも、「前頭葉」の機能テスト(私たちは、「かなひろい」テストを使います)で調べてみると、異常なレベルに衰えている人達が相当数いるのです。この人たちの生活の自立度を調べてみると、「社会生活」に支障が出てきているのです。従って、左脳や右脳や運動の脳が正常レベルでありながら司令塔の「前頭葉」の働きだけが異常なレベルに衰えてきている段階があることに、専門家が早く気づく必要があるのです。「DSM-4」といえども、完璧ではありません。間違いを犯すことはあるのです。専門家とされる人たちは、世間からレスペクトされていて与える影響が大きいのだから、そのプライドにかけても、「DSM-4」の定義の内容を疑うこともなくそのまま診断に使用したりするのではなくて、そこに記載された内容が本当に正しいのかどうかをチェックしてみる態度も必要だと思うのです。

(コーヒー・ブレイク)  「DSM-4」は、「アルツハイマー型認知症」の要件について、「記憶の障害」(程度についての規定が欠けている)を第一の要件とし、失語、失効、失認又は実行機能の障害を第二の要件としている(最後の項目に挙げられている実行機能というのが「前頭葉」の機能のことです)ので、回復可能な「早期の段階」を見逃してしまうのです。回復困難な末期の段階で「アルツハイマー型認知症」を見つけることに何の意義があるのかと専門家は疑ってみたりはしないのでしょうか。

     ○ 「意欲、注意集中力と注意分配力」の加齢による老化のカーブ

      

脳全体の司令塔で、置かれている状況を判断したり、何かを思いついたり、計画を立てたり、工夫したり、洞察や推理をしたり、機転を利かせたり、各種の高度な働きを担当している「前頭葉」の機能、中でも、その認知機能を正常に発揮する上でとりわけ重要な「認知度」を左右する三本柱の、「意欲」、「注意の集中」及び「注意の分配」の働きには、上記「意欲、注意集中力と注意分配力 」のグラフにみられるように、「加齢と共に老化し衰えていく」という重要なしかし専門家からは見過ごされている性質があるということを、ここで問題提起しておきたいと思います

18歳から20歳までがピークで、20歳を過ぎるころから100歳に向かって、緩やかではあるけれど、一直線に衰えていくのです。 「アルツハイマー型認知症」を発病する人の割合が急に多くなってくる60代後半にもなると、前頭葉の働き具合は、ピーク時の18歳から20歳の頃に比べて、「働き」が半分以下に衰えてきているのです。70歳代、80歳代、90歳代、100歳代と、年をとればとるほど、前頭葉の働きがさらに衰えていって、正常なレベルを保ちつつもどんどん低空飛行になっていくのです。

認知症の大多数90%以上を占めていて、皆さんが普段よく目にしていて、専門家からは原因も分からないし治らないと言われている「アルツハイマー型認知症」の正体は、加齢による脳の老化という問題が基本にあるのです。「加齢による脳の老化」という問題が基本にあるから、アルツハイマー型認知症は、若者には関係なくて、「60歳代以降のお年寄りだけが対象になる」のです。 なお、「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズムについては、(N-30)で詳しく説明する予定です。

        

回復が困難で介護の対象でしかない「大ボケ」レベルの人は、厚生労働省の発表数字で300万人超もいるのです。 その上、(私たちが蓄積してきたデータによると)、「小ボケ」と「中ボケ」とを合わせた人数(「大ボケ」の予備軍の人数)は、「大ボケ」の人数の4倍にもなるのです。 回復が困難な「大ボケ」の人数に、「回復」がまだ可能な早期レベルの認知症の人たち、「小ボケ」と「中ボケ」とを加えると、日本ではすでに1000万人もの「お年寄り」が、認知症を発病していることになるのです。そして、「アルツハイマー型認知症は、原因不明で治らない病気」として手をこまねいていると、「小ボケ」の人は中ボケに、「中ボケ」の人は大ボケに進んでしまうのです。「大ボケ」に進んでしまうと、もはや回復は困難となり、「介護」だけがテーマとなるのです。

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脳の働きで見つける認知症と症状の3段階(A-13)

2012-03-20 | アルツハイマー型認知症の原因

私達の意識的な行動は、脳の司令塔の「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)が左脳や右脳や運動の脳と協働しつつ、且つそれらを主導して実行されています。

何らかの原因で脳の機能が全般的に機能低下したことにより、私達が意識的に何かを実行しようとするとき、生活面に支障が出てくる病気のことを「認知症」と言います。どんな生活面で支障が出ているのかは、高度なレベルから順に「社会生活」、「家庭生活」、「セルフケア」の3つに区分されます。

どんな内容、レベルのものであれ、「社会生活」を行うのに要求される脳の機能レベルは「家庭生活」に要求される脳の機能レベルよりも高いものが要求されるし、「家庭生活」を行うのに要求される脳の機能レベルは「セルフケア」に要求される脳の機能レベルよりも高いものが要求されることについては、誰も異論はないと思います。

また、「脳の機能が低下」していることが原因で生活面に「支障」があると言うことは、支障が「症状」として認められると言うことです。

私たちは、こうした視点から、この3つの生活区分に対応した「脳の機能レベルにリンクした症状」について、データを蓄積してきたのです。蓄積されたデータを分析し、「アルツハイマー型認知症」の脳の機能の衰え方とそれに対応した症状、つまり「3段階に区分」され、且つ、それぞれに「グループ分け」された「段階的症状」をパターン化しています。

脳全体の司令塔の 前頭葉」の働きが異常なレベルに衰えてきている人達、言い換えると認知症の症状を示している人達は、脳の働き具合とそれに対応した症状のレベルから区分すると、軽いほうから軽度認知症「小ボケ」(社会生活に支障)、中等度認知症「中ボケ」(家庭生活に支障)、重度認知症「大ボケ」(セルフケアに支障)の「三つの段階」に区分されるのです。 

    

上の図は、協働しながら働く最高次機能(前頭葉)と高次機能(左脳及び右脳)の働きが、同時進行且つ加速度的に衰えていくその衰え方を「かなひろい」テストと「MMS」テストの二種類の「神経心理機能テスト」を使って調べた結果を示しています。

 社会生活が支障なくできていた脳の働きが、何かを「キッカケ」としてナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続することにより、老化が加速され、廃用性の機能の退化が進んでいくとき、「衰え方の順序がある」ことが分かってきたのです。

脳全体の司令塔の役割をしている最高次機能の「前頭葉」が先に衰えていきます。次いで、前頭葉と相互に情報のやり取りをしている高次機能の「左脳」と「右脳」が衰えていくということです。このとき、全ての脳の衰え方は、何年もかけて徐々に衰えていくとは言え、直線的ではなくて加速度的に衰えるのが特徴です。更に、専門的になるのでもっと先で報告しますが、左脳と右脳の衰え方にも「規則性がある」のが特徴です。

こうした「衰え方の規則性」は、アルツハイマー型認知症に特有のものなので、認知症の症状を発現している人が、「アルツハイマー型認知症」であるかどうかの判定・鑑別の強力な武器となるのです。

認知症にも、たくさんの種類があります。とはいえ、アルツハイマー型認知症と脳血管性認知症とで95%ほどを占めてしまうのです。回復させることも、予防することも可能な「アルツハイマー型認知症」だけで90%以上を占めるのです。

この報告の中で何度も言及してきたように、「アルツハイマー型認知症」について専門家は、原因も分からないし、治すこともできないと言っています。それは、「重度の記憶障害」を認知症診断の第一の要件と考える過ちにより、見つける段階が遅すぎる、末期段階の「重度認知症」の段階で見つけている結果であって、本来の性質からすれば、廃用症候群に属する「生活習慣病」にすぎないのです。

その根拠は、(N-05)で詳しく説明してあるので、読み返してみてください。

注)本著作物(このブログA-13に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

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「不活発病」の正体と回復方法(A-12)

2012-03-19 | アルツハイマー型認知症の原因

私たちの「脳機能データ」を基に考えると、昨年の東日本大震災を被災されたお年寄りの何割にも相当する多くの人達を対象(「第二の人生」を送っている60歳を超える年齢の「高齢者」だけが対象)にして、今後5~6年が経過すると、「アルツハイマー型認知症」に特有の、且つ極めて重い「症状」の発現が確認されるようになってしまうのです。

同居していた家族や兄弟、住居や家財や家畜、田畑や店舗や舟や車を含む財物、野山や海岸、大切な風景や想い出、職場、それらの全てを一瞬の内に呑み込み奪い去って行った未曽有の災難、東日本大震災の被災を「キッカケ」にして、何事にも意欲を喪失してしまい、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものも無い単調な毎日の連続、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」が継続していると、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」(「前頭前野」を言うものとする。以下、同じ)を含む脳全体の機能が廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させていき、その先に、「アルツハイマー型認知症」の発病が待っているのです。その最初の段階が私たちの区分で言う「小ボケ」の段階であり、次いで、「中ボケ」の段階が有り、最後に、末期の段階である「大ボケ」の段階へと症状が進んで行くのです。

被災を「キッカケ」としてナイナイ尽くしの単調な生活が始まり、キッカケから半年から1年が経過するまでの期間が発病までの期間(意欲の喪失の程度によりこの程度のタイムラグが生じる)であり、小ボケの期間が3年間、中ボケの期間が2~3年間で、最後は、末期の段階である大ボケの段階に入っていくのです。「脳のリハビリ」(「前頭葉」を含む脳全体の活性化を目的とした、脳の使い方としての「生活習慣」の改善と工夫とその実践を言う)により回復させることが比較的容易な段階が小ボケの段階であり、未だ可能である段階が中ボケの段階であり、末期の段階である「大ボケ」の段階にまで「前頭葉」のの機能を含む脳全体の機能レベルが衰えてきてしまうと、もはや回復させることは困難となり、「介護」の道しか残されていないのです。その「大ボケ」の段階で初めて「アルツハイマー型認知症」の発病であると診断しているのが、医療現場の実態と言うことなのです。

 回復させるのが比較的容易な軽度の認知症の段階(小ボケ)は、研究者達が「不活発病」という名で呼んでいるものであり、認知症の専門家達が「老化現象」と混同しているものが中等度の認知症の段階(中ボケ)であり、末期の段階である重度の認知症の段階の症状の発現の確認に加えて、重度の「記憶障害」の症状の確認が「アルツハイマー型認知症」と診断する上での第一要件だと思い込んでいる精神科医からは、小ボケ及び中ボケの段階の症状は、認知症の症状とは見られていないのです。

廃用性の「生活習慣病」(但し、食生活ではなくて、脳の使い方としての「生活習慣」であることに留意する)をその本態とする「アルツハイマー型認知症」の場合は、本当の意味での早期の段階(「小ボケ」及び「中ボケ」の段階)で見つければ、「脳のリハビリ」により正常なレベルに回復させることができる(症状を治すことが出来る)ものなのです。世界中の認知症の専門家達が『「アルツハイマー型認知症」は治すことが出来ないタイプの認知症である』としているのは、病気それ自体の性質によるのではなくて彼らが見つけて居る段階が遅すぎるだけのことなのです。彼らは、末期の段階であり私たちの区分で言う「大ボケ」の段階でしか「アルツハイマー型認知症」を見つけることが出来ないでいるが為に、『治すことが出来ない』と誤解しているだけなのです。

 そこで、被災地に居住する高齢の人達は、前回の報告(N-07)で提案した、「1日5000歩」を目安に、「速足での散歩」をとりあえず始めてほしいのです。 

自身の「生きがいや喜び」につながるような「テーマ」や「目標」に取り組む生活があった方が、「前頭葉」の活性化にとってより効果的なのですが、被災地の高齢者にとっては、現在おかれている環境を考えると到底無理なことでしょう。

そんな人達であっても、仮設住宅で知り合った人達と一緒に、「一日5000歩」を目安に「速足での散歩」を日課とすることなら、無理なことではないでしょう。散歩をする時、意識的に膝を高く上げるようにすると、脳への刺激が一層高まります。

実は、これを日課として「数ケ月から半年の間」続けることで、「不活発病」という名前をつけられているレベル、私たちの区分で言えば「アルツハイマー型認知症」の最初の段階である「軽度認知症」(小ボケ)のレベルから、の正常なレベルに回復してくることが出来るのです。半年を回復の目安にして、頑張ってみてください。

「軽度認知症」(小ボケ)を脳の機能の面から説明すると、左脳、右脳と運動の脳はすべて正常レベルにあって、最高次機能である司令塔の「前頭葉」の機能だけが異常なレベルに衰えてきている段階なのです(「アルツハイマー型認知症」における脳の機能の衰え方とその特徴に関するデータは、後ほど開示して説明します)。従って、「小ボケ」のレベルから「正常なレベル」に回復させるポイントは、「前頭葉」の出番が多くなるようなテーマを日々の生活に取り入れ、「前頭葉」機能の「3本柱」である「意欲」と「注意の集中力」と「注意の分配力」の機能をしっかり使ってやることなのです。3本柱の機能が元気を回復することが、「前頭葉」の機能が元の正常レベルに回復することに直結しているのです。

「速足での散歩」が脳を活性化させるメカニズムについては、(N-07)の報告で、詳しく説明してあるので、読み返してみてください。 

 注)本著作物(このブログA-12に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

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末期段階の症状が認知症との誤解が世間の常識に(A-09)

2012-03-16 | アルツハイマー型認知症の原因

認知症の大多数を占める「アルツハイマー型認知症」は、認知症を扱うのが専門の精神科医や研究者たちの間で、「原因も分からないし、治すことも出来ない病気」とされています(多数出版されている認知症に関する書籍でも、多数開設されているブログの記事でも同様です。基本的に、原因不明で治らない病気として扱われています)。

(ここで、コーヒー・ブレイク) 書籍やブログの記事の中で、「認知症の回復とか予防」という言葉が使われていることがありますが、それは、アルツハイマー型認知症以外のタイプの認知症に使われているにすぎません。一番良く使われているのは、脳血管性認知症の場合です。その予防方法としては、調和のとれた食事、適切な運動、十分な睡眠などがテーマに取り上げられているようです。

ところが、周りのお年寄りの生活実態をよく観察して見ると、多数を観察すればするほど、「専門家が言っていること及び診断や研究の対象としていること」と「実態」とは違っていることが分かります。皆さんも、周りのお年寄りの生活振りを良く観察してみてください。

昨日まで普通に生活できていたお年寄りが、一晩寝たら、突然身の回りのことも出来なくなり、ズボンを頭から被ったり、住んでいる家が分からなくて徘徊したり、同居している家族の顔も名前も分からなくなったりはしないのです。

つまり、同居して一緒に生活している家族に、状況や生活ぶりを詳しく聞いてみると、最初に「ちょっとおかしいな」と気づいたときから3年以上、時には7~8年もかかって症状が次第に重くなってきていることがわかります。

最後の「重度の段階」、(N-51)で取り上げる例に見られるような末期の症状を示す段階が、せっかく見つけても手遅れの段階、「原因も分からないし治すこともできない」とされている「重度認知症」(大ボケ)なのです。

この段階になると脳の器質的変化が起きてきているため機能は元の正常レベルに回復することはもう出来ません(N-05を読み返してみてください)。症状がこの重度の段階にまで進んでからお医者さんが見つけているので、「原因も分からないし、治らない」と言うことになってしまうのです。

(再度、コーヒー・ブレイク) 末期段階の重度の症状が出てきてどうにも手に負えなくなって初めて、家族が病院に連れて行くのです。そのために、アルツハイマー型認知症は「原因も分からないし、治らない」という誤解精神科医の間に広まり、それが世間の常識にされてしまったのです。

「アルツハイマー型認知症は、治らない病気」なのではなくて、「発見が遅すぎるために、治らなくなっている」だけなのです。その他の一般の病気と同じように、「早期発見と早期治療が大切な病気」なのです。

 それだけで、驚かないでください。後の報告で詳説しますが、「予防」することもできるのです!

 注)本著作物(このブログA-09に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

エイジングライフ研究所のHP(ここをクリックしてください)

 

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器質的変化ではなくて廃用性の機能低下が本質(A-05)

2012-03-11 | アルツハイマー型認知症の原因

組織や細胞が変形、変性あるいは破壊され、元の形に戻らなくなるように変化することを器質的変化といいます。

「アルツハイマー型認知症」は、アミロイドベータの作用によりもたらされる「老人斑の生成」とか、或いはタウ蛋白の作用によりもたらされる「神経原繊維変化」とかの「器質的変化」が本質の疾患とするのが専門家たちの主張ですが、私たちは、廃用性の機能低下が本質の疾患だと考えています。

「 脳の働き具合」とリンクした「症状」の多数に上るデータの分析結果から、「アルツハイマー型認知症」は、加齢による脳の老化を(第一の要件)とし、前頭葉を使う機会が極端に減少する「単調な生活」の継続による廃用性の機能低下を(第二の要件)として、両者の相乗効果により、脳機能の廃用退化をおこし、加速度的に異常なレベルに機能を低下(退化)させていく病気だと考えています(発病のメカニズムについては、「N-30」 で詳しく説明します)。

         

 「軽度認知症」(小ボケ)のレベル(MMSの換算値が24点~30点)では、左脳と右脳の働き具合は未だ正常レベルにあるのですが、司令塔の「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)の働き具合は、もはや正常レベルにはなくて異常レベルに衰えてきています。但し、このレベルでは、器質的変化は未だ起きていなくて、機能的退化が起きてきているに過ぎません。理由は、この初期の段階で発見できれば、脳のリハビリによって、脳の機能は比較的容易に正常レベルに回復させることが出来る(回復容易)からです(N-36以下で、詳説します)。

「中等度認知症」(中ボケ)のレベル(MMSの換算値が15点~23点)では、左脳と右脳の働き具合も異常レベルに衰えてくる上、司令塔の前頭葉の働き具合は、軽度認知のときに比べて更に異常なレベルに衰えてきています。但し、このレベルでも、MMSの換算値が20点以上を確保できている中等度認知症の前期までの段階であれば、器質的変化は未だ起きてきていなくて、機能的退化が起きてきているに過ぎないのです。理由は、この段階で発見できれば、集団による脳のリハビリでも、脳の機能を正常レベルに回復させることが可能(回復可能)だからです。

更に、MMSの換算値が15点から19点までの中等度認知症の後期レベルに衰えてくると、個別で頻度と密度の濃い脳リハビリを取り入れることにより、回復させることが未だ可能なのですが、家族に大きな負担がかかる条件下での脳リハビリの実施という困難が伴います。

「重度認知症」(大ボケ)のレベル(MMSの換算値が14点以下)では、左脳及び右脳の働き具合が中等度認知症のときに比べて更に異常なレベルに衰えてくる上、運動の脳も異常なレベルに衰えてきます。その上、脳全体の司令塔の「前頭葉」の働き具合は、中等度認知症のときに比べ更に加速度的に機能が衰えていくので、殆ど機能しなくなってきているのです。加えて、MMSの換算値が14点から11点へと低下してくるにつれ、徐々に器質的変化が現れてきて、10点以下のレベルでは、顕著な器質的変化が起きてきていると考えられるのです。理由は、この末期段階の「重度認知症」の段階では、脳のリハビリに効果が期待できなくなる(回復困難)からです。

アルツハイマー型認知症の専門家といわれる研究者や医師たちは、この末期段階の「重度認知症」の段階だけを捉えて認知症であると判断しているため、本来は機能的退化が本質なのに、器質的変化を起こしていることがアルツハイマー型認知症の本質であると本質を見誤っているのです。

 「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症は、「脳の働き具合」のアウトプットが「症状」の程度・態様として出現してくるものなのです。脳の機能レベルが症状の程度態様とリンクしているわけですから、脳の機能退化がもっと、ずっと軽い段階から且つ症状の進行を段階的継続的に変化移行していくものとして捉え、データを集積し、分析して、的確な判定や診断につなげてほしいと願うのです。

認知症の大多数、90%以上を占める「アルツハイマー型認知症」も、早期発見・早期治療が鍵になるのです。「原因不明で治らない病気」ではないのです。 廃用症候群に属する「生活習慣病」の一つにすぎないのです。 

「生活習慣」と言うと、調和のとれた食事、適切な運動、十分な睡眠などが直ぐテーマにされるのですが、「アルツハイマー型認知症の回復と予防」には、北海道から九州まで日本人全体について、「脳の使い方」と言う視点からの「生活習慣の見直し」が不可欠です。こうした視点からの「脳を活性化する生活習慣」を全国民的なテーマとして、特に、第二の人生に入っている高齢者(及び第二の人生を迎えようとしている50歳代の人たちを含む)に呼び掛けていきたいと考えています(N-54で詳説します)。

注)本著作物(このブログN0-05に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

 エイジングライフ研究所のHP(ここをクリックしてください)

 

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主な認知症の種類と全体に占める比率(A-04)

2012-03-10 | アルツハイマー型認知症の原因

わが国では、認知症の患者がどんどん増えてきています。認知症にもいろいろな種類があるのですが、その大多数90%以上を占めるのがアルツハイマー型認知症と呼ばれるものです。その正体は、毎日の脳の使い方としての「生活習慣」に起因する病気、「生活習慣病」なのです(N-30で詳説の予定)。

日本では、「若年性のアルツハイマー病(狭義のアルツハイマー病)」と「老年性のアルツハイマー型認知症」とをまとめて「アルツハイマー病」と総称している人達(機関を含む)がいますが、これは誤解を生むことになるのです。

若年性アルツハイマー病(狭義のアルツハイマー病)は、アルツハイマー型認知症とは性質が根本的に異なるものです。発病のメカニズムも全く異なるものなのです。

 「狭義のアルツハイマー病」は、特定の遺伝子に生まれつき異常が認められる人にしか認知症を発症してこないのです。しかも、発病する年齢は、早いと30代で遅くても50代どまりなのです。

そして、発病後に症状が進行する速さも、「アルツハイマー型認知症」の場合の症状の進行度合いとは全く異なる、比べ物にならない速さで進行するのです。

そのうえ、現在の医療レベルでは、症状の進行を抑制する方法も、症状を回復させる方法もありません。認知症全体に占める割合も、「老年性のアルツハイマー型認知症」が90%を超えるのに対し、狭義の「若年性アルツハイマー病」は1%程度に過ぎないのです。

 注)本著作物(このブログN0-04に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

エイジングライフ研究所のHP(ここをクリックしてください)

 

  http://blog.goo.ne.jp/quantum_pianist

 

 http://blog.goo.ne.jp/kuru0214/e/d4801838dd9872301e0d491cd8900f1a

 

 


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