認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

「単調な生活」が始まる「キッカケ」となる生活状況(その1)(A-68)

2012-11-21 | アルツハイマー型認知症に対する正しい知識

「アルツハイマー型認知症」の発病(認知症の症状の発現)は、「2つの要件」が充足されることにより起きてきます。(発病のメカニズムについては、ここを「クリック」してください)。その「第一の要件」は、「高齢者」と呼ばれる年齢のお年寄りであることです。「アルツハイマー型認知症」(「老年性アルツハイマー病」とも言います。)を発病する人たちの実態を調べてみると、60歳以上の年齢のお年寄りに限られていることが分かります。なお、60歳にならない若い年齢で発病するのは、遺伝子の異常が原因で発病する「アルツハイマー病」(「若年性アルツハイマー病」とも言います。両者の名前は似ていますが、発病のメカニズム、発病後の症状の進行、回復の可能性など、両者は性質を全く異にします。)なので、混同しないよう注意してください。

更に、「第二の人生」に入っているお年寄りを対象に調べてみると、注目すべき全国共通の実態として、「アルツハイマー型認知症」を発病する人の割合が、年齢が上がるにつれて、どんどん増加していくことがわかるのです。(ここを「クリック」してください )。「認知症」を発病していて回復が困難な末期段階の「重度認知症」(大ボケ)のレベルにある人達の総数は、厚生労働省が今年の8月に数値を従来の200万人から300万人に変更したように、これまでの見通しをはるかに上回るスピードで増加しているのですが、その大多数90%以上を占めているのが「アルツハイマー型認知症」なのです。然も、この300万人という数字は、末期段階の回復が困難な「重度認知症」(大ボケ:認知症の専門家とされる医師たちは、「DSM-4」という権威はあるが誤った内容の「診断基準」に基づいて診断するので、この段階にならないと、「アルツハイマー型認知症」とは診断しないのです)だけの数字であって、その前段階の回復が可能な「中等度認知症」(中ボケ)と始まりの段階の回復が容易な「軽度認知症」(小ボケ)とを合わせた数は「大ボケ」の数の3倍にもなるのです。

「第二の人生」に入っているお年寄りの中の或る人は、「生き甲斐や目標があり」、時には喜びや感動を覚えるといった生活を日々過ごして居り、或る人は、「生き甲斐も目標もなく」、喜びや感動を覚えることもないといった生活を日々過ごしている訳なのですが、いずれの側の生活をしていようとも、言い換えると、「どんな生活習慣」を基礎として毎日を過ごしていようとも、「高齢者」である限りお年寄りは誰でも、「前頭葉が、加齢に伴い機能を老化させていく」という問題を抱えているのです(どのような「生活習慣」の下で生きていようと、「高齢者」と呼ばれる年齢のお年寄りは誰でも、脳が「正常な老化」のカーブをたどりながら、機能のレベルがゆるやかに且つ直線的に低下してゆくのです)。これが、「アルツハイマー型認知症」を発病する為の「第一の要件」となっているのです(これは、全てのお年寄りに「共通」する条件なのです)。認知症を専門に研究している人たちは、「アルツハイマー型認知症」を発病する対象は、(脳の機能が、加齢による「正常老化」のカーブを辿って、一定のレベルにまで衰えてきている年齢のお年寄りに限られている)という実態に目を向ける必要があるのです。

それでは、「高齢者」と呼ばれる年齢のお年寄りは誰でも、「アルツハイマー型認知症」を発病するのかと言うとそうではありません。「アルツハイマー型認知症」を発病することになるかならないか、何がそれを仕分けるのか。それが今日のテーマである、「キッカケ」となる「生活状況」の発生とそれに対する、本人の「受け止め方と対応の仕方」の話なのです。

ところで、(少し横道にそれる話なのですが)施設に入居している「重度認知症」(大ボケ)の段階のお年寄りにかかる毎月の「介護保険」の費用だけでみても、約40万円かかっているのを皆さんご存知でしょうか(この他に、個人負担額が約10万円ほどかかります)。費用の高額さだけに驚かないでください。この段階のお年寄りがわが国には、現在300万人もいるのです(厚生労働省の発表数字です)。認知症のお年寄りにかかる介護費用の総額は、介護保険の費用と個人の負担分とを合わせると、我が国の国家収入金額(一般会計での歳入金額)の半分近くに達するほどの巨額なものになっているのです。

「アルツハイマー型認知症」の定期健診制度の導入と早期診断による「回復」と「予防」を「国民的な課題」にしないと、我が国の若者や子供たちの将来はないと思いませんか。(ここを「クリック」してください)。その上我が国には、国と地方自治体とを合わせると、総額1000兆円にも達する債務が累積しているのです。12月には衆議院の総選挙が実施されます、こうした問題も踏まえて、よく考えて、投票していただきたいと思うのです。

「超高齢化社会」を実現した我が国では、どのお年寄りにとっても”20年も30年”もある「第二の人生」を、ボケ(「アルツハイマー型認知症」)とは無縁で、自分らしくいきいきと生きることは、本人にとっても、家族にとっても、国の財政にとっても、極めて重要なことなのです。

ところで、ボケないために不可欠な、脳を生き生きと使う、自分なりの「生活習慣」を打ち立てるための「大原則」とは、何か。それは、「左脳」(仕事)を中心に据えて、「周りの人達に負けまいと頑張って生きてきた」第一の人生での「生き方」(価値観;生活習慣)に大きく舵を切って、「右脳」を中心に据えた「目標」を設定し(それが無理な人は、せめて「運動の脳」を中心に据えた目標を設定し)、「他人は他人として、自分なりの生活の楽しみ方」を追求すること、「自分の置かれた状況を肯定して、自分なりに人生を楽しむ生き方をすること」、「この生き方」が、「アルツハイマー型認知症」を予防する唯一無二の「特効薬」だと、以前書いたこのブログで言いました。

「アルツハイマー型認知症」を予防するには、日常生活のいろんな場面で、「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)を含む脳全体を「しっかりと使ってやる」ことが必要不可欠の条件なのです。脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」には、そもそも、加齢とともに働きが衰えていくという性質(発病の「第一の要件」)があるからです。「アルツハイマー型認知症」を発病しないためには、老化のカーブ(上述した「正常老化」のカーブ)を支えていくこと(下支えする「生活習慣」を構築し、維持すること)が不可欠の条件となるのです。

自分なりの「目標」がある生活、その「目標」を達成することで「生き甲斐」や「喜び」や「感動」が得られることが、その過程での「意欲」や「注意の集中力」や「注意の分配力」という「前頭葉」の三本柱の出番を多くすることになり、「脳を活性化」させ、廃用性の老化を防止することになるのです。そうした「前頭葉」の三本柱の出番が多い「生活習慣」の下では、発想、創意、企画、構成、計画、工夫、観察、分析、理解、把握、考察、洞察、推理、予見、シミュレーション、組み換え、修正、変更、整理、機転、興味、創造、感動、評価、判断、抑制、忍耐及び決断等の「前頭葉」の高度な諸機能が、それなりに働く機会が与えられることで、「年齢相応」の自分なりの「機能のレベル」を維持することが出来ることになるのです。

世の中の専門家たちから原因がわからないと言われている「アルツハイマー型認知症」は、「前頭葉」を含む脳の機能が、廃用性の機能低下(使われる機会が極端に少ないために、機能が衰えてくること)により、加速度的に異常なレベルに衰えてくることが原因で発病するのです。言い換えると、「アルツハイマー型認知症」は、廃用症候群に属する「生活習慣病」にすぎないのです。認知症の専門家といわれる医師や研究者たちは、「脳の機能レベル」という視点を欠き、「症状」だけにしか目がいかなくて、「前頭葉」に焦点を当てることがこれまでなかったのです。その上、アミロイドベータとかタウタンパクなどの横道に目がそれてしまい、「アルツハイマー型認知症」発病の原因を究明することができなかったのです。「アルツハイマー型認知症」の症状は、「前頭葉」を含む脳の機能が異常なレベルに衰えてきたことの単なるアウトプットにすぎないのです。したがって、「前頭葉」の出番が多い「生活習慣」を維持することにより機能が正常なレベルに保たれている限り、「アルツハイマー型認知症」を発病することはないのです。(脳の衰え方の順序と特徴については、ここを「クリック」してください)。

自分なりの「目標」がある生活、その目標を達成することでの「達成感」や「喜び」や「感動」や「生き甲斐」が得られる生活を送ることで、三本柱の機能を含む「前頭葉」の諸機能の「出番を増やしてやる」(しっかりと使ってやる)ことしか他に、「アルツハイマー型認知症」の発病を予防する方法はないし、回復可能な早期の段階(回復が容易な「小ボケ」の段階及び回復が未だ可能な「中ボケ」の段階)からの回復の方法もないと言うのが、データと実践に裏付けられた私達の考えなのです。

そうした視点から言えば、第二の人生では仕事(「左脳」が中心となる)がらみの「テーマ」を目標とすることは一般的には無いことなので、仕事以外の「テーマ」、「趣味」や「遊び」や「人づきあい」(「右脳」が中心となる)や「運動」(「運動の脳」が中心となる)、或いは「社会活動」等を「テーマ」として、それを自分なりの「目標」の設定と自分なりの「やり方」で実行し、且つそうした生き方を自分なりに「楽しむ」という生活を「習慣化」することが、「アルツハイマー型認知症」の発病を「予防」する必要不可欠の条件ということになるのです。

生き甲斐なく、趣味なく、交友なく、運動もせず、目標もないという、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を日々過ごしている(発病の「第二の要件」)のでは、「三本柱」を含む「前頭葉」の諸機能の出番が極端に少なくなってしまうのです。ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続している生活(「第一の要件」と「第二の要件」が充足されている生活)が継続されていると、その相乗効果が出てきて、「前頭葉」を含む脳が廃用性の加速度的な機能低下を起こしてくることになるのです。加速度的な機能低下が起きてきて、働きが異常なレベルに衰えてくる結果、「アルツハイマー型認知症」を発病する(認知症の「症状」が発現してくる)ことになってしまうのです。これこそが、認知症の専門家たちから「原因不明」と言われている、「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズムなのです。

やることが楽しくて、「意欲」が自然と湧いて来て、熱中できるような、自分なりの「目標」となる「テーマ」、「注意を集中」したり「注意を分配」(複数の異なったテーマを同時並行して実行する前頭葉の機能)したりすることができるだけ多い「テーマ」に取り組む「生活習慣」を継続する中で、自分らしい「生き方」、自分らしい「生活の楽しみ方」を追及し、そうした暮らし方(脳の使い方としての「生活の仕方」、すなわち、「生活習慣」)が、「アルツハイマー型認知症」の発病を「予防」してくれることになるのです。

(ここで、コーヒー・ブレイク)「アルツハイマー型認知症」の治療や予防に効く薬は、未来永劫、開発されることはないのです。(詳しい説明は、ここを「クリック」してください)。「アルツハイマー型認知症」の症状の進行を遅らせる効果が期待されるとかいう薬が何種類か販売されていますが、その薬の投与が症状の進行を遅らせる効果がある訳ではないのです(そもそも投薬がなかった場合に、その人の症状の進行がどうなったかは検証不能なのですから、投薬による効果についての「因果関係」を立証することは出来ないはずなのです)。症状の進行を遅らせる効果があったとしたら、それは投薬による効果ではなくて、その人の「右脳」や「運動の脳」を使う機会が増える生活環境があって、そのことが「脳の老化」のスピードを遅らせたにすぎないと私たちは考えているのです。(脳の老化のスピード差をもたらす要因については、ここを「クリック」してください)。

ところで、私たちが市町村で実践してきた体験、その実態から言うと、「生活状況」(このブログのN-66に例示してあります)に直面した時、多くのお年寄りは、その「生活状況」に負けてしまい、何かをしようとする「意欲」をなくしていき、「目標」となる「テーマ」を見つけることが出来なくて、ナイナイ尽くしの「単調な生活」に入っていってしまうのです。

ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続することが「アルツハイマー型認知症」を発病する「第二の要件」の充足となるのです。「アルツハイマー型認知症」を発病する原因は、一部の学者が主張するような、「アミロイドベータやタウ蛋白によって脳の神経細胞が侵され脱落していくこと」ではないことは、東日本大震災の被災地の「高齢者」たちに現在起きてきている状況を詳細に調べてみれば、容易に分かることなのです。

この写真は、今年の秋、陸前高田で、私が撮影したものです。 

 そこで今日は、日本人に多いケースで、第二の人生に入ると早々と「アルツハイマー型認知症」を発病するパターンを例示的に取り上げて、分かりやすく説明したいと思います。それは、たった一度しかない人生を、「高齢者」と呼ばれる年齢になってもなお「仕事」(左脳)中心の価値観で生きていこうとする人たちのことなのです。「人生60年」と言われた一昔前の時代には問題にならなかったことなのですが、誰でもが80歳や90歳まで生きる「超高齢化社会」を実現している今の日本では、こうした価値観(生き方)は極めてリスクが高いと言わざるを得ないのです。

前置きが長くなってしまい、首が随分伸びてしまったのではないでしょうか。それでは、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まる「左脳タイプ」のお年寄りについて、その「経過」(「生活状況」の発生後の受け止め方と生活の仕方)を実態に即して、説明していくことにしましょう。

(ケース その1) 「キッカケ」となる生活状況(「目標を持って、がんばって生きようという本人の意欲を支えてきた生活がなくなってしまう状況が発生すること」)が発生した時の経過

○ 「仕事」(左脳がらみのテーマ)だけが「生き甲斐」だった人にとって、仕事の第一線を退くこと(勤め人の場合は定年退職;自営業の場合は会社や店の経営をやめることや息子に代を譲ること;主婦の場合は嫁に家事を譲ること;孫が成長して手離れること):

ナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まる「キッカケ」として、これが意外と多いのです。特に、第二の人生が始まって早々と「アルツハイマー型認知症」を発病するケースで、多いのです。「仕事」(左脳中心)がらみのテーマだけに生き甲斐や価値を求めるのが、多くの日本人に共通した「生き方」であることに注意が必要です。キャッチコピー的な表現を借りれば、(「生き方」や「考え方」や「感じ方」が、感覚的思考や状況に対する感情が主となるのが「右脳タイプ」で、状況を客観的に場合分けし、論理的な思考や状況に対する言葉が主となるのが「左脳タイプ」)と「仕分け」できます。自分が「左脳」タイプの人間であると自覚している人は、以下の項目について、具体的に自分のものとして理解し、第二の人生での生き方に留意して欲しいのです。「リスクが高い人」ということなのですから。「仕事一筋」の生き方、「左脳偏重」の生活習慣を疑うこともなく、社会的な規範として抵抗もなく受け入れて第一の人生を送ってきた人達は、「第二の人生」を送る上で特に大きな「リスクを抱えている」ことに留意して欲しいのです。

「仕事中心の価値観」に支えられて第一の人生を送ってきた人達は、「第二の人生」に入っていくと、「仕事」以外のことには価値や喜びを見出し難いのです。第一の人生での体験が少ないことも一因なのですが、「仕事(左脳)」には縁がなくなった第二の人生を過ごすのにも拘わらず、「趣味とか遊び(右脳)とか運動(運動の脳)」とかに価値がおけなくて、「目標」として生きていくことができないのです。チャンチャラおかしくて、そうしたことには「熱中」することが出来ないのです。年をとった自分がそうしたことに「熱中」することを評価できないし、恥ずかしいことと考える人達も少なくないのです。

こうした「左脳」中心の価値観や生き方を変えることが出来ない人達は、第二の人生が始まり、生きていく上での「生きがい」や「喜び」や「目標」を与えてくれていた「仕事」がなくなったとき、「仕事以外のテーマ」をどのように設定して、どのように「脳を使う場」を持って、毎日を過ごしたらいいのかが分からないのです。「生き甲斐」や「喜び」や「感動」を与えてくれるものもなく、「目標」となるようなものもなく、あり余る時間をもてあますことになり、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を送ることが多いのです。

「仕事(や家事)」だけが生き甲斐だった人達にとっては、毎日の目標となることも、喜びや生きがいを覚えることも、すべてが「左脳」中心になるのです。「前頭葉」の三本柱の機能であり、他の前頭葉の諸機能の下支えをしている「意欲を注ぐ」ことや「注意を集中する」ことや「注意を分ける」ことも、「計画」を立てたり「工夫」を凝らしたり「機転」を利かせたりすることも、「全てが仕事(家事)がらみ」になるのです。言い換えれば、「前頭葉」のこうした機能を発揮する「テーマ」となるものは「全て仕事(家事)がらみ」の場だけなのです。

こうした価値観を基礎とする生き方の人達は、「運動の脳」や「右脳」と「前頭葉」が協同する場が極端に少ない生活を送っているのです。散歩やスポーツを楽しんだり、趣味や遊びや人付き合いを楽しむ場が極端に少ない生活を送っているのです。第一の人生では「仕事」だけの生活、「左脳」を使う生活しか経験してこなかったから、第二の人生が始まった時、趣味や遊びや人づきあいといった「右脳」を使う生活も、散歩したりスポーツを楽しんだりといった「運動の脳」を使う生活も立ち上げることができないのです。いつまでも第一の人生での生き方(「価値観」)を引きずって生きていたのでは、長い第二の人生を乗り切っていくことができないのです。

「仕事」だけが生きがいで、「左脳」がらみのテーマしか目標を設定できない人たち、運動の脳や右脳を使って、「人生を楽しむ」生活習慣のなかった人たちは、定年等で第二の人生が始まり「仕事」のために「左脳」を使う場面がなくなった時、「生きがいなく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標もない毎日」、ナイナイ尽くしの「単調な毎日」を送るようになり、出番をなくした「前頭葉」が居眠りし始め、廃用性の機能低下を起こしてきて、働きが異常なレベルに衰えてくるとき、「アルツハイマー型認知症」の症状が始まる(発病する)ことになるのです。

「俺(私)が左脳人間として頑張ってきたのは、誰のためでもない、家族のことを思えばこそのことなんだ(なのよ)!!」。そんなに、むきになって叫び憤ることはないのです。神様は、よく分かってくれているのです。仕事人間、左脳中心で生きてきたあなたへの「朗報」を最後に紹介しておきます。コペルニクス的転換をトライされることを期待しています。

幸いなことにというか、当然のことというか、第一の人生を「左脳」中心で生活してきた人たちでも、定年退職や家業を息子に譲る等して、「仕事」がなくなる第二の人生を過ごす上で、「運動の脳」の出番である散歩やスポーツ等が生き甲斐の生活を始められる人達や、「右脳」の出番である趣味や遊びや人付き合い等が生き甲斐の生活に切り替えることが出来る人達は、そうした生き方や「生活習慣」を再構築することによって、新たな「目標」の実行と達成に伴う「前頭葉」の出番がそれなりにあるので、ボケない(「アルツハイマー型認知症」を発病することのない)第二の人生を送ることが出来るのです。このことを念のために付け加えて、今日の説明を終わりにしたいと思います。ついでに、それこそ老婆心ながら、気をつけて頂きたいことがあるので、最後に一言申し添えておきます。

第一の人生では体験することのなかった趣味や遊びの集いへの参加、例えば「ガーデニング」やら、「野菜作り」やら、「水彩画教室」やら、「ゲートボール」やらの集いに参加することにしたとしましょう。「基本的な考え方」或いは「態度」として、いつも心掛けて注意していただきたいことがあるのです。そこは、「仕事をする場」ではなくて、参加している皆さんと一緒に「楽しむ場」だということなのです。「左脳」タイプのあなたは、いつもの癖が出てきて、そこがまるで「仕事をする場」であるかのように振る舞おうとしてしまうのです。自分を出しすぎるのです。「言葉も態度も」、全てが論理的で、計画的で、シミュレーションしてみないと気が済まないのです。「上手である必要はないし、本人が楽しめていたらそれでいい」そのことをなかなか理解できないのです。いつの間にか周囲から浮いた存在となっていることに気付いて、参加の回数が次第に減っていくことになるのです。その点を理解することさえできていれば、いつの間にか集いの仲間の中心的な存在となっている自分を見つけることになるでしょう。頑張れ、左脳タイプ! 

 注)本著作物(このブログA-68に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

 エイジングライフ研究所のHPここをクリックしてください)

 脳機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)

 

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アルツハイマー型認知症の「症状」の進行と段階的症状の各期間(A-67)

2012-11-11 | アルツハイマー型認知症に対する正しい知識

前回の報告で例示し説明した「生活状況」の発生が「キッカケ」となり、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まり、ナイナイ尽くしの単調な生活が始まってから半年から 1年後には、「アルツハイマー型認知症」を発病することとなり、発病してから3年の期間が(軽度認知症)「小ボケ」の期間、(中等度認知症)「中ボケ」の期間が2~3年間続いて、発病してから5~6年が経過すると(重度認知症)「大ボケ」になる」というのが「大原則」であり、「二段階方式」による期間判定の標準的な指標となります。別の言い方をすると、「キッカケ」から速い人で半年遅い人で1年経つと発病し(「小ボケ」となり)、「小ボケ」の期間が短い人で1年長い人で3年続くと「中ボケ」になり、「中ボケ」の期間が2~3年続くと「大ボケ」になるということなのです。

「キッカケ」が発生してから「小ボケ」になるまでの期間に早い人と遅い人とがあるのは、「キッカケ」が発生した時の本人の「年齢」(第一の要件)並びに「キッカケ」となった「生活状況」の質と量の差及び本人の受け止め方の差(意欲を喪失する程度の差)によるものなのです。また、「小ボケ」の期間及び「中ボケ」のそれぞれの期間に短い場合と長い場合との差があるのは、本人の「年齢」並びに当該期間中に本人に生じた生活状況により差異が生じてくるのです(下図に例示するような、「脳の老化を加速させる条件」が発生したこと及び「脳の老化を引き戻す条件」が発生したことの相乗効果により差が生じてくるのです)。「生活歴」を聞き取る際は、この具体的な生活条件を聞き出すことが必要かつ重要なことなのです。なお、「大ボケ」の期間は、症状が「大ボケ」のレベルに進んできてから死亡するまでの期間であり、個人ごとに異なり、一定の期間というものはありません。世の中の認知症の専門家といわれる人達は、「大ボケ」のレベルの症状が出てきて初めて「アルツハイマー型認知症」であるとの診断をしているので、末期の段階である「大ボケ」の期間だけを取り上げて「認知症の期間」と言っているのですが、正確に言うと、「小ボケ」、「中ボケ」及び「大ボケ」の各期間を合計した期間が「アルツハイマー型認知症の期間」なので、ケースによっては相当な長期にわたることになるのです。「脳がもたないのに、身体がもつ」、それが「アルツハイマー型認知症」の特徴なのです。但し、「回復」の可能性という視点から言うと、「小ボケ」は回復容易、「中ボケ」は回復が未だ可能、「大ボケ」は回復は困難ということになります。(ここを「クリック」してください)。

「小ボケ」(回復容易)や「中ボケ」(回復可能)のレベルの間であれば、脳の活性化を目的とした「生活習慣」の改善により(前頭葉の「三本柱」である意欲、注意の集中力、注意の分配力の出番が増える生活を極力増やす生活「テーマ」の取り込みを工夫すること)、脳の機能レベルの顕著な「改善」が期待できるのです。廃用性の機能低下が起きてきた(使われる機会が極端に少ない生活の継続により、脳の機能が異常なレベルに衰えてくること)直接の結果として、低下した脳の機能レベルに見合った症状が発現してきているだけなので(言い換えると、世の中の専門家と呼ばれる人達が言っているような、アミロイドベータやタウ蛋白の影響によって神経細胞が脱落してきている直接の結果として「アルツハイマー型認知症」の症状が発現してきている訳ではないので)、「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)を中心とした脳を使う機会が増えてくる生活が継続される(脳の使い方としての生活習慣の改善)中で、脳の機能が回復してくるのです。ただし、「アルツハイマー型認知症」の末期の段階である「大ボケ」のレベル(この段階のみをとらえて、世の中の専門家達は、「アルツハイマー型認知症」と診断しています)になると、「正常」レベルへの回復のみならず、「小ボケ」レベルへの回復を期待することも、基本的に困難となります。その「大ボケ」(回復困難)のレベルの中で、運動の脳や右脳を刺激する「生活改善」の継続により、或る程度の改善がみられることはあるのですが、「中ボケ」レベルへの改善の見込みさえも極めて困難なものになってしまうのです。

 

個々人の実際の生活の場面では、上に例示してあるようなそれなりに「プラス要因」の生活(脳の働きを活性化させ、機能を改善させる生活)が入り込んできたり、逆に「マイナス要因」の生活(脳の働きを不活発にさせ、機能を悪化させる生活)が入り込んできたりするものなのです。上述した各段階(「小ボケ」、「中ボケ」)の期間の基準に適合しないケースでは、上の図に例示する「プラス要因」或いは「マイナス要因」と考えられる要因が入り混じり、或いは重なって起きてくることの「生活習慣」の質と量とが脳に働いて、「アルツハイマー型認知症」の症状の更なる「進行」や「回復」に影響を与えているだけなのです。

 エイジングライフ研究所の「二段階方式」を実践活用するときは、「前頭葉」の働き具合及び「左脳と右脳」の働き具合を神経心理機能テストで定期的に測定し、「生活実態」の聞き取りから確認される生活の自立度を判定し(「脳の機能レベル」のアウトプットとしての「症状」の確認)、更に、「生活歴」の聞き取りから、その対象期間中の脳の使い方としての「生活習慣」を具体的にチェックします。その上で、「神経心理機能テスト」により、脳の働き具合の総合的な判定結果を、「改善」、「維持」、「悪化」の三段階に区分して評価し、対象期間中の「生活習慣」を脳の機能レベルの判定結果と照らし合わせるのです。「改善」、「維持」、「悪化」の各々のケースについて、その人の脳を活性化させるような「生活習慣」としての生活実態がどうであったのか、「プラス要因」や「マイナス要因」がどのように入り混じっていたのか、或いは、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続したままだったのか等を詳細にチェックする訳です。そうした評価によると、脳の機能レベルの推移(改善、維持、悪化)と対象期間中の脳の働き具合を支える「生活習慣」としての生活実態とは、必ず合致していることが分かるのです。

 そうした極めて多数の事例の分析とデータの積み重ねから、上記「老化のスピード差」の期間が導き出されているので、この「小ボケ」、「中ボケ」の期間が「標準的な指標」として、大多数のケースに合致するのです。この指標となる期間と実際の個別のケースの期間との間に差異があるときは、「プラス要因」と「マイナス要因」とが複合して脳の機能レベルの変化に影響を与えているので、その実態を丁寧に確認する作業がとても重要なのです。こうした多数のデータの積み重ねから、専門家達から(原因も分からないし治らない病気)とされている「アルツハイマー型認知症」を発病する原因は、「加齢」(60歳を超える年齢)が「第一の要因」であり、その年齢の下での脳の使い方としての「生活習慣」(ナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続)が「第二の要因」であることが分かったのです。「第一の要件」と「第二の要件」とが同時に充足される場合に限って、「アルツハイマー型認知症」を発病してくること並びに発病後のナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続によって「症状」の更なる進行が確認されること及び「症状」の各段階の期間(「小ボケ」及び「中ボケ」の各期間)が確認されることがわかったのです。

この場合、どのような「生活習慣」が脳の活性化と脳の機能レベルの改善に効果的なのかについては、上述の例示のように標準的なものを類型化して導き出すことはできるのですが、絶対的なものはなくて、あくまで相対的なものだということが留意すべき重要なポイントです。その「生活習慣」を個々の本人の「前頭葉」がどのように評価したのかが、前頭葉の「三本柱」の意欲、注意の集中力と注意の分配力の働き具合に直接影響しているからです。ところが、「東日本大震災」を被災した地域のお年寄りの場合は、上述したケースとは状況が根本的に異なることに注意が必要だと考えています。未曾有の大災害がもたらした「生活状況」と復興に向けての国や自治体の一向に進まない対応振りという問題とが重なっているのです。今回の被災では、前頭葉の「三本柱」の中核をなす「意欲」自体を大きく阻害してしまう「種々の喪失体験」並びに「マイナス要因」としての生活状況が極めて大きく且つ数も多い上に、脳を活性化させる「プラス要因」となる状況が極めて想定しにくい状況にあるからです。現地を訪ねて見えるのは、全体的な復興が遅々として進んでいないことと、個人のレベルでの「目標」を構築することができにくい状況(脳を活性化させるような「テーマ」の構築と維持が期待できにくい状況)に置かれたままで居るという現実でした。このような環境下では、上述した「進行の標準的な期間」の基準よりも速く「症状」が次の段階に進んで行ってしまう(「小ボケ」が「中ボケ」に、「中ボケ」が「大ボケ」に進むまでの期間が短くなってしまう)のではないかと危惧せざるを得ないのです。

「二段階方式」を導入して、「アルツハイマー型認知症」の地域予防活動を展開している市町村での実践指導を通じて、「小ボケ」と「中ボケ」のレベルであれば、「生活習慣」の改善により正常レベルへの脳機能の回復が可能であることが実証されたのです。但し、「大ボケ」のレベルにまで脳の機能が衰えてしまった人達は、「中ボケ」レベルへの機能の回復さえも期待できないことも分かったのです。従って、「アルツハイマー型認知症」の場合は、「早期発見と早期治療」が極めて重要だということなのです。また、認知症の「予防」というテーマについて言えば、世の中で認知症の専門家と言われている人達が「予防」というときは、「脳血管性認知症」のみを対象として考えているという問題があります。余談になりますが、私たちの知る限りでは、「予防」というテーマの対象に「アルツハイマー型認知症」を正面から取り上げているのは、東京都老人総合研究所だけではないかと思います。認知症の大多数は、「アルツハイマー型認知症」であること及び「アルツハイマー型認知症」は廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」なのであり、脳を活性化する「生活習慣」の構築と維持により、発病自体を予防することができるのだということを声を大にして、世間の専門家たちに問題提起しておきたいのです。

現在、殆どの医療機関で行われているような、「重度の記憶障害」及び失語、失行、失認という「重度の症状」を基準にして診断する方法では、回復困難な(重度認知症)「大ボケ」の段階でしか、「アルツハイマー型認知症」を見つけることが出来ないのです。回復容易な「軽度認知症」(「小ボケ)と回復可能な「中等度認知症」(中ボケ)の早期段階を見逃してしまうと、回復の見込みはなくなり、介護だけの対応となってしまうのです。「大ボケ」の段階になった「アルツハイマー型認知症」のお年寄りの介護を家族の手だけにゆだねるのは、家族の精神的および経済的負担が大きすぎて、国の政策として取るべきものとは考えがたいのです。(「大ボケ」のレベルで発現してくる「症状」については、ここを「クリック」してください)。その意味で、「アルツハイマー型認知症」は、原因も分からないし治らない病気とするのが医学界の主流の考え方である中で、厚生労働省が「早期診断による回復及び予防」と言うテーマを重要施策として打ち出してきたことは、極めて大きな社会的な意義があると私たちは考えています。

(コーヒー・ブレイク) 東日本大震災の被災地のお年寄り達に、(「アルツハイマー型認知症」についての正しい知識を持ってもらいたい)、(どんなに困難な状況下にあっても、自分なりの「目標」を設定して取り組んでいく生活がないと、必ず「アルツハイマー型認知症」が襲ってくることを知ってもらいたい)との、強い思いから毎週記事を書いてきましたが、全体としての体系的な説明及び特に重要なテーマについての詳細な説明をほぼ完了しましたので、今後は毎月1日、11日、21日に記事を出します。どうか、このブログのことを忘れないで読んでください。2~3年のうちに、「読んで、実行していて、本当によかった」という日が必ず来るのですから。

      

注)本著作物(このブログA-67に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

    エイジングライフ研究所のHPここをクリックしてください)

脳機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)

  http://blog.goo.ne.jp/quantum_pianist

 http://blog.goo.ne.jp/kuru0214/e/d4801838dd9872301e0d491cd8900f1a

 

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アルツハイマー型認知症の発病と単調な生活が始まる「キッカケ」(A-66)

2012-11-01 | アルツハイマー型認知症に対する正しい知識

 私達が意識的に何かの「テーマ」を実行しようとするとき、置かれている状況を判断し、どのようなテーマをどのように実行するのかを決めるのが、脳全体の司令塔である「前頭葉」の役割なのです。その「前頭葉」には、発想したり、計画したり、工夫したり、洞察したり、機転を利かせたりする等様々な働きが詰まっています。更には、自分の置かれている状況を判断し、種々ケースワークしたうえで、実行テーマの内容や実行の仕方を選別して、最終的に決定するために必要な「評価の物差し」という大事な働きがあります。認知症の大多数、90%以上を占める「アルツハイマー型認知症」は、前頭葉を含む脳の機能が廃用性の機能低下を起こしてくること(使われる機会が極端に少ないために、機能が衰えて行くこと)により、認知症の症状が発現してくる病気、廃用症候群に属する「生活習慣病」なのです。「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズムについては、ここを(クリック)してください。

私達の日常生活の場面で、「前頭葉」がどのように働くのか、その働く場面を「大事な仲のいいお友達を家にお呼びして、得意の手料理でもてなす場合」を例に挙げて、説明してみましょう。お友達が大好きな料理が、例えば「魚料理」だったとしましょう。どんな「種類の魚」にするか、「煮つける」のか、「焼く」のか、「刺身」で出すのか、或いは、「手巻きずし」を出すのか、「量」をどの程度にするのか、どんな「お皿」に盛るのか、メインの「魚の料理」の他にもう一品つけるとしたらどんなものにするか、テーブルクロスの色や柄をどんなものにするか、部屋の雰囲気をどんなふうにしておくか等、お友達との付き合いの深さによって、「テーマ」の内容がどんどん広がり、深くなっていくでしょう。自分がどんな服を着てお友達を迎えるるのかを決めるのも一大事です。お友達との関係の深さ次第で、お化粧にかける時間も異なるでしょう。部屋もきれいにしておかないといけない、そのあわただしさと忙しさとが気持ちをわくわくさせ、そうした忙しささえもが脳を活性化させるのです。お友達との食事中の会話も、「どんなことをどんなふうに話す」のが良いのか、「どんな表情で話す」のがいいのか、「どんなふうに相槌を打つ」のがいいかなど、何時も気にかけながら話すでしょう。こんな場面では、あなたの「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)活性化し、フル回転しているのです。こうした「テーマ」の内容の広さや深さなどの程度態様をシミュレーションしたうえで最終的な内容を決定しているのが司令塔の「前頭葉」なのです。「高齢者」だけを発病の対象とする「アルツハイマー型認知症」は、この司令塔の「前頭葉」の働きだけが異常なレベルに衰えることから始まるのが特徴なのです。

上記の例示とは対極の使われ方としての「生活習慣」、発想したり、計画したり、工夫したり、洞察したり、機転を利かせたりする等様々な「前頭葉」の機能が使われる場面が極端に少ない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続が原因で、「 脳の働き」が異常なレベルに衰えてきて、且つ、脳の機能の衰えに付随していろんな症状が出てくるために、「社会生活」や、「家庭生活」や「セルフ・ケア」にも支障が起きてくるのが、「アルツハイマー型認知症」という病気なのです。こうした生活習慣が継続する中で、脳の司令塔の「前頭葉」がちゃんと働かなくなった時点、ほんの少し前に食事をしたばかりなのに、そのことさえ思い出せないような「重度の記憶障害」が出てくるようになるはるか前の段階、そこから「アルツハイマー型認知症」はもう始まっているのです。左脳、右脳および運動の脳の機能が「異常なレベル」に衰えていくにつれて、「中ボケ」、更には「大ボケ」へと症状が進行し重くなっていくのです。認知症の専門家達(医師や研究者)は、早くこのことに気付いて欲しいのです。

生き甲斐なく、趣味なく、交友なく、運動もせず、目標もない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」、前頭葉の出番が極端に少ない生活の継続により、脳が廃用性の加速度的な老化(機能の低下)を速めていく過程を対象として、脳の神経心理機能の測定による脳の機能レベル(正常、小ボケ、中ボケ、大ボケ)とそれにリンクした特有な「症状」について、定期的な検査によるその変化(改善、維持、悪化)「二段階方式」の手技で詳細にチェックしてみると;最初に、脳全体の司令塔の役割をしていて最高次機能である「前頭葉」の働きだけが加速度的に衰え始めることが分かるのです(この間は、「左脳」と「右脳」と「運動の脳」の機能は正常なレベルのままなのです)。この最初の段階である「軽度認知症」(小ボケ)の詳しい症状については、(ここを「クリック」してください)。

第二の人生を送っている「高齢者」が、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続する日々を送っていると、最初に「前頭葉」の働きだけが加速度的に衰えて異常なレベルに入り込み、「社会生活」に支障がでてきます(ここからが「小ボケ」の段階)。その後も「単調な生活」が継続したままでいると、「前頭葉」の機能の加速度的な衰えが更に進行していきます。「社会生活」に支障が出てくる域と「家庭生活」に支障が出始める域との境界点に達したときになって初めて、「前頭葉」を支えて協働する働きをしている「脳の後半領域」の「左脳」と「右脳」の働きも、その順番で加速度的な衰えを示して「異常なレベル」に衰えてくるのです(ここから、「家庭生活」に支障が出てくる「中ボケ」の段階に入ります)。「前頭葉」と左脳及び右脳の加速度的な「機能の衰え」の進行に連動して、その機能障害の相乗効果が症状(態様及び程度)となって現れてくるのです。「中ボケ」レベルになっても何も対策が取られないで(或いは、「年のせい」などと誤解されて放置され)「単調な生活」がそのまま継続されていると、脳全体の機能が更に加速度的に衰えていき、「セルフ・ケア」に支障が出てくるようになったところが回復困難な末期段階の「重度認知症」(大ボケ)なのです。

生き甲斐や目標もなく、趣味や遊びや人付きあいもなく、運動もしない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を送っていると言うことは、脳の機能面から言うと、もともと加齢により機能が衰えていく性質を持っている「前頭葉」の働きが、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を送っている中で、脚の筋肉と同じように、「廃用性の機能低下」を起こしてくることになるのです。「廃用性の機能低下」を起こしてくるにつれて、発想、創意、企画、構成、計画、観察、分析、理解、把握、考察、洞察、推理、予見、シミュレーション、抑制、工夫、修正、整理、機転、興味、創造、感動、判断及び決断等の「前頭葉」の認知機能の働き具合が衰えていき、[その直接の結果として]、いろんな程度態様の認知症の「症状」が発現してくるのです

前回の報告で説明したように、人によって「生活状況」の発生に対する受け止め方が違うので、「生活状況」の発生がナイナイ尽くしの「単調な生活」に入っていくことに直結するかどうかは一概には言えません。その「生活状況」に遭遇した本人の「受け止め方」次第で、「キッカケ」となるかどうかが決まるからです。それ迄と変わらず、それなりに生き甲斐や目標がある楽しい生活を続ける人もいれば、意欲をなくしてしまい、生き甲斐や目標もない、趣味や遊びや人づきあいも楽しまない、言い換えると「前頭葉」の出番が極端に少ない生活に変わってしまう人もいます。ある程度重要なものでも、本人の痛手が小さければ「キッカケ」にならないし、周りからみてそれ程重要でなくても、本人の痛手が大きければ「キッカケ」になるのです。

 

集積した多数のデータから言えば、以下のような「生活状況」が起きてくれば、「ナイナイ尽くしの単調な生活」が始まるキッカケ」となる可能性が高いと言えると言うことなのです。

□ 仕事の第一線を退くこと(定年退職、家業の廃止、家業を息子に譲る、嫁に家事を譲る)

□ 役を降りること(子供や孫の手離れ、地域の世話役を退く、趣味や遊びの会の会長を退く)

□ 配偶者の死亡(特に、妻が死亡したときの夫)

□ 趣味や遊びやお茶飲み会などの「集いの会」の中止

□ 重大な病気や怪我、腰痛その他の身体上の不具合、配偶者の看病生活

(自身の病気や怪我による入院や療養生活、病気や怪我あるいは身体の痛みなどの不具合が継続する生活、認知症その他の重い病気の配偶者の看病生活)

□ 重大な災害の被災により、財産や家族や友人や思い出を失うこと

□ 家庭内のトラブルや心配事

  (息子のリストラやサラ金問題、息子や娘の離婚、孫の不登校、家庭内の不和)

□ ペットの死亡

□ 友人や自分自身の転居(転居により旧来の友達を失い、新しい友達が出来ない)

□   兄弟姉妹の死(特に、相手が自分より年少の場合は痛手が大きい)

□   周囲との接触もない孤独な一人暮らし(趣味や遊びや交遊を楽しんでいるような暮らし振りの一人暮らしなら、ボケとは無縁です)

□ さびしい生活

 (二世代同居といいながら、家庭の隅に追いやられて家族との会話もないさびしい生活)

「左脳」(仕事)中心の生活だけを生き甲斐に第一の人生を送ってきた人は、定年退職や家業の廃止や家業を息子に譲って仕事がない毎日が始まり、「左脳」を使う機会が極端に少なくなっても、趣味や遊びや人づきあいや運動など、「右脳」や「運動の脳」を使う生活を楽しむ生き方への切り替えが出来ないのです。そのため、「時間だけはたっぷりあるのにすることがない」毎日、「前頭葉」の出番が極端に少ないナイナイ尽くしの「単調な生活」で毎日を過ごすことが多いのです。

他方、趣味や遊びや人づきあいや運動などを自分なりに楽しむ毎日を過ごし、生き甲斐や目標があり脳全体をしっかり使う「生活習慣」がある人たちも、安心するのは未だ早いのです。「ボケ」とは無縁の毎日を過ごしているのに、そうした「生活習慣」とは関係なく、ある日突然降ってわいたように上述した「生活状況」に遭遇することになるのです。それに大きな痛手を感じて、意欲をなくしてしまって、趣味や遊びや人づきあいや運動を楽しむ生活、生き甲斐や目標がある生活ができなくなり、「前頭葉」の出番が極端に少ないナイナイ尽くしの「単調な生活」で毎日を過ごすようになると、同じことが起きてくるのです。

「東日本大震災」のような例のない大規模な災害によって、親や子供や孫や兄弟や親戚の人達や友人達をなくしたり、住む家や田畑や船や店舗等の生活の基礎となる財産をなくしたり、大切な思い出が詰まっている街や景色等をなくしたりしたお年寄りにとって、今回の被災は、夢も希望も喪失させ、何かをしようとする意欲も達成しようとする目標も奪い去ってしまったのです。多くのお年寄りは、この被災が「キッカケ」となって、ナイナイ尽くしの「単調な生活」に入って行き、今もその状態が継続しているのではないかと心配し、恐れているのです。速い人の場合は、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まってから半年もすると、最初の段階である「軽度認知症」(小ボケ)の段階に入って行くからです。それは、学者が言っているような「不活発病」ではなくて、「アルツハイマー型認知症」そのものだからです。このまま単調な生活が継続していると、その先には「中等度認知症」(中ボケ)の段階が待っているのです。この段階になってきて初めて、周りの人達や認知症の専門家達が騒ぎだすようになるのです。

 第二の人生を送っている「高齢者」である以上、正常であるとはいえ緩やかな傾きの直線の下で、脳が「老化のカーブ」を描いてきている(「正常な老化」)のです。仕事で「左脳を使う場面はない、さりとて、趣味や遊びや人づきあい等で右脳や運動の脳を使う場面も極端に少ない」毎日では、三頭建ての馬車の御者の役割をする「前頭葉」の出番が少なすぎるのです。「キッカケ」を契機に、生き甲斐なく、趣味なく、交友なく、運動もせず目標もないというナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まるのです。そうこうしているうちに、出番をなくした「前頭葉」が居眠りし始め、廃用性の機能低下との相乗効果により、加速度的に「脳の老化」を速めていき(「異常な老化」)、「アルツハイマー型認知症」を発病することになるのです。その最初の段階が社会生活に支障が出てくる「軽度認知症」(小ボケ)で、次が、家庭生活に支障が出てくる「中等度認知症」(中ボケ)で、最後が末期の段階の「重度認知症」(大ボケ)なのです。

 注)本著作物(このブログA-66に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

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 脳機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)

 

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