認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

保健師さんが核になるアルツハイマー型認知症の地域予防活動(その2)(A-71)

2012-12-21 | アルツハイマー型認知症の予防活動

○ 脳の働きからみた「生活習慣」の改善を目指す、新しい「地域活動」の創成  

第二の人生に入っている60歳以上の年齢の「お年寄り」達を対象にして、「二段階方式」の手技に基づく「神経心理機能テスト」で、脳の神経心理機能をチェックしてみると;脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」の働きだけが異常なレベルに加速度的に衰えてきている人達がたくさんいることが分かります。「前頭葉」の本来的な性質であり、内在的な性質の発現として、お年寄りであれば誰でもが抱えている「正常な老化」のカーブを大きく逸脱して、「異常な老化」のカーブを描きつつ、前頭葉の機能レベルが加速度的に衰えていっている人達が、日本中どこにでもたくさんいるのです。「アルツハイマー型認知症」の症状の発現の仕方というのは、「脳血管性認知症」の場合と違って、ある日突然認知症の症状が発現するのではないのです。(ここを「クリック」してください)。

ここで、(コーヒー・ブレイク) 「アルツハイマー型認知症」の専門家達は、認知症を発現しているかいないかを判定するに際して、米国精神医学会の診断規定である「DSM-4」に依拠して診断するために、回復が困難な末期段階の「重度認知症」(大ボケ)の段階でしか見つけられないでいるだけなのです。私たちが開発した「二段階方式」のように、脳の司令塔の「前頭葉」の働き具合(機能レベル)に着目して、神経心理機能テストを活用して診断すれば、見過ごされている早期の段階(回復が容易な「小ボケ」及び回復が未だ可能な「中ボケ」)を見つけることができるのです。その結果、「アルツハイマー型認知症」は、突然「重度認知症」(大ボケ)の段階の症状が発現するのではなくて、「小ボケ」、「中ボケ」、「大ボケ」という三つの段階に区分されること及び発現してくる「症状」は原因である「脳の機能レベル」に応じて次第に「重症化」していくことも分かるのです。(ここを「クリック」してください)。

脳の司令塔の「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)が異常な老化のカーブを描いて衰えていっているお年寄り達に共通しているのは、毎日の脳の使い方、第二の人生での「生活習慣」なのです。これといった生き甲斐もなく、熱中している趣味や遊びもなく、親しく付き合う仲間もなく、散歩やスポーツで体を動かす機会もなく、意欲が湧いて「集中力や注意の分配力」を発揮する「目的」となるような「テーマ」もなく、ただぼんやりと日々暮らしているだけの「生活習慣」が浮かび上がってくるのです。言い換えると、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標もないという、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続されている「お年寄り」達だけを対象として、脳の司令塔の「前頭葉」の働きだけが、加速度的に老化していっていることが分かるのです。(ここを「クリック」してください)。

ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続している生活状況の下で、脳が加速度的な衰え方のカーブに入って行き、「前頭葉」の働きが「正常に機能」している領域を超えて「異常な機能レベル」に入った領域(「小ボケ」の始まり)の中で更に衰えていき、社会生活に支障がでてきている下限の境界点(ここまでが、「小ボケ」の段階)に達したとき以降になって初めて、「前頭葉」と協働する脳の後半領域の機能(左脳及び右脳)の働きが加速度的な衰えを示し始めるのです(ここからが、「中ボケ」以降の段階)。このことを逆説的な表現を借りて言えば、「前頭葉」がちゃんと働いている(正常な機能のレベルにある)限りは、脳の後半領域の機能もちゃんと働いている、「脳全体」がちゃんと働いている(つまり、認知症の現行の定義から見れば、「認知症を発病していない」)ということになるのです。

そもそも 「認知症」という病気は、脳全体がちゃんと働かなくなって、社会生活や家庭生活や身の回りの処置に支障がでてくる病気のことを言うと定義されているので、「前頭葉」の機能が正常なレベルにある限り(言い換えると、「脳全体」がちゃんと機能している限り)、「物忘れ」などの症状(記憶の障害)が認められていても、「アルツハイマー型認知症」は発病していないということになるのです。しかしながら、「アルツハイマー型認知症」を回復可能な早期の段階で見つける上で、最も重要且つ適切な指標は、「記憶の障害」ではなくて「前頭葉の機能レベル」なのだということに認知症の専門家達が早く気付いてほしいのです。世界的に権威があるとされ指針として活用されている米国精神医学会の診断基準である「DSM-4」は、「記憶の障害」を第一の要件とし、且つ、失語、失行、失認等の「大ボケ」の後期にならないと発現することがない「重度の症状」を第二の要件と定めているという重大な欠陥を有するため、回復可能な早期の段階(回復が容易な「小ボケ」及び回復が未だ可能な「中ボケ」)を見つけることができなくて、回復が困難な段階(「大ボケ」)しか見つけることが出来ないのです。この基準に依拠して診断する限り、「アルツハイマー型認知症」というタイプのボケは、せっかく見つけても「治せないし、原因も分からない」ということになってしまうのです。

再度、(コーヒー・ブレイク) 軽度認知症(「小ボケ」)の段階は、脳の後半領域の左脳も右脳も未だ正常な機能レベルにあって、司令塔の「前頭葉」の機能だけが異常なレベルに衰えていると私たちは定義しています。認知症の現行の定義からすると、私たちが言う「軽度認知症」(「小ボケ」)の段階は脳全体が異常なレベルにあることにならないので、認知症を発病していることにならないのではないかと考えた人は、なかなか鋭い人と先ずは褒めておきましょう。ところが、脳の機能面から考えると、脳の後半領域の機能である、左脳も右脳も運動の脳も、意識的な行為の世界では必ず司令塔の「前頭葉」のコントロールのもとに働いているのです。したがって、その機能レベル(状態)のアウトプットは、「前頭葉」の機能障害を伴ったアウトプットになってしまうのです(御者である「前頭葉」の機能が異常なレベルにあって、左脳、右脳、運動の脳という「三頭の馬」を制御しているので、アウトプットとしての行為や行動は、「前頭葉」の機能障害が反映されたものになってしまうのです)。

したがって、「前頭葉」の機能だけが異常なレベルにあって「左脳、右脳及び運動の脳」は未だ正常な機能レベルにあるこの段階で、脳全体の機能レベルのアウトプットとしての「社会生活に支障が出てきている症状」を必ず確認することができるのです。つまり、「脳全体の機能」が異常なレベルにあることとする定義自体に誤りがあるのであって、「前頭葉の機能」が異常なレベルにあるとする定義が正しいのです。定義自体を変えてやらないと、早期の段階、回復が容易な「軽度認知症」(小ボケ)の段階及び回復が未だ可能な「中等度認知症」(中ボケ)の段階を見落としてしまうことになるのです。近年、「軽度認知障害」という概念が提案されていますが、相変わらず「記憶」を中心とした「症状」からのアプローチとなっていて、「前頭葉」の機能障害という視点を欠いているために、対象領域があいまいすぎて使い物にならないのです。

 「前頭葉」は、意欲、注意の集中力、注意の分配力、自発性、発想、計画性、工夫、機転、洞察力、推理、創造力、好奇心、感動、抑制力、忍耐力といった、私達が「社会生活」を送る上でなくてはならない極めて高度な機能を集積しています(上述した「軽度認知症」小ボケは、この「前頭葉」の機能が異常なレベルにあるために、列記したような高度な機能の障害が小ボケの「症状」として現れてくるというメカニズムなのです。認知症の専門家や医師達は、このことに気づく必要があるのです)。その「前頭葉」には、「20歳を過ぎると年をとるにつれて100歳に向かって緩やかに一直線に衰えていく特徴を有する」老化曲線(「正常な老化の曲線」)があります。(ここを「クリック」してください)。

 この「前頭葉」の老化の曲線は、脳の後半領域の働きである左脳、右脳及び運動の脳からいろいろな情報(但し、質と量が十分なものであることが必要)が送られてくることで、緩やかなカーブを描き続けます。十分な量と質の情報が「前頭葉」に送られてくるような「生活習慣」が継続されているとき、老化の曲線は緩やかなものとなり(「正常な老化の曲線」)、「身体が持つ限り脳も保てる」、言い換えると、認知症の大多数90%以上を占める「アルツハイマー型認知症」とは無縁の第二の人生への道が開けてくることになるのです。

他方で、量も極めて少なく質も劣る情報しか「前頭葉」に送られてこないような「生活習慣」、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続するとき、脳の老化の曲線は急速に低空飛行化してゆき、「老化を加速させる」ことになるのです(「異常な老化の曲線」)。然もその先には、「アルツハイマー型認知症」の発病(最初の段階である「小ボケ」)への道が待っていることになるのです。

 「前頭葉」の老化曲線の問題と第二の人生では左脳の出番(仕事や勉強がテーマ)が極端に少なくなるという問題とが重なっている状況下で、何かを「キッカケ」として、右脳も運動の脳も出番が極端に少ない生活が始まると、司令塔の「前頭葉」が働く機会が極端に少ない「生活習慣」の下で、老化を加速させていき、居眠りが始まるのです。司令塔の「前頭葉」が居眠りしている生活が継続していると、「アルツハイマー型認知症」発病への坂道を転がっていく危険が顕在化してくるのです。(ここを「クリック」してください)。

 

日本中で「高齢化」がどんどん進んでいく中で、独居老人や老夫婦のみの世帯が加速度的に増加してきている我が国の現状をふまえるとき、「お年寄りが、いつまでも元気なままでいられる」、「身体が持つ限り、脳もちゃんともたせる」、或いは、「年齢相応の社会生活が送られる」レベルに脳の機能レベルを保つための施策、「地域予防活動」の展開による「予防」と早期診断による「回復」とをシステム化して実践する施策が、全ての市町村で切実に求められているのです。

勿論、お年寄り本人自身がボケない為の最大限の努力、「前頭葉」を含む脳全体が生き生きと働くような「生活習慣」の構築と実践とを日々継続することが大前提となります。家族がそれを側面から支える体制を築き、さらに行政が「地域全体」で支えるための啓蒙活動やシステムの構築や文化の創成やボランティアの組織化を行うことが「超高齢化社会」では不可欠となるのです。

こうした社会的要求にこたえられる効果的な施策として、エイジングライフ研究所が提案し、既に440を超える市町村で実践されている「二段階方式」に基づくボケ予防教室の展開を柱とした「地域予防活動」の創成が「先駆的なモデル」になると考えているのです。

 

○ 「右脳」の活性化で、「アルツハイマー型認知症」のない地域を 

「アルツハイマー型認知症」は、認知症全体の90%以上を占めています。(ここを「クリック」してください)。然も、脳の使い方と言う視点からの「生活習慣」が発病の原因であり、脳を活性化させる生活習慣を構築することで「予防」することが出来るのです。

私たちが開発した「二段階方式」の手技を活用して、北海道から九州まで、440を超える市町村での「地域予防活動」の実践に基づくデータを分析してみると、20歳の半ばを過ぎると、「前頭葉」の働きが加齢とともに衰えて行く性質があることが分かります(「前頭葉」機能の加齢に伴う「正常な老化」の性質)。特に、60代の半ばになると全盛期の二十代半ば頃の半分くらいに働きが衰えてきているのです。その先は、70歳、80歳90歳と、年を重ねるごとに「前頭葉」の働きが衰えて行くのです。従って、第二の人生を「身体がもつ限り、脳ももたせる」、言い換えると、「アルツハイマー型認知症」を発病しないためには、「前頭葉」の正常な老化のカーブが急激な低下のカーブをとることがないように、下支えしてやる「生活習慣」を構築し維持することが不可欠となるのです。

その下支えしてやる方法とは、「前頭葉」を含む脳全体をしっかり使って活性化させてやる生活を構築して、それを実践することなのです。「前頭葉」を生き生きと働かせるためには、「左脳」、「右脳」、「運動の脳」という、「前頭葉」の働きを支える「三頭の馬」を十分に使う生活が最も重要なのです。「三頭の馬」が意識的な「テーマ」を実行するために動き出す状況下では、置かれている状況を判断し、何をどのようにするのかを決定し指示する役割をしている御者である「前頭葉」の出番が必ず出てくるからです。

ところが、第二の人生を送っているお年寄りには、様々な制約があることを考慮する必要があります。脳を使うと言うと、皆さんは直ぐに、「仕事や勉強」をすることを考えるのではないでしょうか。そもそも「第二の人生」を送っているということは、一部の例外的な場合を除き、「仕事」はしていないのが普通でしょう。「仕事や勉強」は、「左脳」が担うものです。第二の人生を送っているということは、「左脳の出番」が極端に少ない生活を送っているということになるのです。第二の人生を送っている高齢者にとっては、「左脳は、前頭葉を支える重要な役割をもはや担うことはできない」ということなのです。

だからと言って、そもそも老齢のため足腰が弱ってきているので、「運動の脳」も、主役にはなれません。「毎日、5000歩の散歩」を欠かさないことが習慣化できれば、それだけで合格点といえるでしょう。「5000歩の散歩」といっても、ただ一人で黙々と歩くだけでは能がありません。老夫婦で仲良く一緒に歩いたり、仲のよい友達と歩いたり、時には景色のいいところに出かけていって散歩したりと、工夫してみることも大事です。会話が弾んだり、景色に感動したりする機会があると、運動の脳だけでなく、左脳も右脳も活性化され、「前頭葉」に送られる情報の質と量も増えるので、「前頭葉」が働く機会が増えて活性化することになるのです。

○ 第二の人生でもっとも頼りになるのは、右脳を使う生活なのです。

 保健師さんが主役となって展開する「脳の健康を目的」とした新しい活動である「地域予防活動」は、「脳の働き」という物差しをもち、「右脳」を活性化させる「集団活動」の場を創成するもの」でなければなりません。

 お年寄りが、できるだけ家の外に出ていって、出来るだけ多くの人達と交わり、コミュニケーションしながら、趣味や遊びや人付き合いといった共通の「テーマ」に添った活動を行うこと、換言すれば、「社会生活」を送ることがボケ防止(「アルツハイマー型認知症」の予防)に不可欠の条件となるのです。「前頭葉」は、社会生活を送るための脳なのですから。「左脳」が主体となる仕事や勉強とは基本的に縁がなくなる(薄くなる)第二の人生では、「前頭葉」を支えるもっとも頼りになる柱は、「右脳」なのです。「右脳」の出番は、趣味や遊びや人付き合いの場なのです。時間が経つのが速くて、喜びや感動を経験するのも、右脳の出番のときなのです。

 「アルツハイマー型認知症」は、生活習慣が原因の病気なのです。「ボケるかボケないか、言い換えると(早々とボケるか、身体が持つ限り脳も最後まで正常な機能のレベルを保てるか)」、それは、あなたの毎日の脳の使い方(「生活習慣」)が、その明暗を分けるのです。

すべての「意識的な行為」(目的々な行為)は、「前頭葉」がコントロールしているのです。左脳も右脳も運動の脳も、御者である「前頭葉」が制御し動かしているのです。「アルツハイマー型認知症」というタイプのボケは、社会生活を送るのになくてはならない働きをしていて、脳全体の司令塔の役割を持っている「前頭葉」が居眠りし始めることから始まるのです。

ボケない(アルツハイマー型認知症を発病しない)ためには、「前頭葉」が司令塔の役割を放棄して居眠りし始めないよう注意しなければなりません。そのためには、「前頭葉」が働く機械を失って居眠りし始めないように、脳の後半部の左脳、右脳及び運動の脳から常にたくさんの量と質の情報を「前頭葉」に送り続けてやる「生活習慣」を構築し実践することが必要不可欠となるのです。繰り返しになりますが、このとき最も頼りになるのが「右脳」なのです。保健師さんを中心とした新しいボケ予防(「アルツハイマー型認知症」の発病の予防)のための「地域予防活動」は、「脳の働きという物差し」を持ち、「右脳」を活性化させる「集団活動」の場を創生することであることを深く胸に刻んでおいて欲しいのです。(ここを「クリック」してください)。

 注)本著作物(このブログA-71に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

 エイジングライフ研究所のHPここを「クリック」してください)

  脳機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)

  http://blog.goo.ne.jp/quantum_pianist

 http://blog.goo.ne.jp/kuru0214/e/d4801838dd9872301e0d491cd8900f1a

       

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保健師さんが核になるアルツハイマー型認知症の地域予防活動(その1)(A-70)

2012-12-11 | アルツハイマー型認知症の予防活動

○  20年も30年もある「第二の人生」をどう生きるか 

人生60年といわれていた一昔前の時代と違って、世界に先駆けて「超高齢化社会」に突入した現在の日本では、誰でも80歳~90歳まで生きるのが当たり前となっています。

 会社や役所勤めの人のように定年がある場合がもっとも典型的なのですが、60~65歳前後の年齢で、「第二の人生」に入るのが通常のケースでしょう。その場合、「第二の人生」が20年も30年もある訳ですから、第一の人生がどうだったかだけでなくて、「第二の人生」がどうなるかがとても重要な意味を持ってくることになります。第一の人生がどんなに立派でも、第二の人生ではやばやとボケてしまったのでは、自分らしい人生を全うしたことにはならないでしょう。

その上、「アルツハイマー型認知症」という病気は、「脳がもたないのに、身体がもつ」のが特徴なのです。軽度認知症(小ボケ)に始まり、中等度認知症(中ボケ)の段階を経て末期段階の重度認知症(大ボケ)の期間が何年も続くのです。第二の人生がとても長い超高齢社会を考えれば、身体がもつ限り脳もちゃんともたせて、ボケないで第二の人生を完走することが、個人のレベルではもちろん、家庭のレベルでも、市町村のレベルでも、国のレベルでも強く求められてくるのです。

 

○ 「アルツハイマー型認知症」の予防活動は、保健師さんが中核 

認知症の大多数90%以上を占めるのは、「アルツハイマー型認知症」と呼ばれるタイプの認知症です。その正体は、「毎日の生活習慣である脳の使い方」が原因の病気、ナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続が発病を惹き起す廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」なのです。

 これまで、認知症の専門家たちから、「原因もわからないし、治す方法もない」と言われてきた、「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症は、毎日の脳の使い方・生活習慣の改善で、「予防」する (脳の機能が異常なレベルに衰えるのを予防する) こともできるし、「治す」ことも(脳の機能を正常なレベルに回復させる)できるのです。

 とはいえ、食事をしたり、風呂に入ったり、服を着たり脱いだりといった、「セルフケア」にも支障がでてくるまでに脳の働きを衰えさせてしまった、大ボケの段階(回復が困難な末期段階)になって見つけていたのでは、もう手遅れ。治すことは期待できないのです。「アルツハイマー型認知症」を治すには、小ボケ(回復が容易)、中ボケ(回復が可能)までの「早期の段階」で見つけることが不可欠の条件となるのです。

 

 ところで、「アルツハイマー型認知症の正体が生活習慣病である」ということには、二つの重要な側面があります。

 1つは、「予防したり治したりする方法は、投薬や手術や治療などの医行為を必要としない」ということです。換言すれば、「アルツハイマー型認知症」こそ、「予防活動」の最も重要な対象となるテーマなのです。医師ではなくて保健師さんが、その担い手となるのです。もう1つ、「投薬や手術や治療といった医行為ではなく、生活改善指導だけが、予防と治療の対策となる」ということなのです。

 生活習慣病である「アルツハイマー型認知症」の発病を「予防」したり、回復が可能な早期の段階(「小ボケ」及び「中ボケ」)を診断するには、「前頭葉」を含む脳の機能レベルを判定することが不可欠となるのです。「前頭葉」を含む脳の機能レベルは、私たちが開発した「二段階方式」に代表される神経心理機能テスト(診療報酬が極めて安価)で容易に且つ的確に判定することができるのですが、CTやMRI(診療報酬が極めて高額)では判定することができないのです。そのため、CTやMRIを使用せずに、神経心理機能テストだけで早期診断することを医療機関に期待することは困難なのです。「CTもMRIも活用できないうえに、投薬の必要もないのでは」、正確に言うと、「神経心理機能テストの活用と生活改善の指導だけでは」、必要な額の収益をあげることが期待できないため、医療機関にその中核的な役割を期待することはできないということなのです。収益はあげられなくても、費用が減るメリットがある、市町村でしか対応できないのです。

 日本は世界に先駆けて「超高齢化社会」に突入していますが、この先、高齢化が更に進んでいく中で、なにもしないでこのまま手をこまねいていると、高齢者の大半は、「身体がもちながら、脳がもたない結果として、行き着くところはボケ老人」という悲惨な将来像が、はっきりと見えてくるのです。(ここを「クリック」してください)。世間では、末期段階の重度認知症(大ボケ)の段階にならないと「アルツハイマー型認知症」の発病とは認めないのですが、実体としては、「軽度認知症」(小ボケ)に始まり、「中等度認知症」(中ボケ)の段階を経て、最後に「重度認知症」(大ボケ)の段階があるのです。しかも、私たちが集積してきたデータによれば、「大ボケ」の予備軍である「小ボケ」の段階の人数と「中ボケ」の段階の人数とを合わせた数は、「大ボケ」の数の4倍にもなるのです。

 高齢者を多数抱える個々の市町村が実施の主体となり、行政活動の中の主要なテーマとして「アルツハイマー型認知症」の予防活動を位置づけ、取り組むことが必要なのです。国と地方の財政負担及び家族の精神的経済的な負担を考えると必要不可欠のことなのです。「アルツハイマー型認知症」の予防活動に取り組む専門の保健師さんを配置して、地域のいろいろな組織やボランティアを取り込み、継続的な「自主活動」として、「地域単位」で取り組むしか問題を解決する方法がないのです。

 

「アルツハイマー型認知症」を予防するための生活改善の指導は、脳を生き生きと使う生活習慣、「前頭葉」に十分で種々様々な情報が送られていって、「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)の機能がフルに働くような生活習慣、特に、第二の人生を送っている「高齢者」にとっては、「趣味や遊びや人付き合い」を楽しむ上で必要な「右脳を中心とした生活」の構築を指導することが重要となるのです。歩くことやスポーツなどの運動を楽しむのに必要な「運動の脳を使った生活」の構築も有効です。

 介護保険で期待されている、従来型の「身体介護サービス」提供の担い手ではなくて、「生き甲斐創造の手助け」となる新しいタイプのサービスを提供する担い手になっていただきたいのです。その場合、「脳の働き具合の定期的な検診」が不可欠となることを忘れないでください。(ここを「クリック」してください)

    

 注)本著作物(このブログA-70に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

エイジングライフ研究所のHPここを「クリック」してください)

脳機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)

   http://blog.goo.ne.jp/junsky                    http://blog.goo.ne.jp/kuru0214

http://blog.goo.ne.jp/isehakusandou


 

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単調な生活が始まる「キッカケ」となる生活状況とその経過(その2)(A-69)

2012-12-01 | アルツハイマー型認知症に対する正しい知識

私達は、誰でもが80歳や90歳まで生きるのが当たり前の「長寿社会」に暮らしています。古来より理想とされたこの長寿社会を実現する過程では、「身体の健康」という視点が我が島国の隅々にまで行きわたり、それを支える十分な政策とシステムとが完備されてきたのです。その結果、誰でもが80歳や90歳という「超高齢」になるまで「身体」がもち、生きることができるようになったのです。ところが、「身体の健康」が達成されている一方で、「脳の健康」という視点がどこかに置き去りにされて、政策の議論もシステムの構築もなされないままに来てしまったのです。「人生 60年」と言われた一昔前(60歳を超えると、やがて「お迎え」が来ていた)には問題にならなかったのですが、第二の人生が20年も30年もあるこの「超高齢化社会」では、身体の健康以上に「脳の健康」と言う視点、言い換えると脳の使い方と言う視点からの「生活習慣」が、極めて重要で国民的なテーマとされるべき「必要条件」があるのです。

何故なら、「超高齢化社会」を実現している我が国には、回復が困難な末期段階の「認知症」のお年寄りが、300万人もいるという現実があるからです。然もこの先、この数字は更に増加していくと厚生労働省が予測しているのです。この「重度認知症」の段階にあるとされる300万人もの「認知症のお年寄りの介護の為の費用」が、年間18兆円にも上っている(介護保険による負担部分と個人負担部分との合計金額)という現実に、国民がもっと目を向ける必要があると思うのです。加えて我が国には、地方と国とを併せて1000兆円という世界に例のない規模の「累積債務」があること、経済活動とその規模とを支える上で極めて危険な指標である「少子高齢化」の更なる進行という、「三重苦」の問題を抱えているからです。これまでのように、「蛇口を開きっぱなし」にしていたのでは、財政面からせっかくの「介護保険制度」が破たんしてしまうことになるのです。

「アルツハイマー型認知症」の早期診断による回復と予防のシステムを確立し、全国展開する為の、「国民的な議論」を早急に展開する必要に迫られているのです。国民的な議論を展開して、脳の使い方という視点からの「生活習慣」を再構築することが必要不可欠であり、そのためには、日本人の生き方、価値観を根本的に見直す必要があるからです。「仕事」一筋、「左脳」一辺倒の価値観では、「超高齢化社会」を維持していくことができないのです。脳の司令塔の役割を担う「前頭葉」には、「加齢とともに、緩やかではあるが下向きのカーブを描きつつ、衰えていく」という性質があります。下向きのカーブが緩やかに衰えていく限りは、「アルツハイマー型認知症」の問題は起きてこないのです。

その緩やかなカーブを保ち続けるためには、そのカーブを下支えすることが不可欠の条件になります。下支えするには、脳をしっかりと使う「生活習慣」を構築して、「脳全体を活性化」してやる生活が必要なのです。「左脳」が中心となる仕事や勉強とは縁がなくなる「第二の人生」で、脳を活性化させる「生活習慣」とは、「右脳」や「運動の脳」を中心に構築した生活のことなのです。「趣味や遊びや人づきあい」を楽しむ生活、或いは「散歩やスポーツ」を楽しむ生活、日々を過ごしていく上での中心となる「テーマ」として、そうした生活に積極的に取り組むのです。そうした「テーマ」の遂行により、自分なりの「目標」があって、喜びや生き甲斐がそれなりに得られるような生活、そうした「生活習慣」を第二の人生での生き方として確立することが、「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)を含む脳全体の活性化につながるのです。

「前頭葉」の三本柱をなす機能、それは、「意欲」、「集中力」及び「注意の分配力」なのです。その機能が最も活性化する生活とは、「やりたいこと」を、「やりたいとき」に、「やりたい仲間と」やる生活、「3Yの生活」を生活習慣化して継続することなのです。「3Y」と言わず、「3Y崩れ」でもいいので、トライしてみてください。(蛇足)第一の人生を、オンもオフも「左脳」一辺倒で頑張っている人達への助言です。オフは、「右脳や運動の脳」中心の生活に切り替えたほうが、オンでの「左脳」の活性化に効果的というのが、脳の機能面からの考え方なのです。「左脳」から「右脳や運動の脳」への切り替えができる「生活習慣」を第一の人生で生活習慣化していれば、第二の人生が始まった時、悩むことも戸惑うこともないということなのです。

認知症を発病している人達の90%以上を占めていて、世間で認知症の専門家と言われる人達から、「原因も分からないし、治すこともできない病気」と言われ続けてきた「アルツハイマー型認知症」と言う病気は、脳の使い方としての「生活習慣」が「発病」を左右し且つ「回復」を左右する「生活習慣病」なのです。このことは、東日本大震災の被災地の高齢者達のこの先3~4年の間の動静を、注意深く観察していれば容易にわかることなのです。 「アルツハイマー型認知症」と言う病気は、認知症の専門家たちが言っているような、「アミロイドベータやタウタンパクが神経細胞を侵し、脱落させることが原因で発病する」ものではないのです。廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」にすぎないことが、「疫学的に証明されることになる」ことを、ここに予告しておきたいと思います。(ここを「クリック」してください)

専門家達が原因もわからないし、治らない病気としている理由は、「アルツハイマー型認知症」の性質そのものに根拠がある訳ではないのです。回復が容易な「軽度認知症」(小ボケ)に始まり、未だ回復が可能な「中等度認知症」(中ボケ)の段階を経て、回復が困難となる「重度認知症」(大ボケ)へと次第に症状が段階的に移行していくことさえ知らないことが問題なのです。権威はあるものの内容が間違っている、米国精神医学会の診断基準である「DSM-4」(「重度の記憶障害」と末期段階にしか見られない失語、失行及び失認という「重度の症状」とを診断の要件として規定している)を金科玉条として盲目的に依拠して診察を行うために、末期段階の「重度認知症」(私たちが区分している「大ボケ」)の段階にならないと、「アルツハイマー型認知症」であるとは考えないことに問題があるのです。この段階にまで「前頭葉」を含む脳の機能レベルが衰えてくると、治すことはできないし(正常なレベルはおろか、中ボケのレベルに回復させることさえ困難になるのです)、何が原因なのかも分からなくなってしまうということなのです。

「DSM-4」に依拠して診断している限り、見つけることができるのは、「アルツハイマー型認知症」の「重度認知症」(大ボケ)の段階ということになるのです。「重度認知症」の段階にまで脳の機能が衰えてきていると、回復させる(治す)ことは困難なのです。回復させるには、「軽度認知症」(小ボケ)の段階、或いは「中等度認知症」(中ボケ)の段階で見つけることが不可欠なのです。その最も重要な「指標」となるのが、「前頭葉」の機能の障害ということなのです。「記憶」の障害は、指標とはならないのです。そもそも、「失語、失行、失認等の症状は、「重度認知症」の段階(それも、「MMS」で10点を切る段階)にならないと発現してくることがない、極めて重い「症状」なのだということに、「アルツハイマー型認知症」の臨床の現場を持つお医者さん達が早く気付いて欲しいと願うのです。

「アルツハイマー型認知症」を長年患って「重度認知症」の段階にあった患者の死亡後の脳を解剖したとき「眼につく要素」ではあるのですが、「原因ではない」、且つ、「因果関係の証明」もない、単なる推測にもとずく「仮説」が、未だに学会で幅を利かしているのです。脳の委縮とか、老人斑とか、神経原線維変化とか、神経細胞の脱落とかの副産物をターゲットとして、脳の委縮説やらアミロイドベータ犯人説やらタウタンパク犯人説やらの色々な学説が展開されているのが実情です。その上、「前頭葉」の判断と指令に基づく人間の行動とは機能が異次元の、「ラット」やらの本能的な行動(本能に「薄毛」が生えた程度の行動)を分析して、主張(因果関係の証明がない、推論に基づく「仮説」)の根拠にしているのです。だからこそ、世界中の優秀な頭脳が何十年も一生をかけて研究しているのに、未だに結果が出てこないのです。「アルツハイマー型認知症は、生活習慣病である」との主張のもとに、市町村での「地域予防活動」を私達が開始してから18年が経過しようとしているのですが、その間に、アセチルコリン説、アミロイドベータ説、タウタンパク説と、色々な学説が「うたかた」のように「出てきては消え」を、ただ繰り返してきているだけなのです。

私達が主張している「生活習慣病」説(脳の使い方としての日々の「生活習慣」が発病を左右する要件)は、「前頭葉」を含む脳の機能レベルとそれにリンクした症状を基礎としていて、関連する「データ」に裏付けられているだけでなく、市町村での「実践の成果」にも裏付けられています。「アルツハイマー型認知症」を予防したり、治したりする(「小ボケ」及び「中ボケ」のレベルだけが対象)には、薬はいらないし(予防や治療に効く薬は存在しえない)、脳の使い方としての「生活習慣」を見直し再構築するだけでいいのです。多くのお年寄りが嫌いな、勉強(左脳が主体となる数学や国語の勉強)を要求しているわけでもないのです。自分が楽しくてやりたくなる、「右脳」や「運動の脳」がらみの「テーマ」を生活習慣化することを要求しているだけなのです。「利益はあっても害はない」ので、このブログを読んでおられる「お年寄り」は、是非挑戦してみてください。

「アルツハイマー型認知症」の予防には、脳をイキイキと使う「生活習慣」を毎日の生活に構築することしか他に方法がないのです。予防に効果がある薬は存在しえないし、食べ物もサプリメントの類も関係ないのです。従って、「アルツハイマー型認知症」の予防というテーマを医師に求めることもできないのです。何故なら、CTもMRIも使えないし、薬も使えないのでは、肝心の利益が出ないし、テスターの人件費さえまかなえないからです。廃用症候群に属する生活習慣病である「アルツハイマー型認知症」の「予防」を業務目標として活動することができるのは、市町村の保健師さん達だけなのです。このブログをできるだけ多くの市町村の保健市師さん達が、興味を持って読んでくれていることを期待しています。(ここを「クリック」してください)

 

あの大震災から1年半も経っているというのに、被災地の「高齢者」達の脳に何が起きてきているのかを「認知症の専門家」たちが理解するには、この先3~4年が更に必要だと言いました。その理由は、「アルツハイマー型認知症」の専門家たちは、「中ボケ」の後期から「大ボケ」の段階になって初めて出てくるようになる「重度の症状」が認められないと、「アルツハイマー型認知症」とは考えないからなのです。(「小ボケ」や「中ボケ」の前期の段階でみられる「症状」は、認知症の症状ではなくて、「不活発病」とか、年のせいによる「老化現象」としか考えていないのです。「アルツハイマー型認知症」の症状が、段階的に発現してくることを知らないので、「重度の症状」が、ある日突然降って湧いたように、発現すると考えているのです)。「アルツハイマー型認知症」という病気は、「脳の機能レベル」のアウトプットとして、(その段階的に区分される「機能レベル」に相応する特有な「症状」が段階的に発現してくる)だけの病気なのに、そのことが分かっていないのです。

3~4年後まで、何等の対応もなく手をこまねいて待っていると、現在「不活発病」のレッテルを貼られていたり(「小ボケ」のレベル)、或いは年のせいによる「老化現象」と誤解されている(「中ボケ」の前期のレベル)お年寄りたちが、突然、「アルツハイマー型認知症」を発病したとして(現在「小ボケ」や「中ボケ」の前期の段階に居るお年寄りたちの症状が進んで、3~4年後には、「中ボケ」の後期のレベルから「大ボケ」のレベルになっているはずなのです)、認知症の専門家達から騒がれることになるのです。被災地のお年寄りたちの間に、余りにも大量で且つ突然、「アルツハイマー型認知症」を発病したお年寄り達が出現することになって、マスコミも騒ぎだすことになるのです。その結果、認知症の専門家達の「アルツハイマー型認知症」に対する見方がやっと変わることになるのです。「小ボケ」から「中ボケ」、更には「大ボケ」へと段階を経て、「症状」が進んできていることにも気づくことになるのです。最終的には、「アルツハイマー型認知症」が「生活習慣病」であることにも気づくことになるのです。こうした経過を経て、「アルツハイマー型認知症」が脳の使い方という視点からの「生活習慣病」であることが、「疫学的に証明される」ことにもなるのです。

機能レベルが、「小ボケ」、「中ボケ」、そして「大ボケ」へと段階的に衰えていくにつれて、その脳の機能レベルに相応した 、「小ボケ」、「中ボケ」、そして「大ボケ」の各段階に特有の「症状」が出てくることになるだけの病気、それが、原因不明とされてきた「アルツハイマー型認知症」の正体なのです。そのことに専門家たち(研究者や医師)が気付いていないことが重大な問題なのです。ネズミやサルの脳を研究ばかりしていたのでは、いつまで経っても、「アルツハイマー型認知症」を発病するメカニズムを理解することは出来ないのです。人間の脳、特に「前頭葉」という脳全体の司令塔の役割をしているその機能は、余りにも高度で且つ複雑なので、猿やラットの脳はおろか、人間の脳でも「生きている人間の脳」を使って機能している状態を調べてみないと、理解することができないのです。末期段階の「重度認知症」のレベルを何年も過ごしていた人の脳を死後に解剖してみたところで、「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズム(原因) を理解することはできないのです。

 

人間の脳には、「前頭葉」という脳全体の司令塔を中心として、左脳、右脳及び運動の脳との協働により、「意識的な行為」の世界を組み立てコントロールするメカニズムがあります。人間に最も近いチンパンジーでさえ、異次元のレベル(人間の「前頭葉」とは比較にならないほど機能レベルが低い)にあるのです。世間では(学会や製薬会社)、人間の脳の働き具合を(チンパンジーとでさえ、比較もできない程のレベル差があるのに)、ラットの意識的な行為(「前頭葉」の機能自体を持ち合わせていない上に、行為というよりは、本能に基づく動きでしかない記憶に関わる行動)を基にして、「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズムを研究し、理解しようとしているのです。

そもそも、「前頭葉」には、ちゃんと使ってやる「生活習慣」を構築し継続していても、「加齢」とともに緩やかに機能が衰えていくという性質がある(「正常な老化」)のです。どんな「生活習慣」を維持していようとも、誰でも、「高齢者」と呼ばれる年齢になってくると、「前頭葉」の機能レベルが若い頃に比べると相当落ちてきているのです。「第二の人生」の入り口の年齢である65歳頃になると、最盛期の20~25歳の頃に比べて、その半分位に機能のレベルが衰えてきているのです。そして、その先は、70歳80歳90歳と年をとるにつれて、一直線に衰えていくのです(「第一の要件」)。そうした性質を内在させている「高齢者」の「前頭葉」が、何かを「キッカケ」として、ナイナイ尽くしの「単調な生活」に入っていくことで、老化を加速させていき(加速度的に機能が衰える「異常な老化」)、脳の機能が正常なレベルから異常なレベルに低下してくることで、その「機能レベル」に相応する「症状」を発現してくる、それが「アルツハイマー型認知症」の特徴なのです。

「アルツハイマー型認症」は、「生活習慣病」だと言いました。どんな「生活習慣」が発病を惹き起こすことになるのか。

「生き甲斐」となるものもなく、「喜びや感動」を覚えるときもなく、楽しめる「趣味」もなく、熱中している「遊び」もなく、これといった「人付き合い」もなく散歩やスポーツなど「身体を動かす」ことにも興味がなく、「目標」として掲げるものも何一つない、「ナイナイ尽くしの」単調な生活の連続そうした日々の生活振り、第二の人生でのあなたのそうした「生活習慣」(発病の「第二の条件」)が、「アルツハイマー型認知症」の発病を惹き起すことになるのです。

時間だけはたっぷりあるのにすることがない毎日、ただぼんやりと暮らすだけの「単調な生活」が日々繰り返されていて、そうした日々の脳の使い方(生活習慣)が継続されている生活、そんな毎日を「高齢者」と呼ばれる年齢のあなたが過ごしていたのでは、使われる機会が極端に少なくなった「前頭葉」が居眠りをしはじめ、「前頭葉」の「老化」が日々加速していくことになるのです。「高齢者」の皆さんが、日常生活面で体験していて分かり易い例で言えば、「脚」の筋肉の「廃用性萎縮」による機能低下、あれと同じことがの司令塔の「前頭葉」で起きてくるのです。

ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続する中で、「前頭葉」が日々老化を加速させていって、廃用性の加速度的な機能低下(使われる機会が極端に少ないことによって、機能が異常なレベルに加速度的に衰えて行くことを起こしてくるその先にあなたを待っているのが、高齢者のあなたやあなたの周りの家族が一番恐れている、あの「アルツハイマー型認知症」という病気なのです。「前頭葉」だけが異常なレベルにある段階が軽度認知症(小ボケ)で、左脳と右脳とが異常なレベルに衰えてくることで、中等度認知症(中ボケ)及び重度認知症(大ボケ)の段階へと症状が進んでいくのです。「中等度認知症」(中ボケ)の後期の段階から「重度認知症」(大ボケ)の段階の「症状」が出てくるようになって初めて、認知症の専門家たちが騒ぎだす(アルツハイマー型認知症だと診断する)のです。(「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズムについては、ここを「クリック」してください)。

今回も前置きがずいぶん長くなってしまいましたが、ここから今日の本題に入って、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まる「キッカケ」となる生活状況(その2)についての例示的な説明を以下にします。

(ケース その2) 「キッカケ」となる生活状況(「目標」を持ち、頑張って生きようとする意欲をなくしてしまうような「生活状況」が発生すること)が発生した時の経過

「左脳」が中心となる「仕事」を達成するような目標や生きがいはなくても、「右脳」や「運動の脳」が中心となる趣味や遊びや人付き合いや運動で、「目標」や喜びや生き甲斐が得られる場がある生活、毎日が楽しく充実していると感じられる生活を送っていれば、「前頭葉」は活性化され生き生きと働きます。そうした脳の使い方の日々が、加齢によりすべてのお年寄りが抱えている、あの「正常な老化のカーブ」を下支えしてくれるのです。(ここを「クリック」してください)

趣味や遊びや人付き合いや運動などを楽しみ、小さいながらも自分なりの「目標」があり、自分なりの喜びや生き甲斐がある生活を送っている日々が過ぎていく、ボケとは無縁であるはずの日々。そんな時、ある日突然、「目標」を持ってがんばって生きようとする「意欲」をなくしてしまうような「生活状況」が発生することになるのです。これが、パターン(その2)なのです。

 

○ 「病気や肉体的悪条件の発生と進行」(重い病気や大きな怪我、激しい痛みを伴う足腰の障害等の発生と進行;重篤な聴力や視力障害の進行)

「重大な病気や怪我や痛み等」を抱えたままの生活になれば、その病気や怪我や痛みが継続している間は、それまでのような趣味や遊びや人づきあいを自分なりに楽しむ、生き生きとした日々を送れなくなることは当然のことです。

注意しておかなければいけないことは、本人が重大な病気にならなくても「配偶者」が重大な病気になったことが「キッカケ」になることがよくあるのです。二人暮らしでがんばってきた老夫婦の相手が重大な病気にかかってしまった時に、その看病している側の方も看病で外出もままならなくなるし、趣味や遊びを楽しむことも許されなくなってしまうのです。毎日家に閉じこもって、「看病」をするだけの生活になってしまえば、肝心の自分の「前頭葉」も、出番が極端に少ない生活の下で、老化を速めて行くことになるのです.

病気の情報を集め、種々の工夫をして、つれあいの看病をすることに「生き甲斐」を感じることができれば、自分の生活もそれなりに、「前頭葉」が働く場面がそこそこある生活状態を保つことができますが、それは極めて稀なケースというのが現実なのです。

「高齢者」と呼ばれる年齢のお年寄りの場合は、例えば庭先で転んで骨折したり、変形性膝関節炎にかかったり、腰痛がひどくて、歩行が困難な生活状況が発生したりするのです。足が痛いと、ゲートボールや散歩にも行きたくなくなり、家にこもりがちの生活になってしまいます。そんな「閉じこもりの生活」が毎日継続していると、出番が極端に減った「前頭葉」が居眠りし始め、老化を加速させていく結果、「アルツハイマー型認知症」(小ボケ)の症状が出始める(発病する)のです。「前頭葉」の機能レベルを含む脳の機能レベルを、「神経心理機能テスト」で調べてみれば、「老人性うつ」ではなくて、或いは「不活発病」ではなくて、認知症そのもの(「アルツハイマー型認知症」の最初の段階である小ボケ)であることが確認できるのです。

 特に注意が必要なケースが、配偶者の一方が「アルツハイマー型認知症」を発病する場合です。「中ボケ」レベル或いは「大ボケ」レベルの相手を抱えて介護している本人自身が「小ボケ」に入っていく(「アルツハイマー型認知症」を発病する)ことがとても多いのです。自身が趣味や遊びの集いに参加することもできず、人付き合いも疎遠になっていく中で、「介護に追われる」だけの毎日、趣味なく交友なく運動もせず、目標もないナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続していると、出番が極端に減った「前頭葉」が居眠りし始め、老化を加速させていき、介護している本人自身が「アルツハイマー型認知症」を発病することになる(小ボケ)のです。

 

○  「家庭内の問題」が発生し、継続すること(子供の離婚やリストラやサラ金問題;孫の不登校や非行問題の発生;家庭内の不和;相続に関連した争いごと等)。

こうした他人には言えない「身内の重大な問題」が発生した時、普段の生活状況では、たとえ趣味や遊びや人付き合いの集いに参加していたり、スポーツや散歩を友人たちとやっていても、「心はいつも上の空状態」で楽しむことができないのです。楽しむ心の余裕もないのです。上記のような家庭内の問題を抱える状況が発生し、継続していると、人に会うのも恥ずかしいので、趣味や遊びの集いにも次第に出て行かなくなるのです。だからといって、自分の力ではどうすることもできないため、いわゆる「うつ状態」と言われるような精神状態に陥りがちなのです(「うつ病」ではなくて、「老人性うつ」)。

そのうち何かをする気力もなくなり、意欲もなくなって、家に閉じこもりがちの生活になっていくのです。生き甲斐なく、趣味なく、交友なく、運動もせず、目標もない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」に入っていくことになるのです。そのナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続するようになると、その先に「アルツハイマー型認知症」の発病が待っていることを知っておいてほしいのです。生活の在り方を何とか工夫して、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続する状態から抜け出さないといけないのです。

 

○ 「寂しい生活」が継続すること

家族と一緒に暮らしていながら、生活時間のずれや不和で、家族との挨拶も会話もなく、毎日の食事も一人でするような「寂しい生活」のことです。家の隅に追いやられ、テレビを見るだけのような暮らしでは、寂しさだけでなく精神的なつらさやわびしさが一層募ります。趣味も遊びも人付き合いもない「単調な生活」が過ぎていくだけの毎日で、こんなことなら、はやくお迎えがきて欲しいと思うようになるのです。何をする気力も希望も喜びもない毎日では、「前頭葉」は老化を加速させていくだけなのです。

 

○一人暮らしの生活

「一人暮らしだからこそ、ボケてなんかいられない」という気概を持っている人は、昼間は趣味や遊びで出かけて留守、家にいるときは、お友達がお茶のみや雑談に尋ねてきているような生活を送るものなのです。当然のことながら、こうした生活を継続している「一人暮らし」のお年寄りは、ボケ(「アルツハイマー型認知症」の発病)とは無縁です。

昼も夜も一人で家にいて、お茶を飲んでは居眠りして、水戸黄門を見ているだけのようなボンヤリした「単調な暮らし」だけの生活が、「前頭葉」を居眠りさせ、ボケを呼び込む(「アルツハイマー型認知症」を発病することになる)のです。明日と言わず今日から、お友達探し、趣味や遊びの集いの場探しの探検に出かけましょう。

 注)本著作物(このブログA-69に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

 エイジングライフ研究所のHPここをクリックしてください)

 脳機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)

 

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