認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

アルツハイマー型認知症の段階的症状(総集編) Q/A Room(A-52)

2012-07-26 | アルツハイマー型認知症の段階的症状の総ま

Q:認知症の大多数、90%以上を占めるとされる「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズムと発病後の症状の進行の特徴について、分かり易く説明してください。

A:60歳を過ぎた高齢者が、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標もない毎日、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続する日々を過ごしていると、出番が極端に少なくなった脳の機能が、廃用性加速度的機能低下を起こしてきて、「アルツハイマー型認知症」を発病します。「発病のメカニズム」は、ここをクリック。

但し、廃用性の機能低下が原因で発病する老年性の「アルツハイマー型認知症」は、遺伝子の異常が原因で発病し極めて短期間に症状が進行していく若年性の「アルツハイマー病」とは異なり、症状が何年もかけて、徐々に段階的に進んでいくのが特徴なのです。最初に回復容易な「小ボケ」の段階があって、次いで回復可能な「中ボケ」の段階があって、最後に回復困難な「大ボケ」の段階がくるのです。各段階ごとの脳の機能レベルの推移を下図に示しておきます。

    

昨日まで正常だったお年寄りが、一晩寝たら、突然自分の家が分からなくなったり、同居している孫娘の顔も分からなくなったりはしないのです。「キッカケ」を契機にして、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が日々継続するようになって、「小ボケ」の期間が「キッカケ」の発生から0.5~3年、「中ボケ」の期間が4~5年、6年経つと「大ボケ」になるのが大原則なのです。だからこそ、東日本大震災を経験した高齢者の状況を、私たちはとても心配しているのです。「不活発病」などと言う訳の分からない病名などつけて、放置しないで欲しいのです。(「キッカケは、ここをクリック」

       

5月2日のブログ(N-35)の解説で、大量且つ構造的な発病を予告した通りに、東日本大震災の主たる被災地である岩手県、宮城県及び福島県の高齢者を対象として、極めて多数のアルツハイマー型認知症の発病(新規の発病と症状の重症化)が確認されていることが、新聞でも大きく取り上げられるようになってきました。但し、その新聞に登場した専門家は、それを異常な現象だと捉えていて、構造的なもの言い換えれば、アルツハイマー型認知症発病のメカニズムにかかわるものだと言う認識を持っていないのが極めて残念なことです。アミロイド・ベータやタウ・蛋白が発病の主犯であるとする「学説の主張」は間違っているのです。東日本大震災の被災地の高齢者の状況について、今後数年間にわたって大規模な調査を実施すれば、その実態から私達の説が正しいことが、「疫学的に証明」されることになるはずです。(N-35は、ここをクリックしてください

軽度認知症(「小ボケ」)の次の段階を私たちは、「中等度認知症」(「中ボケ」)と呼んで、末期段階の「重度認知症」(「大ボケ」)の段階と区別しています。認知症の専門家たちは、末期段階の「重度認知症」(「大ボケ」)の段階にならないと認知症とは認めていません。ところが、「軽度認知症」の段階なら「回復が容易」で、「中等度認知症」の段階なら「回復が可能」であるのに対し、「重度認知症」の段階になると「回復は困難」になるのです。回復困難な末期段階(私たちの区分で言う「重度認知症」の段階)でアルツハイマー型認知症を見つけることに何の意味があるのか、医師としての社会的使命は放棄されてしまっているのではないかと言いたいのです。

       

以下に「小ボケ」、「中ボケ」、「大ボケ」の順にそれぞれの段階に「特有な症状」をまとめて順番に並べて表示します。「アルツハイマー型認知症」の症状(脳の機能レベルにリンクした症状)の進行具合が明確に読み取れることと思います。脳の機能が、「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)の三本柱の「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の衰えに始まり、次第に左脳、右脳、運動の脳と衰えが進んでいくことの結果として症状が出てきて、その症状も次第に重くなっていくことが分かることと思います。専門家達が考えているような、情報を連絡する神経線維がアミロイドベータやタウ蛋白によって侵されていくことによって症状が重くなっていくわけではないのです。

)以下に、「二段階方式」の判定基準である「小ボケ」に特有の症状を列記しておきます。

  [ 小ボケのチェックリスト]

(4つ以上に該当していると、「小ボケ」のレベルであることが疑われます)。

□ 複数のことに注意が分配できなくて、3つの用事が同時にさばけない

□ 機転がきかなくて、創意工夫ができない

□ 発想が乏しくて、画一的な行動が目立つ

□ 何事をするにも億劫で面倒がり、何かをやってみようという意欲が見られない

□  同じ食材を買ってくることが多く、料理の献立の単調さが目立つ

□ 一日や一週間の計画が自分で立てられず、なにも思いつかない様子

□ 朝は遅くまで起きてこないのに、気がつくと居眠りしている

□ これまでなら感動していたことに対して感動しない

□ 問いかけに対する反応が遅く、生き生きした笑顔がほとんど見られない

□ ぼんやりしていることが多く、自分から何もしないが指示されるとできる

□ 根気が続かず中途半端なことを繰り返し、やりかけの家事が目立つ

□ 目の光がどんよりしていて、顔つきが無表情

□ 反応が遅く動作がもたもたしていて、階段をトントンと降りられない

□ 歩くとき前屈みの姿勢で、小股でトボトボと歩く

□ 料理の手際が悪くなり、家族数に関係なく多すぎる量の料理を作る

□ 自分に自信がなくなり、何かにつけ人を頼ろうとする

□ 髪の手入れや、おしゃれに無関心

□ 同じ内容を繰り返して話し、そのことに本人が気づかない

□ 会話の最中唐突に、一方的に言いたいことを言い相手の話しを聞かない

□ 思い込みや思い違いが多く、指摘しても訂正や変更ができない

□ これまでなら楽しんでいた趣味や外出や旅行を嫌がる

         

)以下に、「二段階方式」の判定基準である「中ボケ」に特有の症状を列記しておきます。

 【中ボケのチェックリスト】

(4つ以上に該当していると、「中ボケ」のレベルであることが疑われます)。

□ 何度教えても日付けがあいまいになる(注1)

□ 簡単な計算ができない(お札ばかりで買い物をし、やたらと小銭がたまる)

□ 電気やガスの消し忘れ、水道の蛇口の閉め忘れなどが目立つ

□ 家庭内の簡単な用事程度のこともきちんとできない(部屋や洗濯物の

整理、食後の片付け、畑や庭仕事などがきちんとできなくなる)

□ お金や持ち物のしまい場所をすっかり忘れてしまい、一日中探している

□ 自分が飲む2~3種類の服薬管理ができない

□ 服の着方に無頓着で、重ね着が目立つ(セーターの上からシャツを着

る。裏表や前後ろに着る。入浴後、着ていた下着の上に新しい下着を着

る)

□ 入浴時の温度管理が出来ず、体を洗わないとか石鹸がついたままとかする

□ 周りを汚したり流してないなど、トイレの後始末がきちんとできない

□ 料理の味付けが変になる(特に、塩加減が極端に変になる。塩辛す

ぎて、周りが食べられないようなものを作り、本人だけが平気で食べる)

□ 行き慣れている所に行くのに、スムーズに行けない(行き先の違う乗

り物に乗ったり、行き道を間違えたりする)(注2)

□ 自分の子供の数、生まれ順、居住場所の説明がきちんとできない

□ 季節が分からなくなる(夏にセーターなど、季節違いの服を平気で着

る)

□ 昨日の出来事をすっかり忘れてしまう

□ 物盗られ妄想(物の置き場所を忘れて、相手が隠したとか盗んだとか

言う)とか、世話をしてくれる人に対して口汚くののしる行為とかがある

        

)以下に、「二段階方式」の判定基準である「大ボケ」に特有の症状を列記しておきます。

 【大ボケのチェックリスト】

(3つ以上に該当していると、「大ボケ」のレベルであることが疑われます)。

□ 着ている服を脱ぎたがらず、便で汚れた下着をそのまま平気で着ている

□ 風呂に入るのを嫌がる

□ 服を正しく着られず、ズボンを頭からかぶったり上着に足を通したりする

□ 家族の名前を間違えたり、子供を配偶者と間違えたりする

□ 食事やあいさつをしたことなど直前に起きたことをすぐに忘れてしまう

□ 家庭生活に全面的な介助が必要(食事、入浴、排泄)

□ 自宅に居ても落ちつかず、出て行きたがる

□ 大小便を失敗しても、後の処置ができない(大小便で汚れた下着を、押し入れなどに隠すようなこともあります)

□ 自宅の方向が、たびたびわからなくなる

□ 同居している家族の名前も顔もわからない(家族かどうかも分からない)

□ 今は昼なのか夜なのかがわからなくて、夜中に騒ぐ(夜中に起きてくる、家中の電気をつけて回る、会社に行くとか田んぼに行くとか言い張る)

□ 痛んだものを平気で食べ、食べ物でないものを口にする

□ 独り言や同じ言葉の繰り返しが目立つ

□ 誰も居ないのに「人が居る」と言ったりする

             

(コーヒー・ブレイク) 服を自分で着られなくなり、ズボンを頭から被るとか;自分の家が分からなくて、徘徊して迷子になるとか;同居してる家族の顔も分からないとか;失禁した服を平気で着ていたりしたら、自信を持って、その人はボケてると皆さんは思うのではないでしょうか。正確に言うと、これは、アルツハイマー型認知症の末期段階の症状なのです。こうした症状が出てくるもっと前の「軽い段階」があるのを専門家の精神科医でさえ見落としているのです。

昨日まで、ゲートボールをしたり、町内会の旅行に参加して楽しんでいたお年寄りが、一夜明けたら、洋服が着られないとか、自分の家が分からないとかには、ならないのです。回復が困難な末期段階の「重度認知症」の段階でしか、「アルツハイマー型認知症」を見つけられないでいる 医療機関は、その社会的な使命を果たしていると言えるのでしょうか。 

 注)本著作物(このブログA-52に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

  エイジングライフ研究所のHPここをクリックしてください)

 

 

 

 

 

 

 
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アルツハイマー型認知症のチェックリスト(大ボケ)Q/A Room(A-51)

2012-07-19 | 認知症に対する正しい知識のQ&A

Q:67歳になる私の父は、とても几帳面な上に細かいことにばかり目が向く性格。そのため、人付き合いが苦手です。休日もこれといった趣味や遊びを楽しむこともなく、平凡に大過なく地方公務員を勤め上げ、定年退職しました。退職後は、毎日が休日状態の日々を過ごしていました。母が心配して、ゲートボールにでも行って、遊び友達を見つけたらと言っても、「馬鹿とは遊べん」とか言い、耳を貸しませんでした。朝食の後は、新聞を読んで、お茶を飲んだらテレビを見るだけ。昼寝の後は、近所のスーパーで好きな甘いものを買ってきたら、夕ご飯。夕ご飯の後は、水戸黄門などを見て、風呂に入ったら早々と就寝。判で押したような退職後の毎日でした。

母は、持病で膝に痛みがあり、買出しに行くのも少し不便なので、1年前から毎週土曜日には私が買い出しや家事を手伝いに行っています。父は、昨年の夏ごろから言動におかしな点が目につくようになりました。身の回りのことも手を出してあげないとうまくやれません。失禁があるだけでなくトイレもよく汚しますし、服の着方も変で、ズボンを頭からかぶろうとしたりします。昼か夜かは分かっているのですが、今の季節が何なのかわかっていない様子です。先日私が尋ねたら、「いらっしゃい。どちらさん?」と言われて悲しい思いでいっぱいになりました。これってもう認知症ですよね?

              

A:60歳を過ぎた高齢者が、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標もない毎日、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続する日々を過ごしていると、出番が極端に少なくなった脳の機能が、廃用性加速度的機能低下を起こしてきて、「アルツハイマー型認知症」を発病します。但し、廃用性の機能低下が原因で発病する老年性の「アルツハイマー型認知症」は、遺伝子の異常が原因で発病し極めて短期間に症状が進行していく若年性の「アルツハイマー病」とは異なり、症状が何年もかけて、徐々に段階的に進んでいくのが特徴なのです。

最初に回復容易な「小ボケ」の段階があって、次いで回復可能な「中ボケ」の段階があって、最後に回復困難な「大ボケ」の段階がくるのです。昨日まで正常だったお年寄りが、一晩寝たら、突然自分の家が分からなくなったり、同居している孫娘の顔も分からなくなったりはしないのです。「キッカケ」を契機にして、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が日々継続するようになって、「小ボケ」の期間が「キッカケ」の発生から0.5~3年、「中ボケ」の期間が4~5年、6年経つと「大ボケ」になるのが大原則なのです。だからこそ、東日本大震災を経験した高齢者の状況を、私たちはとても心配しているのです。「不活発病」などと言う訳の分からない病名などつけて、放置しないで欲しいのです。(「キッカケは、ここをクリック」

5月2日のブログ(N-35)の解説で、大量且つ構造的な発病を予告した通りに、東日本大震災の主たる被災地である岩手県、宮城県及び福島県の高齢者を対象として、極めて多数のアルツハイマー型認知症の発病(新規の発病と症状の重症化)が確認されていることが、新聞でも大きく取り上げられるようになってきました。但し、その新聞に登場した専門家は、それを異常な現象だと捉えていて、構造的なもの言い換えれば、アルツハイマー型認知症発病のメカニズムにかかわるものだと言う認識を持っていないのが極めて残念なことです。アミロイド・ベータやタウ・蛋白が発病の主犯であるとする「学説の主張」は間違っているのです。東日本大震災の被災地の高齢者の状況について、今後数年間にわたって大規模な調査を実施すれば、その実態から私達の説が正しいことが、「疫学的に証明」されることになるはずです。(N-35は、ここをクリックしてください

              

認知症の末期の段階であり、私達の区分で言う回復が困難な「重度認知症」(大ボケ)の段階は、「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)を含む脳全体の働きが「中ボケ」(N-50で説明)のときよりも更に異常なレベルに加速度的に衰えてきています。然し、衰えてきて司令塔の「前頭葉」の認知機能が殆ど働かなくなっているとはいえ、左脳と右脳と運動の脳の働きは未だある程度残っています。

重度認知症(大ボケ)の段階になると、脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」が寝たきり状態になって殆ど機能していないのです。前頭葉の「三本柱」の意欲、注意の集中力及び注意の分配の機能が殆ど働かないので、いろいろな場面で要求される「認知機能」自体が殆ど働いていない状態なのです。そのアウトプットが、「大ボケ」の症状となって現れてくるのです。直前に食事をしたことさえ覚えていない「重度の記憶障害」の症状などは、その典型です。脳の機能レベルは3歳児以下のレベルであり、これまでの人生で何度となく体験して体に浸み込んでいるようなテーマや会話には、或る程度の対応ができるのですが、体に浸みこむほどの経験がないテーマや通常レベルでの会話には殆ど対応できなくなっているのです。

       

但し、4歳児以下のレベルといっても、症状が進行するにつれて、「脳機能年齢」は急速に0歳に向かって衰えて行くことになり、同時に「症状」が重くなっていきます。アルツハイマー型認知症は。脳がもたないのに、身体がもつのが特徴なのです。そのため、症状が進行するにつれて左脳も右脳も機能が急速に衰えて行くのに対して、身体だけは持つのです。重度認知症(大ボケ)は、MMSの換算値で14点~10点迄の人と10点を切った人とでは、全く別の視点からの介護対応が必要になると考えてください。

認知症の専門化が気づかず見落としていて、施設の職員も理解していないのが、「脳の機能レベル」のアウトプットが「症状の程度」として現われてくるものだという点です。状況に応じた会話ができないと言うことは、相手方の話の内容を理解できていないと言うことなのです。施設の職員が、「大ボケ」レベルのお年寄りに、話が一向に通じないのに、一生懸命話しかけている姿をテレビでよく見かけますが、この点を理解していないからだと思います。

             

脳の司令塔の「前頭葉」が殆ど働かなくなる結果、意欲、注意集中力及び注意分配力が殆ど機能しないので、思考にかかわる認知とその保持及び想起が極めて不完全なレベルでしか機能しない「重度認知症」(大ボケ)は、自分の身の回りのことをする「セルフケア」にも支障が出てきます。

食事をしたり、服を着たり脱いだり、お風呂に入ったり、トイレの後始末をしたりといった、身の回りのことも自分でできなくなり、日常生活に介助が要るようになるのです。「大ボケ」レベルになると、下図に見るように、「前頭葉」は殆ど働かなくなってきているのがお分かりだと思います(横軸が、「前頭葉」の働き具合を示しています)。

              

認知症の専門家と言われる精神科医達は、「DSM-4」の規定を金科玉条と考えているので、この段階にまで「脳の働き」が衰えてきて(その結果として、重度の記憶障害や失語や失行や失認などの重い「症状」が出てくるようになって)、「重度認知症」の段階になって初めて、「アルツハイマー型認知症」だと診断しているのです。それより軽い段階、私達の区分で言う「軽度認知症」や「中等度認知症」の段階は、「不活発病」や「老化現象」として見落とされ、放置されているのが現状なのです。

               

 「大ボケ」レベルでの「中核的な症状」の特徴を挙げると、次の3つです。

「時の見当識」:今日が何年何月何日なのか、今の季節は何なのか、今の時刻はいつ頃なのか(朝なのか、昼なのか、夜なのか)が分からなくなるので、夜中でも歩き回ったり、騒いだり、外に出て行こうとしたりするようになります。

「所の見当識」:自分が今居る場所がどこなのかが分からなくなるので、自分の家であることも分からなくなり、自宅に居ても落ち着かなくなります。何かの拍子に家の外へ出ると、自宅がわからないので、徘徊し迷子になります。

「人の見当識」:「大ボケ」の初期のころは、家族の名前を正確には言えない程度ですが、中期には対面している家族の顔も分からなくなります。それを過ぎると、同居している家族の名前も顔も分からなくなります。

               

以下に、「二段階方式」の判定基準である「大ボケ」に特有の症状を列記しておきます。同居のお父さんに該当する症状がいくつあるか、チェックしてみてください。3つ以上に該当していると、「大ボケ」であることが疑われます。基本的に、症状が軽いものから重いものへと並べてあるので、この先出てくる症状の参考になるはずです。

□ 着ている服を脱ぎたがらず、便で汚れた下着をそのまま平気で着ている

□ 風呂に入るのを嫌がる

□ 服を正しく着られず、ズボンを頭からかぶったり上着に足を通したりする

□ 家族の名前を間違えたり、子供を配偶者と間違えたりする

□ 食事やあいさつをしたことなど直前に起きたことをすぐに忘れてしまう

□ 家庭生活に全面的な介助が必要(食事、入浴、排泄)

□ 自宅に居ても落ちつかず、出て行きたがる

□ 大小便を失敗しても、後の処置ができない(大小便で汚れた下着を、押し入れなどに隠すようなこともあります)

□ 自宅の方向が、たびたびわからなくなる

□ 同居している家族の名前も顔もわからない(家族かどうかも分からない)

□ 今は昼なのか夜なのかがわからなくて、夜中に騒ぐ(夜中に起きてくる、家中の電気をつけて回る、会社に行くとか田んぼに行くとか言い張る)

□ 痛んだものを平気で食べ、食べ物でないものを口にする

□ 独り言や同じ言葉の繰り返しが目立つ

□ 誰も居ないのに「人が居る」と言ったりする

             

 注)本著作物(このブログA-51に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

    エイジングライフ研究所のHPここをクリックしてください)

 脳機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)

 

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アルツハイマー型認知症のチェックリスト(中ボケ)Q/A Room(A-50)

2012-07-12 | 認知症に対する正しい知識のQ&A

Q:私は、「軽度認知障害」と診断されている73歳になる義父と同居しています。食事の準備は私がしてあげますが、食事を摂ること自体は自分で出来るし、衣服も自分で身に着けられるし、入浴や排泄も自分で出来るので、セルフケアは一応出来るレベルなのです。但し、どれもまるで5~6歳の幼児がする程度にしかできません。

義父は、この頃「物忘れ」がひどく、日にちが分からないどころか、今が何月なのかも分からないことが多いのです。私自身は、義父が何時「アルツハイマー型認知症」を発病するか、とても不安な毎日を過ごしているのですが、肝心の義父は、「私は、なんともないよ」といたって平気で、認知症のことなど全く心配している様子がないのです。

        

A:前回のQ/Aでも説明しましたが、「軽度認知障害」の概念はとても幅広く、基準となる定義自体があいまいです。更に、アルツハイマー型認知症を発病する可能性について専門家が提起している%自体も、因果関係が極めてあいまいなのです。特別意味がある数値とは考えられません。

私達独自の区分であるアルツハイマー型認知症の最初の段階の「軽度認知症」(「小ボケ」)の段階に見られる症状は、「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)の三本柱である意欲、注意の集中力及び注意の分配力が異常なレベルに衰えていることのアウトプットです。そのため、「前頭葉」の機能の衰えの程度に無関心な専門家達からは、何事にも意欲を示さない症状を特徴とする「不活発病」というレッテルを冠せられるだけの程度にしか見られていないのです。それが、「アルツハイマー型認知症」の最初の段階とは考えられてもいないのです。もちろん本人も、家族も同様です。しかも、意欲をなくしてただ「ぼんやりと過ごすだけの毎日」に陥っていくだけの確かな「キッカケ」がどのケースでも必ずあるので、余計に納得してしまうのです。あんなことが(あれだけのことが)あったのだから、意欲をなくしてしまうのも当たり前だよなと皆が考え納得してしまうのです。(「キッカケ」については、ここをクリックしてください)。

       

明確な「キッカケ」があるがために、本人も周りの家族もみんな納得して、「ぼんやりと暮らすだけの毎日」に対して、何の疑いも抱かずにそのまま見過ごしてしまうのです。生き甲斐もこれといった目標もなく、何かに感動したり、喜びを覚える出来事もなく、そのうえ、趣味も交友も楽しめず、運動もしない、ナイナイ尽くしの「単調な毎日」を過ごしていると、「脳の老化」が更に加速度的に進んでいき、私達の区分である次の段階の「中等度認知症」(「中ボケ」)の段階がやってくるのです。

軽度認知症(「小ボケ」)の次の段階を私たちは、「中等度認知症」(「中ボケ」)と呼んで、末期段階の「重度認知症」(「大ボケ」)の段階と区別しています。認知症の専門家たちは、末期段階の「重度認知症」(「大ボケ」)の段階にならないと認知症とは認めていません。ところが、「軽度認知症」の段階なら「回復が容易」で、「中等度認知症」の段階なら「回復が可能」であるのに対し、「重度認知症」の段階になると「回復は困難」になるのです。回復困難な末期段階(私たちの区分で言う「重度認知症」の段階)でアルツハイマー型認知症を見つけることに何の意味があるのか、医師としての社会的使命は放棄されてしまっているのではないかと言いたいのです。

        

この「中等度認知症」(「中ボケ」)の段階は、脳の司令塔の「前頭葉」の働きが「小ボケ」のときより更に異常なレベルに衰えてきています。その上、「小ボケ」のときは未だ正常だった「左脳」と「右脳」の働きも異常なレベルに衰えてきているのです。「中ボケ」の段階になると、脳全体の働きが異常なレベルに衰えてきて、状況や物ごとの理解や判断が幼稚で、「社会生活」面だけでなく「家庭生活」面でもトラブルが起きてくるようになります。但し、「セルフケア」自体には未だ支障が起きてきていません。従って、認知症の専門家たちは、この段階を「認知症」のレベルとは考えていないのです。単なる「老化現象」としか捉えていないのです。症状は、脳の働き具合(機能レベル)のアウトプットなのだから、症状と脳の機能レベルとをリンクさせた診断が不可欠になるのです。脳の働きのレベルが良いのに、重い症状が出てくることはないのです。

「中ボケ」の段階になると、食器の片付けや、洗濯物の取り込み、庭の草むしりといった、「家庭内の簡単な用事」程度のこともちゃんとできなくなります。「4~6歳の幼児」がやる程度にしかできないのです。せっかく洗ってくれたお茶碗はもう一度洗いなおさないといけないし、庭の草取りをしてもらうと花の苗まで抜いてしまいます。家庭内の簡単な用事程度のこともちゃんとできないのに口だけは一人前、「言い訳の上手い幼稚園児」が「中ボケ」の特徴です。

       

下図の横軸は、前頭葉の三本柱である意欲、注意の集中力及び注意の分配力の働き具合を示しています。縦軸が左脳と右脳の働き具合を示しています。前頭葉を中心とした脳の働きのレベル(働き具合)のアウトプットが、症状として現れる(症状の程度:脳の働きのレベルが低くなるほど、症状が重いものとなる)ことに専門家は早く気づいて欲しいのです。

      

「中ボケ」レベルでの「中核的な症状」の特徴を挙げると、次の4つです。

他人との関わりのある社会生活は送れていないので、「何度教えても、日付けがあやふや」になります。

服用の指定のある薬を指定通りに飲めなくなるので、家族が服用の管理を注意してあげる必要があります。

身だしなみに気をつける必要性や状況を理解できないので、身だしなみにむとんちゃくになります。

今が昼なのか夜なのかはまだ理解できても、今の季節が何時なのかを理解する時の見当識が揺らいできていて、季節や目的に沿った服が選べなくなります。

        

以下に、「二段階方式」の判定基準である「中ボケ」に特有の症状を列記しておきます。義父の日々の生活実態に常態として見られる症状が、いくつ当てはまるかチェックしてみてください。基本的に軽いものから重いものへと順番に並べてあるので、この先出てくる症状が分かるはずです。

 【中ボケのチェックリスト】

(4つ以上に該当していると、「中ボケ」のレベルであることが疑われます)。

□ 何度教えても日付けがあいまいになる(注1)

□ 簡単な計算ができない(お札ばかりで買い物をし、やたらと小銭がたまる)

□ 電気やガスの消し忘れ、水道の蛇口の閉め忘れなどが目立つ

□ 家庭内の簡単な用事程度のこともきちんとできない(部屋や洗濯物の

整理、食後の片付け、畑や庭仕事などがきちんとできなくなる)

□ お金や持ち物のしまい場所をすっかり忘れてしまい、一日中探している

□ 自分が飲む2~3種類の服薬管理ができない

□ 服の着方に無頓着で、重ね着が目立つ(セーターの上からシャツを着

る。裏表や前後ろに着る。入浴後、着ていた下着の上に新しい下着を着

る)

□ 入浴時の温度管理が出来ず、体を洗わないとか石鹸がついたままとかする

□ 周りを汚したり流してないなど、トイレの後始末がきちんとできない

□ 料理の味付けが変になる(特に、塩加減が極端に変になる。塩辛す

ぎて、周りが食べられないようなものを作り、本人だけが平気で食べる)

□ 行き慣れている所に行くのに、スムーズに行けない(行き先の違う乗

り物に乗ったり、行き道を間違えたりする)(注2)

□ 自分の子供の数、生まれ順、居住場所の説明がきちんとできない

□ 季節が分からなくなる(夏にセーターなど、季節違いの服を平気で着

る)

□ 昨日の出来事をすっかり忘れてしまう

□ 物盗られ妄想(物の置き場所を忘れて、相手が隠したとか盗んだとか

言う)とか、世話をしてくれる人に対して口汚くののしる行為とかがある

        

(コーヒー・ブレイク) 「時の見当識」は、日、年、月、季節、昼夜の順に衰えていきます。  何度教えても日付けがあやふやになるのが中ボケの始まりで、何月なのかがあやふやになると中ボケの中期、季節があやふやになると中ボケの末期です。

注1)     「見当識」が低下していく順番は、「時の見当識」→「所の見当識」→「人の見当識」となります。「小ボケ」では、「時の見当識」にも「所の見当識」にも未だ問題は起きてきません。「中ボケ」になると、「時の見当識」は、上述の通り。「所の見当識」にも、前述のチェックリストに見るような問題(注2)が起きてきます。  

 注)本著作物(このブログA-50に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。 

エイジングライフ研究所のHP(ここをクリックしてください)

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アルツハイマー型認知症のチェックリスト(小ボケ) Q/A Room(A-49)

2012-07-05 | 認知症に対する正しい知識のQ&A

Q:長年連れ添ってきたしっかり者の奥さんを3年前に亡くしてからは、隣の町で一人暮らしをしている73歳の兄のことです。夫婦で国内旅行を時々楽しむ以外これといった趣味もなかった上に、人付き合いが苦手な兄は、テレビを見て暮すだけの毎日なのです。ボケるのを心配して、ときどき私が訪ねて行って話し相手をしていました。最近物忘れがひどいので、気になって近所のお医者さんに診ていただいたところ、「軽度認知障害」で、この先「アルツハイマー型認知症」を発病する可能性があると言われました。

       

A:認知症の専門家たちの間で提唱されている「軽度認知障害」は、「正常」と認知症(専門家が「認知症」というときは、私達の区分で言う末期の段階の回復が困難な「重度認知症」のことです)との間にある概念だとされています。従って、私達の区分で言う、早期の段階の回復可能な「軽度認知症」と「中等度認知症」は、「軽度認知障害」の中に含まれることになります。いづれにしろ、「軽度認知障害」の基準は定義自体があいまいで、且つ幅が広すぎるので、客観的な診断基準というにはほど遠い内容です。

「アルツハイマー型認知症」の初期(最初)の段階であり、私達の区分で言う「軽度認知症」(小ボケ)は、左脳と右脳と運動の脳は正常レベルなのですが、脳全体の司令塔である「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)の働きだけが異常なレベルに衰えてきているのです。そのため、「前頭葉」の機能のうち最も重要な「三本柱」の機能である意欲、注意集中力及び注意分配力が十分且つ的確には発揮できなくなります。この「三本柱」の機能の相乗効果としての発揮度合いが、いろいろな認知機能の対象となる情報や思考の処理にかかわる「認知度」を左右しているのです。その結果、小ボケの段階では、この「三本柱」の機能障害を示す症状が「小ボケの症状」として特徴的に現れてくるのです。

「三本柱」の機能がいろいろな認知面で的確に発揮されなくなる結果、対象となる情報や思考の認知と処理並びに記銘とその保持及び想起の面でも、機能の発揮が不的確で不十分なものとなります。その結果、的確な状況の判断、発想、計画、創意、工夫、機転や見通しなどが要求される「社会生活」に支障が出てくるようになり、社会生活面での種々のトラブルが生じてくるようになります。勿論、この段階では、「家庭生活」面にも「セルフケア」にも何の支障も起きてきません。それぞれの段階で必要とされる「脳の機能のレベル」が異なるからです。(「小ボケ」の脳の機能レベルは、ここをクリック)、(「中ボケ」は、ここ)、(「大ボケ」は、ここ)。

       

その「小ボケ」レベルでの「中核的な症状」の特徴を挙げると、次の5つです。

自分の置かれている状況を的確に判断できなくなります。

発想が湧いてこなくて、見通しも立たないので、この一日或いは一週間、何をどうするのかという「テーマの発想と計画」が出来なくなります。

何かをしようとする「意欲」が出てこなくなり、毎日をボンヤリと過ごして、居眠りばかりするようになります。

何事をするにつけても人を頼るようになり、指示してもらわないと動けない「指示待ち人」になります。

その人らしい「生活態度」が消えていき、「こんな人ではなかったのに」と周りから言われるようになります。

                  

以下に、「二段階方式」の判定基準である「小ボケ」に特有の症状を列記しておきます。夫婦で国内旅行を楽しんでいたころのお兄さんには見られなかったもので現在該当する症状が、いくつあてはまるかチェックしてみてください。4つ以上に該当すると、「小ボケ」の可能性があります。

□ 複数のことに注意が分配できなくて、3つの用事が同時にさばけない

□ 機転がきかなくて、創意工夫ができない

□ 発想が乏しくて、画一的な行動が目立つ

□ 何事をするにも億劫で面倒がり、何かをやってみようという意欲が見られない

□  同じ食材を買ってくることが多く、料理の献立の単調さが目立つ

□ 一日や一週間の計画が自分で立てられず、なにも思いつかない様子

□ 朝は遅くまで起きてこないのに、気がつくと居眠りしている

□ これまでなら感動していたことに対して感動しない

□ 問いかけに対する反応が遅く、生き生きした笑顔がほとんど見られない

□ ぼんやりしていることが多く、自分から何もしないが指示されるとできる

□ 根気が続かず中途半端なことを繰り返し、やりかけの家事が目立つ

□ 目の光がどんよりしていて、顔つきが無表情

□ 反応が遅く動作がもたもたしていて、階段をトントンと降りられない

□ 歩くとき前屈みの姿勢で、小股でトボトボと歩く

□ 料理の手際が悪くなり、家族数に関係なく多すぎる量の料理を作る

□ 自分に自信がなくなり、何かにつけ人を頼ろうとする

□ 髪の手入れや、おしゃれに無関心

□ 同じ内容を繰り返して話し、そのことに本人が気づかない

□ 会話の最中唐突に、一方的に言いたいことを言い相手の話しを聞かない

□ 思い込みや思い違いが多く、指摘しても訂正や変更ができない

□ これまでなら楽しんでいた趣味や外出や旅行を嫌がる

         

(コーヒー・ブレイク) 60代以降の高齢者が何かを「キッカケ」にしてナイナイ尽くしの「単調な生活」(目標もなく喜びや生き甲斐もない生活、趣味や遊びや人付き合いもなく運動もしない生活)を続けていると、出番が少なくなり使われる場面が極端に減った前頭葉が加速度的な廃用性の機能低下を起こしてきます。脳の老化が加速されていき、働きが急速に衰えてくるのです。脳の働きが加速度的に衰えてくるその先に、「アルツハイマー型認知症」が待っているのです。(認知症発病のメカニズムについては、ここをクリックしてください)。(小ボケからの回復については、ここをクリックしてください)。

 注)本著作物(このブログA-49に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

        エイジングライフ研究所のHPここをクリックしてください)

      脳機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)

 

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