&1 『アルツハイマー型認知症(以下、「AD型認知症」と略記する)』の発病とアミロイドβの蓄積とは無関係
〇最新の新聞記事報道の内容
『イーライリリー社 「AD型認知症」の治療薬の「第3相試験」で主要評価項目の達成ならず』(2016-11-24)との見出しで、米国の大手製薬メーカーが、「AD型認知症」の治療薬の開発に失敗したとの報道がありました。大きな期待が寄せられていたが故に、同社の株価は同日大幅な下落をしたのでした。
同社は、記者発表の際に、軽度の「AD型認知症」の発病患者に対する治療薬候補のモノクローナル抗体solanezumab(ソラネズマブ)の第3相試験において、主要評価項目であった認知機能低下の抑制効果が示されなかった為に、製品化を断念し、規制当局への申請を見送ることにしたと発表したのでした。 同社は、「AD型認知症」に対する新薬の開発で製薬業界をリードしてきたので、同様の新薬を開発して来た他社への影響も大きいとのことなのです。これまでにも、日本の製薬メーカートップの10倍以上の売り上げ高の規模を持つ欧米のトップ三大製薬メーカーの全てが、「AD型認知症」の治療薬の開発に失敗しているのですが、今回のイーライリリー社も同様の運命をたどることとなったのです。失敗したというよりは、私たち「二段階方式」が、これまでに指摘し、問題提起して来たように、『アミロイドβの蓄積と発病との間の因果関係そのものが存在しないのだから(開発が不可能なこととは、気付かないで居て)』、無駄な投資を続けて来ただけのことなのです。
アミロイドβ仮説に依拠した開発であろうと、或いはタウ蛋白説に依拠した開発であろうと、結果は同じこと治療薬の開発は、有り得ないのです。
私たち「二段階方式」が、このGooブログ上で何度も指摘し、問題提起して来ているように、アミロイドβの蓄積/タウ蛋白の沈着共に、「AD型認知症」の発病を惹き起こす原因要因ではないのです。私たち「二段階方式」が20年も前から主張して来ているように、「AD型認知症」の正体は、①廃用症候群に属する/②老化・廃用型の/③「生活習慣病」に過ぎないのです。私たち人間の意識的/目的的な世界を構築し、支配し、統括し、コントロールしているのは「前頭葉」機能(前頭前野の穹窿部に局在する複合機能体を言う)という脳機能であって、様々な程度及び態様で発現して来る「AD型認知症」の症状は、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」が継続される状況下で、廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させてきた「前頭葉」機能を含む/脳全体の機能レベルのアウト・プットとしての症状に過ぎないのです。「AD型認知症」の症状は、「前頭葉」機能を含む/脳全体の機能レベルに/厳密にリンクして発現してくるものであり、アミロイドβの蓄積とか/タウ蛋白の沈着とかとは、無関係の関係にあるのです。直接的な関係があるのは、「前頭葉」機能を含む/脳全体の廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行とその結果としての機能レベルの反映なのです。
後述するように、廃用性の/加速度的で/異常な/機能低下の進行を惹き起こす元凶は、一つには、60歳を超えた年齢の「高齢者」であること(生来的に脳機能に内在している加齢の進行に伴う脳機能の「正常老化」の進行と言う要因)、そしてもう一つには、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」の継続に起因した廃用性の異常な機能低下の進行という要因なのです。この「異なる二つの要因が、同時に並存し重なり合うことの『相剰効果』、即ち、①60歳を超えた年齢の「高齢者」が、②自分なりに追及する特定の「テーマ」が無く、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものが何も無い、ナイナイ尽くしの「単調な生活習慣」を日々繰り返す「生き方」が、継続していると、『①と②と言う異なるこの二つの要因が同時に並行して存在し、重なり合うことの「相剰効果」』に因り、「前頭葉」機能を含む/脳全体の機能が、廃用性の/加速度的で/異常な]機能低下を進行させることとなり、その行き着く先に、「AD型認知症」の発病/症状の重症化の進行が待っていると言うことなのです(私たち「二段階方式」独自の見解であり、世界初の提示内容であり、且つ、主張内容が正しいことが、北海道から九州に跨る全国的規模、452の市町村での『住民参加型の地域予防活動』の実践展開の指導による顕著な成果に因って、疫学的方法により実証済みのものなのです!!。
「アミロイドβの蓄積による老人斑の生成」とか、「タウ蛋白の沈着による神経原線維変化」とか言う器質的な病変が、「AD型認知症」発病の真の原因ではないのであり、廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行こそが、発病を惹き起こしている/真犯人なのです。
このことは、①「前頭葉」機能を含む/脳全体の機能レベルと ②その機能レベルに厳密にリンクした症状について、高度に正常な機能レベル(矍鑠老人)、通常の正常な機能レベル(普通のお年寄り)、正常下限の機能レベル、異常な機能レベルではあるが軽い段階(小ボケ)、異常な機能レベルでやや重い段階(中ボケ)、異常な機能レベルで重い段階(大ボケ)、異常な機能レベルで極めて重い段階/失語や失認や失行(紛い)の症状が確認されるようになる「大ボケ」の後期の段階)という風に、連続したものとして「脳機能データ」を集積し解析してみれば容易に分かることなのです。
末期の段階の症状が発現している「高齢者」ばかりを対象として追いかけ、おまけに、「前頭葉」機能を含む/脳全体の機能レベルについての客観的な指標さえも持たないで、「記憶障害」の症状を核とした/外観的な症状ばかりに着目して研究していたのでは、何時まで経っても、「AD型認知症」の本質、発病の仕組みや、治す仕組みや、発病自体を予防する方法の核心に迫ることは、出来ない相談なのです。「AD型認知症」こそ、発病自体を「予防」することが出来るし、本当の意味での「早期の段階」で/発病を見つけると、「治す」ことが出来るタイプの認知症であるにもかかわらず、認知症の専門家とされ/世の中での権威が認められている人達が、『AD型認知症は、発病の原因自体が分からないし、治すことが出来ないし、予防することが出来ない』と言って、誤った情報を世間に流し続けて来ているのです。
世界で一番の「権威」があるとは言いながら、内容的には重大な誤りである米国精神医学会が策定した、「AD型認知症」の診断基準である「DSM-Ⅳ」の規定内容を盲信している限り、「AD型認知症」の発病のメカを解明することは出来ないのです。「AD型認知症」の本態が、①廃用症候群に属する/②老化・廃用型の/③「脳の使い方」としての視点と意味で言う「生活習慣病」であることは、二段階方式を活用して、私たちが集積してきた14,689例にも及ぶ精緻な「脳機能データ」及び北海道から九州に跨る全国的規模、452の市町村で/実践展開を指導して来た「住民参加型の地域予防活動」の顕著な成果が証明しているのです。「アルツハイマー病」を含む/他の全てのタイプの認知症とは、性質が根本的に異なり、様々な種類のそれらの認知症とは全く異なる視点である機能低下、就中、廃用性の異常な機能低下の進行という視点が、不可欠となるのです。「AD型認知症」と言うタイプの認知症は、超高齢社会に於ける「落とし子」、20年間も、30年間もの長い期間続く『第二の人生』を生きて行く、『高齢者』の日々の「脳の使い方」としての「生活習慣」、「生き方」自体が問われるタイプの認知症なのです!!
とはいえ、我が国を含めて世界中の「AD型認知症」の研究者(学者、製薬会社の研究者、医師)達は皆、「前頭葉」機能含む/脳全体の機能の廃用性の機能低下という私たち「二段階方式」の主張には目もくれないで、器質的な病変が発病の原因であると信じ込んでいて(重大な誤りなのですが)、アミロイドβの蓄積が駄目なら/今度はタウ蛋白の沈着に目を向けることになり(これも誤りなのですが)、それも駄目なら、又何らかの別の標的を見つけることになるのでしょう。
(コーヒー・ブレイク)
米国製薬会社大手のイーライ・リリー社は、「アミロイドβ仮説」の考えを基礎とした治療薬(新薬)の開発で業界をこれまでリードして来ました。 開発の基礎となっている考え方は、『アミロイド・カスケード仮説』なのです。アミロイドβというタンパク質が、脳内に蓄積して老人斑を生成することにより、その毒性が、情報を伝達する役割を担っている『神経細胞の細胞死』を惹き起こすこととなり、その領域の拡大が原因となって、重度の「記憶障害」を引き起こす結果、「AD型認知症」の症状が発現して来ることになるという考え方(憶測)に立脚しているのです。その仮説に立脚して、アミロイドβの蓄積を阻害する薬を開発することにより、「AD型認知症」の発病を食い止める/症状の進行を食い止めることが出来る筈」との前提条件に立ったものなのです。
脳内でアミロイドβタンパク質(Aβ)が凝集して老人斑(アミロイド斑)として沈着し、その結果情報を伝達する役割を担っている「神経細胞の細胞死」が惹き起こされることが原因で、「AD型認知症」が発病する筈との前提(仮説)に立脚しているものなので、「AD型認知症」の治療薬の開発は、(アミロイドβの除去を目的とした)アミロイドβの産生酵素であるβ-セクレターゼやγ-セクレターゼの産生を阻害する効能が期待される様々な阻害薬の開発が行われて来たのです(但し、主張されている原因要因と発病との間の因果関係の存在自体が、未だに実証出来ていない仮説に立脚していることが、最大の問題(実は、致命的な欠陥!!)。But,私たち「二段階方式」から言うと、『因果関係そのものが、存在していない」、単なる憶測がベースでの「仮説」に過ぎないのです。
「AD型認知症」を患って、何年間もかかって症状が進行していき、末期の段階である「重度認知症(大ボケ)」の段階の更に後半の症状である失語や失認や失行(紛い)の症状等の「極めて重度の症状」が発現してきたお年寄りの/死後の「脳の解剖所見」に共通して観察される老人斑を基礎とした仮説が、「アミロイドβ仮説」なのです。更にこの「仮説」には、二つの重大な欠陥(誤り)が存在していることを指摘しておきたいのです。
一つ目は、『「アミロイドβの蓄積と記憶障害の症状の発現」との間には、因果関係が存在していない』という問題なのです。私たち「二段階方式」の「脳機能データ」によると、「AD型認知症」の症状の一つとして発現してくる「記憶障害」の症状が①発現してくる及びその症状が②重症化してくる上でのメカは、アミロイドβの蓄積とは無関係であって、私たちが「前頭葉の三本柱」の機能と名付けている意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能の/「加齢」の進行に因る「正常老化の性質」に起因した正常な機能低下(発病の「第一の要件/基盤の要因」)及びナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」の継続に起因した/廃用性の異常な機能低下の進行(発病の「第二の要件/加重要因」)という/「異なる二つの要因が、同時に並行して存在し、重なり合うこと」による「相剰効果」によって、惹起される(廃用性の/加速度的で/異常な機能低下の進行)こそが、真犯人なのです。
そしてもう一つ別の要因、二つ目の問題点は、『AD型認知症の様々な症状は、「記憶障害」の症状に起因して、発現してくるものではない』ということなのです。
私たちの意識的な世界を構築し、支配し、コントロールしている「前頭葉」機能と言う脳機能の廃用性の機能低下という問題に目が向かないでいる限り、天文学的な金銭規模での無駄な開発投資が果てしなく続けられていくことになってしまうのです。我が国の製薬業界の研究者の皆さん、「AD型認知症」の研究に従事している東大や京大や理化学研究所の研究者の皆さん、今こそ、虚心坦懐になって、『「AD型認知症」の発病のメカ(原因)は、器質的な病変が原因なのではなくて、廃用性の異常な機能低下が原因なのだ』という私たちの主張、「脳機能データ」の解析結果としての問題提起に目を向けて頂きたいのです。
分かり易い具体的な症状を挙げて説明すると、末期の段階である「重度認知症(大ボケ)」の段階にある「AD型認知症」患者が、自分が排便した後に、トイレが汚れていても、その後始末が出来ないのは、後始末の仕方を忘れているからではないのです。我が身の行為が惹き起こした状況の理解が出来ない上に、その状況に対しての採るべき対策や対応の仕方についての発想や組み立てが出来ないことが、原因の行為(症状)なのです。「前頭葉」機能を含む/脳全体の機能が必要なレベルで働いてくれないことが原因で、自分が置かれている状況の理解が出来ないし、何をどのようにすればいいのかを思い立たないし、分からないだけなのです。「前頭葉」機能を含む/脳全体の/廃用性の/加速度的で/異常な機能低下の進行により、脳が必要な機能レベルで働いてくれないことにより、対応することが出来ないだけのことなのです。
自分が置かれているその状況に対して、意識的/目的的に何をどのようにしたら良いのかが組み立てられなくなっているのです。ナイナイ尽くしの「単調な生活習慣」の継続に起因した、廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行により、「前頭葉」機能を含む/脳全体の機能がそこまで衰えてきてしまっていて、状況の理解と判断に応じた、対応すべき適切な実行内容を組み立てた上で、的確に実行するという作業が出来なくなっているという訳なのです。「AD型認知症」の様々な症状は、「記憶の障害」が原因で発現してきている訳ではないのです。
その原因は、米国精神医学会が策定した診断基準である『DSM4-Ⅳ』の規定内容の重大な誤りにあるのです。『DSM-Ⅳ』の規定は、「AD型認知症」と診断する上で、「記憶の障害の症状」(第一要件に規定)並びに「失語、失認又は失行(紛い)の症状!!」(第二要件に規定)の発現の確認を要求しているのです。この規定が世界的に権威があるとされているが為に、皆さんはその規定を疑いもせずというか、その規定内容を大前提として主張されているアミロイドβ仮説とか/タウ蛋白仮説とか、或いは、アセチルコリン仮説とかの仮説を基礎とした治療薬の開発を構想している訳なのですが、そもそも、『「DSM-Ⅳ」が規定する内容自体に重大な誤りが存在する』という点に気付いていないことこそが大問題なのです。「DSMーⅣ」の規定内容が正しいものとしての大前提に立って、「アミロイドβ仮説や、アセチルコリン仮説」に則った開発内容を計画していたのでは、何時まで経っても、どれだけの規模の開発資金を投入しようとも、どれだけ優秀な人材を投入しようとも、未来永劫開発に成功することは有り得ないことなのです。「AD型認知症」は、廃用症候群に属する/老化・廃用型の/単なる生活習慣病(但し、「脳の使い方」としての「生活習慣病」)に過ぎないのですから。因果関係を無視していて、何が出て来ると言うのか!!
「AD型認知症」発病の真の原因は、「仕事」と言うテーマとは無縁の日々を生きる『第二の人生』を生きて行く日々の暮らしの中で、自分なりに追及する特定の「テーマ」が無く、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもない単調な日々の生活、ナイナイ尽くしの「単調な生活習慣」の継続と言う/「脳の使い方」としての単調な「生活習慣」の継続に起因した廃用性の/加速度的で/異常な/機能低下の進行という要因なのです。学者や研究者の皆さんがこれまで拘泥し続けてきている『器質的な病変が発病の真犯人だとの思い込み』から解放されない限り、何時まで経っても、「AD型認知症」の発病の仕組みを解明することは、出来ない相談なのです。
&2 私たちの眼前に同時存在するのは、重層的な「意識」の世界
お風呂に身を沈めて、ゆったりと朝の入浴(Tadは、朝風呂派なんです!)を楽しみながら、この庭の景色をぼんやりと眺めているのです。その時、上の庭の全体像を私の目が捉えているのです。その全体像を一つの視野に入れた時、複数の様々な覚醒レベルでの「意識」と言うか、或いは意識とは二次元的な性質のものもではなくて、三次元むしろ四次元的な意識状態と言うべきものであり、その「意識度」(個々の意識の覚醒度)が異なる意識の世界が、複数存在していることに気付いて頂きたいのです。「主題」となって/意識されていない世界も、意識度は「主題」のそれよりは低いものの、別の意識の世界として、複数の意識の一つとして、同時に並存して/存在しているのです。「主題」となる対象を/右奥のブーゲンビリアの木から庭の中央に据え付けられているピザ窯に移したとき、主題こそ変わっても、同じように視野の中に捉えられている/「意識度」が主題よりも低い複数の意識の世界が、そこには、存在しているのです。私たちの意識の世界は、基本的には、このような/『内容及び意識度が異なる/複数の意識の世界」の同時存在(並存)と言う形で構成されているのです。
そのことを可能にしている脳機能が、今日のテーマであり、「前頭葉の三本柱」の機能と私たち「二段階方式」が名付けている意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能、就中、『「意欲」の機能が⇒「注意の集中力」の機能の発揮及び発揮度を下支えていて、及び「注意の集中力」の機能が⇒「注意の分配力」の機能の発揮及び発揮度を下支えている、Tad流に言う『機能発揮上の二重構造』の関係が存在していることに、気付かされるのです【=By Tadの「思考実験」の成果】。
思考や発言であれ、或いは、行為や行動や言動であれ、意識的/目的的に行われるそれらの世界は、この「注意の分配力」の機能無しには/存在し得ないのです。私/Tadが語っている、こうした「意識」の世界とそれを可能にしている「注意の分配力」の機能の働きについては、日本はおろか、世界中の心理学者も脳科学者も、誰一人として、問題提起したことは無い、世界初の話なのです。この先、「意識」が覚醒した/目的的な世界に於ける脳全体の司令塔の役割りを担いながら、専門家達による研究が遅れていて、未知の領域に近い、『前頭葉』機能(「前頭前野」の穹窿部に局在汁①「前頭葉の三本柱」の機能(=意欲/注意の集中力/注意の分配力の機能の総称)、②「評価の物差し」の機能(=意識の首座=自我=脳の中のホムンクルス)及び③「実行機能(Executive Function)」の三者により構成されている複合機能体のことを言うものとする。以下同じ)と言う機能の働きや/そのメカが明らかになるにつれて、今日の私の問題提起と説明が注目されることになる筈なのです。私たち人間の意識的/目的的な世界と「前頭葉」機能とは、切っても切れない関係にあるのですから。
私/Tadがこのテーマを今日持ち出すのは、「AD型認知症」の発病のメカを理解する(解明する)上で、或いは、早期発見と早期治療による症状の回復の方法を解明する上で、更には、発病自体を予防する方法を解明する上で、複合機能体としての「前頭葉」機能、並びに意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能から構成される「前頭葉の三本柱」の機能(私たち独自の命名)、就中、「注意の分配力」の機能の正しい理解が、必要不可欠のものだからなのです。
アミロイドβを注入したアミロイド・マウスも、アミロイドを吸収させたアミロイド・米も、「AD型認知症」の発病のメカの解明にも、とりわけ、「AD型認知症」の治療薬/予防薬の開発にも無関係だということを指摘しておきたいのです。何故なら、それらの説(仮説)が主張の根拠にしている、アミロイドβの蓄積と「AD型認知症」の発病/症状の重症化の進行との間には、何等の「因果関係」が存在していないからなのです。私たち「二段階方式」は、そのことを実証済みであり【ブログの(H-05)で詳説】、厚労省にも、「提言書」を送付済みなのです。
「AD型認知症」の様々な症状は、「前頭葉」機能を含む/脳全体の機能の/器質的な変化が原因ではなくて/機能的な変化、①廃用性の/②加速度的で/③異常な/機能低下の進行が原因で発現してくるものだからなのです。この極めて重要な要素が、見落とされているのです。 解剖所見に基づく誤解が、「AD型認知症」発病のメカの解明の妨げとなり、逆に、その「誤解」に基づく研究方法への「拘泥」が、迷路へと彷徨いこませているということを指摘しておきたいのです。『廃用性の異常な機能低下』という視点も、研究者にとって価値あるテーマだと思うのですが。
「AD型認知症」と言うタイプの認知症は、①廃用症候群に属する/②老化・廃用型の/③単なる「生活習慣病」(「脳の使い方」としての視点と意味で言う「生活習慣」であることに注意)に過ぎないのであって、「早期発見」(私たちの区分で言う「小ボケ」及び「中ボケ」までの段階で発病を見つけて)、と「早期治療」(「脳のリハビリ」を実践させること)により、正常なレベルに回復させることが出来るし(=「小ボケ」)、症状の重症化の進行が抑制出来るし(=「小ボケ」及び「中ボケ」)、更には、発病自体を予防することが出来る(脳の使い方としての「生活習慣」の改善と工夫に基づく、「前頭葉」機能を含む/脳全体が活性化する「生活習慣」の継続に因り、『前頭葉』機能を正常なレベルに保ち続ける事が、不可欠の条件)タイプの認知症なのです!!!
世の中の権威のある人達や組織、学者や研究者や医師達は、「DSM-Ⅳ」の規定に惑わされ、「AD型認知症」の発病を惹き起こす原因(犯人)が「記憶の障害」であると誤解し(「第一の要件」に規定されている)、第二の要件が規定し確認を要求している失語、失認、又は失行(紛い)の症状と言った「極めて重度の症状」(私たち「二段階方式」が、末期の段階として定義する「重度認知症(大ボケ)」の段階でも、更にその後期の段階、/30点が満点のMMSEの得点が一桁にならないと発現してくることが無い極めて重度の症状)が発現して来ないと、「AD型認知症」の発病とは考えないのです。余りにも遅い段階の症状の確認に基づく診断であるが故に、本当の意味での早期の段階、私たち「二段階方式」の区分で言う「軽度認知症(小ボケ)」及び「中等度認知症(中ボケ)」の段階が見落とされていて、『治すことが出来ないタイプの認知症』にされてしまっているのです!!
&3 重層的な意識の存在と注意の分配機能との関係
○ 意識的な行為の世界と「前頭葉」機能の個別認知機能による/認知度及び機能の発揮度の仕組み
「意識」が覚醒した/目的的な世界で、意識的/目的的に、何等かの「テーマ」を実行する場面では、分析、考察、理解、判断、洞察、推理、想像、発想、連想、企画、計画、創意、工夫、予見、予測、ケース・シミュレーション、比較、修正、選択、具象化、抽象化、整理、機転、抑制、感動及び決断等、複合機能体としての「前頭葉」機能を構成している各種の高度な認知機能(「評価の物差し」の機能及び「実行機能」の個別認知機能を正常に発揮する上で、一定レベル以上での「認知度」が確保されていることが不可欠となるのです。認知度が一定レベル以下だと、例示した「前頭葉」機能の各種個別の認知機能自体が必要なレベルで発揮されなくなるのです。そうした個別の認知機能によるその「認知度」の高さ或いは低さを左右しているのが、意欲、注意の集中力及び注意の分配力という「前頭葉の三本柱」の機能なのです(「認知度」と「発揮度」とが共に、「前頭葉の三本柱」の機能レベルと「リンク」していること、Tad流に言えば、「機能発揮上の二重構造の存在」/「評価の物差し」の機能及び「実行機能」の両機能共に、自身には、機能発揮機構が備わっていなくて、「注意の分配力」の機能に依存していると、Tadは、考えるのです)。
「前頭葉」機能を中核の機能として、有機的な連携のもとに、「左脳」や「右脳」や「運動の脳」も参加して、脳全体で何をどのように実行するのかを組み立てるには(自分が置かれているその状況を判断し、判断に沿って実行すべき「テーマ」をいくつか発想し、その中から1つを選択し、その実行内容及び実行の程度と態様とを組み立てるには)、先立って且つ常に、必要な機能レベルでの「意欲」の継続的な発揮が不可欠となるのです。自分が現在置かれている状況と環境の判断をベースとして、様々な状況の変化を予測して考慮しつつ、いく通りかのケース・シミュレーションを経た上で最終的な実行内容及び実行の程度と態様とを決定し、最終的に実行に移すには、「注意の集中力」と「注意の分配力」の機能の継続的な発揮が不可欠となるのです。
上述のように、私たち「二段階方式」が、「前頭葉の三本柱」の機能と名付けている「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の機能は、「三頭立ての馬車」の「御者」の役割、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」の機能の構成要素である「個別の認知機能(評価の物差しの機能及び実行機能に備わる各種、個別の認知機能)」による/その認知度及び機能の発揮度を左右し、下支えする働きを担っていて、個別の認知機能を十分に発揮するに際しての「機能発揮上の二重構造」の関係(私たちのネーミング)が存在していると考えるのです。
「意識」が存在している世界と言っても、その「意識」の覚醒度が様々に異なる世界、対象となる特定の「主題」に絞り込まない限り/基本的には常に、(内容及び覚醒度が異なる)複数の重層的な「意識」が構成されて存在している(=同時に並行して存在/同時に並存)という、私たち人間だけに特有な「意識」の世界に、脳科学者達が未だ気付いていないだけのことなのです。
或る特定の「主題」に「意識」を集中させて、一定レベルでの機能を発揮させるには、「意欲」と「注意の集中力」の機能の発揮が不可欠となり、複数の「主題」について「意識」を同時に分配させて、一定レベルでの機能を同時に発揮させるには、「意欲」と「注意の集中力」と「注意の分配力」の機能の発揮が不可欠となるのです。但し、我が身が置かれている状況下での「主題」を選択し/特定の内容に意識を集中させる機能は、「前頭葉の三本柱」の機能ではなくて、別の機能である「状況を判断する機能/=評価の物差しの機能」ではないかと私たち「二段階方式」は、考えているのです。「評価の物差し」の機能が関与することによって/且つ同時に、「覚醒された意識」の世界が出現することになるのです。「前頭葉」と言う機能部位には、カメラのレンズの焦点を特定の主題に選択的に切り変えるかのような機能が備わっているのです。
(ナイナイ尽くしの単調な生活習慣)の継続に起因する/①廃用性の/②加速度的で/③異常な/機能低下の進行を本質とする「AD型認知症」の発病の場合は、脳の機能に衰えていく明確な順番があり、「前頭葉の三本柱」の機能、就中、最も高度な機能である「注意の分配力」の機能から、(真っ先に)異常なレベルに衰えていくのです。然も、「機能発揮上の二重構造」の関係を反映した結果である、「評価の物差し」の機能及び「実行機能」もまた、同じ経路を辿ることとなることが、極めて重要なポイントなのです。即ち、「第二の人生」を生きている「高齢者」が、何かを「キッカケ」として、心が折れて、①「意欲」を喪失してしまうと、「意欲」の機能に下支えられている「注意の集中力」の機能が、更には、「注意の集中力」の機能に下支えられている「注意の分配力」の機能が、並びにこのことが基盤の条件に在って、②「注意の分配力」の機能に下支えられている「評価の物差し」の機能及び「実行機能」が、機能構造的に、且つ、その連鎖として、廃用性の/加速度的で/異常な/機能低下の進行の経路を辿って行くことになるのです。然も、此処で、注意すべきなのは、そもそも、『前頭葉』機能は、①「前頭葉の三本柱」の機能、②「評価の物差し」の機能及び③「実行機能」の三者により構成されている/複合機能体であると言うことなのです。『ナイナイ尽くしの単調な生活習慣」の継続に起因した、「廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行」と言う要因が、『①「意欲」の機能に端を発して、②「注意の集中力」の機能から、③「注意の分配力」の機能に及び、更には、「評価の物差し」の機能及び「実行機能」にも連鎖して行った結果として、それら三者の複合機能体である『前頭葉』機能について、廃用性の/加速度的で/異常な/機能低下の進行が、惹起されると言うことなのです。
私たち「二段階方式」の区分で言う「軽度認知症(小ボケ)」の段階では、上述したような「意識」の世界は、脳の機能面から説明すると、自分が置かれている状況の理解と判断も、テーマの発想も、テーマに沿った実行内容の企画や計画も、実行結果についてのシミュレーションも、最終的な判断も、「前頭葉の三本柱」の機能、就中、「注意の分配力」の機能の発揮が、不十分/不適切な状態となるまでに/廃用性の、加速度的で、異常な、機能低下が進行して来ていることを基盤とした世界なのであり、このことを、「機能発揮上の二重構造」及び連鎖構造と言う機能構造面から詳しく説明すると、『注意の分配力』の機能を介した、「評価の物差し」の機能及び「実行機能」の、換言すると、最終的な機能であり、『意識』が覚醒下下/目的的な世界に於ける/脳全体の司令塔の役割を担っている『前頭葉』機能の機能レベルの問題となり、その世界は、廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行と言う要因による、「前頭葉」機能の機能レベル(「意識度」/「認知度」/「機能の発揮度」)の働き具合としての「意識的/目的的」な世界にあることを知るのです(「14689例に及ぶ、脳機能データの解析結果」!!)。「DSM-Ⅳ」の第二要件が確認を要求している極めて重度の症状である『失語(紛い)の症状、又は失認(紛い)の症状、若しくは失行(紛い)の症状』は、第一要件が規定する「記憶障害」と言う要因が原因で発現して来る症状ではなくて、上記で、詳細に説明した機能構造が原因で、発現して来る症状なのです。
&4「軽度認知症(小ボケ)」の症状が発現するメカニズム
〇「AD型認知症」の発病の(最初の段階)の症状
上記に列挙した本当の意味での初期段階の症状、即ち、「AD型認知症」の発病としての「最初の段階」の症状(「軽度認知症(小ボケ)」の症状)は、「記憶の障害」とは無関係なのです。例えば、私たちが、何等かの「テーマ」について文章で考えを表現するとしましょう。どのような「テーマ」について、どのような筋を展開し、どのような内容で表現内容を構成するか、或いは、どのような言葉の表現方法を使用するか、全ては、「注意の分配力」の機能(異なった複数のテーマを同時に処理する機能)の適切なレベルでの働き無しには、実行することが困難となるのです。
言葉を介して、何等かの「テーマ」について、相手とコミュニケーションを適切に実行するにも、同様に、「注意の分配力」の機能が適切なレベルで働くことが不可欠となるのです。自分が置かれている現在の状況を理解して、其の上で、様々な対応の仕方(テーマの発想、実行内容の企画と計画、実行の程度と態様)をシミュレーションして、適切な選択を行い、最終的な実行内容を判断し決定しようにも、「注意の分配力」の機能が、廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させて来ている「軽度認知症(小ボケ)」の段階での『前頭葉』の機能レベルの下では、もはや期待困難なことなのです。この「軽度認知症(小ボケ)」の段階で、上述したあらゆる場面で、『その人らしさは、失われている』ことにも、気付いて頂きたいのです。
何故なら、『軽度認知症(小ボケ)』の段階を、脳の機能面から説明すると、『前頭葉』機能が異常なレベルに在るのであり、そのことは即ち、『前頭葉』機能の構成要素である/「評価の物差し」の機能の機能レベルも異常なレベルに在る為に、正常なレベルでは機能できないことの反映として、様々な場面で、(その人らしさは、失われている)発言や、言動や、行動となって現れて来るからなのです。
アミロイドβの蓄積による老人斑の蓄積やら、タウ蛋白の沈着による神経原繊維変化などによる神経細胞の脱落や滅失とやらが原因となって、「記憶障害」の症状を発現させ、且つそのことが、先に列挙した「軽度認知症(小ボケ)」の段階の症状を発現させている訳ではないことを知るべきなのです。
「加齢」の進行と共に、「正常老化の性質」という条件が進行してきた(60歳を超える年齢)の「高齢者」が(私たち「二段階方式」が定義する、「AD型認知症」発病の「第一の要件/基盤要因」)、何かを「キッカケ」にして、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもない、ナイナイ尽くしの「単調な生活習慣」が開始され、日々継続していると(私たちが定義する、「AD型認知症」発病の「第二の要件/加重要因」)、第一の要件と第二の要件とが(同時に充足される)/『異なる二つの要因が、同時に並存して/重なり合うことに因る相剰効果』の因って、「前頭葉の三本柱」の機能が、ひいては、それら機能を含む複合機能体である『前頭葉』機能が、廃用性の/加速度的で/異常な/機能低下を進行させていくことになる、その行き着く先に、「AD型認知症」の発病が待っているという訳なのです。
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