認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

アルツハイマー型認知症の進行とその過程及び特徴 (A-88)

2013-06-15 | アルツハイマー型認知症の進行とその特徴

○  「アルツハイマー型認知症」は、脳の異常な機能レベル自体がそのまま認知症の症状となって現れるのです。

思考であれ、行為であれ、言動であれ、私達人間が意識的に何かの「テーマ」を実行しようとする場合(左脳がらみのテーマ、右脳がらみのテーマ、運動の脳がらみのテーマ、或いは、それらのうちの二つ以上の脳の働きが連動するテーマ)、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)は、左脳、右脳、運動の脳(或いは、それらのうちの二つ以上の脳)と必ず連動して且つそれらをコントロールしながら働いていることが、「アルツハイマー型認知症」の原因を解明する上で、或いは症状を理解する上で、不可欠のことなのに、そのことが見過ごされているのです。

例えば、貴女が夫と二人で摂る今日の夕食の支度をしようとしている場面を考えてみてください。貴女の夫は、魚が大好きだったとしましょう。スーパーで魚を選ぶとき、タイにするのか、メジナにするのか、ムツにするのか、イカにするのか、或いは、刺身用を買って刺身と煮つけにするのか、煮つけ用を買って煮つけだけにするのか、魚の付け合わせに何を作るのか、或いはどのようなお皿にどのように盛り付けるのか、それらを考えるだけでも、色々とケースワークが必要となり、様々なシミュレーションをする必要があるのです。そうした思考を脳の中で実行し、且つそれを的確に実行するには、「前頭葉」が左脳、右脳、運動の脳(或いは、それらのうちの二つ以上の脳)と必ず連動して且つそれらをコントロールしながらきちんと働らく(正常なレベルのもとで機能する)ことが不可欠になるのです。

私たちの意識的な思考や身体の動静としての行為や言動或いは表情や感情の表出は、脳の働きのアウトプットなのです。そうしたアウトプットが病気の「症状」とならないものであるためには(正常なものであるためには)、「前頭葉」の機能が正常なレベルにあることが、大前提となるのです。この根本的な視点が、認知症の専門家とされる人たちの問題意識にないことが、単なる生活習慣病でしかない「アルツハイマー型認知症」を、原因不明で治らない不可解な病気にさせてしまっているのです。様々な程度態様で生活している生きた人間の実際の生活実体を、「前頭葉」を含む脳の働き具合(「脳の機能レベル」)とそのアウトプットとしての生活実態(社会生活面や家庭生活面やセルフケアの面に区分した「生活の自立度」)を、私たちが開発した「二段階方式」に代表されるような神経心理機能テストを活用して、精緻で多数の脳機能データを集積し解析してみれば、「アルツハイマー型認知症」の正体、「発病のメカニズム」を知ることは、それほど難しいことではないのです。脳の機能のメカニズムが人間とは異次元のラットの行動を追っていたり、脳の働き具合とは関係のない脳の委縮の画像を追っていたり、死亡した人間の解剖所見を追っていたりしていたのでは、何時まで経っても、「アルツハイマー型認知症」の正体に迫ることはできないことを認知症の専門家とされる人たちに警告し、警鐘を鳴らしておきたいのです。

色々な状況の下で、様々な「テーマ」を発想し、企画し、計画し、シミュレーションし、修正し、決断しているのが前頭葉なのです。こうしたメカニズムのもとで働いている、脳の意識的な働きの具合(機能レベル)のアウトプットが、すなわち私たち人間の意識的な行動(言動、身体の動静、或いは思考)なのです。思考や判断、行為や言動、或いは感情や表情の表出としてのアウトプットが正常なものでなくなったとき、私たちはそれを症状と呼ぶのです。そうしたアウトプットが異常なものであるとき(病気レベルとしての症状を示す時)、「アルツハイマー型認知症」の場合は、その震源である「前頭葉を含む脳の機能レベル」が必ず異常なレベルにあることを、「二段階方式」の活用により私たちがこれまで集積してきた極めて多数の脳機能データが明らかにしているのです。認知症の専門家とされる人達から、原因不明の病気と言われている「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症は、「前頭葉」を含む脳の異常な機能レベル下でのアウトプットそれ自体が認知症の症状を示すところに一番の特徴があるのです。

だからこそ、「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズム(発病の原因)を知るにも、治療の方法を知る(開発する)にも、予防の方法を知る(開発する)にも、脳全体の司令塔(コントロールタワー)の働きをしている「前頭葉」の働きや働き方、特に「加齢とともに進行する老化による機能の衰え方」についての理解が不可欠になるのです。ところが世間で認知症の専門家とされている人達は、こうした点、特に「前頭葉」の老化による機能の衰えというテーマに無関心なこと(或いは、理解していないこと)が、早期診断による回復も予防も可能である廃用症候群に属する単なる生活習慣病でしかない「アルツハイマー型認知症」を原因不明で治らないと専門家たちが主張する摩訶不思議な病気の世界に追いやっている最大の原因なのです。

「アルツハイマー型認知症」の最初の段階であり私たちの区分で言う「軽度認知症」(小ボケ)の段階では、左脳も右脳も運動の脳も全て未だ正常な機能レベルにあるのに対し、脳全体のコントロールタワーである肝心の「前頭葉」の機能自体が異常なレベルに衰えていることが重要なのです。コントロールタワーの「前頭葉」の機能レベルが異常なレベルにある限りは、左脳、右脳及び運動の脳が正常な機能レベルに在ろうとも、脳全体としてのその働き具合のアウトプットは、異常な症状、つまり「認知症の症状」となって発現してくることになるのです。学説も、「DSM-4」も(「DSM-5」も?)このことに気付いていないか、或いはそのメカニズム自体を知らないのではと疑わざるを得ないのです。

「二段階方式」の神経心理機能テストを活用し、生きた人間の脳の働きとその働き具合を対象として、私達が長年にわたって根気強く精緻なレベルで実施し集積してきた極めて多数の脳機能データの解析から、「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症は、早期診断により回復させることも予防することも可能な廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」であることが解明されたのです。

以前のこのブログで関連する「脳機能データ」のグラフを開示しましたが、そもそも私達人間の脳には、脳をどのように使っていようとも(「生活習慣」の如何に拘わらず)加齢とともに機能が衰えていくという性質(「正常老化」の性質)が備わっているのです。「前頭葉」の基礎的な機能をなす、意欲、注意の集中力及び注意の分配力の「3本柱の機能」にその性質(「正常老化」の性質)が備わっていることを、「二段階方式」と呼称する神経心理機能テストの活用による2万例に上る精緻な「脳機能データ」の解析で私達は発見しているのです。

私達の脳には「正常老化の性質」が備わっているために、高齢者と呼ばれる年齢の人達、60歳を超えた年齢のお年寄りが、脳の司令塔の「前頭葉」を含む脳全体の機能が使われる機会が極端に少ない単調な生活の継続、生き甲斐なく趣味なく交友なく運動もせず目標もないというナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続する日々を過ごしていると、そうした「生活習慣」の下では、脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」を含めた脳の機能が加速度的に衰えてくることになるのです(正常な老化に加え、廃用性の機能低下が加わることで、加速度的な脳機能の低下が進むことになるのです)。そして、廃用性の加速度的な脳機能の低下が進んでいくその先に、異常な症状の発現、「アルツハイマー型認知症」の発病が待っているということなのです(ここを「クリック」してください)。

左脳も右脳も運動の脳も未だ正常なレベルにあるのに「前頭葉」の機能だけが異常なレベルに衰えてきている段階、それが「アルツハイマー型認知症」の最初の段階であり、私達の区分で言う「軽度認知症」(小ボケ)の段階なのです。脳の機能の衰え方に目が向いていない、或いはそのメカニズムを知らない認知症の専門家とされる人達は、症状だけを大雑把に観察して、「不活発病」の呼称をつけるとか「軽度認知障害」などの概念を提起してきているのですが、これは「認知症の症状」そのものなのです。最初の段階であるこの「軽度認知症」(小ボケ)の段階では、脳の機能レベルとそのアウトプットに関する脳機能データを解析すると明確に把握されるように、「セルフケア」や「家庭生活」の面では何らの支障も起きてこないのですが、「社会生活」の面で種々の支障が起きてくるようになるのです(ここを「クリック」してください)。

生き甲斐となることも、これといった目標となるものもなく、その上、趣味や遊びや人付きあいを楽しむ機会もなく、運動もしない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を送っていると言うことは、脳の機能面から言うと、「前頭葉」の機能の中でも最も基本的で不可欠な機能であり、「認知度」或いは「記銘度」又は「意識度」を左右する働きをしている意欲、注意の集中力及び注意の分配力という「前頭葉」の「三本柱」の機能の出番が極端に少ない生活を送っているということになるのです。

ナイナイ尽くしの「単調な生活」を日々送っている中で、もともと加齢により機能が衰えていくという「正常老化」の性質を持っている「三本柱」の働き(その反映としての「前頭葉」全体の働き)が、膝の筋肉と同じように、廃用性の機能低下を起こしてくることで、両者の相乗効果により加速度的に働きが衰えていくのです。加速度的な脳機能の低下(「異常老化」)という視点が、認知症の専門家とされる人達にも、最近流行の脳科学者と称する人達にも、残念ながら全くないことが問題なのです。

「三本柱」の働きが、加齢に伴う「正常老化」という要因とナイナイ尽くしの単調な生活の継続による「異常な老化」という要因の「二つの要因」が重なり合うことによる相乗効果による加速度的な機能低下を起こしていく時、自発性、観察、分析、考察、洞察、推理、理解、興味、関心、発想、企画、計画、創意、工夫、予見、シミュレーション、修正、整理、機転、抑制、忍耐、感動及び判断といった「前頭葉」全体の機能の構成要素である各種の高度な機能も同時に、その発揮度が加速度的に低下していくことになるのです(「二重構造」の問題)。「前頭葉」の構成要素としての各種の機能が異常なレベルに低下した下でのアウトプットそれ自体が、「アルツハイマー型認知症」の症状として、並びに脳の機能レベルの低下の進行具合により、日常生活面(社会生活面、家庭生活面及びセルフケア面)での認知症の程度態様として、発現してくることになるのです。

この「三本柱」の機能が異常なレベルに機能低下してきたことにより発現してくる認知症の症状(より詳細に説明すると、「三本柱」の機能が異常なレベルに衰えてくることに起因して、「前頭葉」の構成要素としての各種機能の発揮度も衰えてくることが原因で発現してくる症状)、言い換えると「前頭葉」の機能障害としての認知症の症状について、具体的な多数の症例をベースとして類型化し整理した認知症の症状(私達の区分で言う「軽度認知症」の症状)として例示してあるものの中から、いくつか代表的なものを取り上げて、以下に概要を説明してみることにしましょう。

□ 複数のことに注意を分配できなくなるので、3つの用事が同時にさばけない(「注意分配力」の機能の機能障害としての症状です)

□ 機転がきかなくなるので、状況に応じた変更や修正ができない(「機転」の機能の機能障害としての症状です)

□ 発想が乏しくて、画一的な行動が目立つ(「発想及び創意工夫」の機能の機能障害としての症状です)

□ 何事をするにも億劫で面倒がるようになり、何かをやってみようという意欲が見られない(「意欲」の機能の機能障害としての症状です)

□ 一日や一週間の計画を自分で立てられなくなり、なにかをする「テーマ」を思いつかない様子(「企画及び計画」の機能の機能障害としての症状です)

□ これまでなら感動していたようなことに対しても一向に感動しなくなる(「感動」の機能の機能障害としての症状です)

□ ぼんやりしていることが多くなり、自分からは何もしようとしないが、指示されるとできる(「自発性」の機能の機能障害としての症状です)

□ 根気が続かず中途半端なことばかりを繰り返して、やりかけの家事が目立つようになる(「注意集中力」の機能の機能障害としての症状です)

「軽度認知症」(小ボケ)の段階が過ぎると、次いで、「左脳と右脳と運動の脳」も異常なレベルに入ってきて脳全体の機能が異常なレベルに低下してくる「中等度認知症」(中ボケ)の段階が始まります。この段階になると、「中ボケ」の脳の機能レベルを反映した「中ボケ」の認知症の症状が出てくるようになります。食事をしたり、服を着たり脱いだり、トイレの後始末をしたりといった「セルフケア」の面には未だ支障が出てこないのですが、「家庭生活」の面にも支障が起きてくるようになるのです。

そして「中等度認知症」(中ボケ)の段階が過ぎると、最後は、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」が殆ど機能しなくなり、左脳や右脳や運動の脳までもが極めて低いレベルでしか機能できなくなってくる末期段階の「重度認知症」(大ボケ)の段階になります。「大ボケ」の段階になると、「セルフケア」の面にも支障が起きてきて、日常生活に「介助」が要るようになるのです。このように脳の機能レベル(社会生活の面、家庭生活の面、セルフケアの面に対応する3つの段階の脳の機能レベル)に応じて、認知症の症状(小ボケ、中ボケ、大ボケに区分し規定される3つの段階の重症度)が発現してくるのが、「アルツハイマー型認知症」の特徴なのです(ここを「クリック」してください)。

「アルツハイマー型認知症」は、このように、「前頭葉を含む脳全体の機能レベル」の異常な低下に対応して、段階的に次第に重い「認知症の症状」が出てくるようになるのが特徴なのです。認知症の専門家とされる人達は、社会生活や家庭生活やセルフケアに支障が出てくるのが認知症であるとしながら、「アルツハイマー型認知症」の症状については十把一からげで、症状の段階的区分さえも考えないのです。私達は、脳の機能レベルが認知症の症状として発現するのが「アルツハイマー型認知症」の特徴であると考えているので、3つの段階に区分される脳の機能レベルに対応する3つの段階に区分される認知症の症状を考え、「30項目問診票」という形で指標化しているのです。

アルツハイマー型認知症の進行というとき、相互のレベルが各々対応しつつ、1つには脳の機能レベルの低下が3つの段階に区分される形で進行していき、1つには症状の重症度が3つの段階に区分される形で進行していくのです。私達が脳の機能レベルとそれに対応する症状とを各々3つの段階に区分していることには、病気を治すという視点からの極めて重要な意味があるのです。「軽度認知症」(小ボケ)の段階であれば脳リハビリにより回復させることが容易であり、「中等度認知症」(中ボケ)の段階であれば脳リハビリにより回復させることが未だ可能であるのに対し、「重度認知症」(大ボケ)の段階になってしまうと回復させることは困難になってしまうからです。 

(コーヒー・ブレイク)

「アルツハイマー型認知症」の最初の段階、脳の司令塔の「前頭葉」の働きだけが異常なレベルに衰えてきて、「左脳も右脳も運動の脳」もその働きが未だ正常なレベルにある段階で発現してくる「症状」は、不活発病と世間で一部の学者から揶揄されているような代物ではなくて、或いは「軽度認知障害」の症状と言うような概念で問題提起されている「認知症ではないが、認知症の前駆的な症状」と言うようなものでもなくて、「アルツハイマー型認知症」の症状そのものなのです。回復が困難な「末期の段階」ばかりに焦点が当てられていて、「脳リハビリ」による回復が可能な「早期の段階」である「軽度認知症」(小ボケ)或いは「中等度認知症」(中ボケ)の段階は、専門家とされる人達の間では、「不活発病」とか、「老化現象」とか、「軽度認知障害」等の名前で呼ばれて、何等の注意の喚起も対策も施されないままに放置されているのが現状なのです。治療して「治す」とか、発病を「予防」するとかいう視点は、専門家とされる人達の心の一体どこに置き忘れられてしまったのでしょうか。

○   「アルツハイマー型認知症」の症状が進行する条件とその期間

異常なレベルに機能が衰えた「前頭葉」を正常な働きをするレベルに引き戻すのに必要不可欠の対策である脳リハビリ(脳を活性化させるための生活習慣の改善)を行うこともなく、漫然とそれまでのナイナイ尽くしの単調な生活が継続されるままに放置された状態で「軽度認知症」(小ボケ)の段階が3年も続くと(多数事例による平均的な期間)、次の段階、私達の区分で言う「中等度認知症」(中ボケ)の段階に進んでしまうのです。生き甲斐なく、趣味なく、交友なく、運動もせず、目標もない生活、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が日々継続している下で、脳全体の加速度的な機能低下が更に進行していくことが原因なのです。

「アルツハイマー型認知症」の脳の機能レベルに対応する症状を3つの段階に区分して観察していれば容易に理解されるように、この「中等度認知症」(中ボケ)の段階では、「DSM-4」が第二の要件で取り上げているような、「失語や失行や失認」などの重い症状は未だ現れてこないのです。一方で、「軽度認知症」(小ボケ)の段階なら回復させることが比較的容易なのに、「中等度認知症」(中ボケ)の段階に進んでしまうと、回復は未だ可能なのですが、周りの家族を巻き込んでの「脳リハビリ」の為の質及び頻度の面からの大変な対応が要求されることになるのです。「中等度認知症」(中ボケ)の段階に進んでしまうと、「軽度認知症」(小ボケ)の段階の時には未だ機能が正常なレベルにあった左脳や右脳や運動の脳の機能までもが異常なレベルに低下してきているからです。

「中等度認知症」(中ボケ)の段階さえも「老化現象」等と見誤って放置し、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が更に2~3年間(多数事例による平均的な期間)継続していくと、「中等度認知症」(中ボケ)レベルに回復させることさえもが困難になる末期段階の「重度認知症」(大ボケ)の段階に入ってしまうことになるのです。「重度認知症」(大ボケ)の段階に入ってしまうと、回復させることは期待できなくなるので(脳リハビリの効果が期待できなくなるというだけではなくて、「アルツハイマー型認知症」の治療薬の開発自体がそもそも不可能なので)、その期間は、老衰か何か別の病気が原因で死を迎えることになるまで続くことになるのです。身体がもつその期間中ずっと脳の機能の低下が進んでいき、そのことに対応して、症状が更に重症化していくだけということになるのです。

「重度認知症」(大ボケ)の段階に入ってしまうと、介護する家族自身も精神的及び経済的に大変な負担を強いられることになります。「重度認知症」(大ボケ)の段階にまで脳の機能が衰えてしまうと、上述したように脳の機能を回復させることは基本的に困難となってきます。そのうえ、(脳がもたないのに、身体だけはもつ)のが、「アルツハイマー型認知症」と言う病気の特徴なのです。どんなに心を尽くして家族が介護しても、脳の機能が更に衰えていく一方なので、何か別の病気を発病して死を迎えるときがくるまで、発現してくる認知症の症状が重くなっていく一方なのです。状況を判断したり、言葉や感情や表情をコントロールしている「前頭葉」の機能が更に加速度的に衰えていく上に、左脳も右脳も運動の脳も加速度的に衰えていってしまうので、言葉だけでなく感情や表情を介した意思の疎通さえもが次第に困難になっていきつつ、更には身体を動かすこと自体にも支障が出てくるようになるのです。

但し、上記に例示した「小ボケ」及び「中ボケ」の期間は、指標としての標準的な期間の数字なのです。実際の生活の中では、ナイナイ尽くしの「単調な生活」のままに日々が唯過ぎていくという訳ではなくて、或る時は本人の脳を活性化させる効果がある出来事が入り込んできたり、或る時は逆に本人の脳を更に不活性化させるような出来事が起きてきたり、入り混じった生活が行われるものなのです。「脳の老化のスピード差」の詳細な説明については、(ここを「クリック」してください)。(N-67:2012.11,11)

(再度、コーヒー・ブレイク)

「重度の記憶障害」の症状が出ていて、且つ「失語」とか「失行」とか「失認」とかの末期段階の「重度認知症」でも後半にならないと出て来ない症状を基準にして、「アルツハイマー型認知症」と診断していたのでは(それが、「DSMー4」の診断基準なのですが)、見つけるのが「遅すぎる」のです。この段階で見つけていたのでは、せっかく見つけても手遅れ、「アルツハイマー型認知症は、原因も分からないし、治すことができないし、予防することもできない」病気にされてしまうのです。

ラットなどの行動の研究をするのでなくて、生きている人間の「前頭葉」の働き方に焦点を当てない限り、未来永劫解決策は浮かんでこないのです。開発されることなどありえない「アルツハイマー型認知症」の治療薬の開発研究に大事な生涯を費やしてしまうことになりかねないのです。 「DSM-4」の規定の改定版である「DSM-5」を公開するに当たって、「DSM-4」で第一の要件とされてきた「記憶の障害」の要件を削除する程度の改訂内容では、いつまでたっても「アルツハイマー型認知症」の本質を理解することも、発病原因を解明することも、発病の予防法を見つけることも期待できないと言わざるを得ないのです。

注)本著作物(このブログA-88に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

エイジングライフ研究所のHPここを「クリック」してください)

脳機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)

http://blog.goo.ne.jp/kuru0214/e/95c2a476097fda6da8f4056b0d03e5ad 

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アルツハイマー型認知症の発病原因と症状の進行の特徴(A-87)

2013-06-01 | アルツハイマー型認知症の進行とその特徴

○ 「アルツハイマー型認知症」の症状を発現させている真犯人は誰なのか 

インターネットで「アルツハイマー型認知症」と入力し、検索してみてください。いろいろなサイトがあって、様々なレベルでの説明がなされています。私達は、脳の司令塔の「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)を含む脳全体の働きのメカニズムとその働き方(機能レベル)について判定できる「二段階方式」と呼称する手技を開発し、脳機能データ(脳の機能レベルとその機能レベルに対応する症状に関する極めて多数のデータ)を集積し、解析してきました。「二段階方式」を活用した神経心理機能テストにより、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルを精緻に測定し、同時にその脳の機能レベルで発症している認知症の症状の有無及び症状の重症度について、各々3段階に区分し総合的に判定してきたのです。

その極めて多数に上る脳機能データの解析結果に基づいて、対象を「アルツハイマー型認知症」に特化し、その発病のメカニズムを追及し、早期診断の方法を開発し、1995年以来市町村での「地域予防活動」を実践指導してきたのです。そうした知見及び体験から、ただ鵜呑みにするしかない皆さん方とは違って私達は、様々なブログの内容の程度の判定もできるのです。その結論から言うと、それら様々なブログの内容は、「どれもこれも、いい加減なものばかり」と言う他ないのです。自分の体験や考えに基づかないで、世間で権威があるとされる他人の説の受け売りか或いはその引用でしかないのです。

その代表的なものをまとめて説明すると、概要次のような内容になります。それらの解説では、「アルツハイマー型認知症」は、脳の神経細胞の減少、脳の委縮、老人班及び神経原線維変化の出現を特徴としていること。脳の中に、アミロイドベータと呼ばれる蛋白質が沈着すること(老人斑の生成)が原因で(「アミロイドベータ仮説」)或いは、タウタンパクと呼ばれる蛋白質の蓄積による神経原線維変化が出現すること(タウタンパク仮説)が原因で、神経細胞を変性させ或いは脱落させることにより、脳の機能が障害され、認知症の症状が発現してくると説明しています。

ところで、(「A」という原因が存在しなかったならば、「B」という結果は発生しなかったことが証明できた)時に限り、「A」が原因で[B]が発生したこと、つまり「A」という原因と「B」という結果との間に「因果関係」が認められることになるのです。ところが、上記2つの仮説はいづれもその「因果関係」を証明できていないのです。つまりは、単なる「仮説」にすぎないのです。要求される因果関係の証明が無い限り、大手を振ってまかり通るような代物ではないと言わざるを得ないのです。

この2つの仮説は、解剖所見を基礎とした「仮説」にすぎないのです。然もその仮説の基礎とされる解剖所見なるものは、「アルツハイマー型認知症」を発病して、何年間もの長きに亘って重度の症状が確認されていた人達(具体的には、失語や失行や失認という末期段階の「重度認知症」の段階の更にはその後半にならないと発現してくることがない極めて重い症状を何年間も発現させていた人達)の死後にその脳を解剖して得られた「解剖所見」にすぎないのです。その解剖所見を基礎として、それらの「仮説」が打ち立てられているだけなのです。同様の問題を抱えるものとして、「DSM-4」の規定があります。「アルツハイマー型認知症」の診断基準として世界で最も権威があるとされている米国精神医学会の診断基準である「DSM-4」の規定が、失語、失行、或いは失認を第二の要件として掲げていることの重大な誤り(及び問題点)については、このブログの中で、これまでに何度も指摘し、問題提起してきたとおりです。

これも以前このブログで説明に使用したことがあるのですが、上記の問題点を分かり易くするために、再度ここで取り上げて説明します。それは、「空気ポンプ」を例にした話です。自転車のチューブに空気を入れる「空気ポンプ」という機器があります。「アルツハイマー型認知症」は、空気をチューブに運ぶ紐状のゴム管の部分(脳で言えば、情報を伝達する神経細胞)がアミロイドベータやタウタンパクに侵されたことにより神経細胞が変性或いは脱落を起こし、脳機能に支障が起きてくることが認知症の症状を発現させている原因だというのが、アミロイドベータ説やタウ蛋白説の考え方です。この考えに立脚しているのが、ゴム管の部分を繕って空気が漏れる量を少しでも抑える効果を期待できることを目的に開発され、現在販売されている4種類の薬ということになります(これらの薬は、治療の効果は期待できないので、「症状」の進行を遅らせる効果を狙うものとされている)。

私達は(廃用性の脳機能低下説)、ゴム管の部分に支障があるからではなくて、ポンプを押して空気を押し出してやる部分(脳で言えば、情報を処理・発信してやる「前頭葉」を含む脳全体の機能)に支障が起きてきて(「廃用性の異常な脳機能レベルの低下」)、脳が正常に働かなくなったことが「認知症の症状」を発現させている原因だと考えているのです(私達が集積してきた多数のデータは、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルのアウトプットが症状だということを示している)。いくらゴム管を繕っても(編成或いは脱落したと主張される神経細胞の修復)、そもそもポンプを押す作業をしない限り(脳の機能がちゃんと働かないのでは)、空気は流れない(情報の処理も発信もない)のです。

組織や細胞が変形、変性あるいは破壊され、元の形に戻らなくなるように変化することを器質的変化といいます。「アルツハイマー型認知症」は、アミロイドベータの作用によりもたらされる「老人斑の生成」やタウ蛋白の作用によりもたらされる「神経原繊維変化」という器質的変化が本質の疾患とするのが専門家達の多数説ですが、私達は、廃用性の異常な機能低下(機能の退化)が本質の疾患だと考えているのです。

極めて多数に上る「脳の働き具合」(「前頭葉」を含む脳全体の機能レベル)とリンクした「症状」(段階的症状)のデータの解析結果から、「アルツハイマー型認知症」は、加齢による脳の老化を「第一の要件」とし、「前頭葉」を使う機会が極端に減少するナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続による廃用性の機能低下を「第二の要件」として、両者の相乗効果により、「脳機能の加速度的な機能低下」が惹起され、脳の機能が異常なレベルに低下していく(機能の退化)ことが原因で認知症を発病する病気、廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」だと私達は考えているのです。

私達が集積してきた極めて多数の脳機能データの解析によれば、「アルツハイマー型認知症」の場合は、「前頭葉」を含む脳の機能の衰え方の程度にリンクして、脳の異常な機能レベルが「認知症の症状」として発現してくることが分かるのです。アミロイドベータ説やタウ蛋白説を唱える人達が言うように、神経細胞の変性或いは脱落による脳内での「情報の連絡」の不具合が、認知症の症状となって発現してきているわけではないのです。(「アルツハイマー型認知症」の場合は、「前頭葉」を含む脳の機能の衰え方に規則性がある)ことを証している私達の脳機能データについて、アミロイドベータ説もタウタンパク説も共に説明できない(整合性がとれない)と思うのですが。

○  「アルツハイマー型認知症」の脳機能の衰え方の特徴を権威ある人達

が知らないことの不幸

「アルツハイマー型認知症」の場合は、脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」から先に衰えていくのが「第一の特徴」なのです。次いで、「前頭葉」のコントロールの下に「前頭葉」と相互に情報のやり取りをしている「左脳」と「右脳」が衰えていきます。その「脳の機能」の衰え方の程度に応じて、症状が段階的に発現してきて、「小ボケ」、「中ボケ」、「大ボケ」へと「認知症の症状」の程度が進んで重くなっていく、重症化していくのです。このとき、何年もかけて徐々に衰えていくとは言え、「前頭葉」を含む脳の機能の衰え方は、直線的ではなくて加速度的なカーブを描きつつ衰えていくのが特徴なのです。

「軽度認知症」(小ボケ)のレベル(かなひろいテストが不合格で、MMSの換算値が24点~30点)では、左脳、右脳と運動の脳の働き具合は未だ正常レベルにあるのですが、脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」の働き具合だけが、もはや正常レベルにはなくて異常なレベルに衰えてきているのです(「アルツハイマー型認知症」の場合は、このように、「前頭葉」の働きだけが衰えていくことから始まるのが特徴なのです。米国精神医学会の診断基準である「DSM-4」の規定のように、「失語」、「失行」、「失認」という末期の段階にならないと発現することがない「重度の症状」とリンクした「記憶の障害」を診断の要件としていたのでは、このような「初期の段階」を見逃してしまうことになるのです)。但し、この「軽度認知症」(小ボケ)のレベルでは、器質的変化は未だ起きていなくて、「機能レベルの異常な低下」(機能の退化)が起きてきているに過ぎません。理由は、この初期の段階で発見できれば、脳のリハビリによって、脳の機能は「正常レベル」に比較的容易に回復させることが出来るからです。

「中等度認知症」(中ボケ)のレベル(かなひろいテストが不合格で、MMSの換算値が15点~23点)では、左脳と右脳の働き具合も異常なレベルに衰えてくる上に、司令塔の「前頭葉」の働き具合は、「軽度認知症」(小ボケ)のときに比べて更に異常なレベルに衰えてきているのです。但し、このレベルでも、MMSの換算値が20点以上を確保できている「中等度認知症」(中ボケ)の前期までの段階であれば、器質的変化は未だ起きてきていなくて、機能レベルの異常な低下(機能の退化)が起きてきているに過ぎないのです。理由は、この段階で発見できれば、集団生活レベルでの「脳のリハビリ」でも、脳の機能を正常レベルに回復させることが未だ可能だからです。更に、MMSの換算値が15点から19点までの「中等度認知症」の後期レベルに衰えてくると、個別での頻度と密度の濃い「脳リハビリ」を取り入れることにより、回復させることが未だ可能なのですが、家族を含めた支援態勢と相当な条件下での脳リハビリの実施という困難が伴うことになります。

そして、「重度認知症」(大ボケ)のレベル(かなひろいテストが不合格で、MMSの換算値が14点以下)では、左脳、右脳と運動の脳の働き具合が「中等度認知症」のときに比べて更に異常なレベルに衰えてくる上に、司令塔の「前頭葉」の働き具合が、「中等度認知症」のときに比べ更に加速度的に機能が衰えていくので、殆ど機能しなくなってきているのです。その上、MMSの換算値が14点から11点へと低下してくるにつれ、徐々に器質的変化が現れてきて、10点以下のレベルでは、顕著な器質的変化が起きてきていると考えられるのです。理由は、この末期段階の「重度認知症」の段階では、脳のリハビリによる機能の回復の効果が期待できなくなるからです。「アルツハイマー型認知症」の専門家といわれる研究者や医師たちは、前述した「DSM-4」の規定に依拠して診断を行う為に、この末期段階の私達の区分で言う「重度認知症」(大ボケ)の段階だけを捉えて「アルツハイマー型認知症」であると診断しているのです。そのため、本来は廃用性の機能退化が本質なのに、器質的変化を起こしていることが「アルツハイマー型認知症」の本質であると本質を見誤っているのです。

「アルツハイマー型認知症」は、「脳の働き具合」のアウトプットが「症状」の程度・態様として発現してくるだけなのです。脳の機能レベル(小ボケ、中ボケ及び大ボケ)に対応して、機能レベルに特有の「段階的な症状」(小ボケの症状、中ボケの症状及び大ボケの症状)が発現してくるだけなのです。「脳の機能レベル」が「症状」の程度態様とリンクしているわけですから、脳の機能レベルの異常な低下(機能の退化)がもっと軽い段階から、且つ症状の進行を段階的継続的に変化移行していくものとして理解し捉えていき、データを集積し分析することが、的確な判定や診断に必要不可欠となるのです。

米国精神医学会を含めて世の中で権威があるとされる機関や人たちが、本質を見誤らなければ、私達の区分で言う「軽度認知症」(小ボケ)や「中等度認知症」(中ボケ)の段階の症状にも目が向くこととなり、「アルツハイマー型認知症」を発病しても、回復させることが可能になるのです。ところが、(器質的な変化が本質の病気)だとする本質を見誤った考えが世の中を支配していて、末期段階の「重度認知症」(大ボケ)でも後半になって初めて発現してくる極めて重い症状である失語や失行や失認等の症状にしか目が向かないでいるがために、回復させることができなくなってしまうのです。その結果、(「アルツハイマー型認知症」は、発病の原因もわからないし、治すこともできないし、予防することもできない病気)にされてしまっているのです。

権威づけられているために、専門家とされる医師達を含め世の中の誰もが信じて疑うこともなく、この誤った見解が世の中の隅々にまで行き渡ってしまっているのです。失語や失行や失認等の末期段階にならないと発現してこない極めて重度の症状を診断の基準(「DSM-4」が定める第二の要件)にして、回復が容易な「軽度認知症」の段階だけでなくて回復が未だ可能な「中等度認知症」の段階さえも見逃して、回復させることが困難な「重度認知症」の段階になって初めて「アルツハイマー型認知症」だと診断する(見つける)ことに何の意味があるのか、その見識が不思議でならないのです。

(コーヒー・ブレイク)

世界最高の権威とされる米国精神医学会が定める「アルツハイマー型認知症」の診断基準である「DSM-4」が近々改訂され、『DSM-5』として公開されると聞いています。但し、『DSM-4』の規定で第一の要件とされていた「記憶の障害」の要件を取り払うだけでは、正しい(的確な)診断基準とは言えないのです。「前頭葉の働きのメカニズムとその機能レベルに対応する症状」という視点を持つようにならない限り、権威だけがあって内容が伴わない現状を変えることには繋がらないのです。

 注)本著作物(このブログA-87に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

 エイジングライフ研究所のHPここを「クリック」してください。

機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)

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