認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

「アルツハイマー型認知症」の発病とその「キッカケ」 (A-65)

2012-10-25 | アルツハイマー型認知症に対する正しい知識

  私達はふつう、第一の人生を自分なりに頑張って生きてきて、高齢者と呼ばれる60歳以降の年齢になってから、第二の人生に入っていきます。第二の人生を送る私達の日々に何事も起きてこなければ、脳は「正常な老化のカーブ」を描きながら、それなりに目標がある生活を送る中で、生き甲斐や喜びが得られる日が時々はあり、「社会生活」にもかかわりながら、静かに毎日が過ぎて行くはずなのです。超高齢化社会を生きるお年寄りの皆さんは、「身体」は丈夫なのですから。そうした平穏で安定した日々を過ごしているお年寄りが、「軽度認知障害」の考え方を主張する人たちが言うように、知らず知らずのうちにアミロイドベータやタウ蛋白に神経細胞が侵され脱落していくことにより、記憶の機能を中心とした脳の機能の低下が深く潜行しつつ、何年もかかってアルツハイマー型認知症の発病に向かって、進行していっている」訳ではないのです。こうした考えは、単なる推測に基づく「仮説」であって、原因と結果についての「因果関係」は何ら確認されていないのです。

「軽度認知障害」と判定される人たちには、「特定のパターンの脳血流の変化が確認される」とするその主張にも同意することはできません。そもそも意識的に何かの「テーマ」を実行する(しようとする)ときは、それに伴う脳の血流が起きるものなのです。しかも、「テーマ」の内容によって関連する脳の機能部位の働き方が異なるので、それに付随して血流量も変化するだけなのです。問題の核心は、意識的に何かの「テーマ」を実行する(しようとする)ことによって、脳のどのような「部位の」どのような「機能が」どのような「レベルで」どのように「働くのか」にあるのであって、脳血流の変化はその単なる反映に過ぎないのです。もしも特定のパターンを取り出すことができるとすれば、前頭葉の三本柱である「意欲、注意の集中力及び注意の分配力」の機能レベルとそれに直接リンクした「症状」との組み合わせでしか特定のパターンを確認することはできないはずなのです。

      

私たちが主張している軽度認知症(小ボケ)、中等度認知症(中ボケ)、重度認知症(大ボケ)の三段階に症状を区分して、且つ三本柱の機能に特化してデータを集積すれば(症状とリンクさせた場合に限り)、三段階に区分された特定のパターンを検出することは可能だと思うのですが、肝心の「軽度認知障害」の考えを提起している人達の中には、私達のような考えを持っている(データに基づく、ノウハウを持っている)人は見当たらないのが実情です。「前頭葉」の三本柱の機能発揮度を測定できる特定内容の「テーマ」の実行及びそれに付随する三段階に区分される症状とリンクさせることをしないで、前頭葉の血流変化だけでのパターンを特定することは困難だというのが私たちの見解です。最新の光トポグラフィーを採用した「うつ病」の診断でさえ、その精度はまだまだ不確実な面を有するのです。「軽度認知障害」のレベルで認められる特徴的な症状とされるものについて、その時の脳の働き具合を特定のパターン化することは、「うつ病」の場合とは次元が異なるほどの複雑な脳機能の相互発揮の関係及び関連する脳機能の発揮の程度と態様とがあるので、極めて困難な問題だと考えるのです。

「加齢による脳の老化」という「アルツハイマー型認知症」発病の(第一の要件)は、第二の人生を送っているお年寄り全員に共通のものなのですが、ナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続という(第二の要件)は「アルツハイマー型認知症」を発病するお年寄りだけに(特有なもの)なのです。私達の「二段階方式」を活用するときは、「アルツハイマー型認知症」を発病した「小ボケ」及び「中ボケ」レベルのお年寄りたちの全員を対象として、発病の前後の期間の数年間についてどのような脳の使い方をしてきたのか、言い換えるとどのような「生活習慣」のもとで毎日を過ごしてきたのかという詳細な「生活歴」を、本人とその家族から必ず聞き取ることが様式化されています。この場合、脳の機能レベルが「中ボケ」だと、現在の自分の状況(「中ボケ」レベルの生活の自立度)に対する認識さえないので、本人からではなくて家族(できれば、同居の家族)からの聞き取りが必須となります。

脳は正常な老化のカーブを描きながら、それなりに目標がある生活を送る中で、生きがいや喜びが得られる日が時々はあり、静かに毎日が過ぎて行く。そんな第二の人生を過ごしているお年寄りが、脳の老化を速める原因となるナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まる「キッカケ」となる「生活状況」の発生に遭遇することになるのです。「アルツハイマー型認知症」を発病した極めて多数のお年寄りを対象とする「生活歴」の聞き取りの結果、「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)を含む脳の機能の老化を加速させる原因となるナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まるには、発病した全員について、「キッカケ」となる明確な「生活状況」の発生が必ず存在することが確認されるのです。言い換えると、「キッカケ」となる生活状況の発生という明確な理由もなしに、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まることにはならないのです。但し、或る「生活状況」の発生が「単調な生活」が始まる「キッカケ」となるかどうかは、遭遇した「生活状況」に対する「本人の受け止め方次第」だということにも注意が必要です。

脳の老化を速めるナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まる「キッカケ」となる「生活状況」の発生とは、どんなことを言うのか。要約すると、次の2点に集約されます。分かりやすくするために、ここでは典型的な事例をとりあえず3例ずつ挙げておきます。

(それまでの生活の中で、 生きる意欲を支えてきた「核となる生活」が継続できなくなってしまう状況が発生すること)

○ 趣味も遊びも交友もなく、仕事一筋の人生を送ってきた人の「定年退職」

○ 趣味だけが生き甲斐の人が、その「趣味を中止」せざるを得なくなる状況が発生すること

○ 親や兄弟、子や孫、友人、ペットなど大事な人や動物との「別離」

( 頑張って生きて行こうとする意欲をなくしてしまうような「問題や状況」が発生し継続されること)

○ 自身の重い病気や大きなけがなど肉体的精神的に「困難な状況」

○ 子供の失業や借金問題、孫の不登校など家庭内の「重大な問題」

○ 重大な災害の被災により、財産や家族や友人や思い出を失うこと

同じような「生活状況」が発生しても、状況の発生に対する個人ひとりひとりの受け止め方が異なるので、「生活状況」発生後の「生活習慣」(日々の脳の使い方)は、それぞれに違うのです。その意味で、ここに取り上げた状況(「キッカケ」)が、ナイナイ尽くしの「単調な生活」に必ず直結するものではないので誤解しないでください。或る人は、ここに取り上げたような「生活状況」の発生が「キッカケ」となって、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まるのに対し、或る人は「生活状況」の発生があっても「キッカケ」とはならないで、日々の生活をそれなりに楽しんでいくことができるのです。このことは、以下の例示のように、具体的に考えると理解しやすいと思います。「定年退職」で仕事を取り上げられてすることもなくなり、3年もたつと見る影もなく衰えボケてしまう人もいれば(この段階では、未だ「小ボケ」)、「定年退職」で自由な時間がいっぱいできたのをきっかけに、自分なりに趣味や遊びや人づきあいを楽しんで、生き生きと生活していく人もいます。或いは、世間でよく言われるように、「夫を亡くしたおばあさん」は半年もたつと楽しげに生活をエンジョイするようになることが多いのに対し、同じように「妻を亡くしたおじいさん」の多くは次第に元気をなくしていくことが多いのです。

上述のキッカケとなる「生活状況」が発生しても、従来どおり生活をそれなりに楽しめて元気を失わない人と、「生活状況」の発生を契機に生活を楽しめなくなり元気をなくしていく人との違いを生じさせる「理由」を理解するためには、「生活状況」が発生した前後数年間のその人の「生活習慣」(脳の使い方)を、その人の目線に沿って、具体的にチェックしてみる必要があります。前者と後者とを分けるキーポイントは、発生した「生活状況」を当の本人がどのように「受け止めたのか」にあるからです。どのような「受け止め方」が、それなりに「生き甲斐や目標」があって楽しめる生活から、ナイナイ尽くしの「単調な生活」へと「生活習慣」を変化させることになるのかを理解することが、指導する「生活改善」の内容を組み立てる上でとても大切だからです。

「アルツハイマー型認知症」を発病することになるかならないか、それは最終的には、「生活状況」の発生に対する「本人の受け止め方」次第ということになるのです。

人生の大きな出来ごとの発生や生活環境の大きな変化という「生活状況」の発生に対して;

○ 「大きな障害」と受け止めて負けてしまい、そのため意欲をなくしてしまって、「目標」となるものがなくなり、「前頭葉」を使う場面が極端に減った生活に変わってしまった(「キッカケ」になった人);又は

○ 「大きな障害」と受け止めず負けないで、そのため意欲を失わず、「目標」となるものがあるので、「前頭葉」を使う場面がそれなりにある生活が従来通り継続している(「キッカケ」にはならなかった人)のです。

これまでの説明で理解していただけていると思いますが、「アルツハイマー型認知症」の発病を回避するには、ナイナイ尽くしの「単調な生活の継続」という第二の要件の充足を回避しなければならないのです。

第二の要件の充足を回避するには、上述した事例に見るような「生活状況」が発生した時、その「生活状況」に本人が負けないことが必要不可欠となるのです。「アルツハイマー型認知症」の発病を左右する原因は、脳の委縮でも、アミロイドベータでもタウタンパクでもないのです。その時遭遇した「生活状況」を「キッカケ」として、ナイナイ尽くしの「単調な生活」に入っていったことが原因となるからです。

第二の人生を送っているお年寄り(特に、東日本大震災の被災者である高齢者)は、このことを深く心に留めておいて欲しいのです。上述した「生活状況」の発生に遭遇した時は、その状況に対して自分が取るべき脳の使い方(「生活習慣」)に十分注意して欲しいのです。ナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まる「キッカケ」としないように、是非とも頑張って欲しいのです。本人の頑張り、踏ん張りが第一なのですが、家族からの支えも必要なことは言うまでもありません。何であれ、「目標」を持てるような生活状況でも心境でもないという方は、とりあえず歩いていただきたい(速足での散歩)のです。この点についての詳細な説明は、(ここを「クリック」してください)。

注)本著作物(このブログA-65に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

次回は、「キッカケ」の詳細について、事例を挙げながら解説する予定です。

エイジングライフ研究所のHPここをクリックしてください)

脳機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)

 

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「アルツハイマー型認知症」からの回復と治療薬 Q/A Room(A-64)

2012-10-18 | アルツハイマー型認知症の治療方法

 認知症の大多数90%以上を占めていて、専門家たちの誤解から原因不明で治らないとされている「アルツハイマー型認知症」は、「高齢者」だけが対象となるのです。高齢者と呼ばれる60歳以降の年代になってから、「アルツハイマー型認知症」を発病する人達の割合が、年齢が上がるにつれて、60代で12%、70代で30%、80代で50%、90代で75%、100歳代では97%と、どんどん増加していくのが特徴です。但し、ここで言う、「アルツハイマー型認知症」を発病している人達とは、回復が容易な「軽度認知症」(小ボケ)のレベル、回復が可能な「中等度認知症」(中ボケ)のレベル、回復が困難な末期段階の「重度認知症」(大ボケ)のレベルの「全ての段階の人達」を合わせた人数による割合を言っていることに注意してください。

   厚生労働省が総数300万人と発表しているのは、「重度認知症」(大ボケ)レベルの人達だけの数であることにも注意が必要です。「小ボケ」と「中ボケ」とを合わせた数は、「大ボケ」の数(300万人)の3倍にもなるというのが、私達の集積したデータからの推定です。認知症の専門家である精神科医は、「大ボケ」の段階の中期を過ぎた段階にならないと発現してこない失語、失行、失認といった「末期段階の症状」が出てくるようにならないと「アルツハイマー型認知症」とは診断しません。「小ボケ」も「中ボケ」も共に「大ボケ」の予備軍であるにもかかわらず、「小ボケ」は「不活発病」とされて放置され、「中ボケ」は「年のせい」として放置されているのです。私達のデータから推測すると、「小ボケ」と「中ボケ」とを合わせた数は、既に1200万人にも達していると考えられるのです。

             

   「アルツハイマー型認知症」は、「高齢者の前頭葉を含む脳の機能が、加齢とともに老化が進んできている」(正常老化)という(「第一の要件」)と「キッカケを契機として始まったナイナイ尽くしの単調な生活の継続」(廃用性の機能低下)という(「第二の要件」)の二つの条件が重なり合うことの「相乗効果」によって、「機能の低下が加速される」ことにより発病してくるというのが私達の見解です。「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)を含む脳の老化(緩やかで直線的な低下のカーブを描く)が、廃用性の機能低下により更に「加速」される(加速度的な低下のカーブを描く)ことにより、「アルツハイマー型認知症」を発病してくるのです。意識的に何かの「テーマ」を実行する(しようとする)ことにより働く「脳の機能レベル」のアウトプットが、そのまま「アルツハイマー型認知症」の「症状」であり、「脳の機能レベル」が低下するに従い、「小ボケ」、「中ボケ」、「大ボケ」の症状が段階的に発現してくるのです。その根拠となるデータについては、(N-34)で詳しく報告してあります。「キッカケ」の例示については、(ここをクリックしてください)。このメカニズムのもとでは、「第一の要件」は誰しも共通であって、「第二の要件」こそが「アルツハイマー型認知症」を発病するかしないかを決定づける条件となります。

 言い換えると、認知症の大多数90%以上を占める「アルツハイマー型認知症」の発病は、ナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続という、第二の人生での「生活習慣」と密接な関係があるのです。「原因も分からないし治せない病気」と言われて放置されたままになっている「アルツハイマー型認知症」という病気は、廃用症候群に属する「生活習慣病」であるというのが私たちの見解です。「アルツハイマー型認知症」は、「小ボケ」と「中ボケ」までの段階で見つければ「生活習慣」の改善によって治せるし、脳が活性化する自分なりの「生活習慣」を維持することで発病を予防することもできるのです。

             

  このブログで何度も指摘してきたように、最初に注目すべき軽い段階の症状、脳の司令塔の「前頭葉」の働きだけが異常なレベルに衰えていて、左脳も右脳も未だ正常なレベルにある段階で認知症の症状が発現してくる「軽度認知症」(小ボケ)に注目すべきなのに、そのことに気づいていないのです。「前頭葉」の機能が加速度的に衰えていき殆ど機能しなくなってきていて、左脳も右脳も機能が異常なレベルに衰えてきている段階、いきついた最後の末期段階の症状を示している「重度認知症」(大ボケ)になって初めて、認知症と診断しているのです。重度認知症の症状が出てきて、「アルツハイマー型認知症」と診断していたのでは、せっかく見つけても手遅れ、「原因も分からないし、治らない」病気という結果になってしまうのです。

             

  脳の委縮が原因であるとか、アミロイドベータやタウ蛋白が原因であるとか、因果関係の確認もなしに、発病のメカニズムとは無関係の方向に学会の目が向けられたまま、「小ボケ」や「中ボケ」に目が向けられず放置されたままでいると、「中ボケ」は「大ボケ」になり、「小ボケ」は「中ボケ」の段階を経て「大ボケ」になるのです。東日本大震災の被災地の高齢者の間に、研究者達から「不活発病」の名を冠せられて注目を集めているお年寄り達が数多くいます。そのお年寄り達は実は、「アルツハイマー型認知症」の最初の段階である「軽度認知症」(小ボケ)の人達なのです。このブログの(N-33)で例示し説明した「生活状況」の発生が「キッカケ」となり、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まってから半年から3年の間が「小ボケ」の期間、4~5年の間が「中ボケ」の期間で、6年経つと「大ボケ」になる」というのが大原則なのです(ここをクリックしてください)。

             

 米国精神医学会の「DSM-4」の規定は、「アルツハイマー型認知症」と診断するための第一の要件として、「記憶の障害」を挙げています。「記憶の障害」を第一の要件としていること自体がそもそも間違いなのですが、誰も第一の要件の問題性を疑おうともしないのです。日本人がノーベル賞を獲得したことで注目されている「iPS細胞」の研究者たちは、この要件に着目して、「アルツハイマー型認知症」の治療薬を開発する方法として、「海馬」機能の再生に目を向ける可能性があると思うのですが、発病のメカニズムから考えると、無駄足に過ぎないのです。このことを警告しておきたいと思うのです。時間もコストも、最終的には無駄になるのですから。

  私たちのデータと根拠からすれば、「アルツハイマー型認知症」を治せる薬とは、異常なレベルに機能が衰えている「前頭葉」を含む脳の機能を正常レベルに引き戻すことが出来る薬と言うことになります。意識的な行為の世界をコントロールしている、脳全体の司令塔の「前頭葉」の機能から見たとき、そのような効能を持った薬が開発できるとは考えられないのです。

 このことを、分かりやすい例で説明しましょう。自転車のチューブに空気を入れる「空気ポンプ」という機器があります。アルツハイマー型認知症は、空気をチューブに運ぶ紐状のゴム管の部分(脳で言えば、情報を伝達する神経線維や海馬の機能)に支障があるのではなくて、ポンプを押して空気を押し出してやる部分(脳で言えば、情報を処理し、発信してやる「前頭葉」等の機能)に支障が起きてきたこと(「廃用性の機能低下」)により、正常に働かなくなったことが原因で発病する(「認知症」の症状がでてくる)病気なのです。

            

 「廃用性の機能低下」が原因で前頭葉を含む脳の機能が異常なレベルに衰えてくることの直接の結果として「認知症の症状」が発現してくる訳ですから、正常なレベルに引き戻す方法(治療の方法)は、日常生活のいろんな場面で、「前頭葉」の出番が増えるようなテーマ、例えば、趣味や遊びや人づきあいや運動を自分なりに楽しみ、目標や喜びや生き甲斐が得られる生活を送ることが不可欠の条件となるのです。そうした「生活習慣」の下で、脳全体を活性化してやり、機能レベルを回復させてやるしか他に採るべき方法はないのです。この場合、「中ボケ」レベルにまで衰えていたら、「一日五千歩」の散歩をさせることが出発点となります。意識的に何かのテーマを実行するには、一定レベルでの「意欲」が必要であり、「歩くこと」が「意欲」を引き戻すのに極めて有効だからです(ここをクリックしてください)。但し、回復が可能なのは「中ボケ」の段階までであって、「重度認知症」の段階にまで脳の機能が衰えたら、回復させることはもう期待できなくなることに注意が必要です。

            

(コーヒー・ブレイク)「器質的変化」が本質の病気だと誤解しているために、「アルツハイマー型認知症」に効く薬が開発できるかもしれないと研究者たちは考えてしまうのです。多数のデータの分析と根拠に基づき、私たちがこれまでに指摘しているように、「機能的変化」(廃用性の機能低下)が本質の病気だとすれば、脳を十分に使ってやりもしないナイナイ尽くしの「単調な生活」をしていて、飲むだけで(貼るだけで)効くような、そんな薬はあり得ないのです。iPS細胞で海馬の機能を再生させても、「アルツハイマー型認知症」を治すことにはつながらないし、ましてや「前頭葉」自体の機能を再生させることはできるはずもないのです。

(補足) ニューロンの機能の分野については専門外なので、単なる推測にすぎないのですが、高齢者がナイナイ尽くしの「単調な生活」を継続する下で、脳の「廃用性の機能低下が起きてくる状態」を言い換えると、(それぞれの専門的な特定の種類の情報の伝達/処理に機能特化した「ニューロン」群の樹状突起および軸索部分が、当該ニューロンの専門分野である特定の種類の情報の伝達/処理に拘わる機会が極端に少なくなった環境の下では、委縮を起こしてきて縮小するために機能を劣化させていくという現象が起きてきているのかもしれない)と考えるのです。だからこそ、「中ボケ」までの段階であれば、関連する専門の分野の情報を伝達/処理する機会が与えられる環境が再現され継続されると、縮小していた樹状突起および軸索が復活してくることで機能を回復してくるのではないかと考えるのです(ニューロンの「可塑性」)。このあたりをiPS細胞を使って検証してみることを工夫すれば、「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズムに迫れるかもしれないと考えるのです。このことを高齢者の脚の筋肉の部分でとりあえずやってみてはと考えるのです。その過程で、アミロイドベータもタウタンパク質も発病との因果関係がないことが証明されることになるはずと考えるのです。

注)本著作物(このブログA-64に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

  エイジングライフ研究所のHPここをクリックしてください)

   脳機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)

 

 

 

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アルツハイマー型認知症と「脳の機能レベル」との関係Q/ARoom(A-63)

2012-10-11 | 認知症に対する正しい知識のQ&A

Q: 認知症の大多数90%以上を占める「アルツハイマー型認知症」は、「脳の働き自体」が廃用性の機能低下により衰えてきた結果として、その「機能レベル」「症状」として直接発現してくる(「脳の機能レベル」(原因)と「症状」(結果)との間に直接の因果関係がある)ものという考え方が提案されています。この説は、脳の「働き具合」が、或る一定のレベル以下の段階になってくると、「その働き具合そのものが、アルツハイマー型認知症の症状として出てくる」という考え方を提起しているのです。東日本大震災の被災地の高齢者が大量に「アルツハイマー型認知症」を発病したり、症状が急激に進行していること等から、この説が最近注目されるようになってきていると聞きます。「脳の衰え方の特徴とそのメカニズム」について、私達素人にもわかるように、概要を説明して欲しいのですが。

            

 衰えると知りつつも、惰眠をむさぼる今日の我が身かな

     趣味なく交遊なく、生き甲斐も目標もなし

A: (撰 「蚊仙連歌集」より) 認知症の大多数、90%以上を占める「アルツハイマー型認知症」は、日常の生活で何かの「テーマ」を実行しようとするとき、脳がちゃんと働かない(正常レベルで機能しない)ことがそのまま、認知症の「症状」として出てくるのです。脳の働き具合(脳の機能レベル)のアウトプットそれ自体が、認知症の「症状」となって発現しているので、三段階に区分される「脳の機能レベル」の衰えの進行に付随して、その機能レベルの衰えに合致した三段階に区分される「症状」が発現してくるのです。(ここを「クリック」してください

 ここで、最初に理解して欲しいのは、私たちが意識的に何かの「テーマ」を実行するときの、「脳の働き方」の仕組みです。脳の働き方の仕組みは、「脳が壊れた人」をたくさん調べると、その概要が分かります。脳は場所によって働きが異なり、「機能の分担をしている」ことが分かるのです。

「運動の脳」の左の部分が壊れると、右半身麻痺になり、右の部分が壊れると、左半身麻痺になります。「運動の脳」が、身体を動かしているのです。

「左脳」が壊れると、言葉が出てこなくなり、計算が出来なくなり、論理を操れなくなります。「左脳」は言葉の脳とも言われ、言葉や計算や論理や場合分け等、(デジタル情報の処理)を担当しているのです。

「右脳」が壊れると、色や形や音や空間や感情等の認知が難しくなります。「右脳」は感性の脳とも言われ、色や形や音や空間の認知や感情等(アナログ情報の処理)を担当しているのです。

額のところにある「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)は、脳の最高次の機能です。運動の脳、左脳、右脳を統括し、「脳全体の司令塔の役割」をしています。

           

「左脳」が「デジタルな情報の処理」を実行するときも、「右脳」が「アナログな情報の処理」を実行するときも、「運動の脳」が「身体を動かす」ときも、三頭立ての馬車(左脳、右脳、運動の脳の三頭の馬)の御者の役割をしている「前頭葉」の指示なしには、勝手には働かない仕組みになっているのです。三頭の馬のどれかが働くときには、必ず「前頭葉」からの指示があるのです。言い換えると、「前頭葉」自体(三頭の馬を主導しつつ、同時に協働して)働くというのが、「意識的な行為」下で人間の脳が働くときのメカニズムなのです。

 ところで、脳の司令塔の役割を担う「前頭葉」にはいろいろな機能があります。その「諸機能」とは、発想、創意、企画、構成、計画、観察、分析、理解、把握、考察、洞察、推理、予見、シミュレーション、抑制、忍耐、工夫、修正、整理、機転、興味、創造、感動、判断及び決断等の認知機能(A)、色々な認知機能を発揮する上での「機能発揮度」の基礎となる「三本柱」の「意欲」、「注意集中」及び「注意分配」の機能(B)並びに最終的な実行内容を選択し決定する上で不可欠な機能である「評価の物差し」としての評価の機能(C)などです。

            

「脳を使う」ということは、私たちが意識的に何かの「テーマ」を実行することを意味します。意識的に何かの「テーマ」を実行する際の「脳の機能レベル」(働き具合)を考えるには、「前頭葉」の(A)、(B)及び(C)の機能が常に協同し、「左脳」、「右脳」及び「運動の脳」をコントロールしながら、働いていることに注意を向ける必要があります。脳の機能レベルが「症状」として発現してくる程度或いは態様は、(Bに下支えられたA及びCの働き具合)としての「前頭葉」の各認知機能と「高次機能」の各々との協働による「相乗効果」としての機能レベルに起因しているものだからです。「脳の機能レベル」が正常であれば、そのアウトプットは適切或いは的確な「言動」となり、「脳の機能レベル」が異常であれば、そのアウトプットは不適切或いは異常な「言動」(すなわち、症状)となるのです。

「前頭葉」の三本柱である意欲、注意の集中と注意の分配の機能(B)と前頭葉の各認知機能(A)との関わり方について、ここで分かりやすい例を挙げて説明しましょう。自分が好きで興味が湧くとか、自分が重要だと考えるような「テーマ」であれば、(B)の機能の発揮度が高くなり、結果として(A)の機能の発揮度が高くなるという関係にあるのです。

           

[ケース1] 18歳になる勉強嫌いの「ヒロシ」は、国語と数学が大の苦手です。ところが、オートバイにのりたくてしょうがないので、食事のことも時間の経つのも忘れて必死で勉強して、免許を取ったのです。食事のことも時間の経つのも忘れて必死で勉強していた時間を、脳の機能面から分析すると、前頭葉の「三本柱」のうちの「意欲」と「注意の集中力」と「注意の分配力」とが最大限に働いて、テキストに書いてある内容の「理解」と「整理」と「記憶」の能力を最大限に発揮させていたと言うことなのです。「前頭葉」の機能である(A)及び(C)の各々の機能を発揮する上で、その発揮度(発揮される機能レベル)自体が、そもそも「三本柱」の機能(B)の機能レベル(働き具合)に左右される関係にある(下支えられるという二重構造「層構造」のメカニズムになっている)ということなのです。

[ケース2] 例えば、大事なお友達を家にお呼びして、手料理でもてなす場合(テーマの発想)を考えてみてください。もてなす内容やもてなし方をあれこれ考えるとき(食事内容の計画)に、少しでも喜んでもらえるようなものにしよう(工夫)と「意欲」が湧いてくるでしょう。食事や食後の飲み物等どのようなものにするかを考えるとき(シミュレーション)にも、「注意の集中力」が注がれるでしょう。もてなしている最中にも、話の流れや相手の表情や態度などに気配り(観察、理解、機転)して、「注意の分配力」がよく働くと思いませんか。

「三本柱」の機能が正常レベルであれば上述したような行動がとれるし、逆に、機能が異常なレベルであれば何も対応できなくなるのです。そうした「前頭葉」を含む脳の機能が、正常レベルで働かなくなって、「社会生活」や「家庭生活」や「セルフケア」に段階的に支障が出てくるようになるのが「アルツハイマー型認知症」なのです。

           

上記の流れが理解されたところで、私たちがもう1つの問題を提起するのは、(A)及び(C)の機能レベル(「認知機能の発揮度」、言い換えると「認知度」)を左右する「意欲」、「注意集中力」及び「注意分配力」の三本柱の機能には、加齢とともに働きが衰えていくという性質があるということなのです。正常な老化の場合でも、高齢者と呼ばれる年代の65歳頃になると誰でも、その働き具合が20歳の頃に比べて半分程度にまで衰えていくのです(加齢による三本柱の「正常老化」)。そして、加齢による前頭葉の三本柱の「正常老化」のカーブは、下図に示す通り、70歳代、80歳代、90歳代と年をとるにつれて、直線的ではあるが緩やかに「低空飛行」の状態に入っていくのが特徴なのです。

 「三本柱」の機能(Bが加齢により衰えていくことは、とりもなおさず、前頭葉の(A)や(C)の機能の発揮度自体も加齢と共に低下していくということを意味することになるのです。前頭葉の(A)や(C)の機能の発揮度は、「三本柱」の機能に下支えされる「二重構造/層構造」のメカニズムになっているからです。「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズムを理解するには、まず、この問題を理解しておくことが不可欠となるのです。世間では、アルツハイマー型認知症発病の原因は未だに分からないとされています。高齢者と呼ばれる年代の60代になってからアルツハイマー型認知症を発病するお年寄りが現れるようになり、70代80代90代と年をとるにつれて、このタイプの認知症を発病するお年寄りの割合が大幅に増えていく理由がここに示されているのです(「第一の要件」)。

参考までに、「三本柱の機能」が、加齢とともに老化していくデータを下図に示しておきます。  

       ○ 前頭葉の「三本柱」の「正常老化」による老化のカーブ

                

 私達が意識的に何らかの「テーマ」を実行しようとするとき、最高次機能の「前頭葉」は、「左脳」、「右脳」、「運動の脳」の各部と協働し、且つそれらを主導しながら:

○自分のおかれている状況を判断し(「状況の判断」);

○目的となるテーマとその内容を構想、企画し(「テーマと内容の構想」);

○テーマ内容を実行する手順を計画し(「実行手順の計画」);

○実行結果をシミュレーションし(「実行結果の予測」);

○結果の予測に基づく必要な修正を施し(「テーマとその内容の修正」);

○構想から実行に至る全体の構成を保持し(「構成の保持」);

○結果に向けた実行を決断し(「決断」);

○脳の各部に、実行の指令を出す(「指令」);

という一連の作業を「同時並行」して、且つ「重層的」に行います。

意識的に何かの「テーマ」を実行するときの「前頭葉の機能レベル」は、「三本柱の機能(B)、前頭葉の各認知機能(A)及び評価の物差しとしての「評価機能」(C)のそれぞれが、加齢に伴う「正常老化による機能低下」と使われる機会が極端に少ないことに伴う「廃用性の機能低下」との相乗効果による、総合体としての或る一定の「機能レベル」を構成し、「三段階」に区分されるのです。その「機能レベル」の直接のアウトプットが「アルツハイマー型認知症」の「症状」として、発現してきているのです。

       

「正常な老化」の過程とはいえ、「加齢」による老化により「前頭葉」の機能が低空飛行状態に入ってきている60歳を超えた高齢者と呼ばれる年代の「お年寄り」「第一の要件」の充足)が、何かを「キッカケ」にして、生き甲斐や目標もなく、趣味や遊びや人付きあいもなく、運動もしない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を日々続けていると(「第二の要件」の充足)、出番が少ないために使われることが極端に減った「前頭葉」廃用性の機能低下(使われる機会が極端に少ないことにより、機能が衰えて行くこと)を起こしてきて、第一の要件と第二の要件とが重なり合うことの相乗効果により、「前頭葉」の機能の老化が加速されていくのです。老化が加速されて衰えた機能のアウトプットが、「症状」となって発現してくるということなのです。つまり、「前頭葉」の働きが加速度的に衰えていくその先に、「アルツハイマー型認知症」(晩発型アルツハイマー病)の発病が待っているということなのです。(注)第一の要件と第二の要件との相乗効果により廃用性の機能低下が進むときは、下図に示す通り、直線的ではなくて放物線を描いて加速度的」に脳の機能が衰えていくのが、「アルツハイマー型認知症」の特徴なのです。 

                      

その場合に、最高次機能の「前頭葉」が最初に異常なレベルに衰えていき、次いで、高次機能の左脳や右脳が異常なレベルに衰えていきます。ここで、(N-16) (N-18) (N-20)をクリックして読み返してみてください。更には、「アルツハイマー型認知症」の場合には、「左脳および右脳」の機能の衰え方にも規則性がある(「衰えていく順番がある」)ことが重要な特徴です。前頭葉と左脳および右脳の機能のそれぞれの衰え方が、他の種類の認知症あるいは認知症と紛らわしい病気(側頭葉性健忘症、感覚性失語症、一過性全健忘、老年期うつ病、緩徐進行性失行など)との鑑別の上で、極めて重要且つ客観的な指標としての役割を果たしてくれるのです。

kinukototadaoからの説明) 生き甲斐や目標もなく、趣味や遊びや人付きあいもなく、運動もしない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を送っていると言うことは、脳の機能面から言うと、前頭葉の機能の中でも最も基本的で不可欠な機能であり、「認知度」を左右する働きをしている「三本柱」の出番が極端に減る生活を送っているということになるのです。言い換えると、もともと加齢により機能が衰えていく性質を持っている三本柱の働きが、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を送っている中で、脚の筋肉と同じように、「廃用性の加速度的な機能低下」を起こしてくるのです。

(注)前頭葉の機能だけが異常レベルであって、左脳も右脳も機能が未だ正常レベルである「小ボケ」(指示待ち人)の段階で発現してくる「小ボケ」の症状は、この三本柱の機能低下のアウト・プットそのものなのです。「アルツハイマー型認知症」の初期症状である「小ボケ」の症状は、ここ(N-17)をクリックして読み返してみてください。

「小ボケ」の症状から例示して説明してみましょう。「意欲」が異常なレベルに衰えてきた結果としての症状が、(何事をするにも億劫で面倒がり、何かをやってみようという意欲が見られない)であり;「注意の集中力」が異常なレベルに衰えてきた結果としての症状が、(根気が続かず、中途半端なことを繰り返し、やりかけの家事が目立つ)であり;「注意の分配力」が異常なレベルに衰えてきた結果としての症状が(複数のことに注意が分配できなくて、3つの用事が同時にさばけない)なのです。

      

  世間で全ての専門家たちから原因不明と言われている「アルツハイマー型認知症」は、上述したように、「加齢とともに脳の老化が進む」という(「第一の要件」)と「ナイナイ尽くしの単調な生活の継続」という(「第二の要件」)の二つの条件ガ充足される時その「相乗効果」によって、廃用性の加速度的な機能低下(脳の老化が更に「加速」されること)により、発病してくるというのが私たちの見解です。その根拠となるデータについては、(N-34)で詳しく報告してあります。

このメカニズムのもとでは、「第一の要件」は誰しも共通であって、「第二の要件」こそが「アルツハイマー型認知症」を発病するかしないかを決定づける条件となります。言い換えると、認知症の大多数90%以上を占める「アルツハイマー型認知症」は、ナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続という、第二の人生での「生活習慣」(日々の脳の使い方)と不可分の関係がある病気なのです。「原因も分からないし治せない病気」と言われて放置されたままになっている「アルツハイマー型認知症」という病気は、廃用症候群に属する「生活習慣病」であるというのが私たちの見解です。

       

(注)ナイナイ尽くしの単調な生活とは、目標や喜びや生き甲斐もない生活、趣味や遊びや人付き合いもなく運動もしない生活のこと。

(注)キッカケの発生により、喜びや生きがいが得られる源になっていた生活を継続していけなくなります。その結果、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まるのです。単調な生活に変化すると、いろんなことを発想して計画を立てたり、やりかたを工夫してみたり、結果を見通して修正したりするのに不可欠の前頭葉の「三本柱」が次第に機能しなくなっていくのです。「前頭葉」の機能が異常なレベルに衰えて行くにつれて、喜びを感じたり、なにかに感動することもなくなっていくのです。毎日の脳の使い方(生活習慣)が大きく変化して、脳の司令塔としての「前頭葉」の出番が極端に少なくなり、機能が加速度的に衰えて行くのです。

注)本著作物(このブログA-63に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

 エイジングライフ研究所のHPここをクリックしてください)

 http://blog.goo.ne.jp/kuru0214/e/95c2a476097fda6da8f4056b0d03e5ad

 脳機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)

 

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アルツハイマー型認知症の最初の段階と「不活発病」Q/A Room(A-62)

2012-10-04 | 認知症に対する正しい知識のQ&A

Q: 世界に先駆けて「超高齢化社会」を達成した喜びとは裏腹に、我が国では、認知症のお年寄りの数が300万人もいるそうです。この先高齢化が更に進展していく中で、認知症のお年寄りの数も増え続けていくと予想されているようです。認知症の人数の大多数90%以上を占めるとされる「アルツハイマー型認知症」は、原因もわからないし、治すこともできない病気と聞いています。打開策がないまま「少子化」が進む中での「高齢化」も予想以上の速さで進展しているようですね。この先どうなるのか、(1000兆円を超えるとされる巨額の累積債務の問題とも併せて)、子や孫たちのことを考えると、我が国の将来がとても心配です。

     

  夢もなければ、希望ももてない我が国の明日

     意欲もなければ、することもない我が身の今日

       時の流れに身を任せ、脳の老化が進んでいくだけ

A: (撰者 斉藤藻吉の講評) 厚生労働省がこの8月に発表したところによると、これまで200万人と予測されていた認知症の末期の段階である「重度認知症」(大ボケ)のお年寄りの数が一気に100万人も激増して、300万人にも達しているのです。このブログは、いろんな種類に分けられる認知症の人数の大多数、90%以上を占めていて、「原因もわからないし、治すことも出来ない」とされている「アルツハイマー型認知症」について、出来るだけ分かりやすく世の中に、(特に、東日本大震災を被災された高齢者と地域予防活動の担い手となる市町村の保健師さん達に)知らせたいとの思いから、根拠となるデータの開示を含め、私たちが開発した「二段階方式」の考え方の概要を公開しています。

「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズム、早期発見と認知症からの「回復」、症状の「進行の抑制」と適切な介護の在りかた、そして個人及び地域単位での「予防」の仕方がテーマです。マニュアル化され、システム化された「二段階方式」と呼ばれるそのシステムの使用は、有償となっていますが、(契約の対象は、市町村の健康・保健・福祉課など、在宅介護支援センター、地域包括支援センター、医療機関、介護施設事業者及びNPO法人に限定されています)このブログの中で、その考え方の概要を逐次みなさんに公開していく「手技」は、非公開ですものです。

     

 「アルツハイマー型認知症」発病の原因について、末期の段階でしか認知症であるか否かの判定が困難な方法である脳の萎縮を基準に考える説や、原因ではなくて結果を示しているに過ぎないアミロイドベータやタウタンパクによる老人斑の生成や神経原線維変化による神経細胞の脱落等を原因と考える「仮説」などが、専門家と呼ばれる人たちの間では主流です。脳の働きと言う物差しを使い、「脳の機能データと症状をリンク」させて解析し、「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズムを突き止め、認知症の有無や段階を判定し、或いは早期診断による「回復」と生活習慣の改善による「予防」を提案する私達の考えは、世間一般のアプローチと比べて、根本的に異なるものです。

 エイジングライフ研究所では、独自に開発した「二段階方式」と呼ばれる脳の働き具合とそのアウトプットである症状をリンクさせて判定する方法により、アルツハイマー型認知症」の早期診断と「回復」及び「予防」を目的とする「地域予防活動」を17年間に亘って440を超える市町村で実践する中で、極めて多数のデータを蓄積してきました。私達がこの3月に予告し警告してきたように、東日本大震災の被災地の高齢者たちの間に、驚くほど高率で大量に「アルツハイマー型認知症」が発症してきていることにより、これまで主流とされてきた学説の「根拠」が根底から覆され、「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズム、早期診断と「回復」及び「生活習慣」の改善による発病の「予防」についての私達の考え方が、「疫学的に証明される」こととなって、世界の主流となる日は近いと考えています。(ここを「クリック」してください

     

kinukototadao からの説明) ところで最近、「不活発病」という名称を冠された「病気」がマスコミでしばしば取り上げられるようになってきているのをご存知でしょうか。東日本大震災の被災地の高齢者の間に、流行しているとの報道が増えてきているのです。「前頭葉」を含む「脳の働き具合」を神経心理機能テストその他の方法で調べることもなく、「症状」だけから判定し、「不活発病」と言う名称を冠されて取り上げられているその病気は、実は、お年寄りの皆さんが最も恐れている、あの「アルツハイマー型認知症」の最初の段階である「軽度認知症」(小ボケ)のことなのです。このことについて、このブログで世の中(研究者とマスコミ)に注意を喚起しておきたいと思います。(ここを「クリック」してください) 

 認知症の専門家たちから、原因不明の病気とされている「アルツハイマー型認知症」は、廃用性の機能低下により加速度的に衰えた脳の働き具合(機能レベル)のアウトプットが「症状」として発現してくるものなのです。その最初の段階が、「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)の機能だけが異常なレベルに衰えてきている「軽度認知症」(小ボケ)なのです。この段階で発現する「症状」は、理解、考察、発想、創意、企画、計画、観察、分析、洞察、推理、予見、シミュレーション、抑制、忍耐、工夫、修正、機転、興味、創造、感動、判断及び決断等の高度な「前頭葉」の諸機能(B)の発揮度(C)を下支えし、支配(「二重構造/層構造」)する「三本柱」の機能(A)である、「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」が異常なレベルに衰えたことに起因する「軽度」の機能障害の症状だけなのです。{C=A×B}

「不活発病」のレッテルを貼られたお年寄りたちに、「二段階方式」による神経心理機能テストを実施して、「前頭葉」を含む脳の働き具合(脳の機能レベル)を判定すれば、(「高次機能」は正常なレベルにあって、最高次の「前頭葉」の機能だけが異常なレベルに衰えている)ことが容易に分かるはずなのです。参考までに、「軽度認知症」(小ボケ)の「症状」を載せておきますので、読んで比べてみてください。両者の特徴とされる「症状」が一致していることが、分かるはずです。(ここを「クリック」してください)。

       

 このブログで何度も指摘しているように、認知症の専門家たちは、「DSM-4」という米国精神医学会の誤った診断基準に基づいた診断を行うのです。その基準は、末期段階にならないと発現してこない、「重度の記憶障害」(第一の要件)と(失語、失行又は失認)という「重度の症状」(第二の要件)が共に確認されるようにならないと、「アルツハイマー型式認知症」であるとは、診断してはならないとされているのです。そのため、回復容易な「軽度認知症」(小ボケ)も回復可能な「中等度認知症」(中ボケ)も、見落とされ放置され、末期段階の回復が困難な「重度認知症」だけが取り上げられているのです。 

 早期の段階で見つければ、脳のリハビリ(脳の使い方としての「生活習慣」の改善)で回復が容易又は可能であるのに、この段階は「不活発病」や「老化現象」の名前を張られるだけで、見過ごされ、放置されたままなのです。「不活発病」のレッテルを貼られている症状が、アルツハイマー型認知症の最初の段階である「軽度認知症」(小ボケ)の段階の症状(回復容易)であり、「老化現象」と混同されているのが「中等度認知症」(中ボケ)の段階の症状(回復可能)であり、原因も分からないし治らない介護の対象とされているのが末期の段階の「重度認知症」(大ボケ)の症状(回復困難)なのです。(ここを「クリック」してください

             

(コーヒー・ブレイク-その1) 日本では、若年での発症が特徴の「狭義のアルツハイマー病」(「若年性アルツハイマー病」とも言います)と老年での発症が特徴の「アルツハイマー型認知症」とをまとめて「アルツハイマー病」と総称する人が多いのですが、これは誤解を生むものです。若年性アルツハイマー病(狭義のアルツハイマー病)は、「アルツハイマー型認知症」とは性質が根本的に異なるものなのです。

 「狭義のアルツハイマー病」は、特定の遺伝子に生まれつき異常が認められる人にしか認知症の症状が発症してこないのです。しかも、発病する年齢は、早いと30代で遅くても50代どまりなのです。そして、発病後に症状が進行する速さも、「アルツハイマー型認知症」の場合の症状の進行度合いとは全く異なる、比べ物にならない速さで進行するのです。

そのうえ、現在の医療レベルでは、症状の進行を抑制する方法も、症状を回復させる方法もありません。認知症全体に占める割合も、老年での発症を特徴とする「アルツハイマー型認知症」が90%を超えるのに対し、若年での発症を特徴とする狭義の「若年性アルツハイマー病」は1%程度なのです。

       

(コーヒー・ブレイクーその2) 最後にもう一度:東日本大震災を被災した高齢者達が他のどの地域の高齢者とも比較にならないほどの高い割合で、且つ大量に「アルツハイマー型認知症」を発病してくること(「小ボケ」)及びその症状が進んでいくこと(「小ボケ」→「中ボケ」→「大ボケ」)を予告し、警告しておきたいと思います。そうすれば、「原因不明で治らない病気である」とか、「脳の萎縮が原因である」とか、「アミロイドベータやタウ蛋白による神経線維の脱落等が原因である」とか、専門家と言われている人達の見解が全て誤ったものであることが、疫学的に証明されることとなり、世の中の考えを変える契機ともなることでしょう。 

(まとめ) 「アルツハイマー型認知症」は、一言で言えば、廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」に過ぎないのです。廃用性の機能低下(使われる機会が極端に少ないために、働きが衰えて行く)により、何年もかけて「脳の機能」が徐々に衰えていく結果として、徐々に、段階的に「症状」が進んでいくのが特徴なのです。正常者が発病して「小ボケ」となり、「小ボケ」の症状が進んで「中ボケ」となり、「中ボケ」の症状が進んで「大ボケ」となるのです。世の中で認知症の専門家と言われている人たちは、「DSM-4」の規定を金科玉条として信奉しているので、末期の段階である「大ボケ」の段階になって初めて「アルツハイマー型認知症」だと騒ぎ出すのです。「大ボケ」(重度認知症)の段階にまで進んでしまうと、(脳の機能低下が進んだ結果として症状が出てきているので)、この段階で見つけても、回復は困難なのです。この段階で見つけていたのでは、せっかく見つけても手遅れ、レッテルを張るだけであって見つける意味がないのです。(ここを「クリック」してください

注)本著作物(このブログA-62に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

     エイジングライフ研究所のHPここをクリックしてください)

  脳機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)


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