認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

アルツハイマー型認知症の予防を国民的な課題に Q/A Room(A-61)

2012-09-27 | 認知症に対する正しい知識のQ&A

Q: 「働き盛りの若い年代で、認知症が増えている」のタイトルに惹かれ、報道番組を見ました。認知症と診断された3人の方が、家族と一緒に出演していました。その中の一人、50代の方がとても印象に残りました。「アルツハイマー型認知症」として紹介されたその方の話し振りと話の筋が、説得力があるのに驚きました。時には涙を流しながら、物忘れによる職場や家庭での失敗体験を語るのです。「アルツハイマー型認知症」の義父を何年も介護した経験がある私には、理解も納得もできない報道内容でした。

            

A:    長生きすれば!

          するほど増える認知症

                    人生60年の昔ぞ今は恋しき

(撰者 山上小暗の講評)

 あなたが驚いたのも、納得できないのも無理はありません。その方は、「アルツハイマー型認知症」ではなくて、「側頭葉性健忘症」なのです。高度の「物忘れの症状」を呈するので、専門家も認知症とよく間違えるのです。「アルツハイマー型認知症」であれば、必ず最初に異常なレベルに働きが衰えるのが「前頭葉」であり、それが必須の要件でもあるので、明確に鑑別が出来るのです。この人の場合は、神経心理機能テスト「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)を含む脳の機能レベルを精査してみれば、高度の「記銘力障害」が認められるだけで、「前頭葉」機能も大脳後半領域の機能も共に正常範囲に保たれていることがわかるはずなのです。更に、表情が非常に豊かで、動作も機敏で、状況や目的に沿った言動がきちんと取れることが、「アルツハイマー型認知症」とは根本的に異なる大きな特徴なのです。

ところで、世間で専門家と言われる人達が「アルツハイマー型認知症」と診断するレベルは、私達の区分でいう末期の段階である「重度認知症」(大ボケ)の段階なのです。(大ボケ)の症状を列記してありますので、(ここを「クリック」して)比較してみてください。

             

「アルツハイマー型認知症」(「大ボケ」の段階)の場合は、司令塔である「前頭葉」の機能がほとんど機能しないレベルに低下している為、状況の理解も判断も殆どできなくなっています。その為、頻発する高度な「記憶障害」の状況に対して、切実な問題としての認識や理解自体ができないので、本人が的確に説明することもできないのです。(ここをクリックしてください

「側頭葉性健忘症」の場合は、前頭葉が正常レベルにあるので、高度な「記銘力障害」の症状が出てきている状況に対して、切実な問題としての認識があり、「物忘れをして困る」との本人自身の訴えがとても切実で、切迫感を持っているのが特徴です。

 「側頭葉性健忘症」の発症年齢が働き盛りの40歳代から60歳代に多いのに対し、「アルツハイマー型認知症」の発症年齢は60歳代以降の高齢者が対象で、70歳代、80歳代と高齢になるほど発症率が高くなるのが特徴なのです。

タイトルがショッキングなために、高い視聴率を獲得するのだと思いますが、50歳代での「アルツハイマー型認知症」の発症例は極めてまれなのです。実態数からすれば、取り上げるほどのテーマではないのです。世間で認知症の専門家と言われる人達でさえ、50歳代で発症する対象者の数自体が極めてまれなことさえ知らないのが実情なのです。このテレビ局が何を目的に何度もこのようなタイトルで報道するのか、その意図が理解できません。その上、「アルツハイマー型認知症」でない症例を間違えて紹介する過ちまで犯しているのです。ここを「クリック」してください:注1と2を参照)。

            

世界に先駆けて、誰でもが80歳や90歳まで生きる「超高齢化社会」を実現した我が国では、それと裏腹の現象として、厚生労働省の予測にも見るとおり、「アルツハイマー型認知症」のお年寄りの数が、どんどん増えてきています。

この先全国的に高齢化が更に進んでいき、それに連れて「アルツハイマー型認知症」のお年寄りの数が更に加速度的に増加していくと予想されています。現在300万人と報告されている認知症のお年寄りの数は(従来の予測値200万人が、8月の発表で300万人に大幅に増加修正されました)、私達の区分で言う末期段階の「重度認知症」(回復困難な大ボケ)のレベルの人達だけの数なのです。認知症の軽度な段階であることが見落とされ放置されている「軽度認知症」(回復容易な小ボケ)と「中等度認知症」(回復可能な中ボケ)とを合わせた数は、「重度認知症」(回復困難な大ボケ)の数の4倍にもなるのです。「大ボケ」の予備軍が、1200万人もいるのです。

ところで、認知症にもいろんな種類があるのですが、「アルツハイマー型認知症」が認知症の大多数、90%以上を占めているのです。二番目に多い「脳血管性認知症」は、脳卒中等の既往さえあれば「脳血管性認知症」と診断されている実態があります。実は、それらの大半は、「脳血管性認知症」ではなくて、「アルツハイマー型認知症」なのです(ここを「クリック」してください)。そのほかの認知症は、種類は多いのですが、全体に占める比率は極めて小さいのです。認知症の大多数を占めている「アルツハイマー型認知症」こそ、国民的な課題として、早期診断による「回復」と生活習慣の改善による「予防」と言うテーマに取り組むべき認知症なのです。

             

「アルツハイマー型認知症」は、「身体がもつのに脳がもたない」のが特徴の病気なので、「不活発病」とか「老化現象」というレッテルだけ貼られて放置されていると、「小ボケ」は「中ボケ」に、「中ボケ」は「大ボケ」に、次第に「症状」(段階)が進んでいきます。皆さんも、ただ単に怖がるだけでなくて、「アルツハイマー型認知症」に対する正しい知識を持って、適切な対応をしていただきたいと思います。

「アルツハイマー型認知症」は、認知症全体の90%以上を占めているのです。「アルツハイマー型認知症」は、廃用症候群に属する「生活習慣病」なのです。「アルツハイマー型認知症」は、早期発見により「小ボケ」や「中ボケ」の段階で見つけることが出来れば正常レベルに「回復」させる(治す)ことが出来るのです。「アルツハイマー型認知症」は、脳を活性化する「生活習慣」を日常生活に取り入れることにより「予防」することもできるのです。

 認知症の診断に携わる精神科医達は、米国精神医学会の規定であるDSM-4の規定を疑いもしないのです。「重度の記憶障害」(第一要件)及び「失語」、「失行」又は「失認」(第二要件)という末期段階にならないと発現することがない「重度の症状」を要件として診断するという誤った「診断基準」を金科玉条としているのです。その結果、「重度認知症」(大ボケ)の段階しか見つけてこなかった精神科医の誤解が原因で、「アルツハイマー型認知症」は原因不明で治らない病気だという誤った知識が、日本全国津々浦々にまで浸透してしまっているのです。

               

早期発見(「小ボケ」及び「中ボケ」の段階)による「回復」も、脳の使い方としての生活習慣の改善による「予防」も可能な普通の病気(廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」)なのに、誤解が幅を利かせている状況が放置されて、何らの対応も対策もとられていないのです。現状のまま放置して手をこまねいていると、高齢化の進展に付随して、今後増え続けることが予想されている「アルツハイマー型認知症」のお年寄り達に対する「介護保険」の適用は、費用面から制度破綻の危機に直面してしまうことになるのです。

「アルツハイマー型認知症」の場合は、脳がもたないのに身体だけはもつのです。「小ボケ」の発症に始まって、「中ボケ」を経て、「大ボケ」の段階になってもまだ身体がもつのが特徴なのです。身体がもつので、「アルツハイマー型認知症」を発病しても、何年も生きていくことになるのです。「第二の人生」が20年も30年もある「超高齢化社会」を生きるのなら、ただ長生きするだけでは意味がないと考えてください。長生きを望むのであれば、自分らしい「生き甲斐や目標のある生き方」、自分らしい「脳の使い方」を追及して、脳が活性化するような日々を過ごしつつ、「身体がもつ限り、脳をもたせる」ことを必須条件として、自身に課して欲しいのです。本人の心がけと注意次第で、発病を回避できるからです。アルツハイマー型認知症」は、廃用症候群に属する「生活習慣病」に過ぎないのです。

 これから先、このブログでは、「アルツハイマー型認知症」に的を絞って、関連する「テーマ」を選び、説明していきます。皆さんに正しい知識を持っていただくとともに、「アルツハイマー型認知症」の「早期診断による回復」と「脳を活性化する生活習慣の構築による予防」という考え方が、全国の市町村の津々浦々にまで浸透していき定着するよう、訴え続けていきたいと考えています(ここを「クリック」してください)。

             

(コーヒー・ブレイク) これまで60回にわたって記述してきた内容により、体系的に全体像の概要をお知らせすることができました。このブログは、世界中の研究者や医師達から「原因もわからないし、治らない」病気とされている「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズム、早期診断と脳のリハビリによる「回復」及び生活習慣の改善による「予防」について、世界で初めて体系的に記述されたその内容を公開するものです。東日本大震災の被災地の「高齢者」を対象とする大量の発症は、予告した通りとなってきています。ここを「クリック」してください)。&(更に、ここも「クリック」)。

 私達の考えは、根拠となる「脳機能データ」と市町村での「実践活動」によりきちんと裏付けされています。近い将来、私達の考えが、世界中での「主流」になると確信しています。今後も、できるだけ多くの方に読んでいただきたいと、願っています。このブログを読んで、内容に共感できた方は、周りのお年寄りにもこのブログの存在を知らせてあげていただきたいのです。

  これからのブログでは(N-61からは)、いろいろな角度や視点から、「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズム、「脳の機能レベル」の変化とそれに付随して生じる「段階的症状」の発現、早期診断の方法と「回復」、脳の使い方としての「生活習慣」のあり方、「生活習慣の改善」による発病の「予防」、保健師さんが中核となる「地域予防活動」の展開等のテーマについて、出来るだけ分かりやすく伝えて行きたいと考えています。

 注)本著作物(このブログA-61に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

  エイジングライフ研究所のHPここをクリックしてください)

 脳機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)

  http://blog.goo.ne.jp/quantum_pianist

 http://blog.goo.ne.jp/kuru0214/e/d4801838dd9872301e0d491cd8900f1a

 

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アルツハイマー型認知症の原因と予防法(脳の使い方)Q/A総集編(A-60)

2012-09-20 | 認知症に対する正しい知識のQ&A

Q: 認知症の大多数を占める「アルツハイマー型認知症」を予防するには、脳をしっかりと使う「生活習慣」が大事だと知りました。ところが、私は幼いころから、音楽や体操は得意だったのですが、勉強(特に国語や算数)が苦手でした。古希を目前にしたそんな私が、脳をしっかり使う生活をするには、どんなことをどんな風にしたらいいのでしょうか。

      

 A:     することもないまま!

           余るばかりの私の時間

                身体も脳も、今日も居眠り

(撰者 大伴焼餅の講評) 脳の使い方の説明に入る前に、「脳の機能」について、ここで概観しておきたいと思います。脳の働きとそのメカニズムを知り、且つ理解した上で、自分なりのやり方を実践することが大切だからです。

 頭のてっぺんの所には、身体を動かす指令を出す「運動の脳」があります。脳卒中で、半身麻痺になる人がいます。「運動の脳」の左の部分が壊れると、右半身麻痺が起きます。右の部分が壊れると、左半身麻痺が起きます。「運動の脳」の左の部分が右半身を、右の部分が左半身を動かしているのです。脳の後ろの左側部分には、勉強や仕事などをする為の「左脳」があります。「左脳」は、言葉や計算や論理や場合分けなど「デジタルな情報」を処理しているのです。

 脳の後ろの右側部分には、趣味や遊びや人付きあいなどを楽しむ為の「右脳」があります。「右脳」は、色や形や音や空間や感情など「アナログな情報」を処理しているのです。

      

 額のところには、脳全体の司令塔の「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)があります。私たちが意識的に何かの「テーマ」を実行しようとするとき、どのようなテーマをどのように実行するか、「運動の脳」をどのような目的のためにどのように働かせるか(体を動かすテーマ)、「左脳」をどのような目的のためにどのように働かせるか(言葉や計算や論理や場合分けなどのテーマ)、「右脳」をどのような目的のためにどのように働かせるか(色や形や音や空間認識や感情などのテーマ)、全ては司令塔の「前頭葉」が周りの状況を判断して決定し、指令を出しているのです(運動の脳、左脳、右脳という三頭立ての馬車の「御者」の役割をしているのが「前頭葉」なのです)。

 具体的な場面で説明しましょう。 老人会でゲートボールを楽しむ時の周囲の状況や関係等を考慮した遊び方も、お茶を飲みながら友達と趣味や遊びや家庭の問題等の世間話に花を咲かせる時の話の展開の仕方も、友達を家にお呼びして得意の手料理でもてなす時の相手との関係に配慮したもてなし方も、家の周りに樹木を植えたり草花を咲かせたりして楽しむ時の景観や観る人の視点を考えた配置や植え方も、脳全体の司令塔の「前頭葉」が、関係する色々な条件や状況を判断して、テーマを発想し、内容を計画し、「何をどのようにするか」をケースワークした上で最終的に決定し、必要な指令を出して、実行させているのです。

      

 認知症の専門家とされる人達から、未だに、発病のメカニズムが不明であるとされている「アルツハイマー型認知症」の場合は、脳全体の司令塔の「前頭葉」を中心とした「脳の機能レベル(働き具合)の直接のアウトプット」それ自体が「症状」として発現してくることになるのです。それが、「アルツハイマー型認知症」の「症状」が発現してくるメカニズムなのです。年をとるにつれて、前頭葉の働きが衰えてくる(人間であれば誰でも、前頭葉を含む脳の諸機能に加齢に伴う老化のカーブ、言い換えると「正常な老化」のカーブが、存在するのです)とはいえ、前頭葉の機能が正常なレベルにある限り、認知症の症状が発現してくることはないのです。高齢者と呼ばれる年齢のお年寄りが、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続することによって、「前頭葉」を含む脳の「廃用性の加速度的な機能低下が起きてくる」ことにより、働きが異常なレベルに衰えてくる結果、様々な程度態様の認知症の「症状」(「小ボケ」、「中ボケ」、「大ボケ」の三段階の症状)が発現してくるのです(ここをクリックしてください)。解剖所見を基礎とした「仮説」である蛋白質犯人説が主張するような、アミロイド・ベータやタウ蛋白に侵された「神経細胞」の脱落に起因する症状が現れてきているわけではないのです。

 中でも、 「前頭葉の諸機能」の機能障害すなわち、色々な認知機能を発揮する上での基礎となる「三本柱」意欲、注意集中及び注意分配機能の障害並びに発想、創意、企画、構成、計画、観察、分析、理解、把握、考察、洞察、推理、予見、シミュレーション、抑制、忍耐、工夫、修正、機転、興味、創造、感動、判断及び決断等の機能の障害、更にそれらに加えて最終的な実行内容を選択する上で不可欠な機能である「評価の物差し」としての評価機能の障害という「各種の前頭葉機能の障害」のアウトプットによる「症状」が「アルツハイマー型認知症」の最初の段階で発現してくることに注目することが、「発病のメカニズム」を理解する上で極めて重要なのです。この最初の段階では、「前頭葉」の廃用性の加速度的な機能低下により、働き具合が異常なレベルに衰えた「前頭葉の諸機能の機能障害」に起因する症状が発現してくるだけであって、いわゆる「物忘れ」(正常な老化現象)を超えるレベルの記憶の障害」(異常な老化現象)に起因する症状は全く認められないのです。(ここを「クリック」してください)。

      

(kinukototadaoからの説明)  意識的に何かの「テーマ」を実行しようとするに際して必要不可欠の、「状況の判断」、「テーマの構想」、「内容の計画」、「構成の保持」、「シミュレーション」、「実行内容の選択」、「実行の決断」等の「前頭葉」の諸機能を十分に発揮するには、思考の過程中での或る一定レベルでの「認知度の維持による認知機能の発揮」が要求されることになります。「認知度」が低いと、上述した「前頭葉の諸機能」がちゃんと働けないからです。

 その各工程での情報の交信(受け取り、処理、発信)に要求される「認知度」は、「前頭葉」の働きの中で最も重要な機能である「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」という「三本柱」の機能が正常に働くことが不可欠の前提条件となります。この「三本柱」の機能に下支えされる形で、発想や計画や工夫や洞察などの高度な認知機能がちゃんと発揮されることになる(認知機能を発揮するうえで、「二重構造」/「層構造」となっていることに注意)のです。実は、「三本柱」のこの機能は、「記憶」の工程である「記銘」、「保持」及び「想起」の機能発揮度にも深く関わっていて、影響しているのです(30代の後半から、いわゆる「物忘れ」の症状が発現してくるのは、このメカニズムの為なのです)。(ここをクリックしてください)。

       

 そもそも、この「三本柱」の機能は、高齢者と呼ばれる年代の入り口の60代にもなると大幅に衰えてきて、70代ではピーク時の20代に比べて半分程度にまで衰えてきているのです。80代、90代と年をとるにつれて、更に低空飛行になっていきます。「意欲、注意集中力及び注意分配力」いう前頭葉の「三本柱」の機能には、加齢とともに働きが衰えていくという性質があるのです(「正常老化」)。(ここを「クリック」してください)。

 加齢とともに衰えつつある「前頭葉」の諸機能を、正常レベルに保ち続ける(「正常老化」のカーブを維持する)上で極めて重要なことがあります。それは、日々どのような「テーマ」の、どのような実行の仕方によって、「脳をしっかりと使う機会をどのように確保するのか」と言うことなのです。「薬」も、「サプリメント」も、「食事」も、全く関係ないのです。もしも効果があると言う人(機関や企業)がいたら、その人(機関や企業)は、「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズムを理解していない人(機関や企業)なのです。

 その意味で老婆心ながら提言すると、「仕事一筋」の生き方、「左脳偏重」の生活習慣を疑うこともなく、社会的な規範として抵抗もなく受け入れて第一の人生を送ってきた人達は、特に大きなリスクを抱えていることになるのです。こうした生き方をしてきた(価値観に支えられて第一の人生を送ってきた)人達は、「第二の人生」に入っていくと、「仕事」以外のことには価値を見出し難いのです。第一の人生での体験が少ないことも一因なのですが、「趣味とか遊びとか運動」とかに価値がおけなくて、「熱中」することが出来ないのです。年をとった自分がそうしたことに「熱中」することに評価がおけないし、恥ずかしいことと考える人達も少なくないのです。「若い者が働いているのに、年寄りが遊んでなんかいられない」等と公言するのです。その上、日本人は、相互に家に呼びあうような「密な人づきあい」は余りしないのです。(ここをクリックしてください)。

      

 うした価値観を変えることが出来ない人達は、第二の人生が始まり、生きていく上での「生きがい」や「喜び」や「目標」を与えてくれていた「仕事」がなくなったとき、「仕事以外のテーマ」をどのように設定して、どのように「脳を使う場」を持って、毎日を過ごしたらいいのかが分からないのです。「生き甲斐」や「喜び」や「感動」を与えてくれるものもなく、「目標」となるようなものもなく、あり余る時間をもてあますことになることが多いのです。

 生き甲斐や目標もなく、趣味や遊びや人付きあいもなく、運動もしない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を送っていると言うことは、脳の機能面から言うと、「前頭葉」の機能の中でも最も基本的で不可欠な機能であり、「認知度」(認知機能を発揮する度合い)を左右し下支えする働きをしている「三本柱」の出番が極端に少ない生活を送っているということになるのです。言い換えると、もともと加齢により機能が衰えていく性質を持っている三本柱の働きが、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を送っている中で、脚の筋肉と同じように、廃用性の機能低下」を起こしてくることになるのです。「認知機能」を発揮する上での二重構造(「層構造」)のメカニズムが働く結果として、「三本柱」の機能が廃用性の機能低下」を起こしてくるにつれて、理解、考察、発想、創意、企画、計画、観察、分析、洞察、推理、予見、シミュレーション、抑制、工夫、修正、機転、興味、創造、感動、判断及び決断等の「前頭葉」の認知機能の働き具合も連動して衰えていくのです。ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続するもとで、前頭葉を含む脳の機能が廃用性の機能低下を起こしていくとき、私たちがこれまでに集積してきた「脳機能データ」によると、加速度的に全体としての機能が衰えていくのです。このことについて、前頭葉の「三本柱」以外のそれらの認知機能の衰え方についての直接のデータとしての蓄積がないので、推測(仮説)の域を出ないのですが、そもそもそれらの個々の認知機能自体にも、「加齢に伴う正常な老化」の性質があり、且つ、使われる機会が極端に少ない生活が継続するもとでの、廃用性の機能低下という性質があるのではないかと考えているのです。個々の認知機能がもっている「二面の性質」と上述する「二重構造」との問題が相互に作用することにより、それらの「相乗効果」として、私たちが集積してきたデータが示す「加速度的な機能低下」が起きてきているのではないかと考えているのです。

       

  そこで、いよいよ「脳の使い方」の主題に入りたいと思います。「脳を使う」ということは、意識的に何かの「テーマ」を実行するということなのです。ところで、脳を使うってどういう「テーマ」を実行することだとあなたは思っているのですか。「勉強」することですか?「仕事」をすることですか?「遊ぶ」ことは、どうですか?「趣味や人付き合い」を楽しむことは、どうですか?「散歩」をするのは、どうですか?

 「勉強」するということは、「左脳」を主に使うことになります。「左脳」は、言葉、論理、計算、場合分け等の「デジタルな情報の処理」を担当しているからです。「仕事」をすることが脳を使うことですか?「仕事」も「勉強」と同じく、「左脳」を主に使うことになります。「遊ぶ」ことや「趣味や人付き合い」を楽しむことは、「右脳」を主に使うことになります。「右脳」は、色や形や音や時間や空間、感情等の「アナログな情報の処理」を担当しているからです。「散歩」をすることは、「運動の脳」を使うことになります。「運動の脳」は、身体を動かす働きを担当しているからです。

  ここで忘れてならないことは、脳全体の司令塔の「前頭葉」のことなのです。「左脳」が「デジタルな情報の処理」を実行するときも、「右脳」が「アナログな情報の処理」を実行するときも、「運動の脳」が「身体を動かす」ときも、三頭立ての馬車(左脳、右脳、運動の脳の三頭の馬)の御者の役割をしている「前頭葉」の指示なしには、勝手には動かない仕組みになっているからです。三頭の馬のどれかが動くときには、必ず「前頭葉」からの指示があるのです。言い換えると、「前頭葉」自体(三頭の馬を主導しつつ、同時に協働して)働くというのが、「意識的な行為」下で人間の脳が働くときのメカニズムなのです。三頭立ての馬車のいづれかの「馬」が働く場面があるということは、不可分的に「前頭葉」の働く場面があるということになるのです。

        

 「アルツハイマー型認知症」を予防する方法とは、日常生活のいろんな場面で、「前頭葉」を含む脳全体をしっかり使ってやることなのです。「趣味」や「遊び」や「人づきあい」や「運動」或いは「社会活動」等を自分なりのやり方で「楽しむ」生活「習慣」化することに尽きるのです。自分なりの目標」「喜び」生き甲斐」がある生活を送ることで、「前頭葉」の出番を増やしてやる(しっかり使ってやる)ことしか方法はないと言うのが、データと実践に裏付けられた私達の考えなのです。

 第二の人生を、ボケとは無縁で自分らしくいきいきと生きるために不可欠な「生活習慣」を打ち立てるための「大原則」。「左脳」中心、仕事偏重だった第一の人生とは生き方を変え、第二の人生では、「右脳」重視の生き方への転換を図り、周囲の目を気にせず、自分らしさが前面に出るような生き方をして、自分がイキイキしていると感じられる脳の使い方(「生活習慣」)を毎日の生活の中に打ち立てることが必要不可欠の条件となるのです。(ここを「クリック」してください)。

      

 やることが楽しくて、「意欲」が自然と湧いて来て、熱中できるようなテーマ、「注意を集中」したり「注意を分配」(複数の異なったテーマを同時並行して実行する前頭葉の機能 )したりすることができるだけ多い「テーマ」に取り組む中で、自分らしい「生き方」、自分らしい「生活の楽しみ方」を追及し、そうした暮らし方(「生活の仕方」)が「生活習慣化」するよう、意識的に努力して欲しいのです。

○ 熱中し、夢中になれる趣味や遊びをできるだけたくさん持つ

○ たくさんの友達とできるだけ親しく交わる

○ 自分なりの生き甲斐や喜び、目標となるものを見つける

○ 精神的な張りと適度に緊張感のある毎日を過ごす

○ 散歩程度でも良いから、運動する機会を出来るだけ多く持つ

       

(コーヒー・ブレイク)今日でちょうど60回目となりました。東日本大震災の被災地のお年寄り達に必ず起きてくる「アルツハイマー型認知症」の発病の問題、専門家達もマスコミ関係者も予想さえしなかった割合、且つ大規模な発病を世の中に知らせることが目的で、3月からこのブログを書き始めました。(ここをクリックしてください)。

 これだけ大量の発病者がいながら、世界中の専門家たちの間で「原因不明で治らない」病気とされている「アルツハイマー型認知症」に対する私たちの考えを体系的に示すことと研究者や医師や自治体の保健師さん達に問題提起するために、表現がやや難しくなり、専門的な内容も増えてしまいました。おまけに、文章も長く、読みづらかったことと思います。次回からは、できるだけ優しい表現で、一般の方たちに読みやすい内容と表現とを心がけたいと思っています。

 注)本著作物(このブログA-60に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

  エイジングライフ研究所のHPここをクリックしてください)

  脳機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)

 

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アルツハイマー型認知症の原因と治療法(治療薬) Q/A Room(A-59)

2012-09-13 | 認知症に対する正しい知識のQ&A

Q: 私は60歳になったばかりだというのに、67歳になる「アルツハイマー型認知症」の夫を抱えて自宅で介護をしています。認知症とはいえ夫は身体が丈夫なので、ちょっと目を離すと家の外に出て行き、そのまま徘徊してしまうのです。おまけに、昼夜の区別もつかないらしく、夜中にも何処かへ出かけようとすることがあります。私には、趣味や交友を楽しむ自由な時間は全くなく、介護に追われるだけの毎日です。

 「アルツハイマー型認知症」の新薬が3種類も出て来るというので期待したのですが、それもつかの間のことでした。出てきたのは「治療薬」ではなくて、これまでの薬と同様に、症状の進行を遅らせる効果が期待できる可能性がある程度のものでしかないことがわかりました。私たち庶民には費用が高いので、病院にも施設にも預けることが出来ません。このままでは、私自身がまいってしまいそうです。

        

A:        雨降って、

              転ぶと!

                  ボケが忍び寄る。

(撰者 松尾芭蕉布の講評) 足元がおぼつかない高齢のお年寄りが、雨が降って、何かの弾みに滑って転んで、複雑骨折をして、何カ月間か病院のベッドに伏せったままでいると、二つの問題を抱えることになります。1つは身体の問題で、脚の筋肉が廃用性の委縮を起こして歩行が困難になるのです。他の1つは脳の問題で、「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)が廃用性の機能低下を起こしてきて、認知症の症状(「小ボケ」の症状)が出てくることがよくあるのです。「アルツハイマー型認知症」発症のケースです。

 「老人斑」ができたせいでも、「神経原線維変化」が起きてきたせいでもないのです。転んで、複雑骨折したことが「キッカケ」となって、何か月も病院のベッドに伏せったままで、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が続き「前頭葉」の出番が極端に少ない日々を過ごしているうちに、「前頭葉」が老化を加速させ、機能が異常なレベルに衰えてきたせいなのです廃用性の機能低下」。(ここを「クリック」してください)。

 ところで、認知症にも種類がたくさんあるのをご存知でしょうか。その中でも大多数90%以上を占めているのが「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症です。ところが、「アルツハイマー型認知症」は、未だに発病の原因がわからないとされているのです。発病の原因については、老人斑を形成させるアミロイドベータが犯人とする「アミロイドベータ説」と神経原線維変化を起こさせるタウ蛋白が犯人とする「タウ蛋白説」とが足元が揺らぎながらも今のところ生き残っています。アミロイドベータやタウ蛋白の作用により神経細胞が侵され脱落していくという「仮説」なのです。「アルツハイマー型認知症」の場合は、「神経細胞」が脱落していくことにより、脳内での情報のやり取りに支障が起きてきて「記憶」に関わる脳の機能が重度に障害されると同時に、失語や失行や失認などの重い認知障害の症状が出てくること、この二つの要件の充足が確認されるという考え方のようです。

       

 「アルツハイマー型認知症」の末期段階の症状(「重度認知症」のレベル)を何年間も呈していたお年寄りの解剖所見を基礎とする「仮説」に基づいて、「アルツハイマー型認知症」の診断基準が構築され、世界で最も権威があるとされる米国精神医学会の診断基準である「DSM-4」の規定にみられるように、「記憶障害」が診断の最も重要な(第一の要件)とされているのです。それを前提に、「失語」や「失行」や「失認」などの「重い症状」が認められることが(第二の要件)とされています。但し、この二つの要件を充足すると、「セルフケア」に支障が出て来るレベルになるので、日常生活に「介助」が不可欠になります(私たちの区分で言う「重度認知症」の段階であり、回復は困難)。(ここを「クリック」してください)。

 注意すべきは、(第二の要件)の一番最後に、(失語、失行、失認又は実行機能の障害と言う位置づけで)「実行機能の障害」が挙げられている点です。「実行機能」とは、脳全体の司令塔である「前頭葉の機能」のことです。「アルツハイマー型認知症」の場合は、「前頭葉」の機能が最初に異常なレベルに衰えていくことで、「前頭葉の機能障害の症状」が最初に発現してくることが見逃されている(或いは、そのことを理解していない)のです。

 「記憶の障害」の問題ではなくて、「前頭葉の諸機能」の障害すなわち、色々な認知機能を発揮する上での基礎となる三本柱の意欲、注意集中及び注意分配機能の障害並びに発想、企画、構成、計画、観察、分析、理解、把握、考察、洞察、推理、予見、シミュレーション、抑制、忍耐、創意、工夫、修正、機転、関心、興味、創造、感動、判断及び決断等の機能の障害、更にそれらに加えて最終的な実行内容を選択する上で不可欠な機能である「評価の物差し」としての評価機能の障害という「各種の前頭葉機能の障害」のアウトプットによる「症状」最初に発現してくることを見落としているのです(この最初の段階が回復容易な「軽度認知症」であり、この段階では、記憶の障害に起因する症状は全く認められないのです)。(ここを「クリック」してください

      

 「アルツハイマー型認知症」の場合は、最初に「前頭葉の機能」だけが異常なレベルに衰えてくるのです(「軽度認知症」の段階)。最初の「軽度認知症」(小ボケ)の段階では、「社会生活面」に種々の支障が起きてくるようになります。次いで「高次機能」も異常なレベルに入ってくる「中等度認知症」(中ボケ)の段階では、「家庭生活面」にも支障が起きてくるようになります。最後の末期段階の「重度認知症」(大ボケ)の段階になると、「セルフケアの面」にも支障が起きてきて、日常生活に介助が必要になるのです。ここを「クリック」してください)。

      

 (kinukototadao からの説明) このブログで何度も指摘してきたように、最初の段階、脳の司令塔の「前頭葉」の働きだけが異常なレベルに衰えてきて、左脳も右脳も運動の脳も未だ働きが正常なレベルにある段階で発現してくる症状は、「アルツハイマー型認知症」の症状なのです。認知症の専門家たちの間で「不活発病」とか「軽度認知障害」等の名前で呼ばれていて、何等の注意の換気も対策も施されないで放置されているだけなのです。ところがこの段階(「軽度認知症」)が3年も続くと、私達の区分で言う「中等度認知症」(中ボケ)の段階に進んでしまうのです。そのことに「米国精神医学会」でさえ気づいていないということなのです。(ここを「クリック」してください)。

 「重度の記憶障害」の症状が出ていて、且つ「失語」とか「失行」とか「失認」とかの末期段階に見られる症状が出てくる「重度認知症」(大ボケ)の段階になって初めて認知症と診断(DSMー4」の診断基準)していたのでは「遅すぎる」のです。せっかく見つけても「アルツハイマー型認知症は、原因も分からないし、治らない」病気にされてしまうのです。「軽度認知症」(小ボケ)は回復容易で、「中等度認知症」(中ボケ)は回復可能で、「重度認知症」(大ボケ)になると回復は困難になるのです。

        

 「アルツハイマー型認知症」の場合は、「前頭葉」を含む脳の機能の衰え方にリンクして、脳の機能レベルが「症状」として発現してくるのです。アミロイドベータ説やタウ蛋白説を唱える人達が言うように、神経線維の脱落による脳内での「情報の連絡」の不具合が、「記憶障害」を中核として「アルツハイマー型認知症」の症状を発現してくる訳ではないのです。そもそも、外観から目に付きやすい「記憶障害」の症状が「アルツハイマー型認知症」診断の第一の要件であるとの誤解が、発病のメカニズムに気づかない、或いは気づくことから遠ざけている根本の問題なのです。第一の要件は、記憶障害ではなくて、(廃用性の加速度的で異常な機能低下に起因する)「前頭葉」の機能障害なのです。

「記憶障害」をメインターゲットとすることが誤りであることについて、 分かりやすい例で説明しましょう。自転車のチューブに空気を入れる「空気ポンプ」という機器があります。「アルツハイマー型認知症」は、空気をチューブに運ぶ紐状のゴム管の部分(脳で言えば、情報を伝達する神経線維)に支障が起きてくることが症状発現の原因だというのが、アミロイドベータ説やタウ蛋白説の考え方です。この考えに立脚しているので、ゴム管を繕って空気が漏れる量を少しでも抑える効果を期待できるとされているのが現在販売されている4種類の薬ということなのです(治療薬ではなくて、「症状」の進行を遅らせる効果を狙うだけのもの)

       

 私達は(廃用性の機能低下説)、ゴム管の部分に支障があるからではなくて、ポンプを押して空気を押し出してやる部分(脳で言えば、情報を処理・発信してやる前頭葉等の機能)に支障が起きてきて(「廃用性の機能低下」)、脳が正常に働かなくなったことが「症状」発現の原因だと考えているのです(私達が集積してきたデータは、前頭葉を含む脳全体の機能レベルのアウトプットが症状だということを示している)。いくらゴム管を繕っても(神経細胞の修復)、そもそもポンプを押す作業をしない限り(脳の機能がちゃんと働かないのでは)、空気は流れない(情報の処理も発信もない)のです。

 ところで、アミロイドベータ説やタウ蛋白説の考え方の人達が開発を目指している「アルツハイマー型認知症」の「治療薬」とは、異常なレベルに機能が衰えている「前頭葉」を含む脳の機能レベルを、飲むだけで(貼るだけで)、正常なレベルに引き戻すことが出来る薬と言うことになります。

       

 意識的な行為の世界をコントロールしている、脳全体の司令塔の前頭葉の機能とそのメカニズムから考えたとき、そのような効能を持った薬が開発できるとは考えられない(あり得ない)のです。「重度認知症」(大ボケ)のお年寄りを抱えて介護に追われる家族の精神的、経済的負担は筆舌に尽くし難いほど大きいので、治療効果がある新薬への期待はとても大きいのです。とわ言え、そこに現実の市場は存在しないのです。治療薬の開発は、非現実だからです。

 飲むだけで(貼るだけで)正常レベルに回復させることがあたかも可能であるかのような「新薬開発」の言葉がマスコミの記事で踊る度に、市町村による「予防」活動への取り組みが遠のいていくことになるのです。日本全体での高齢化率が30%を超えた時、取り返しのつかない状態がくるのです。予防は、啓蒙活動だけでは足りないからです。早期診断の窓口と小規模単位集落ごとの「地域予防活動」の実践とが不可欠だからです。(ここを「クリック」してください)

       

 「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズムは、「前頭葉」を含む脳の「廃用性の機能低下」により異常なレベルに働きが衰えてくる結果として、「症状」が発現してくる(脳の機能レベルのアウトプットが症状)ということなのです。従って、「アルツハイマー型認知症」を治療する方法とは、衰えた脳の働きを正常なレベルに引き戻すことなのです。その為には、日常生活のいろんな場面で、「前頭葉」の出番が増えるようなテーマ、「趣味」や「遊び」や「人づきあい」や「運動」或いは「社会活動」等を自分なりのやり方で楽しみ「生活習慣」化すること、自分なりの目標生き甲斐がある生活を送ることで、「前頭葉」の出番を増やしてやる(しっかり使ってやる)ことしか方法はないと言うのが、データと実践に裏付けられた私達の考えなのです。但し、「重度認知症」の段階にまで脳の機能が衰えてしまったら、使おうとすることさえしなくなり、その先にはできなくなるのです(回復させることは、もはや期待できなくなる)。

(コーヒー・ブレイク) 繰り返しになりますが、 「アルツハイマー型認知症」の各段階(小ボケ、中ボケ、大ボケ)で発現してくる個別の「症状」は、「廃用性の機能低下」というメカニズムにより、そこまで衰えた「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルの単なるアウト・プットに過ぎないのです。アミロイド・ベータやタウ蛋白による神経線維の脱落が原因で「症状」が発現している訳ではないのです。

注)本著作物(このブログA-59に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

   エイジングライフ研究所のHPここをクリックしてください)

 脳機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)


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アルツハイマー型認知症の発病と単調な「生活習慣」 Q/A Room(Aー58)

2012-09-06 | 脳を活性化する生活習慣を考える

Q:認知症の大多数90%以上を占めている「アルツハイマー型認知症」は、発症させる犯人をアセチルコリンとする説、アミロイドベータとする説、タウ蛋白とする説等の種々の学説が唱えられてきました。それらの学説は、「原因と因果関係」及び「発病のメカニズム」を説明できないまま、うたかたのように出ては消えるのを繰り返してきました。「アルツハイマー型認知症」は結局、認知症の専門家たちの間で「原因も分からないし、治すことも出来ない病気」とされて、なす術もなく(見つけるだけで、何等の治療や予防対策も行われないまま)放置されているのです。

他方で、脳をどのように使うのかと言う視点からの日々の生き方が発病や回復を左右する「生活習慣病」であるとする説が、次第に有力視されてきているようです。被災から1年半という僅かな期間しか経過していないにもかかわらず、東日本大震災の被災地に於ける異常な規模での「アルツハイマー型認知症」の発現しかも、高齢のお年寄りだけが対象となっているの報道等を見ていると、この説の正しさが疫学的に証明されているのかなとも思うのですが。(ここを「クリック」してください

       

A:      あれもこれも!

             ナイナイ尽くしで

                  出番が少ない脳は、老化を加速する。

撰者 藤原定価の講評)これまで「生活習慣」と言うと、世界的に、「身体の健康」と言う視点だけの側面が取り上げられてきました。日本でも、市町村の保健師さん達が中心となり、「食生活」や「運動」に配慮した健康な生活をテーマとして、「身体の健康」に焦点を合わせた指導をしてきた結果、世界に先駆けて「超高齢化社会」を作り上げることが出来たのです。誰でもが、80歳や90歳まで生きる「長寿社会」を実現できたのです。

 ところが「長寿社会」が実現された裏腹の現象として、人生60年と言われていた時代には問題とならなかった認知症の問題、中でも、認知症の大多数を占める「アルツハイマー型認知症」を発病するお年寄りの数がどんどん増え続けてきて、大きな「社会問題」となってきたのです。厚生労働省の見通しでは、この先さらに高齢化が全国的に進行していく中で、同時進行的に「アルツハイマー型認知症」を発病する「お年寄り」の数も増え続けて行くと予測されています。回復困難な末期段階の「重度認知症」(大ボケ)で見つけるだけで何の対策も打たないで(早期発見による「回復」も、「予防対策」もしないで)増え続けるままに放置していると、「介護保険制度」の維持さえ困難になってくる程の規模なのです。(ここを「クリック」してください

 誰でもが80歳や90歳まで生きるのが当たり前の長寿社会、第二の人生が20年も30年もある「超高齢化社会」では、「脳の健康」と言う視点、言い換えると脳の使い方と言う視点からの「生活習慣」が極めて重要なテーマとなるのです。世間で認知症の専門家と言われる人達から、「原因も分からないし、治すこともできない病気」と言われてきた「アルツハイマー型認知症」と言う病気は、脳の使い方としての「生活習慣」が「発病」を左右し且つ「回復」を左右する「生活習慣病」だからです。

       

 生き甲斐となるものもなく、楽しめる趣味もなく、熱中している遊びもなく、これといった交友もなく、身体を動かすことにも興味がなく、目標として掲げるものも何一つない、言わば「ナイナイ尽くしの」単調な生活そうした日々の生活振りが、どうやら第二の人生でのあなたの「生活習慣」のようですね。

 時間はたっぷりあるのにすることがない毎日、ただぼんやりと暮らすだけの「単調な生活」が日々繰り返されていて、そうした日々の脳の使い方が継続している生活だと言うのですね。そんな毎日を過ごしていたのでは、使われる機会が極端に少なくなった「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)が居眠りをして、「前頭葉」の「老化」が日々加速していくことになるのです。「高齢者」の皆さんが、日常生活面で体験していて分かり易い例で言えば、「脚」の筋肉の「廃用性萎縮」による機能低下、あれと同じことがの司令塔の「前頭葉」で起きてくるのです。

 ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続する中で、「前頭葉」が日々老化を加速させていって、廃用性の加速度的な機能低下(使われる機会が極端に少ないことによって、機能が異常なレベルに加速度的に衰えて行くことを起こしてくるその先にあなたを待っているのが、高齢者のあなたやあなたの周りの家族が一番恐れている、あの「アルツハイマー型認知症」という病気なのです。あなたの住んでいる市町村(或いは、住んでいる地域)の高齢化率が30%をすでに超えているなら、あなたの周りに、「アルツハイマー型認知症」のお年寄りの姿を日常的に見かけるようになっているはずです。「身体はもつのに、脳がもたない」、これが世界に先駆けて「超高齢化社会」を実現している我が国が抱える大きな「社会問題」なのです。

          

(kinukototadaoからの説明) 「アルツハイマー型認知症」(老年性アルツハイマー病とも言います)を発病する人達は、30代から50代までの若い年齢で発病する「若年性アルツハイマー病」とは、発病する年齢が全く異なるのです。「アルツハイマー型認知症」を発病する人達は、「第二の人生」に入っている人達、言い換えると高齢者だけが対象となるのです。(ここを「クリック」)。

 然も、「高齢者」と呼ばれる60歳代以降の年齢になってから、「アルツハイマー型認知症」を発病する人達の割合が、年齢が上がるにつれて、60代で12%、70代で30%、80代で50%、90代で75%と、どんどん増加していくのが特長なのです。但し、ここで言う、「アルツハイマー型認知症」を発病している人達とは、回復が容易な「軽度認知症」(小ボケ)のレベル、回復が可能な「中等度認知症」(中ボケ)のレベル、回復が困難な末期段階の「重度認知症」(大ボケ)のレベルの「全ての段階の人達」を合わせた人数による割合を言っていることに注意してください。

厚生労働省が総数300万人と発表しているのは、「重度認知症」(大ボケ)レベルの人達だけの数であることに注意が必要です。「小ボケ」と「中ボケ」とを合わせた数は、「大ボケ」の数(300万人)の4倍にもなるというのが、私達の集積したデータからの結論です。認知症の専門家である精神科医は、失語失行失認といった「大ボケ」の段階の「症状」が出てこないと「アルツハイマー型認知症」とは診断しません。「小ボケ」も「中ボケ」も共に「大ボケ」の予備軍であるにもかかわらず、「DSM-4」(失語失行失認等の症状を第二の要件と規定している)金科玉条とする誤ちを犯している為に、「小ボケ」は「不活発病」とされて放置され、「中ボケ」は「年のせい」として放置されているのです。私達のデータから推測すると、「小ボケ」と「中ボケ」とを合わせた数は、1200万人にもなるのです。

       

 認知症の大多数90%以上を占める「アルツハイマー型認知症」は、「身体がもつのに脳が持たない」こと及び「何年もかかって、脳の機能の衰えにリンクして、徐々に段階的に症状が進んでいく」ことが特徴なのです。何も対策を講じないまま放置していると、回復容易な「小ボケ」は「中ボケ」に、回復可能な「中ボケ」は「大ボケ」へと、徐々に段階が進んでいくのです。「大ボケ」の段階にまで脳の機能が衰えてしまったら、せっかく見つけても手遅れ、回復は困難になるのです。

「アルツハイマー型認知症」の各段階(小ボケ、中ボケ、大ボケ)で発現してくる個別の「症状」は、使われる機会が極端に少なくなった為に急速に衰えてきた(廃用性の加速度的な機能低下)「前頭葉」を含む脳全体の機能レベル(各段階における脳の働き具合)のアウト・プットに過ぎないのです。アミロイド・ベータやタウ蛋白による神経線維の脱落が発病の原因ではないのです。「老人班」や「神経原線維変化」は、末期の段階の「重度認知症」のレベルを何年間も患ったままでいた為に生じてきた結果(副産物)であって、発病の原因ではないのです。認知症の専門家たち(研究者や精神科医)は、早くこのことに気づいて欲しいと願うのです。(ここを「クリック」してください)。

        

 「第二の人生」に入っているということは、高齢者と呼ばれる年齢になっているということなので、誰でも、「加齢による前頭葉の老化の問題」を抱えているのです(「第一の要件」)。「社会生活」がそれなりに送れていて、「前頭葉」の働きが正常なレベルにあっても、加齢によって「前頭葉」は機能の老化が進んで行っているのです(正常老化)。ところが、高齢者は誰でも「アルツハイマー型認知症」になるかと言うとそうではありません。70代のお年寄りの30%が「アルツハイマー型認知症」になるのに対して、80代のお年寄りの50%は「アルツハイマー型認知症」にならないで「社会生活」を送っているのです。

 「アルツハイマー型認知症」になるかならないか、その差はどこからくるのでしょうか。「脳の使い方」と言う視点からの日々の生活振り、「生活習慣」に大きな差異があるのです。「アルツハイマー型認知症」を発病するお年寄りは、カクシャク老人と呼ばれる人達の日々の生活振りとは対照的な生活振りを送っているのが特徴なのです。一言で言えば、「時間はたっぷりあるのに、することがない毎日」、ただボンヤリと暮らすだけの「単調な生活」を日々送っている(「第二の要件」)のが特徴なのです

「アルツハイマー型認知症」を発病するお年よりは、毎日の脳の使い方という「生活習慣」自体に問題があるのです。脳の使い方は、言い換えれば、脳全体の司令塔である「前頭葉」の使い方でもあるのです。「アルツハイマー型認知症」になるか、ならないか、その差は、毎日の「前頭葉の使い方の差」にあるのです。ナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続が、脳全体の司令塔である「前頭葉」の機能の加速度的な老化の進行と機能の異常なレベルへの低下を惹き起こしてくるのです。ここを「クリック」)。

 注)本著作物(このブログA-58に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

 エイジングライフ研究所のHPここをクリックしてください)

 脳機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)

 

      

 

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