認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

アルツハイマー型認知症の回復可能な本当の意味での早期の段階(C-16)

2018-10-01 | 定年後の第二の人生をどう生きるか

 

&1 医師達が見つけている段階が『遅すぎる』だけ

認知症の診断が専門の医師に言いたいのです。『様々な種類が数有る認知症の内の90%以上を占めている上に、認知症専門の研究者達から「治すことが出来ない」とされている「アルツハイマー型認知症」は、性質それ自体として治すことが出来ないタイプの認知症ではないのです。治すことが出来ないのは、医師が見つけている段階が遅すぎるだけ』なのです。米国精神医学会が策定した診断基準である『DSM4』の内容を鵜呑みにしていて、その「第二要件」が規定する失語失認又は失行の症状を確認して初めて、「アルツハイマー型認知症」の発病だと診断しているからなのです。私たちの『脳機能データ』によると、「第二の要件」が確認を要求している失語や失認や失行の症状は、30点が満点のMMSEの得点が一桁になるまでに、「前頭葉」を含む脳全体の機能が廃用性加速度的異常な機能低下をそこまで進行させてきた「お年寄り」だけに確認される症状、言い換えると、『極めて重度の症状』なのです。私たちの区分で言う「末期の段階」である『大ボケ』の段階(MMSEの得点が換算値で14点以下0点迄の範囲)の、更に後半の段階になって初めて発現が確認される症状なのです。内容的には重大な誤りであり、権威だけが世界的でしかない『DSM-4』の規定に医師も学者も、研究者も毒され、幻惑されているのです。世の為、人の為にも、出来るだけ早く目を醒まして、誤りに気づいて欲しいと切に願うのです。

「アルツハイマー型認知症」の症状には、失語や失認や失行の症状よりもっと軽い段階の症状、私たちの区分で言う『小ボケ』及び『中ボケ』の段階の症状があり、加えて、本当の意味での早期の段階である小ボケ及び中ボケの段階で見つけて、『脳のリハビリ』(「前頭葉」を含む脳全体が活性化する生活習慣脳の使い方としての生活習慣の改善)を実施することにより、症状を治すことが出来るのです(「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルを正常なレベルに引き戻すことが出来、且つ、そのことにより、「アルツハイマー型認知症」の症状が消滅する)。『DSM-4』の規定の誤りに気付かないでいて、或いは、金科玉条として敬い、極めて末期の症状を基準に発病と診断しているが為に『「アルツハイマー型認知症」は、治すことが出来ないと思い込んでいる』、誤解しているだけなのです。世の中に与える影響が極めて大きいので、早く覚醒して、早期診断による回復及び発病の予防という世界に目を転じて頂きたいのです。

&2 「小ボケ」の段階の症状を代表する8項目

私たちが主張する「小ボケ」の段階の症状は、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルにリンクして、言い換えると、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルの直接の反映(又は、反射)として、発現してくる認知症の症状なのです。このことを、脳の機能面から定義すると、MMSEで判定される左脳及び右脳は正常な機能レベルに在るのに対して、私たちが独自に開発した手技である『かなひろいテスト』で判定される『前頭葉』の機能だけが既に異常な機能レベルに在るのです。ところで、「前頭葉」は、研究自体が遅れていて、未だに深い理解が専門家の間でもなされていないのです。脳の中の空白地帯とか言われて、マウスにも「前頭葉」が備わっていると説明されていたりするのです。『実行機能』という説明がなされている場合でも、その説明は極めて簡単なものでしかないのです。以下は、私たち独自の理解に基づく説明です。

前頭葉』という脳機能は、脳全体の司令塔の役割を担っているのです。分かり易く言うと、左脳右脳及び運動の脳という三頭の馬が牽引する三頭立ての馬車の『御者』が「前頭葉」という脳機能なのです。少し専門的に言うと、私たち人間だけに特有な世界である意識的な世界、意識的に何かのテーマを発想し、実行に移す世界の要である『意識』(意識状態)を創出し、構築し、支配し、管理し、統合し、統括していて、脳全体のコントロールタワーの役割を担っているのが『前頭葉』(「前頭前野」を言う)という脳機能(脳機能部位)なのです。従って、手足の役割でしかない左脳右脳及び運動の脳の全てが正常な機能レベルに在ろうとも、司令塔の「前頭葉」の機能が異常なレベルに在る小ボケの段階の症状は、認知症の症状、「アルツハイマー型認知症」の症状と考えるべきものなのです。『前頭葉』の機能構造、或いは、『意識』(意識状態)について無知な人達は、この重大で核心的な要素及び視点を欠くと言うしかないのです。認知症研究の専門家と自称するのであれば、外観だけを観察し、『不活発病』とかの名前を付けるのでなくて、脳の機能面から分析すべきなのです。

軽度認知症」(小ボケ)の段階に特有で類型的な症状の8項目

発想が乏しくなって、画一的な行動が目立つようになる

同じことを繰り返し話したり、同じことを何度も尋ねたりする

□何事にも億劫で面倒がり、やろうとする意欲が見られない

□一日や一週間の計画が立てられず、何も思いつかない様子

□問いかけに対する反応が遅く、生き生きした笑顔が見られない

根気が続かず中途半端な事を繰り返し、やりかけが目立つ

□目の光がどんよりとしていて、普段の顔つきが無表情

□自分に自信がなくなり、何かにつけて人を頼ろうとする

「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルに相当する症状としての『30項目問診表』は、小ボケ、中ボケ、大ボケの各段階ごとに10項目づつを選別してあります(私たちは、回復可能な小ボケ及び中ボケにターゲットを置いているので、大ボケは、回復が困難な段階に入っていることが確認される症状だけにしか関心がないのです。極めて重度の症状である失語や失認や失行の症状を見つけることには関心が無いのです)。

 &3 正常から認知症へと移り変わる接点を解析した

『前頭葉』を含む脳全体の機能が正常な機能レベルに在って、それまでは、「社会生活」面で何等の支障なく第二の人生を送っている「お年寄り」が、徐々にではあるものの、様々な程度及び態様での支障が出てくるようになる状況について、『脳の機能面』から分析するアプローチを行ってきたのです。厚労省が認知症の診断を担う専門の病院として、精神科を持つ大病院だけを『老人性痴呆疾患センター』に認定した為もあり、且つ、専門家達の間で、当時は、「アルツハイマー型認知症」が精神疾患と考えられていたこともあって、精神科が診断を行ったのです。唯一の例外が、浜松医療センター脳外科だったのです。私たちは、脳外科を専門として出発し、脳外科でありながら、途中から、認知症の診断を行うようになっていったのです。それが原因で、日本中から、軽い症状の人達から重い症状の人達までもが、雪崩を打って、訪れてきたのです。診察する患者の数が、他の疾患センターとは、桁が違っていたのです(日本中の患者を極めて多数診断)。特に、他の疾患センターとは根本的に違っていたこと、それは、着眼点が全く異なっていたのです。入院患者のベッドサイドでの観察結果から、私たちは、「前頭葉」の機能の機能障害をもたらす原因に関心を持ち、『脳の機能という物差し』を「アルツハイマー型認知症」の診断に持ち込んだのです。

現状において、脳の後半領域の働きである左脳右脳の働き具合を判定する病院は多い(MMSE又は長谷川式を活用)のですが、私達人間だけに特有な世界である意識的な世界の創出者、構築者、統括者であり、脳全体の司令塔の役割を担っている肝心の『前頭葉』という脳機能の働き具合を精緻に判定することが出来る手技は開発されていないのです(私たちの「かなひろいテスト」が唯一の手技なのです)。分析、理解、判断、発想、計画、修正、選択、決断、抑制、忍耐、感動等、70種類にも及ぶ「前頭葉」の個別認知機能(『実行機能』)の顕在的な機能の発揮度が、私たちが「前頭葉」の三本柱の機能と名付けている意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能に左右され、下支えられている関係、私たちが(実際には、所長が)独自に発見し、『「前頭葉」の個別認知機能発揮上の「二重構造の関係」と名付けている』両者の関係の理解に基づき、意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能レベル(働き具合)を精緻に判定することが出来る手技として開発したのが「かなひろいテスト」なのです(副所長が浜松医療センター脳外科に勤務時、就いていた金子医師と共同して開発。「脳機能データ」を集積し、分析し、標準化)。「前頭葉」の機能レベル、中でも、『注意の分配力』の機能レベルの精緻な判定が、「アルツハイマー型認知症」の発病、様々な程度及び態様により発現してくる個々の症状の理解、更に、「アルツハイマー型認知症」の治療方法としての「脳のリハビリ」の為の「生活習慣」の改善内容の組み立てには不可欠となるのです。器質的な病変やら、記憶の障害やらが「アルツハイマー型認知症」を発病させている核心的な要素であると誤解し、「マウス」を追いかけている人達に、出来るだけ早く上述のメカニズムと要因とに気付いて欲しいのです。

(閑話休題)、脳外科手術の実施後の患者が、社会復帰できる脳の機能レベルに在るか否かを常に考慮し、配慮し、関心を持ち、様々な手技を開発していたことが、「アルツハイマー型認知症」の診断の場面で役立つことになったのです。私たちが着目したことは、極く初期の軽い症状の患者の場合の観察として、『器質的な原因病変が存在していない』こと、『記憶障害の症状が確認されない』こと及び『「注意の分配機能」に支障が起きた症状であることが特徴的』であることだったのです。『DSM-4』の規定や『4つの仮説』が、極めて重度の症状に関心を持ち、出発点としたのとは正反対に、極く初期の段階の軽い症状に関心を持ったのです。脳外科手術が専門であった時期から、外科手術後の『社会復帰』の可能性に関心を持ち、『前頭葉』の働き(特に、「注意の分配力」の機能)に関心を抱き、『脳の機能を判定する物差し』の開発に挑戦してきていたことが、結果的に功を奏したのです。

分析、理解、判断、発想、計画、選択、修正、洞察、推理、シミュレーション等の「前頭葉」の個別認知機能の発揮度が私たちが、「前頭葉」の三本柱の機能と名付ける意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能に左右され、下支えられている関係、私たちが『二重構造の関係』と呼ぶテーマに気づくのは「二段階方式」を「浜松方式」から分離独立させた後のことなのですが、デュアル・タスクという言葉に代表され関心が高まっている「注意の分配力」の廃用性の機能低下、就中、単調な「生活習慣」の継続に起因した廃用性の加速度的で異常な機能低下について重大な要因としての「関心」を持つに至ったのも、浜松方式から分離独立させ『二段階方式』を立ち上げた後のことだったのです【「浜松方式」を医師に広めることを金子医師が目的としたのに対し、私たちは、市町村での展開、特に、保健師さんに使って貰う為に、路線を分けて、金子医師が従来の浜松方式で、私たちが新規に立ち上げる「二段階方式」でという形で、分離独立させ、それぞれの道を歩む為、両者が協議し合意の上で1994年に、別々に独自の道を歩むことにしたのです。但し、元々は同根であるとは言え、その後の「二段階方式」の内容の進化により、現在のレベルは、異次元と言えるほど両者の内容の深さには相違が存在しているのが、実態です。なお、ブログなどで時々見かける「浜松二段階方式」は、後になって、浜松方式が市町村への導入を企図して改名したもので、「二段階方式」とは別物(無関係)です】。

分離独立後(特に、所長の参画が契機となり)、理論の体系化、脳機能データの集積及び市町村での実証が重要視されたのです(そうした観点及び意図から、脳機能データの管理ソフトである「エイジング」を開発した)。「二段階方式」が市町村に導入され実践されるケースが相次ぎ、北海道から九州までの全国規模での導入と実践展開が急速に広まっていったこともあり、保健師さんに実践してもらう為、内容をより深く体系的なものに改訂しつつ、より使い易い物へと変化させていき、実践の手引きとなる『マニュアル』を何度も改訂したのです【「二段階方式」は、所長が著作した、「個別事例判定マニュアルA」(テスト実施と判定及び基礎データ編)、「個別事例判定マニュアルB」(アルツハイマー型認知症の判定とケース事例解説編)及び「個別事例判定マニュアルC」(アルツハイマー型認知症以外の認知症及び認知症と紛らわしい病気の判定とケース事例解説編)の三部から成っています】。従前マニュアルの改定作業の過程で、順次、脳機能データを増やしていき、『前頭葉』の機能構造、『意識』の機能構造、脳の使い方としての生活習慣の継続に起因した『前頭葉』機能の廃用性の機能低下、『MMSE下位項目の項目困難度と衰えていく順番』、「前頭葉」の3本柱の機能と個別認知機能の発揮度に関わる『二重構造の関係』の発見及びその解明へと成功していったのです。これ等のテーマについては、私の考えを過去のグーブログ中で詳しく説明しています。皆さんが興味あるテーマについては、バックナンバーの一覧表で調べて、読んでみてください。『意識』の機能構造については、世界中の誰れも未だに定義できていないのですが、3回に分けて連続して、掲載してあります。それらのテーマの中でも、『注意の分配力』の機能(異なる複数の錯綜する「テーマ」を同時に並行して処理し、或いは、保持する機能)が、「意識的」な世界、「廃用性」の機能低下、更には、脳の「活性化」という「テーマ」を理解する上で、極めて重要なものであることに気づいたのは、「二段階方式」を立ち上げて間もなくでしたが、種々のテーマについての、様々な程度及び態様による関わり方について、深く十分に理解することが出来たのは、最近のことなのです(できればGooブログ中での記載内容の変遷を読んでみてください)。

DNAの98%が同じとされるチンパンジーと私たち人間を区分けるのは、この『注意の分配力』の機能の有無なのです。そもそも、『前頭葉』の個別認知機能が顕在化して実際に働くのは、意欲、注意の集中力の機能は勿論のことなのですが、『注意の分配力』の機能が存在し、働くことが絶対的条件なのです。マウスもチンパンジーも人間も同じ「哺乳類」に属するとの分類がなされているからと言って、そのこととこのこととは別物なのです。チンパンジーにもマウスにも『注意の分配力』の機能は備わってはいない。そこが、キーなのです。我が身が現在置かれている状況を分析し、理解し、判断するにも、その時の状況判断に沿った「テーマ」を発想するにも、発想した「テーマ」の実行内容を企画し、計画するにも、実行した際の結果の洞察、推理、シミュレーションをするにも、シミュレーションの結果に基づいた選択を行って、最終的な実行内容を決定するにも、『注意の分配力』の働き無しには、それらのいずれをも無し得ないこととなるのです。しかも、『加齢』による老化(機能低下)の際にも、さらには、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」の継続に起因した廃用性の機能低下が進行する際にも、この『注意の分配力』の機能が真っ先に衰えを開始していくのです。&8 の「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズムの項で詳述するように、「アルツハイマー型認知症」の発病原因が、一つには加齢に起因した機能低下を要因とし、更には、もう一つ別の要因である脳の使い方としての生活習慣であり、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」の継続に起因した廃用性の機能低下という要因が、異なる二つの要因が同時に存在し充足される条件下で、「前頭葉」を含む脳全体の機能が、廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させていくことが直接の原因であることを突きとめ、「脳機能データ」の解析により理論的に解明し、マニュアルの作成により実務化し、その考えが正しいことを、市町村による住民参加型の「地域予防活動」として疫学的な方法により実証してきたのです(市町村での実践展開による世界初の実証)。私達人間だけに特有な『意識的な世界』及び『「前頭葉」機能の廃用性の機能低下という要因』の理解は、この「注意の分配力」の働き方を理解することが、必要不可欠の条件となるのです(世界初の発見)。

私たち二人は医学部卒でもなく、医師でもなく、門外漢なのですが、「アルツハイマー型認知症」の発病及び症状の重症化が進行するメカニズム、「前頭葉」の機能構造及び廃用性の機能低下のメカニズム、「前頭葉」が活性化するメカニズム、更には、「二重構造」の問題等の発見及び解明、理解及びその判定方法の開発に関しては、世界の先頭を走っていると自負しています。近い将来、『二段階方式』の考え方及び手技が、『世界標準』になると確信してもいるのです。

上掲の小ボケに特有な代表的な症状を見てください。記憶の障害の症状とか、記憶の障害に起因した症状とかは、欠片も確認されないのです。すべてが、意欲、注意の集中力及び注意の分配力の異常な機能低下に起因した症状ばかりなのです。私たちは、「4つの仮説」が発病の原因として、前提とし想定している「記憶障害」という仮定の要素ではなくて、「前頭葉」機能の異常な機能低下を惹き起こすメカニズムを追求したのです。その結果行き着いたのが、脳の使い方としての「生活習慣」、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」の継続に起因した『廃用性の機能低下』に因る【機能障害】という要因だったのです。

第二の人生」を送っている「お年寄り」の誰の脳にも必ず起きてくる性質としての『加齢』に起因した機能の老化という要素に加えて、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものも無いナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」が継続されている『特定のお年寄り』の脳だけに惹き起こされてくる廃用性の機能低下という要素が加重されることにより、「前頭葉」を含む脳全体の機能が廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させていくその先に、「アルツハイマー型認知症」の発病が待っていることを突きとめたのです。AI技術の活用による分析結果として挙げられている「食生活」とは無関係のものであり、脳の使い方としての「生活習慣」が発病するかしないかを区分ける決定的で唯一の要因なのです。脳を養う血管が詰まったり出血を起こしてきたことに起因して発病する脳血管性認知症とは、異なり、単調な生活習慣」の継続に起因して惹き起こされる廃用性の加速度的で異常な機能低下が発病の原因である「アルツハイマー型認知症」の場合は、症状は、徐々に緩やかにしか進行していかないのが特徴でもあるのです。発病の最初の段階、ごく初期の段階を捉えるには、症状らしきものを外観からの観測に基づいて憶測するのではなくて、「前頭葉」の機能、特に、『注意の分配力』の機能レベルを客観的に判定する「手技」が要求されるのです。それを精緻に判定することが出来るのが、『かなひろいテスト』なのです。『小ボケ』の段階を判定するには、PETでも無理なことなのです。医療機関がアルツハイマー型認知症の診断に際してCTやMRIやPETを多用するのは、高額な「売り上げ」を稼ぐ為なのです。

 &4 『注意の分配力』の機能の働きが分かり易い事例

お年寄り』が自動車事故を起こす場合、前頭葉を含む脳全体の機能が正常なレベルに在る場合でも起きるのですが、「アルツハイマー型認知症」を発病して、小ボケや中ボケの段階にある「お年寄り」が起こしている場合が多いのです。日常の会話レベルの内容やテーマであれば、それなりのことを話すので、認知症の診断が専門の医師達も気づいていないのですが、「前頭葉」の機能レベルを「かなひろいテスト」で判定してみれば、容易に分かることなのです(「前頭葉」の機能レベルが異常なレベルに在って、車の走行中に不可欠の機能として要求される、肝心の『注意の分配力』の機能が異常なレベルに在って、的確には働かないことが分かる)。

自動車を運転して、道路を走行するということは、一定の機能レベルでの意欲、注意の集中力の発揮が要求されることは勿論のことなのですが、正常な機能レベルでの『注意の分配力』の機能の発揮が要求されることに、専門家とされる人達が気づいていないのです。「注意の分配力」の機能低下が関わっているらしいとは分かっているのですが、具体的な働き方が分かっていないのです。人や車が常に行き来する道路を車で走行するということは、『注意の分配力』の機能が、「正常な機能レベルに在る」ことが要求されるのです。車を走行しているという状況下では、道路の状況が常に変化し、信号の確認が要求され、人や車の行き来にも十分な注意を払うことが要求され、走行している車の速度の判断と調整が要求され、周りの景色も常に変化しているのです。単に、車を運転するだけで、デュアル・タスクどころか、10を超える異なる「テーマ」に対し「注意を分配」し、且つ、同時に、並行し、重層的に、適切に処理することが要求される。こうした状況に対処できる機能が、『注意の分配力』の機能。

注意の分配力』の機能とは、過去現在及び/又は未来直接及び間接的に関わる『テーマ』であり、異なる複数の錯綜する「テーマについて(浮かんでは消え、更には再復活して来ることもある種々で多岐に亘る)各々の「テーマ」を記銘度の差のままに保持しつつ(或いは、それまで単に保持していただけのテーマを喫緊の課題として意識に顕在化させて来ることもある同時並行して、且つ、重層的処理する(している)脳機能であり、その発揮には、意欲及び注意の集中力の機能が常に関わっている脳機能なのです。上述のように、様々な程度及び態様により形成され保持されている種々の各「テーマ」に対して、配分の度合いが異なる「注意を分配」し、更にその上で、それらの「テーマ」を統合し、統括し及び処理する(している)脳機能なのです。脳(『前頭葉』)の活性化は、デュアル・タスク等の簡単なものではないと御分りでしょうか。

アルツハイマー型認知症」を発病している「小ボケ」や「中ボケ」のお年寄りが自動車を運転して道路を走行すると、どうなるか。『時速30km以下くらいのノロノロ運転で、道路の中央寄りを走り、後ろに長い車の列ができているのにも気づかないで走行する』のです。よく見かける光景なのです。

□服を正しく着られず、ズボンを頭からかぶったり、上着に足を通したりする

□自分の子供を配偶者と間違えたりして、同居の家族の顔も区別出来なくなる

)これらの症状は、アルツハイマー型認知症の末期の段階である大ボケの症状に特有なものなのです。私達が服を着るとき、ズボンであるか、上着であるかを判断し、上着であれば裏表がどちらか、ボタンをかけるタイプかどうか、どのような手順で着ればいいか等を的確に見極めた上で、必要な動作を、適切な手順で的確に行っているのです。状況の分析や理解や判断、必要な動作や手順の選択と組み立て、置かれている状況に応じて行われているこうした判断は、『注意の分配力』の機能が正常に働くことが必要不可欠なのです。『大ボケ』の段階では、廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行により、『注意の分配力』の機能は殆ど働かないのです。上掲の『服を正しく着られず、ズボンを頭からかぶったり、上着に足を通したりする』と言った症状は、「記憶の障害」が原因で服を正しく着ることが出来ない訳ではない。

自分の目の前にある上着とはどういうものであり、どのようにして、どのような手順で着るものなのかを忘れたが為に着ることが出来ない訳ではない。右脳及び運動の脳に器質的な原因が起きている訳でもないのです。「前頭葉」の三本柱の機能の中でも最も高度な機能であり最も早く衰えて行く機能である「注意の分配力」の機能が、廃用性の加速度的で異常な機能低下により、殆ど機能しないまでに機能低下してきていることが直接及び核心の原因で、加えて、左脳、右脳及び運動の脳までもが廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させてきたことが直接の原因で、服を正しく着ることが出来ないだけ。『家族の顔が分からなくなり、子供を配偶者と間違えたりする』という症状も同じこと。「子供を配偶者と間違える」のは、記憶障害に起因した症状なのではなくて、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルを反映しただけのもの。『注意の分配力』の機能の加速度的で異常な機能低下の進行により極めて異常なレベルに機能が低下してきているせいだということに、「アルツハイマー型認知症」研究の専門家とされる人達が、早く気付いて欲しいのです。

私達の日常の生活場面では、複雑なテーマでなくても、その遂行においては、『注意の分配力』の機能が関わっていることが殆どなのです。「注意の分配力」の機能が高度に抑制されて、特定の「テーマ」一点に対して、注意が集中されている状況の方が特殊な場面と言えるのです。言い換えると、特別その気にならないで普通の状態にしていれば、『注意の分配力』の機能が働いている状態が確保されるようになっているのです。私達人間だけが、進化の過程で獲得した特別の脳機能。それが、注意の分配力の機能ということなのです。最近注目を集めるようになったデュアル・タスク(二つの異なった「テーマ」を同時に並行して行うことにより、『注意の分配力』の機能を使うことで、脳が活性化されるとする考え)等の主張は、『注意の分配力』の機能についての理解が、不十分な人達の主張に過ぎないのです。私たち人間の場合には、あらゆる場面で常に『注意の分配力』の機能が働くような仕組みが、進化の過程で備わってきているのです。日常的に経験していることですが、「注意の分配力」の機能が働くのを抑えて、一点に集中することの方がよほど難しいのです。

「加齢」とともに頻度が増してくる性質のものである物忘れの症状は、第一に、「前頭葉」の三本柱の機能である意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能の『加齢』に伴う機能低下により、その分「記銘」する力が弱くなり、「想起」する力が弱くなることに影響されることに加えて第二に、記銘時に『注意の分配力』の機能が働くことを抑制する力も弱くなること(或る意味、「注意の分配力」の機能が記銘時に構造的に働き過ぎること)が関わっているのです。心に気にかかる心配事があり、何時もそのことが心の動きの大半を占めている状態下で、ふと用事を思いついて、階段を上って二階の部屋に向かうのです。目的とする二階の部屋に行きついた時、何をする為にその部屋に上って来たのかを想い出せないことがあるのです。『注意の分配力』の分配について、心配事に注意の大半が注がれている状況下で、一部が『用事の処理』に分配された為、ふと思いついた用事の内容についての「記銘度」が低かったのです。注意の分配力の機能が働こうとするのを抑制して、思いついた用事に気持ちを集中させて、気になる心配ごとを心の内から消し去ってから、二階の部屋に上っていけば、そのようなことは起きなかったということなのです。部屋の掃き掃除をしていようと、夕ご飯の支度をしていようと、或いは、車の運転をしていようと、『注意の分配力』の機能が構造的に働こうとするので、「注意の分配力」の機能の働きに対して特段に抑制をかけている場合を除いて、『一点に集中して事の処理を行えている』ということは基本的には無いことなのです。

常に、何事か異なる複数の、更には、錯綜したいくつかの「テーマ」に注意が分配されているものなのです。『注意の分配力』という機能の働き方はそういうものなのです。上記視点を参考にして、皆さんの、日常の生活を振り返ってみれば、容易に、理解して頂けることと思うのです。チンパンジーがあの程度に留まっていて、人間がここまで文明を進歩させてきた分岐点は、言葉の発明とか道具の利用とかもさることながら、それ等のすべての基本に、私たち人間だけに、『注意の分配力』の機能の獲得があったということなのです。「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズム及び症状が重症化するメカニズムの理解、更には、前頭葉が活性化する「生活習慣」の構築というテーマについても、この『注意の分配力』という機能についての深い理解が不可欠となるのです。

)「DSM4」の規定が「第二の要件」で確認を要求している失語失認又は失行の症状も、『服を正しく着ることが出来ない』症状の事例で説明したのと全く同じメカニズムの下で発現してくるものなのであり、『「記憶障害」に起因して、それらの症状が発現してきている』との考え方自体が、『重大な誤り』と言うべきものなのです。どれほどの立派で権威ある人たちが多数集まって策定したものであろうとも、『DSM-4』の規定内容は、『第一の要件』も『第二の要件』も共に、重大な誤りであるというべきなのです。この規定に絶大な権威が有るが為、極めて重度の症状が発現しないと、「アルツハイマー型認知症」の発病とは認められない為、『治せない』ものとの誤解が世界中に浸透してしまっているだけなのです。

 &5 参考までに、中ボケの代表的な症状を例示しておきます

☆「中等度認知症」(中ボケ)に特有で典型的な症状8項目

□簡単な計算さえもしなくなり、お札ばかりで買い物をして、やたらと小銭がたまる

□家庭内の簡単な用事程度のこともきちんと出来ない(部屋や洗濯物の整理、食後の片付け、簡単な庭仕事さえもきちんと出来ない)

□自分が飲む2~3種類の服薬管理が出来ない

□服の着方に無頓着で、重ね着が目立つ(セーターの上からシャツを着る。裏表や前後ろに着る)

□入浴時温度管理が出来ず、身体を洗わないとか石鹸がついたまま

□料理の味付けが変になる(塩加減が極端に変になる。塩辛すぎて、周りが食べられないようなものを作り、本人だけが平気で食べる)

□行き慣れている所に行くのに、スムーズに行けない(行き先の違う乗り物に乗ったり、行き道を間違えたりする)

□季節が分からなくなる(夏にセーターなど、季節違いの服を平気で着る)

上記「小ボケ」及び「中ボケ」の段階で見つけて、『脳のリハビリ』(「前頭葉」を含む脳全体を活性化させる」為に有効な脳の使い方としての「生活習慣」の改善策)を実施すれば、「前頭葉」を含む脳全体の機能を正常な機能レベルにまで引き戻すことにより、『「アルツハイマー型認知症」の症状を治すことが出来る』のです。認知症診断の専門家である医師達が、『「アルツハイマー型認知症」は、せっかく見つけても治すことが出来ない』と主張しているのですが、それこそが、重大な誤りなのです。『「アルツハイマー型認知症」は、性質それ自体として治すことが出来ないタイプの認知症ではない』のです。『医療現場で医師が見つけている段階が遅すぎるだけ』、末期の段階である大ボケの段階で見つけているから治すことが出来ないだけなのです(アルツハイマー型認知症の場合も普通の疾患と同じ。早期発見、早期治療が不可欠なのです)。

CTやMRIやPETを使用することにより、高額の診察料を稼ぐことは出来るのですが、本当の意味での早期の段階である「小ボケ」や「中ボケ」の段階で見つけることは出来ないのです。肝心の「前頭葉」の機能レベルが正常なレベルに在るか、異常なレベルに在るかの精緻な判定が出来るのは、世界広しとは言え、私たちが独自に開発した「かなひろいテスト」しか存在していないのです。「二段階方式」の考え方では、CTやMRIやPETの機器の使用が不要であるだけでなく、薬の処方も不要となるので医療機関は関心がないのです(医療機関は、売上高を稼ぐことが必須の課題だから、早期診断を可能とし、「脳のリハビリ」により治せる手技が存在していても、必要な規模の売上高を稼げないものには、関心がもてないのです)。

 &6 回復させることが困難な末期の段階である「大ボケ」の症状

アルツハイマー型認知症」の末期の段階である「大ボケ」の段階の代表的な症状は、浜松医療センターに勤務時、副所長自身が患者さんのデータをもとにして、「大ボケ」の段階と診断された患者さんに特有な症状として短冊を何枚も作って、その中から選別して作成したものなのです。言い換えると、遠くは北海道から沖縄迄、日本全国から浜松にまで(勿論家族に付き添われてのことなのですが)、飛行機を利用して、或いは、新幹線などを利用して、実際に浜松医療センターを訪れて見えた方達を対象にして診察した結果のデータということなのです。居住されている遠い地から浜松までやってこられた方達ということなのです。家の外に出ることも出来なくて、寝たきりの状態にある方達も極めて多数生活されている訳なのですから、ここに挙げているよりももっと重い症状が発現されている「大ボケ」の段階のお年寄りが極めて多数に上るということを忘れないで頂きたいのです。加えて問題点を指摘すると、認知症の診断が専門の医療機関は(医師達は)、「アルツハイマー型認知症」の診断に際して、米国精神医学会が策定した「DSM4」の規定に依拠した診断を行うのです。その規定の「第二の要件」は、失語失認、又は、失行の症状の確認があって初めて、『アルツハイマー型認知症』の発病と診断するのです。大ボケは、「かなひろいテスト」が不合格で、MMSEの換算点が14点以下0点迄のお年寄り。その内で、失語や失認や失行の症状が確認されるのは、MMSEが一桁の点数になるお年寄りだけなのです。『極めて重度の症状』の確認があって初めて「アルツハイマー型認知症」の発病と診断する為に、「アルツハイマー型認知症」の本当の意味での早期の段階であり、私たちの区分で言う「小ボケ」及び「中ボケ」の段階が存在していることを知らないで(見落としていて)、『「アルツハイマー型認知症」は治すことが出来ない』ものと誤解しているのです。その上に、効きもしない「」を処方してもいるのです(肝心の、「因果関係」の評価を誤っているだけ。私たちの主張の根拠には、私たちが集積し、解析した『脳の老化のスピード差をもたらす要因』の脳機能データが存在)。

重度認知症」(大ボケ)に特有で代表的な症状の8項目

□着ている服を脱ぎたがらず、便で汚れた下着をそのまま平気で着ている

□風呂に入るのを嫌がり、怖がるようになる

□服を正しく着られず、ズボンを頭からかぶったり、上着に足を通したりする

□自分の子供を配偶者と間違えたりして、同居の家族の顔も区別出来なくなる

□自宅に居ても落ちつかず、外に出て行きたがる

□大小便を失敗しても、後の処置や始末ができない

□今は昼なのか夜なのかがわからなくて、夜中に騒ぐ

□痛んだものを平気で食べ、食べ物でないものを口にする

これ等の症状は、「二段階方式」の手技を活用して、「アルツハイマー型認知症」を発病していて、且つ、「大ボケ」の段階と判定する上で必要な症状の類型として纏めてあるだけであり、ここに掲げる症状よりも更に重い様々な症状が種々数多く存在することを忘れないでないで頂きたいのです(上記に列記した症状だけが、「大ボケ」の段階の症状だと誤解しないで頂きたいのです。身体が持つ限り、「前頭葉」を含む脳全体の機能が衰えて行くことになる「アルツハイマー型認知症」の場合の特徴は、最も末期の段階で言うと、植物人間状態にまで症状が重くなっていくのです)。そのことはさておいて、「大ボケ」の段階の症状が確認されるまでに、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルが低下すると、最早治すことが出来なくなるのです。『DSM-4』の規定内容の重大な誤りに気が付かないままで居て、むしろその規定を信望していて、依拠して診断を行っている医師達は、失語や失認や失行の症状と言った「大ボケ」の段階でも更に後半にならないと発現が確認されない『極めて重度の症状』の確認を待って初めて、「アルツハイマー型認知症」の発病だと思い込んでいる為、『「アルツハイマー型認知症」は治らないもの』と信じ込んでもいるのです (そのこと自体が、『重大な誤解』だとも知らないで)。二段階方式の手技を活用すれば(CTやMRIやPETの使用は不要)、早期の段階を見つけられるのですが、必要な規模の売り上げが立たないのです。

 &7 新たなターゲットを追求する医学会の現在の状況

「アルツハイマー型認知症」の発病原因についての世界中の医学会の状況はというと、上述のように、アセチルコリン説、アミロイドベータ説、タウタンパク説及び脳の萎縮説の『4つの仮説』が提示され、未だに主張されているのです。その内でも、アミロイドベータ説(アミロイドベータというたんぱく質が何等かの機序により情報を伝達する役割を担っている神経細胞に沈着して発現する老人斑なるものの持つ毒性が、沈着した神経細胞の大量死を惹き起こし、「記憶の障害」が惹き起こされることが原因で、『アルツハイマー型認知症』を発病するとの仮説)が通説の地位を占めているのです。我が国の状況で言うと、東大、京大、理化学研究所が『アミロイドベータ説』の牙城なのです。とはいえ、「仮説」であるということは、『「発病の原因」として主張されている内容と「アルツハイマー型認知症」の発病との間に存在するはずの肝心の「因果関係の存在」を未だに立証できていない』ということなのです。言い換えると、それらの主張内容は、単なる推測、憶測の類ということなのです。私たちは、『MMSE下位項目の項目困難度』が示す「衰えて行く順番」の指標、早期の段階(小ボケ及び中ボケ)の滞留期間の指標から、「アミロイドベータ」による老人斑の生成は、「アルツハイマー-型認知症」の発病原因ではなくて、末期の段階に迄症状が進行した副産物だと推測するのです。

世界中の巨大な規模の製薬会社が、『「アミロイドベータ説」の考え方に立脚して、「アルツハイマー型認知症」の治療薬の開発に挑戦し、その全てが失敗に終わっている』のです。発病後では、いかなるタイプの薬を投与しても効かないので、「発病の予防」が唯一残された途だとして、脳内に「アミロイドベータ」が僅かでも検出された段階で、アミロイドベータを除去する方法が新たなターゲットとなってきているようなのです。因果関係自体が存在してもいないものは、どのようにターゲットを変更しようと、無駄骨に終わるのです。

&8「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズム(『二段階方式』独自の見解であり、主張であり、疫学的方法により実証済み)

『第二の人生』を送っている60歳を超える年齢の『高齢者』が、何かを「キッカケ」にして『前頭葉』を積極的に使わないナイナイ尽くしの「単調な生活習慣」を継続していると、出番が少なくなり使われる場面が極端に減った「前頭葉」が、廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させていきます。『加齢』の進行に起因した脳の老化(機能低下)という要因(私たちが定義する「第一の条件」)に加えてキッカケを契機に開始されたナイナイ尽くしの単調な生活が継続され、生活習慣となることにより(私たちが定義する「第二の条件」)、前頭葉を含む脳全体の老化(機能低下)が加速されて、働きが急速に衰えていきます。異なる二つの要因が同時に存在し、充足される相乗効果により、「前頭葉」を含む脳全体の機能が廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させていくその先に、「アルツハイマー型認知症」の発病及び症状の重症化の進行が待っているということなのです(そこには、「器質的な原因病変」は存在していないし、「DSM-4」が提示するような「記憶障害」が発病の原因ではないのです)。

☆上述した異なる二つの要因が同時に存在し、充足されることによる相乗効果により、『廃用性の、加速度的で異常な機能低下』が進行していく場合に、脳の司令塔の前頭葉が最初に異常なレベルに衰えていき、次いで、左脳や右脳や運動の脳が(且つ、高度な機能から順番に)異常なレベルに衰えていくのが特徴なのです。様々な種類が数有る認知症の内の大多数、90%以上を占める「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症は、ナイナイ尽くしの「単調な生活習慣」の継続という、脳の使い方としての「生活習慣」の継続に起因する病気なのです。言い換えると、『廃用症候群に属する老化廃用型の「生活習慣病」なのです』(私たちによる世紀の大発見!)。

このメカニズムを解明するには、前頭葉の機能構造、前頭葉の三本柱と私たちが名づける意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能、特に、注意の分配力の機能の廃用性の機能低下という要因、更には、前頭葉の個別認知機能の機能発揮度を左右し下支えしているのが前頭葉の三本柱の機能であるという『機能発揮上の二重構造の問題』及び意識の機能構造についての深い理解が不可欠となります。生来的に宿る脳機能の老化の性質という条件とナイナイ尽くしの単調な生活習慣の継続による廃用性の機能低下という条件とが同時に充足されることによる相乗効果により、前頭葉を含む脳全体の機能が、廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させていくことにより、且つ、その機能低下の進行の度合いにより、私たちの区分で言う小ボケ、中ボケ及び大ボケの三つの段階の症状が、アルツハイマー型認知症の症状が発現してくるのです。これが、世界中の認知症の専門家達の間で未だに『発病の原因が分からないし、治すことができないし、予防することも出来ない』とされる「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズムなのです。

&9  単調な生活が始まる「キッカケ」の類型について

ナイナイ尽くしの単調な生活(食生活ではなくて、脳の使い方としての「生活習慣」)が始まる「キッカケ」の共通項は、次の2点に集約することができます。

)頑張って生きようという「意欲」を支えてきた『生活状況』がなくなる

)頑張って生きようという「意欲を喪失」してしまうような『生活状況』が発生し、継続する

1)ナイナイ尽くしの単調な生活とは、目標や喜びや生き甲斐もない生活、より具体的には、趣味や遊びや人付き合いを楽しむこともなく運動もしない生活であり、地域の活性化などのテーマにも関心がない生活及び暮らし方のこと。

2)ナイナイ尽くしの単調な生活が始まるメカニズムはというと、(一)に規定する『生活状況の喪失』又は、(二)に規定する『生活状況の継続』により、そのことがキッカケとなって、一つの条件としては、『キッカケ』が発生する以前に自分を支えてくれていた生活、「第二の人生」を送っていく上で、自分なりの目標が有り、喜びや生き甲斐を覚える基礎となっていた『元の生活』(生活習慣)が失なわれたこと、又は、もう一つ別の条件とは、『元の生活』にとって代わるだけの新たな生活を見つけ出せなくて(打ち立てられなくて)、何事かに対し、立ち向かっていき、努力し、挑戦する『意欲』が徐々に薄れていき、やがては、何もしようとはしなくなるのです(意欲を喪失していくことになる)。その結果として、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」が開始され、継続されていくことになるのです。その生活状況の継続に起因して、『前頭葉』の三本柱の機能である『意欲』、『注意の集中力』及び『注意の分配力』の機能が、廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させていくことになるのです。即ち、そのことを反映した、反射的な効果として、『前頭葉』の個別認知機能自体も廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させることとなり、異常な機能レベルに衰えてきている『前頭葉』を含む脳全体の機能の『機能レベルの直接的な反映』(反射的な効果)としての「アルツハイマー型認知症」の様々な態様による症状が、「小ボケ」、「中ボケ」、「大ボケ」の段階の症状として、順次、発現して来るのです。

アルツハイマー型認知症」の発病は、器質的な原因病変とは関係ないし、「記憶障害」とも関係がないのです。更に言うと、「アルツハイマー型認知症」の症状は、失語や失認や失行の症状の発現が最初の段階で起きてくる訳のものではなくて、私たちの区分で言う「小ボケ」及び「中ボケ」の段階の症状が、本当の意味での早期の段階の症状なのです。

 &10 「DSM-4」及び仮説の提唱者たちに対する問題提起

(1)世界中の認知症研究の専門家達が、「アルツハイマー型認知症」の発病原因についての『DSM-4』の第一要件の規定内容が正しいものとして受け入れ、加えて、第一要件の内容が正しいものとの前提に立脚した仮説、アセチルコリン説、アミロイドベータ説、タウタンパク説及び脳の萎縮説の「4つの仮説」が提唱されて来たのです。私たちは、「DSM-4」の規定内容も、4つの仮説も、科学的な根拠がなく誤った内容であり、『憶測にすぎない』と考えています。根拠は、以下に提示する14689例に上る「アルツハイマー型認知症」患者の「脳機能データ」の解析結果及び事象事実です。

(2)「前頭葉」の機能が最初に衰えて行き、次いで左脳、右脳、運動の脳の順番に、より高度な機能から衰えて行く

(3)「MMSE」で判定される左脳及び右脳の機能について、衰えて行く厳密な以下の順番が存在する。その順番は、どのケースでも必ず

想起、注意と計算、時の見当識、所の見当識、三段階口頭命令、図形の模写、文を書く、記銘、書字命令、復唱、命名となる

(4) 発現する症状が「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルに、厳密にリンクしたものとして、順次重いものになっていく

(5)症状を「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルにリンクさせると、小ボケ、中ボケ及び大ボケの3つの段階に区分され、「脳のリハビリ」の実施による回復の可能性は、小ボケ(容易)、中ボケ(未だ可能)、大ボケ(もはや困難)となる

(6)「小ボケ」の段階の症状が発現する期間は3年間で、「中ボケ」の段階の症状が発現する期間は2~3年間という「滞留期間」について標準的な期間が存在する

(7) 「注意の分配力」の機能の高度な発揮が要求される『立方体透視図の模写』の場合は、早々とできなくなっていく(中ボケの後半、MMSEの得点が20点を切ると、殆どの人が出来なくなる)のに対して、「注意の分配力」の機能が関わらない『五角形相貫図の模写』の場合は、「中ボケ」の末期までは出来る人の方が多く、「大ボケ」に入って初めて(MMSEの得点が13点以降の人達から)出来ない人の方が多数派となっていく。

)上述の事象事実として確認される(2)乃至(7)の内容を、科学的に、合理的に、体系的に、論理的に、且つ、矛盾なく説明できるのは、『「アルツハイマー型認知症」は、廃用症候群に属する「老化廃用型の生活習慣病」であり(但し、食生活ではなくて、脳の使い方としての「生活習慣病」であることに留意する)、早期診断により治せるし、発病を予防することが出来る』と主張する私たち独自の考え方、『二段階方式』の考え方だけなのです。『二段階方式』の考えは、権威がないことと情報の発信力に乏しいだけであり、全国規模での展開、北海道から九州にまたがる452の市町村において、『「アルツハイマー型認知症」の早期診断による回復及び発病の予防を明確な目的とした住民参加型の「地域予防活動」』として実践展開されてきている中で、主張内容の正しいことが、疫学的に実証されてきてもいるのです。

言い古された諺に言います。『千里の道も一歩から』、「チリも積もれば、山となる」。私たちの「二段階方式」の考え方及び「二段階方式」の手技を活用した活動である、『アルツハイマー型認知症の早期診断による回復及び発病の予防を目的とした住民参加型の「地域予防活動」が小さな地域の隅々にまで行き渡る日』を夢見て頑張ります。

 

  本著作物「Cー16」に掲載され、記載され、表現された内容に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。このブログ中の内容の一部を引用する

 際は、必ず、著作権法の規定に則って引用してくださるようお願いします。 

   エイジングライフ研究所のHP左の部分をクリックしてください)

     脳機能から見た認知症(具体例をベースとしたもう一つのブログです)

    

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする