認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

市町村による地域予防活動の展開 (A-43)

2012-05-31 | アルツハイマー型認知症の予防活動

「アルツハイマー型認知症」の正体が廃用性の「生活習慣病」であるということには、二つの重要な側面があります。

1つは、「アルツハイマー型認知症」を、回復可能な「軽度認知症」(小ボケ)及び「中等度認知症」(中ボケ)の早期の段階で見つけるには、「神経心理機能」テストの使用が不可欠です。然も、「神経心理機能」テストによる脳の機能レベルの判定と生活歴の聞き取りに基づく脳を活性化させるための「生活習慣」の改善指導が判定(診断)と回復(治療)と予防の方法になるので、投薬や手術や治療といった「医行為」が必要とならないのです。

もう 1つは、「診断(判定)の方法」が、CTやMRIが必要でなくて、逆に保険点数が極端に低い「神経心理機能」テストの使用が不可欠となるので、医療機関にとっては事業としてペイしないということが重要なポイントなのです。その上、回復(治療)や予防に効く薬はなく、「投薬」の問題もないのです。

       

(コーヒー・ブレイク) 「アルツハイマー型認知症」からの回復は、本人にとっては勿論のこと、家族にとっても大きな意味があります。ところが、回復可能な早期の段階(「小ボケ」及び「中ボケ」)を見つけるには、「神経心理機能」テストの使用が不可欠なのです。CTやMRIでは、形しか計測できないので、早期の段階を見つけることはできません。見つけられないで放置されたままでいると重症化が進み、末期段階の「重度認知症」(大ボケ)になります。CTやMRIを使っても、「重度認知症」の段階で見つけていたのでは、せっかく見つけても手遅れ、回復は困難なのです。「重度認知症」の段階で見つけていたのでは、診断費用や介護の負担だけでなく介護費用も大変となり、自治体や国にとっても大きな問題です。

         

テレビがいろいろな種類のものを取り上げるので認知症にも種類がたくさんあることはご存じだと思います。その種類がいろいろある認知症の中で、「アルツハイマー型認知症」が認知症全体の90%以上を占めているのです。高齢化の更なる進行が予測される中で、「アルツハイマー型認知症」を発病するお年寄り達の数も増え続けることが予測されているのです。その「アルツハイマー型認知症」こそ、保健師さんにとって、「保健及び予防活動」の最も重要な対象となる「テーマ」だということではないでしょうか。

「アルツハイマー型認知症」は、回復可能な早期段階(「小ボケ」及び「中ボケ」)の発見(判定)にはCTもMRIも不必要です。早期の段階で見つけることが出来れば、正常レベルへの回復が可能である上に、その為の治療にも薬は不必要なのです。回復させることが出来る薬は未だに開発されていませんし、今後ともあり得ないのです。診断している医療機関も、薬を開発している製薬会社も、「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)の働きについての認識と理解が浅すぎるのです。

          

私達が蓄積してきた「アルツハイマー型認知症」の人達の多数のデータを解析すると、「小ボケ」から「中ボケ」へ、「中ボケ」から「大ボケ」へと症状が進んでいくにつれて、「前頭葉」の働きが加速度的に衰えていくことが分かります。「大ボケ」のレベルになると、「前頭葉」は殆ど機能していないことが分かります。状況を判断し、実行すべきテーマを企画し、その内容を組み立て、内包する判断基準に基づいて最終の実行内容を決定する働きをしている、脳の司令塔の「前頭葉」の働きが、「薬を飲む」ことで機能回復することなどありえないのです。「前頭葉」は、左脳、右脳、運動の脳の三頭立ての馬車の御者なのです。「脳の機能」を回復させるには、「前頭葉」の機能を回復させることが不可欠になるのです。「前頭葉」の機能を回復させるには、しっかり「使う」ことしか方法はないのです。薬が効くような代物ではないのです。(ここをクリックしてください

「早期段階の判定及び早期段階からの回復や発病の予防」のために不可欠である「神経心理機能テスト」の使用及び脳を活性化するための「生活習慣」の改善のための指導は、事業として必要となる収益をあげることが期待できないのです。医療機関といえども事業体ですので、収益が上がらない事業を継続的に実施していくことはできないのです。従って、「収益はあげられなくても、費用が減るメリットがある」ことで事業として継続して展開できる自治体や国でしか、対応が期待できないということになるのです。

         

日本は世界に先駆けて超高齢社会に突入しています。この先、高齢化が更に進んでいく中で、医療機関も国も市町村も、なにもしないでこのまま手をこまねいて放置していると、高齢者の大半は、「体が持ちながら、脳が持たない」結果として、行き着くところは「アルツハイマー型認知症のお年寄り」の更なる増加という悲惨な将来像が、はっきりと見えてきているのです。厚生労働省が発表している認知症のお年寄りの数200万人というのは、末期段階の「重度認知症」(大ボケ)のお年寄りだけの数なのです。「重度の記憶障害」という誤った医療指針の為に見逃されている回復可能な「小ボケ」と「中ボケ」とを合わせた数は、「大ボケ」の4倍にもなるのです。然も、「大ボケ」の4倍の数にもなる「小ボケ」と「中ボケ」の段階の人達は、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を見直して、脳を活性化する生活習慣を日常生活に取り込むことにより、正常レベルに回復させることが出来るのです。市町村を主体として、「アルツハイマー型認知症」の予防並びに早期段階の発見と回復を実践し、「重度認知症」に重症化していく人達の数を減らす「政策」を継続的に実行するのです。そのうえで、「重度認知症」の人達に対する介護保険の適用を手厚くすることが重要だと思うのです。

 

         

このブログで詳細に説明してきたように、「アルツハイマー型認知症は、原因も分からないし治らない病気」という考えは、誤りなのです。「重度の記憶障害」という誤った医療指針に基づいて、末期段階の「重度認知症」(大ボケ)のお年寄りばかりを見つけて診断してきた精神科医の誤解が原因なのです。

これまでのブログで詳細にメカニズムを説明し、開示した根拠となるデータからも分かるように、「アルツハイマー型認知症」は廃用性の「生活習慣病」なのです。早期段階(「小ボケ」及び「中ボケ」)で見つけて、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を見直し、脳を活性化する「生活習慣」を日常生活に取り込むことにより、正常レベルに「回復」させることが出来るし、「予防」することもできるのです。

高齢者を抱える個々の市町村が実施の主体となり、行政活動の中の主要なテーマとして「アルツハイマー型認知症」の予防活動を位置づけ、「継続性」を持って取り組むことが重要です。

「アルツハイマー型認知症」の予防活動に取り組む専門の保健婦さんを配置して、地域のいろいろな組織やボランティアを取り込み、継続的な自主活動として、「地域単位」で予防に取り組むしか問題を解決する方法はないのです。

          

「アルツハイマー型認知症」を予防するための「生活習慣」の確立を目的とした生活改善の指導は、脳を生き生きと使う「生活習慣」を個々人が日常生活に取り組み、確立するむことが核になります。それは、趣味なく交遊なく、運動もせず目標もない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」と裏返しの生活が「指標」になります。

前頭葉に十分な情報が上がっていき、前頭葉の機能がフルに働くような生活習慣、特に趣味や遊びや人付き合いの働きを司る「右脳を中心とした生き方」を指標として指導することが重要となります。これまでは、「身体の健康」というテーマについて大きな役割を果たしてきた保健師さんたちは、これからは、「脳の健康」という大きなテーマについて重要な役割を果たすことが期待されているのです。

介護保険で期待されている、従来型の「身体介護サービス」提供の担い手ではなくて、「生き甲斐創造の手助け」となる新しいタイプのサービスを提供する担い手になっていただきたいと願うのです。

注)本著作物(このブログA-43に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

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「二段階方式」の活用とアルツハイマー型認知症の予防活動(A-42)

2012-05-24 | アルツハイマー型認知症の予防活動

1. 「二段階方式」導入の意味

「二段階方式」を「アルツハイマー型認知症」の早期判定と回復(治療)、介護予防及び地域予防活動のツールとして市町村が導入する場合、以下の目的が考えられます。

(1)「アルツハイマー型認知症」の早期段階の相談窓口の開設(早期発見と回復及び介護の予防)

(2)早期段階の「アルツハイマー型認知症」からの回復を目的とする個別の生活改善指導に用いる

(3)事業の対費用効果を考慮し、「アルツハイマー型認知症」の重症度に応じた施策(介護対象者の更なる重症化の抑制)へ繋げる

(4)共同参画事業の推進による、地域での自主活動(「アルツハイマー型認知症」の予防及び脳の活性化を目的とする生きがい創造活動)の推進とその拡大を図る

(5)「二段階方式」の管理ソフトの活用による個別及び集団別の時系列の管理及び評価を行う  

(6)幅広い年代の住民に対する「脳の健康教育」としての「生活習慣」の改善を目的とする啓蒙活動を行う

         

2. 個別テストと個別生活改善指導

「アルツハイマー型認知症」の地域予防活動というと「予防教室」(脳イキイキ教室、いきいきサロン等)がクローズアップされがちです。「予防教室」とはいえ、どこででも行われているデイサービスとはちょっと違うということをアピールするために、集団で「かなひろい」テストをやってお茶を濁すようでは、「二段階方式」を正しく導入したことにはなりません。

 「二段階方式」を導入するとき最も重要なことは、「二段階方式」による脳の機能テストを個別の「生活改善」指導に活用することなのです。「二段階方式」を個別で活用できるようになると、おのずから集団での使用方法にも変化が生まれます。二種類の「神経心理機能」テストの目的や使い方がはっきりするので、適切な使い方ができるようになり、住民と保健師さんの双方が納得したうえで、脳機能テストに臨むことになるからです。

           

「アルツハイマー型認知症」の「予防教室」の参加者に対する個別の「脳機能」テストの実施とその結果に基づく個別の「生活改善」指導が行われて初めて、地域住民の「アルツハイマー型認知症」に対する理解と関心が深まります。「予防教室」に参加するお年寄りの脳が元気になる理由が参加者に理解され納得されることによって、日常生活での脳の使い方に関心と変化が出てきて、脳を活性化させる自分なりの「生活習慣」の確立を志向するようになります。

脳の使い方という視点からの「生活習慣」の改善を目的とする個別の「生活改善」指導と言うバック・グラウンドがあることが、地域住民の参加による自主的な「地域予防活動」の展開にもつながっていくことになるのです。

        

(コーヒー・ブレイク) CTやMRIによる計測は、保険点数が高いので医療機関が良くこれを活用します。ところが、CTやMRIは「脳の形」を計測することはできても「脳の働き具合」を計測することはできないのです。

「アルツハイマー型認知症」の回復可能な早期の段階(「小ボケ」や「中ボケ」)は、「脳の働き具合」を計測することが不可欠になるので、CTやMRIでは見つけることが出来ないのです。

「アルツハイマー型認知症」の早期の段階を見つけるには、「二段階方式」に代表されるような「神経心理機能」テストを活用することが不可欠なのです。

「神経心理機能」テストに対する保険点数が極端に低い現行制度のもとでは、事業としてペイしないので、医療機関がCTやMRIに代えて「神経心理機能テスト」を積極的に活用することは期待できないのです。

「アルツハイマー型認知症」の早期段階を見つける上で不可欠な「神経心理機能テスト」の活用が期待できるのは、事業としてはペイしなくても、「重度認知症」(大ボケ)のお年寄りの増加を食い止め或いは減少させることでペイする行政機関(在宅介護支援センター、地域包括支援センターを含む)だけなのです。

       

3. 行政と在宅介護・地域包括支援センター(以下、「行政等」)の共同と役割分担

施設での介護から在宅での介護に介護の軸足が移されてきています。在宅での介護ということは、家族が直接介護に係わることを意味します。家族が直接介護に係わることによって、早期段階の場合であれば正常レベルへ回復させること、或いは少なくとも重症化を抑止する効果を期待できるようにする必要があります。 そうした目的での「在宅介護」を可能にするためには、脳の機能が衰えてきつつある人たち(正常下限)から早期段階の「アルツハイマー型認知症」の人達(「軽度認知症」から「中等度認知症」のレベルの人達)に対する脳の機能レベルの判定結果に基づく対応の仕方や介護の仕方、或いは脳を活性化するための生活改善等のテーマについて、「行政等」による適切な助言と指導が不可欠になります。そのためには、客観的な物差しが必要不可欠であり、この場合、「二段階方式」の手技は共通のツールとして極めて有効だと思うのです。

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個別・集団別のデータとその時系列管理(A-41)

2012-05-21 | アルツハイマー型認知症の予防活動

認知症全体の90%以上を占めていて、専門家たちから原因も分からないし治らない病気と言われてきた「アルツハイマー型認知症」は、1995年以来私達が全国的規模で展開してきた市町村における「地域予防活動」(個別の早期発見と回復及び地域単位での予防活動)により、廃用症候群に属する「生活習慣病」であることが実証されてきました。東日本大震災の被災地の高齢者を追跡調査していけば、このことが今後数年のうちに疫学的にも証明されることになるでしょう。「アルツハイマー型認知症」の症状は、脳の機能レベルとリンクさせて判定することにより、回復可能な早期段階の「軽度認知症」(小ボケ)及び「中等度認知症」(中ボケ)並びに回復困難な「重度認知症」(大ボケ)の三段階に判定区分することが出来るのです。

             

「アルツハイマー型認知症」の早期段階(「小ボケ」及び「中ボケ」)と判定された人達は、脳を活性化させることを目的とした個別の「生活改善」(生活習慣の改善)の指導により、正常レベルに回復させることが出来ます。「重度認知症」と判定された人達は、脳を活性化させることを目的とした個別の「生活習慣」の改善指導により、更なる症状の進行を食い止め、或いは「重度認知症」の範囲内ではあるが症状の改善が期待できるのです。但し、自分の生活自立状態に対する自覚が持てなくなっている「中ボケ」からの回復及びセルフケアにも介助がいる状態の「大ボケ」の症状の進行抑制には、家族ぐるみでの協力が不可欠となります。その意味で、地域予防活動を展開するには、地域単位及び家族ぐるみでの「アルツハイマー型認知症」に対する正しい知識と十分な理解が欠かせません。市町村における「地域予防」活動の展開に際しては、「講演」を通じての啓蒙活動が重要な役割を担うことになります。「アルツハイマー型認知症」は原因不明で治らない病気と言う誤った知識が地域住民の間に浸みこんでいます。「講演」によって、「アルツハイマー型認知症」は生活習慣病であり、脳を活性化させる生活習慣によって「治す」ことも「予防」することもできる病気なのだという「知識」を地域住民の間に浸透させることが、活動の開始と広がりを獲得する上で不可欠なのです。

       

「地域予防」活動を効果的に展開するには、継続性が不可欠です。従って、「地域予防」活動を展開する上で活動データの時系列管理が必要となります。個々の被検査者の神経心理機能テスト結果、脳の機能レベルの判定結果、生活の自立度の判定結果及び脳機能レベルについての評価結果(改善、維持、悪化)などの個人別の脳機能データ並びに判定及び評価結果等についての時系列管理が必要となってくるのです。

私達が開発した「二段階方式」管理ソフト(「エイジング」)は、こうしたデータの管理を、個人別及び集団単位(グル-プ別、地域別、男女別)で時系列管理することが出来るようになっています。このソフトの活用により、「アルツハイマー型認知症」に対する発病を予防するための正常レベルにある人達への「生活改善」の啓蒙、早期段階にあると判定された人達の「正常レベルへの回復」のための「生活改善」の指導、「重度認知症」レベルへの進行の抑制を目的とする「介護予防」のための支援及び指導等の諸施策の効果を個人単位で及び集団(地域)単位で、時系列評価ができます。

        

下記に「エイジング使用の手引き」の一部を表示します。

  各ボタンの機能一覧(主な機能を赤字で表示)

この管理ソフト「エイジング」を活用することによって、定期的な健診(判定)システムが完成することになります。

      

「アルツハイマー型認知症」は、認知症全体の90%以上を占めているのです。

「アルツハイマー型認知症」は、廃用性症候群に属する「生活習慣病」なのです。

「アルツハイマー型認知症」は、早期発見により「小ボケ」や「中ボケ」の段階を見つけることが出来れば正常レベルに「回復」させる(治す)ことが出来るのです。

「アルツハイマー型認知症」は、脳を活性化する生活習慣を日常生活に取り入れることにより「予防」することもできるのです。

       

「重度の記憶障害」という誤った指針により末期段階の「重度認知症」(大ボケ)しか見つけてこなかった精神科医の誤解が原因で、「アルツハイマー型認知症」は原因不明で治らない病気だという誤解が、日本全国津々浦々にまで浸透してしまったのです。

誤解が幅を利かせている現状が放置されて、何らの対応も対策もとられていないのです。現状のまま放置して手をこまねいていると、高齢化の進展に符合して、今後増え続けることが予想されている認知症の人達に対する「介護保険」の適用は、費用面から制度破綻の危機に直面してしまうのです。

 注)本著作物(このブログA-41に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

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アルツハイマー型認知症の早期診断(判定)と「二段階方式」(A-40)

2012-05-17 | アルツハイマー型認知症の早期診断

私達の「二段階方式」の手技においては、「アルツハイマー型認知症」を三つの側面から診断(判定)及び評価します。やるべき内容とその手順がパターン化されているのが特徴です。従って、資格も特別の能力も必要とされません。必要で大切なのは、予防活動に対する「意欲」と人に対する「親和性」なのです。「アルツハイマー型認知症」の症状は、個人ごとに発現する程度と態様が異なります。そうした症状は脳の機能レベルとリンクさせ三段階に分類された「30項目問診表」によりパターン化されているので、「マニュアル」と「使用の手引き」の手順どおりに手技を実施することで、診断(判定)と評価については、あらゆるケースを画一的に処理することが出来る(それでいて、内容はとても深い)のです。なお、このブログで診断(判定)という用語を使っているのは、診断は医師が(判定)は医師の資格を持たない人がこの手技を使うことを想定したものです。

       

○  二種類の神経心理機能テストによる「脳機能テスト」の実施と判定(以下、「A」)

○  30項目問診票による生活実態の確認と「生活自立度」の判定(以下、「B」)

○ 「キッカケ」の確認とキッカケ後の過去数年間における脳の使い方という視点からの「生活歴」の聴き取り(以下、「C」)

という3つの面を相互にリンクさせて、総合的に判定し鑑別することが、他に例のないこの手技の特徴です。

「A」の脳機能レベルと「B」の生活自立度とが一致して、更にそれを裏付け説明できる単調な生活の継続「C」という生活歴の確認ができた場合にのみ、「アルツハイマー型認知症」と診断(判定)することになります。(「A」の脳機能レベルの判定に際しては、同時に、脳機能が衰えていく場合のパターンとその項目の組み合わせという「規則性」の確認の作業が行われることは言うまでもありません。)そして、「アルツハイマー型認知症」であると診断(判定)された場合にのみ、個別の「生活改善」指導の対象となります。

「アルツハイマー型認知症」は、廃用性の機能低下により脳機能が加速度的に衰えていくことが原因で発病する「生活習慣病」なので、早期の段階であれば脳を活性化させる「生活改善」により正常レベルに回復させることが出来るからです。なお、認知症を疑われる症状を示す被検査者のうち、「アルツハイマー型認知症」と診断(判定)されるケースの割合は、症例が集積され多数になるにつれて90%を超えることになります。

          

「二段階方式」の手技を活用して「アルツハイマー型認知症」を他の種類の認知症と鑑別し、或いは認知症と紛らわしい病気と鑑別するということは、多数の症例により集積された「脳機能データ」の分析に基づいて手技がパターン化されている「A」、「B」、「C」のおのおのの意味するところが、相互に一致するかどうかを確認していく作業を実施していくことといえます。その結果、「アルツハイマー型認知症」である場合には、必ずA=B=Cが成立することになるのです。

「二段階方式」の手技により「アルツハイマー型認知症」であることが確認されたケースでは、「軽度認知症」(小ボケ)及び「中等度認知症」(中ボケ)と診断(判定)された場合は、正常レベルへの脳機能の回復を目的とした個別の「生活改善」指導が実施されます。「重度認知症」(大ボケ)と診断(判定)された場合は、症状の進行を抑えることを目的とした個別の「生活改善」指導が実施されます。

       

脳の働き具合(脳の機能レベル「A」)のアウトプットが症状(三段階に分類される症状の程度「B」)として発現してきます。「二段階方式」では、ベースとなるのは脳機能なのです。手技に慣れるにつれて、二種類の神経心理機能テストを実施して脳の機能レベルを計測し判定していく間に、「この脳機能レベルならば、生活実態は~だろう」という予測をたてられるようになります。「アルツハイマー型認知症」の場合には、必ず「A」=「B」が成立します。従って、生活の自立度を確認した時点で、脳の機能レベル(「A」)が生活の自立度(「B」)と一致するかどうかを確認していく作業が必要となるのです。

A=Bが確認されると、減点を構成しているMMSの下位項目が、「アルツハイマー型認知症」の場合の「落ちて行くパターンとその項目」通りであるか否かの確認作業を行います。「否」の場合は、その時点で、被検査者は「アルツハイマー型認知症」ではないことが確定します。

 脳の機能レベルのアウトプットが「生活自立度」として三段階に分類された「症状」に現れる訳なので、「A」が「B」と一致しない場合は何故その状況が起きているのか(防衛的なためか、家族関係の悪さか、或いは他の種類の病気のせいか等)推理を働かせ、確認しておくことが大切になります。背景にある家族関係等の事情も、「生活改善」指導の大切な要素になるからです。A=Bが成立しない、つまりA≠Bとなることが確認されるとその時点で、「アルツハイマー型認知症」ではないことが確定します。

そして最後に、現在の脳機能レベル(「小ボケ」、「中ボケ」、「大ボケ」)をもたらす原因となっているナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続という事実の存在について、この数年間の「生活歴」の聴き取り(単調な生活の継続「C」)で確認することになるのです。「アルツハイマー型認知症」であれば、必ず、「A」=「B」=「C」が成立します。生活歴の聞き取りの過程で明らかとなった被験者の脳の使い方の特徴及び問題点を考慮に入れて、脳を活性化させるためのより適切な「生活習慣」の改善を指導していくことが大切なのです。

      

(コーヒー・ブレイク) 平成の大合併では、多い場合には二桁の数の市町村が合併して一つの市や町になりました。この合併により、市や町単位での高齢化率は大幅に低下しました。高齢化率が大幅に低下したことで、認知症に対する関心が低下してきています。ところが、合併後の市や町単位での高齢化率は大幅に低下している一方で、地域単位での高齢化率に目を向けると逆に高齢化が進行しているのです。地域単位でみれば、高齢化率が30%を超えるところはざらにあります。手遅れにならないうちに、「地域予防」に関心を向け、活動を再開し或いは活動を開始して欲しいと願うのです。

 注)本著作物(このブログA-40に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

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MMS下位項目の衰え方とその規則性(A-39)

2012-05-14 | アルツハイマー型認知症の早期診断

「コロンブスの卵」という言葉をご存知ですか。人が見つけた後でそのやり方をまねるのは誰にでもできるが、最初にそのやり方を見つけることは難しいという意味で使われます。今日の報告のテーマは、私達がそのやり方を最初に見つけた、「アルツハイマー型認知症」の診断(判定)に極めて有用な「コロンブスの卵」の話しです。

世間では、DSM-4の定義以外には「アルツハイマー型認知症」に特有な特徴とされる「指標」が何ら知られていません。然も、DSM-4の定義には重大な欠陥があることは前回の報告で指摘したとおりです。従って、「アルツハイマー型認知症」の診断に際しては、他のタイプの認知症や認知症と紛らわしい病気の特徴とされる要因がないことを一つ一つ丁寧に確認していく方法によってそれらを順番に消していき、最後まで残ったものが「アルツハイマー型認知症」であろうと言う診断がなされているのです。そのために、側頭葉性健忘症や、感覚性失語症や老年期うつ病や緩徐進行性失行などの病気が「アルツハイマー型認知症」と誤診されることが意外と多いのです。テレビによる「アルツハイマー型認知症」の特集番組でも、出演している専門家によるそうした間違いを良く見かけるのです。

       

認知症を疑わせるような症状を示している人が、「アルツハイマー型認知症」なのか、アルツハイマー型認知症以外のタイプの認知症なのか、認知症と紛らわしい病気なのかを診断(判定)する上で、提示する「コロンブスの卵」は新大陸の発見に匹敵する(筆者の誇大妄想癖)とは言わないまでも極めて有用で大きな発見なのです。

私達が提唱している「二段階方式」の場合は、以下に概説する「コロンブスの卵」という絶対的な指標があります。「アルツハイマー型認知症」の場合は、「廃用性の機能低下」により「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)を含む脳の機能が加速度的に衰えていくことが原因で発病し、症状が進行していくので、神経心理機能テストの「MMS」で測定される高次機能の衰え方に特有で厳格な「規則性」が認められるのです。その「規則性」を指標とすることによって、「アルツハイマー型認知症」以外のタイプの認知症との鑑別並びに認知症と紛らわしい病気との鑑別が客観的に、且つ精緻に行えるのです。

        

その卵とは???

下図に示すのは、「アルツハイマー型認知症」の場合は、「MMSで測定される左脳と右脳の機能の衰え方には、衰えていく順番が認められる」、言い換えると脳の機能に衰え方の厳格な「規則性」があるというその順番のことです。ここに言う「衰えていく順番」とは、脳の機能にとって「高度なものから順番に出来なくなっていく」という「規則性」のことなのです。その概要をグラフと表とで説明します。

       

以下は、MMS各下位項目の「項目困難度」を示す指標である完全正答率50%(各下位項目について、満点をとる人が50%になる時のMMSの総得点)のグラフを示しています。

50%の横軸とクロスする点が、右に行くほどその項目は難しく、左に行くほどその項目は易しいことになります。下記のデータは、18000例の脳機能データを解析したものです。

 

上に示したMMS下位項目の「項目困難度」のグラフを整理し表示方法を変えたのが、下記の表です。上述の「 項目困難度の順番」は、次の表のようになります。その意味するところは、「アルツハイマー型認知症」の場合は、脳の機能がこの項目の順番に衰えていく(項目が、この順番にできなくなっていく)という「規則性」を示すのです。このように脳の機能に衰えて行く順番があると言うことは、重大なことを意味するのです「アルツハイマー型認知症」の正体が、廃用症候群に属する生活習慣病であるからこそ、「機能が高度なものから順番に衰えていく」というこの規則性があるのです。老人斑を生成するアミロイドベータや神経原線維変化をもたらすタウ蛋白がアルツハイマー型認知症を発病させる原因だとすると、このような規則性を説明できないと言うことなのです。言い換えると、アミロイドベータやタウ蛋白が原因だとする学説は、間違っているということになるのです。

「二段階方式」による鑑別の方法としては、被験者のMMSのテスト結果を調べるだけで十分なのです。MMSの総得点から減点を算出します。その減点を構成している項目が、この「項目困難度」の順番の通りになっていることを確認すればいいのです。但し、MMSの下位項目は満点が1点から5点まであり均一でないので、減点を構成する「項目とそのパターン」を管理データと照合する作業が必要になります。

「二段階方式」の活用により、「アルツハイマー型認知症」の診断(判定)が、容易に且つ高い確率のもとで行えるのです。その作業手順の概要は、次のようになります。

○ 前頭葉の機能レベルを「かなひろい」テストで判定する。

○ 左脳と右脳の機能レベルをMMSで判定する。

○ 生活実態の聞き取りから「30項目問診票」により生活の自立度を確認する。

○ 脳の機能レベルと生活の自立度との一致を確認する。

○ MMSで測定される下位項目の「衰え方の規則性」の確認を減点を構成する項目とそのパターンのデータと照合する。

○ 「キッカケ」となった「生活状況」を確認する。

○ 「キッカケ」から現在までの過去数年間のナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続とその内容を聴き取る(「生活歴」の聞き取り)。

       

「アルツハイマー型認知症」であることが確認されると、「脳の機能レベル」と脳の機能レベルに対応した「生活の自立度」が確認できるので、「軽度認知症」(小ボケ)、「中等度認知症」(中ボケ)及び「重度認知症」(大ボケ)の三段階に区分された段階的症状が判定されます。そして、「二段階方式」の管理ソフトによる個人別のデータ管理のもとで、定期的に健診(判定)の機会を設けることにより、早期診断(判定)による回復とさらなる症状の進行の防止並びに予防が可能となるのです(ここをクリックしてください)

更に、管理ソフトにより「個人別」、「グループ別」或いは「地域別」にデータを管理することが出来るので、半年或いは1年等一定の期間を対象として、対象期間の最初と最後との比較による脳の機能レベルの変化を判定(改善、維持、悪化)することにより、対象期間中に実施した脳を活性化する「生活改善」のための諸施策(Ex.個別の生活改善指導、或いは脳イキイキ教室参加者に対する脳活性化のための生活改善指導の施策)の効果を判定評価することが出来るのです。

 注)本著作物(このブログA-39に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

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アルツハイマー型認知症の脳の衰え方の特徴(A-38)

2012-05-10 | アルツハイマー型認知症の早期診断

いろんな種類がある認知症のうちの大多数90%以上を占めているのが「アルツハイマー型認知症」(老年性アルツハイマー病)です。米国精神医学会の定義であるDSM-4に影響されて「重度の記憶障害」を診断の第一の要件と考えている認知症の専門家たち(研究者や医師)から原因不明で治らないと言われている「アルツハイマー型認知症」は、「加齢」による脳の老化(第一の要因)とナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続(第二の要因)という二つの要因が重なり合うことにより、その相乗効果として脳の機能が廃用性の機能低下により加速度的に衰えていくことが原因で発病する「生活習慣病」なのです。(ここをクリックしてください)。

(コーヒー・ブレイク) DSM-4の定義を基準にアルツハイマー型認知症を診断していると、回復困難な重度認知症(「大ボケ」)の段階しか見つけることが出来ないのです。DSM-4の定義自体に重大な欠陥があるからです。アルツハイマー型認知症も早期の段階(「小ボケ」及び「中ボケ」)で見つけることが出来れば、脳の使い方としての「生活習慣」の改善により治せる(脳の機能が回復する)のだから、「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)の働き方の特徴に着目して「定義の見直し」を検討すべきだと思うのです。前頭葉は脳全体の司令塔の役割を担っているので、最高次機能の前頭葉の働きが異常なレベルに衰えてくると、高次機能の左脳や右脳は未だ正常なレベルにあっても、前頭葉と高次機能との協働により発現しているアウトプットそのものが異常なレベルのものになるのです。認知それ自体(状況の判断、テーマの企画、内容の計画、発想、好奇心、工夫、洞察、推理、機転、選択、その他)が正常なレベルで働くことが出来ないことによる直接の影響が、アウトプットとしての思索や行為や行動に反映されることになるのです。脳の働き具合とリンクさせた症状のデータを分析していくと、そうした脳の働き具合のアウトプットとしての支障が「社会生活」面で出てくることが分かるのです。高次機能(左脳及び右脳)が正常レベルであっても、最高次機能の前頭葉が異常なレベルにあるこの段階で、既に「アルツハイマー型認知症」を発病している(軽度認知症「小ボケ」)と考えるべきだというのが私達の主張です。(ここをクリックしてください)。

       

私達が集積してきたデータの解析によると、「アルツハイマー型認知症」の場合には、廃用性の機能低下により脳の機能が衰えていくとき、その「衰え方」に4つの特徴があることが分かるのです。

○最高次機能の「前頭葉」が廃用性の加速度的な機能低下を起こしてきて異常レベルに衰えていく結果、 最初に、「社会生活」に支障を起こす症状が出てくる度認知症「小ボケ」:この間、左脳と右脳と運動の脳は正常レベルのまま);

○ 前頭葉が廃用性の加速度的な機能低下を継続する中で、同時に「左脳」と「右脳」が廃用性の加速度的な機能低下を起こしてきて異常レベルに衰えていく結果、次いで、「家庭生活」にも支障を起こす症状が出てくるようになる中等度認知症「中ボケ」);及び

○前頭葉並びに左脳及び右脳が廃用性の加速度的な機能低下が同時並行し更に進行していく結果、 最後は、「セルフケア」にも支障を起こす症状が出てくるようになる(重度認知症「大ボケ」)。

○ 並びに、MMSで測定される「下位項目」には衰えていく順番に「規則性」が認められる(「下位項目」が出来なくなっていく順番の「規則性」とそのパターン)。

「神経心理機能」テストによる上記「4つの特徴」を客観的な指標として活用することにより、「アルツハイマー型認知症」の診断(判定)に際しては、他の種類の認知症との鑑別並びに認知症と紛らわしい病気との鑑別が容易になるのです。

(1)  以下のグラフは、「かなひろい」テスト(前頭葉の機能テスト)とMMS(左脳と右脳の機能テスト)を同時に施行した、約15,000人の成績分布を示しています。

 

 

このグラフでは、右に行くほど「かなひろい」テストの成績が良くなり、上に行くほどMMSの成績が良くなることを示しています。

グラフの分布から、「かなひろい」テストの成績良好群(「前頭葉」の機能が正常レベル)には、MMSの成績が悪い(不合格)ケースはないことが分かります。「かなひろい」テストが合格する人達は、MMSの成績も合格するのです。

一方、「かなひろい」テストの成績が悪くなっていくと(合否の基準点を下回るようになると)、MMSの成績には満点から0点まで大きな幅が見られます。このグラフから直接には見え難いのですが、MMSが30点満点でも、「かなひろい」テストが0点のケースが相当数みられるのです。

このことはとても重要なことなのです。なぜなら、通常使われているMMSのような知能検査では、「前頭葉」の機能の衰えは発見できないことを意味しているからです。

「前頭葉」の機能テストを実施しないと、脳機能の老化が加速されて社会生活に支障が出てきている認知症の最初の段階(回復容易な「小ボケ」の段階)をキャッチすることができないのです。

 注)本著作物(このブログA-38に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

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アルツハイマー型認知症を予防する為の「五カ条」(A-37)

2012-05-07 | アルツハイマー型認知症の予防活動

私達が社会生活や家庭生活を営んでいく上で不可欠の働きをしている「前頭葉」の働きが、正常な老化のカーブを逸脱して、老化を加速させることから「アルツハイマー型認知症」が始まることがお分かりいただけたでしょうか。

 高齢者の仲間入りをした年代のお年寄りが、趣味もない、友達づきあいもない、運動もしない、目標や生き甲斐もない生活、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を、半年から1年間も継続していると、左脳、右脳、運動の脳のどこからも十分な情報がこなくなった脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)が、働く機会が極端に少ないために居眠りし始め、そのうち「寝たきり状態」になって、間違いなくボケの花が咲くことになります(アルツハイマー型認知症の「小ボケ」の段階)

        

最初の段階の「軽度認知症」(小ボケ)では、社会生活面で支障が出てきているとはいっても、 家庭生活面にもセルフケア面にも特別の支障は起きてこないので、「意欲が少し衰えてきたのかな」ぐらいに軽く考えて、そのままナイナイ尽くしの「単調な生活」を続けていくことになります。

その状態が2~4年も続くと、左脳や右脳も老化を加速し始めるので、今度は花が少し大きくなって「中等度認知症」(中ボケ)の花になります。「中ボケ」のレベルになると、「家庭生活」面でも支障が出てくるようになります。

 それでも、セルフケアには特別支障がないし、言い訳をする時の口先だけは未だ達者なので、「年のせいか」ぐらいに考えて、そのままの生活を続けていると、脳全体の老化が更に加速されるので、最後は末期の段階である「重度認知症」(大ボケ)の花になります。「大ボケ」の段階になってくると、さすがに家族の方も大変なので、認知症を専門とする精神科医のところへ駆け込むことになります。すると、「アルツハイマー型認知症は、原因も分からないし、治すこともできない病気なのです」といって、特別の治療や指導を受けることもなく帰されることになります。或いは、「治すことはできないけれど、症状の進行が遅くなる効果があるかもしれないから」と言って、薬を出してくれる時もあります。これが、現時点で医療機関が「アルツハイマー型認知症」に対してとっている対応の実態です。

この先の対応は、「家族による介護」が期待されていて、それがいよいよ無理となったところで「施設での介護」と言うことになります。

       

「アルツハイマー型認知症」のお年寄りを抱えた「家族による介護」の現実はどうなのでしょうか。家族による介護が、書籍やテレビの報道などで美化されていることが多いのです(その理由はよくわからないのですが)このブログで何度となく指摘してきたように、医師がアルツハイマー型認知症であると診断したお年寄りは回復困難な末期段階の「大ボケ」のレベルなのです。処方される薬と言っても、そもそも「治す効果はないが、ケースによっては症状の進行が少し遅れることがある」として、医師から渡されているのです。家族が介護して「アルツハイマー型認知症」の病気が治るのであれば、どんなに大変な苦労を伴おうとも、介護に従事した家族には苦労にも増して喜びがあると思いませんか。私達は、「中ボケ」の後半から「大ボケ」のレベルの人達を家族が介護する様子を、日本全国でたくさん見てきました。現職を辞めて、自分の人生を捨てて、年老いた「アルツハイマー型認知症」の親を長期にわたって介護する娘さんや息子さん達。年老いた「アルツハイマー型認知症」の夫(妻)を介護する妻(夫)。「原因が分からないし、治る可能性もない」と医師から宣告された「アルツハイマー型認知症」のお年寄りの家族による介護。そうした介護に来る日も来る日も従事する家族の苦労は、筆舌に尽くしがたいとしか言いようがないのです。

       

専門家とされる人達(医師や研究者)は未だに、「アルツハイマー型認知症は、原因も分からないし、治らない病気」と考えています。そのため、「アルツハイマー型認知症」と診断しても、何らの説明も指導もアドバイスもしないのです。私達は、「アルツハイマー型認知症」は、廃用性症候群に属する「生活習慣病」であり、早期段階(「小ボケ」及び「中ボケ」)で見つけて「生活習慣」の改善により脳を活性化することができれば、治すことが出来る(脳の機能を正常レベルに回復させることが出来る)と考えています。更には、「アルツハイマー型認知症」は、脳を活性化する「生活習慣」を心がけることにより「予防」することもできると考えています。

第二の人生を、ボケとは無縁で自分らしくいきいきと生きるために不可欠な「生活習慣」を打ち立てるための「大原則」。ここからが、今日のテーマです。

「アルツハイマー型認知症」と言うタイプの認知症は、その本質が廃用性の異常な機能低下であるが故に、最も高度な機能である「前頭葉」の機能が異常なレベルに低下してくることが発病の最初の段階となるのです。言い換えると、脳全体の司令塔の役割を担っていて、私たちの意識的な世界を支配しコントロールしている「前頭葉」の働き具合が正常なレベルに在る限りは、「アルツハイマー型認知症」を発病することは絶対に起きてこないということなのです。従って、「アルツハイマー型認知症」の発病を予防する方法とは、「前頭葉」を活性化させる生活習慣の維持と継続と言うことになるのです。「前頭葉」を活性化させるには、「前頭葉」の三本柱の機能である、意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能の出番が多い「テーマ」を実践することなのです。特に、「注意の分配力」の機能の出番が多いテーマの実行が重要となるのです。

「左脳」中心、仕事偏重だった第一の人生とは生き方を変えて、第二の人生では、「右脳」重視の生き方への転換を図り、周囲の目を気にせず、自分らしさが前面に出るような生き方をして、自分がイキイキしていると感じられる脳の使い方(「生活習慣」)を毎日の生活の中に打ち立てることが「必要不可欠の条件」となるのです。「左脳」を中心に据えて、「周りの人達に負けまいと頑張って生きてきた」第一の人生での「生き方」に大きく舵を切って、「右脳」を中心に据えて、「他人は他人として、自分なりの生活の楽しみ方」を追求すること、「自分の置かれた状況を肯定して、自分なりに人生を楽しむ生き方」が、第二の人生では要求されるのです。「この生き方」こそが、「アルツハイマー型認知症」を予防する唯一無二の「特効薬」なのです。「キッカケ」となる状況が起きたときに、とくにこの考え方、生き方が必要となるのです。(その「キッカケ」となる状況の例示については、ここを[クリック]してください)。

      

「意欲」が自然と湧いて来るような自分なりのテーマ、「注意を集中」したり「注意を分配」したりする(複数の異なったテーマを同時並行して実行する前頭葉の機能 )ことができるだけ多い「テーマ」に取り組む中で、自分らしい「生き方」、自分らしい「生活の楽しみ方」を追及し、そうした暮らし方(「生活の仕方」)が「生活習慣化」するよう努力して欲しいのです。

一、熱中し、夢中になれる趣味や遊びをできるだけたくさん持つ

二、たくさんの友達とできるだけ親しく交わる

三、自分なりの生き甲斐や喜び、目標となるものを見つける

四、精神的な張りと適度に緊張感のある毎日を過ごす

五、散歩程度でも良いから、運動する機会を出来るだけ多く持つ

       

「アルツハイマー型認知症」は、脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」が異常なレベルに衰えてくることが発病の最初の段階(「小ボケ」)です。逆に言えば、前頭葉が正常に働いている(正常レベルにある)限り、「アルツハイマー型認知症」を発病することにはならないのです。

その「前頭葉」が生き生きと働いている状態を保つには、人生を自分なりに楽しむ「生活習慣」を組み立てて、「前頭葉」の出番が多い生活を心がけることが大切です。

趣味や遊びや人づきあいといった「右脳」重視の生活が、「前頭葉」の働きを活性化させ、或いは前頭葉の元気を取り戻させるのに最も効果的なのです。

趣味も遊びも人づきあいも苦手と言う人には、「運動の脳」からの刺激が意外と効果的です。一日一時間の速足での散歩が目標(5000歩が目安)となります。(ここをクリックしてください)

       

注1)日々の生活では、いつ何が起きるかわかりません。 「キッカケ」に例示してあるような「生活状況」が発生した時は、注意が必要です。ナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まらないよう、生活状況に負けない対策と工夫がとても大切になります。

注2)前頭葉の機能を正常なレベルに保っている限り、アルツハイマー型認知症の発病とは、無縁です。そのために不可欠なのは、前頭葉の3本柱の機能である意欲、注意集中力と注意の分配力が良く働くような「テーマ」を「生活習慣」として打ち立てることなのです。

注3)創意や工夫ができるなど前頭葉が正常レベルなのに、認知症が疑われるような重度の記憶障害の症状がある場合は、側頭葉性健忘症が疑われます。病院で前頭葉の働きのレベルも同時に検査してもらうことが必要です。

注)本著作物(このブログA-37に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。


 エイジングライフ研究所のHP(ここをクリックしてください)

                           

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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アルツハイマー型認知症の治療法は、「脳のリハビリ」(A-36)

2012-05-04 | アルツハイマー型認知症の治療方法

認知症にもいろんな種類があります。脳を養っている大小の血管の障害である脳梗塞や脳出血などが原因で発病する「脳血管性認知症」もあれば(認知症全体の4~5%程度)、遺伝子の異常が原因で若い年齢を対象として発病する「若年性アルツハイマー病」もあります(認知症全体の1~2%程度)。そのほかにもいくつかの種類の認知症がありますが、それらが認知症全体に占める割合は、極めてわずかなのです(或るテレビ局がいろいろなテーマでこうした認知症を取り上げていますが、その意図は良く分かりません)。取り上げて、国民的な課題にすべきなのは、「アルツハイマー型認知症」なのです。認知症の大多数、90%以上を占めているのが、「アルツハイマー型認知症」だからです。

             

「アルツハイマー型認知症」は、早期に発見すれば治せるし(脳の機能を正常なレベルに回復できる)、発病を予防することも出来るのです。これまで、認知症の専門家たちから「原因不明で、治らない」と言われてきた「アルツハイマー型認知症」は、「早期発見」、「早期治療」が大切な普通の病気だったのです。早く見つける程、回復する可能性が高いのです。

「軽度認知症」(小ボケ)で見つければ、簡単に治せます(回復容易)。

「中等度認知症」(中ボケ)で見つければ、手間はかかり大変だけど、家族の協力があれば何とか治せます(回復可能)。

「重度認知症」(大ボケ)で見つけたのでは、見つけても手遅れ、どんなに頑張っても治らないのです(回復困難)。

 専門家は、「アルツハイマー型認知症」の末期段階の大ボケの症状(特に、重度の記憶障害の症状)を物指しとして見つけます。それでは、見つける段階が遅すぎるので、せっかく見つけても治らないのです。もっと早い段階、回復可能な早期の段階(「小ボケ」及び「中ボケ」)で見つけられるように、見つける方法を変える必要があります。

             

このブログで「アルツハイマー型認知症」からの「回復の方法」と言うときは、「小ボケ」と「中ボケ」だけを対象として回復の方法を説明しています。「大ボケ」の段階にまで脳の機能が衰えてくると、正常レベルに回復させることは無理だからです。「中ボケ」の段階に回復させることさえも、相当に困難と言わざるをえません。理由は、「大ボケ」の段階にまで脳の働きが衰えてきていると、「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)の三本柱の機能(「意欲」、「注意の集中力」と「注意の分配力」)が殆ど働かなくなってきているので、どんな「生活改善」(脳の使い方としての「生活習慣」の改善)策を施しても、三本柱の機能がそれに反応することが出来ず、生活改善の実質的な効果が出てこないのです。

専門家(研究者や医師)は、早くこのことに気付いて欲しいのです。しばしば取り上げられる「老人斑」とか「神経原繊維変化」とかは、「アルツハイマー型認知症」を発症させる原因ではないのです。ナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続の下で、脳が加速度的な廃用性の機能低下を起こしていくことの副産物(結果)であって、原因ではないのです。その副産物(結果)を生み出す犯人として、アミロイドベータとかタウタンパクを追いかけている限り、何時まで経っても真犯人(原因)を見つけることが出来ないばかりか、解決策(治療の方法)を見出すこともできないのです。私達は、意識的に何かのテーマを実行するときの前頭葉を含む脳の働きとそのアウトプットとしての行為(症状)を「二段階方式」による神経心理機能テストを使って詳細に調べてきました。通常の正常なレベルから、正常下限のレベル、小ボケのレベル、中ボケのレベル、更には大ボケのレベルに至る経過についての極めて多数のデータの分析の結果(15000例に上るデータの解析結果は、N-38で報告します)から、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を継続したままでいて、飲むだけで、「前頭葉」を含む脳の機能が改善してくるような「薬」など存在するはずがない(開発できるはずがない)と考えているのです。私たちが活動を開始した1995年以来、いろいろな種類の薬が開発されてきましたが、未だにそのような脳の機能を改善させる効果のある「薬」は出現していません。(ここをクリックしてみてください)

アルツハイマー型認知症を治す(脳の働きを正常レベルに引き戻す)には、「前頭葉」の三本柱(「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」)の出番が多い生活に変えて、「前頭葉」の働きを活発にしてやることが不可欠なのです。「前頭葉」の働きを活発にするのに最も効果的な方法は、「右脳」をしっかり使う生活、趣味や遊びや人づきあいをしっかり「楽しむ生活」を送ることが不可欠になります。趣味や遊びや人づきあいなどを楽しむことで、自分なりに目標や喜びや生き甲斐があり、意欲が湧いてくるような毎日を過ごすのです。趣味や遊びや人づきあいといった「右脳」重視の生活が、「前頭葉」の出番を増やし働きを活性化させることになり、前頭葉の元気を取り戻せるので、脳全体の機能が回復してくるのです。

             

(コーヒー・ブレイク)  世間では、小学校の低学年レベルの「平仮名で書かれた文章の音読」や「一桁の足し算と引き算程度の簡単な計算」(これらは、共に「左脳」を使うテーマなのです)をすることが、脳の活性化に役立つとして提案されています。これに特化した生活を何カ月か継続させた(他の趣味や遊びを楽しむ生活を排除しないと評価が出来ないからです)お年寄りの「前頭葉」の機能レベルの変化(改善の有無)を神経心理機能テストで計測評価してみれば、効果があるのかないのかがはっきりとわかるはずです。このような程度のものでも、その作業をしているときには、関係する脳がそれなりのレベルで働くのは当たり前のことなのです。必要とされる脳機能の程度は低くても、「前頭葉が絡む意識的な世界」であることに変わりがないからです。その時の脳の作用を「fMRI」などを使って計測しても、それが「効果を証明することにはならない」のです。そのとき、そこに「意識的な世界」があり、関係する脳の機能が働いていると言うことを証明しているだけのことなのです。私達は、このようなレベルの「左脳」刺激の方法では効果が期待できないので、極力排除することにしています。

       

やるのが楽しくて、時間があっという間に経って、またやりたくなるような趣味や遊びや人づきあいを楽しむ、「右脳」がらみの生活とその仕方を工夫するのが大切です。それを実感できているときは、「意欲」が湧き出ていて、「注意が集中」していて、「注意が分配」できているからです。言い換えると、そうした時間は、「前頭葉の働きが極めて活性化している」時間と言うことなのです。脳全体の司令塔であり、最高次の機能である「前頭葉」の機能は、「左脳」や「右脳」や「運動」の脳に比べて、使われる機会が少なすぎるために起きてくる「廃用性の機能低下」により衰えていくとき、放物線を描くように加速度的に働きが衰えていくので、「小ボケ」よりも「中ボケ」の段階の方が、「中ボケ」よりも「大ボケ」の段階の方が回復させるのがより一層のこと難しくなってくるのです。「二段階方式」を導入している市町村では、「二段階方式」を活用して、認知症の「予防教室」に参加しているお年寄りたち全員の脳全体の機能レベル(前頭葉、左脳及び右脳)を定期的に検査し、所定の基準に基づき三段階に区分して評価(「改善」、「維持」及び「悪化」)しています。その評価の基礎データと評価結果とは、二段階方式の「管理ソフト」により、個人別及び地域単位別に集計され、「時系列管理」されています。極めて多数のデータの分析の結果から、上述した問題が確認されているのです。

             

皆さんの周りに気になるお年寄りがいるなら、とりあえず症状で、おおざっぱな判断をしてみてください。小ボケの症状(ここをクリックしてください)。 中ボケの症状(ここをクリックしてください)。「小ボケ」なら、回復は容易。「中ボケ」でも、回復は可能なのです。同居の家族が中心となって本人を支えつつ、関係する周りがそれを助けて、「テーマ」と「目標」を決めて、本人なりに毎日を楽しめる「生活習慣」を組み立て、実行させるのです。「テーマ」によっては(例えば、「速足の散歩」や「買い物」や「料理」、或いは本人が過去に楽しんでいた「趣味」や「遊び」)、家族が一緒に実行してあげると、より効果的です。

本人が過ごしてきた過去数年間の生き方、目標となっていた「テーマ」など、その「生活習慣」にさかのぼって検討するのです。本人が、、どんなことに「熱中」していたのか、どんなことなら「意欲」を持って取り組めていたのか、どんなことなら「てきぱきと処理」していたのかを調べてあげることが大切です。

       

「 仕事」一筋(左脳一辺倒の生活習慣)の人生を送ってきていて、「右脳」がらみの生活習慣である「趣味」も「遊び」も「人づきあい」も苦手だったと言う人には、「運動の脳」からの刺激が取り組みやすい上に意外と効果的なのです。 一日一時間の速足での散歩が目標(5000歩が目安)です。(ここをクリックしてください)

その場合も、散歩をするのが楽しくなるような「一工夫」が大切です。散歩するのに安全な場所を選び、散歩してみたくなるような場所を探し、家族や友人が談笑しながら一緒に歩いてあげると効果が一層大きくなります。

注)本著作物(このブログA-36に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

    エイジングライフ研究所のHP(ここをクリックしてください)

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「東日本大震災」の被災地における「地域予防」活動が重要(A-35)

2012-05-02 | アルツハイマー型認知症の予防活動

前回に説明した「アルツハイマー型認知症」が進行する期間に関する「原則」は、エイジングライフ研究所が多数の症例(アルツハイマー型認知症を発病するメカニズムを知らないため、ナイナイ尽くしの「単調な生活」がそのまま継続されていたケース)の実態を聞き取り、データを集めて分析して得られたものなのです。

「アルツハイマー型認知症」の最初の段階である軽度認知症(「小ボケ」)になってから以降の生活が基本的に変化しないでそのまま継続されていく場合(生活改善が行われないで、従来どおりの「単調な生活」が継続されていく場合)には、この原則に従って認知症の症状が進行していくその期間を述べたものです。この期間の原則は、多数例の分析結果によるため、とてもよく当てはまります。

      

もちろん実際の生活場面では、「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)の出番が増え、活性化するような楽しい「生活状況」の継続(家族や仲間と共に散歩や運動を楽しむ生活;家族とのイベントを楽しむ生活;趣味の教室へ通う楽しい生活;友人や仲間とのふれあいがある生活など)という要因があると、その楽しい生活の質と量とにリンクして「前頭葉」の三本柱(「意欲、注意集中及び注意の分配力」)の出番が増え働きが回復してくるので、「アルツハイマー型認知症」の進行が遅くなり、症状の悪化が止まり、或いは、症状が回復の方向に向かうのです。

逆に、「前頭葉」の出番が減り、不活性化するような辛く苦しい「生活状況」の継続(友人や趣味の仲間との別離; 趣味や遊びの会の中止;腰痛など身体の苦痛の進行; 自分自身の病気の発生;家族の病気や介護に自分の時間をとられてしまうような生活;大きな心配事の発生;家族内の大きなな問題;重大な災害に会うことなど)という要因があると、その辛く苦しい生活の質と量とにリンクして「前頭葉」の三本柱(「意欲、注意集中及び注意の分配力」)の出番が減り、働きが更に衰えてくるので、症状が悪化の方向に向かうのです。

      

エイジングライフ研究所では、脳の使い方としての「生活習慣」の改善の体験を目的とする「認知症の予防教室」の開催を市町村と地域とが共同して実行しつつ、「二段階方式」を活用して市町村(在宅介護支援センター、地域包括支援センターを含む)の保健師さんが定期的に予防教室参加者の脳の機能レベルを判定し、「生活習慣」の改善指導をするやり方の「地域予防活動」の実践1995年から指導しています。また、脳の機能レベルの定期的な判定及び三段階の評価結果(改善、維持、悪化)のデータは、「二段階方式」の管理ソフトにより、個人別及び地域別に管理されるようになっています。医療機関による「二段階方式」を活用した早期診断と回復は、「神経心理機能テスト」の保険点数が低すぎて事業としてペイしません。そうした状況の下では、市町村による自主的な活動に期待するしかありません。手をこまねいたまま何も対策を打たないで放置していると、更なる高齢化が進んでいく中で、「アルツハイマー型認知症」を発病する人の数は増加の一途をたどるだけとなります。

      

この場で問題提起したいのは、「東日本大震災」を被災した地域の60歳を超える「高齢者」に対する相応の対策が必要だということです。その人達は、前回の報告で提示した「生活状況」に直面したままで居るからです。そうした「生活状況」に直面しているお年寄りたちの中の多くは、それが「キッカケ」となって、生き甲斐や目標もなく、趣味や遊びや人づきあいも楽しめず、運動もしない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続している状況にあると思うのです。何も手を打たないでこの状態が継続したままでいると、「前頭葉」の三本柱(「意欲、注意集中及び注意の分配力」)の出番が極端に少ないので、「アルツハイマー型認知症」を発病することになるのです。大震災から1年が経過した現在では、「アルツハイマー型認知症」を発病した「小ボケ」レベルのお年寄りが相当数いるはずなのです。このまま手をこまねいていると、「小ボケ」レベルの人は「中ボケ」になり、身体がもつので最後は「大ボケ」になります。認知症の専門家とされる人達は、「重度の記憶障害」の症状を診断の重要な目安としているので、回復可能な早期の段階を見つけることはできません。(ここをクリックしてください)。「中ボケ」の後半から「大ボケ」のレベルになって初めて専門家たちが注目するようになるのですが、そのとき「余りの数の多さ」に驚くことになるでしょう。

     

「東日本大震災」を被災した高齢者達に注目してデータを集積していけば、今後数年が経過する中で、他の地域の高齢者たちとは明確に異なる、極めて高率での「アルツハイマー型認知症」の発病(新規の発病と症状の重症化の進行)と言う結果になると私達は考えているのです。そうしたデータが出てくれば、認知症の大多数を占める「アルツハイマー型認知症」は、廃用性症候群に属する「生活習慣病」であるという私達の主張が「疫学的に証明される」こととなるので、専門家たちもこれを認めることになると思うのです。その結果、「アルツハイマー型認知症は、原因不明で治らない病気」と考えていた専門家達の見方も変わることになり、市町村の保健師さんたちが雑音に惑わされることもなく、自信を持って「地域予防」活動をやれるようになるので、日本全体でみれば、大きな意味があると言えるでしょう。

しかし、それを待っていては遅すぎるのです。「東日本大震災」の被災と言う筆舌に尽くしがたい困難な状況にあるお年寄りたちに、その上に、「アルツハイマー型認知症」の発病と言う重荷を背負わせることになってしまうからです。私達の警鐘に出来るだけ多くの人達が気づいて、早く対応してほしいと願うばかりです。

注)本著作物(このブログA-35に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

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