認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

学者や研究者は、何時まで「迷路」を彷徨い歩くのか(B-24)

2014-11-15 | 記憶障害は発病の原因ではなくて結果

    彷徨えば 見れども見えず 霧の中

       迷路の鼠 追い続けつつ   By kinukototadao

 

&1 最近の報道  

〇 新聞記事の内容

あー、哀しいかな!「アルツハイマー型認知症」の専門家とされる学者や研究者は、どうしてこんなに「因果関係」と言うテーマに無関心なのでしょうか。

 またしても、アミロイドベータなのです。いつまで、資金と時間と人材の無駄遣いを続けるつもりなのでしょうか。因果関係が未だに立証されてもいない単なる仮説でしかないアミロイドベータ仮説が独り歩きして、いつの間にか実証されているかのような誤解を生じさせ、ひいては、市町村による「地域予防活動」の展開の制度化が遅れていくことになりかねないのです。

 1111日付の日経新聞に‹アルツハイマー病 前兆、血液で把握›の見出しのもとに、次のような紹介記事が載っていたのです。

 認知症の症状が出る前に血液でアルツハイマー病の前兆を捉える検査法を開発したと、国立長寿医療研究センター(愛知県)と島津製作所〈京都市〉の田中耕一シニアフェローらのチームが11日付の日本学士院発行の専門誌に発表した。アルツハイマー病は脳内にアミロイドベータというタンパク質が異常に蓄積するのが原因の一つと考えられている。チームは、6585歳の男女62人の脳の状態を陽電子放射断層撮影装置(PET)で観察し、アミロイドベータの蓄積状況を確認。その後それぞれの血液を分析した。田中氏らが開発した質量分析装置を使い、従来は検出できなかったアミロイドベータに関連する微量のタンパク質を検出した。このタンパク質と、別のアミロイドベータ関連タンパク質との比率から、アミロイドベータが蓄積しているかどうかを高精度で判定することができたという≪全文引用。以下、省略≫。

 

そもそも、アミロイドベータ説と言うのは、脳内に蓄積したアミロイドベータというタンパク質の毒性の作用により老人斑と呼ばれるシミ状のものを生成させ、情報を伝達する役割を担っている神経線維を死滅或いは減衰させることにより「記憶障害」の症状を惹き起こすことにより、「アルツハイマー型認知症」を発病させるという仮説なのです。但し、この説は、脳内に蓄積したアミロイドベータというタンパク質の毒性の作用により生成される「老人斑」と呼ばれるシミ状のもの(原因)が「アルツハイマー型認知症」を発病させる(結果)という主張を展開していながら、一番肝心な原因と結果との間の「因果関係」を未だに実証できないでいる単なる「仮説」に過ぎないのです。

主張されている両者の間に因果関係が存在しないのであれば、今回発表された「手法」に、何の価値もないのです。莫大な資金と膨大な時間と多くの人材の投入に意味がない、「無駄遣いだ」と私が主張する根拠は、そこにあるのです。

 

〇 アミロイドベータの蓄積量、蓄積する部位と物忘れの症状を中心とした「記憶障害の症状」とのリンクがターゲットとなるか

たくさんのデータを集積して、その中から一定のパターンを選択して、早期診断の基準を策定したところで、何の意味もないのです。

それが、「アルツハイマー型認知症」の初期症状とリンクしたものではないからです。

 アミロイドベータが脳内に蓄積するメカニズムさえも未だに解明されていないのです。仮説が独り歩きしている内に、まるで仮説ではなくなったかのような扱いを受けるようになってしまっているのです

&2 「記憶障害」は、発病の結果起きてくる症状であって、発病の原因(第一の要因)ではないのです。

詳しい説明については、(ここを「クリック」してください)。

 注)本著作物(このブログB-24に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。


   エイジングライフ研究所のHPを「クリック」してください)

          脳機能からみた認知症(IEでないとうまく表示されません

 

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アルツハイマー型認知症の症状と記憶障害との関係 &4(B-23)

2014-11-01 | 記憶障害は発病の原因ではなくて結果

     

     規則性 脳の衰え その流れ

             高きものから 低きものへと     By kinukototadao

 

&1:「記憶障害」を発病の第一の要件と考える重大な誤り-補足

今年のノーベル生理学・医学賞に関連する報道について

「脳の空間認知機能」をラットを使って解明した業績に対して、今年のノーベル生理学・医学賞が授与されたとの報道に際し、その報道では、受賞の対象となった「場所細胞やグリッド細胞」を調べることで、「アルツハイマー型認知症」の末期の段階(私たちの区分で言う「重度認知症」の段階)にまで症状が進行した人達が、何故道に迷うのかを解明できる可能性があるとの指摘がされていました。

その指摘をしている人は、「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)の働きのことを全く知らないか、或いは単なる早とちりに過ぎないことを、以下に説明しておきたいと思うのです。勿論、私達人間の進化の過程では、ラットのそれに似たような機構能力を獲得していた時期もあっただろうと思うし、今なお、その残滓が垣間見えるような、空間認知能力に極めて長けた人達がいることを否定するものでもありませんが。ラットがエサを探してうろつき回るために必要な限度で脳内に持っているとされる地図の空間の広さと私たち人間が生活していく上で蓄積し活用している地図の空間の広さとは比較すること自体が無意味だと言いたいのです。

ラットの場合は、場所細胞とグリッド細胞との協働だけで十分なのかも知れませんが、私達人間の場合は、「前頭葉」と左脳、右脳及び運動の脳との協働と言う作業が不可欠になるのです。そこのところが、「前頭葉」と言う機能を持たないラットとは根本的に異なることを指摘しておきたいのです。

これまで、「アルツハイマー型認知症」の症状発現の第一の要因を「記憶の障害」と考えることの誤りについて、三回にわたり、このブログで説明してきましたが、この報道のような誤った方向で今後の研究が進まないためにも、再度、このテーマをここで取り上げておく必要があると考え、今回この「テーマ」を追加したのです。 

 

     

 ラットにはなくて、人間だけに備わる「前頭葉」の機能とその役割

ダイニングテーブルの私用の定番の席に座って、窓越しに外の景色を眺めていたのです。窓の外の景色はと言うと、手前に一本の大きな花水木の木があって、その向こうにプールがあって、更にその向こうにはサンゴ樹の生け垣があるのです。その景色を集中力を緩めて、更には落としてしまって、「意識度」自体が極めて低くなった状態、「意識」がぼーっとした状態のままで眺めていると、それら三つの景色全体が一体化しているように映るのです。夫々の「遠近感」が薄れると共に、木々の葉の「色の濃淡」の違いまでもがはっきりしなくなってくるのです(ここを「クリック」してください)。

それとは逆に今度は、花水木に注意を集中し意識を高めてみると、花水木全体の姿かたち、全体としての葉の部分とその濃淡、更には、少し色づき始めてきた葉の部分等の区別までもがついてくるのです。こうした現象は脳の中の何がどのように関与することで起きてくるのか。それは「前頭葉」の働き、もっと言えば「前頭葉」の三本柱の機能である、意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能の発揮度が起こさせている現象なのです。

脳の司令塔の役割を担う「前頭葉の各種個別の認知機能の働き具合が三本柱の機能の発揮度に左右されているというメカニズム、私たちが「二重構造」と名付けている脳の機構なのです。このことに、世界中の「認知症」や「脳科学」の専門家達が気づいて欲しいのです。その問題提起が、今日の「テーマ」です。このテーマを研究していけば、「アルツハイマー型認知症」と言うタイプの認知症は、廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」であることに気づくことになるからです。


     

〇 「アルツハイマー型認知症」の末期の段階(私たちの区分で言う「重度認知症」の段階)にまで「症状」が進行した人達が、「何故」道に迷うのか及び「どのような段階を経て」徘徊に至るのかについて、具体的に分かり易く説明する為に、私のもう一つのブログである「脳機能から見た認知症」(2014-04-18から引用したものが、以下の内容です。


       

&2:正常な状態から認知症への移り変わり-突然徘徊したりするようにはならないのです!?

「突然、徘徊はしません」と前回のこのブログで強調しました。関係する「脳の機能」の面から言うと、「所の見当識」に関しても、ごく軽い症状から徐々に重い症状へと進行していくものなのです。それは、「前頭葉」の機能、就中、「前頭葉」の三本柱の機能の廃用性の機能低下に起因する症状だからです。

 ※ 或るテレビの番組では、付き添いの「家族」が不思議なことを言っていました。

「ほんとうに、突然徘徊を始めたんです」と家族の発言。

  ⇒ あり得るかどうか、今日のブログを読んで判断してください。

 徘徊を始める直前のサインとしては、食欲不振・感情が不安定になると、これまた、その家族の発言です。

  ⇒ このサインだけで、「徘徊」につなげるのは難しいと思うのですが。

 更にその家族から挙げられたサインは、「同じものを大量に買う」でした。

※ この症状は、そもそも「小ボケ」の段階で始まる症状なのですから、末期の段階である「大ボケ」の段階に至る前駆症状ではありますが、そこから「徘徊」に到達するには、なお数年以上の経過が必要となるのです。


    

&3:さあ、「正常老化」(脳の機能面からいうと、「前頭葉」の機能が未だ正常なレベルにあること)ではないことが起きてきた時(「前頭葉」機能の加速度的で、且つ異常な機能低下に起因する「アルツハイマー型認知症」の症状が発現してきた時)、「所の見当識」に関してどんなことが起きるのか、段階を追って次第に重くなっていくその症状の具体的な事例を挙げつつ、以下に詳しく説明していくことにしましょう。

※ 「軽度認知症」(小ボケ)になってくると、普段行き慣れているところに行くときに、失敗が起きてくるのです。

例えば、隣町に嫁に行った娘のところに行くのに、午前中に着くはずなのに昼過ぎになってしまうようなことが起きてくるのです。

理由を尋ねると、「ちょっとお土産を買うのに戸惑ってしまって」等と言ったような言い訳をするけれども、「特別目新しい品物を買った様子はない」のです。

(電車やバスに乗るときに:

「出発しそうだったから、行き先をよく確かめずに飛び乗ったら、行先が違っていた」ということもよく耳にします。

◇それなら何故、終点まで気づかずに乗っていたのでしょうか?

途中で気づいて、直ぐに降りて乗り換えていたら、こんなに時間はかからなかったでしょうに・・・

◇もちろん、例えば便数の少ない電車やバスに乗り遅れたというような理由もあるでしょうが、「正常な人」の場合のうっかりミスとは異なり、「小ボケ」になっている人の場合には、びっくりするほど「同じような失敗を繰り返す」のです。

◇普通のお年寄り(「前頭葉」を含む脳の機能が正常なレベル)だと、(「前頭葉」が働くので)失敗したら「今度こそ気をつけよう」と失敗を繰り返さないように気を付けるはずですよね。


    

◆ 同じ「小ボケ」の段階ながら、次のステップとしては、帰宅するときにも同じような失敗を起こすようになります。

◇我が家ですから、文字通り慣れたところですよね。この時も説明というか言い訳はスムーズで、それを聞いているとついうなずいてしまうほどなのです。

(このような失敗を繰り返すうちに、だんだん外出そのものが減っていきます)。

(さらに次の段階になると、失敗した時に、自力でリカバリーできなくなります)。 

◆これまでに挙げた事例は、間違えながらも、どうにか目的は達することができますが、次の段階ではパニックになってしまって大騒ぎを引き起こします(正常レベルであっても、間違えたり、迷子になったらパニックになってしまいそうになりますが、そんなときこそが、「前頭葉」の出番となります。正常レベルであれば、状況に対応することができ、パニックにはならないのです。

◇もう一度初めからやり直したり、人に尋ねたり、とにかく落ち着こうとしますね。

 

    

&4:そして、「アルツハイマー型認知症」の次の段階、私たちの区分で言う「中等度認知症」(中ボケ)の段階になると(この段階は、専門家達からは単なる「老化現象」の域、「正常」といわれていることが多いのですが。)本格的に外出してトラブルを起こすことは、ほとんどなくなります。 

◇一つには、本人が出たがらなくなること及び家族も心配で独りで外出させないようにするからです。家族の言葉によると「幼稚園の子をひとりで電車やバスに乗せられない」のと同じレベルなのです(「中ボケ」は、一言で言えば、良い訳のうまい幼稚園児なのです)。 

◇だから、このようなトラブルの舞台は、近所のスーパーのようなところになります。あるいは、親戚の家やその近所の本来ならよく知っているはずの場所で起こすことになるのです。自分の家(家への道)を正確に相手に伝えられなくなります。

こういう出来事と並行かちょっと先行して、自宅の説明ができなくなります。誰かに車で自宅まで送ってもらうとき、自宅へ行く道を的確に説明できなくなります。

◇普通の大人は、「あの木のところまではまっすぐですが、次の信号を左折して、4軒目の赤い屋根の家」のように言えるものなのです(同じ「中ボケ」の段階ながら、次の段階に入ると、「家の近所」で「迷子」になって通りがかった人から連れてきてもらうようなことを起こすようになります。

 

    

&5:次に述べるのが、末期の段階である「重度認知症」(大ボケ)の段階に入ってからの症状です。

◇夕方になると、そわそわとして落ち着かなくなったり、逆にボーっとして外を眺め続けていたりします。

◇人によっては、荷物を作ったり(それも、下着や何故このようなものが必要なのか、よくわからないようなボロ布)ほどいたりといったことをするようになります。これは 、おばあさんに起きることです。

◇ここは自分の居場所ではないと感じているらしく、落ち着いていられなおのです。例えば、実家などをイメージしているのでしょう。その時には、本人に年齢を尋ねると必ず若くなっていて、20歳等と結婚前の年齢を答えることもあります。

◇家族が仕事から帰ってくると、「(実家に)帰らせていただきます」と言い張るために、「まず車に乗せて、近所を一回りドライブして、落ち着かせないと家事ができない」と訴えるお嫁さんもいます。

◆こういう「事件」が何度も繰り返されて(その間、脳の廃用性の異常な機能の低下が進行しているのですが)、その挙句、「帰ってこない!」、「どこに行ったのかわからない!」という「徘徊」デビューの日を迎えることになるのです。

確かに、初めて「徘徊」を始める日はあります。

◇でもその前に、普通に元気にイキイキとした生活を送っていた人が、突然「徘徊」することはないのです。 上述のステップを見落としていただけなのです。

◇警察に届けて、田舎なら消防団に依頼して山狩り・・・

それを繰り返すと、警察からは注意を受ける(叱られる)し、ご近所にも迷惑をかけるし・・・

◇「寝たきりになって、楽になりました」という言葉も、家族からよく聞きますね。どうしてここまで待ってから、施策を考えるのでしょうか?それぞれの段階で、なすべきことがありますし、早いほど効率もいいのです。

 

    

&6:専門家達は、何故に、「マウス」を追いかけまわしているのか

〇私たち人間の「意識的な世界」を支配し、コントロールしている「前頭葉」の働きとそのメカニズム

額のところにある「前頭葉」は、脳の最高次の機能です。運動の脳、左脳及び右脳を統括し、「脳全体の司令塔の役割」を担っています。「左脳」が「デジタルな情報の処理」を実行するときも、「右脳」が「アナログな情報の処理」を実行するときも、「運動の脳」が「身体を動かす」指令を出すときも、三頭立ての馬車(左脳、右脳、運動の脳の三頭の馬)の御者の役割をしている「前頭葉」の全般的なコントロールと指示なしには、勝手には働かない仕組みになっているのです。三頭の馬のどれかが働くときには、必ず「前頭葉」による、支配、関与、判断とその指示があるのです。言い換えると、「前頭葉」が三頭の馬を主導し、コントロールしつつ、同時に協働して働くというのが、意識的な思考や行為の下で人間の脳が働くときのメカニズムなのです。ついでに付言しておくと、脳の機能構造的には、三頭の馬は「前頭葉」による支配、コントロールの下に置かれつつも、その一方で、相互に連絡し、連携し合ってもいるのです。脳梗塞により「左脳」が重篤なダメージを受けて言葉が出てこなくなった(日常会話が出きなくなった)状態の歌手が、自分の持ち歌を見事に歌いこなすのがその例です。

 ところで、脳の司令塔の役割を担う「前頭葉」には人間に特有な数多くの高度な機能が備わっています。その「個別の機能」とは、興味、関心、観察、分析、考察、洞察、推理、理解、発想、企画、計画、工夫、創造、予見、シミュレーション、整理、機転、抑制、忍耐、感動及び判断等の認知機能(A)並びにそれらの認知機能を発揮する上での「機能発揮度」の基礎となる「三本柱」の機能ともいうべき「意欲」、「注意集中力」及び「注意分配力」の機能(B)及びそれらに加えて最終的な実行内容を選択し決定する上で不可欠な機能である「評価の物差し」としての「評価の機能」(C)などに区分されます。       


     

&7: 「アルツハイマー型認知症」の段階的な症状は、「前頭葉」を含む脳の働きが廃用性の加速度的な機能低下により、次第に機能しなくなっていく事のアウトプットに過ぎないのです

〇「脳を使う」ということは、私たちが意識的に何かの「テーマ」を実行することを意味します。

意識的に何かの「テーマ」を実行する際の「脳の機能レベル」(働き具合)を考えるには、「前頭葉」の(A)、(B)及び(C)の機能が常に協同しつつ、「左脳」、「右脳」及び「運動の脳」をコントロールしながら働いていることに注意を向ける必要があります。脳の機能レベルが「症状」として発現してくる程度或いは態様は、(Bに下支えされたA及びCの機能の働き具合)としての「前頭葉」の各認知機能と「左脳、右脳及び運動の脳」の各々との協働による「相乗効果」としての脳全体の機能レベルに直結したもの、リンクしたものとなるからです。「前頭葉」を含む「脳の機能レベル」が正常であれば、そのアウト・プットは置かれた状況に照らして適切或いは的確な「言動」や「行動」となり、「脳の機能レベル」が異常であれば、そのアウト・プットは置かれた状況に照らして不適切或いは異常な「言動」や「行動」(「アルツハイマー型認知症の症状」)となるのです。

〇 「前頭葉」の働きの衰え方、廃用性の機能低下が症状発現の震源地 

「意識的な世界」におけるこうした脳の働き方のメカニズムに着眼して、「二段階方式」と呼称する精緻な神経心理機能テストを活用して、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルと直結した症状について極めて多数で且つ精緻な脳機能データを私たちは集積してきたのです。そうしたデータの解析により、「前頭葉」の機能レベルが異常なレベルに衰えてきたときは、たとえ「左脳」、「右脳」及び「運動の脳」のすべてが正常な機能レベルにあろうとも、それらの機能レベルの総体としてのアウト・プットである思考や、言動や行為や行動のすべてがもはや正常なものではありえないことを確忍しているのです。「意識的な思考や行為の世界」では、すべての思考、行為、言動及び行動、或いは身体の動静が、脳全体の司令塔である「前頭葉」がコントロールしているので、その働き具合(「前頭葉」の機能レベル)をそのままに反映したアウト・プットになるということなのです。

「アルツハイマー型認知症」発病の直接の原因(60際を超えた年齢の高齢者であることが「第一の要因」であり、ナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続が「第二の要因」)並びに症状進行の原因は、使われる機会が極端に少ないことに起因する廃用性の加速度的で異常な脳機能の低下にあるので、「iPS細胞」といえども、残念ながらその出番はないのです。前回のブログで、空気ポンプの機能を例に挙げて、説明した個所をもう一度読み返してみてください。iPS細胞の活用により、ゴム管に相当する部分の機能の或る程度の改善は期待できるにしても、空気を押し出してやる部分の機能の改善には役立たないのです。そこのところを、iPS細胞の応用の道を研究している人達が、勘違いしないようにと願うのです。それよりも、「東日本大震災の被災地の高齢者」という言葉が、この先1~2年もすると、「アルツハイマー型認知症」発病のキーワードとされることになるのです(ここを「クリック」してください)。

    

〇 「家族介護」の制度化に対する警鐘と問題提起

「家族介護」と言っても、「小ボケ」や「中ボケ」の段階までのお年寄りの家族介護であれば、納得がいくのです。家族の献身的な協力(但し、この場合は、介護ではなくて、「脳のリハビリ」に対する協力のことなのですが)があれば、「小ボケ」の段階であれば容易に正常なレベルに回復させることができるし、「中ボケ」の段階であっても未だ回復させることが可能だからです。家族もまた達成感を覚えることができ、報われるのです。ところが、「大ボケ」の段階にあるお年寄りの、家族による介護は意味も状況も全く異なるのです。「大ボケ」の段階にまで脳の機能が衰えてきてしまうと、どんなに手を尽くしたところで回復させることは困難になるからです。どんなに心を尽くして介護しても、報われることはなく、何らかの病気で死を迎えることになるまで「前頭葉」を含む脳の機能低下が進行していくだけなのです。症状が更に重くなっていくだけなのです。「中ボケ」に回復させることさえできなくなるのです。

「大ボケ」の段階に入ってしまうと、「家族介護」に負の連鎖が起きてくるのです。「大ボケ」の段階のお年寄りを、これまたお年寄りが(通常の場合は、所謂、連れ添いが)介護している場合には、そのお年寄りもまた、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を日々強いられる状況の中で、「前頭葉」を含む脳の廃用性の異常な機能低下を進行させていくことになるからです。つまり、その先には、連れ添いの人にもまた、「アルツハイマー型認知症」の発病が待っていることになるのです。巷間既に言われているところの、「認認介護」が起きてきてしまうのです。家族介護の制度化を考えてきた人たちは、この問題に深く留意して欲しいのです。

本当の意味での早期の段階である「小ボケ」及び「中ボケ」までの段階で「アルツハイマー型認知症」を見つけて正常なレベルに回復させる施策の制度化を実現し、「大ボケ」の段階のお年寄りについては、「介護保険」を必ず適用することを制度化して欲しいのです。「介護保険」の財政面が気になるのであれば、市町村と地域住民との協働による「アルツハイマー型認知症」の「地域予防活動」を制度化すれば良いのです。必ずおつりが出て、余りさえ出てくることになるのですから(ここを「クリック」してください)。   

 

    

&8「アルツハイマー型認知症」は、脳の使い方としての「生活習慣病」に過ぎないのです

 これまでに何度もこのブログで指摘してきているように、60歳を超えた年齢の「高齢者」がナイナイ尽くしの「単調な生活」(生き甲斐なく、趣味なく、交友なく、運動もせず、目標もない生活のことを私たちはこのように表現しています)を継続している限りは、新聞報道にあったような「ホップのエキスを混ぜた水」を含むどんな種類の「薬」を飲ませようとも(或いは、どこかの食品メーカーが研究しているとか言う栄養補助食品を摂取しようとも)、「アルツハイマー型認知症」の症状の進行を抑えたり、治したりといった治療効果も、或いは発病の予防効果も期待できるはずがないというのが私たちの考えなのです。私たちが、20年間にわたる市町村での「地域予防活動」で実践してきたその成果としての極めて多数の「脳機能データ」により確認できているように、「アルツハイマー型認知症」の本質は、廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」だからです(脳の使い方という視点からいう生活習慣病)

  「アルツハイマー型認知症」発病の原因(2つの要件)

60才を超える年齢の「高齢者」であること(私たちが定義する「第一の要件」)とナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続(私たちが定義する「第二の要件」)との相乗効果により、「前頭葉」を含む脳全体の機能が加速度的に異常なレベルに衰えてくることを直接の原因として「アルツハイマー型認知症」を発病するのであって、老人斑に関わりがあるアミロイド・ベータとか(アミロイド・ベータ説)、神経原繊維変化に関わりがあるタウ蛋白とか(タウ蛋白説)、脳の委縮とか(脳の委縮説)が、「アルツハイマー型認知症」を発病させる直接の原因ではない(以前のこのブログで指摘し問題提起したように、「解剖所見」で確認されるそれらのいづれもが「副産物」である。ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続する下で、「前頭葉」を含む脳全体の機能が加速度的に異常な機能低下を進行させていった末期の段階、私たちの区分で言う「重度認知症」の段階にまで脳の機能が衰えていき、且つそうした状態が何年間も継続した「結果」としての産物である。)と考えているのです。

 「前頭葉」は言うに及ばず「左脳」さえも備わっていない動物の、更に言えばその中でも下等な部類に属する動物である「マウス」とやらの行動ばかりを追って、そのデータを元に生きた人間の脳の働き方を類推するやり方では、何時まで経っても真実は見えてこないのです。生きた人間の「意識的」な世界を支配しコントロールしている「前頭葉」の働きの研究、特に、その機能の「正常老化の性質」及び個別の機能の発揮における「二重構造の問題」並びに加速度的で、且つ異常な廃用性の機能低下と言う「テーマ」にこそ目を向けてほしいと切に願うのです。

〇 あー、嘆かわしや! 

今日も、「東日本大震災」の被災地に居住する60歳を超える年齢の高齢者たちの間に「アルツハイマー型認知症」を発病する人たち(「小ボケ」の段階)、症状が次の段階に進行している人たち(「中ボケ」の段階)、更には症状が進んで末期の段階に(「大ボケ」の段階に)入ってきた人達が、日本の他のどの地域のお年寄りと比較した場合にも異次元と言える程の割合で、且つ驚くほどの多人数出てきているというのに。学者や製薬会社の研究者や医師など、「アルツハイマー型認知症」の専門家と言われている人達の誰一人として、並びに新聞社やテレビ局や雑誌社等のいずれのマスコミも、未だに何等かの調査をしようとも、騒ぎ立てようともしていないのです。そうした状況に何等の対策も打たず、対応も行おうとせず、放置したままで居て、末期の段階になって出てくる「大ボケ」の段階の人達の症状である「徘徊対策」が、重要な施策であるかのように誤解して、我が国が主催する国際会議で首相にそんなレベルの対応を自慢げに語らせるなどの愚行を演じさせないで欲しいのです。「アルツハイマー型認知症」は、廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」であり、早期に発見すれば回復させることが出来るし、予防することも出来る病気だからなのです。 アミロイドベータの蓄積は副産物であって、発病の原因ではないのです。記憶の障害は、発病の二次的な症状であって、第一次的な要因ではないのです。

良いのですか、このまま放置しておいて(ここを「クリック」してください)。 

     

 注)本著作物(このブログB-23に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

      エイジングライフ研究所のHPを「クリック」してください)

       脳機能から見た認知症

        

 


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