地球表面の大気や海水の平均温度が、長期的に見て上昇する現象を地球温暖化(現象)といっています。
生物の生態系の変化や、海面上昇による陸地の水没といった、気温上昇に伴う2次的な問題まで含め、人類の生活(生存)に極めて大きな影響がある、と言われているのです。
ことに近年観測されている20世紀後半からの温暖化については、現在、将来の人類や環境へ与える悪影響を考慮して、さまざまな対策が立てられ、実行され始めています。
限りなく進む温暖化
最近頻繁に取り上げられる京都議定書というのが、温室効果ガスを減らすことを国際的に定めた、たった一つの約束です。しかし最近までは、各国に約束を守らせる力をもっていませんでした。
アメリカのブッシュ政権が京都議定書から離脱したのが、その最も大きな障害でした。
しかし、その後の関係者たちの努力により、2004年11月4日にロシアが批准。その結果、25条に定められている、①条約の締約国55カ国以上、②1990年における先進国の、二酸化炭素排出量の55%を占める先進国の締結、という2つの発効要件を満たし、その90日後の2005年2月16日に国際法として発効したのです。
しかしこれは2012年までしか定めがありません。13年以降が大きな焦点になっています。
面倒な話はさておき、地球の温暖化を進める温室効果ガスの中で、効果が一番大きいのはフロンやメタン、亜鉛化窒素だと言います。しかしこのガスの排出量はごくわずかで、割合を見ると二酸化炭素(炭酸ガス)が9割以上を占めていますので、温暖化への影響としては主として二酸化炭素を取り上げている、というわけです。
限りなく進む温暖化現象によって、北極の氷はあと30年で溶けてしまうといいます。そしてこのまま温暖化が進むと、ホッキョクグマやアザラシが激減して、やがて絶滅すると考えられるそうです。そのほか、世界中の生態系が大きく変わってしまうことでしょう。
やがて東京、ロンドンも水没?
しかしそれだけではありません。海水面の上昇によって、水没する都市(国)が頻発し、大問題になるというのです。
石原慎太郎・東京都知事が、産経新聞(2008.1.7)に「日本よ」と題して文章を寄せています。一部をご紹介します。
「NASAのジェイムス・ハンセン教授の指摘によると、このままあちこちの氷が解け続け大洋の水位が高まっていけば、今世紀末には大洋の水位は5メートル高まるだろうと。とすればその行程の半ばででも、30、40年先には東京、上海、ロンドン、ニューヨーク、シドニーといった世界の臨海の大都市は半ば水没してしまおう」
そのあと、いまや水没しかけている赤道に近いツバル(英連邦王国のひとつ)を視察したときのことを述べ、これらの国はそれを待たずに水没消滅し、回復することはあるまいと述べているのです。
ツバルだけではありません。赤道近くのバヌアツ、フィジーそのほか水没が時間待ちの国が数多くあります。しかもこれらの国は、堤防を築いても海水の侵入を防ぐことができません。
なぜでしょう。その国土は「島」ですが、その島は珊瑚礁からなり、その土地は珊瑚が砕けた砂でできています。ですから、たとえ周囲を堤防で覆っても、満潮時になると地面から海水が湧き上がってくるのです。しかも標高が極めて低いため、満潮時には街の中で膝まで水が上がるというところもすでにあるようなのです。
オーストラリアなどの近隣へ、移住を要請した国もあります。しかしこの問題は、そうやすやすと受け入れられるものではありません。遅々として進まない現状をテレビで見たことがあります。
学者はさまざまな説を唱えています。
南極・北極だけではなく、世界の山の雪が溶け出したら、海面は今より70メートル上昇する、という恐るべき論文を目にした記憶もあります。
中には「南極の氷床は広範囲には融解しない」(毎日新聞 2008.1.11)と国連の「気候変動に関する政府間パネル」が予測するなど、手探りの部分も多くあるようです。
しかし温暖化が刻一刻近づいているのは間違いのない事実です。この危機を実感している人が、果たしてどれほどいることでしょう。
三車火宅の譬えという言葉があります。自分の身に迫りくる火事に気がつかず、遊び戯れえている子供の姿を譬えたものです。タイタニック号が、やがて氷山に激突して沈没するのに気がつかず、船内で遊び興じている人たちのようです。
私たち1人1人がこの温暖化にどう対処するべきか、今こそ真剣に取り組むときではないでしょうか。(次回に続く)
生物の生態系の変化や、海面上昇による陸地の水没といった、気温上昇に伴う2次的な問題まで含め、人類の生活(生存)に極めて大きな影響がある、と言われているのです。
ことに近年観測されている20世紀後半からの温暖化については、現在、将来の人類や環境へ与える悪影響を考慮して、さまざまな対策が立てられ、実行され始めています。
限りなく進む温暖化
最近頻繁に取り上げられる京都議定書というのが、温室効果ガスを減らすことを国際的に定めた、たった一つの約束です。しかし最近までは、各国に約束を守らせる力をもっていませんでした。
アメリカのブッシュ政権が京都議定書から離脱したのが、その最も大きな障害でした。
しかし、その後の関係者たちの努力により、2004年11月4日にロシアが批准。その結果、25条に定められている、①条約の締約国55カ国以上、②1990年における先進国の、二酸化炭素排出量の55%を占める先進国の締結、という2つの発効要件を満たし、その90日後の2005年2月16日に国際法として発効したのです。
しかしこれは2012年までしか定めがありません。13年以降が大きな焦点になっています。
面倒な話はさておき、地球の温暖化を進める温室効果ガスの中で、効果が一番大きいのはフロンやメタン、亜鉛化窒素だと言います。しかしこのガスの排出量はごくわずかで、割合を見ると二酸化炭素(炭酸ガス)が9割以上を占めていますので、温暖化への影響としては主として二酸化炭素を取り上げている、というわけです。
限りなく進む温暖化現象によって、北極の氷はあと30年で溶けてしまうといいます。そしてこのまま温暖化が進むと、ホッキョクグマやアザラシが激減して、やがて絶滅すると考えられるそうです。そのほか、世界中の生態系が大きく変わってしまうことでしょう。
やがて東京、ロンドンも水没?
しかしそれだけではありません。海水面の上昇によって、水没する都市(国)が頻発し、大問題になるというのです。
石原慎太郎・東京都知事が、産経新聞(2008.1.7)に「日本よ」と題して文章を寄せています。一部をご紹介します。
「NASAのジェイムス・ハンセン教授の指摘によると、このままあちこちの氷が解け続け大洋の水位が高まっていけば、今世紀末には大洋の水位は5メートル高まるだろうと。とすればその行程の半ばででも、30、40年先には東京、上海、ロンドン、ニューヨーク、シドニーといった世界の臨海の大都市は半ば水没してしまおう」
そのあと、いまや水没しかけている赤道に近いツバル(英連邦王国のひとつ)を視察したときのことを述べ、これらの国はそれを待たずに水没消滅し、回復することはあるまいと述べているのです。
ツバルだけではありません。赤道近くのバヌアツ、フィジーそのほか水没が時間待ちの国が数多くあります。しかもこれらの国は、堤防を築いても海水の侵入を防ぐことができません。
なぜでしょう。その国土は「島」ですが、その島は珊瑚礁からなり、その土地は珊瑚が砕けた砂でできています。ですから、たとえ周囲を堤防で覆っても、満潮時になると地面から海水が湧き上がってくるのです。しかも標高が極めて低いため、満潮時には街の中で膝まで水が上がるというところもすでにあるようなのです。
オーストラリアなどの近隣へ、移住を要請した国もあります。しかしこの問題は、そうやすやすと受け入れられるものではありません。遅々として進まない現状をテレビで見たことがあります。
学者はさまざまな説を唱えています。
南極・北極だけではなく、世界の山の雪が溶け出したら、海面は今より70メートル上昇する、という恐るべき論文を目にした記憶もあります。
中には「南極の氷床は広範囲には融解しない」(毎日新聞 2008.1.11)と国連の「気候変動に関する政府間パネル」が予測するなど、手探りの部分も多くあるようです。
しかし温暖化が刻一刻近づいているのは間違いのない事実です。この危機を実感している人が、果たしてどれほどいることでしょう。
三車火宅の譬えという言葉があります。自分の身に迫りくる火事に気がつかず、遊び戯れえている子供の姿を譬えたものです。タイタニック号が、やがて氷山に激突して沈没するのに気がつかず、船内で遊び興じている人たちのようです。
私たち1人1人がこの温暖化にどう対処するべきか、今こそ真剣に取り組むときではないでしょうか。(次回に続く)