こんな気持ちでいられたら・・・一病理医の日々と生き方考え方

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病理医になるには(1/3)・・・病理診断科にかかわる人

2016年02月03日 | 病理のこと、医療のこと、仕事のこと

フジテレビで水曜夜10時から放映されているテレビドラマ、『フラジャイル』。主演の長瀬智也がカッコいい病理医を演じている。このテレビドラマ、もともとは、アフタヌーン連載のコミックだった。

ところで、その病理医って、結局なんなの?テレビを観ていてもよくわからない。長瀬智也演じる病理医は顕微鏡の双眼鏡みたいな穴を覗いているだけ、これ一体なにやっているの?というのが正直な感想だろう。病理医についての詳細は、そのうちまとめて書こうと思っているので、まずは「病理医になるにはどうしたらいいのか?」ということだけ紹介する。 ドラマをご覧になっている方も少なくないと思うので、少し登場人物にも絡めておく。 いきなり病理医の岸先生(長瀬智也)について説明しても、わけがわからないので、これは後日に回すとして、まずはわかりやすい臨床医について。

 

臨床医という表現が、今日の複雑多岐にわたる医療システムの中で適当なのかはわからない。ただ、一般的に普通の医者を”臨床医”という。

この、”普通の”医者というカテゴリーに含まれるのは、ほとんどすべての開業医と一般市中病院の医者で、外来で病気の人を診て、必要に応じて患者さんを入院させて投薬治療や手術などをする。医者の職場については医療法というのがあって、いろいろ細かく分かれていて、難しいのでここでは省略する。

この”普通の”というか一般的な医者は、内科医、外科医(テレビドラマでは小雪が演じている、細木先生。昔は男の職場といわれていたけど、最近では女医が増えた。)、小児科医、産婦人科医、耳鼻科医、眼科医、皮膚科医、整形外科医、さらには美容外科医まで多岐にわたる。なお、歯科医は医師法でいうところの医師(医者)ではない。

こういった医者になるにはご存じのとおり、医師国家試験に合格しなくてはいけない。医師国家試験は学校教育法に基づく大学、すなわち医学部で、医学の正規の課程を修めて卒業しなくては受験できない。あと、あくまでも日本において医術を行うための資格で、外国の医学部を卒業してから日本の医師国家試験を受験するという方もおられるが、これについては別の試験を受けることになる。臨床医というのは、この日本の医師国家試験に受かって医師となった医者の一つの呼称であって、これにはいろんな科の医者が含まれ、”医者”というくくりからすれば、”病理医”もこれに含まれることとなる。

そして、臨床医と病理医の関係は、臨床医が患者さんから採取した検体を診断してくれるよう病理医に依頼する、というようなものだ。なお、この時の検査費用は、臨床医が払うのではなく、患者さんが払うので、臨床医が病理医を雇っているとかそんなのではない。

次に、病理医にとって大切なパートナーが、臨床検査技師(テレビドラマでは野村周平が演じている、森井君)だ。医師法と同様、”臨床検査技師などに関する法律”、というのがあって、臨床検査技師国家試験に合格して、臨床検査技師の資格を取得しなくてはいけない。病理では臨床検査技師は患者さんから採取された組織を標本にしたり、痰や子宮の細胞の検査のスクリーニングをしたり、病理解剖の介助をしたりする。よく、病理医は臨床検査技師と区別がつかないといわれるが、臨床検査技師は病理医とは役割が違って、病理診断をすることはしない。

 病理診断科にかかわる医療従事者は以上の通り。病理医、臨床医、臨床検査技師で終わり。ときどき、看護師さんが検体を運んでくるけれど、病理診断科の仕事に直接かかわることは、あまりない。だから、医者になったら職場で看護師さんとお近づきになりたいなんていう下心のある医学生や研修医がいたら、病理医になるのはおすすめしない。

 今夜(の放送)も楽しみ

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2 コメント

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私も見ていますよ (みるく)
2016-02-22 19:52:27
先生、お久しぶりです。
私もフラジャイル見ています。
元検査技師立場から言えば、
「染色の器具等ももうちょっと画に映らないかなぁ…」なんて思っています。(笑)

病名や用語など難しいのに、俳優の皆さんよく頑張っていると思います。

世間の目が「病理」に向いてくれる良いきっかけになるといいなぁ。

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222 (コロ健 to みるくさん)
2016-02-23 06:59:01
お久しぶりです。昨日は猫の日だったんですね。ドラマでは迅速が多くて、あの薄ピンク色に染まった脱水系列のドーゼが映らないのがちょっと残念ですね。明日も楽しみにしています。
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