私は数学はそれほど得意ではない。微分方程式はなんとか解けたので、大学を追い出されずに済んだという程度だ。
だから、微分のなんたるかを一般的に説明できるようなレベルではない。イメージとしては、山あり谷ありの人生の多くのカーブをものすごく短くしてみた、一瞬の曲がりに対する接線の向きが、その瞬間の人生の方向であって、その次の瞬間には上を向いていた曲線が下を向いてしまうかもしれない、というようなもの。
そこで人生が普通の数式と違うのは、接線の向きというものは自分で変えることができるということ。数学の問題だと、なんだかよくわからない曲線が数式とともにすでに引かれているのだけど、人生は自分でどんどん曲線を引いていくことができる。
その時々の極限、もうこれ以上細かくできないというところの連続というのが、時間であって、私たちすべてのものがその中にいるのだ。それを一瞬といってもいいし、Δと表現してもいいし、それこそ”今、このとき”といってもいいかもしれない。
その、直前はすでに過去であり変えることはできない。
そしてそれはすべてのことに通じる。
その、直後のことは未来でありそれを変えることはできる。今、このとき、未来を変えることができるのだ。
未来は予測可能かどうかはわらかないけど、変えることはできる。それが微分という概念に繋がる。
人生には一瞬一瞬絶えず変化する方向がある。その場にいる限りではその方向はわからないけれど、次の瞬間を決めることはできる。
ベクトルがどこを向いているのかはわからないかもしれないが、それがその人それぞれの人生の方向だ。その方向を自分なりに決めていくのが人生であるともいえる。
火事の夢を見た