私はJAGUARの傘を使っている。“しずく形”という、傘の一方向が張り出しているもので、風向きや、持っている荷物の按配で向きを変えて雨風をよける。使い始めてもう5,6年になる。日常ローテーションして使っている3本の傘のうちの1本で、使用頻度は第2位。
半年ほど前だったか、何かの拍子で骨の一本を曲げてしまい、少々不恰好になったが、そのこと以外は問題なく使えている。
JAGUARとはもちろん、あのイギリスの誇る高級車のことで、傘の表にはジャガーのロゴマークがあしらわれている。私はJAGUARのオーナーではない。あの、ジャガーのマスコットがボンネットの先に乗っている車に乗ってみたいとは、幼い頃から思っているが、とても手の届く代物ではない。マスコットのジャガーが盗まれてしまうということで、メダルのようなものに変わってしまったのも残念だ。
この傘は、息子が所属していたボーイスカウトのバザーかなにかで、掘り出しものがあったと妻が100円だか200円だかで買ってきたものだ。JAGUARのオーナーが購入御礼にでももらったものを献品したのだろうか。傘の形は面白いが、それほどの高級品ではない。
JAGUARのオーナーが、こんなにてくてくと歩くことは、ゴルフ場以外ではあり得ないだろう。だから、ゴルフをしたこともなく、朝晩の通勤でこんな距離を歩いているような私はJAGUAR(車)のオーナーに相応しくない。そもそも見た目もぱっとしない。だから、この傘を持っているとなんとなく世の中を欺いているような気になってしまう。
だが、そんなJAGUARのロゴの入ったものを手元に持って歩いていると、なんとなく、JAGUAR(車)のかけらを持って歩いているような気がして、なんとなくうれしいのも事実だ。
私はローリング・ストーンズのファンで、もちろんミック・ジャガーも好きだが今日の話しとは関係ない。