こんな気持ちでいられたら・・・一病理医の日々と生き方考え方

人生あっという間、私の時間もあと少し。
よりよく生きるにはどうしたらいい?

同じ疾患でも病理所見はそれぞれの人毎少しずつ違う

2024年01月15日 | 病理のこと、医療のこと、仕事のこと
スマホで今日の天気を確認したら、気温が10度と表示されており目を疑った。
昨日は夕方からとても強い風が吹いていて寒く感じていたが、そうでもなかったようだ。
昨夜、鶴岡八幡宮を通ったら、左義長の準備ができていて、その時に撮った写真を見るとあれは南風だったことがわかる。
仕事のためお焚き上げを見ることができないのは残念だが、心の中で今年一年の無病息災を願う。

長年、病理医をやっているとこれまでに大抵の病気は見てきたような気になるが、そんなことはない、見たことのない病気というのは山ほどあり、それらを生きているうちに全ての病気を見ることは絶対にできない。
そもそも、同じ病気に括られていても、人それぞれで症状が異なるのと同じで、顕微鏡所見も異なる。

この人はこの病気だから、この診断名をつけ、程度とかステージをつけ、それに応じた”標準的な”治療をしましょう、となるがそれらはあくまでも最大公約数的な診断であり治療だ。
オーダーメイド治療はずいぶんきめ細かく個々の患者さんのためのものとなっているが、それでも限界がある。

ありふれた病気の標本をみると、定型文で片付けてしまいそうになる。
でも、そんな時こそ、その患者さんにとっては一生に一度のことであり、怖い思いをしてまで取ってきた組織だと思い、気持ちを引き締めて丁寧に診断書を書く。
結果として出来上がった病理診断報告書は他の方の同じような病気の診断書と見分けがつかないことがほとんどだが、それはあくまでも結果に過ぎないし、てにをは、句読点などはごくわずかずつだが異なっている。
それは、人毎に病気が微妙に異なっているのと同じように。

今日も何人もの方の診断をする。
病理診断は救命救急とか外科手術とかの、生き死にに直結する作業ではないが、それぞれの方の人生を決める診断であるという覚悟をもって臨みたい。
病理医としての矜持

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