kenharuの日記

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野鳥エッセイ・第2話

2018-10-30 | その他
ブラサガラス

だいぶ以前、カラスの死骸にソックリな、「ブラサガラス」というカラス撃退グッズを見たことがある。
アヒルか何かの羽毛を黒く染色して植え込んだ丁寧な作りで、見れば見るほどリアルに良く出来た、気持ちの悪いシロモノだった。
手間をかけた作りだけあって値段が高かったが、カラスにカラスの死骸だと誤認させるには、少なくとも人を騙せるような出来栄えでなければ役に立たないのだろうと、妙に感心した憶えがある。

最近、畑などにそれらしきモノがぶら下がっているのを見かけるが、双眼鏡で観察するとテカテカしたプラスチックの成型品で、一見してニセモノと分かるものばかりである。
人間以上の視力を持つカラスを、こんな安物で騙せるとは思えない。
あの見事な出来栄えのブラサガラスは販売競争に敗退したのだろうか。

ドッグフード業界には「我々のお客様は、犬ではなく飼い主だ」という金言があるそうだ。
犬ではなく「飼い主が見て旨そうな商品」が売れるという意味である。
これと似た話で、撃退グッズを製造するメーカーから見れば、この商品のお客は人間であってカラスでは無い。
カラスよりも鑑識眼の劣る人間が相手なのだから、製造コストの安さで勝負が着くのもうなずける。
このプラスチック死骸、効果のほどは知らないが「コワガラス」という商品名らしい。

コワガラスであれブラサガラスであれ、こんな不吉なものがブラブラしていたのでは、せっかくの田園風景が殺伐とする。
野歩きを楽しむバードウォッチャーとしては、あまり売れない方が有り難い商品である。
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