kenharuの日記

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野鳥エッセイ・第3話

2018-10-31 | 野鳥
「道具を使うカラス」

人類(特にキリスト教文明)は昔から、人と動物の違いを強調したがり、「人間様にしか出来ないこと」を幾つも並べたててきた。
言葉を使うのは人間だけ。
火を使うのは人間だけ。
遊ぶのは人間だけ。

しかし、科学的な動物研究が進むにつれて、この「人間様にしか出来ないこと」は着実に減ってきている。
そういう中のひとつに「道具を使う」というのがある。
野鳥のササゴイは、水面に木屑などの疑似餌を投じて、魚をおびき寄せる漁をする。
道具を使うのは人間だけの筈なのに、鳥のくせに生意気な奴が居ると注目され、ササゴイの漁は有名になった。

ボクは不忍池でコサギの巧妙な漁を目撃撮影した。
コサギはクチバシの先端を水面に入れて、細かくパクパクさせ、水面に小さな泡と波紋を作っていた。

水中の魚から見れば、水面で虫が暴れているかのように見えるのだろう。
こうやって辛抱強く待ち、近づいてきた小魚を・・・

見事に捕らえた。


コサギは、ササゴイの疑似餌のような「モノ」を使わないから、「人間並みに道具を使う鳥」との栄誉は与えられないものの、泡と波紋を「道具」にしていると見ることが出来そうで、なかなか賢いものである。


さて、このササゴイとコサギの話は前座に過ぎない。
「道具を使う鳥」の真打は何と言っても、ニューカレドニアに棲息するカレドニアカラスである。
このカラスは、虫を引っ掛ける道具を自作し、それを使って穴の中の虫を釣り上げる行動で有名だ。
この動画が、オックスフォード大学の、某研究グループのホームページに掲載されている。
動画には「カラスが、真っ直ぐな針金の先端を曲げ加工し、それを使って餌を釣り上げる」という、驚くべき行動が記録されている。

聞くと見るとでは大違い。
この動画にボクは衝撃を受けた。
「人間様の偉さ」を守る砦のひとつがあっけなく崩れ落ちるような気がした。


オックスフォード大学の某研究室HPの動画参照
http://users.ox.ac.uk/~kgroup/tools/movies.shtml
自力で針金を曲げて餌を釣り上げる様子が、このページにある「first bend1.3MB」の動画で見られる。
他にもいろんな道具を使う画像が掲載されている。




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