色を塗る段階でいつも失敗するのですが、どうしたらうまくいくでしょうか?
絵画教室に入講する人は一様に、「彩色が難しい!」「色で失敗する!」といいます。
絵の制作行程を線画と彩色に分ければ、トレース水彩画では線画は写真をトレースすればいいわけですから、初心者でもそれなりの線画を描くことが出来ますが、、せっかく線画をうまく描いても、彩色の段階で失敗してしまうのです。
しかしトレース水彩画では彩色においても、これまでの常識を覆したアッと驚く仕掛けがあるのです。
まず色とは何か?を知る必要があります。
色、それは3つの要素から構成されているのです。
3つの要素とは 明るさ暗さを示す「明度」、赤とか青とか色の種類を示す「色相」、色の濁り具合を示す「彩度」からなっており、思い通りの色を出すためには3つの要素それぞれが正しく配合されていなければならないのです。
その上水彩ですから絵具が乾かないうちに、素早く調合しなければならなく、初心者のみならず熟練者でもとても難しかったのです。
しかしトレース水彩画の考案者(私の事)は、その彩色作業を分業化し、2つに区分け(1+2に区分け)することを思いついたのです。
1度にしなければならないことを2度にする、それは圧倒的に簡単になることを意味します。
トレース水彩画の企業秘密はそこにあるのです。(秘密といってペラペラしゃべりましたが・・・)
つまり彩色の中で最も難しい「明度」を先に塗ってしまい、次の彩色の行程では「色相」と「彩度」だけに集中すればいいのです。
それにより彩色がず~っと簡単になり、より正確な色合いが再現できるのです。
その彩色方法として、以下の彩色の各ステップをしっかりおこなっていく、それが成功への秘訣なのです。
ステップ1. モノクロで描く
ステップ2. 明るい色を大胆に塗り重ねる
ステップ3. 暗い色をていねいに塗り重ねる
ステップ4. 影の色を塗り重ねて絵の完成
以下、各ステップごとに解説していきます。
ステップ1. モノクロで描く
塗る絵具は水彩絵具の黒色ではなく、「漫画家の使用する墨汁」を使用します。
この上にいろいろな色を重ねることになるのですが、水彩絵具では黒の上に重ねた色がにじんでしまい、絵を台無しにしてしまうからです。
私はこの墨汁を見つけるまで数多くの絵具やインクを探し回り、美しいグラデーションが表現でき、かつ決してにじまない「漫画家の使用する墨汁」と巡り合ったのです。
描き方は露出オーバーなモノクロの絵をイメージして描くようにしましょう。
その描き方のひとつとして、写真をプリントアウトする際に、モノクロ設定にすると同時に極端に露出オーバーにプリントし、それを手本に描く方法が効果的です。
このモノクロで描く行程を終了すると、一気に絵の全体像が見えてきます。
そのため絵の全体像を把握しながら次の彩色を行うことが出来、それは彩色をいっそう容易にすることになります。
ステップ2. 明るい色を大胆に塗り重ねる
見本となる色をピンポイントで決め、パレットの上で混色し、何度かの試し塗りの行程を経て、納得した色味を作り、それを重ね塗りしてください。
このステップ2での彩色のポイントは、詳細にこだわらず大胆に大きくとらえて描くことです。
そのためたっぷりの水で溶いたやや薄めの色を、厚く塗るように心がけるといいでしょう。
大胆に言いましたが、はみ出し塗りや、塗り残しをしてはいけません。
ステップ3. 暗い色をていねいに塗り重ねる
ステップ2での色が乾いてから、より濃い色を写真を見ながらていねいに塗り重ねていきます。
絵の主役となる部分はしっかり描きこみ、それ以外の部分は思い切り手抜きすることで、絵に説得力が出てきます。
ステップ4. 影の色を塗り重ねて絵の完成
影や絵の暗い分部を重ね塗りすれば、絵の完成となります。
このステップでの彩色は、ほぼステップ1の場所を重ね塗りすることとなり、墨汁が隠れてしまうことも、ねらいのひとつなのです。
上の絵はこれを「動画で納得トレース水彩画 塗る順番を守る」で動画化したものですが、この動画をご覧いただければ、トレース水彩画の彩色方法がよくわかると思います。
上手な絵を描く秘訣は、簡単に描くコツを発見することなのです!
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます