ノー天気画家の本音生活 

これが私の生き方などとヤセ我慢するよりも、今日の風に流されましょう!

新企画「心にしみる日本の風景)」を開始しました。

2013-01-21 10:42:04 | 犬たち

新企画「心にしみる日本の風景」という名前の新たな絵の制作を開始しました。
この中での「日本の風景」とは、日本のいろいろな風景を描くのですが、京都などの日本の伝統文化や、みんなが知っている名所などのいかにも日本といった風景よりも、できれば日常的な風景の中から自分なりの日本の風景を描いていこうと思っています。

それよりも「心にしみる」がこの企画のキーワードとなりますが、その言葉から私がすぐ連想するのは、なんといっても八代亜紀さんの「舟歌」となります。
あの歌が流れると、私は吸い込まれるように、傷だらけの人生を歩んできた孤独な男そのものに変身し、歌が心にしみて目頭が熱くなってくるのです。
それは八代亜紀さんの歌のうまさもさることながら、この歌の作詞をした阿久悠さんの力が大きく寄与しているのではないでしょうか。

     お酒はぬるめの燗(かん)がいい
       肴はあぶったイカでいい
         女は無口なひとがいい
           灯りはぼんやり灯りゃいい
     しみじみ飲めばしみじみと
       想い出だけが行き過ぎる
         涙がポロリとこぼれたら
            歌いだすのさ舟歌を~♩

私の若かりし頃、その阿久悠さんと何度もお会いし、何度かごちそうになりました。
それは阿久悠さんの所属する事務所と仕事をしていた関係から、その事務所の社長さんが私に気を留めていたこともあり、阿久悠さんもそんな私たちから多少は何かのヒントでもあるのではと思ったからかもしれません。
その当時の阿久悠さんは当代一のヒットメーカーで、作詞した数は5000曲以上、尾崎紀世彦の「また逢う日まで」、都はるみの「北の宿から」、ピンクレディの「UFO」をはじめ、沢田研二・菅原洋一・森進一・五木ひろし・石川さゆりなどのベストヒットソングメーカーをほしいままにしていただけでなく、小説においても数々の賞を受賞されました。

その阿久悠さんは口数も少なく物静かで、ニコニコ笑いながら私たちの話の聞き役に徹していました。
しかし見かけはごっつい顔のおじさんそのもので、とても当代一のヒットメーカーには見えませんでしたが、その無口な彼の少ない話の中から、ボソボソと彼の関心領域がが見えてきました。
たとえばその当時マスコミを賑わしたある殺人事件の話では、なぜ彼は殺人という行為に走らざるをえなかったのか?という疑問に執拗にこだわったのが印象的でした。

つまり彼の視点は総じて、勝者よりも敗者に、強者よりも弱者に、歓びよりも悲しみを思考の出発点としているいることを発見し、それが歌詞の切り口でもあることが推測されました。


つまり「心がしみる」ことは「共感すること」であり、「共感すること」は人間には表と裏があるとすれば「裏の中」に、陽の当たる部分と日蔭があるとすれば「日蔭の中」にあり、それが彼の歌詞の根底をなしていることを知ったのです。

これまでは「心にしみる歌」の話でしたが、私の課題は「心にしみる絵」を描くことにあり、正直言ってたいへんなことを勝手に宣言してしまって、大丈夫かなとも思っています。
それでは「心にしみる日本の風景」はどんな絵なのか、これまで描いた絵の中から3点を選び、今回の「心にしみる日本の風景」に掲載しました。ぜひご覧ください。


それとともにこれからの「心にしみる絵」の新たな挑戦を見守っていただければ幸いです。