絵を描く才能とは何でしようか?
以下は私の持論なのですが・・・
絵の才能は2つの要素からなり、ひとつは熱中する才能、もうひとつはイメージする才能であり、その2つが相まって「絵を描く才能」が開花するのです。
熱中する才能 とは、どの分野の才能にも共通するのですが、努力や情熱・忍耐や鍛錬と熱中は同一の意味となりますが、特に絵を描くことの本質は楽しむことが前提ですから、“好きこそものの上手なれ”のことわざの如く、絵を描くことが楽しくて面白くて夢中になれる、そんな能力をいいます。
私は美術大学を出たものの、絵を描くことはそんなに好きではなかったのですが、50歳を過ぎてから何かの弾みで絵を描くことになり、そのときになってはじめて絵の面白さを発見、たちまち熱中するようになり、それ以来今日に至っているのです。
絵に熱中するポイントは、それなりに上手に描けること。そして描けば描くほど上達することであり、それにはトレース水彩画は最適な画法だと実感しました。
イメージする才能 とは、描きたい絵やこれから描く絵の完成予想を、事前にイメージする能力であり、トレース水彩画では目の前に写真がありますが、写真は単に絵の素材しか過ぎず、あくまでも自分が表現したい(表現できる)世界をイメージの中で作り上げる能力のことを言います。
それを建築にたとえると、設計段階がイメージする才能に該当します。
設計図を基に施工して建築物が完成するわけですが、建築物の良し悪しを決定づけるのは、施工の能力・たとえば大工さんの「匠の技」に注目されがちですが、それよりも設計の良し悪しが魅力的な建築か否かを決定的するのです。
絵においても同様であり、イメージすることは目標を明確に設定することで、その目標に向かって描き進めることが絵の技術向上の最短コースなのです。
とはいうものの現実にはそんなにカンタンにイメージ通りには描けません。
しかしイメージして描いた絵と、イメージなどなく描いた絵とは、上達に天地の開きをもたらします。
イメージして描いた絵は、「どうして失敗したのだろう?」と、イメージと現実の差違が比較検討でき、それが問題解決の糸口となるからであり、イメージしない絵は比較のしようがなく、よって同じ失敗を繰り返すのです。
つまりイメージして何枚も描くうちに、ギャップが徐々に小さくなり、ほぼイメージ通りの絵が描けるようになれば、次のステップとしてイメージの世界の高度化を目指すことになります。
おわかりのように、絵の才能とは、①熱中する才能=努力する才能 ②イメージする才能=目標を持つ才能 と、どの分野でも共通するごく当たり前の積み重ねこそが、魅力的な絵を描く才能なのです。