ノー天気画家の本音生活 

これが私の生き方などとヤセ我慢するよりも、今日の風に流されましょう!

トレース水彩画ではスケッチ画でこそ、その真価を発揮します

2008-05-02 08:12:37 | 犬たち


これまでのスケッチ画の描き方は、スケッチブックと画材一式を持って、描きたいところを探し当て、その場でスケッチブックを広げて絵を描くこととなっています。
だから場所にも制約があり、季節や気候に影響され、道行く人に見られるストレスもあり、対象の風景もドンドン変わり、たとえば人や犬など動くものは苦手・・・と、とても厳しい条件の中で絵を描かなければなりませんでした。

 上の絵「スケッチ画偏1.最新カメラ機能をフル活用したスケッチ画です」の素となった写真は、イタリア・トスカーナの旅ツアー企画でのポルトフィーノという小さな港街の情景を描いたものです。
この街には船でしか入ることが出来ず、船から身を乗り出して写した写真から描きました。
古い城や教会の見学や街での買い物、食事等で約5時間ほど滞在しました。その間ごく普通の観光客としてフルにエンジョイしながら約200枚の写真を写し、帰国後この写真の中から数枚のスケッチ画を描きましたが、この絵もその一枚です。
もしこの旅の中で従来の方法でのスケッチ画を描くとすれば、旅の楽しきを大幅に犠牲にしなければならず、他のツアー客に多大な迷惑をかける恐れも生じます。ツアーという団体旅行でこの街を描くには、トレース水彩画以外には無理かもしれません。

 トレース水彩画のスケッチ画と、これまでのスケッチ画との違いは

          ・ 持って行くものはボケットに入る小さなカメラだけ
          ・ 自由なアングルから、風景などの対象物を捉えられ.る
     ・ 動くものでも、その一瞬を捉えられる
          ・ 撮った写真から描きたい1枚を選ぶことが、重要な絵への第一歩
          ・ 絵は描きたい時、自室などの描くための最適な環境で描くことができる

そもそもスケッチ画のスタイルを確立したのは20世紀の初頭、印象派の画家たちは南フランスの圧倒的な光を捉えようと、このようなスタイルを作ったのです。
直接風景をスケッチブックに写し、その絵と印象を、自分のアトリエの巨大なキャンバスに投影したのです。つまりスケッチは作品ではなく、アトリエで描く絵のための手段としての役割でしかなく、その当時今のような高性能のカメラがあれば、スケッチなどしなかったかもしれません。
しかし、その当時はカメラはあったものとても使える状態ではなく、次善の策としてスケッチしたのです。
事実、プロの画家の多くは、写真を多用しているのはそのためなのです。

トレース水彩画は私が開発した画法ですが、(後で気づいたのですが)別に目新しい画法ではなかったのです。
絵のプロたちが写真をコピーする方法は以前から取り入れていた画法なのです。プロといってもイラストレーター・漫画家・建築家そして画家(絵の先生)などでrが、彼らはどういうわけか頑なに“写真をなぞって描く”ことを秘密にしていたのです。

森羅万象すべてのものが時代とともに進化しています。
誰もがカメラを持つ時代になった今、絵を描くための道具としてカメラを使うことにより、より多くの人がより深く絵を描く楽しさを堪能する、それは当然のことではないでしょうか。