日経新聞に連載されていた小説
サントリーの創業者 鳥井信治郎の小説です、今まで鳥井信治郎の小説は芳醇な樽とかいくつかありましたが
本格的な小説は初めてではないかと思います。
単なる立志伝の物語りではなくて信治郎が、幼いころから母親の教育をいかにうけてきたかというのもすばらしい。
こどものころ、母親に連れられて天神さんへお参りにいく途中橋の上で物乞いの人が沢山いて母親はいくらかのお金を
上げていたが、上げても後ろは振り向かず、信治郎へも絶対振り向いてはいけない、後ろをふりむいたらりがとうござい
ますとおおげさに礼を言ってるだろうけど、振り向かない。
お礼をいわれたり、ありがたがられたりするのは徳にはあたらない、なにもいわれずとも徳をすること、人が見てない
ところで徳を積む、名前を言わずに寄付をする、陰徳のこころを母親に教え込まれそれが代々受け継がれている。
阪神大震災の時も3・11の時にもそうだったとのこと、ささっと現金で各都道府県の知事に寄贈したらしいと
新聞で伊集院静氏はいっていた。
琥珀色、小西儀助商店に丁稚で入り儀助に見込まれて一緒に洋酒の調合を毎晩してた時に見た、本場のウィスキー
の色。これほどきれいな色はない・・琥珀色・・
上巻は信治郎の子供のころから小西儀助商店への奉公の時、そしてハイカラ修行をして独立へ
下巻は寿屋洋酒店の創業 そして大ヒット商品 赤玉ポートワイン 山崎蒸留所 ジャパンウイスキーの誕生
そして現代までの琥珀の夢・・
関東大震災で東京の得意先が壊滅的な打撃にあった、船をしたてて支援物資を積んで信治郎は得意先へ回った。
国分商店の店の中が焼けたのは一目瞭然だった。
「鳥井さんもし集金にこられたなら、見ての通りの決済どころか・・・」
「こんな時に何をいうたはるのだす、そや番頭はん寿屋の伝票持ってきてくれますか」
「かましませんから伝票ください「」
信治郎は伝票を奪うようにしてとると目の前で破り捨てた。
「これで決済は完了だす。」
あはれ東海の日出ずる国に 今し方万人渇仰の美し酒 サントリーは産れぬ その香味の典雅風韻の高逸
ただに 吾が醸造界に一新世紀を封しえたるのみにはあらず。
陰徳を積むという言葉は以前から自分にはインパクトを与えている、
何かなんでもいいから一日1回なにか人の為になる行いをするというように決めている。
何でもいい、コンビニの募金箱でもいいし、みんながつかうところで軽く掃除するのもよし
ひとには知られずとも行いを積む、その大事さにこの年になり気が付いた。
寄付をしたり義援金をしたりして、中にはSNSでおせたりする人がいるがそれは違うと思う
自分の善行は周りに広めず、人に知られずするのが大事だと思う。
久々に心がゆさぶられた本だった。
響17年ラベル・・
琥珀色