物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

集中豪雨

2009-08-13 10:59:07 | 学問

集中豪雨で今年も多くの人が亡くなった。60年以上ここに住んでいるが、こんなことは初めてだというインタビューをテレビで見た。それこそ想定外の豪雨だということだが、川沿いや山の近くに住む人にはどう言ってお見舞いをしていいのか言葉もない。

ただ、毎年このように集中豪雨があるということになれば、その例外的に多量の雨の想定をしなくてはならないということになろう。そしてそのときには水の流れはどうなるかを前もって計算しておかねばならない。

だが、市町村の予算ではそんなことはできないとなれば、損害の起こった例を詳しく検証してそれと同じような環境や状況にある場所は市町村の役場は前もってマークするようにしておくべきであろう。そして、できるだけ早く警戒や避難の呼びかけをしなくてはなるまい。


解析接続とは

2009-08-12 10:12:38 | 数学

解析接続について昨日書いた。前にもこのことについては書いたかと思うが、解析接続とは一言で言ってしまうとある関数の定義域を広げることである。

実軸上でのみ成り立つ指数関数e^{x}を複素平面上で成り立つようにするというようなことがその一例である。e^{z}と実変数xから複素変数zに定義域を広げることができる。

複素解析でそういうことができる基礎には「一致の定理」というのがあり、それを基礎にして今の簡単な例のように関数の定義域が実数から複素数に広げられる。

その解析接続の仕方にはいくつかの方法があり、今村先生の本では3つの方法があると書かれている。その例を具体的に知りたいというのが昨日のブログの趣旨であった。


アウン・サン・スー・チーさん

2009-08-12 09:54:25 | 国際・政治

アウン・サン・スー・チーさんはビルマ(ミャンマー)の政治民主化指導者である。今回また3年だかの禁固刑を受けたが、減刑されて1年半だかの自宅軟禁になった。この人の精神力の強さには驚かされる。すでに13年とか14年とかの自宅軟禁を乗り越えて来られている。

今日の新聞で読んだところではイギリス人の夫はすでに1999年に他界されているというが、彼女がイギリスに出国して帰って来ないのならば、出国を許可されるのだという。だが、ビルマ(ミャンマー)の政治民主化のためにあえて自宅軟禁をされるのを選んでいる。その意志の固さよ。

こんなことを我慢できる人とはすごい精神力の人だと思う。自宅軟禁というのはまったく外出ができないことだ。自分の身の生命に危険が及ばないとしてもそういうことを耐えることのできる人はすばらしい。

私などひ弱な人間には到底想像もつかない。彼女のお父さんはビルマ(ミャンマー)独立の父とまでいわれる人だそうだが、その血を受け継いでいるのだろう。

私がこのブログで何かを書いたからといって、彼女の自宅軟禁を解く力になるとはまったく思わないが、小さな支持の声を上げておきたい。ご健勝を祈る。


授業アンケート

2009-08-11 12:59:52 | 受験・学校

非常勤の講義で90分のうちで5分ぐらいを毎回の授業アンケートをとることに使っている。学生がどこが分からなかったがわかって役に立つのだが、問題はこのアンケートに答えてもまたまた数日して同じ質問がでてくることとか、そもそもの前提となる知識をもっていないのではないかと疑われる事態があるということである。

中学校は義務教育なので、中学校を卒業していない人はいないが、大学の授業でも中学校の程度を越える知識を前提にすると必ず文句が出る。じゃあ、中学校レベルの数学はいいかといえば、そうでもない。中学校レベルの数学しか使っていなくともたくさん数式が出てくると難しいと文句が出る。

文句が出ることは歓迎なのだが、問題は面倒と思えることをとりついてなんとかその本質を理解しようとする気概がないことである。

こんなことを書くと自分自身に跳ね返ってくるので、どうも具合がわるい。どうも少し難しいことには心臓がドキッとしてしまって取り組むことができないほうだから。だから、学生たちと私とは程度の差しかなくて、基本的にはそれほど違いがないとも言える。

しかし、少しは自分にわからないことも分かろうと挑戦はしてきたつもりだが、世の中にはいろいろ難しいことには事欠かない。自分の理解に苦しんだことを一部は小著「数学散歩」(国土社)に書いたのだが、しかし、だれもこの本の記述で自分の分からなかったことを学んだと言ってくれる人には出会ったことがない。

私が理解できなかった複素解析の分岐点の定義にしても数学の本を読んで、みんな分かるようになっているとしたら、どういう風にわかるようになっているのだろうか。分岐点の私なりの理解については「数学散歩」に書いた。私のもうひとつの問題として残っているのは解析接続で、これについても同じような問題をもっている。

今村先生の「物理と複素関数(?)」(岩波書店)によれば、解析接続の方法は3つとか4つあるとかいうので、それに対応した例を集めて解析接続がわかったという気がするようになりたいと以前から考えているが、現在までのところその願望は満たされていない。

残念ながら、解析接続の方法がいろいろあるとは今村先生の本にあるが、その例を豊富には挙げてはいないのだ。だから複素解析の新しい本を見かけたら、すぐに解析接続のところを例を挙げて書いてあるか、見てみることにしているがいまでのところ満足したことはない。

友人の数学者N先生によれば、数学では例を挙げることができることが本当に分かっているかどうかを判定する方法であるとか。だから、解析接続の方法のいくつかの例を書いたものを知りたいと思っているのだが、なかなかその要求を満たしてくれる本には出会っていない。不十分ながら解析接続の例を挙げた本がないわけではないことを付記しておきたいが。

ガンマ関数の例がいい解析接続の例になっているとか、また鏡像原理とかの例は電磁気学で鏡像法があるとN先生に聞いているので、それらについていつかきちんと読んで分かりたいと思っている。


大学の自己評価と試験

2009-08-10 10:45:32 | 受験・学校

大学の自己評価が最近しきりにされている。試験もある程度自己評価の調査段階で説明を求められれば、説明できるようにしておかなくてはならない。それで、7月27日にした試験でも76人中約1割にあたる8人を再試験することにした。

その試験は8月27日の午後行う。教務委員の先生はレポートでも評価をといわれたのだが、それでは困るので口頭試問にした。これは再試験の人数が8人くらいであるから、まあできるのである。これが30人もの再試験だと口頭試問はできない。時間がかかってしようがないからである。それが10人以下だと一人10分としても80分で終わるからなんとか口頭試問ができる。

あまり大きな声では言えないが、今の講義を担当するようになった、2年目と3年目の昨年までは試験問題の中に出しておいた、救済問題を評価してなんとか単位を出していたのだが、今年はそうもいかないので泣く泣く再試験にした。

授業時間ごとにアンケートをとっているので、それを評価して授業点として30点を与えている。だからあと30点を試験でとってもらえれば、単位認定をできるのだが、それがうまくいかない。その上に救済問題をうまく答えられればに20点を与えているのに。

どうも、大学としては教養をもった卒業生を出すためにこういう措置をとることにしたという。それはいいのだが、どうも学生の方はあまり勉学の意識がない人がいる。


グリーン関数入門

2009-08-08 12:42:45 | 数学

「グリーン関数入門」というエッセイを書き始めた。

これは2004年7月の雑誌「パリティ」にグリーンのことが出ていたのだが、このときにこの記事のコラムにグリーン関数の簡単な例として出ていたのを見て、グリーン関数の初歩的なことを調べてまとめたメモを他人に見せられるように書き換えている。

8月6日の広島での原水爆禁止世界大会にマイクロバスで出かけた際に、一緒に出かけた人の中に地震の波の伝播に関してグリーン関数に関心がある人がいたので前につくったメモのコピーをあげますと約束した。

それで昨日そのメモを見たのだが、物理を専門にしている人ならともかく素人にはちょっとこのままメモを渡してもわからないだろうと思ったので、急遽まとめ始めたのである。

基本的な計算は変えないのでそれを入力して推敲をするだけであるが、式の入力には結構時間がかかるので1週間後という予定を立てた。

ただし、8月22日は高松で徳島科学史研究会の年会があるので、その10分講演を申し込んでいるので、そちらのパワーポイント原稿もつくらなくてはならない。だから、1週間がそれよりも遅れる可能性も大きい。

(2013.1.9付記)  「グリーン関数入門」というこのエッセイはすでに2012.12に「数学・物理通信」2巻6号に発表・掲載されている。関心をお持ちの方はこれをお読み下さい。

数学・物理通信のバックナンバーはインターネットで検索すれば、名古屋大学の谷村省吾さんのサイトにリンクされているから、誰でも容易に検索ダウンロードできる。

このことに関して、谷村省吾さんのご尽力に感謝をします。


原水爆禁止世界大会(広島集会)

2009-08-07 13:06:27 | 国際・政治

昨日8月6日に原水爆禁止世界大会(広島集会)に参加をはじめてした。午前中に記念式典に出て午後は原水協の大会に出席した。これは生まれてはじめてのことである。 もっとも、今年は正式の大会は長崎だそうで、ちょっとした広島では集会という感じであまり大規模には感じられなかった。

もちろん、海外各国からの参加者のいて、外国の人のレポートもあった。キューバから来た代表だったか日本語で挨拶とその後の話をしたのとか、韓国の代表の日本語のトークは身につまされた。特に韓国の被爆者は日本の被爆者と違って年間の補助もわずかだという。被爆者を現在住んでいる国によって差別するなという主張はもっともだと思った。

話はまったく別だが、秋葉市長は元数学者の市長でこれは世界的にも珍しいのではなかろうか。彼は大学院教育は多分アメリカで受けているので、英語も堪能である。それで世界に向けての発信能力もあると考えられる。

式典の宣言も最後は英語で力強く締めくくった。

私が学生として住んでいたころは広島は43万人の人口だったが、今では117万人の人口だという。町がすごく発展している。


四元数の発見への道

2009-08-04 12:12:07 | 数学

四元数の発見への道の説明がスティールウエルの「数学のあゆみ」下巻(朝倉書店)にあると数理科学8月号で読んだ。

私の前に書いたエッセイ「四元数の発見」(愛数協の「研究と実践」掲載)とどうちがうかと思い、E大学の図書館でこの本の該当箇所をコピーしてきた。

昨日このコピーを読んだところでは一部数論で知られていたことをハミルトンが知らなかったというような説明があったが、肝心の四元数の発見の説明では私の記述のほうが詳しいと思う。

私の説明はハミルトンの論文の解読であるから、これは当然かもしれない。もっとも捉え方のキーポイントは私とスティールウエルとでまったく同じであった。

堀源一郎さんの「ハミルトンと四元数」(海鳴社)ではこの部分を1843年のハミルトンのノートの訳で置き換えている。この訳の解明もほぼ済んでいるので、私の「四元数の発見」という2008年2月に書いたエッセイを補強することもできるが、さてどうしたものだろうか。

堀さんの本のハミルトンのノートの訳には詳しい計算等がでているが、これはその後のハミルトンの論文には出てきていない。四元数の発見のノートからはハミルトンが四元数を複素数とのアナロジーで追求してきたことがわかる。

その点を追求してまた新たなエッセイを書いてみようかと思っている。ただ、私は球面三角法の導出にも最近関心をもっているのだが、この四元数が球面三角法の導出にも使えると知って関心が深まっている。この点については堀さんの本にも詳しい説明があるようである。

(2013.6.23付記) その後、四元数については現在サキュラーの「数学・物理通信」に連載している。最初は2011年9月の1巻9号から書き始めて、1巻11号、2巻1号、2巻2号、2巻5号、3巻1号、一番最近では2013年3月の3巻2号まで書き進めている。

これらは「数学・物理通信」で検索をすると名古屋大学の谷村さんのサイトに出くわすのでそこで見たり、またダウンロードすることができる。なお、この連載は続ける予定である。

(2014.1.6付記) 四元数に連載のエッセイは2013年12月の「数学・物理通信」3巻8号まで断続的に続いている。この連載もそろそろおしまいにしたいところである。

別に自慢するという訳ではないが、四元数の発見の経緯とか四元数と回転とかについて突っ込んで議論したつもりである。


Quantum Field Theory Demysitfied

2009-08-03 11:40:34 | 物理学

Quantum Field Theory Demysitfiedという本を購入した。ところがこの本が薄い本で本当に場の理論がこれでわかるのか心配になった。Path Integralのところにはガウス積分とそれに関連した積分公式の計算が示されていた。私もいくつかの本を参考にしながら、Path Integralの理解に必要ないくつかの積分を証明しているので、同じような考えだとわかる。

だが、Feynamanの経路積分の巻末の積分公式でまだ3つほど証明が出来ていない積分公式があるのだが、それにはこの本も手をつけていない。

この本の序文にQuantum Field Theory in a Nushellという本を推奨している。実はこの本を先に買うつもりでいたのだが、標題の本のほうを先に購入することになったというわけである。


カール・バルト

2009-08-01 12:39:34 | 学問

カール・バルトが神学者だということは知っていたが、どういう人か知っていなかった。昨日のドイツ語の放送で小塩節先生の話を聞いて少しだけどんな人だかわかった。

カール・バルトを大好きだというのは山本義隆氏で、彼はどこかの古本屋か何かでカール・バルトの著書を見つけて小躍りして喜んだといっていた。

私が彼と知り合ったのは40年以上前のことでそれはK大学のある共同利用研究所であった。山本さんは倫理観の強い独特の気質の若い物理学徒であった。

これは1968年のことだから、このときにはまだカール・バルトは存命だったかもしれない。カール・バルトは1968年に亡くなっているという。

その後、東北学院大学名誉教授のA教授と知り合ったときに彼の研究対象がカール・バルトだということを知った。

カール・バルトによるのかどうかは知らないが、キリストの復活というのはキリストは処刑されたときに死んではいなかったのだという。また、マリアの処女懐胎というのは嘘でその父親もわかっているのだという。

もっともそういう合理的な説明は宗教にはご法度なのだという説もあるので、あまり合理的な説明というのは宗教にはかえって具合が悪いのかもしれない。

それはともかく、カール・バルトはモーツアルト好きで彼の努力によって、教会でもモーツアルトの音楽が評価されるようになったのだという。「モーツアルト」というカール・バルトの著書の訳書をそれで購読のため注文した。