物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

授業アンケート

2009-08-11 12:59:52 | 受験・学校

非常勤の講義で90分のうちで5分ぐらいを毎回の授業アンケートをとることに使っている。学生がどこが分からなかったがわかって役に立つのだが、問題はこのアンケートに答えてもまたまた数日して同じ質問がでてくることとか、そもそもの前提となる知識をもっていないのではないかと疑われる事態があるということである。

中学校は義務教育なので、中学校を卒業していない人はいないが、大学の授業でも中学校の程度を越える知識を前提にすると必ず文句が出る。じゃあ、中学校レベルの数学はいいかといえば、そうでもない。中学校レベルの数学しか使っていなくともたくさん数式が出てくると難しいと文句が出る。

文句が出ることは歓迎なのだが、問題は面倒と思えることをとりついてなんとかその本質を理解しようとする気概がないことである。

こんなことを書くと自分自身に跳ね返ってくるので、どうも具合がわるい。どうも少し難しいことには心臓がドキッとしてしまって取り組むことができないほうだから。だから、学生たちと私とは程度の差しかなくて、基本的にはそれほど違いがないとも言える。

しかし、少しは自分にわからないことも分かろうと挑戦はしてきたつもりだが、世の中にはいろいろ難しいことには事欠かない。自分の理解に苦しんだことを一部は小著「数学散歩」(国土社)に書いたのだが、しかし、だれもこの本の記述で自分の分からなかったことを学んだと言ってくれる人には出会ったことがない。

私が理解できなかった複素解析の分岐点の定義にしても数学の本を読んで、みんな分かるようになっているとしたら、どういう風にわかるようになっているのだろうか。分岐点の私なりの理解については「数学散歩」に書いた。私のもうひとつの問題として残っているのは解析接続で、これについても同じような問題をもっている。

今村先生の「物理と複素関数(?)」(岩波書店)によれば、解析接続の方法は3つとか4つあるとかいうので、それに対応した例を集めて解析接続がわかったという気がするようになりたいと以前から考えているが、現在までのところその願望は満たされていない。

残念ながら、解析接続の方法がいろいろあるとは今村先生の本にあるが、その例を豊富には挙げてはいないのだ。だから複素解析の新しい本を見かけたら、すぐに解析接続のところを例を挙げて書いてあるか、見てみることにしているがいまでのところ満足したことはない。

友人の数学者N先生によれば、数学では例を挙げることができることが本当に分かっているかどうかを判定する方法であるとか。だから、解析接続の方法のいくつかの例を書いたものを知りたいと思っているのだが、なかなかその要求を満たしてくれる本には出会っていない。不十分ながら解析接続の例を挙げた本がないわけではないことを付記しておきたいが。

ガンマ関数の例がいい解析接続の例になっているとか、また鏡像原理とかの例は電磁気学で鏡像法があるとN先生に聞いているので、それらについていつかきちんと読んで分かりたいと思っている。