材木の重さを計るのに材木屋はどうしているか。実際に秤の上に材木全体を乗せられれば問題はない。
だが、それができないときに、材木の片一方は別々に持ち上げられるとする。このときにまず右でも左でもいいが、その端をもちあげて、その重さを測り、続いてその反対側の重さを測る。もちろん、片側を持ち上げたときにもう一方は地面についている。それでもその和をとれば、それは材木全体の重さとなっている。
これは大学に入った後で、金原寿郎『物理の研究』上(旺文社)の演習問題を解いて知った。たぶん間違っていないと思う。ちょっと手を動かして計算をしてみればいい。
ところで私がこのことをそのころまだ存命だった私の母に話したところ驚いたことに、母がそのやり方を知っていたことだった。そうやって材木屋は大きな丸太の重さを知っていると教えてくれた。
別に、私の母は材木屋の娘であったわけではない。どうしてそういうことを知っていたのか聞かずじまいであったが、もしかして女学校の理科で学んだことでもあったのか不思議でならない。