物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

材木の重さ

2019-02-07 12:34:41 | 物理学

材木の重さを計るのに材木屋はどうしているか。実際に秤の上に材木全体を乗せられれば問題はない。

だが、それができないときに、材木の片一方は別々に持ち上げられるとする。このときにまず右でも左でもいいが、その端をもちあげて、その重さを測り、続いてその反対側の重さを測る。もちろん、片側を持ち上げたときにもう一方は地面についている。それでもその和をとれば、それは材木全体の重さとなっている。

これは大学に入った後で、金原寿郎『物理の研究』上(旺文社)の演習問題を解いて知った。たぶん間違っていないと思う。ちょっと手を動かして計算をしてみればいい。

ところで私がこのことをそのころまだ存命だった私の母に話したところ驚いたことに、母がそのやり方を知っていたことだった。そうやって材木屋は大きな丸太の重さを知っていると教えてくれた。

別に、私の母は材木屋の娘であったわけではない。どうしてそういうことを知っていたのか聞かずじまいであったが、もしかして女学校の理科で学んだことでもあったのか不思議でならない。

 


プラニメーター

2019-02-07 11:27:56 | 数学

プラニメーターなんて言葉を知っている人は一般人でどのくらいいるのだろう。

高校生のころ、数学で微分積分学をはじめて学んだころ、元技術者だった父の持っていた器具の中にこのプラニメーターがあった。

これは曲線の内部の面積を、その周りの曲線をなぞることによって、求める器具である。そういう説明をそのころ父から聞いたことがあった。

普通には、まわりの囲む曲線の長さを知ったとしてもその面積を知ることはできないのはだれでも知っている。だが、囲む面積の周りの曲線をなぞることで、何らかの方法で曲線が囲む平面上の面積がわかるというのは不思議であった。

ところが、それからもう60年以上になるが、そういうことがどうしてできるのか疑問に思ったことはなかった。ところが昨夜クライッイグの『技術者のための高等数学』(培風館)の第2巻『線形代数とベクトル解析』のベクトルの積分法のところを読んでいたら、グリーンの定理の応用として、この周りの曲線からその曲線に囲まれた面積を知る公式が導かれていた(注)。

そして、これはプラニメーターの原理だとあった。それでようやく昔の父から聞いた話を思い出したというわけだ。いまどれくらいプラニメーターという語が知られているのかわからない。技術者にとってはプラニメーターは珍しくもない器具かもしれないが、一般の人にとってはそんなものは不用であろう。

プラニメーターは英語ではplanimeterと綴る。訳として岩波の英和辞典ではプラニメーターと面積計とがあった。単に面積計といわれてもどういう風にして面積を出すのかはわからないであろう。

(注)グリーンの定理はちょっと3次元でのストークスの定理の2次元の特別な場合みたいな定理である。ストークスの定理をだれが発見したのか知らないが、Kelvin卿からこの定理を教えられたストークスがケンブリッジ大学の試験に出したとかで、一般にはストークスの定理として知られるようになったとは最近どこかで読んで知った。

要は面積分をその周囲の線積分に変換したり、逆に線積分を面積分に変換したりするときに使うのがストークスの定理である。