「ベクトル解析の学習」の目的のいちばん重要な動機は電磁気学のMaxwellの方程式の導出であろう。
これらの方程式をベクトルで表すときには、ガウスの定理とストークスの定理を使うからである。もっともこれらは導出はそんなにやさしくはない。
砂川重信『理論電磁気学』(紀伊之国屋)は電磁気学の書の典型であろうと思って、昨日の日曜日にこの書の第1章と付録1のベクトル解析のところを細かなところを除いて読んでみた。
ベクトル解析の部分は伝統的な解説であり、新しみがあるものではなかったが、悠揚迫らずそれなりに感銘を受けた。ただ、現在になってみれば、もっとわかりやすい書き方はすくなくともベクトル代数に関してはあるだろう。
私にしてもベクトル代数はもっとわかりやすいものを提供できている自信はある(注)。
(注)私のエッセイ「数学・物理通信」4巻1号(2014)9-16の「ベクトル代数再考」を参照されたい。いつもここで述べているように、インターネットで「数学・物理通信」で検索すれば、名古屋大学の谷村先生のサイトにすぐに行きつく。ここに「数学・物理通信」のすべてのバックナンバーがある。
また、同じ「数学・物理通信」1巻2号12-20 の「Levi-Civitaの記号でベクトル解析の初歩を」も参考されたい。
または『物理数学散歩』(国土社)の「テンソル解析学習の問題点」72-90も参考になろう。これのインターネット版も「物理のかきしっぽ」に出ている。
もっとも『物理数学散歩』(国土社)は図書館にあまりないので、ご迷惑をかけている。運がよければ、google booksで『物理数学散歩』の前著である、『数学散歩』(国土社)に同じタイトルのエッセイを読むことができるかもしれない。