昨夜はドイツ語のクラスの忘年会であった。占星術がドイツで流行っているかというOさんの問いから、Yさんはいつも2つの星占いを同時に見ていると話が発展した。
その星占いは、もちろんというべきかどうかは知らないが、その予言の内容は違っているらしい。そのときYさんは、どちらを信じるのであろう。そのことをききもらした。楽観的な人は自分に都合のいい星占いを信じるだろうし、悲観的な人は悪い方を信じるのであろうか。
もともと、星占いなどというものは手相・運相とかと同じであたるも八卦当たらぬも八卦であるが、R氏ははじめに見た星占いが有効なはずだという。
それで、私の思ったのは無限級数の和のことである。無限級数では和をとる演算の順序を変えると和の答えが変わってしまう。これはいかに多くの項があっても無限級数でなくて有限級数では和をとる順序を変えてもその和の答えは変わらないのと対照的である。
代数を学びはじめたころに、四則の交換則だとか結合則が成り立つと教えられる。ところがこれは有限の項の和について正しいが、無限級数でその足す順序を入れ替えたら和が変わってくる。
こういうことを2つの星占いを見ているという人の話を聞いて思い出してしまうのは、因果な話であって、そんな話をしたら、その場を白けさせるのに十分すぎる。
星占いにしても、またはおみくじにしても普通は一つしかみない。おみくじをいい予言が出るまで引き続けるという人は聞いたことがない。もしそういうことをしたら、そのための費用がかさむということの他に、そのどれを信じるかという問題が生じてくるであろう。
近代科学のさきがけをなした、ケプラーは実はこの占星術を職業として皇帝に仕えていた人だが、その一方で太陽の周りの火星の軌道について研究し、その軌道が実は円ではなく楕円であることを突き止めた。
彼の見つけた3つの法則はニュートンの力学のきわめて重要な先行研究であり、ケプラーはガリレオ・ガリレイと並んで近代科学をもたらしたが、彼自身はかなり神秘的な思考の持ち主であって、ガリレオ・ガリレイの合理的で近代的な思考とは違っていたらしい。